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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-02-01

[media]海老沢前NHK会長の顧問就任/辞退問題

いったんは彼を顧問に就任させると決めた、そのロジックが何なのかが非常に気になるところです。院政のためという見解が多いようですが、

  • 影響力を行使しようとするなら顧問就任は必ずしも必要ではなく、
  • この顛末により、何もしなかった場合よりも明らかに影響力は削られ、結果において目的は達成されず、
  • 彼に対する批判は数あれど、傲慢であるとか狡猾であるといったものはともかく、愚鈍であるといったものはあまり見かけませんので、批判を浴びることを予測できなかったはずもなかったと考えられること、

を踏まえますと、あまり合理的な推論ではないように思います。それは考えすぎで、単に麒麟も老いれば駑馬に如かずということなのか、それとも何か別の理由があったのか。ちなみに「別の理由」といっても、陰謀論めいた筋書きを思い浮かべているわけではありません。何らかのそれを正当化するような論理が存在したのではないか、という趣旨です。とまれ、ジャーナリズムとしてそうした検証を時間をかけて行っていただきたいものだ(別にNHKでなくてもいいのです)と思います。

話は変わって、この一連の騒動を見て、シマゲジこと島桂次が生きていたらどんな感想を漏らすのかは想像力を刺激してやみませんが、因果は巡るといいますか・・・。

[law]「法と正義」についてのとりあえずのまとめ:前書き兼目次のようなもの

このテーマについて、まとめページなどもできつつある中、それらではまったく言及されず、ほとんど稲葉先生と大屋先生からしか相手にしてもらっていないwebmasterがこの段階で書くことについては、なぜ相手にしてもらえていないのかをよくよく考えてからの方がいいような気がするのですが、その手がかりのかけらすらつかんでいないのにそんなことを言っていては何も書けないようにも思いますので、webmaster自身にとってのけじめとして、将来テキストを読み返して恥ずかしい思いができればと願いつつ、とりあえずのまとめをしてみたいと思います。

#というわけですので、「読むに値するテキストではない」「何が書いてあるのか意味不明」「語り口が嫌い」「官僚ごときが偉そうなこと言うな」等々、webmasterの意見が取り上げるに足りるものではないことにつき、その理由として思い当たる節をご教示いただければ幸いです。

「恥ずかしい思い」というのは、自分語りとなって恐縮ですが、学生時代に概説書でハンス・ケルゼンH.L.A.ハートの上っ面をなでて、自分の考えと非常に近しく感じたものの、結局その手の講義をとらず卒業し、今に至るまできちんとそれら、及びそれらに対する批判等を読まずに来てしまったwebmasterにとって、現時点での意見を述べていくことについては、

  • ケルゼンやハートの理論がwebmasterの考えと似ていると捉えていることが事実誤認だ、
  • 仮に似通ったものであったとしても、それに対してはすでに有効な反論がなされているにもかかわらず、それを知らずに主張し続けている、

等の可能性があります。きちんとケルゼンやハート、さらにはそれらと別の立場に立つロールズドゥオーキンノージックらの著作を読んだ後においてwebmasterの現在の意見が間違っていたと自覚したとしても、その現在の意見を残しておかなければ、どこがどう間違っていたのか等を正確に検証することができないので、それが可能となるよう残しておくというものです(マスターベーションだろうと言われれば、そのとおりです)。

#こんなことをあきらかにすると、稲葉先生や大屋先生、さらにはその他の読者の方々から、「えっ、そんな基礎的な文献も読まずにあんなこと言ってたの?」というご指摘を受けるハメにもなりかねないのですが。

そのような状態ですから、「まとめ」といってもあまり体系化はできるようにも思えませんし、また無理にすべきものとも思えませんので、比較的今回のテーマに関連する議論ができるものを次のとおり選んで、個別のケースから全体のイメージが浮かぶよう努めたいと思います。

  1. 法の解釈は如何にあるべきか−「行列のできる法律相談所」の弁護士比較
  2. 最高法規としての憲法−外国人の地方公務員管理職任用拒否に係る最高裁判決についての一考察
  3. 法を超えた正義の実現は可能か−昭和天皇の有罪判決を可能とする論理の存在可能性

