archives of BI@K

CSS: default alternative
(要cookie)

toppage memoranda

(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|

2005-05-01

[misc]「ケサパサ」を超えて

先日のエントリに対して、化粧品って必殺技っぽい名前多くね?SNMRさんからご紹介いただきました。

#「ケシミン」で焼きビーフンの某社を連想したwebmasterは全くの部外者(笑)。ところで「ケサパサ」って、化粧品に似つかわしくない略称だと思いませんか?(肌がとことん乾燥しそうで。)

ラトゥー・エクラ・シュブリム(レス13)あたりはかなり宇宙語っぽいですが、やはり英語のものなど、発声したときに音感になじみがあると不自然には感じないようです。アラビア語やロシア語、ヘブライ語、サンスクリット語あたりだとかなり宇宙語なのではないでしょうか。って、化粧品関係でなくっても日本人にとっては宇宙語っぽいのでしょうけれど(笑)。

#単に、webmasterの知っている外国語がいかに限定的かというエントリですね、これ。

[misc]ANESSAのCM

その翌日のSNMRさんのエントリに反応。

今年のCMがいまいちなのは上原美佐を降板させたからというのがratio decidendiです(反論不許可)。

ただ、obiter dictumとしては、あのCMは妙に男に媚びているような雰囲気があるのが問題ではないでしょうか。周りのトライアスリートが競技に懸命に取り組んでいる中で、一人だけあのいでたちで悠然としているのですから、あなた何様よ、という気持ちが視聴者に芽生えて当然でしょう。

#解説者役が「蝦ちゃん」とか、鼻の下伸ばしていそうな声音(笑)でぬかしているからなおさら。

キャラを目立たせるために水着の色は今のようにしたとしても、その形は周りと同じものにして、競技もきちんとこなして、解説者も「蛯原選手」と呼んでいれば、かえって嫌味なく引き立ったのではないかと思います。


2005-05-02

[economy][politics]福知山線事故について考えてみた(上)鉄道の安全性

一般論としていえば、鉄道輸送は他の輸送手段、例えば自動車に比べて遙かに安全です。といってもきちんとした一次資料を探し出すことができませんでしたが、たとえば新幹線誘致のための資料と思われるので客観性に欠けるおそれがあり、さらに作成者が不明で、加えて今ではファイルが404 Not FoundなのでGoogleのキャッシュとなりますが曽根先生の「今後の高速鉄道のあり方」という講演において(webmaster注:以上、情報提供に基づき5/5訂正)、次のような指摘があります。

この 1 万数千人という数字は、実はとんでもなく大きな数字でありまして、日本で原爆が落ちてから後の不慮の死の中の圧倒的に大きな比率を占めるのが交通事故なんです。もちろん、それ以外に不慮の死というのはいろんな事故で起こってはいると思いますが、圧倒的に高いのが交通事故であります。これは自動車だけで起こっているものでありまして、鉄道でも船でも飛行機でもけた違いに少ないんですね。輸送人キロ当たりで鉄道の数字と自動車の数字を比較しますと、10年間ぐらいの平均値でみて3けた違う。ある10年間でみると4,000 倍ぐらい違う。別のある10年間でみると800倍ぐらい違う。

何でそんなに違うのかというと、鉄道はほとんど事故がないものですから、例えば、信楽高原鐵道の事故が入っている10年と入っていない10年で、鉄道側の事故率が10年間で見ても数倍違うのです。そのくらい鉄道の事故による死者の数というのは少ないわけです。文明が進むにつれて人命の価値は高まるわけでありますが、そういう中で自動車のみに依存した交通というのはやはり許されない。どちらも社全的コストからみて、環境面からみても、安全面からみても、マイカーだけに頼るような交通システムというのは破綻をするということであります。そのためには公共交通の整備が必要でありまして、ここでいう公共交通というのは、もちろん高速鉄道だけのことではありません。高速鉄道も一般の鉄道もバスもタクシーも含めて、いろんなレベルの公共交通をシステムとして整備しておくことが不可欠であります。その際に、新幹線をつくるかわりに生活交通を犠牲にするというようなことをやらないようにしてほしいということです。

とりあえずこの数字が正しいと仮定すれば、今回の事故による犠牲者を加算しても、おそらく自動車よりも輸送人キロ当たり死亡者数は二桁少ないことには変わりないでしょう。であるなら、今回の事故でこれだけの非難が寄せられることが本当に妥当なのか、と思わざるを得ません。こと交通に限っても、死亡者数を減らすためにより有効な手段、具体的には自動車交通環境の改善により多くの労力が割かれることが検討されていいはずです。

#限界投入労力に対する改善率がわからないので、必ずそうすべきであるとまでは言えません。ちなみに交通に限らないなら、明らかに不況の影響により増えている自殺への対応があまりにもずさんで、早く対策を講ずべきだとwebmasterは思いますが。

以上を念頭に置きつつも、こと鉄道に話を限って検討を進めてみます。少なくとも目先の事象にとらわれた議論、例えば事細かにオーバーランを報道することが事態の改善に貢献するかと考えれば大いに疑問です。

#最近悪役になっている日勤教育と根は一緒といいますか、そういう報道をするメディアこそがJR西日本のそうした体質を育んだのではないかと思います。

というのも、ハインリッヒの法則も最近は知名度が上がっていると思いますが、この法則の使い道は、大事故に至る前の小さな事故・ミスに制裁を科すことをやめて広く事例を集め、そこから得られる改善策をフィードバックすることなのですから、むやみに言挙げするのは明らかに隠蔽体質につながりろくなことはありません。

運転手や車掌の管理について言うなら、重大な結果につながらなかった軽微なミスを、さまざまな手がかりを与えてくれる貴重なテストケースだと考え、その理由が仮に個人の問題行動によるもの(例えば不可抗力的でない脇見)であっても、きちんと報告しさえすればお咎めなしとすべきでしょう。

もちろん野放図なモラル低下(報告しさえすればよいとなり、注意しようとするインセンティブが下がる)を防止する必要はありますが、それは重大事故への厳正な対応でカバーできると思います。

より難しいのは、そうした対応へどのようにして鉄道会社を導くかでしょう。官僚だからそう主張すると思われるのは本位ではないのですが、規制で何とかするしかないのではないか、とwebmasterは思います。まず、各鉄道路線は、並行路線があったとしても駅の配置や乗換えの有無等によって代替不可能である顧客にとって独占的になる部分があり、ましてバスなど他の交通手段ではなおさらと言えるからです。

次に、既述のとおり鉄道の安全性がかなり高い点があります。相対的に安全だとしても、それが顧客にとってどこまでアピールするか疑問である、要すれば市場を通じた安全性向上圧力がそれほどはかからないのではないでしょうか。というのも、例えば上記を援用すれば、おそらく非常に安全な鉄道とそうでない鉄道の安全性の差よりも、後者と自動車の安全性の差の方が断然大きいと考えられます。自動車と鉄道の安全性の差ですらどこまで認識されているか疑問だというのに、鉄道同士の微細な差が、運賃の差やスピードの差よりも集客力に影響を与えるとは、webmasterには思えません。

#そもそも安全性については情報の非対称性があるという問題もありますが、こちらは特別なディスクロージャー制度の整備などにより、ある程度は解消可能であると考えられます。

さらに、これはまったくの憶測なのですが、以上のように安全性を向上させることのベネフィットが小さいことに比べ、そのためのコストが高すぎるのではないのでしょうか。企業にとって合理的な経営判断として、今のレベルの安全性にとどめているのだとすれば、そういう構造が背後にあることになります。それを是正しようとするなら人為的に、安全性を向上させたときのベネフィットを増加させるか、そのためのコストを負担するか、安全性が相対的に劣ることに対してコストを負荷するしかないのではないかと、webmasterは思うのです。

本日のツッコミ(全395件) [ツッコミを入れる]

Before...

ぐ膏??BRAVIA(??????)KDL-32F1 B [32V????笂?BS?110搴?S????儷??????с?娑叉??????づ?ぁ譎徐???┿?? [これはになります優れたウェブサイト、だろうあなたがあること興味そうすることでインタビューに関して|あなたはどれだけど..]

ドメティック【基本設置料金セット】 ワインセラー 「サイレント・カーブ」(38本) CS 32 DC (CS32DC) [より多くの書き込み、私は言わなければならないすべてのthats。あなたはあなたのポイントを作るためにビデオに頼ってい..]

??? TOSHIBA REGZA ????2ZP3 [42V????笂?BS?110搴????????????с?娑叉??????3D?惧繙] [やあ!これはちょっとオフトピックですが、私はいくつかの 必要が確立されたブログからの。それは非常に難しい自分のブログ..]


2005-05-03

[economy][politics]福知山線事故について考えてみた(下)中長期的な抜本対策

#昨日もそうでしたが、鉄道の専門的なことはわからないので、その方面の話題は取り上げません。

昨日は要すれば、鉄道は他の交通手段、とりわけ自動車に比べて相当程度安全だけど、それでもリスクゼロにはならないし、まして企業経営で鉄道が運営されている以上、技術的に可能な最大限度のリスク削減ではなく、そろばんはじいて割に合うリスク削減しかされないし、そのリスク削減の程度はおそらく、多くの人が希望するようなレベルに届くものではないだろうなぁ、ということを申し上げました。

また、それは政府の介入によりある程度改善する可能性があるとも申し上げましたが、当然ながらこれには、政府の失敗という別の問題が発生し得ることを覚悟しなければならないわけです。

北側国土交通大臣の、ATS-Pを導入しなければ福知山線の運転再開は認めないという発言も、実はATS-Pが導入されていても今回の事故は防げなかったらしいので、どうやら政府の失敗の一例になりそうです。(福知山線に導入が予定されていたATS-Pは特別なもので、事故防止に役立つ可能性があったようです。詳しくは5/8付エントリをご覧ください。5/8追記)

じゃあどうすればいいのかと考えれば、とにかく移動距離を短くすれば、移動距離あたりの事故発生確率が同じであっても事故に遭う確率が減るわけで、つまりは職住近接というやつです。もちろん不動産価格を筆頭に個人の努力ではいかんともしがたい事情がありますから、その観点から政府にできることはあるのか、という話になります。

まずはこの話を思いついたきっかけである、「JR福知山線の事故に対し思う」(@ニヤリ5/1付)から、その一部を紹介させていただきます。

#和尚さんごめんなさい、結構否定的な結論になります。

和尚さんは、通勤ラッシュ等に代表されるような交通インフラの利用状況から、そこまでの人の移動を強いる要因は何かという考察として、次の3点を挙げられています。

  1. 勤務地の一点集中
  2. 勤務地と居住地の乖離
  3. 労働時間の過集中

これらへの対策として、まずは通信インフラの整備等による勤務地の分散を提唱し、そうすれば自然と2番目への対応、つまりは職住近接が図られるという立論になっています。

しかし、通信インフラ等が整備されたからこそ、勤務地は一点集中する運命にあるのです。以前関西地方にからめて書いたことがありますが、粗々まとめればそうした情報伝達が容易になればなるほど、そのチャネルに載せることができない情報伝達、端的にはフェイス・トゥー・フェイスのやりとりの相対的価値が増すというのがその理由です。

ですから、和尚さんがわざわざ都心の地価の高いところに事務所を構えるメリットは薄かろうというのは話が逆で、高い地価を負担してでも儲かるだけの収益力があるからこそ、都心には事業者が集まってくるわけです。

であるなら、もっと都心に事業者を集めるべき(それにより相乗効果が出てきますから)ですし、住居もそれに近接して整備する方がよいということになります。集中しすぎなのではなくて、集中が足りないからこそ、分散した拠点間を移動しなければならないのですから。

#このあたり、専門家のしっかりとした意見としては、岩田規久男・八田達夫「日本再生に「痛み」はいらない」をご覧下さい。

今ですら東京は過密だといわれるのにそれが可能かといえば、少なくとも他国の例を見る限り十分可能です。太田教授が紹介するNewman and Kenworthy(1999)によれば、東京の都市人口密度は75人/ヘクタールですが、世界一の香港だとこれが300人/ヘクタールですから、約4倍まで詰め込んでいる例は現にあるのです。東京圏は約3,000万人といいますが、23区人口が約800万人なので、4倍詰め込めばすべて23区に住むことだって可能です(笑)。

そうした集積を可能とするためには、地道な不動産流動化の円滑を図る施策(賃借権紛争等の処理促進、価格情報等の透明化、民事執行体制の強化など)に加えて、高度利用による付加価値の増加がひいては税収増につながることも踏まえ、用途転換の補助金や税制による支援も考えるべきかもしれません。

何よりも、皇居周りの高層規制と地下鉄規制をやめるのが、ゼロコストで実施できるもっとも簡単な施策だとは思いますが(笑)。

[science]科学常識チェックの日米比較

読売新聞報道(via偏読日記5/1付)によると、科学の常識に関する11問の正誤問題の成績で、日本が13位(正答率54%)とのこと。他の国のランキングが掲載されている資料が、報道されている文部科学省の報告についてのページには見当たらなかったものの、総合科学技術会議提出資料として見つかったので、まずはそこから11問を転載します。

  1. 地球の中心部は非常に高温である。
  2. すべての放射能は人工的に作られたものである。
  3. 我々が呼吸に使っている酸素は植物から作られたものである。
  4. 赤ちゃんが男の子になるか女の子になるかを決めるのは父親の遺伝子である。
  5. レーザーは音波を集中することで得られる。
  6. 電子の大きさは原子の大きさよりも小さい。
  7. 抗生物質はバクテリア同様ウイルスも殺す。
  8. 大陸は何万年もかけて移動しており、これからも移動するだろう。
  9. 現在の人類は原始的な動物種から進化したものである。
  10. ごく初期の人類は恐竜と同時代に生きていた。
  11. 放射能に汚染された牛乳は沸騰させれば安全である。

#回答は本日最後のエントリに掲載します。webmasterはなんとか全問正解できました。

これを読んで気になったのが最後の問題。放射性物質に汚染はされても「放射能に汚染」はされんでしょうに、と思ってアメリカでの調査結果を探してその質問を見ると、Radioactive milk can be made safe by boiling it.というものでした。radioactive materialが放射性物質であることからすれば「放射性牛乳」というのが直訳になりますが、どう訳すのが正しいのでしょう?

ちなみに第2問は、英文でもAll radioactivity is man-made.となっていますから、「放射能」については正しい訳です(が、man-madeを人工的に作られたというのは重言っぽいですね。人工物でいいような)。

#細かいことをいうと、第6問が読売新聞では電子の大きさは原子よりも小さいなどと中途半端に短縮されているのですが、そう書くなら電子「の大きさ」はいらないでしょうに(つまり、「電子は原子よりも小さい」とすべき)、新聞の校正も甘いものだと思います。

なお、単に全体の正答率を比べるのではなく、個別回答を見るとなかなか趣深いものがあります。といってもEUは探すのも面倒なので手を抜いて(笑)、先のアメリカの結果と日本の個別結果を見てみます。

#実は日米両国だけなら他にも共通する質問があるので、その結果も追加してあります。

 日本の正答率アメリカの正答率
1.地球の中心部は非常に高温である。77%81%
2.すべての放射能は人工的に作られたものである。56%71%
3.我々が呼吸に使っている酸素は植物から作られたものである。67%85%
4.赤ちゃんが男の子になるか女の子になるかを決めるのは父親の遺伝子である。25%66%
5.レーザーは音波を集中することで得られる。28%43%
6.電子の大きさは原子の大きさよりも小さい。30%46%
7.抗生物質はバクテリア同様ウイルスも殺す。23%45%
8.大陸は何万年もかけて移動しており、これからも移動するだろう。83%80%
9.現在の人類は原始的な動物種から進化したものである。78%45%
10.ごく初期の人類は恐竜と同時代に生きていた。40%51%
11.放射能に汚染された牛乳は沸騰させれば安全である。84%57%
12.光と音はどちらが早いか。89%75%
13.喫煙は肺がんをもたらす。83%93%
14.宇宙は巨大な爆発によって始まった。63%33%
15.地球の公転及び公転周期58%49%

何が趣深いかと申しますと、先の読売新聞報道ではアメリカの正答率63%に対して日本の正答率が54%とされていましたが、実質的な差はもっと大きいのではないか、という推測が成り立つことです。

#15問ベースで平均正答率(算術平均)をとりますと、日本の59%に対してアメリカの61%と差が縮まります。

というのも、アメリカにおいては明らかにキリスト教バイアスにより正答率が下がっている質問、具体的には進化論関連(9と10)とビッグバン関連(14)の3問で相当損をしていると考えられるからです。

#にもかかわらず、第10問でアメリカ人より正答率が低い日本人って・・・ギャートルズバイアスでしょうか(笑)。

他方、日本においてアメリカに勝っている質問の1つである第11問は、同じ放射性物質・放射能に関する質問である問2においては結果が逆であることからしても、単に「放射性物質・放射能は非常に危険なのだ!」という逆のバイアスがたまたまいい結果に出ただけであって、決して「常識」があるわけではないと考えるのが妥当であるとwebmasterは思います。

#例えば「放射線の一種アルファ線は紙や布で遮ることができる」という質問であれば多くの人が×をつけるでしょう(答えは○です。為念)し、「劣化ウラン弾による外部被曝の影響は自然被曝のそれとほとんど差がない」という質問でも多くの人が×をつけるでしょう(これも○)、ということです。

というわけで、第9、10、11、14問を除いた結果を見てみますと、日本56%に対してアメリカ67%となり、やはり報道ベースよりも差が拡大したのでした。

[economy]「真の失業率」推計式

4/28付の「「真の失業率」推計最新版(2005-03現在)」につきまして、どのように計算したのかというご質問をいただきましたので、回答いたします。

#メールを送付したのですが、うまく届かないようでしたので、このような形とさせていただきました。ご了解下さい。なお、オリジナル作成者はwebmasterではございませんので、以下はあくまでもwebmasterが数値からリバースエンジニアリング(笑)したものであり、本来は異なる推計式である可能性があることにご留意下さい。

まず、なぜ「真の失業率」なるものを推計する意義があるのか、遠回りに思えるかもしれませんが改めて触れます。通常、完全失業率は次の算式により計算されます(最新の月・四半期・年データでしたら「結果表」のページ、それぞれの過去のものでしたら「基本集計」の部分の該当月・四半期・年のページを開いていただき、そこから「第1表」を入手して実際の数字をご覧いただきながらお読みいただければ、よりわかりやすいと思います)。

  • 完全失業率=完全失業者/労働力人口・・・(1)

労働力人口の定義を代入すると次の式になります(実際の統計には「就業状態不詳」もありますが、捨象しておきます)。

  • 完全失業率=完全失業者/(15歳以上人口−非労働力人口)・・・(2)

この「非労働力人口」には、そもそも就職を諦めてしまったような人は含まれませんので(完全失業者の定義においては、「仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた」ことが要件として挙げられています)、あまりの景気の悪さ故に完全失業者の一部が非労働力人口にシフトし、完全失業率がその分だけ押し下げられているのではないか、というのが問題意識となります。

これに対する回答の一つが「真の失業率」です。つまり、非労働力人口の中にいると考えられる「隠れ完全失業者」を労働者人口(の内数である完全失業者)に加算して計算したものが「真の失業率」であり、その数字が悪ければ、上記定義による完全失業率がよかったとしても、それは本来深刻であるべき状況が見えないだけだ、ということが察せられるわけです。

推計式の説明の前の最後の一歩として、労働力人口の別の定義から1つ式を導出し、加えて完全失業者の定義式を準備しておきます。

  • 完全失業率=完全失業者/(15歳以上人口×労働力人口比率)・・・(3)
  • 完全失業者=労働力人口−就業者・・・(4)

では、これら(3)(4)式に上記の「真の失業率」の考えを当てはめるとどうなるか。労働力人口比率が1992年と同様に64%であると仮定すると、次のような式になります(それが(5)式ですが、実際の計算に当たっては、それをさらに変形した(6)式の方が楽だと思います)。

  • 真の失業率=(15歳以上人口×0.64−就業者)/(15歳以上人口×0.64)・・・(5)
  • 真の失業率=1−就業者/15歳以上人口×0.64・・・(6)

おそらくご質問の根本は、統計上の用語とオリジナルの表の用語が統一されていないが故に、ご不明があったからではないかと思いますので、最後にそれらの対比表を掲げておきます。

統計上の用語オリジナルの表の用語
15歳以上人口就労者人口
完全失業者(数、推計)非自発的失業者数(推計)
労働力人口比率就労率

[politics]佐藤優×福田和也対談@月刊現代2005.6号

「瀬戸際の日本外交 国益、情報、ナショナリズムとは何か」と題する12ページですが、かつてのwebmasterのテキストが、チャイナではなくロシアスクール所属とはいえ、本職の外交官(それも優秀な)の分析と似通ったものであったのはうれしいものです。佐藤さんも次のように指摘している(pp29, 30)ように、やっぱり中国は日本を恐れているのだと思います。

中国政府は、ある程度のガス抜きができる線を懸命に模索しているんだと思いますね。中国は、日本政府に謝ろうとしていませんが、これは中国の強さの表れではありません。あれは弱者の態度です。弱いからこそ、必死になって強がっている。

そのように強い立場にあるからこそ、恩を売る、もう少し上品にいえば先手を取って主導権を握ることが効果的になるわけです。webmasterは安保理常任理事国入りを放棄せよ、と申し上げましたが、佐藤さんはキルギス問題への介入で、という提案をされています。webmasterはそのあたりの情勢には全く詳しくないので、そのようなカードもあるのかと教えられました。

その他、日米関係の重要性、外務省が景気のいい発言を(国内で)したときの危険性、外務省への「右バネ」の圧力、といったあたりは目を通しておいて損はないと思います。

他方、福田さんはいただけません。毎年毎年、膨大な額の公共投資をしているにもかかわらず、内需が拡大していない。GDPに占める貿易の割合が58%というとんでもない構造になっている(p32)なんていう与太話も、経済ですからまあ専門外として笑って見過ごしもしましょう(専門外の(しかも間違った)ことを偉そうに講釈するな、という気はしますが(笑))。

#ちょっと古いデータですが2002年時点での分析を見る限り、過去5年間、中国の純輸出は2300〜3000億元の間にあるが、しかし一方で最終消費と資本形成の規模は3〜5兆元の間にあるといいますし、別の分析では2000年のデータから見て、GDPに占めるこの3項目の比重はそれぞれ61.3%、36.2%、2.5%である(webmaster注:3項目は順に消費、投資、純輸出)というのですから、それから数年でGDPの58%にも上る純輸出が計上されるなんてことはあり得ません。福田さんはGDPにカウントすべき「貿易」が純輸出とも知らずに粗輸出に言及したのでしょう。

しかし、文芸評論家として文系の一般教養があると期待されるにもかかわらず、次の発言はいったい何だというのでしょうか。

明の時代の特徴というのは、非常にミリタリーが強いということなんです。万里の長城も明代に作られたものですし。さらにそれを背景とした膨張主義的性格を持っていた。ベトナムに攻め込んで長期に占領した最後の中国王朝です。

歴史的事実として大明はヴェトナムを20年間しか占領していませんが、それが「長期」ですか(笑)。万里の長城だって、明らかに防御のためでしょうに(土木の変などがあったわけですし。だいたい、北虜南倭って言葉、習わなかったのかなぁ)。大明の歴史において膨張主義なんて言葉が当てはまるのは、永楽帝の治世に限られるんじゃありません?

[science]科学常識チェック・回答

  1. ×
  2. ×
  3. ×
  4. ×
  5. ×
本日のツッコミ(全464件) [ツッコミを入れる]

Before...

エプソン ホームプロジェクター EH-TW5200S [;サイトサイトこれについて|スパム問題問題を持っていますか私もブロガーだ、と私はいた疑問あなたの状況を、 私たちの多..]

フィリップス メンズシェーバー センソタッチ 3D RQ1252 [ブログサイトコンタクトページを持っているあなたはいますか? あなた| シュート送信私がしたいのですが、トラブルそれを..]

[MSZ-ZXV255-W-KJ]カード払いOK!三菱 ルームエアコン 霧ヶ峰 Zシリーズ ムーブアイ極 冷暖房:8畳程度 単相100V?15A 匠フラップ 360°センシング 2015年モデル ウェーブホワイト [ねえ あなたがしている あなたが気になります私はどれを知らせる? ブラウザ|私は3異なる完全に異なるであなたのブログ..]


