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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-02-10

[economy][BOJ][pseudos]トンデモ#4:函館市における金融経済懇談会での須田美矢子審議委員挨拶

いろいろ言いたいことはありますが、まあなんとか見解の相違として捉えられるものもあります。しかし、次の部分だけは、絶対に許されるべきではないでしょう(強調はwebmasterによります)。

日本銀行法にも定められているとおり、金融政策を運営する上で、「物価の安定」が重要な地位を占めていることはいうまでもありません。物価の安定が保たれていれば、家計や企業等のさまざまな経済主体が、物価の変動に煩わされることなく、消費や投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことができます。グリーンスパンFRB議長は「物価の安定」の定義を、「経済主体が意思決定を行うに当たり、将来の一般物価水準の変動を気にかけなくてもよい状態」と表現していますが、「具体的な水準はどこか」と問われて、「インフレ率が正確に測れるならば、ゼロである」と答えています。プール・セントルイス連銀総裁もそのような考え方に賛成しています。私も物価の安定を数値で問われたら、「理念的には物価上昇率がゼロ%」と答えるでしょう。物価が変動すると、メニューを書き換えなければならないといった資源の無駄遣い、相対価格の変動が不必要に大きくなるため相対価格がもつシグナル効果の低下、価格変動の不確実性がもたらすリスク・プレミアム、税制を通じる歪みの発生などによって、資源配分の効率性が損なわれることになるからです。

もっとも、理念上のゼロインフレを実際の物価指数に当てはめることは容易ではありません。物価指数の選択の難しさに加え、物価指数には様々なバイアスがあり、かつその幅が変動する可能性があることから、バイアスをある一定の数値に決めその大きさをもって、ある物価指数による数字上の物価安定の定義とできるわけではありません。つまり、物価の安定についての理念上の概念と実際の物価指数とを常に具体的な特定の「数字」でもって関連付けることはできません。また、ゼロ金利制約、名目賃金の下方硬直性や債務契約の硬直性などの存在が物価下落特有のコストをもたらす可能性があることなどから、デフレに陥らないためにインフレ率を若干プラスにしておく方が望ましいという議論もありますが、これについてもデフレのコストは経済状況に応じて変化しますし、「のりしろ」としてある適当な値を導くことが必ずしも常にできるわけではありません。

(中略)

私どもは2003年10月に、「消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上」ということについて、数字としては、消費者物価対前年比が、実績では数か月均してみてゼロ%以上、先行きについては政策委員の多くの見通しがゼロ%を超えるということを必要条件にしましたが、私が約束は守ると申し上げている「数字」上の意味は、文字通りゼロが基準です。書かれている文字以上でも以下でもありません。

本当に心からそう思っているなら、ぜひとも世界中の中央銀行に対して、とりわけそこがインフレターゲットを採用している国であれば、ターゲットレンジが概ね2%から4%程度であることを間違いだと言ってほしいものです。0%を中心としたプラスマイナスが対称的なレンジを用いる方が正しい金融政策で、あなたたちの誤った金融政策は厚生水準を損ねている、と(ついでに、過去数十年にわたりプラスのインフレ率を維持してきた日銀の金融政策も自己批判してほしいものです)。

また、グリーンスパンに対しては、「あなたはゼロインフレがいいと言っていたのに、なぜ2003年にはゼロインフレになりそうだからといって金融緩和をしたのですか。言葉と行動が矛盾しています」と難詰してください(日本のデフレを観察した結果宗旨替えをしました、と反論されなければいいですけどね)。

さらに、CPIが0%でよしとするなら、日本のCPIには0.9%の上方バイアスがあると推計した白塚論文で指摘されたバイアス要因はすべて解消され、今のCPIには何ら上方バイアスがないということを証明してください。

・・・しかし、ホントに、なんでこのレベルから議論しなきゃいけないのでしょうか。しかも、金融政策の決定権を握る人間(それも、経済学者としてのステイタスで審議委員に任命された人)に。

[politics]民主党の予算案

pogemutaさんからのリクエストではありますが、まじめに申し上げるなら、「積算がアバウトすぎてよくわかりません」ということに(笑)。そんな中でも最大のポイントは何かと言えば、一般会計予算案のみで、特別会計予算案がまったくディスクローズされていないところでしょう。特会予算は行政府に完全フリーハンドでも与えてくれるのでしょうか(笑)。

#まじめな話、特会予算はともかく、一般会計予算の積算はきちんとディスクローズした方が民主党のイメージ戦略的にもベターだと思うのですが。

[misc]磯崎さんにはお世話になりましたので・・・

ライブドアによるニッポン放送株式の取得についてのエントリで、滝川クリステルがお気に入りではないかとうかがわせる記述がありましたので、これがお礼というのも何ですが、以下、お楽しみいただければ幸いです。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]
鰻谷 (2005-02-10 10:51)

すいません、今回の須田さんの挨拶については、上のエントリとブルンバーグ、それと今日の日経金融しかみてはいないのですけど、
・「正確に測れるならば」「理念的には」ゼロ → 決してCPIなりデフレータのゼロでは無い。
・適当な値を導くことが必ずしも常にできるわけではない → 恒久的絶対的な水準を決定できるわけではない。
と見れば、致命的におかしな話でもないかなと。また、バイアス除去後の真のインフレ率(しかもその変動を無視した場合)の水準として、若干のプラスが良いのかゼロが良いかについては確かに議論の別れるとこだと思いますから、個人的にはまぁこういう言い方も(気には食いませんがw)アリかと思います。
また、CPIにバイアスがあるといいながら、「私が約束は守ると申し上げている「数字」上の意味は、文字通りゼロが基準です」ってのも、単に意思決定者として、それこそ「のりしろ」が欲しいだけなんではないでしょうか?(これだけゼロゼロって言っておきながら、一方ではCPIがプラス=引き締めではない、とも言っているようなので。)
全く日銀というのは、自らの機能を受動的なものだと主張するくせに、allowanceだけは確保しようとしますよね。(偏見?)機動的な政策発動を担保する裁量を持つのは当然ですが、事前にそれを強調するのは単なる保身からのように思えます。また、それによって期待形成のコストは確実に高くなるわけですから。。。

bewaad (2005-02-11 01:57)

まあ私には日銀に対してバイアスがあるのは不可避ですから(笑。もちろん、少なくしたいとは思っていますが)。
でも、「理念的には」の部分については、やっぱり金利の非負制約がある以上、いくら正確に測定できたとしても、ゼロよりはマイルドインフレだと思います。

Tetsuya Isozaki (2005-02-12 17:22)

おおっ。これはこれはどうもお気遣いいただきまして。(笑)

bewaad (2005-02-13 04:46)

お気に召していただけたなら紹介したかいがあります(笑)

本日のTrackBacks(全2件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20050210]

凄すぎ。この情熱に敬服します。まさに継続は力なり。ちょっと怖いです。(笑) くりろぐ こんなのもあります。 滝川クリステルと愉快な仲間達 via 切込隊長さん via Bewaadさん...

 (経済学のエントリーです。 説明はかなりはしょっています。 興味の無い人は、読み飛ばしてしまってください。)

 この頃読み進めている本の一つ、経済学とファイナンス。 


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