[law]mojimojiさんへ

webmaster自身、個々人が勝手に意見を表明することは言論の自由等の観点から最大限保証されるべきですが、他方でそれを他人に相手にしろと強制する権利は、それが法として集団内の各人を拘束する場合を除いてはあり得ない、と考えており、かつ、そう主張してきていますから、webmasterのテキストに対してお答えいただけないのは、webmasterのテキストがmojimojiさんに答えようという気を起こさせるだけの力がないものだと考えています。また、そうである以上、webmasterがストーカーめいてあれこれ言い続けるのも、そもそもコミュニケートをしたいが故にテキストを書いているというwebmaster自身の目的にも反します。

したがって、mojimojiさん(や、今回の議論をご覧になっているその他の方々)からwebmaster宛の異論・反論があれば議論を続けさせていただくのは大歓迎ですが、そうでない限り、本件についての特定の個人に向けた意見表明は、このエントリをもって最後としたいと思います。

何も、これで議論に勝ったとか、そういうことを申し上げたいわけでは全くありません。既述のとおり、基本的にはwebmasterのコミュニケーション能力の不足故と考えていますし(大屋先生との間では議論が続いている以上、特に)、もともとが、当方の意見を理解してもらおうというスタンスでして、説得しようとか、折伏しようといった目的でもありませんでしたし。

では、最後に何を申し上げたいかといいますと、立ち位置を選ぶという特権というエントリにおけるコメントのやりとりの中の、「民衆法廷」の僕なりの定義は、「正統な国家権力が主催していないという一点を除き、正統な国家権力が従うべきすべての法規にしたがって判断を下そうとする有志による法廷」と言えるかと思いますの部分は完全に誤りである、ということです。アイロニーも何も全くなく本心から(よけいなお節介であることは否定しません)、ここに記述されている認識を維持し続ける限り、女性国際戦犯法廷がまともなものとして取り上げられる可能性はほとんどないと思います。「正当な国家権力が従うべきすべての法規」のほとんどに従っていないのですから(正確には、「法規範」というべきかもしれませんが)。

具体的にどこが従っていないのか、webmasterが思いつく全てを指摘すると大部となり、かつ、技術的に細かい話になってしまうので、もっとも致命的な2点(逆に言えば、この2点が満たされていないようでは、他がどうであれ問題外です)について、日本軍性奴隷制を裁く「2000年女性国際戦犯法廷」憲章全文を引きつつ指摘いたします。

  • まず、なんでこの法廷がこれらを裁くことができるのかという点がまったく理論的に正当化不可能です。「法廷」はこの憲章の規定に従って、個人と国家を裁く権限を持ちます(憲章第1条)とありますが、「この憲章」には、「法廷」にそのような権限を授与する権限がありません。mojimojiさんは「正義」を持ち出すのでしょうけれど、その「正義」はあなた(たち)の正義に過ぎないのです。mojimojiさんによれば、暴力を行使する側とされる側がいるときに、される側の方は正義を主張し、それにそって暴力を行使する側への裁きを求めます。しかし、暴力を行使する側は、その必要がないのです。それを正義といってもらう必要すらなく、ただ皆が黙っていてくれさえすればいいのですとなりますが、暴力を行使する側は、それが既存の成文法に形式的に合致している限りにおいて(民主主義国家において民主主義的手続に従い定められた場合に限り、と追加しても結構です)、その成文法が成立した段階で、その集団内では「正義」であることが推定されるのです。それが認めがたいのであれば、あなた(たち)の正義を、民主主義的手続に従って当該集団内での「正義」にすべきなのです。
  • 次に、「法廷」は、女性に対して行われた犯罪を、戦争犯罪、人道に対する罪、その他の国際法に基づく罪として裁きます。(中略)「法廷」が裁く犯罪は、強かん、性奴隷制その他のあらゆる形態の性暴力、奴隷化、拷問、強制移送、迫害、殺人、殲滅を含みますが、それらに限定されません。(憲章第2条第1項)とありますが、これでは犯罪の構成要件がまったくわかりません(いろいろ列挙はしてありますが、例えば「あらゆる形態の性暴力」とは何が該当して何が該当しないのかわかりませんし(具体例を出せば、長く見積もってもまだ人口に膾炙して四半世紀もたっていないセクシャルハラスメント(まあ、「セクシャルハラスメント」自体、客観的に構成要件が定着している用語ではありませんが)は、ここで裁かれるべきとされる「あらゆる形態の性暴力」に入るのでしょうか?)、最後に「それらに限定されません」とついていますからなおさらです。ついでに申し上げれば、この憲章は違法性阻却責任阻却も全く認めないものですから、例えば正当防衛であっても犯罪となります)。また、憲章のどこを見ても「犯罪」に対してどのような刑罰が科せられるかについての記述が全くありません。つまり、近代以後の憲法・刑法であれば当然に求められる罪刑法定主義が無視されています。また、そもそもこの憲章自体が事後法規範ですから(とりあえずこの憲章が法規範であることは認めるとして、ですが)刑事罰の遡及禁止にも抵触しています。