2005-05-04

[economy][politics]福知山線事故についてさらに考えさせていただきました

いろいろとコメントやtrackbackありがとうございます。ここでまとめて取り上げさせていただきます。

#実は昨日は、書き上げた後に(日が変わる前に)飲みに行き酩酊して帰ってきたので、更新後即寝てしまい、いただいたコメントに対応できませんでした・・・。

「上」(5/2付)

Baatarismさん

JR西日本が営利企業である限り、ご指摘のようにダイヤを改正した場合の減収と、ダイヤを改正せずに事故の確率が今のままであり、その差分の確率において生じ得る事故の想定損害額を比較して者が大きい場合は、ダイヤを改正しない方が合理的なわけです。

今回の事故についてよくもうけ第一主義だといった批判がありますが、営利企業であればそれは当然です。政府の介入なくして自主的に対応が進むとすれば、今回の事故のイメージダウンで乗客数が減る等の収益ダウンがある場合なのでしょうけれども、まさしく「上」で書いたように、なかなかそうした動きにはならないのではないか、とwebmasterは思います。

鰻谷さん

ご指摘の、安全性を個別企業の合理性を越えたレベルに設定すべきかどうかというのは、もっと議論されていいことだと思います。環境学における中西準子先生や安井至先生のようなリスク論からの分析というものが、メディアでの各種報道の中にほとんど聞かれないのが残念です。

ご指摘の三菱自とトヨタの例は実際に売り上げに差が出ていて、かつリコール騒動の後はそれが一段と大きなものとなったわけですから、これは市場を通じたコントロールがある程度効いている(その程度が適切かどうかには議論があると思いますが)と言えますし、ちょっと前の雪印の末路も同様の例だと思います。他方で、鉄道はなかなかそうした形にならないのでは、というのが今回したかった問題提起ではあります。

一国民さん

確かに赤字路線の問題はそれはそれで議論すべきものだと思いますが、安全性確保の制約要因となっているかといえば、若干疑問があります。というのも、そのための投資のNPVが正の値をとるのであれば、財務的に必要な資金調達が不可能な場合でない限り、その投資をした方が会社の利益になるわけですから(JR西日本が実際にそうした投資判断をしているかどうかはさておき、理論的には)。

もし外務資金調達もままならず自らのキャッシュフローの範囲内でしか投資判断ができないような状態であるならば、おっしゃるように赤字路線切り捨てにより投資余力が生まれるということはあると思います。しかし、JR西日本の財務状況を見る限り、そのような状態であるようには見えません。

小僧さん

情報提供ありがとうございます。年間90万件を超える交通事故が起きているというのですから、十分な母集団があるわけで、少しでもそれらを合理的に分析した対策が取られていてほしいと思います。

しかし、引用されているURIに掲載されている自転車の車道通行禁止、元記事を読んだわけではないので何とも言えませんが、今の道路交通法の原則を正反対にすることなので、さすがにデマだと思いたいのですけれど・・・。webmasterは逆に、自転車は道路交通法上原則車道通行で、歩道通行は禁止だ(第17条第1項)、ということを知らない人間が多すぎるのが問題のように思っていますので。

tomberさんのtrackback「JR西日本福知山線の事故に思う」

再発防止策が現場職員に対するルールの徹底みたいなもので終ってしまっては根本的な解決にはならないというのはそのとおりだと思います。かつて順法闘争なんて言葉がありましたが、現場の安全確保ルールを厳しくしたところで、それをバカ正直に守れば通常運行ができないような状況であれば、結局誰も守らないわけですから。

sakidatsumonoさんのtrackback「事故死亡率その他」

情報提供ありがとうございます。

確かに自動車事故においては被害者自身に非がある場合もあります。しかし、非がない場合も当然にあるわけで、例えば被害者に非のない交通事故死亡例を107件集めたときの非難の量に比べてここまで多い非難が妥当かどうかというのは、少なくともwebmasterは問いかけはしてみたかったのです。

gachapinfanさんのtrackback「鉄道列車事故」

紹介されている山之内秀一郎「なぜ起こる鉄道事故」は非常に興味深いです。引用されている部分だけを見るに、管理者としてさぞかし優秀だったのではないかという気がします。

きっくん(ぷち)さんのtrackback「電車の側面衝突への対策ですか・・・」

同業者として、世論のプレッシャーには逆らいがたいのはよくわかるのですが、昨日心配していた政府の失敗がさっそく起きているような・・・。それなりのスピードのある物体が衝突して急停止した(しかも列車ほど重いものが)ときのエネルギーを考えれば、本気で安全確保しようとするなら通路に客を立たせるのを禁止して、シートはすべて進行方向向きにした上でシートベルトにエアバッグ装備ぐらいにしないと意味ないでしょう(それとも、スピードを時速40キロぐらいに制限しますか?)。

「下」(5/3付)

和尚さん

そのあたりは業種の違いですとかいろいろあると思いますが、成立するかどうかというよりも、付加価値が相対的にどれだけついて、そのコストがどうなるかという話だと理解しています。フェイス・トゥー・フェイスによる付加価値は変わらない一方で、人の集積が進めばそれを実現するためのコストは幾何級数的に減少するものですし。

sakidatsumonoさん

ATS-Pと事故との関係については、「【福知山線脱線事故】ATSに関する勘違い」により詳しい指摘がありました。このエントリに限らず、ひな私語録 ブログ版の関連エントリは非常に勉強になります。

こうしたテキストを見ていると、単なる下衆の勘ぐりではありますが、JR西日本がATS-Pに言及するのは、彼ら自身その有無が本質的な問題でないと知りながら、今後を見据えての印象操作じゃないかという気がしてきました。抜本対策を講じなくとも、「ATS-Pを導入したからもう安全ですよ」とアピールするために・・・。

#福知山線に導入が予定されていたATS-Pは特別なもので、事故防止に役立つ可能性があったようです。詳しくは5/8付エントリをご覧ください(5/8追記)。

#ATS-Pについて、リンクさせていただいたひな私語録 ブログ版において、「【福知山線脱線事故】記事内容についてのお詫びと訂正」というエントリがございますので、あわせてご覧いただきますようお願い申し上げます(5/23追記)。

[government][politics]元主計局キャリアが断ずる小泉財政改革「必敗の論理」@月刊現代2005.6号

昨日に引き続いて月刊現代の今月号から。構造改革礼賛の風潮が霞が関にも広まっていることは当サイトでも何度となく嘆いてきたことです。そんな構造改革かぶれの官僚が政治家に転身するそうで、まあ個人の人生はその人が決めることですからご勝手にとしかいいようがありませんが、あまりにも愚かしい文言が並んでいるので論難しておきます。日本の財政・金融の問題点については熟知しているつもりだ(p127)って、これで熟知しているというなら我が国の知的レベルの退廃もここに極まれりとしか。

まず、各省庁が予算要求において予算制約を考えないことを問題視しているのが、財務省・健全財政至上主義の現れです。売り手が買い手に対して、「やつらは少しでも安く買おうとする」って愚痴っているようなもの(笑)で、主計局は他省庁との孤立無援の戦いを演じ続けているのである(p128。ところで戦いって演じるものなのでしょうか?)なんて安手のヒロイズムに陶酔されても困ります。特に次の例(p128)は噴飯もの。

「みなさんの仕事はよくわかりました。でも国家財政全体を考えた場合、その要求は妥当でしょうか?」

私はたびたび、相手省庁の担当者のこう言って自重を求めてきた。だが彼らの答えは決まっていた。

「財政構造改革の重要性はわかります。しかしながら、わが省のこの予算項目は重要なんです」

その政策がとくに財政構造改革と関連深いというのであればともかく、財政状態が厳しい(という評価の是非はとりあえず捨象します)という全体の事情は個別の政策全てに等しく降りかかる予算制約なわけですから、その個別政策の予算を認めない理由にはなりません。その理由で予算を認めないこととするなら、全部カットしなきゃいけないことになってしまいます。

#この点について、「合成の誤謬」を持ち出してきていますが、どう考えたってより適切なのは「共有地の悲劇」ですね。あと、「至上命題」の誤用(p128)のあたりにも教養レベルがにじみ出ているといいますか。

個別例として取り上げている光ファイバの話も、財務省自体の責任を相手省庁に転嫁しているものです。光ファイバ敷設費用を建設国債でまかなえないか、という要求に対して、そもそも光ファイバ敷設は民間が自力でやればよいと反対したものの押し切られたというエピソードですが、民間が自力でやればよいという理屈であれば、財源が建設国債であろうと赤字国債であろうと認めるべきではないという結論にしかなりません。

にもかかわらず、なぜ建設国債財源となったら光ファイバ敷設が歳出の対象となったのか。財務省自身が、これまで赤字国債財源の歳出に比べて建設国債財源の歳出について査定を甘くしていたからこそです。そこに言及せずに相手省庁を責めるのはお門違いというものでしょう。

さらにおかしいのが、そうした財務省の弱さについての認識と、大串さんがとろうとしている行動の矛盾です。大串さんが財政問題の根本として挙げているのは、従来は旧橋本派の自民党内での力が強かったので、財務省がそこと太いパイプをもっていることにより抑えが効いていたのに、旧橋本派の力が落ちてそうしたまとめ役がいなくなったので相対的に財務省の力も落ちたということですが、だったら構造改革の完徹を唱えて民主党から出馬してはいかんでしょうに(笑)。自民党から、抵抗勢力の力を強めますといって出馬しないと(笑)。

以上は財政についてのおかしな認識ですが、金融についても相当間違っています。例えば郵政民営化に関連して、例えば郵貯から直接口座振込みのできる民間金融機関は極めて限られている。(中略)現在の郵貯の力というのはあまりに貧弱で、中途半端なのである(p132)とのことですが、決済先が限られるのは銀行側が全銀システムへの接続を認めていないので個別に金融機関と提携しなきゃいけないからであって、郵貯の能力の問題じゃないです。

郵貯に関連しては他にも、郵貯・簡保は儲かっているように「見える」だけだとして、郵貯・簡保から財政投融資に流れている国民のカネは、財投からさまざまな公社・公団に流れている。その公社・公団に流れた資金が、果たして健全に運用されているのか、あるいはどの程度不良債権化しているのか、全容は見えていない。実は巨大な穴が空いていた、ということも現時点では否定できない話である(p132)としています。

そんなことをいうのなら、金融庁時代になんで国債のリスクウェイトをゼロでなくさなかったというのでしょうか。上記引用部分を合理的に解釈する限り、財投債=国債がデフォルトして郵貯・簡保にロスが生じる可能性があると指摘しているとしか捉えようがありませんが、財務省が保有主体に着目して選択的にデフォルトするというのでない限り、国債を保有する民間の金融機関にだって同じリスクがあるはずです。

#財投が不健全だというなら、そもそもそれを所管する財務省の責任だろう、ということにもほおかむりですかそうですか。

最後に、不良債権問題についての認識を取り上げます。自分がいた金融庁の業績としてこの間の金融行政については、目の前にあった不良債権問題を解決するためには、最も近い道を選んできたと評価している(p133)というあたりもどうかと思いますが(マクロ経済の好転なくして不良債権問題が解決するはずもないわけで)、不良債権問題と直接金融・間接金融の問題を絡めるあたりからどんどんおかしな方向に話が進んでいきます。その最たるものが次のパラグラフ(p134)です。

銀行が、リテール中心の収益構造に転換できない最大の理由は、審査能力がある人材がまだいないからだ。銀行で第一線の人と目されている人々は、本来であれば、中小企業向け融資や個人向け住宅ローンなど、本当に収益の上がるところにどんどん投入されていくべきなのだが、現実にはそうなっていない。

あのー、中小企業や個人相手に大企業を相手にするような審査をしていたら、コストが嵩んでしかたがないのですが。そういう部門においてはクレジットスコアリングの開発・精緻化やポートフォリオ全体でのリスク管理グラミン銀行が始めたマイクロファイナンスのようなビジネスモデル策定か、とにかくそういった頭の使い方で勝負しなきゃ話になりません。

金融庁からは強く翻意を促す声もかかった(p134)らしいのですが、この程度の認識で金融行政をやってもらうのと、政治家として国政に携わってもらうのと、果たして日本にとってどちらがよかったのやら・・・。

本日のツッコミ(全20件) [ツッコミを入れる]

Before...

ニューバランス 967 [ニューバランス コラボ ニューバランス 967 http://www.ztwm668.com/new-balance..]

エルメス エールライン [エルメス ショルダーバーキン エルメス エールライン http://www.nh-led.com/]

kdy8etyn3l7 [焼きいも 広さ 薄手 唯一 紳士的 残業 創始者 孫子 試行錯誤 共振 陛下 水出しコーヒー 京都大学 売り場 共同..]


2005-05-05

[politics]自民党の意思決定

郵政民営化について民営化が公約だというのはそうなんだけど大屋先生が触れられていたのにインスパイアされて。大屋先生ですらそうなのですからまして多数の人々がそう思っているのは致し方ないのですが、自民党という政党としては、実は民営化は公約していません。もっとも新しい公約である、昨年夏の参議院選挙公約を見ると、次のようになっています(強調はwebmasterによります)。

郵政事業を2007年4月に民営化
郵政事業改革については、「郵政事業を2007年4月から民営化するとの政府の基本方針を踏まえ、日本郵政公社の経営改革の状況を見つつ、国民的議論を行い、2004年秋頃までに結論を得る」との昨年の衆議院選挙の政権公約に基づき、党内に新設した「郵政事業改革に関する特命委員会」において関係各界から意見聴取を行うなど、本年秋頃を目途に結論を取りまとめるため、精力的に作業を進めています。政府においても、経済財政諮問会議で検討を進め、4月には論点を整理するなど、改革の動きが着々と進んでいます。

小見出しで民営化としていますが、本文ではあくまで選挙後に「結論を取りまとめる」としているので、あくまで公約内容は議論して結論を得ることに過ぎず、その結論が民営化であるとは限らないわけです。

ではなぜ民営化が自民党の公約であるかのように受け止められているのか。答えは簡単で、党のトップである小泉総裁が総裁選で公約して当選したからです。一昨年秋の総裁選における所信発表演説会で、小泉総裁候補(当時)は次のように述べています。

こういう中で私は、自民党の中で最も異論の強い郵政三事業の民営化も、道路公団の民営化も進めていかなきゃならない。新しい時代に対応できるような改革をしていかなきゃならない。郵便局がなくなるといってますが、郵便局をなくすわけじゃない。今、郵便局、東京や大阪だけじゃない、地方でもすべて一等地にあるじゃないですか、ほとんどは。あれがなんで三事業だけしか利用できないんですか。三事業以外にもっと、地域の活性化のためにも、事業のためにも、あの郵便局を活用する方法はたくさんある。今あの立派な郵便局という国有財産が三事業だけに限られてるから、眠っているんです。しかも、財政投融資、特殊法人。この郵貯の還付の会があるから財政投融資があって、財政投融資の資金があるから特殊法人の活動ができたわけでしょう。

ところが、党の公約と有権者との関係について大屋先生が確かに民営化が公約だったかもしれないが公約は他にもあるのであって、有権者は(比例代表においても)政策パッケージとしてしか選択できないわけであると指摘しているのは、総裁候補の公約と党所属議員・党員との関係についても当てはまるわけです。総裁選当時に書いたことですが、小泉総裁を選出した理由は一にも二にも選挙に勝つためであって、郵政民営化を実現してもらうためではなかったわけです。

この構造は基本的には今でも変わっておらず、本来の手続論で言えば民営化反対側に理があるのですが、本気で小泉降ろしを仕掛けてでも民営化をとめようとする人間が少数派にとどまる以上、党執行部の横紙破りに対してできることといえば、愚痴ることしかありません。

仮に「政党法」でもあって意思決定手続が法定化され、手続違反の意思決定が無効ないし取消事由にでもなっていれば、無効確認訴訟や取消訴訟といった対抗手段もあることにはなりますが、それにしても「そんなことするならやめる」との脅しに勝てない限りは、抜けない伝家の宝刀でしかないのです。まして慣習が支配する現在の手続においてをや。

ちなみに、人権擁護法案についての古賀議員のやり方を、こうした郵政民営化についての党執行部のやり方に擬えて批判する向きもありますが、実はこの両者はまったく違う話なのです。というのも、人権擁護法案が一度は国会に提出されていて、その際に自民党は党としての意思決定をしていますから(その際には当然党議拘束の対象となっていました)、反対派の側に、当時は賛成したけれども現在は反対であることの説明責任があるからです。

法案提出前の参議院選挙では公約にも入っていましたし、党の公式サイトには法案についての広報資料も掲載されていたりします。

まあ廃案となった後に当選した議員(城内実議員古川禎久議員など)は相対的に許容もされるでしょうが、法案提出時に閣僚として実際に閣議において賛成して署名した人ですとか、官房副長官として政府の意思決定を支えていた人(しかしこの人、xoopsでサイトを運営しているんですねぇ・・・)が、そうした事実をさもなかったかのように反対論を唱えるのは、webmasterは釈然としません。

柏村武昭議員は当時から反対でしたが、その理由はメディア規制でしたし。

[history][media]戦前新聞記事検索

戦前期 新聞経済記事文庫(via 「小津安二郎が斬る昭和恐慌&すばらしい検索システム」)が神戸大学で整備されたとのことです。適当に検索用語を選んで読むだけでもなかなか面白く、ありがたい試みだと思います。印刷用画像のきれいさを見ても、相当手間をかけた作業だと察せられます(スキャン画像をリマスタリングしてからOCR処理をしたのだとは思いますが)。より多くの人に知っていただきたいと思い、取り上げました。

#贅沢を言えば、HTML文書で検索語をハイライトしてほしいと思ってしまうのは、Googleの影響ですね(笑)。

今はまだ経済記事が中心のようですが、今後他の分野の記事もアーカイヴにどんどん蓄積してもらえればと思います。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

おおや [>郵政民営化は公約ではなかった ありゃそうでしたか。ご教示ありがとうございます。以降の論旨も同意といいますか、たとえ..]

bewaad [ご足労ありがとうございます。 そういう枠組操作における手腕が人並みはずれていることも、小泉総理の強さの一つだと思い..]

バングル 時計 [ロレックス レディース [url=http://www.blackest-watchelaboratejp.com/..]


2005-05-06

[law]裁判員などめんどうに決まっているじゃないか

全体を読まずに言うのもなんですが、「裁判員制度」(@gachapinfanのスクラップブック)で紹介されていた、丸田隆「裁判員制度」における、裁判員がめんどうだという人に向けての次の言い分はひどいでしょう(ただし、日刊ゲンダイの書評経由の曾孫引きであることをお断りします)。

重要な権力機構に国民が参加するのは民主主義の前提。裁判は専門家に任せておけばよいというのは、日本の政治家は世襲だから十分信頼できる、一般市民が投票になど行く必要はない、という理屈と同じです。

いくらなんでもそんな無茶な理屈はありません。裁判に民主的統制を効かせるのに国民が直接参加する裁判員制度を立法府の活動に置き換えるなら、代議制でなく直接民主制を採用することの方がよほど近いでしょう。いちいち国会審議に国民が直接参加しなければ民主政じゃないとでも?

#司法への民主的統制のあり方にしても、アメリカでの検事・判事の選挙制のように他の方法だってあるわけですし。

だいたい裁判員制度の議論で腹が立つのは、参加するのが当然だといわんばかりの法曹側の態度です。制度導入の理由として、司法に対する国民の理解・信頼の向上を法務省最高裁も挙げていますが、理解され信頼されるために自分たちが努力するならともかく、なぜ相手方に負担を求めるのか、ろくな説明がされていません。

仕事を離れて拘束され機会費用を負担させられるわけですから、インフレを税にたとえてインフレ税というぐらいならよほど裁判員税とでもいうべき負担のわりに、なぜそうした負担を求めなければならないのかの説明もないといいますか、そもそもそうした負担を課しているとの認識がほとんど感じられません。

webmasterごときの給料ならともかく、それこそホリエモンあたりが、支払われる日当では自分が仕事を離れることによるロスの埋め合わせにはぜんぜん足りないといって、憲法第29条第3項(私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる)違反だと訴えたりすれば痛快なのですが(笑)。裁判官の多くは機会費用なんてどこまでわかっているか知れたものではありませんし、そもそも日当の水準を決めるのが最高裁なので、絶対負けるでしょうけれど・・・。

[history][law]皇位継承の伝統

さらに同日のgachapinfanさんのエントリ、「皇室制度と家族通念」に関連して。本当に伝統を尊重するなら、皇室典範で機械的に皇位継承順を定めるのをやめ、天皇家の家長(院政がない現在では、イコールその時々の天皇ですが)が指名した者を皇嗣とする(憲法第2条(皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する)との関係上、条文を置かないわけにはいきませんので)ようにすべきでしょう。

以前にも少し触れましたが、そもそも天皇家がもっとも苦しんでいるであるわけで、それを伝統を重んじるといいながら国民の皇室への敬愛が維持できる皇位継承を考えることが、最も大切という産経新聞社説は、本当に皇位継承の歴史を踏まえているとは思えません。伝統を言うなら、以下の3パターンのいずれにも当てはまらない現在においては、あくまで天皇家の問題として口出しを控えるべきなのです。

  • 特定の系統が断絶し、かつ、皇嗣が定められていないケース
  • 時の天皇が世俗政権に反発・屈服し、世俗政権の指示を受けざるを得ないケース
  • 天皇家から世俗政権に対して調停等が依頼されるケース
本日のツッコミ(全10件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>皆様 さまざまな観点からのコメントありがとうございます。このテーマについても、新しくエントリを起こして再論します。..]

平手 緑 [その後、少し調べてて。。。 裁判員制度は地裁だけのようですね。ということは、地裁で国民によって選ばれた判決が、高裁で..]

パネライ ベルト [ロジェベルト緩め方 [url=http://www.blackest-watchemptyjp.com/]パネライ ..]


2005-05-07

[history][book]「やっぱり勝てない?太平洋戦争」制作委員会「やっぱり勝てない?太平洋戦争」

koiti_yanoさん、お薦めですよ! もしお読みになられていないなら、続いて北村賢志「虚構戦記研究読本」兵器・戦略篇及び戦術・作戦篇もお薦めです。

koity_yanoさんが紹介しているナビゲーションコミックなど、導入に工夫もされていますが、しかしこういう本って、読んでおもしろいと思う人にとっては、もちろん得るものは多いわけですが、相対的には読んだ価値が低いわけで、他方、本当に読んでほしい人(=読むことによって大きな間違いを改めることができる人)にとっては敷居が高くてなかなか読んでもらえないというジレンマがあるように思います。

#多かれ少なかれある傾向ではありますが。

ちなみにkoiti_yanoさんのその次のエントリで昭和の三大バカ査定としての戦艦大和の話が出てきますけれども、それはあくまで結果論・後知恵に過ぎないとwebmasterは思います。戦艦大和・武蔵の着工はそれぞれ昭和12年12月、同13年3月ですが、その当時に本気で戦争をしようと思うならそれはまっとうな選択なのであって、戦艦の隻数・その主砲門数でアメリカに対して差が開く一方である状態を放置していれば、戦争計画など立てられるものではありませんでした。

#その方が開戦に踏み切ることができなくてよかったなんてことは言いっこなしでしょう。

そもそも、大和・武蔵を造らずに空母を造っていればとか、そういうレベルで日本はアメリカに敗れたわけではありません。当時の軍部がバカだったから日本は戦争に負けたのだといわんばかりの短絡思考がよく見られるというのは、本当のところで、あの敗戦をきちんと教訓として活かすことができていない証拠ではないかとwebmasterは思います。

その意味では、今度公開される男たちの大和/YAMATOで、本書でもキーマンとして紹介される大井篤(「統帥乱れて」復刊してほしいです)のあの名台詞が出てこないかなぁ・・・。

「国をあげての戦争に、水上部隊の伝統が何だ。水上部隊の栄光が何だ。馬鹿野郎」

#この台詞をご存じない方、ぜひ「海上護衛戦」をご覧ください。

本日のツッコミ(全323件) [ツッコミを入れる]

Before...

LG??????儖?? ?儷????????儖??47LM7600 [47V????笂?BS?110搴?S????儷??????с?娑叉??????3D?惧繙] [ちょうどあなたの記事より少し多くを| 追加などについて|あなたは今まで思想とみなさがありますか?とすべて、私はあなた..]

パナソニック(PANASONIC) 19型(19インチ) ビエラ(VIERA) 液晶テレビ HD(ハイビジョン) LED 地上・BS・110度CSデジタル 外付けHDD対応 TH-19C300 [私はもともとときに同じコメントを持つ|電子メールの電子メールコメントし私は今、"新しいコメントが追加された時に通知す..]

???枡?℃枡??????????Panasonic)50V????笂??S??10搴?S?併???儕?煎?????儷??????с?娑叉??????VIERA TH-50C300(USB HDD????惧繙) [?????TH50C300] [ちょっとそこ!これはちょっとオフトピックですが、私はいくつかの助言指導必要が確立されたブログからの。それは非常に難し..]


2005-05-08

[politics][government]ATS-P設置完了まで運行再開を認めない理由についての考察

#いただいたコメントへの対応に先立ち、少し別の方面へ話を進めることになりますが、訂正記事ということでご理解いただければ幸いです。

北側国土交通大臣がATS-P設置完了まで福知山線の運行再開を認めないとしていることについて、kanryoさんが次のようなあり得る理由を挙げていらっしゃいます

  1. 国交相は、今までシステム上実装「できなかった」カーブのパターンを含め、JRの現行「新型ATS」を超える新たなATSを宝塚線に設置することを要求した。
  2. 実はカーブのパターンもシステム上比較的容易に実装できたのだが、今までコスト・運用等の関係で実装「していなかった」だけ。よって、今回はそれもやれよ、と要求した。
  3. 共同通信その他のマスコミが、ATSとATCを聞き違えた。
  4. 国交相は、事前に十分なレクを受けていたにもかかわらず、あるいはレク情報の膨大さから、あるいは時間等の関係上十分なレクが受けられず、実はATSとATCを勘違いしていた。
  5. 国交省の事務方が十分に検討した見解ではなく、国交相の「アドリブ」だった。
  6. 国交省の事務方が、実は新型ATSについて熟知しておらず、新型ATSを導入すれば事故の再発が防げると考えていた。
  7. 実のところ新型ATSは今回の事故を防ぐのには全く役に立たないが、とりあえず設置しろ、ということを要求した。

これまでwebmasterは、「福知山線事故について考えてみた(下)中長期的な抜本対策」及び「福知山線事故についてさらに考えさせていただきました」において、次の2つのソースに依拠してATS-Pが設置されていても今般の福知山線事故は防止できなかったのではないでしょうか、と書いてきました。

#ATS-Pについて、リンクさせていただいたひな私語録 ブログ版において、「【福知山線脱線事故】記事内容についてのお詫びと訂正」というエントリがございますので、あわせてご覧いただきますようお願い申し上げます(5/23追記)。

すでにpogemutaさんroi_dantonさんがこれを踏まえてエントリを起こしていらっしゃいますが、ご両人の結論には反して、以上から5か7でしょう、というのがwebmasterの予想であるはずなのですが、上記kanryoさんのエントリに対する規制業種さんの次のコメントが正しいとすれば、この予想は的外れということになってしまいます。

ATS-Pでも、現在大阪駅の前後、神戸駅の前後、曽根駅の前後の急カーブにはカーブ速度制限用の無電源地上子が設置されており、ATS-P搭載車両であれば絶対に速度超過できないようになっています。現場のカーブも設置予定だったそうです。

まず、それが技術的に可能かどうかですが、もちろんwebmasterに判断する能力はありませんが、上記のひな私語録のエントリには、ATS-Pとして通常用いられている標準の機能では無理なものの、アドオンを加えることにより可能だという記述があります。さらに詳しくは、4/27付のエントリにおいて次のように述べられています。

もし、車内信号式ATCと同等の速度制限を地上信号方式で実現しようとするなら、その方法は2つあります。1つは、速度制限区間に閉塞区間とは無関係のATS地上子を設置して、それぞれの速度制限区間に応じた速度照査を行う事。もう1つは、速度制限区間が含まれる閉塞区間の信号現示を、先行列車の位置とは関係なく減速や注意にしてしまう事です。

この両者のうち前者の方式が、先ほど紹介した規制業種さんのコメントに対応する部分に当たり、技術的には可能ということになります。そうした特殊なATS-Pであれば、ご指摘のとおり速度超過はないと考えて差し支えないと考えられます。

さらに規制業種さんのコメントの、現にそうしたスピードコントロールが行われているという指摘についても、上記4/27付エントリの2005-04-28 13:59になされたblog主hinaさんのコメントで、同趣旨の報道がなされているとのご紹介(ただし、当該報道のページはすでに削除され、Google、Yahoo、MSNのいずれのキャッシュにも残っていませんでしたので、それらの箇所についてまで同じ指摘しているかどうかは裏が取れませんでした)があります。

#JR西日本作成のデータで見るJR西日本2004の52ページを指定して閲覧可能な部分においてATS-Pの説明がなされているのですが、あくまでATS-P形は、列車の速度を常にチェックし、赤信号を行き過ぎるおそれがある時に、ただちに列車を停止させる装置で、近畿圏の列車本数の多い線区で整備を進めていますという通常タイプに係るものにとどまっていて、これでもよくわかりません。

以上から、規制業種さんの「現場のカーブにも設置予定だった」という部分もまた正しいという前提で(webmasterは相当信頼性の高い情報ではないかと思います)、kanryoさんの選択肢の中では2番、より正確には2'といいますか8といいますか、「ATS-Pは通常の用法では今回の事故は防止できないが、事故現場に6月の導入が予定されていたATS-Pはそれなりの期間・コストをかけて準備されていた今回の事故を防止できる特別のタイプのものであり、今回の国土交通大臣(ひいては国土交通省事務方)の要求は、その導入の前倒しを求めるものである」というものが現時点で得られる情報に基づく最も確度の高い推測ではないかと、webmasterは思います。

#ちなみにこれは、いわゆる行政指導の一種です。いつも行政指導を吊るし上げるメディアの方々が不透明行政として指弾しないのはなんでですかねぇ(笑)。

というわけで、過去の2エントリのATS-Pに関する記述は誤りである可能性が極めて高いので、お詫びの上訂正させていただきます。

なお、負け惜しみ(笑)ではありませんが、先ほど紹介したpogemutaさんのエントリで引用されている国土交通大臣会見において言及のATS-Pはあくまで通常タイプであり、そこで説明されている機能では今回の事故は防止できません。その後のレクで事務方からさらに詳しい説明を受けたということなのではないかと思われます。

[government]ATSと規制

前のエントリを書くにあたりあれこれぐぐっているうちに、非常に興味深い資料を見つけました。法令から見たATC・ATSというページに掲載されている、「自動列車停止装置の設置について」という昭和42年1月に旧運輸省から発出された通達、「自動列車停止装置の設置について」(昭和42年鉄運第11号)です。以下、全文転載します(強調はwebmasterによります)。

自動列車停止装置の設置について(通達)

自動列車停止装置の設置基準

最高速度が60km/hをこえる地方鉄道及び新設軌道の線区において、次の各号の一に該当する区間には自動列車停止装置を設置しなければならない。

(1) 列車の運転回数が1時間当り20回以上(片道)の区間

(2) 列車の運転回数が1時間当り15回以上(片道)であって、かつ特急、急行、普通等の2種別以上を運転している区間

(3) 列車の最高速度が100km/h以上の区間

(4) その他運転保安上特に必要と認められる区間

自動列車停止装置の構造基準

自動列車停止装置の設置基準に該当する区間に設置する自動列車停止装置の構造は、次によらなければならない。

(1) 場内信号機、出発信号機、閉そく信号機が停止信号を現示している場合、重複式の信号制御区間の終端、重複式でない信号制御方式では信号機の防護区間の始端までに列車を停止させるものとする。

(2) 速度照査機能をそなえ、速度照査地点を照査速度を超えて進行する場合、自動的に制動装置が動作するものとする。

(3) 照査速度は線区の特性に応じて多段階とし、列車最高速度が100km/h以上の区間は3段階以上、100km/h未満の区間では2段階以上を標準とする。

(4) 停止信号を現示している信号機に最も近い地点における照査速度は20km/h以下とする。

(5) 車上装置の機能が正常であることを運転台に表示する。

(6) 地上設備設置区間を運行する場合は、列車は車上装置を開放して運転できないものとする。

これは地方鉄道法に基づき鉄道を運営していた者、要すれば私鉄(のうち13社)を対象としていたものです。私鉄のATSは高機能でJRのATCに匹敵するようなものもあるといわれますが、その淵源はこの通達にあるようです。

他方、この通達は当時の国鉄には適用されませんでした。その理由は憶測するしかありませんが、少し前にpogemutaさんが触れた旧国鉄の旧運輸省に対する格上意識の帰結ではないでしょうか。そんなくだらない規制は私鉄相手にやっていればいいことで、自分たちに義務付けようなどおこがましい、と。

ちなみに格上意識がなぜあったのかと申しますと、私鉄にも、さらには他の被監督業種にも、霞が関は現場を知らないという侮蔑は広く見られるので、まずはそれが大きいでしょう。

さらに旧国鉄特有の事情として、そもそも旧鉄道省とは鉄道事業そのものであり、旧運輸省は鉄道事業が政府から分離した際に政府に帰属した残滓のようなものだという意識があったわけです(正確には、当時においては鉄道省から運輸省に改組されており、運輸省鉄道総局が日本国有鉄道として公社化されました)。それもGHQ指令によるもの(国労を敵視したレッドパージ等の一環)で、望んでそうなったわけではありません。

旧鉄道省が所管していた事項のうち、私鉄の監督等の部分が政府に残って旧運輸省となったのだから、旧運輸省はそれだけやっていればよく、傍流のお前らが自分たちを監督するなんてことは法律の建前に過ぎないと。お前らなんかより自分たちの方が鉄道のことはよくわかっているのだから、余計な口出しをするなと。

#日本国有鉄道が分離する直前の運輸省の内部機構の調べがつかなかったのですが、ご存知の方いらっしゃいますでしょうか?

その後、国鉄民営化に際して地方鉄道法(と日本国有鉄道法)が廃止され鉄道事業法に監督法規が一本化されたのですが、その際、この通達は新たにJR各社にも適用されるのではなく、根拠法の廃止に伴い失効し別途同等の規制が設けられることはありませんでした。とはいってもすでにATC並みの高機能ATSを整備した私鉄がわざわざダウングレイドすることはなく、結果的にJR各社が取り残されてしまったということのように思われます。

#JR東日本では新幹線以外でも、山手線などにATCが導入されていますが、それはあれだけの過密ダイヤをさばくために必要だから、要すれば利潤追求のためでしょう。

[economy]ハイテク業界のチャイナシンドローム

いちご経済板より。米中貿易摩擦についての解説記事ですが、日本でもこのぐらいのレベルの経済記事が多く見られるようになりませんかねぇ・・・。

本日のツッコミ(全462件) [ツッコミを入れる]

Before...

フェラガモ 靴 メンズコピー [http://www.bar4you.pl/kanagawa/srr-ferragamo-1307.htmlフェラガ..]

mcm リュック モデル [http://www.jindrisskavez.cz/lotte/besttt-mcm-813.htmlmcm 公..]

&#12540;&#12501;&#12497;&#12531;&#12484;&#89;&#83;&#76;&#12469;&#12452; [<a href="http://yourseo.com/wp-wank.php?do7=10911">()プラス(1..]


2005-05-09

[book]戦前の日本経済

備忘のためメモ。森本忠夫「魔性の歴史」。副題中の「マクロ経営学」という用語法が若干気になりますが・・・。

[comic]現在官僚系もふ・第8話

他の人々はだいぶ見捨てて言及しなくなってきていますが、どうせ今回を入れてあと3回でしょうから(笑)、最後までフォローしましょう。

で、知らないことは書くなと。例えばp179で倫理法施行後は接待やリベートがなくなったとしていますが、通常使われる意味でのリベートは賄賂、つまりは刑法犯なのですから、接待とはわけが違います(大蔵官僚(当時)が接待を賄賂と認定され有罪判決を食らいましたから、今となっては接待もそのやり方によっては刑法犯ですが)。

さらに今回の話は、霞が関以上に青森県に対してずいぶん失礼な話ですが、そのあたりの配慮のなさはなんとも。ちょっと調べれば青森県でマックがある村が存在したことはわかるわけで(今年2月に合併してつがる市となった柏村。ま、山奥ではありませんが)、誤解を招かないようにする気遣いといいますか、某県とか○○県で今回の話の運びには何の問題もないでしょうに。

だいたい2,400万円(p174とp177から推計。なお、どう考えても隙間が空くのですが、なんで横4列にしなかったのでしょう)も主計局総務課で払って割に合うわけがないというか、箇所付けなrうわなにをするやm

本日のツッコミ(全247件) [ツッコミを入れる]

Before...

ブランドコピー [<a href="http://www.bag1691.net ">ブランドコピー 財布,スーパーコピー バッグ,ブ..]

&#12488;&#12290;&#20415;&#21033;&#23142;&#20154;&#38772;&#12362;&#25955;&#27497;&#12424; [<a href="http://domainnamesfast.com/wp-wank.php?do14=6488"..]

&#20855;&#12469;&#12509;&#12540;&#12479;&#12540;&#33181;&#29992;&#76;&#76;&#12539;&#78;&#69;&#45;&#50;&#48;&#52; [<a href="http://www.mountainbikestoday.com/wp-wank.php?do2..]


2005-05-10

[economy][history]朝鮮特需についての当時の評価

#このエントリにつきましては、併せて銅鑼衣紋さんのコメントをご覧下さいますようお願いいたします。(5/18追記)

wikipediaの朝鮮戦争の項目に次のような記載があるとのことです(via「「朝鮮特需」が「特需」でないのなら、日本は何で復興した?」)。

日本経済が朝鮮特需によって回復したというのが常識となったのは、日米安保条約締結による闘争やベトナム戦争などで、国民に反戦ムードが蔓延し、戦争によって経済的に潤う「死の商人」に対する嫌悪感が広がったことと、「日本は戦争によって経済回復した」と唱えることで、人々に現代社会を否定させ、変動を起こそうとした戦後の左派団体や反日団体の活動によるところが大きい。

では当時、朝鮮特需がどのように評価されていたのか見てみましょう。経済白書データベースで昭和20年代の白書中「朝鮮特需」で検索すると、昭和29年度版白書に含まれていることがわかります(cgi経由でないとデータにアクセスできないように仕組まれていますので、直リンクができません。ご面倒でもソースに当たる際には、上記手順を踏んで下さい)。

その中の、「各論」中「貿易」の「特需」においては、「経済に与えた影響」というまとめがなされています。1パラグラフなので全文転載します。

4年間に24億ドルの特需があったということが日本経済に重大な影響を与えたという点は総論の各所でふれている。ここでこの影響を一括しておこう。その第一はこれが日本の輸出入ギャップを補填したことである。外貨収入のうちの特需の割合は年々増加し、28年には実に4割近くに及んだ。(※参照※)この特需があったからこそ、26年にも27年にも輸出の6割も上回る輸入を続ける事ができた。第二の影響はもっと積極的である。特需は一方で有効需要をつくり出し、他方で輸入増大を可能にすることによってこの需要に見合う生産を増やしたという点がこれである。特需は直接にも需要を増やし、間接にも国内投資を引き起こすことにより需要を増やした。そうして一度需要が増えると、それは乗数的に需要を生みだしていって国内市場をひろめてきた。朝鮮事変後の生産、消費水準の上昇は特需のこの需要と供給の両面にわたる作用なしにはかく著しいものであり得なかったであろう。特需が経済に与えた第三の影響は物価面に現われている。朝鮮事変以来の日本の物価は世界の物価と比べて3割位多く騰っているが、国内物価がこのように世界物価を越えて著しく上昇した一つの原因は特需に支えられた急激な需要増大があったためである。だが他面特需はサービスや軍需品などで国際物価にあまり左右されないものが多く、物価が高くても特需という外貨獲得の道は狭まらなかった。そのため特需を別とすれば円の対外価値は下落したはずなのに27年迄は現在の為替レートの下でも外貨の供給は需要より大きく、360円レートが維持できたのである。特需はこのように円の対内価値と対外価値との開きをつくり出し又それを支える役割をしたが、それは貿易の面では輸出価格を高く輸入価格を安くして、輸出を困難に輸入を容易にすることにほかならなかった。

#引用部中の「※参照※」は次の表です。ちなみに「4年間で24億ドル」がどの程度のものかといいますと、昭和25年のGNPが110億ドルでしたから、現在の日本経済に単純計算でなぞらえると20兆円から30兆円の需要増加が4年間続いたことになります。

昭和25年昭和26年昭和27年昭和28年
14.726.436.838.2

もう1つ、「もはや「戦後」ではない」の名文句で知られる(したがってこのフレーズで検索して下さい)昭和31年度版白書を見ますと、「鉱工業生産・企業」中「数量景気の実際」においては、「外需の影響」として次のような記載がなされています。これまた短い文章なので全文転載します。

25年度における輸出(特需を含む)は約111千万ドルで、対前年度増加額は61千万ドルであり、これは当時の国民所得の6.5%に相当する。一方、30年における輸出の対前年度増加額は約38千万ドルで、国民所得に対して2.2%に当る。

従って、25年度当時の輸出の増加が、当時の経済規模に与えた影響は、30年に比し、その大きさは約3倍であったことになる。しかもこの輸出増加が動乱時においては約9ヵ月の間に達成されたのだから、増加速度においても動乱時は30年より速く、25年度当時の輸出増大の産業界に与えた衝撃は結局30年のほぼ4倍ということになり、いかにその衝撃が大きかったかがわかる。

そもそも、このwikipediaの項目の朝鮮特需の説明は、経済学的に怪しい記述だらけです。例えば当時輸入超過であったことについて、次のような説明がなされています。

確かに朝鮮戦争によって日本は4億3000万ドルの貿易外受け取り超過を得た(1951年度)。しかし所詮は一時的なものに過ぎず、特需を除くと貿易外経常取引は2億ドルの支払超過、貿易を含めた経常取引で4億8000万ドルの支払超過になっていた。なぜにそれほどの莫大な赤字を抱えたかと言えば、戦前戦中において日本の生命線と宣伝された朝鮮、満州などの資源地帯からの輸入がGHQによる対中貿易禁止令で閉塞されたために「アメリカから資源を買い、アメリカのために生産し、アメリカの言い値で売る」状況に陥っていたからである。

違いますってば。戦後直後には国内生産力は軍需の消滅や生産設備の被災で戦前の2、3割まで落ち込んだ一方で、終戦直前の人口7,000万人強の1割近くにのぼる700万人弱が海外から引き揚げてきて国内需要を押し上げた上、第1次ベビーブームなど需要増加要因は他にもあり、要すれば国内の需要を満たせるだけの生産力(=その原資となる国内貯蓄)がなかったのが輸入超過の原因です。

ちなみに貿易品目ですが、昭和24年版の通商白書を見ますと、次のような記述があります。まずアメリカからの輸入。

戦前に於いては綿花、鉄鋼、屑鉄、石油類、自動車及び部品、木材、パルプ等が主要輸入品であった。

この中対米国総輸入額の過半を占める綿花は、紡績原料として日本経済に極めて重要な意義を持っていたことはいうまでもない。戦後は綿花等の外に食糧が重要な輸入品として登場した。戦後の対米国輸入の大部分が援助物資であることは前述したがこれを資金別に示せば第七表の通りである。

他方、対支那貿易については次のとおりです。

戦後中国に対しては、枕木、機関車、貨車、各種通信機械、人絹糸等が輸出され、これに対して塩、鉄、大豆、大豆粕、革、桐油、等が輸入された。昨年の対中国輸出は総額の一・六%、輸入は総額の三・六%であったが、その金額は戦前に比べて激減している。

昭和24年においてはすでに国共内戦が峠を越えているわけですから、政治的要請から貿易額が激減したのはそのとおりですが、ご覧いただきたいのは輸入品目。戦後直後の支那は中華民国ですから貿易に支障はなかったわけですが、上記のアメリカからの輸入品目と重なるのは鉄ぐらいなもので、それ以外の品目については支那(中華人民共和国)から輸入できなくなった分だけアメリカから無理やりかわされたという指摘はあたらないわけです。念のため、同じ通商白書から同趣旨のテキストを引用しておきます。

右の如く東亜及び其他地域のわが国経済及び貿易に対する比重は戦後量的にも、質的にもこれ以外の地域に比べて著しい変化を示している。

ここでこの地域との貿易に関連して、わが国の製鉄原料が顧みられなくてはならない。日本の製鉄業はその鉄鉱石の大部分を海外に依存するものであるが、その輸入先は、戦前に於ては南方鉱石が六〇%、中国三〇%、朝鮮一〇%等であり、大部分がこの地域に依存していた。しかし海南島、中国、マレー鉱石等は戦後の生産減退のため戦前に比べれば入荷量は微々たるものであり、北鮮は全く期待することが出来ず、米国及び印度の如き遠距離鉱石を使用する結果となっている。銑鉄については戦前において同じく満州朝鮮等から相当量の輸入をしていたが戦後においては殆んど見るべきものがなく、二十三年において約一万トンの輸入を見たに過ぎない。

石炭についても戦前の輸入先は中国及び朝鮮等に限られたが、戦後は米国、カナダ及び印度の如き遠距離ものが大部分を占め、この点に石炭輸送条件の悪化がみられる。

また、wikipediaには次のような記述もあります。

日本が「不況」を脱したとされるのは1955年11月の神武景気からで、朝鮮戦争は日本の復興に必ずしもプラスであったとは言えず、日本の発展には地域の安定が不可欠であることを考え合わせるならばむしろ阻害要因でさえあった。

まず簡単な事実誤認を指摘しておきますと、そもそも不況といっても、朝鮮特需前の不況と神武景気前の不況は違います(朝鮮特需は戦後景気循環でいえば第一循環ですし、神武景気は第三循環です)。

で、朝鮮特需を受けてインフレという副作用は確かに生じましたが、先に引用のとおりそうしたディマンドプルインフレ(需要超過による物価上昇)を受け、所得水準の向上にあわせて投資が増え、つまりは生産能力の強化につながったわけですから、スタグフレーションのような危機的状況にあったとは到底いえません。副作用は十分に対処可能でしたし、現に対処がなされたわけです。

おそらくは朝鮮特需なくしても戦後高度経済成長は可能だったでしょう。しかしそれをもってして、朝鮮特需がそのスタートを助けた効果(クルーグマン流にいうなら「呼び水」(pump-priming)効果)を否定するのは間違っているとwebmasterは考えます。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [ようこそお越しくださいました。お迎えできて緊張してしまいます(笑)。 ご指摘ありがとうございます。確かに読み返して..]

一言 [言い出しっぺの僕が言うのも変だけど(笑)、経済史の経済学的解釈> さすがにこういうのは誤解を招くのでやめれ。]

ブルガリ エルゴン 調整 [腕時計 ベルト調整 ブルガリ スクーバ [url=http://www.blackest-watchelaborat..]


2005-05-11

[notice]明日までお待ちください

GW期間中の導入を目指していた代替スタイルシートですが、明日には何とかなりそうです。申し訳ありませんが、今しばらく時間をください。

[politics]安保理常任理事国入り再論

webmasterの悪い癖でいろいろ宿題が積み上がる一方で消化できていないのですが、一つずつ片づけていくしかございませんで、まずは切込隊長さんのエントリのコメント欄で当サイトでの安保理常任理事国入り関連のテキストをご紹介いただいたのをきっかけとして、約束していました「アジアの代表、として」(@ネット樹海の魔窟から5/4付)へのリジョインダーをいたします。

魔窟さんのご主張は、ご自身の骨子を引用させていただきますと次のようなものです。

  1. (拒否権付き)安保理常任理事国になろうがなるまいが(今後も)日本は集られる
  2. であれば、なって(当面)得が無いとしても損は無い(現状と変わらない)
  3. 先のエントリでも少し触れた「中国と対峙せざるを得ない」アジア諸国との関係

第1点については、それをたかられると呼ぶかどうかはさておき(笑)、今後とも経済的なパワーの行使を中心に外交を行っていくであろうことについては、webmasterも異存はありません。

第2点については、機会費用的な考え方、つまりもしそうしなければ代わりに何ができるかを考えると、損はないとか現状と変わらないといったことではないようにwebmasterは思います。というのも、とにかく中国に自爆してもらっては困るわけです。巻き添えを食らうので。また、自爆せずにすんでも、それが反日により中国国内が結束したからという道筋であっても困るわけです。

中国政府に自制を求め、反日教育を改めさせ、といった日本にとって好ましい措置を講じさせるためには、確かに先日のエントリでのコメントにおいてaさんがご主張されるような強硬策という選択肢もありますが、それはリスクがあまりにも高いのではないでしょうか。共産党が日本に屈服したというイメージが中国国内において広まれば、下手をすればより反日的な「民主化」政権が誕生などということにもつながりかねませんし、それを恐れる共産党が窮鼠猫を噛むことだって十分に考えられます。

同エントリへのBaatarismさんによるコメントのように、もちろん交渉としてけっして容易なものではありませんが、残念ながら容易な外交交渉なんてものの方がよほど少ないわけで(ベタ降りするなら別ですが)、そのぐらいは政治家・外務省にがんばってもらうしかありません。

ただ、常任理事国問題はカードとして使いやすいというwebmasterの主張への魔窟さんの次の指摘には異論があります。

これに関しても、日本国内の「常任理事国カード」の価値評価如何に係わらず、先の反日暴動が広く欧米諸国でも報道された事で、国際社会でのメンツとして切って(捨てて)しまう事は「(世界から)屈服に見えてしまい」マイナスです。

まず、他国からどう評価されるかに関して言えば、何をバーターとして獲得するかによります。また、常任理事国は靖国や教科書と違って対国連ですから、屈服にはつながらない理屈を付けることもそれらより遙かに容易です。

そもそも今回の一連の騒動は中国政府の弱みを全世界にさらけ出し、しかもその要因の1つが常任理事国問題であることは周知の事実なので(例えばThe Economistの"Unrest that riles Tokyo and worries Beijing""China and Japan, Managing unrest"などの観測によります。リンクはそれぞれ〜「Nishitatsu1234の帝国」〜での邦訳です)、日本の優位は見る人が見れば明らかです。弱者である中国政府の窮地にきちんと見返りを確保しつつ手を貸したという評価こそあれ、屈服と見る向きはほとんどないでしょう。

第3点については、現に日本はアジアの代表として世界で認められています。しょせん外交は国力がものをいう分野ですから、アジアで現に国力が頭抜けている大国日本を無視しては、(東)アジア問題は語れません。例えば朝鮮半島問題で6ヶ国と言えば絶対に日本が入りますし、カンボジアの再建だって日本の貢献なくしては動かなかったわけです。これは、日本が安保理常任理事国になろうとなるまいと同じことです。

むしろこの問題で気をつけなければいけないのは、大国の上をいく超大国、要すればアメリカの意向です。EAECやAMFをめぐるアメリカの一連の動きを見れば、アメリカから距離を置くがごとき日本の動きは、必ずやアメリカの警戒感を招くであろうことは容易に想像がつきます。アメリカと同調的に対中国でアジア諸国を代表するのであれば独自の常任理事国ポストは不可欠ではありませんし、常任理事国ポストを用いて非同調的に代表しようとするなら、そのコストは極めて高くつくことでしょう。以上から、アジアを代表するために常任理事国になる必要があるとはwembasterには思えません。

逆説的ではありますが、もし中国共産党の威信が揺るぎないのであれば、安心して安保理常任理事国入りを目指せるとも言えます。不安定な中国をどのようにソフトランディングさせるか、その難事に取り組む際、常任理事国カードはその活用を考えずにすませるにはあまりにももったいないのではないのでしょうか。

#このエントリは、以下の一連のエントリの続編です。

  1. 中国の反日運動と経済見通し
  2. 「もしも私がかの国の官僚だったなら。」(@梶ピエールの備忘録。4/15付)
  3. 日米関係と日中関係
  4. 安保理常任理事国入りを目指すべからざる理由
  5. 佐藤優×福田和也対談@月刊現代2005.6号

[science]「科学常識チェック」のチェック

先日のエントリで取り上げた科学常識チェックですが、次のような興味深い指摘を鹿野司さんがなされています

こうしてみると、この設問は、科学の常識を問うものとは、ちょっと毛色の違うものなんじゃないかという気がする。

そういうことより、創造説と進化論ではどちらが正しいかみたいな、もっと一般常識的なところを問うているような気がする。

どこまでが一般常識でどこからが専門に踏み込んだ常識なのかと問われますと、ちょっと悩んでしまいます。法学や経済学で考えてみれば、科学常識チェックで問われているようなレベルの設問は、明らかに専門に踏み込んだ領域に属するものであると社会的には認知されているようにwebmasterには思えます。

であるなら、もし同じような国際比較を(法学は法体系ごとに違いが大きいですから)経済学でやったとしたらどうなるか。あまり考えたくない結果が予想されるのですが・・・。国際比較としてはともかく、国内の相対比較としては科学はやはり層が厚いといいますか、文部科学省も他の分野をチェックしてみた方がいいのではという気も。

ちなみに、あわせて鹿野さんがご紹介の「あんまり科学的じゃない文科省の「科学常識チェック」」、及びその続編となる「科学知識とメディアリテラシー」(@幻影随想5/2、5/8付)では、webmasterが軽々に読売新聞の問題とした事項が実は文部科学省の問題であるとの指摘があり、webmasterの裏取りも浅いものだと反省しました。

他方、これらのエントリでの放射能に関する指摘は、こと英文については弁護の余地があるのではないかと思います。前回webmasterが触れたように、radioactive milkについてはradioactive material(とか、他にもradioactive wastes)という類似の用例がありますから、素人としては日本語における放射能と放射性(物質)の誤用ほどには罪は重くないのではと思います。

また、"All radioactivity is man-made."の方は、そのような能力が人工的に付与されたものであるという文意と解する余地があるのではないでしょうか。

#さて、あこがれの鹿野さん(ちなみに何度か当サイトで触れている、現代は情報量が多すぎて人は狭く深く情報を集め、社会的に共有される情報が少なくなりコミュニケーション不全が起こりがちである、というアイデアも、実はかつて鹿野さんの記事で読んだものです)にtrackbackします!

[politics]警備会社?

イラクでの斎藤昭彦さん拘束事件ですが、彼の所属するHart Security社のことが警備会社として報道されています。しかし、これは明らかに以前webmasterが取り上げた「戦争請負会社」でしょう。こうしたケースについての有益な情報が満載ですから、関係省庁の担当者が同書を紐解いていることを切に望みます。

#ところでこの社名って、やはりリデル・ハートに関係があるのでしょうか? イギリスの会社ですし。

本日のツッコミ(全7件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>aさん 日本が経済的に行き詰る可能性は否定しませんが、そうなった場合には(中国もまた行き詰っていないとすれば)米中..]

bewaad [>平手 緑さん 裏事情など知る由もありませんが(笑)、「戦争請負会社」でも紛争地周辺にそうした企業が出てくる姿が描写..]

a [正直一般庶民としてはどうでもいい、と思うのだが。それでも安保理に席を取るべきだという理由は入ってくる情報量が桁違いに..]