以上の見解について賛成するかどうかは各人の自由ですが、相当程度多くの人間−特に法学を学んだ人間−は、管轄権のない法廷が罪刑法定主義を満たしていない法規範に基づいてその成立前の行為について遡及的に有罪判決を下した、と聞いたときには、その判決の中身以前に手続に欠陥ありとしてそれ以上聞く気をなくす可能性が極めて高いというのがwebmasterの主観的認識です。

ですから、webmasterが横から申し上げるのも何ですが、大屋先生がプロパガンダならアゴラに出て行けNHK「圧力」問題でいい、さらにそれを具体化し言葉を換えて「当時の国際法を『慰安婦』問題に適用するとどうなるかなあ」というのを考えてみたかった、というのは良い。しかし法廷としての要件を具備できないなら、別にそんな形式を取る必要はなく、論文で主張するなり議論するなりすれば良かったはずだ。事実認定はどうすると言われるかもしれないが、反対尋問もないクズ審理をやるくらいなら、やはり歴史学者なんかが論文で議論すれば良かったはず法廷と手続的正義においていった手法を用いれば、そうした無用の反発を回避することはできるわけです(それはmojimojiさんにとって不本意だとは察しますが)。

それも覚悟のうち、ということなのかもしれませんが、女性国際戦犯法廷の主宰者の究極目的が「従軍慰安婦の方々の救済」にあるのであれば、法廷云々というところにこだわって世の理解の障害を自ら作り出すのは、かえって目的に反するのではないでしょうか。webmasterの根拠のない直感ではありますが、管轄権のない法廷が下した罪刑法定主義を満たさず遡及効を許容する法規範に基づく判決に仮に正当性があるとしても、それが一般に認められるまでには、従軍慰安婦とされている方々−さらにはmojimojiさんも大屋先生もwebmasterも−は皆死に絶えてしまうでしょう。極めて高い確率で。

[misc]2ちゃんのリンク判明

googleに引っかかった結果、経団連シンクタンクがらみだった(「【研究】"預貯金・現金にも課税" 「マイナス金利」政策の必要性提言…日経調★3」スレ。DAT落ちしているのでリンクは張っていません)ことがわかりました。最近ニュー速板は覗いていないもので・・・。矢野さん、アイデアを提供していただきありがとうございました。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]
モジモジ (2005-02-01 09:06)

こんにちわ。誤解を与えてしまったようで申し訳ないのですが、今やっていることは、bewaadさんへの応答の下準備でもあるんですよ。すべてを一度に書くことはできませんから、部品を少しずつ出している状態です。これらのことと、あと幾つか準備すべきことを整えてからbewaadさんへの応答につなげていく予定です。/予告的なことをもう少し書くべきだったかと反省していますが。

bewaad (2005-02-02 05:44)

とんだ失礼をしてしまったようで恐縮です。寂しかったもので(笑)。

isuzuki (2005-02-02 07:23)

海老沢氏を顧問に就任させた狙いは橋本氏が海老沢氏の影響力を世論という外圧を使って完全に排除したかったのかなと思いました。
海老沢氏の力を本当に温存したいのならほとぼりが冷めたころに顧問にひっそり就任させればいいと思うんで。
橋本氏が海老沢氏の追い落としを狙ってわざと顧問に就任させたのかなと。

モジモジ (2005-02-02 08:35)

いえいえ、こちらも言葉足らずでした。今後ともよろしくお願いいたします。

bewaad (2005-02-03 07:35)

その考え方は思いつきませんでした>isuzukiさん。これからニュースなどをそういう可能性も念頭において見ていきたいと思います。

bewaad (2005-02-03 07:38)

こちらこそよろしくお願いします>モジモジさん。


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