2005-05-12

[notice]代替スタイルシートの導入

#以下予定原稿を書いてpluginをインストールしたのですが、機能しません。もし何か思い当たる節がある読者の方がいらっしゃいましたら、ぜひともご教示ください。お願いします。

昨日予告のとおり、芸のないものですがとりあえず用意してみました。dan5さん作成のcustom_thema.rbによっています。使い方は、画面右上のサイト内検索用テキストボックスの下のリンクを選択して、スタイルシートを切り替えて下さい(defaultがこれまでのもの、alternativeが代替スタイルシートです)。要cookieで1時間切替が効きます。

#現時点ではトップページ(このページ)のみの先行導入です。他のページは未対応です。

ところで、このpluginにつき、当サイトご覧の方々の中のrubyistsにお伺いしたい点がございます。まず、ソースを掲載します(GPLですので、ご活用の際にはその旨よろしくお願いいたします。なお、後の便を考え行番号が付してありますが、このエントリからコピペする場合、それを削除しないと使えませんので、できれば配布元から直接入手下さい(ただし、配布元のソースでは、下記で言えば行番号490と行番号590に文字化けと思われる箇所がありますので、ご留意下さい))。

010:# custom_thema.rb 
020:#
030:# Copyright (c) 2004 dan <<B style="color:black;background-color:#ffff66">dan@dgames.jp</B>>
040:# Distributed under the GPL
050:#
060:
070:module CustomThema
080:  def CustomThema.run(cgi, options)
090:    cookie = nil
100:    if cgi['custom_thema_css'].length > 0
110:      timer = 1
120:      cookie = CGI::Cookie.new({"name" => "custom_thema_css", 
130:                                "value" => cgi['custom_thema_css'], 
140:                                "expires" => Time.now + timer * 3600})
150:    end
160:    cookie
170:  end
180:end
190:
200:
210:def css_tag
220:  cookie_css = @cgi.cookies['custom_thema_css'][0]
230:  if cookie_css and cookie_css.length > 0
240:    css = cookie_css
250:  else
260:    if @theme and @theme.length > 0
270:      css = "#{theme_url}/#{@theme}/#{@theme}.css"
280:      title = css
290:    else
300:      css = @css
310:    end
320:  end
330:  title = CGI::escapeHTML( File::basename( css, '.css' ) )
340:  <<-CSS
350:<meta http-equiv="content-style-type" content="text/css">
360:  <link rel="stylesheet" href="#{theme_url}/base.css" type="text/css" media="all">
370:  <link rel="stylesheet" href="#{css}" title="#{title}" type="text/css" media="all">
380:  CSS
390:end
400:
410:
420:def custom_thema()
430:  case @cgi['custom_thema_mode']
440:  when 'input'
450:    html = <<HTML
460:<form method="GET" action="#{@index}">
470:<div>外部CSSのURL:<input type="text" name="custom_thema_css">
480:<input type="hidden" name="custom_thema_mode" value="reload">
490:<input type="submit" value="設定">
500:</div>
510:</form>
520:HTML
530:  when 'reload'
540:    html = <<HTML
550:<a href="#{@index}">再読込してください</a>
560:HTML
570:  else
580:    html = <<HTML
590:<a href="#{@index}?custom_thema_mode=input">CSSを変更する</a>
600:HTML
610:  end
620:  html
630:end
640:
650:
660:custom_thema_cookie = CustomThema.run(@cgi, @options)
670:if custom_thema_cookie
680:  if defined?(add_cookie)
690:    add_cookie(custom_thema_cookie)
700:  else
710:    @cookie = custom_thema_cookie if custom_thema_cookie
720:  end
730:end

以上がオリジナルのソースですが、サイト内でのCSS切替のみを念頭に置いていますので、行番号470を次のように変更したものをインストールしてあります。

470:<div>使用するCSS:<input type="radio" name="custom_thema_css" value="http://bewaad.com/bewaad.css"> default
475:<input type="radio" name="custom_thema_css" value="http://bewaad.com/bewaadAlt.css" checked="checked"> alternative

また、キーボードでのブラウザ操作の便を図る観点から、行番号590も次のように変更済みです。tabキー、またはaltキー+cで変更のためのリンクを選択することができます。

590:<a href="#{@index}?custom_thema_mode=input" tabindex="1" accesskey="c">CSSを変更する [c]</a>

で、お伺いしたい点ですが、このpluginでは、「CSSを変更する」というリンクを選択した後でCSS切替に移ります。これを、最初から当該リンクの位置にラジオボタンを表示し、「設定」をクリックすることでリロードしてすぐに切り替わるという動作に変更できるのでしょうか? 素人ながらリファレンスなど見ながら考えたところ、行番号420から630までを次のように変更すればいいのかな、と思うのですが、もしよろしければ添削いただければ非常にありがたいです。

420:def custom_thema()
430:# 削除
440:# 削除
450:    html = <<HTML
460:<form method="GET" action="#{@index}" onSubmit="location.reload"> # onSubmit属性を追加
470:<div>使用するCSS:<input type="radio" name="custom_thema_css" value="http://bewaad.com/bewaad.css"> default
475:<input type="radio" name="custom_thema_css" value="http://bewaad.com/bewaadAlt.css" checked="checked"> alternative
480:# 削除
490:<input type="submit" value="設定">
500:</div>
510:</form>
520:HTML
530:# 削除
540:# 削除
550:# 削除
560:# 削除
570:# 削除
580:# 削除
590:# 削除
600:# 削除
610:# 削除
620:  html
630:end

#meta要素でscript指定をしていないのでonSubmit属性は使えないのかな?

使ってみての感想やさらなるご要望などございましたら、遠慮なくお申し付け下さい。

本日のツッコミ(全472件) [ツッコミを入れる]

Before...

ユーイング【基本設置料金セット】 2ドア冷蔵庫(140L) MR-F140D-NS ニューシルバー (URF140D) [より多くの書き込み、私は言わなければならないすべてのthats。あなたはあなたのポイントを作るためにビデオに頼ってい..]

????? AQUOS ????LC-15SX7A [15V????笂?BS?110搴?S ????儷娑叉?????揮 [こんにちは|プラットフォームあなたののためのサイトのブログのWordpressを使用していますか?私は、ブログの世界..]

iphone 6 plus ケース レザー [http://www.camarillocarrepair.com/qafr/1i5b0w5yoa.htmlipho..]


2005-05-13

[economy][BOJ]「通貨発行益(シニョリッジ)をめぐる勘違い」の勘違い

「図解シニョリッジ」(@isologue5/11付)経由です。何が勘違いかと言えば、利益にせよ負債にせよ、本来、一般の企業の経済活動を統一的に把握・描写するためまとめられた概念ですが、あくまで経験則的にまとめられらものに過ぎないわけですから、それですべての経済活動を演繹的に説明しきれるはずもなく、まして通貨発行なんていう一般の企業が行うはずもない経済活動をそうした既往の会計概念の枠組みに押し込めて、そこから逆に通貨発行という経済活動の性質を理解しようとすることが、です。

#なお、このエントリの中身は、これまで当サイトにおいていろいろな形で触れたり擦ったりしてきたことの寄せ集めですので、以前からご覧の方々にとっては目新しいところがないであろうことを、最初にお断りさせていただきます。

うーんと遡って、そもそもバランスシートの右側をなぜ負債と資本に分けるのか、逆に言えば負債と資本の違いとは何かと考えてみましょう。乱暴に言えば、義務があるキャッシュアウトが負債、任意でよい(=支払わなくともよい)ものが資本です。だからちょっと古い言い方ですと負債を他人資本、(狭義の)資本を自己資本とも呼ぶわけで、人様から支払えと言われたら負債は支払わなければいけませんが、資本はそれを取崩す(配当等)かためておくか(準備金への繰入れ等)は自分で決められるわけです。

普通は、義務がある支払いといっても無い袖は振れませんから、どこかに振るための袖が必要です。それがバランスシートの左側、つまりは資産で、これはラフに言えば将来のキャッシュインを示しています。通常、債務超過となると倒産するのは、資産よりも負債(債務)が多ければ完全には支払義務を履行できないので、各債権者がどれだけ受け取れるのか仕切り直しましょう、となるからです。

#将来業績が回復することが確実に見込まれれば、債務超過であっても支払義務の履行が確保されるので、倒産させなくてもよいわけです(が、債権者の中で抜け駆けを図る人間が出てくると、倒産させないよう見守っていた側が一方的に損を被ることになってしまうので、なかなか悩みどころではあります)。

したがって、バランスシートの右側を負債と資本に分けるのは、負債と資産との対比を可能として、その経済主体が支払義務を履行できる状態にあるのか、それとも完全な履行は不可能な状態にあるのか、その判断をするためというのが最大の目的であるわけです。ひっくり返せば、資産の範囲内に負債をコントロールできなければ、義務が履行できない部分があるということと同義なので、債権者の申立によりいつ倒産してもおかしくない状態に陥ってしまいますから、そうならないよう経営陣に規律が働くわけです。

ところが、通貨発行権を持っていると話は全く違ってきます。通貨発行主体は、他の経済主体と同様に持っている資産を換金する以外に、もう一つ振ることのできる袖があり、つまり通貨を発行して支払いに充てることができるわけです。ですから、一般の企業とは異なり、通貨発行主体にとって負債と資本(⊃利益)の違いはまったくもってどうでもいいことなのです。輪転機を回せば(日銀ネットの端末から銀行の日銀当預口座への振込指示を出しても同じことですが)、どれだけ巨額の負債だって、資産の額とは無関係に絶対に支払えるのですから。

#シニョレッジ=通貨発行「益」という訳語に抵抗があるなら、通貨発行差金とか、どうやって訳したっていいのですけれども。とまれ、このような特質を有する通貨発行主体にとって、自己資本比率を気にすべき合理的理由は何もありません(後述のものを除きます)。

以上で本論は尽きているのですが、いくつか落ち穂拾いを。

まず、なぜそんな紙幣発行を会計としては負債に計上するのかですが、それは日銀には古い紙幣を持ち込まれればそれを新しい紙幣と引き換える義務があるからです(日本銀行法第48条)。先ほど申し上げたとおり、将来の義務づけられたキャッシュアウトが負債ですから、将来における新しい紙幣の引換え=キャッシュアウトを約束する行為である今の紙幣の発行は負債になります。

万札で平均してだいたい3〜4年程度の将来に引き換えられるとのことです。

でもちょっと考えれば(あるいは考えなくても(笑))わかることですが、将来における新しい紙幣の引渡しといっても、その紙幣はボロかピンかといった物理的特性はともかく、経済的には全く同じものなわけです。紙幣とは経緯的に見れば当初は券面額に相当する金(gold)の引渡しについての無期限手形ですが(だから紙幣のことをbank note(noteとはこの場合手形の意)と英語で呼んだりします)、金本位制を放棄した現在では、一般の企業の手形とは異なり永遠にロールオーバー可能な融通手形のような存在になっているわけです。

というわけで、紙幣の発行を無理矢理会計基準の枠組みに押し込めるなら負債がもっともそれっぽいわけですが、だからといって(金本位制でない国での)紙幣の発行を一般の企業による手形や社債の発行と同じものだと考えてしまうのは筋違いといいますか、カモノハシが哺乳類に分類されると聞いて胎生だと演繹的に勘違いしてしまうようなものなのです。

次に、そうした通貨発行主体の資産内容は負債に制約されるか、エントリ表題で引いたbank.of.japanさんのエントリ中のテキストを引けば日銀のバランスシート(B/S)を大雑把にみると、負債側に銀行券、資産側に国債がある。日銀は銀行券の見合いで国債を保有しており、国債買いきりオペが銀行券見合いと位置付けられているのもそのためというとらえ方が正しいかどうかですが、結論から言えば誤りです。紙幣(銀行券)見合いで国債を保有しなければならないとすれば、それは国債本位制、すなわち紙幣を持ち込まれたら国債を引き渡す義務があるという妙な制度においてのみです。

かつて金本位制だった時代においては、通貨発行主体には紙幣と金を引き換える義務がありましたから、紙幣を発行する際にはその見合いで必ず一定の金準備が必要でした。しかし今や金本位制ではなく金兌換義務は廃止され、既述のとおり紙幣が持ち込まれても、物理的に新しいだけの同じものと引き換えればそれで足りるわけです。ですから、通貨発行主体であることだけを考えるなら、資産は極端なことを言えば美術品だろうが不動産だろうが何だってかまいません。

そうはいっても多くの国においては、通常は通貨発行主体は同時に金融政策実施主体でもあり、たいていはその組織は中央銀行というものになっています。日本も同じで日本銀行がこの両機能を兼ねています。ですから、通貨発行主体としてはどんな資産であってもかまわないとしても、金融政策実施主体としてはそうではありません。美術品による売り/買いオペをしたいと考えた際に、オペ量もタイミングもサザビーズやクリスティーズ次第では困るわけです(笑)。

日銀の保有資産の多くが国債や買入手形であるのは、こうした金融政策実施主体としての制約に由来しています。その他、「最後の貸し手」として特融を実施した際には資産に貸付けが計上されるといったヴァリエーションもありますが、いずれにせよ通貨発行主体としてのもの以外の中央銀行の機能の都合上そうなっているわけです。

しかし、やはりマイダス王のgolden touchには呪いがつきもので、金などの見合い資産がいらないからといって好き勝手に通貨発行を行ってしまうと、インフレが起こって困ったことになってしまいます(だから現在のようなデフレの際には、インフレ防止のための通貨発行に対する制約をゆるめて、今後は通貨発行量が増えていくのだという期待を持たせろというのがいわゆるリフレ政策のもっとも乱暴な説明になります)。この点につき、Northwestern UniversityのMark Witte先生の講義資料にとてもわかりやすい説明がありましたので、最後にこれを訳して今回の締めとさせていただきます。

シニョレッジとインフレーション

アメリカの歴史の多くの場面において、激しいインフレとその後に続く激しいデフレという例を見つけることができます。1940年における物価水準は、1776年(webmaster注:アメリカ独立時)におけるそれのだいたい130%です。つまり、大幅な物価水準の上下動にもかかわらず、アメリカ史がはじまってからの150年以上の期間において、物価水準はたったの30%しか上昇しませんでした。その理由の一部は、金本位制に基づくマネタリーベースにとどまっていたことに帰することができます。1940年以降、一般論としては金本位制を捨て去り、長いインフレ時代へと変わりました。物価は大幅に上昇しました。現在の物価水準は1940年におけるそれのだいたい1200%になっています。こうなったのは、マネタリーベースの伸びが主たる理由です。

いくつかの国、とりわけ発展途上国においてインフレが非常に激しいのは何故でしょう。シニョレッジがその答えです。貧しい国々は一般的に多くのなすべきことがあり、政府はその収入に比べ、相対的に国民一人あたりで多くの支出をせざるを得ません(軍事、保健、インフラ整備、教育、腐敗した指導者による使い込み、などなど)。これだけの支出をまかなうため、政府には3つの財源があります。1つ目は税金ですが、貧しい国、とりわけ国民の所得を把握することすら難しいような国においては、それほど多くを期待できるものではありません。2つ目は借金ですが、多くの貧しい国は既に貸し手が金を出してもいいと思うめいっぱいまで借りていますから、これ以上借金で資金調達することは極めて困難です。最後に残るのが3つ目、通貨発行とシニョレッジです。これは何かといえば、自らに資金を提供するということで、政府が紙幣を印刷するということ! これに頼ると・・・悪性インフレ!

政府の予算制約式:支出=税収+国債+通貨発行

現在、アメリカでは経済成長にあわせてマネタリーベースを拡大させ、経済成長は取引や資産としてより多くの貨幣を必要としますから、激しいインフレにはなっていません。しかしながら、いつでもそうだとは限りません。緊急事態(ほとんどは戦時)に政府が資金調達するような場合、アメリカ政府は活動を継続するためシニョレッジを使うでしょう。(金本位制下において、大規模な金鉱の発見によりマネタリーベースが急激に拡大するような場合にもまた、インフレとなるでしょう。)南北戦争時がその典型例で、Hugh RockoffがJournal of Political Economy誌の1990年8月号で発表した"The Wizard of Oz as a Monetary Allegory"において描写しています。

政府がシニョレッジに頼りインフレを引き起こすことの危険性は、非常に多くの国が(連邦準備制度のような)中央銀行に政治的独立性を認めてきた理由の1つです。だからレーガンは、カーターが任命した連邦準備制度理事会のポール・ボルカー議長を7年間にわたり留任させ、クリントンはグリーンスパンをお気に入りのアラン・ブラインダーにすげ替えることができず、基本的には4年ごとにグリーンスパンを再任せざるを得なかったのです。クリントンはグリーンスパンをお払い箱にして、ブラインダーをその座につかせたかったのですが、グリーンスパンは高度な政治的手腕の持ち主で、簡単に退任させられるようなタマではなかったのです。

本日のツッコミ(全1206件) [ツッコミを入れる]

Before...

ロレックス レディース 評判 nexus5 [ブランド通販店(*^-^*) スーパーコピーブランドメンズレディースファッション時計バッグ財布を海外通販! スー..]

ロレックス レディース 時計 人気 白 [【祝開店!大放出セール開催中】 あなたは自由船積みを楽しむことができます 新品入荷大特価!限定SALE! 激安..]

シャネル時計 分割払い wifi [スーパーコピー - スーパーコピー ※お写真ではわかりにくい点が御座いまし たらお気軽にお問い合わせくださいませ..]


2005-05-14

[law]戦争請負会社は私的戦闘行為の夢を見るか?

当サイトにtrackbackいただいた「日本人傭兵イラクで拉致」(@みだれうち読書の〜と5/12付)にて、次の記述がありました。

ところで、この件って刑法で言うところの「私戦」にはあたらないのだろうか。

(私戦予備及び陰謀)

第93条 外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3月以上5年以下の禁錮に処する。ただし、自首した者は、その刑を免除する。

第2条から4条で定める、国外犯に適用される罪に含まれないからいいってことか。じゃあ、今回のように英国の戦争請負会社に日本人が雇用されてイラクで戦うのは構わないが、日本においては戦争請負会社は開業できない、ということかな。しかし、他の国にも私戦を裁く規定があってもよさそうだが。あるいは、「戦闘行為ではなくてあくまでも警備」と言い張ればいいのか。戦闘行為と警備の違いって何だ。あと刑法の規定で不思議なのは、「予備及び陰謀」は規定されているんだけれども、「私戦」自体を罰する規定がない気がするところ。

ぐぐってみますと、「極私的逐条点検:憲法第九条〜戦争倫理学は可能か?」(@mirror of nowhere5/124/26付)でも、次のように類似の問題意識が示されています。

民間軍事請負会社(PMF)の存在は憲法秩序のなかで規範化できるだろうか。 国家がPMFに依頼することを憲法上制約すべきかどうか。あるいは民間が依頼することについて。 たとえば北朝鮮に拉致された人たちを救出するために、民間団体がPMFに依頼した場合はどうか。とりあえずは刑法第九十三条(私戦予備及び陰謀)に触れるかどうかが問題になりそうである。ただし予備や陰謀を規定しているだけなので、実行についてはどうだろう。

戦争請負会社と私戦との関係はwebmasterには思いつかなかったです。非常におもしろい着眼だと感動して、ちょっと調べてみました(なお、以下の「戦争請負会社」は、実際の戦闘行為に参画するものを主として念頭に置いています)。

#以下、大塚仁「刑法概説(各論)第三版」に沿って記述します。もし「注釈刑法」「大コンメンタール刑法」などに基づきよりつっこんだ考察をされた方がいらっしゃったら、trackbackいただければ幸いです。

まず、上記2エントリに共通する疑問、なんで予備・陰謀罪があってその実行を罰していないのかですが、これはp651にそのものずばりの解説がありまして、次のような事情によるとのことです。

予備・陰謀のみが処罰され、私戦の未遂・既遂を罰する規定はない。これは、現実の問題として、おそらく、私人が外国と戦争を行うことなどはありえないと考えられたことによるのであろう(しかし、草案126条は、私戦罪およびその未遂罪を規定している)。万一、私戦が開始された場合には、その行為は、騒乱罪、殺人罪、放火罪、強盗罪その他の規定を適用して処罰するのほかない。(以下略)

#属人主義をとっている(=国外犯を罰する)のはこの中では殺人罪だけで、北方領土、竹島または尖閣諸島を除いては私戦の未遂・既遂は外国領土でしかあり得ないでしょうから、これらの場所であればともかく、実際には殺人罪かその未遂罪しか適用できないのではないかと思いますが。

#このあたり、結構恥ずかしい間違いをしておりまして、詳しくはコメント欄のLeoneedsさんのご指摘をご覧ください。その他のコメントも示唆に富んでいますので、ぜひお読みいただければと思います。(5/15追記)

続いて、今回の斎藤昭彦さんのように日本人が海外の戦争請負会社に所属する場合ですが、randomreadingさんのように属地主義を持ち出すまでもなく、「私的に戦闘行為をする」とは、国の命令によらずに勝手に武力による組織的な攻撃・防御を行うことである(p651)という解釈から、自然人の行為は第93条において定められる構成要件(犯罪の定義)には当たらないということになるかと思います。

では、日本国内において戦争請負会社の開業が認められるかどうか、裏返せば戦争請負会社の開業が私戦予備・陰謀に当たるかどうかですが、次の記述(p651)を見る限り、行為としては開業だけでは足りず、実際に契約に基づき実行計画を立案し(陰謀)、その実施に移る(予備)ことが必要であるようです。

「予備」とは、私戦の開始以前の段階における私戦の準備行為をいう。たとえば、兵器、弾薬の用意、兵糧の調達、兵員の招集・訓練など、いずれも、予備にあたる。「陰謀」とは、私戦の実行を目ざして、二人以上の者が、互いに犯罪意思を交換して謀議を行うことである。

開業が形式的に認められても受注できなければ実質的な禁止になってしまいますが、先ほどの「私的に」の解釈に戻って考えますと、兵士の個々の戦闘行為を戦争と呼ばないように、戦争請負会社の行う戦闘行為はそれが海外政府の依頼である場合には「私人が外国と戦争を行う」ものではなく、結局はこれまた構成要件に該当しないような気がします。仮にこの解釈が認められず構成要件には該当するものとされても、刑法第35条の正当業務行為として違法性が阻却されるでしょう。

このロジックでいけば、海外の私人ないし私的団体から日本で開業している戦争請負会社が受注した場合には、構成要件としても私戦予備・陰謀に該当するでしょうし、違法性阻却も認められないでしょうから、多分有罪となります。「予備」が実際に日本国内で行われるとは想定しがたいですが(他国でやった方が絶対に安く簡単に可能でしょうから)、「陰謀」の全てを海外で行うことはないでしょうから(最低限クライアントとの協議ぐらいは日本でやるからこそ、日本で開業しているはずです)、こちらは実例が出てくる可能性がありそうです。

以上の傍証ですが、こう構成しないと、海外の戦争請負会社やその他の戦闘組織に所属する日本人が日本国政府以外の政府の依頼により海外でした戦闘行為が殺人罪(ないしその未遂罪)に該当することになるので、多分大丈夫ではないかと思います。

最後にmirrornowhereさんご指摘の、日本人(ないし日本法人)が戦争請負会社に発注した場合の取扱いですが、「予備」「陰謀」が海外で行われている限りにおいて、randomreadingさんご指摘の本罪の属地主義が効いて正犯自体が成立しないので、発注行為による教唆犯もまた成立しないということになるでしょう。既述の海外で行われた戦闘行為自体の既遂・未遂としての殺人罪については、戦闘行為当事者に日本人が含まれていると成立しますので、その場合に限って教唆犯が成立するとは思いますが。

#webmasterは学生時代には刑法は嫌いだったのですが、何でこういうこと考えていると楽しかったりするのかなぁ・・・。

[law][politics]大屋先生の尻馬に乗ってみました

大屋先生からいただいたtrackback経由で、内田樹先生のテキストを拝読したのですが。

まず大屋先生が取り上げたのが、「憲法再論」です。大屋先生と同じことを書いても仕方がないので、別のことを。

もちろん日本国憲法の中には憲法史的「模範解答」には含まれておらず、明らかに「アメリカ軍が恣意的に押しつけた条項」も含まれている。

日本国憲法中の条項で、それに類するテクストがアメリカ人たちが参照したはずの先行憲法の「どこにも」含まれていないものは一つしかない。

それは第一章「天皇」である。

もし「アメリカ軍に押しつけられた」という歴史的事実それ自体がテクストの価値を損なっているということを憲法改正の心理的動機に数えるのなら、「まず」改訂すべきは九条ではない(何度も言うとおり、九条は1927年の不戦条約の文言を「コピー&ペースト」したものであり、大日本帝国はいかなる軍事的強制にもよらずこの条約に調印していたからである)。

もし「押しつけ」を理由に廃絶すべき条項があるとすれば、何よりもそれは「第一条天皇」である。

だが、私は第一条を改訂せよ(そして「天皇制を廃止せよ」あるいは「天皇親政」に戻せ)と主張する「押しつけ憲法論者」に会ったことがない。

#実は大屋先生も、つ【三島由紀夫】とはコメントされているのですが(笑)。

第1章か第1条かどちらを改正させたいのかはわかりませんが(笑)、押しつけを理由に廃絶したところで天皇親政には戻らないのですから、そんな「押しつけ憲法論者」がいるはずもありません。大日本帝國憲法における「天皇主権」と日本国憲法における「国民主権」の差は何かといえば、機能的には憲法を制定する主体が誰かということと、非常大権が天皇に認められるかどうかの2点だけで、そもそも平時における天皇親政など大日本帝國憲法の予定するところではな(く現に行われな)かったのです。

大日本帝國憲法下において発せられたいわゆる人間宣言を見れば、次のように事実上日本国憲法第1条の「この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」との規定を先取りしているわけで、字句はともかくその趣旨は決して押しつけられたものではないでしょう。

然レドモ朕ハ爾等國民ト共ニ在リ、當ニ利害ヲ同ジクシ休戚ヲ分タント欲ス。朕ト爾等國民トノ間ノ組帶ハ、終止相互ノ信頼ト敬愛ニ依リテ結バレ、單ナル神話ト傳説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神(アキツミカミ)トシ旦日本國民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル觀念ニ基クモノニ非ズ。

#美濃部達吉だって憲法を改正せずとも民主化はなされると言っていましたし(彼からすれば、戦前戦中の全体主義体制と大日本帝國憲法との関係は、ワイマール憲法とナチズムとのそれと似たようなものだったでしょう)。

他方、第9条は、確かに第1項は不戦条約から持ってきたものですが、第2項はまったくのオリジナルです。

ですから、押しつけのみを理由として憲法に手を入れるのであれば(そんな理由で改正することが正しいとはwebmasterは全く思っていませんが)、やっぱりまずは第9条からということにならざるを得ないのです。

このエントリの延長線上として、「Taubさんに聞いた「儒教圏」構想」大屋先生は取り上げ、さらに追加して論じています。これまた大屋先生とは重ならないよういくつか指摘しておきます。

大屋先生は主として法制面から「儒教圏」と言い得るほどの共通性があるのかという分析をされていますが、そもそも「儒教圏」の定義自体、内田先生によれば(別エントリですが)儒教、仏教、老荘思想のような文化的リソースを共有って、「儒教」圏じゃないですし(笑)。さすがに「儒教」で東アジア地域をひとくくりにはできないという事実から、仏教やら道教やらを引っ張り出してきたのでしょうけれども、それ自体、「儒教圏」の存在の空虚さをはしなくも現しているように思えます。

宗教としての儒教にそれほどの伝播力はなく、例えば典型的な宗教の出番である冠婚葬祭にしても、日本では仏式が多数派、朝鮮半島では儒式が伝統的に強く、支那では何教とも言い難い民俗式なわけです。そりゃ地理的に近いのですから共通点は探せばいくらでもあるでしょうけれど、Taubさんの主張は極東諸国をつなぎ止めている儒教文化というものですが、Taubさんが挙げる独仏という「昨日の敵は今日の友」の例でいうキリスト教文化(もちろんプロテスタントとカソリックという違いはありますが)よりも儒教文化の紐帯が強いものでなければ、反論としてはそれで足ります。

だいたい、文化を同じくするならくっつくかと言えば、アラブ連合共和国大コロンビアは何故失敗したんでしょうかねぇ、ということになります。独仏のような事例の方が珍しく、それも旧ソ連の脅威とアメリカへの対抗意識の絶妙なバランスの結果であって、文化が一緒だからというわけではありません(それならオーストリアの方が先でしょうに)。

内田先生は最後には、Taubさんの議論を次のように評価されています。

どんな人だか知らないけれど、日本のメディアや政治評論家のちまちました現状分析にくらべて、まことに気宇壮大である。

幕末や明治の政論家たちはこれくらいの「マクロ歴史的」な話が好きだった。

昭和の政論家たちもそのぐらいの気宇壮大な話は好きでしたよ。「英米本位の平和主義を排す」(あ、大正だ。幕末・明治じゃないからいいか)とか、「最終戦争論」とか、「非武装中立論」とか。きうそうだいってすばらしいこころいきですね(棒読み)。

[economy][BOJ]BOJウォッチャーから見た日銀の政策決定

昨日に引き続いて本石町日記のエントリを取り上げさせていただきました。

多分、政策運営が感情的なのではないか。ゼロ金利も量的緩和も日銀は好きではない。基本的に嫌々政策を運営しているから、そこから逃れたい余りに情報発信にバイアスがかかっているような気がしてならない。利上げは勝ち、利下げは負け、という金融政策の勝ち負け論。日銀マンはそんなことはないと否定するが、速水体制では一貫して負けっぱなしで来て、勝ちに行ったら大負け。福井総裁になってからは、積極果敢に負けてきた。福井総裁自身も本当は量的緩和など好きではないから、技術論で先走る委員らを敢えて止めないのだろう。

潜在的に感情的な政策運営を行っているなら、多分節度をまた失う可能性が高いとみているのだが…。

「政策委が節度を失う理由=ある委員、恥をしのんで注意」

管理通貨制度における通貨の信用は、金本位制のように確固たる裏づけはなく、まさに中央銀行に対する信認が通貨価値を裏付ける。やや極論だが、日銀に対する信認が確固たるものであれば、自己資本比率などどうでもいいのではかろうか。人々は日々お金を使うとき、日銀の自己資本比率を気にしているのか。そうではないだろう。ここで具体例を挙げると、かつてブンデスバンクは為替変動の影響で外貨資産に多額の含み損が発生し、一時債務超過になったことがあるやに聞く。では、それでドイツ国民はマルクを見限ったのか、と言えばそうではない。

(中略)

ここで自己資本比率の維持を優先するなら、券の発行をやらないとか、収入を増やして内部留保に回すために時間軸効果を放棄するとか、国債の売り切りオペをやるとか、為替リスクのある外貨資産を売り払うとか、本末転倒の事態が起きるだろう。

「中央銀行の自己資本比率論=数字自体は結果論ではないのか」

ちなみに前者は、3月の金融政策決定会合議事要旨におけるまた、この委員は、金融政策運営に関する最近の対外情報発信に関して、市場の一部には混乱を招いたとの評価もみられるとした上で、今後は細心の注意と節度をもって臨む必要があると述べたという部分から話が始まっておりまして、bank.of.japanさんの見立てでは「この委員」は植田前審議委員とのこと。ドラめもんさんも5/10に同様の観測をなされていましたので、確度は高そうです。

で、その際にこの植田前審議委員と見られる委員は、先の引用部が「また」から始まっていることからわかるようにその前にも発言がありまして、それは現在の時間軸効果は、景気が回復し、コミットメントのない状況では「出口」が近いと市場が判断するような局面になるにしたがって強まっていくと考えられるが、残高目標の減額は市場の期待形成を撹乱する要因となり、こうした効果を減殺してしまうおそれがあるとの考えを示したというものです。

はあ、惜しい人を亡くしました(交替して審議委員になった人がなった人ですから・・・って、死んでないってば)。

いずれにしましても、「節度をまた失う可能性が高い」ですとか、「本末転倒の事態が起きるだろう」ですとか、そんなものだろうなぁと公開情報からうすうすは感じていましたが、実際に取材に当たられている方の感触もそうですか・・・。

[government]総務省幹部更迭

すでにどろっぷさんbranchさんがとりあげていますが、総務省幹部(松井浩総務審議官、清水英雄郵政行政局長)が担当替え・異動となることが決まり、事実上の更迭だとのこと。

今のところ匿名コメントが多く詳しい事情が判明しませんが、下記のいちご経済板スレで思いっきり民営化懐疑論を書き込んだ前科持ちのwebmasterとしては、 ((((((;゜Д゜))))))ガクガクブルブルです(笑。匿名でよかった)。

[misc]小森和子賞

そんな賞があるとは。香里奈が受賞していなければ気づきもしなかったとは思いますが。でも香里奈って、webmasterのひいき目で見てもそんなに演技がうまいとは思えないのですけれども(笑)。新人賞の位置づけというなら、長澤まさみや上野樹里、堀北真希といったあたり(映画のジャンルを問わないなら吉沢明歩も候補に入れたいなぁ)の中から選ばれるものでしょう、普通は。

[misc]恋するハニカミ!

来週、上原美佐。

本日のツッコミ(全12件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>大屋先生 あと、「つ【日本共産党】」とか(笑)。 内田先生が石橋湛山のようなリアリストをどう評価するのかは、少し..]

bewaad [>すなふきんさん 可能かどうかで言えば、利益が出るようにビジネスモデルを仕組めばいいわけですから、政府全体を民営化す..]

タンク ソロ ウォッチ sm レザーベルト [tagwaf1417ba0823 [url=http://www.blackest-watcheliminatejp..]


2005-05-15

[economy][pension]市場も政府も失敗正せ

日本経済新聞の経済教室「公共性を問う」(最終回、5/13朝刊掲載)に、標記タイトルで八田達夫先生が寄稿されています。ネット掲載されていないので全文転載したいところですが、著作権の問題があるでしょうから概要をまとめてみました。ご関心をお持ちいただけましたら、是非原文にあたってみてください(以下の小見出しは原文によります。また、箇条書き1項目が原文の1段落に対応しています)。

長生きしそうな人だけ入る失敗

  • 高齢化時代の社会保障財源確保のため、様々な少子化対策が講じられているが、一頃は人口増加により土地や資源の不足が感じられ、それが子供を産まなくなった一因でもある。そうした動きに逆行して対策を講ずべきものだろうか。
  • 公共性の観点から政府の市場介入が正当化できるのは、所得再分配の必要性、市場の失敗などが存在する場合に限られる。
  • 公的年金を考えると、年金は多くの国で社会保険として提供されているが、民間が提供可能な他の保険との違いは何だろうか。
  • 終身年金は、長生きしすぎるというリスクへの対応。
  • 年金を市場に任せておくと、長生きしすぎるリスクがあると考える人の多くが加入する一方、自分にはそうしたリスクが少ないと考える人は加入しない。となると、長生きした場合に備えて徴収される保険料は、全員が加入した場合のそれよりも高くなり、相対的にリスクが少ないと考える加入者はその高くなった保険料が割に合わないと考えて加入しなくなり、それがまた保険料の引き上げを招き、という悪循環の結果、通常の予想寿命の人が利用できる年金商品は提供されなくなってしまう。これを「逆選択」(リスクの高い人ほど残る)と呼ぶ。
  • 一般に加入者当人は病歴等から自分がどの程度長生きしそうかについての情報を有しているが、年金を提供する会社はそうした情報を持たない(情報の非対称性がある)ため、予想される長生きリスクの大きさに対応した保険料を提示できず、逆選択という市場の失敗が生じている。
  • 政府による厚生年金は、強制加入という手段によるこの市場の失敗への対策。
  • 厚生年金の赤字の原因は3つある。以下順に検討する。

賦課方式から積み立て方式に

  • 第1の原因は賦課方式(現役世代が退職世代の年金給付を負担)を採用したこと。
  • 強制加入なのだから、人口の多い世代はその数に比例して大きな積立を持つこととなり、他の世代に依存する必要はない。
  • したがって厚生年金は積立方式(老後の自分への給付金を現役時に積み立てる)であるべきだった。そうでなく賦課方式としたのが年金財政問題の根本原因。
  • この対策としては、継続部分は積立方式に移行させ、他方過去の赤字分は別立てとして各世代が公平に負担すべき。アメリカの改革案もこれ。
  • 第2の原因は配偶者控除や専業主婦の年金での優遇、配偶者手当といった専業主婦への優遇策。これらにより、生産年齢人口の女性には働かないインセンティブがあるので、社会保障財源を負担する就業者数が減っている。
  • これらのインセンティブを廃止・縮小すれば就業者数が増え、全体としての財源負担能力が向上する。
  • 第3の原因は、女性の労働市場における市場の失敗、及びそれへの政府の対策の不足。
  • 女性は、結婚や出産で中途退職の可能性があるので、企業は同一の能力であれば男性を選んできた。
  • これは、企業が個々の女性について中途退職するかどうかを判断できないことの結果。女性といっても、出産後にも働きたい人もいれば、専業主婦で子育てに専念したい人もいる。
  • この2タイプを区別できるなら、企業は前者は男性と同様の待遇で採用し、後者はそれなりの待遇で採用することができる。
  • しかし区別できないので、全体の平均待遇が女性に適用され、前者はそれでは割に合わず辞めてしまい、それが全体の平均待遇を押し下げ、とここでも逆選択が生じる。
  • 情報の非対称性により、女性一般に対する差別が行われ、本来中途退職するつもりのない人を労働市場から追い出すという無駄を生じさせている。

保育所への費用補助には正当性

  • 女性が仕事を辞める大きな原因は子育てにあるので、保育所の拡充、低コスト化などにより子育てコストを下げることができれば、逆選択が緩和され賃金が上昇し、多くの女性が働き続ける、つまり女性の労働資源の遊休化が解消される。
  • この政策は、市場の失敗の補正という正しい政府の政策。
  • 加えて幸運にも、この政策により女性就業者数が増え社会保障財源の負担能力が向上し、出生率の向上により将来の高齢化社会における就業者数増加ももたらされる。
  • にもかかわらず、政府の対策は保育所への参入規制、不十分な補助(特に都市部において)など、逆を行っていた。抜本的に改めるべき。
  • 以上のように、少子高齢化時代の財政問題は、根本的には市場の失敗と政府の失敗の両方から生じている。今後取るべき政策は、それらのよる歪みを補正するものでなければならない。
  • しかし、現に出てきている少子化対策は、育児手当の拡充や出産一時金の創設など、働く女性に対象を限るものでなく、歪みが補正されない。
  • 「資源は有限なのだから、場当たり的な対策は望ましくない。過度の少子化をもたらすなど政策の欠陥を正す対策だけをとるべきである。」
本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

Before...

 [>現に出てきている少子化対策は、育児手当の拡充や出産一時金の創設など、働く女性に対象を限るものでなく、歪みが補正され..]

bewaad [>韓流好きなリフレ派さん 逆選択については読んでいて同じように思いました。 賦課方式の1については、赤字が必然とい..]

bewaad [>●さん そういう対策が講じられていることはご存知だと思います(勝手な推測ですが)。それが足りないとはお考えでしょう..]


2005-05-16

[economy][book]R.E.パーカー「大恐慌を見た経済学者11人はどう生きたか」

webmasterが何かを書くまでもなく、次のようなすばらしい書評がすでに世に出ています。

まじめな話はこれらに譲るとして、出てくる学者同士の相互評価が非常に面白いです。著者のパーカーが燃料を投下しまくっている(笑)こともありますが、みな功成り名を遂げた人ばかりだから遠慮がないったらありません。

それができるのもパーカー自身が経済学者であるからで、多分どういう燃料を投下すれば一番よく燃えるかわかってやっているのでしょうし、言っても通じると思うからこそ各学者も本音をしゃべってくれているように思います。インタビューを並べただけでは読者が混乱しかねないことを踏まえて冒頭に概説を置いていることも含め、本書の価値の過半はパーカーの功績であるように思います。

少しはまじめな話をしますと、多くの学者が第二次世界大戦の影響を重く受け止めているのがとても印象に残りました。やっぱり同時代人にとっては強い印象に残ったのだなぁといまさらながら。

#ところで品切れになっていたピーター・テミン「大恐慌の教訓」が(少なくともamazonでは)再入荷しています。新しい刷が出たのかな? またジュンク堂にでも行って漁ってこないと・・・。

[comic]現在官僚系もふ・第9話

pogemutaさんのご期待に応えて、今日もこれを取り上げてから寝ます(笑)。しかし、次回で終わりそうにないのですが、案外人気あるのでしょうか?

さて本論ですが、天下りの話題がタブーだという認識は、当事者としては余りありません。それが仕事の話題だ、というのは人事担当しかありませんからしょせんは雑談なので、真昼間から職場でよくするような話ではありませんが、そういう話の流れになれば普通に出ますし。

ちなみに、次官の退職金が8,000万円ってそれは今の話です。「柴田理事」のモデルが浦上道彦理事だとすれば昭和49年旧大蔵省入省ですが、ちょっとデータはとれないものの、当時の退職金がそれほどあったはずもありません。

しかし、もっとまずいのは公営企業金融公庫の描写です。その問題点として、「コスト意識の低さ、多額の未回収金、そして民業への圧迫」が挙げられていますが、なぜよりにもよってこれらがおそらく政府系金融機関の中でもっとも当てはまらない公営企業金融公庫にしたのかが非常に疑問です。

#財務省主管じゃないし(共管ではありますが。ちなみに主管は総務省(旧自治省)です)。

コスト意識はよくわかりませんが、未回収金はゼロです。貸付先は地方公共団体で、財政状態が悪化すれば総務省が介入してきますから、その面子にかけて今のところは不良債権化はさせていません。これは完全な事実誤認ですから(しかも固有名詞を出しているので逃げようもありません)、訂正するなら今のうちでは(笑)。

民業圧迫というのも、公営企業金融公庫は乱暴に言えば地方債の共同発行機関のようなものですから、公営企業金融公庫債を買ったり、公営企業部門でない一般の地方債を買ったりと、同様の資金運用が民間金融機関には可能で、これまたかなり的外れな指摘です。というわけで今週は・・・あやまれ!! 公営企業金融公庫にあやまれ!!(AA略)

#いや、公営企業金融公庫に問題がないというわけではないのですが、なんで日本政策投資銀行や国民生活金融公庫にしなかったのかと。それなら、少なくとも外部からそのような指摘をされているのは事実だったのに・・・。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

Before...

地方団体 [ぐぐってみると、たしかに金融筋は「地公体」ですな。]

bewaad [>鰻谷さん マニアックなところに目をつけたなら、マニアの許容範囲のレベルを維持すれば非常に受けるはずなのに、もったい..]

bewaad [>「地公体」 旧自治省的な正統派は「自治体」ですね。]


2005-05-17

[economy][politics]福知山線事故についてさらにさらに考えさせていただきました

5/4付「福知山線事故についてさらに考えさせていただきました」にお寄せいただいたコメント・trackbackへのリジョインダーです。遅くなりまして申し訳ございませんでした。

#あわせて、同エントリの誤記も訂正しております。

一国民さん

スタート時点での整備状況が異なるため軽々に断ずるわけにはいきませんが、例えば毎日新聞の報道によりますと、JR東西では単体売上高に占める安全確保のための設備投資額はほぼ同一(5%台半ば)とのことで、設備投資の量に問題があったとは限らないかもしれません。

むしろ、例えば旧型のATS-Sxタイプでも速度照射機能を付加する(ただし、この対応では今回の事故は防止できませんで、リンク先の説明のとおり土佐くろしお鉄道事故タイプの事故を防止するものです)など、お金をかけなくても可能なベストプラクティスを取り入れるようなインセンティブがあればよかったのでは、と思います。

Baatarismさん(2005-05-05 10:16)

規制についての政府全体の傾向としては、事前規制から事後チェックへというものですから、なかなかご指摘のようなものは難しいのではないか、というのが一般論になります(ハードウェアについても、現行の規制はそうした流れに沿ったものになっているようです)。スジ屋を役所で雇うのが合理的かというとそうでもないような気がしますし、やはり実務の細目は現場に任せて、規制はコンプライアンス・リスク管理の体制整備を見ていくという方向ではないかと思います。

別件になりますが、同じテーマについての5/14付エントリ、メディアもそうした分析をしてくれればと思いつつ拝読させていただきました。

●さん

利益追求だから安全対策をするかどうかは、リスク評価の具体次第(事故の発生確率や予想損失額、ヘッジコストなど)なので、いずれとも言い難いのではないかと考えています。客観的なリスク評価としては、JR西日本がかけていた賠償保険の保険料率が他社のそれとくらべてどうかというのが1つの材料になりますが、そのあたりを取材する(当然損保会社の企業秘密でしょうから、公開情報が出てくるとも思えませんので)ジャーナリストが出てきてほしいのですけれども。

車体の剛性や重量、ダイヤの妥当性については、いろいろなblogでおっしゃるような方向での議論が進んでいるようですね。

小僧さん

ご教示いただいたページはたいへん参考になりました。ありがとうございました。

「蛇足」の部分は、身も蓋もなく言えば視聴率や部数が向上するからということでしょう、やっぱり。たまたま読売の記者が叩かれましたが、例えばワイドショーの進行役が言っていることだって、言葉遣いは多少違うにせよ似たようなもので(GW期間中に普段は見ないそれらの番組を見てちょっとくらくらしました。役所の不祥事のときもああいった形で叩かれているのかと思うと・・・)、それらはやはり視聴率がとれるからこそかと。

「蛇足 その2」の部分は、自転車はひょっとしたらひょっとするかもしれないなぁと思うようになりました。警察からしてみれば、まともに自転車を軽車両として道交法適用を図るのが手に余るのではないかと。あと、ヘルメット着用率の惨状からすれば怖くて車道を走らせられないとか(不着用については罰金ぐらいとってもいいのではと思いますが)。

tomberさん

JRは私企業ですから、例えば今回の事故で競合路線に客が流れるようであれば、どうやったら事故が減らせるかを本気で考え、実際にリスクを減らすでしょうから、あまり変な方向に行ってしまう可能性は低い(少なくとも今より悪い方向にはしない)と思っています。

むしろ怖いのは役所の対応で、例えば明らかに不合理である対応をさせる可能性があるとの神戸新聞報道も出ていますから、世論に押されて妙なことをしないかどうか、きちんと監視する必要があるのではないかと思います(例えば同じ神戸新聞ですが、JR東西のATS-Pの設置率を路線の状況や運行状況も無視して単純比較するような報道も未だになされていますから・・・)。

Baatarismさん(2005-05-06 10:16)

マニュアルの問題は、もちろん車掌への教育・研修の問題もあるでしょうけれども、連絡を受けた会社側の問題がより重大ではないかという気がします。事故の当事者が動転するのは容易に想像できるわけで(もちろんそうならないよう訓練することの重要性を否定するものではありません)、ご紹介の報道によれば茫然自失の状態から客に促されて車掌が会社に連絡を取った際、なぜマニュアルに沿った対応をせよと一言触れることができなかったのか、そちらがより追及されてしかるべきではないかと思います。

sakidatsumonoさんのtrackback「マスコミ報道に望むこと」

bewaadさんの「ここまで多い非難が妥当かどうか」に対しては、「量的には妥当かもしれないが、質的には適切ではない」と答えたいとのご指摘については、今となってもまだあまり改善が見られないのが残念です。tomberさんのところでも触れましたが、JRの保身以上に、webmasterは国土交通省が世に阿ることになるのではないかという不安がぬぐい去れません。

[government]「速度照査型」で十分とは限らないんだってば

#というわけで宿題の1つを片づけましたので、関連テーマで(実は、このエントリを起こしたかったので前のエントリを仕上げたりしております)。

毎日新聞のATS設置基準:国交省、JRに甘く旧型放置(5/15付)での次の記述は片手落ちです。

旧運輸省(現国土交通省)が、JR発足時の87年に出した省令の中で、設置を義務づけた自動列車停止装置(ATS)について、速度調整可能な「速度照査型」と、そうでない型のどちらでもよいとする「二重基準」にしていたことが分かった。大手私鉄に対しては、それ以前の通達で速度照査型を義務づけ、87年時には広く普及。01年の省令改正でも二重基準は見直されず、結果的にJRの旧型ATSを残す抜け道になったとみられる。兵庫県尼崎市の福知山線脱線事故では、速度照査型ATSを活用していれば事故を防げたとの指摘もあり、専門家はJRに対する旧運輸省の監督の甘さを批判している。

詳しくは5/8の「ATS-P設置完了まで運行再開を認めない理由についての考察」及び「ATSと規制」をご覧いただきたいのですが、照査して得た速度をフィードバックして速度制御につなげる仕組みがなければ、今回の事故は防止できません。通常の速度照査型ATSは、まさしくS(=stop)させるためのものですから、制限速度超過の電車がその速度超過を加味して衝突の危険があるときに完全停止させるというのがその機能で、制限速度以下に減速させ(た後はそのまま運行を継続させ)るためのものではありません。

事故から随分時間も経っているのに、このレベルの報道はいただけないなぁと思います。以前の通達に触れているということは、当然その中身も見ているはずで、にもかかわらず当該部分が「速度照査機能をそなえ、速度照査地点を照査速度を超えて進行する場合、自動的に制動装置が動作するものとする」というもので、速度照査機能と制動装置が別物だという前提で規定されていることに気付かないのは、ATSについてきちんと勉強しているのかという疑問に加え、日本語きちんと読めてるのか、という気もします。

#ちなみに、赤旗ではきちんとわかった記事が書かれています。

関連で気になるのが、JR四国のATS改良案です。JR四国のサイトには情報が掲載されていないのであくまで報道ベースですが、新たに設置するのは、旧型ATSを改良した速度照査式。各区間に複数個備えることで、速度超過時に非常ブレーキを作動させることができるという文章を見る限り、JR四国で言えばATS-SS、つまりは福知山線にも設置されていたATS-SWと同等のものとしか見えず、結局JR四国がやることはATS-SをATS-SSにリプレイスすることではないかというように素人には見えるのですが、この理解は正しいのでしょうか?

#ATSのそれぞれがどういったものであるかについては、「ATS−S形・B形・Ps形」をご参照下さい。

さらに別の関連になりますが、事故の原因に関連して「ブレーキの謎」という興味深いテキストを見つけたので、ご紹介いたします。当然ここで述べられていることも1つの仮説に過ぎないわけですが、この仮説が正しかった場合には、速度制御機能つきの特別なATS-Pや、それこそATCが導入されていたとしても、今回の事故は防止できなかったということになります。

ATS/ATCだって、結局は車載ブレーキ以外には制動手段を持っていないのですから。

#ATS/ATCの限界(裏返せば何に有効なのか)については、「ATS・ATCですべての事故は防げない」に詳しいです。

[politics][law]憲法第9条は空文か?

先日に引き続き、内田樹先生のテキストから「空文の効用」を題材に取り上げさせていただきます。

#このテキストについても、大屋先生が論じられています。webmasterのそれと違い法学の観点からのものですので(といいますか、被らないよう観点を違えています)、そちらもご一読いただければ。

内田先生は、憲法第9条や他国憲法の同様の条項(webmasterは他国と同様と言い得るのは第1項のみだと思いますが、それはさておき)の存在に触れつつ、次のように述べていらっしゃいます。

世界中に平和憲法がこれだけあるのに、世界からは戦争がなくならない。

だから、平和憲法は空文である。

ここまでは推論として間違っていない。

しかしながら、次のようにその「空文」の効用を示されます。

ご案内のとおり、1927年の不戦条約は第二次世界大戦の勃発を防ぐことができなかった。

しかし、そのあと日本国憲法はその「空文」を宣告された不戦条約の条項を再び掲げることによってとりあえず戦後60年間戦争をしないできた。

webmasterが思うに、この事実認識がおそらくは議論をすれ違いに導く原因なのです。別のところで内田先生は、アメリカを取り上げて次のように論じられます。

第二次世界大戦以後もっとも多くの戦争を戦い、最も多くの外国人を殺しているのはアメリカ合衆国であるが、そのアメリカ合衆国憲法は平和条項を含まない。

しかし、仮に戦後のアメリカが現実にそうであったよりも、よりモンロー主義的であった場合には、日本が戦争に巻き込まれた可能性は高かったことでしょう。まず、朝鮮戦争は、在韓米軍がなければ(あっても開戦後に撤退し反撃しなければ)非常に高い確率で北朝鮮が半島を統一したはずです。対馬海峡において北朝鮮(この場合、単に朝鮮と呼称されるでしょうけれども)と対峙するパラレルワールドにおいて、憲法第9条がどれほどの効力を持ち得たでしょう。

さらに悲観的なパラレルワールドとして、アメリカがそもそも日本占領すらしなかった場合を考えてみれば、まあ日本はソ連単独占領か、中ソ分割占領となっていたでしょう。前者であれば、東欧諸国間で戦争がなかったように極東でも戦争はなかったかもしれませんが(この場合は朝鮮戦争を待たずして半島は共産主義体制で統一されているでしょうから)、プラハの春のような事態が起こっていたかもしれません。後者であれば、国共内戦後に東日本・朝鮮・ソ連・中国連合軍と西日本との間に戦争が起きていたかもしれません。

つまり、いわゆる改憲論者が空文だというのは、何も世界から戦争がなくならなかったことを理由としているのではありません。そんな大それた話ではなく、単に日本が第二次世界大戦後に戦争をしなかったのはアメリカのおかげであって憲法第9条のおかげではないという文脈で空文だとしているわけです。

では本当に空文であったかと言えば、実はそうではありません。内田先生のエントリにMatthewsSubcommandanteさんが付されたコメントに端的に示されていますが、ヴェトナム戦争等においてアメリカからの協力要求をはねつける根拠となったわけですから、十二分に実があったわけです。

結局のところ、伝統的な護憲論にとって決定的なターニングポイントになったのは湾岸戦争で、あのときにクウェートから感謝を示されなかったことが、いわゆる一国平和主義批判、安保ただのり論をマジョリティに押し上げたのはほぼ間違いありません。空文かどうかの議論は、こと現状を見れば日米安保条約・自衛隊が存在しているわけですから、多くの人にとってはどうでもいい話でしょう。しかし、効力が悪影響を及ぼすのであれば、それを除こうという話につながります。

「アメリカが平和の配当などと言い出して日本にも防衛負担をもっとしろと迫ってきているので、嫌だと断ったら見捨てられるかもしれない。また、そうしないと国際的にも立場がない」という素朴な認識を塗り替えた先にしか、今後多数派の支持を集め得る護憲論は存在しないのではないか、とwebmasterは思います。

#ちなみにこれは逆の議論、つまりアメリカからもっと自立しろといった主張にも当てはまることだと思いますが。

[government]陰謀論いろいろ@総務省

今日の閣議後総務省の官僚の更迭が正式決定するようです。kanryoさんpogemutaさんも触れていらっしゃいますように、この業界の人間にとってはやはり他人事ではありません。

2ちゃん・公務員板の総務省スレッド 第3部で議論が盛り上がるのもしたがって必然でしょうけれども、他で見られないひねった見方が2つ。

565 名前:非公開@個人情報保護のため :2005/05/13(金) 23:52:40

正直な話、鑑定を焚き付けたのは痔痴だろ

#蛇足ではありますが、鑑定=官邸(総理及びその周辺)、痔痴=旧自治省です。

567 名前:非公開@個人情報保護のため :2005/05/14(土) 00:24:14

民主党も降格人事に反対しているけど
彼らの主張は幹部の政治任用だよね。
首尾一貫してないと思うのは俺だけ?

夕刊フジでは次のような見方も。

「今回の人事の裏には、日本郵政公社の現職幹部の影がちらつく。幹部は小泉首相が厚相時代の秘書官で、“官邸のラスプーチン”こと飯島勲秘書官や、財務省出身の丹呉泰健秘書官と親しいく、旧郵政省内の権力闘争とも言えるのでは」

こう話すのは政界事情通の1人。

幹部はもともと旧郵政省の次官候補と目され、「次の総務事務次官」といわれた松井審議官とライバル。ところが郵政公社発足に伴い、異動。次官レースに敗れたとの見方もあったが、「小泉首相の要請を受けて郵政公社に移った」(旧橋本派関係者)との声も。

#この「現職幹部」の条件に当てはまるのは團宏明副総裁ですね・・・。

他にもひねくれた考え方としては、隠れて自民党内の反対派と接触しようとすればいくらでもやりようがあるはずで、わざと目立つようにやって外されるように立ち回ったということも考えられないではありません。議員修正をするかどうかという局面が出てくるとすれば、今まで以上につらい板挟み状況になるのは明らかですから。

いずれにせよ、今日には総理から本件についての説明があるのでしょうけれども、さて、どのような説明が飛び出すことやら・・・。

[joke][book]素直の体現者

「『民明書房大全』ありがとうございます。最初、何の本かと思いましたけど、結構勉強になりますね。○○の由来が実は中国の××だったなんてびっくりしました。△△も実は□□だったんですね。ありがとうございます、読んでみます」

「民明書房大全」(@法務だけど理系女子の綴るblog -mulog-5/16付)

[economy]バーナンキ!バーナンキ!

同業者であるbranchさんがこのようなお考えだと知って大変うれしく思うのですが・・・。

3音節だと、ジョルジュ長岡のソレよりあとりKのアレの方がしっくりくるのでは(笑)。

本日のツッコミ(全1307件) [ツッコミを入れる]

Before...

lvmh ルイ ヴィトン モエヘネシー [ロレックスN級最高等級ブランド時計 最新作 ヴィトン 新品、新素材入荷ロレックスN級最高等級ブランド時計コピー大量..]

ルイ ヴィトン 財布 人気 [2017年人気貴族ブランドコピー(N級品)優良店! ルイヴィトン、シャネル、グッチ、ロレックス、バレンシアガ、 ..]

シャネル 時計 レディース ヴィンテージ [2017年の新素材-新作 ブランド腕時計、バッグ、財布、小物などでございます専売店 ★弊社は「信用第一」をモッ..]


2005-05-18

[government]在阪日本大使

murajiさん(5/12付)a-parkさん(5/15付)により特命全権大使(大阪担当)の存在が発見されてしまいました。実は明治新政府の発足により一旦は廃止された大坂城代が、大村益次郎の「いずれ足利尊氏ごとくの者が九州から攻め上がってくる」の予言を受けて密かに再設置されることとなったのがそもそもの由来で、爾来東京政府による西日本支配の要として黒歴史にその名を・・・ってのはデタラメですが(笑)。

むかしいちご経済板でも話題になったのですが、そのときは見逃してました。

外務省には大阪分室というのがありまして、次のような所掌事務となっています。

関西方面における国賓・公賓その他の外国要人の接遇、関西方面における外国公館・国の地方行政機関・地方公共団体その他の関係者との連絡、認証・証明事務

普通は最後の「認証・証明事務」でおなじみなのでしょうけれども、ご覧のとおり他にも外国要人の接遇ですとか、外国公館とのおつきあい(トップは総領事クラスでしょう(大使は東京ですから))といった仕事をしています。

とすると、相手も一国を代表する者ですから、日本側もそれに相当する者を出さないと釣り合いがとれず礼を失することになってしまいますので、わざわざ大使格の人間を大阪においているわけです(大阪分室長のポストもありますが、それでは格下過ぎます)。接待担当の外務大臣代理だと思っていただければ、当たらずとも遠からずでしょう。

#ということで間違ってませんよね、外務省の方々?

[law]課徴金と二重処罰の禁止

branchさんpre-juristさんの後追いですが、証取法のディスクロージャー違反(継続的開示における虚偽記載)に対する課徴金制度が、内閣法制局の反対で政府提出法案には入っていなかったものの、議員修正で盛り込まれたとのことです。いろいろ議論を広げる余地はありますが、ここでは内閣法制局が反対していることに絞ってあれこれ書いてみます。

branchさんが引用されている日経記事の元ネタである金融審議会の議事録を見ますと、法制局が反対する理由は次のようなものです。

ポイントをご説明させて頂きますと、証券取引法の課徴金制度、1に概要が書いてございますが、この2番目の○でございますけれども、現在の証券取引法上の課徴金における課徴金額というのは、違反行為の抑止に必要な水準として、ポイントとして、違反行為により生ずる経済的利得相当額ということに設定をされておりまして、この経済的利得相当額と設定することによっていわゆる刑罰との二重処罰の問題が生じないという、これは独禁法上の課徴金を巡っていろいろ議論されてきた法律の整理をベースに、経済的利得相当額と設定することでこの二重処罰の問題を克服しているというのが現状の制度でございます。この制度を前提として報告でご提言を頂きました発行開示の制度を継続開示に広げようとする場合にクリアしなければなりませんのが、この継続開示書類の虚偽記載によって生ずる経済的利得が何であって、それをどういうふうに計るかという問題を克服する必要が生じてくるわけでございます。

それで、2の1番目の○でございますけれども、この継続開示書類の虚偽記載によっていろいろな利得が生じてくるということは第一部会の報告でもここに掲げられている ↓◆↓というようなことで指摘を頂いておるところでございます。このうち、これを定量化していく必要が生じるわけですが、例えばこの△涼罎痢▲譽團絅董璽轡腑鵑両緇困鉾爾人材確保の容易化というようなことが書いてありますが、こういったものはなかなか定量化は難しいのだろうと、それから、についても、こういう流動性が確保されるということによって生じる利得というのはなかなか計算が難しいということがありますけれども、逆に、この,砲△襪茲Δ福格付けの上昇による借入コストの低下ですとか、△料鞍召諒で、レピュテーションの上昇に伴う取引の拡大、こういったものについては一定の定量化が可能なのではないかというふうに考えてございまして、次の○のところにありますけれども、例えば格付け上昇による借入コストの低下については、格付けが一段階上昇した場合の資金調達金利の平均的な低下率といったものを使うことによって、こうした利得の株式時価総額に対する割合を算出することは一定的に可能なのではないかと。同様に、取引の拡大についても、上場前後の売上の平均的な上昇率を用いることによって利得の額を算定することは一定的にできるのではないかと。

現在の状況としましては、金融庁としまして、現在、こういった案を内閣法制局の方にもご説明をし、法制面の詰めの作業を行っているところでありますが、これに対しましては、今申したような継続開示義務違反によって生じる利得というのは極めて抽象的、間接的であって、利得があるとは言えないのではないかといった指摘を頂いているところであります。これに対して私どもの方からは、発行開示の場合は資金調達という行為が伴いますので、利得の発生がより直接的に見えるということはあり得るといたしましても、結局その利得の大きさを測定する場合には統計的なデータを用いて算出するということにならざるを得ないのは現在の先ほどのことと同様でございまして、本質的に継続開示の場合と変わらないのではないかということを申し上げているところでございますけれども、必ずしも現段階でご理解を頂けていない状況であるということでございます。

#途中で引用される資料は別ページにあります。

いくつか基本的な事項を確認しておきます。二重処罰云々というのは憲法第39条の問題で、「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」の後段(「又」以下の部分)で、課徴金と刑罰(有価証券報告書虚偽記載は証券取引法上刑事罰の対象です)が「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問」うものであれば憲法違反ということになります。

これをどのように解決しているかというのが、上記引用部分での「経済的利得相当額と設定することによっていわゆる刑罰との二重処罰の問題が生じないという、これは独禁法上の課徴金を巡っていろいろ議論されてきた法律の整理」という部分です。課徴金は違法行為によって得た儲けを許さないというものだと整理することにより、結果的にそれが制裁的性質を帯びたとしても反射的効果に過ぎず、刑事上の責任を問うものではないということになります。

引用部分の冒頭、「現在の証券取引法上の課徴金」というのは株式等を発行する際のもので、これは虚偽記載により本来の値段よりも高値で発行できたという経済的利得が認められるので、そこに課徴金が食いついているという図式になりますが、継続的開示では、それにより株価が高かったとしてもそれが会社にとってどれだけの利得といえるのか不明である、という点でもめているわけです。

岡目八目で勝手な想像をしますと、こうなってしまったのは金融庁のミスと運の悪さの2つが重なったからではないかという気がします。

ミスとは何かといいますと、法的な理屈の詰めの甘さです。例えば同じ審議会において、早稲田大学の黒沼悦郎先生が次のような発言をされています。

課徴金額が違反行為によって生ずる経済的利得相当額とされていることについては、私はなお理論的には不満を感じるところであります。今日のご説明では、二重処罰の問題をそれによって克服しようとしているんだという説明がなされておりましたけれども、諸外国の例を見ても経済的利得相当額を超える制裁金を課している国もあるわけでして、そこでも二重処罰と抵触しないとされていることは過去の第一部会における審議過程でも資料等によって明らかにされているところであります。ですから、この点はそもそも問題にはならないはずです。

同じく、東京大学の岩原紳作先生は次のような発言をされています。

法的な問題については先ほど黒沼委員からおっしゃって頂きましたので繰り返しませんけれども、二重処罰の問題、その他について、現在第一部会が提案している課徴金の制度が憲法その他の点において問題があるとは全く思えません。そもそも利得の範囲に抑えれば二重処罰の問題が起きないということ自体、そういう考え自体、本当にそんなに根拠がある考えなのかということで非常に疑問を持っておりまして、さらに言えば、日本の刑事処罰のあり方そのものの問題にもつながっていくのかもしれませんけれども、とにかく多くの委員からご指摘がありましたように、実効的にディスクロージャーその他証券取引法によって市場の信頼を守るためにこういうエンフォースメントの制度が必要なわけでありまして、海外と比べましてもそれは合理的な範囲にとどまっている制度だと思います。そういったものが法技術的な理由ということでブロックされて実現しないというのは極めて残念なことであり、現在事務局の方でご提案頂いておりますここの具体的な制度の考え方も、考えられる合理的なエンフォースメントの内容に少なくともなっていると思いますので、ぜひこれを実現して頂きたいと思っております。

法学者が2人とも賛成しているからいいではないか、といえばさにあらず、ご両名ともに商法学者で、憲法学者や刑法学者、行政法学者ではありません。それぞれおっしゃることは極めてごもっともだとは思いますし、後述のとおり運さえ悪くなければご両名のロジックで何の問題もなく法制局のOKが出たと思うのですが、残念ながらこの文脈では法制局の提示した問題への答えにならないのです。

先ほど触れましたが、「違法行為による経済的利得を召し上げるものだからOK」という文脈において、経済的利得に相当するかどうかが争点になっているわけですから、そこのサポートでなければ意味がないわけです。審議会メンバーを見るに法学者はご両名に加えて東京大学の神田秀樹先生が入っていますが、神田先生も商法学者です。憲法学者などを入れておいて、判例や通説に照らして妥当な抽象度と言い得る経済的利得の定義を掘り下げられなかった点が、金融庁のミスではないかと(結果において中身が変わらなくとも、権威付け(笑)にはなります)。

他方で運の悪さです。先ほど触れたpre-juristさんのエントリにもありますが、実は金融庁が依拠した独禁法のロジックが先般の改正において大きく変わりました。独禁法改正審議時の竹島公正取引委員会委員長の答弁を引きます(強調はwebmasterによります)。

この点は、この改正で変わったところと変わっていないところとがありますということでございまして、変わっていないところは、課徴金というのは違反行為を抑止するために、させないために行政上の措置として金銭上の不利益を課す行政処分でございますという点は何ら、同じでございます、変わっておりません。

変わっているのは、従来は、じゃ具体的にそういう課徴金として幾ら課していたのかと、大企業の場合六%でしたと、その考え方はどうなんだというと、それは不当利得の剥奪にとどまるものでありますと、こういう説明をしてまいったわけですが、その点に関しては変更させていただきました。いわゆる不当利得の額というものは、これは個別には把握できませんけれども、不当利得にとどめるという考え方はこの際やめましたと、不当利得以上のものを課しますというふうにさせていただきました。具体的には八%、一〇%というふうなことなんでございますが、何も一〇%以上にはできないという意味ではございませんけれども、そういう不当利得相当額以上のものに金銭上の不利益をしますと、こういうふうに変えさせていただきました。

それはイコール、その課徴金の行政としての制裁性を強めましたということを申し上げているわけで、じゃもう一歩進めて、民主党さんのように、もう行政制裁金と言ったらいいじゃないかというお考えもあるかもしれませんが、私の感じは、行政制裁金と言う以上はやっぱりEUの行政制裁金をイメージせざるを得ないと。これは正に裁量性を持った、刑事罰にある意味、機能も代替するような制裁金として執行されている。そういうものと誤解されては困るので、今の改正法に基づく課徴金というのはそこまでの行政制裁金というものではないわけで、あくまでも課徴金というまだ名前にふさわしいものの中で行政上の制裁機能が強化されたと。それで、六%が一〇%になりますというものでございますということでございまして、変わった点と変わっていない点がございますけれども、以上でございます。

従来の課徴金が合憲だった(最高裁判例もあります)のは、上記答弁でいう「不当利得の剥奪にとどまるもの」であったからであって、この新しいロジックが最高裁で合憲とされるかどうかは判例を待つ必要がありますが、少なくともこの独禁法改正は法制局はOKしたわけですから、先ほど引用した黒沼先生や岩原先生のコメントどおり、真正面から経済的利得の額にとどまらない制裁的なものなのだ、としていれば法制局もOKせざるを得なかったはずなのです。

ではなぜそう金融庁は主張しないのかと考えますと、先ほど触れたように既に証券取引法には株式等発行時の課徴金制度が導入されていて、その制度は経済的利得のロジックで組み立てられています。したがって、発行時の課徴金は経済的利得の範囲内だけれども、流通時の課徴金になると突然それとは別の考え方になるのです、という説明はあまりにも苦しすぎます。

実はこの発行時の課徴金、昨年度の法改正で導入されたばかりなのですが、当初はこの独禁法改正の立案作業を追いかけてスタートしたところ、独禁法の作業が(この新ロジックの理論武装を含め)滞っている間に追い越してしまったものなのです!

#ちなみにこのリンク先ですが、FSAでの議論開始時の研究会で,「憲法とか刑法とかの議論は,あまり慎重になりすぎる必要はないのでは? FSA(SESCだったっけ?)が課徴金を課して,それが100%なり90%なり,その後の裁判所レベルで認められることを要求する必要はない。あまり神経質にならず,とりあえずFSAレベルでは課徴金をぼんと課しておいて,その後,行為者が裁判所に訴えて50%が裁判所で覆される,という建付でもいいのでは? その方が,裁判例もたくさん出てきて,公法学者の飯の種が増えるでしょう」と,極論を吐いてみたのですが(最後の一言は,「課税逃れの技術が発達した方が,租税法学者には飯の種が増えてうれしい」という中里先生のせりふを意識)という見解、素敵すぎます(笑)。

ああ、なんとかわいそうな金融庁。多分独禁法が先行するか、少なくとも同時であれば、発行時を経済的利得とは独立した課徴金として、したがって流通時もそうだとできたのでしょう。それが大丈夫なら、なぜ前回の快晴時に教えてくれなかったんだ、という金融庁担当者の魂の叫びが聞こえてくるようです。

ま、お断りしたとおり勝手な想像ですけれども(笑)。

[government]大人の解決

総務省官僚更迭の続きですが、小泉総理は次のとおり意見が違うことが理由だとしたとのことです。

小泉純一郎首相は17日夜、総務省の松井浩総務審議官、清水英雄前郵政行政局長を郵政担当から外し、事実上更迭した人事について「過去の経緯とか意見が、政府案(郵政民営化関連法案)と若干、違うところがあったから、代えた方がいいんじゃないか。ご本人も納得しており、麻生太郎総務相と相談して、新体制で審議に臨んだ方がやりやすいんじゃないかなと決めた」と述べ、自らの意向を反映した人事であることを公式に認めた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

小泉首相:総務省幹部人事 自らの意向認める(毎日)

総理側は、「反抗」の証拠が見つからなかったので、例えば国家公務員法第98条第1項(職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない)違反で服務違反をとがめることなどはできなかったけれども、更迭により見せしめはできたし鬱憤も晴らせたと。

他方で総務省側は、反対派に操を立てとおして義理は果たし、同時に今後は協力できない言い訳を手に入れたと。証拠は捕まれなかったにせよ、いろいろやっていた(のでしょう、多分)ことはおとがめなしということにもなりましたし。

これで特定局長や組合が、官僚が裏切って総理にすり寄ったと反発でもすれば、対岸の火事としてはおもしろいのですが(笑)。

本日のツッコミ(全408件) [ツッコミを入れる]

Before...

LC-19K90 ????? 娑叉?????????? 19V??19??19い??? [スウィートブログ!ヤフーニュースでの周りサーフィンブラウジング間、私はそれを見つけました。ヤフーニュースに記載されて..]

ミツマルジャパン 40型 地上デジタル専用 液晶テレビ 外付けHDD録画対応 LC4095 ブラック [あなたのためにブログあなたは を探しているなら、私に知らせてください。 記事と私は|あなたはいくつかの本当に良い素晴..]

渚℃? nikon1 j5 [グレートブログ!あなたのテーマのカスタムが行われていますし、それがどこかからダウンロードしましたか? |いくつかの簡..]


2005-05-19

[economy][BOJ]再び赤字の悪夢?

5/13付「「通貨発行益(シニョリッジ)をめぐる勘違い」の勘違い」につきまして、馬車馬さんに「「お金であること」を保証するもの」と題して前編後編にわたり取り上げていただきました。これについては、色々書きたいことはあるんだけどその辺はbewaadさんが書くだろうから(笑)svnseedsさんからご指名を受けてしまったので、再度論じてみます(基本的に「前編」は準備体操なので、主として「後編」を取り上げます)。

#svnseedsさんとは逆に、svnseedsさんが書いたインフレ税を巡る議論はお任せして割愛します。

後編はまず、「貨幣が負債である理由」と題されたセクションからはじまりますが、ここで馬車馬さんは紙幣が負債であることを、パン屋からパンを借りて証文を出す事例から説き起こし、証文=紙幣なのだから負債である、と結論づけています。これはちょっと違うのではないでしょうか。

通常、お金を借りればバランスシートには「借入金」という科目を立てますから、その延長線上で考えればパンを借りてもあくまでバランスシート(の負債)に計上されるのは「借入パン」であって(この際、同時に資産に「パン」が立ちます)、紙幣であるはずもありません。馬車馬さんの例えが正しいのであれば、かつての(債券)貸借方式でレポ取引をした場合において、わざわざ現金担保を使わなくても、証文で(少なくとも日銀は)足りるはずです。

#昔は有価証券売買には有価証券取引税が課せられたので、本来売却と買戻しがセットとなったレポ(=repurchase(買戻し)の転訛)取引では往復の売買で課税されるため、わざわざ債券の貸し借りとして法的には構成をし、現金は売買代金ではなく借りた債券の担保の移動という形にして行っていました。

ですから、パンを借りるオペレーションで言うなら、単に借りただけでは馬車馬さんのおっしゃるように買ったこととは同等にはなりません。借りたパンを返せない場合には没収して下さいと現金を担保として差し入れて初めて、パンの購入と同等になる(=パンと現金を交換する)ことになるのです。

ところがこの場合の経理処理は、バランスシートの右側はどうでもよくって、単に左側において保有現金がパンに置き換わるだけです。結局、オペからスタートして考察を進めることは、発行した紙幣をバランスシートの右側においてどのように位置づけるかという問題について、何ら解答をもたらすものではないのです。

続く「お金の裏付けと物価の番人」と「バランスシート:物価の番人の剣にして鎧」のセクションについては、webmasterのエントリで言えば日銀の資産は通貨発行主体としての都合ではなく金融政策実施主体等としての都合で決まると論じた部分、および通常は好き勝手に紙幣を発行すればインフレになると論じた部分と内容は同じでしょうから、特に触れません。

最後の「ところで、通貨発行益(シニョリッジ)について」のセクションですが、馬車馬さんはwebmasterの主張を取り違えられたのではないか、と思います。どうもwebmasterがいわゆるシニョレッジを利益とすべきだと主張している前提で書かれているようですが、webmasterは通貨発行主体にとって負債と資本(⊃利益)の違いはまったくもってどうでもいいことですとか、シニョレッジ=通貨発行「益」という訳語に抵抗があるなら、通貨発行差金とか、どうやって訳したっていいとしておりまして、言葉の定義の問題に過ぎないとする馬車馬さんと違いはないはずです。

その前提で馬車馬さんの誤りを指摘させていただきますと、上でも書いたように、これは単にバランスシートの両側が増えただけのことであって、利益ではありえない。もし利益だというなら、昨今の金融緩和で日銀は巨額の利益をたたき出していないとおかしいというのは、まず「上でも書いた」というバランスシートの両側増加は、既述のとおりバランスシートの右側を制約するものではありませんから、別に資産・負債の両側を増やすと限ったものではなく、資産・資本(⊃利益)の両側を増やす構成も次のとおり可能です。

原価20円の紙やインクでこしらえた何らかの財が、例えば国債といった1万円と評価される他の財と物々交換で売買された場合、この取引だけに着目して企業会計原則に従って経理処理をすれば9,980円の利益が立ち、バランスシートで見れば資本が9,980円増加します。前回のエントリでwebmasterは将来のキャッシュアウトを見込んで負債処理だと言ったじゃないか、という反論があり得るでしょうけれど、前回紹介したとおり紙幣の平均寿命は3年から4年ですから、万札1枚あたりその寿命を3年と見込むなら3,333円、4年と見込むなら2,500円を「紙幣交換引当金」なり「紙幣交換準備金」なりとでも称する科目に毎年繰り入れることとすれば足ります。

#この場合、毎年の繰入れは費用科目になりますから、純利益計上額は6,667円ないし7,500円@万札ということになります。為念。

もっと過激に考えれば、どうせ紙幣を交換する際にはまた20円遣って用意すればいいという点に着目して、かかる引当金や準備金繰入れすらしない経理処理すら、企業会計原則の一部分のロジックを用いて正当化可能です。

このような経理処理をすれば、日銀は毎年巨額の利益をたたき出すことになります。webmasterが思うに、馬車馬さんはシニョレッジが利益か負債かは言葉の定義の問題としつつ、現に負債で処理されているという実態に引っ張られてしまったのではないでしょうか。日銀が毎年巨額の利益を計上していないのは、シニョレッジを負債で処理することとしている結果であって、つまりは言葉の定義の問題です。定義を変えれば利益は出てきます。

結局、前回も書いたことですが、通常の企業経営において行われる経済活動について、共通の性質をくくりだして比較可能なルールとして定められた企業会計原則において、通貨発行という一国に唯一の主体が行う経済活動を正しく記述する科目が存在しないのは当然です。通貨発行という活動が有する様々な性質のどれに着目するか次第で、当たらずとも遠からずの各科目の何に当てはまるかが変わってくるからこそ、シニョレッジが負債か利益かは定義の問題なのです。負債だからどうとか、利益だからこうとか、当てはめた結果から性質を逆算して考えるのは誤りなのです。

ところが馬車馬さんも指摘するとおり、このような経理処理をする中央銀行は、webmasterが知る限りではこの世に存在しません。魚のホネでも貨幣になるのだから、中央銀行の負債として扱うなんて面倒くさいことする必要ないじゃん、とつい考えてしまうのだが、それでは現状ほとんど全ての中央銀行が貨幣を負債としている理由が説明しづらい。もちろん、兌換貨幣や金本位制時代の名残と言い切ってしまっても構わないのだが、惰性の一言で説明してしまうのは無理がありすぎるとの馬車馬さんの問題意識に対して、webmasterなりに惰性の一言ではない説明を考えると、次のようなものとなります。

馬車馬さんが指摘するとおり、また、前回紹介したWitte先生のテキスト(使用許諾を求めるメールを送付したらNorthwestern Universityのメールサーバからunknown addressと突き返されたのですが、今はどこにいらっしゃるのでしょうか・・・)にあるとおり、政府支出をシニョレッジ財源でまかなうと非常に激しいインフレにつながることは経験的によく知られた事実ですし、いわゆるバーナンキの背理法で証明可能です。

通貨発行権は歴史的に政府権力の一部をなし、そこから独立した中央銀行に付与されたものですが、政府から見れば、自分が委任した通貨発行権の行使により利益が生まれるのであれば、それを召し上げようとするのは自然なことです。

ですから、不用意にシニョレッジを利益計上しようものなら、それを国庫納付せよと求められる危険があります。納付された利益を(狭義の)政府が支出財源に回せば、すなわちシニョレッジによる政府支出のファイナンスになりますから、インフレのリスクが高まってしまうのです。

(狭義の)政府が十分に賢明であれば、利益計上しておいてもそれを召し上げようとはしないでしょうから、中央銀行が広義の政府から独立する以前の慣習を変更することなく利益計上しておいてもよいわけです。十分でなくてもそれなりに賢明であれば、利益計上と一定水準の内部留保を義務づけるルールの組み合わせで国庫納付を制限すれば問題ないでしょう。しかし不幸なことに、それだけの賢明さがない場合があり得るからこそ、負債という形式で経理し、シニョレッジによる政府支出ファイナンスを回避するという技術が普及したのではないでしょうか。

シニョレッジを負債として経理しているからこそ、自己資本比率がどうのこうのといった、つまりは赤字についての批判が出てくるわけですが、それはシニョレッジを貪欲な政府から守るための見返りということになります。もちろん中央銀行がどんどん赤字を出せば、統合政府(狭義の政府+中央銀行)ベースで考えれば狭義の政府によるシニョレッジの使い込みと同じ効果が生じますが、そうでなくたまに赤字になる程度のことは、それが騒がれれば騒がれるほど、賢明なるセントラルバンカーにとっては囮の絶大なる効果にほくそ笑むこそあれ、何ら思い悩むことではないわけです。

この意味で、通常「中央銀行の独立性」といいますと、一つには金融政策実施手段の選択は中央銀行の専権事項とし政府の介入を許さないこと、一つにはその実効性を担保するために人事において政府の介入を制限することの二本柱がその意味するところですが、シニョレッジの負債計上はこれらと同一の目的を有する、広義の「中央銀行の独立性」の構成要素と位置づけられるのではないでしょうか。

#この政府不信をさらに推し進めますと、bank.of.japanさんにシニョレッジとは発行通貨の運用益であると教えた日銀の知り合いの人(ちなみにカナダ中銀サイトでも同様の説明がなされていますから、別に日銀だけを言挙げする趣旨ではありません)のように、シニョレッジの定義自体を変えてしまうという「独立性」に至るのかもしれません。そうした用法をであるなら、通貨発行に由来する部分、すなわち通常想定される資金調達コストを要さないという部分のみが通貨発行という無コスト資金調達手段の行使に由来する利益、すなわちシニョレッジと称すべきで、通常想定される資金調達コストと資金運用収入とのスプレッド部分はシニョレッジではないだろう、とwebmasterは思うのですが・・・。

なお、このテーマにつきましては、次のページで違った観点から議論が発展しています。あわせてご覧いただくことを強くお薦めする次第です。

「インフレーションの形」(@HPO:個人的な意見<br>ココログ版5/9付)

経済学とは全く無縁と思われるテーマからスタートして、最後にはデフレの「痛み」に着地するエントリですが、モデル中のセルの値として、名目値と実質値の両者を計測するようにするとさらにおもしろい結果が出てくるのではないかと思ったりします。素人のまったくの当てずっぽうですが(笑)。

「シニョレッジ」(@裏鹿5/16付)

Ljungqvist and Sargentのモデルを用いて、オペ手段による金融緩和効果の違いについて論じられていますが、その中核部分はwebmasterには全くついて行けない世界でして、当エントリに飽き足らない方々にお薦めです(どうでもいい話ですが、Ljungqvistは「ルユンクヴィスト」と読むらしいです、ということぐらいしか付け加えられる情報がありません(笑))。

「貨幣とは素数である。ナンダソリャ!?」(@徒然なる数学な日々5/17付)

bewaadさんのようにサラっと日銀のバランスシートの特殊性にのみ着目して流す流儀に賛成とおっしゃっていただいたのに、今回は粘着してしまいました・・・。ところでwebmasterが思うに、貨幣は素数というより重力子といいますか、万有引力の本質とは何かという考察に似ているような気がします。それを見いだせば歴史に残る業績なのでしょうけれども、わからなくてもとりあえずできることはいろいろある、というあたりですが、いかがでしょう。

#svnseedsさん、webmasterの引き出しではこれぐらいしか論じられませんでした。「あれは書いていないのか!」といった点が残っていましたら、是非とも取り上げていただければ。

本日のツッコミ(全9件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>ドラ様 どうぞご存分にお使いください。というより使ってもらえてとてもうれしく思います。]

svnseeds [どうも御礼が遅れてすみません。ていうかなんか仕事増やしちゃってすみません・・・。 まだちゃんと考えきれてないんです..]

bewaad [>svnseedsさん バランスシートというのはある種のものさしですから、表れている姿を見間違えていないか(センチと..]


2005-05-20

[law]特集「クール!な憲法の論じ方」@論座6月号

長谷部恭男先生、井上達夫先生、小熊英二先生というラインナップに誘われて読んだ、というyuto-nさんswan_slabさんdeadletterさんに誘われて読んでみました。それぞれ泥臭くラディカルに論じられているテキストで非常に読み応えがあります(それらを集めた特集を「クール」と呼ぶ編集のセンスはどうかと思いますが(笑))。

#関連で、「Jurist5月号」(@Uncrowned Monarch5/11付)で紹介されているジュリスト5月号が非常におもしろそうです。また積ん読が増えそう・・・。

長谷部恭男「日本の立憲主義よ、どこへ行く?」

以前先生の著書(憲法と平和を問いなおす)を取り上げさせていただいた際にも触れたことですが、立憲主義の構造的な問題というのはなかなかやっかいです(当然長谷部先生もご承知の点ではあります)。多数派の横暴を止めるための憲法それ自体が(民主政国家においては)多数派により決定されるわけで、憲法自体が多数派の横暴を取り入れて制定されてしまえば、憲法はその部分において多数派の横暴に対してストッパーとして機能しなくなってしまうからです。端的には、立憲主義に反しているからといって、その憲法が「憲法」たり得ず無効だということにはなりません。

#上記リンク先のwebmasterのテキストは、例えば長谷部先生の立論を自然法論と断ずるなど低レベルで恥ずかしい部分が含まれていて紹介などしたくもない(笑)のですが、以前にも紹介させていただいた「書くことの意義は、後から読み返して、書いた時点ではその程度にしか物事がわかっていなかったことが確認できることだ(大意)」との恩師の言葉を改めてかみしめるためにあえてさらしました。

メタ的に考えれば、このテキストや、専門書のみでなく「憲法と平和を問いなおす」といった新書で世に問われることそのものが、立憲主義の実効性を高めるための長谷部先生の愚直な試みであると思います。かく立憲主義という概念を世に知らしめ、その理解者を増やすことでしか、民主政下において立憲主義を実現することは不可能でしょうから。

しかし、それがうまくいくのかどうかについては、大いに危惧せざるを得ません。東大法学部には「ハセビアン」と呼ばれる先生のファンがいるようですが、例えばハセビアンが官僚になったところで、官僚という職業にとっては憲法はまさしく不磨の大典なのでいかんともしがたいですし・・・。

ちなみに、次の部分(p16)は楽観過ぎやしないか、と思わないでもありません。

(前略)彼らの本音のところを平たくいえば、「お前たちの心の持ちようは利己主義的でなっていない。それをただして、魂を入れ替えてやるために憲法改正案を用意してやったから承認しろ」という話である。よほどオメデタイ人でなければ、なるほどよく用意して下さいました、賛成いたしましょう、という気にはならないであろう(もっとも、利己的なのは他人だけで自分は利己的でないから賛成しようという本当にオメデタイ人もいるかもしれないが)。

いわゆる構造改革主義の普及の度合いを見ますと、「本当にオメデタイ人」の数は相当程度に上るのではないかと。

井上達夫「挑発的!9条論/削除して自己欺瞞を乗り越えよ」

おそらくは相手のレベルにあわせているからだと思いますが、webmaster程度のレベルでも反論がいくつか思い浮かびます。再反論をお伺いできれば幸いなのですが・・・。

まず改憲論者に対するものとして、次のような指摘(p18)があります。

本音の問題性とは、改憲派自身が「占領軍の押し付け」を拒否する国民的主体性回復の論理を首尾一貫受容してはいないことである。「押し付け憲法」を峻拒する改憲論者も、「押し付け農地改革」の正統性を同様な峻厳さをもって否定してはいない。ひそひそ声で文句を言うことはあっても、土地所有秩序改革のやり直しの必要を高らかに唱えたりはしない。しかし、占領勢力は憲法改正について日本政府側の松本草案を蹴ってマッカーサー草案を押し付けたように、土地所有構造改革について、日本政府回答を蹴って徹底化勧告を出し、第二次農地改革の断行を強いたのである。

この議論に対しては、例えば長谷部先生の立憲主義(プリコミットメント論)を援用して、憲法だからこそ自らを縛るという手続が重要なのであって、結果がよければそれでよしとすることができる法律以下の下位法令とは同一視できない、という主張が可能です。井上先生のおっしゃるような、改革プロセスにおける主体性の有無に注目する「手続的正統化」原理と、改革の結果の実質の是非に注目する「実体的正統化原理」とを、憲法改正と農地改革とで二重基準的・御都合主義的に使い分けている(p19)ということではなく、筋のとおった使い分けなのだと。

#長谷部先生がこういう主張をしているというわけではありません。為念。

マッチポンプ的ではありますが、井上先生の第9条削除論は、この主張に対する強力なカウンターたり得ます。おそらく改憲論者の多くが賛成するであろう第9条の削除のみを行うことにより、それ以外の規定は改正する機会があったのにしなかったということで、反射的にプリコミットメントがなされたと捉えることが可能です(この場合第9条は、ある種の生け贄になるわけですけれども)。

改憲論者に対する主張として弱いと考えられる点として、他に対米従属構造を巡る議論があります。根源的にはすべての改憲論者を押し付け論に根拠づけられたものとしているところに帰着するのですが、対米従属でいいではないか、そのために第9条を改正すべきという考えに対して、日本の国家的独立と政治的主体性の確立のために軍事力保有の必要性を説きながら、実際には、安保体制の対米従属構造を維持強化し、米国の軍事的世界戦略に日本が組み込まれることを維持しようとしていることは、改憲派の「主体性喪失」の実相を示すもう一つの証左である(pp19,20)との指摘は的はずれにならざるを得ません。

他方で護憲論者に対する絶対平和主義については、形式を某お弟子さんにお借りして(笑)、軍事力において圧倒的に優越した侵略者・弾圧者に対しては武力抵抗に訴えるより、非暴力抵抗の強い道義的アピールによって侵略者・弾圧者を非難する国際世論を高揚させる方が政治的実効性は高い(p21)との主張に疑問を投げかけておきます。

【内戦の原因は「不平」ではなく「機会」であるとの実証研究】

つ【チベット】

小熊英二「改憲という名の『自分探し』」

しゃべりから起こしたテキストであるが故か、長谷部先生や井上先生に比べて論旨にブレがあり、真意をどう考えるべきか迷うところがあります。ナショナリズムを強調する改憲論を政治に帰しているようでもあり、国民に帰しているようでもあり。どちらかというと前者が強いようですが、国民の側にそれを受け入れる素地がなければ単なるドン・キホーテに過ぎないわけで。後者を認めるような記述もあるのですが、あくまで状況の説明にとどまり、前者に対するような反論の色彩がなく消極的に肯定しているようであり、長谷部先生や井上先生の大人げなさを見習ってほしいものです(笑)。

後者に対する反論としては、いわゆる構造改革主義の見解、つまり「構造を変えないと今の低迷を脱することができない」を覆す必要があります。経済的な構造問題はその時代に応じて遍在するもので、別に今だけそれが致命的なわけではありません。しかしながらそこを90年代に入っていわゆるグローバリゼーションの波が押し寄せ、日本の経済構造が変動せざるを得なくなった(p26)と見解を同じくしてしまっているわけで、結局は同じ土俵にのっているから批判的な見解が出てくるはずもないのです。

同様に、第9条問題の背景にはアメリカの外圧があるとか、世論調査では親アジアが多数派だとか、アジア諸国という言葉で多種多様な国々の思惑・反応をまとめてしまっていることとか、事実認識の点において首をかしげざるを得ません。「アジアの国々とも安全保障の安定した枠組みを目指す」の賛成が51%で「日米安保体制を強化する」のそれが7%だって、「日米安保体制を犠牲にしてでも中国・韓国との安全保障体制の構築を目指す」という選択肢にすればおそらくは7%以下の賛成でしょう。

反欧米・親アジア主義自体、近現代日本におけるナショナリズムの現れ方の1つですが、改憲論者のナショナリズムを敵視するあまりでしょうか、小熊先生ご自身が「日本という国のあり方」が限界にきた、という認識が一般に広く共有され、新しいナショナル・アイデンティティーを築かなければならないという気分が高まっている(p25)ことの外にいるわけではなく、そうした別のナショナリズムに囚われていることに無自覚ではないかとwebmasterは思います。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

名無之直人 [どうも初めまして。いつも興味深く記事拝読させて頂いてます。 >『多数派の横暴を止めるための憲法それ自体が(民主政国..]

bewaad [>名無之直人さん 三権分立はお互いに干渉しないというよりは、同程度に干渉しあうような仕組みですから、個人的には静的な..]

ブルガリ エルゴン 調整 [タグホイヤー フォーミュラ1 レディ ベルト調整 [url=http://www.blackest-watchela..]


2005-05-21

[law]人権擁護法反対論批判 法案分析編(その7)

an_accusedさんの問題意識にお応えせねば、と思いつつ他の話題に浮気などしている間に取り上げない期間が随分空いてしまいましたが、plummetさんのところのコメント欄でご質問いただいているではありませんか。最新エントリだけをチェックしていたので気付きませんでした・・・というわけで、遅ればせながらではありますが取り急ぎお答えいたします(コメントとして回答させていただくには長いのでこちらで取り上げました)。

#その前にan_accusedさんのご意見につきましては、まだまとまっていないのでとりあえず気づきの事実関係をお示ししますと、まず行政府における法の遵守の担保ですが、内閣法制局の存在が外部の方々が思うよりよほど霞が関には重いということが挙げられます。各省庁の法の運用について、それが条文に沿ったものかどうかを国会で聞かれますと、内閣法制局は各省庁の大人の事情(笑)などはまったく斟酌せずに答弁しますので、仮に人権委員会が過去の判例等と矛盾した勧告をし、それが国会で取り上げられ内閣法制局に質問があれば、内閣法制局は間違いなく矛盾していると平気で答えますし、そうなれば政治問題化して大騒ぎになるのは必定ですから、いくら個々の人権委員が「これは人権侵害だ」と騒いでも必死で事務方は止めようとするはずです。また、国会同意人事を巡る議論は各省庁が根回しの段階でやらされています(人事は多くの人が好む話題でもあり、非常に骨が折れるものなので、多くの官僚にとってできれば担当したくない仕事の一つではあります(笑))。以上、あくまで裏事情的な話で、an_accusedさんのご懸念の解消に全く役立つものではないと自覚はしていますが・・・。

#もう1点、an_accusedさんのエントリへのJ2さんのコメントの中で、「法務省の外局」である事による独立性の考察は既に完了していましたでしょうか。(中略)正直、この部分の考察はBewaad氏も突っ込みが足りないと思うのですとのご指摘につきましては、3/13のエントリに付け加えるべきことはないというのが現時点での認識ですので、さらにご不明のところがあればご教示いただければと思います。

#ええぃ、ついでにもう1つ脱線です。百地章「憲法の常識常識の憲法」を本屋で斜め読みしたのですが(リンク先のレビューを読んでなお金を払うような物好き(笑)ではありませんので)、デモや集会、わいせつ物の出版等を公共の福祉で制限することを思いっきり認めているじゃないですか! よくもまあ人権擁護法案について、表現の自由に対して制限を課すもので違憲だなんてことを(笑)。ま、上記レビューでも、総じて著者には原理・原則、論理性といったものに対するこだわりが希薄。トピックも脈絡が無いし、引用や参照も恣意的ですとか、学者の書いた本とは思えないほど論理があまりに粗雑。/まず、賛成するには論拠が薄いです。薄い本にたくさんの内容を詰め込みすぎたせいでしょうか?/反対するにしても、論理矛盾があちこちにあるため、まともな反論にはとても耐えられない主張などというものがありますが(笑)。

さて、ご指名いただいた論点は一般救済手続の根拠なのですが、正直申し上げてan_accusedさんやOTZさんの論点をどこまでわかっているかが不安でもあり、まずは概要をお答えして、詳しくはその反応を見てから、と逃げておきます(笑)。

一般救済手続開始条件は第38条第1項において「人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれがあるとき」と規定され、根拠はここであって第2条第1項でなければ第3条第1項でもありません。

第2条第1項は言葉の定義を述べているだけだ、というOTZさんに対するan_accusedさんの指摘はごもっともなのですし、なにより第2条第1項に規定する人権侵害のみが一般救済手続に乗るとすると、第3条第2項の差別助長行為が対象でなくなってしまいます。ただし、第38条第1項はその定義を前提とした規定であるのもまた事実ですので、一概にOTZさんが誤りとも言えないと思います。

#ちなみにどうやって差別助長行為を一般救済手続の対象とするかといえば、「おそれ」に引っかけるのだとwebmasterは解します。

他方で、第3条第1項の禁止に抵触したから、というan_accusedさんのご意見も、第38条第1項があくまで被害者の目線から規定している趣旨にそぐわないと考えられます。例えば罰則規定は、「第○条の規定に違反して××をした者」といったワーディングとなりますが、第38条第1項はそうした規定ではありません。限界事例を考えれば、被害(やそのおそれ)のない人権侵害は第3条第1項で禁止されていますが、一般救済手続の対象にはなりません(実際にそうしたケースがどれほどの確率であり得るかはさておき)。

ちなみにOTZさんの問題意識の出発点である近隣の騒音公害ですが、騒音も暴行罪や傷害罪の構成要件たり得ますので、ケースによっては人権侵害に該当するとは思います。しかし、じゃあ一般の暴行罪や傷害罪を人権委員会が取り扱うかといえばそうではありませんから、おそらく今後の運用としては、話を聞くだけは聞いて(第37条第1項の「人権侵害に関する各般の問題」は人権侵害そのものでなくても該当しますから、相談は可能です。法令用語としては、「関する」はゆるい関連性を表す(逆に相対的に近しい関連性は「係る」を用います)ものなので)、悪質なものは警察へ(虐待に該当するものは自分で処理するでしょうが)、そうでないものは極力相談レベルでの解決を図るのではないか、という気がします。

#条文では定かでないので、法務省がそう考えている保証はありませんが。

この手のトラブルはちょうど警察と(現在の)法務局・人権擁護委員、地方自治体など関連する政府部局のいずれにも一義的には対応を任せづらいものです。民事不介入の原則を言い訳にできる警察ならばともかく、他はじゃけんに追い返すこともできず、まあ何かはせざるを得ないケースが多々あるでしょうから、法に定められた権限行使を対象外行為に適用するような場合を除いて、権限外だから手を出すなと整理すべきものでもないように思います。

plummetさんの同エントリのコメントで、性的指向と性的嗜好の違いについて触れられていましたが、そういう意味では例えばスカトロジーが実際には清潔であるにもかかわらず、不潔だと他のお客に思われるという理由で入店拒否をされるケースは、スカトロジーは性的嗜好ではあっても性的指向ではないので、法律上は第3条第1項第2号の「人種等を理由としてする不当な差別的取扱い」には該当しません。

#ペドフィリアもそれが差別的取扱いであれば同様の問題が生じますが、これについては多くの場合、児童虐待の文脈で法律上は取り扱われるでしょう。サディズムも同様かもしれません(愛する人にしか嗜虐は向かないのに、あたかも誰にでも行うかのような誤解に基づき差別されるような場合は差別問題ですが、虐待として取り扱われることの方が多いでしょう)。

これらが典型的に「その他の」で読み取って法の適用を受けるケースであると考えられます。

#このエントリは、以下の一連のエントリの続編です。

本編
前編(3/13)後編上(3/14)後編下(3/15)趣旨説明編(3/29)faq編(4/9)
リジョインダー編
1(3/17)2(3/18)3(3/19)4(3/20)5(3/21)6(3/22)7(3/27)8(3/30)9(3/31)10(4/2)11(4/4)12(4/5)13(4/8)
法案分析編
1(3/24)2(3/26)3(4/1)4(4/10)5(4/11)6(4/14)
正誤訂正編
1(3/25)2(4/6)
百地教授編
1(4/20)2(4/21)

[economy][BOJ]やってもうた・・・

「また、資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする。」

既にこれはまあ、素晴らしい「市場とのコミュニケーション」ぶりですね(by 田中秀臣先生)、調節方針の紙が汚くなりつつある。「なお」、「また」、「さらに」、「一方」、「しかし」…、あぁ、どこまで続くのか(by bank.of.japanさん)、ゼロ金利解除の教訓はまったく生かされていない(by 英-Ranさん)、いいかげん他人の人生を賭けて経済学の実験するのやめてくれないかなあ>日銀(by svnseedsさん)といった、金融政策に対する考え方の違いを超えて、政策の内容以前にその態度といいますかやり口の問題が指摘されていますが、webmasterからも、同様に内容以前の問題をまずは指摘したいと思います。

本気で技術的問題を理由にするなら、「今回、新しい金融調節方式の実施にあたり、長期国債買い切りオペを増額するのは、あくまで、資金供給オペの未達(いわゆる「札割れ」)が多発するケースなど、所要の資金供給を円滑に実施するうえで必要と判断される場合です」との解説をまずは撤回してみろ!

これを撤回しないうちは、札割れが起きそうなら長期国債買切りオペを増額するのが唯一の選択肢であるはずでしょうに、まったく。

本日のツッコミ(全15件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>本石町日記さん ご賛同いただきありがとうございます。 なお、22日のエントリで再度取り上げさせていただきました。..]

bewaad [>an_accusedさん 内閣法制局のそのあたりについては、近いうちにエントリを立てて論じてみたいと思います。少々..]

Eset NOD32 [<url>http://etnomania.ru/netcat_files/Media/dor13|テ甘ォテセテキテ..]


2005-05-22

[notice]internal server error修復(3月のエントリ関連)

3月のエントリを表示させようとすると発生していたinternal server errorにつき、対応しましたので無事表示されるようになっていると思います。

[economy][BOJ]やってもうた・・・(続)

昨日に引き続いて金融政策決定会合での決定(いわゆる「また書き」)についてのネット(blog)での評価ですが、むしろ周辺に話題が移っているようです。具体的には、中村宗悦先生finalventさんは報道の反応、bank.of.japanさんは決定会合と日銀の事務方との関係を論じられています。

報道については別エントリを立てますが、bank.of.japanさんのご指摘は結構気になります。今回の決定が総裁主導で事務方は消極的反対だったけれども止められなかった、ないし諦めて何もしなかった(これがbank.of.japanさんの見立て)のか、それとも事務方も(少なくともマネタリー部門は)同調していたのか。webmasterは後者だと見ています。

bank.of.japanさんのように日銀職員と常日頃から接触しているわけではありませんが、だからこその視点もあると思いますので異論を唱えるわけでして、その根拠は会合前日(18日)の日経記事です(保存のために全文転載します)。

量的緩和残高目標、下限割れ容認協議へ・日銀

日銀は19、20日に開く政策委員会・金融政策決定会合で、量的金融緩和策の誘導目標である当座預金残高(30兆―35兆円程度)が一時的に下限を割り込むことを容認する方策を協議する。同時に資金供給の強化策も盛り込む方向で検討する。金融不安の後退で金融機関の資金需要が減り、残高目標を維持するだけの資金供給が難しくなっていることに対応する。

日銀は2001年3月から金融政策の対象を金利から当座預金残高に切り替える量的緩和策を導入。その後、景気悪化や金融不安に対応するために段階的に資金供給目標を引き上げてきたが、金融不安は後退、17日発表の1―3月期の実質国内総生産(GDP)速報値も前期比年率で5.3%増という高い伸びになった。目標水準の引き下げを容認すべきだとの意見が政策委員の間からも出てきた。 (07:00)

オペの手直し(「短期国債売買および国債の条件付売買における売買対象先選定基本要領」の一部改正等について)を含め正確な予測ですが、これは非常に高い確率でアドバルーン、つまりその反応を見て最終決定をするためのリークでしょう。結局、さしたる拒否反応もなかったのでそのまま実行されましたが、もし激烈な拒否反応があった場合には各審議委員に「やっぱりあの話は今回は見送ります」という根回しをせざるを得ず、そのためには時間もないので手駒が必要だからです。

もちろん、総裁や事務方が事実上決定権を握り、審議委員がそれらの意のままに動いているという予測をしているわけではありません。ただ、今回の話は技術的問題を理由にしているわけで、事務方がそうした技術的問題があるといってしまえば、各審議委員にはその事実関係を確認するすべは事実上なく、「また書き」(7票)か目標の引下げ(2票)のどちらかしか選択の余地はないと誘導されても不思議はありませんので・・・。

#そんなことがあってほしいとは全く思いませんが、やたらと技術的問題だと振りかざすのは、そうした審議委員対応が最大の理由だったりして(笑)。

[economy][BOJ][media]「また書き」をめぐる各紙社説

というわけでメディアの対応です。21日の社説で、全国紙では東京新聞以外の各紙が取り上げました。リフレ派の観点から採点もしつつ、それぞれ見てみましょう(カッコ内はwebmasterの寸評です)。

朝日「金融政策 曲がり角の「量的緩和」」

評価できる点
(なし)
評価できない点
  • 20日の金融政策決定会合では、目標額そのものは据え置いたが、一時的に下限を割ることを容認することにした。金融市場の動きを踏まえた現実的な対応といえるだろう。(現実的かどうか検証してください。)
  • 量的緩和策の解除を早めるかのような印象をもたれることは避けるべきで、無理をしすぎない程度なら、現状の水準を維持するという判断は無難なところだろう。(なぜ「また書き」は「解除を早めるかのような印象をもたれること」ではないのでしょうか。あと、無理せず当預残高がここまでつみあがるわけないでしょうに(笑)。無理にやるべき政策に無理しすぎるなっていうのも・・・。)
総合評価
基本的に毒にも薬にもならない社説です。評価できないとした点も、日銀の言うことを引き写しているだけで批判精神がないということであって、妙な自説を唱えているというわけではありません。40点。

読売「[量的緩和政策]「デフレ完全脱却まで粘り強く」」

評価できる点
  • 将来のインフレを心配するよりも、現在のデフレを退治することが最優先課題であることに変わりはない。(当然のことでもきちんと繰り返す姿勢には拍手。)
  • 日銀は、量的緩和政策の解除の条件をすでに決めている。消費者物価指数の上昇率が安定的に0%以上にまで改善することなどだ。つまりデフレからの完全脱却を果たすことが解除の時点となる。(解除=事実上のゼロ金利解除であることにかんがみれば、デフレが脱却する前に徐々に当預残高目標は引き下げられるので、本当はこの主張では問題だと思いますが、多分、デフレ脱却後に引き下げろということが真意であろうと甘く見ました。)
評価できない点
  • こうした資金需要の変化によって目標値が維持できないことがあっても、そのこと自体は許容されるべきだろう。(やっぱりみんな技術的問題を持ち出されると弱いですねぇ。)
総合評価
従来からのスタンスどおりリフレ派よりの主張です。「リフレ派の観点から採点」なので、70点。

毎日「量的緩和策 残高目標を削減する時期だ」

評価できる点
(なし)
評価できない点
  • 今回は政策の柔軟化にとどまったが、次は残高目標の切り下げに踏み込むよう期待したい。(妙な期待しないでください。)
  • このような前代未聞の政策に踏み出したのは、銀行が巨額の不良債権を抱え、金融不安が起きかねなかったのが真の動機だ。(monetary policyに「金融政策」の訳語を当てるのが間違っているような気がしてきました。「貨幣政策」とかなら、こんなマネタリーとプルーデンスを同じ「金融」でくくる誤読は出てこなくなるのではないかと。。)
  • いま日銀当座預金残高が30兆〜35兆円でなければなにか問題が起きるだろうか。銀行が貸し渋りに走って景気が悪くなるだろうか。(銀行の貸出残高っていつ傾向的な増加に転じてましたっけ?)
  • 貸し出しでなく国債購入にまわしたので「国債バブル」ともいうべき状況になった。長期金利が低下したことを成果とみることも可能だが、いまでは逆に、バブル崩壊の脅威の方が大きい。効果が不明で資金の流れをゆがめる政策となっている。([[原田泰さんの本|http://reflation.bblog.jp/daily/2004-12-2/]]を読め。ちなみに「資金の流れをゆがめる政策」って意味不明です。短資会社の回し者ですら、無担コール市場が死ぬとはいっても、資金の流れがゆがんでいるとは言ってなかったような。)
  • 30兆円以上の残高維持が難しくなってきた。銀行がこれ以上、万一のための資金はいらないといっているのである。金融不安が遠のいた証拠だ。量的緩和を続ける必要性が薄れている。(技術論鵜呑み+マネタリーとプルーデンスの混同のあわせ技。)
  • 量的緩和の枠組みは約束した以上、消費者物価が安定的にプラスになるまで残す必要があるが、量にこだわる必要はない。量的緩和策の出口をにらんで残高の目標自体を切り下げていくべきだ。(ほらほら読売さん、こういう手合いがいるんですよ・・・。)
  • 政府は財政再建を進めれば、財政がデフレ的にはたらくことを懸念し、金融政策に経済運営の責任を負わせようとしている。財政・金融は経済政策の両輪として協調する必要はあるが、金融に非常識を期待するのは間違いだ。(そこまで言うなら、「デフレ脱却は金融政策ではなく財政支出で」と主張してみてほしいものです。)
総合評価
さすがに期待どおり(笑)。0点。

日経「日銀は市場との対話に万全を期せ」

評価できる点
  • 政府との協調も含めてデフレ脱却に向けた金融政策運営に誤解が生じないように市場との対話に万全を期す必要がある。(市場との対話はもちろんですが、政府との協調も同時に訴えるところがポイント高いです。)
  • 中央銀行として一刻も早く量的緩和という異例の政策から抜け出したいという気持ちはわかるが、急ぎすぎて市場に誤ったサインを送っては逆効果になる。(そのとおりだと思います。(日銀から見れば)正しいサインを送っているといううがった見方をwebmasterはしてますが(笑)。)
評価できない点
  • あくまでも技術的調整で、政策意図はないということだ。市場の実情にあわせるとともに、金融緩和姿勢の継続を明確にした点で現実的な対応といえる。(やっぱりみんな技術t(ry。)
総合評価
あの日経が、とうれしい誤算です。ちらほら見られる福井体制へのほめ言葉も牽制かあてこすりではないかと思ってしまうほどです(笑)。80点。

産経「量的緩和 政策転換を焦る必要ない」

評価できる点
  • 日銀は政策転換を焦る必要はない。今回見せた「慎重さ」をもうしばらく維持してほしい。(今回のことを「慎重さ」と表現するのはちょっとマイナスですが、引下げには反対であるという趣旨だと受け止めます。)
評価できない点
  • 現状を追認しつつ、三十兆−三十五兆円という当座預金残高目標そのものは触らず、量的緩和策の堅持を強調するという決定は妥当なものといえる。(やっぱりm(ry。)
総合評価
朝日と同じ路線といいますか、日銀の(本音かどうかは知りませんが)公式見解をなぞったものでしょう。50点。
本日のツッコミ(全488件) [ツッコミを入れる]

Before...

???鐓ф???鐓ф????????冦????い?????BH13723P???????870????°? [私は今| 本当に本当にあなたのデザインとレイアウトを楽しんで。それはなっている目には非常に簡単ですそれがはるか??..]

??徐???????????數搴???AQR-18D(W)????儷????抽????????閲?細184?????儷 [ブログサイトあなたのテーマ/デザイン|本当に楽しんで愛する|私は私は。互換性の問題の問題あなたは今までどんな に遭遇..]

32S8 東芝 REGZA 32型 おまかせオートピクチャー搭載 液晶テレビ [ちょっとそこ!ポスト|私は本当に|あなたのこれは私のまず第一がある。同じを扱う上で行く他のブログ/ウェブサイト/フォ..]


2005-05-23

[notice]ATS-Pについての訂正

これまで、福知山線事故に関連して、ATS-Pが整備されていた場合に本件事故について有効であり得たかどうかという検討にあたり、ひな私語録 ブログ版のテキストを引いてきましたが、5/20に「【福知山線脱線事故】記事内容についてのお詫びと訂正」というエントリが公開されました。

つきましては、リンクを張った以下のエントリにつきましては、その点を留意してご覧いただきたいと思います(その旨追記させていただきました)。

hinaさんのテキストを読んでその内容に納得し引用したのはwebmaster自身ですので、上記エントリがミスリードとなったのはひとえにwebmasterの責任です。お詫びして訂正させていただきます。


2005-05-24

[law]井上達夫先生の憲法論・再論

先日、「論座」6月号掲載の井上先生の憲法論を論じた際、ずうずうしいお願いになってしまうので明言は避けましたが、大屋先生のコメントをいただければという願いを行間に込めまくったところ、意を酌み取ってか丹念にご議論いただきました。本当にありがとうございます。

以下、少しなりとも議論を発展させられることを願いつつ、大屋先生のご議論に対するwebmasterの見解を述べていきたいと思います。なるべく井上先生の立論を大屋先生が代弁している部分と、大屋先生ご自身の立論の部分をきちんと区別しつつ進めていくつもりですが、混同がございましたらごめんなさい。

「押し付け」憲法論について

最初に、議論の構造をラフに示します(論点を明確化するため用語を変更している部分があり、それによるミスリードや原意のすり替わりはすべてwebmasterに責任があります)。

  1. 井上先生が、「押し付け」憲法論者は「押し付け」農地改革を許容しており、ダブルスタンダードではないか、と主張。
  2. webmasterが、憲法とそれ以外では「押し付け」の意味が違い得て、憲法=主権者のコミットメントという文脈においては、憲法のみが「押し付け」という事実のみで正統性が否定され得る(この場合、ダブルスタンダードとの批判は当たらない)、と指摘。
  3. 大屋先生が、農地改革は単なる土地政策ではなく実質的に統治機構の枠組みを定めたものであり、「憲法とそれ以外」という二項対立においては「憲法」の側のものとして捉えるべき(したがって、引き続きダブルスタンダードとの批判は妥当する)、というのが井上先生の主張ではないか、と指摘。

#なお、webmasterは「押し付け」憲法論者ではないので、以下はあくまで議論のための議論(このサイトのテキストはもともとそんなものばかりだろ、という点は見逃していただければ)とご了解下さい。

大屋先生のご指摘が正しく井上先生の立論を代弁しているとの前提で申し上げますと、「憲法とそれ以外」という二項対立を受け入れてしまうのであれば、相当程度ダブルスタンダード論による批判は力を失ってしまうのではないかと思います。まずなにより、「成文憲法」以外に「不文憲法」的部分をどこまで上記二項対立において「憲法」側に組み入れるべきかは拡散的な議論ですから、切れ味が鈍るのは不可避です。

さらにその拡散的な議論の内容としても、農地改革を「憲法」側に組み入れるべきとする立場には疑問があります。農地改革がどの程度統治機構の枠組みに影響があったかという観点からも論じられますが、ここでは影響の多寡にかかわらずそれが状況依存的ではないか、との指摘をしておきたいです。

例えば最近、構造改革の文脈において企業による農地経営を巡る議論があるように、農地改革が単なる土地政策にとどまらず統治機構の枠組みに影響を与えた(という前提自体の適切性はここでは問いません)のは、あくまで状況依存的なものであったとwebmasterは考えます。とすれば、井上先生の第9条の取り上げ方が、それが状況依存的であるが故に憲法の条項としては不適切であるというものであることに照らせば、農地改革は当時の影響の如何にかかわらず「それ以外」の側に組み入れるべきではないでしょうか。

考えられる反論として、あくまで第9条は硬性憲法たる成文憲法の条項には不適切であるとしても、そこで定められているような国家の戦争に対するスタンスは軟性憲法としての不文憲法の性質を有するとすれば、農地改革も同様に「成文憲法とそれ以外」という二項対立においては「それ以外」であることと、プリコミットメント論の文脈における「憲法とそれ以外」という二項対立においては「憲法」であることが矛盾なく成立するのかな、とは思いますが・・・。

絶対的平和主義について

まず確認ですが、あらゆる暴力的抵抗を否定するという意味での絶対的平和主義が、御都合主義的な平和主義=他人の暴力に依存しての自らの暴力放棄の享受への批判たり得るためには、絶対的平和主義は「正義」なのであらゆる犠牲を払ってでも実現すべきとするか、それとも絶対的平和主義の有効性を示すかのいずれかのロジックとなり、前者は妥当しないのであり得るとすれば後者だという点においては、井上先生、大屋先生及びwebmasterの間に見解の相違はないと考えています。webmasterはその先として、絶対的平和主義の有効性に疑義を提示しました。

前回のwebmasterのように確かにチベットという一例を挙げたのみでは、絶対的平和主義の有効性についての十分な批判たり得ないのは大屋先生ご指摘のとおりです。しかし逆に問い返すなら、本当に今まで有効な絶対的平和主義運動は存在したのでしょうか。

井上先生、大屋先生ともにマハトマ・ガンディーを例として挙げますが、有効性を議論するのであれば、単に独立に成功したという結果だけではなく、武装蜂起による独立路線が仮に行われていた場合よりもそれが早くand/or犠牲が少なく達成された蓋然性がなければならないはずです。

#その思想的影響力を軽視するものでは全くありませんが、そちらからの議論では先に否定した「正義」に依存したものになってしまいます。

そこを捨象するとしても、他の例としては、井上先生はマーティン・ルーサー・キングを挙げます(正確には例示というより関連性を指摘しています)があれは国内の政治運動ですし、大屋先生はヴェトナム戦争期の平和運動を挙げますがべ平連などの先進国におけるそれはやはり国内の政治運動ですし、だいたいヴェトナムではヴェトコンが現に戦争をしていたわけですし(笑)。

結局、甘めに見てもインド独立運動がおそらくは唯一の例で、他方で武力による抵抗の成功事例は歴史上いくらでもあるわけですから、絶対的平和主義が有効性については、それがどの程度かというところを抜きにして、定性的に有効である可能性がゼロでないというのみでは説得力に欠けるのではないでしょうか。

[economy]祝! 田中秀臣の「ノーガード経済論戦」(田中先生の新blog)スタート

告知があったのは23日付なのですが、先日付ではじまっているじゃないですか!

というわけで取り急ぎ、既にこの前の日銀の政策決定会合や(「盟友」は明らかに力量不足なのですが)、森嶋通夫先生の「構造改革論」が取り上げられていますが、皆様ふるってご覧いただきますよう、お薦めする次第です。

#hot wired japanということで、人権擁護法関係で当サイトにお越しの方々にとっては今はなき某blogを連想させるものがあるかもしれませんが(笑)、まずはご覧になっていただければ。

ところで田中先生、あちらはそのうち、"Koreans Lovers Live"か何かに改名されるご予定などございませんか?(笑)

本日のツッコミ(全13件) [ツッコミを入れる]

Before...

JSF [ハンガリー民主フォーラム(Fidesz-MDF)の功績を無視する市民運動系の人も珍しいな・・・]

JSF [ところでうしはウクライナの民主化革命は平和的抵抗運動の成果ではないと考えているのですか? >平和的抵抗も成功させる..]

bewaad [>皆様 回答が遅れておりまして恐縮です。 >JSFさん 中央アジア関係は、佐藤優氏もその重要性を指摘しているにもか..]


2005-05-25

[media]「ブロゴミ」ねぇ・・・

人権擁護法案関連のネット上の論争においては、webmasterとは対照的にわかりやすく説明されるが故に反対派の標的にもなってしまった若隠居さんが、次の3つのエントリにおいて「T記者名暴露:新時代象徴なら貧しすぎる [ブログ時評23]」(@ブログ時評5/22付)を論じていらっしゃいます。

webmasterについて過分な評価とともに触れていただいていたので興味を持って、団藤さんのテキストを拝読いたしましたが、blogによる集団舌禍事件が将来起こる可能性があるとの結論には同意するものの、いくつか気になる点がありました。既に他の方々がなされている指摘と同じ指摘をしてもリソースの無駄ですので、それほどは重ならないものを3点指摘いたします。

第1点ですが、福知山線事故関連での読売新聞記者の実名暴露について、実はリアルな世界を動かした最初の例かと気になりつつ、これが新時代の象徴なら余りに貧しすぎるとblogによる言及を評していらっしゃいますが、すでにコメント欄で回転子さんがおっしゃっているように、なぜこれを「最初」とお考えなのかが疑問です。

blogというページの形式に限定すればギリギリそう言えなくもないのかもしれませんが、2ちゃんねるでの「祭り」の例がいくらでもあるように、ネット(でのアマチュアによる)メディアがそのようなオフでの動きにつながったことについて、今回をそう特別視すべきものなのでしょうか(webmasterが記憶する限り、最初の日本での事例はフランス核実験反対運動です)。対象が同業者だったから特別に見えたのでは、というように勘ぐられても仕方がないでしょう。

#「ブロゴミ」なんていう妙ちきりんな造語をしなくても、「便所の落書き」とか「チラシの裏」とか、由緒正しい蔑称はいくらでもあるでしょうに(笑。まさか知らなかったりして)。

第2点ですが、いろいろなblogで散見される記者への糾弾について、自ら「社会的制裁」を加えて自己満足をしている、という意味では問題の記者の行為となんら変わりがないというbrotherjinさんのテキストを引いて、それを喝破しているとされているので、団藤さんもbrotherjinさんと同じご意見だという前提で申し上げれば、行為自体は変わりがないとしても、その重大さは全く違うでしょう。

というのも、自腹を切ってコスト負担をし時間を使ってテキストを公開しているbloggerは、それを自己満足のためにやっているのは当然です。他方で、会社から給料をもらって職業として報道活動をしているメディアの人間がそれを自己満足のためにやっているのは、それを当然だとは到底言い得ません(当然だと主張するのであれば、メディアの職業倫理も堕ちたものだと思いますが)。

第3点ですが、導く者と導かれる者の二項対立を前提とし、間違った方向へ集団を導くことの危険性を指摘しているように思えるのですが、そもそもそうした二項対立を前提とすることに疑問を感じます。おそらくはメディア以上に大衆の反応に敏感である企業のマーケティング部門の方々はよくご承知かと思いますが、思ったように導くなんてことは狙ったからといって可能とは限らず、良きにつけ悪しきにつけ思わぬ反応ということも珍しくはありません。

「間違った」メディアやblogを非難するのは、何らかの外部を設定してそこに原因を押し付け自らを安全な位置に置くという意味において、実名を暴露された読売新聞記者やそれに乗るbloggerとそれこそ「なんら変わりがない」でしょう。昨日紹介した大屋先生のエントリ中の次のテキストをご覧いただければ、その趣旨はおわかりいただけるのではないでしょうか。

彼らは「殺されるくらいなら殺す(でもできれば殺したくないな)」という我々の都合のいい欲望の産物であり、我々の一部である。少なくとも私自身は、道徳より私の生命を優先する。軍隊も警察も私の一部の疎外であり、私の外部としての対象ではない。疎外した自らの欲望を憎悪する偽善を告発しようとする点において私は井上達夫を支持しており、しかしその後に我々の立場は分かれる。それは我が師が善人であり、私自身が悪人であることの帰結である。煩悩無数誓願断/法門無尽誓願学。

#上記引用部中「彼ら」とは自衛隊員(を含む志願制軍隊における軍人)のことです。

[government]「総務省郵政担当幹部「更迭」。何故いけない?民間企業では当然ですよ。」(@清谷防衛経済研究所 ブログ分室5/23付)

上記エントリの関連でいろいろなページを見ている中で、標記の清谷さんのエントリを拝見し非常に疑問に思ったので、以下に記しておきます。

清谷さんは総務省官僚の事実上の更迭について、民間企業であれば持ち株会社ないし、親会社の社長が子会社の役員のなかに、自分の方針に公然と反対する人物がいれば彼らの更迭を命じるのは当たり前のことですですとか、ひとり、官僚のみが上司、しかも国民の選んだ政治家が官僚の人事に口を挟むのは言語道断、という。同じことを軍人がやればクーデターですよと指摘されています。

つまり、郵政民営化の是非ではなく、反対意見であったということのみをもって、この「更迭」は当然であり正しかったということがご指摘の趣旨かと存じます。

であるなら、次の各問はすべてyesということなのでしょうか? 同様の問いはいくらでも作ることができますが、軍事ジャーナリストとのことですから、軍関係の話で。

  1. インパール作戦を巡る南方総軍稲田参謀副長、ビルマ方面軍第15軍小畑参謀長、山内、柳田、佐藤各師団長の更迭・解任(その他にも牟田口第15軍司令官はいろいろ人事権を行使していますが、代表例ということで)は当然であり正しかったとお考えでしょうか?
  2. これらの人々によるインパール作戦への反対意見の表明は軍人がやったことなので、「クーデター」だとお考えでしょうか?
  3. これらの人々は、どれだけ反対であっても更迭・解任につながるような行動をとるべきではなかったとお考えでしょうか?

JSFさんがご紹介のはてなキーワード「清谷信一」では、その批判が的外れな批判であることも多いため、軍事マニアからはあまり評価が高くないとのことですけれども(笑)。

[economy][BOJ]日銀の釈明

前回の下限割れ容認の金融政策決定会合ですが、その後の福井総裁の記者会見の模様がネットで23日に公開されました(すっかり忘れてました。ドラめもんさんありがとうございます)。

そこでは、webmasterが指摘した、札割れが起こるようなら長期国債買切オペを増やすというのが従来の説明だったではないか、との質問が記者からなされ、それに対して回答がなされています。とくと拝見しましょう。

(問) 3点質問がある。まず、1点目は、デフレ脱却まで、つまり3条件をクリアする時まで、当座預金残高目標の下限30兆円程度は声明文の中においても維持すると認識して良いのかどうか伺いたい。2点目は、2001年3月19日に量的緩和の導入を決めた際に、必要であるならば長期国債の買い切り額を増やすと書いてあるが、「オペをとことんやる」というならば、選択肢として長期国債の買い切り額を増やすということが念頭にないのかを伺いたい。3点目は、人民元が切り上げられるのではないかという観測が活発だった頃には、為替は円高方向に振れたが、人民元高の観測が出てくるとなぜ円高方向になりやすいのか、どのように分析したらよいか伺いたい。

(答) 量的緩和の枠組みについて改めて申し上げると、これは所要準備額を大幅に上回る流動性を供給し続ける、それを消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるまで続ける、ということに尽きる。30〜35兆円程度という数字そのものということとは一応切り離した概念だと思う。さりとて、30兆円程度というのを軽々しく削減することがあるか、今から予定しているか、今回積み残しているのか、と言えばそういうこともない。すべて今後の情勢次第であり、金融政策決定会合できちんと正確に判断していく事柄だとご理解頂きたいと思う。

長期国債買い切りの増額については、デフレ・スパイラルのリスクを含みながら経済情勢がどんどん悪くなっていく、そして市場の中における信用不安に絡んで資金需要がどんどん増えていくという中にあっては、日本銀行のバランス・シートを極端に歪めてでも対応しなければならないということが、おそらく暗黙のうちに前提となって行われてきたと思う。その点に関しては、今、明らかに状況が違っているわけである。日本銀行のバランス・シートに大きなディストーション(歪み)をもたらすと、将来のオペレーションの弾力性を著しく欠き、将来の金融政策に責任が持てなくなる。長期国債についてオペレーションの額を増やすという考えは、そういう観点から容易に出てこない考えだとご理解頂きたいと思う。

最後のご質問に対する答えについては、私にはまったくわからない。人民元に関するルーマーによって動いているのか、実際に人民元が切り上げられた時にも円高になるのか、その方向性は私には残念ながら全くわからない。「市場に聞いて欲しい」という以外に何とも答えようがないと思う。

総裁記者会見要旨 ( 5月20日)

ドラめもんさんが24日付テキストで言い訳に持ち出した悪魔祓いの呪文のような気がすると評されているのが傑作で(笑。ちなみに他の部分についてもユーモアと批判精神にあふれるテキストです)、これ以上付け加えるべきものもないため、割愛された第1点を他の要注目点と推しておきます。

というのも、この決定に関する各紙の論調を取り上げた際に言及したことですが、解除3条件を満たした場合には量的緩和解消に向けて動き出すということなのか、それとも満たした瞬間に量的緩和を終了することができるよう、満たす前から残高引下げを進めるのかには議論があるからです。webmasterはてっきり後者だと思っていましたが、これまた蒟蒻問答で、今後に含みがあるというか、ひょっとして裁量の余地が多ければ多いほどいいと思ってません?

本日のツッコミ(全34331件) [ツッコミを入れる]

Before...

fmktns855 [choller outtwine karyotype distressingly <a href="http:..]

uyoebb287 [tuples pubococcygeal scabiesidledlawrencite <a href="ht..]

ucclal336 [egremoigne volkswagens insurersvulgarismequidimensional..]


2005-05-26

[economy][BOJ]金融政策決定会合議事要旨/(2005年 4月5、6日開催分)

読んでいて気分の悪くなるような内容、ちょっとめまいがしたとまでbank.of.japanさんが評する標記ですが、まったくもっておっしゃるとおりです。

#これでは人権委員の選任は国会同意人事というこれ以上ない厳格な手続だから、結果が伴わなくとも持って瞑すべしとしていたwebmasterの立場がないじゃありませんか(笑)。

ジョークにでもしなければ取り上げる気にもなりませんので、定番ものをアレンジして。

日銀番記者
「4月の日銀金融政策決定会合について、いいニュースと悪いニュース、そして最悪のニュースがある。どれから聞きたい?」
webmaster
「まず、いいニュースを聞かせてくれ」
日銀番記者
「委員の中に、強力な金融緩和策を維持することによって将来インフレや資産価格の過度な上昇が生じる可能性は否定できないが、現時点では、依然として物価下落率が拡大した場合のコストの方が大きいと述べ、資金余剰感の強まりを背景に金融機関が余剰資金の運用に苦慮していることは事実であるが、こうした状況は、金融機関が必要とする以上の流動性を供給することを通じて金融機関行動に働きかけるという観点からは、量的緩和政策の本来の効果が発揮されてきたものとみることも可能であると発言した委員がいることだ」
webmaster
「じゃあ、悪いニュースは?」
日銀番記者
「それが1人しかいないことだ」
webmaster
「・・・最悪は?」
日銀番記者
「その委員は、この会合を最後に退任だ」

#上記引用部分が植田前審議委員の発言であるとの推測に基づいております。

ところでこの会合について、bank.of.japanさんは何と解除条件の見直し論まで浮上している。強化方向か、緩和方向かは判然としないが、どうも緩和、それもCPIペッグをやめるような感じアリ。まずいのではないか。政策運営の『憲法改正』だろうとも指摘されていますが、昨日触れましたように、そもそも「解除」の定義を曖昧にしているわけですから、既に事実上改正されてしまったような気がいたします。

さらに言えば、金融政策を決定するはずの会合においてこれだけプルーデンスの話が持ち込まれるようなら、旧大蔵省の財金分離ならぬ日銀の通金分離(マネタリーとプルーデンスの分離)を冗談抜きに検討すべきではないかと思います。通貨政策(旧称(笑)金融政策)変更の隠れ蓑にプルーデンスが使われるのはもううんざりですし、ひょっとして彼(女)ら自身(審議委員。さすがに日銀事務局は違うと信じたいです)本気で混同しているのであればなおさらですから。

[economy]鍋象さん=心情的ケインジアンさん!

2ちゃん経済板のNHK BSディベート ヲチスレに、番組公式ページの掲示板にてご活躍の鍋象さんがいろいろと書き込まれています。といってまだ生きているスレなのでその内容は直接ご覧いただければと思います(レス番334は特にユーモアとペーソスにあふれていて一押しです)が、鍋象さんから、昔、心情的ケインジアンのコテハンで書き込んだんだけど、財務省の中にもドーマーの定理とI-Sバランスを理解している人は確実にいるとの衝撃の告白が。

#後半が、ではなく(笑)、エントリの表題の部分が、です。

実はこの心情的ケインジアンさんとしての書き込み、歴史的価値があるといっていい貴重な証言だと思いますが、そのスレ(官僚による机上の空論が日本を駄目にした)は現在dat落ちしていますので、転載させていただきます。かなり長くなりますが、ご容赦を。

317 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 22:59

冒頭、財務局の偉い方が、基調報告をしました。内容について、詳しくメモをとったわけではありませんので、僕が聞いていて、ムカっと来た部分に重点がおかれすぎている嫌いがあるという事をご理解していただいた上で聞いてください。

318 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:01

1.デフレと不況は違う

デフレとは物価の2年以上の継続的な下落である。そういう意味では、現在はデフレである。

しかるに、最近はデフレ=不況という用法がまかり通っており、これはおかしい。各種統計指標を見ても、決して不況ではなく、実質GDPは成長をしている。今は、特に不況とはいえない。

※ぶちきれ発言その1

319 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:03

2.既存店ベース売上の誤解

良く、小売業では既存店ベースの売上が落ちているという話が出ているが、店舗数が増えているので、全体としての売上は増えているかも知れない。実際に、小売統計などでは、そういう数字が出ている。

競争が激化しているだけで、決して不況ではないのです。

320 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:04

3.インフレターゲットについて

インフレターゲットというものが、世間では騒がれていますが、インフレと景気は無関係なので、物価だけ上げれば景気が回復するものではない。

※ぶち切れ発言3

321 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:07

4.国の財政について

公債利払いの発散の懸念があり、低金利のためなんとか現状を保っている状態。財政再建に向けて努力をしている。2006年度までに財政均衡をもたらしたい。

※後で、横にいた人が、プライマリーバランスについて説明

※その際、ドーマーの定理について口を滑らす

322 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:08

5.先行減税についてひとくさり

長期的には財政均衡させるために、増税するが、事業承継対策相続税対策などの減税を打ち出している。

323 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:09

6.景気対策について

財務省としては出来ることがない。皆さんが、悲観することなく一生懸命仕事をすることで景気は持ち直すだろう。

※ぶちきれ発言3

324 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:10

この後、個別の政策減税・補助金についての愚にもつかない話(実施手順、補助金の効率)が議論になり、時間終了。

325 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:15

最後に、オブザーバからの質問を1つだけ受け付けてくれたので、本当は山ほど言いたい事があったのですが、1点だけ質問と意見を述べさせてもらいました。

(質問趣旨)
冒頭の発言で、デフレと不況は違うという発言がありましたが、名目GDPは1997年の523兆から2002年の500兆へ23兆も減っている。これは、23兆円の市場の消滅(厳密に言うと、23兆の付加価値=粗利益の消滅であり売上高換算ではもっと多い)を意味します。この点については、どうお考えでしょうか?

(回答)
各種統計を見ても、実質成長率は1%程度あり、問題はないと考えている。経済は成長しています。不況ではありません。

326 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:17

この発言にまたぶち切れて、最後に意見を一言

(意見)
ここが意見交換の場であるならば、我々の景況感をもっと真剣に受け止めるべき。統計の数値の解釈から、不況ではありませんという説明をするだけなら、意味がありません。

この発言で、時間切れとなり(これは打ち切りという意味ではなく、本当に時間一杯となった)終了。

327 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:29

会議の間、質問・反論用にまとめたノートを抜粋します。

1.財政赤字について

単年度でのプライマリーバランスは、マクロの恒等式ではG-T=0を意味する。I-Sバランスの方程式により
S-I=G-T+(EX-IM)

つまり、投資に対する貯蓄超過がある間は、その貯蓄超過額は、政府の財政赤字と貿易黒字で埋め合わせる事になる。

ここに上がっている変数のうち、もっとも能動的に動かせるのはGであり、これを減らすとプライマリーバランスは好転しそうであるが、S-I(大雑把にいって、国民所得、景気予測、実質金利の従属値)やEX-IM(為替レート、外国の景気、国内の景気で決まる従属値)が変化しないとすれば、そのしわ寄せは全て、税収Tに現れる。

現に、プライマリーバランスの推移表を見る限り、昭和62年〜平成3年の、所謂バブル前の好況期に好転しているが、それ以後は悪化する一方。

※配布資料「財政の現状と今後のあり方」(財務省 平成15年3月)P.6「コラム プライマリーバランス」

先行き不透明な景気情勢が、リストラ・事業撤退・工場閉鎖・倒産などを生み、投資減退の原因となっている。また、フィッシャー方程式に現在の金利・物価上昇率を当てはめて見るとわかるように、企業が感じる実質金利はデフレ下では異常に高金利になっていると言える。

プライマリーバランスを改善するには、税制の改革などではなく、実質金利の引下げと、景気先行き見通しが好転するような経済政策が必要。

328 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:33

2.公債利払いの問題

ハロッド=ドーマーの定理により、名目成長率が名目金利(国債の発行金利)より低くなると、公債利払いは発散する。

つまり、実質成長率がプラスだから景気はなんとかなっているという判断を百歩譲って認めるとしても、財務省の財政の立場からは、名目成長率をプラスにした上で、中央銀行に名目金利を低め誘導してもらう必要があるのではないか?

なお、名目成長率がプラスで名目金利をそれより低め誘導するという事は、実質金利をマイナスに誘導する事を意味し、1.で述べた投資−貯蓄ギャップを埋める助けにもなるはず。

思い出した。財務局の奴ら、名目金利と物価はパラレルで動くと言っていやがった。養護みたいな事を言っていやがる。

330 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:40

3.景気対策は誰がやるのか?

景気対策についての役割分担を表にまとめてみました。

            財政政策    金融政策      民間部門
ケインジアン時代    景気浮揚策  インフレ抑制策   物価高、高金利に苦しむ
ニューケインジアン時代 財政中立   景気安定化     物価安定、低金利
                 (インフレターゲット)
日本の現状       財政中立   インフレ抑制策   民間に景気回復を求める(構造改革)

世界の潮流は、中央銀行がインフレターゲットで景気安定化を図る時代になっているが、日本は政府財政だけが財政中立を唱え、日銀が相変わらずインフレ抑制しか考えていない。財務省が手詰まりなのは、理解できるが、日銀に働きかける事を放棄して、民間部門に景気回復をゆだねようとするのは、合成の誤謬を悪化させるだけではないか?

ちなみに、財務局の方は、何度も何度も「実際には景気は悪くないんです。皆さんももっと安心して企業活動に励んでください。」と言っていた。政府の政策の限界を感じているのだろう。景気回復を、民需にお願いしているような口ぶりだった。

どうせなら、「景気回復は国民の務め。貯蓄をするよりまず消費。」とか、適当なスローガン作って流行らせた方が、まだ可愛げがあると感じた。

334 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:50

4.国の通貨発行

国債は国の通貨発行券の延長に存在する。

国が自分で通貨発行をすると、税収不足を通貨発行で補い、高インフレを許容してしまう恐れがあるため、>>330のケインズ時代の役割分担のごとく、通貨発行を中央銀行に委託している。

そして、税収不足分は、いずれ国債という形でいずれ償還すると明示した通貨発行を行う。要は「政府の通貨発行は多年度中立である」という戒めを儲けて、高インフレにならないようにしている。現状日本はデフレであり、インフレにならないようにするための制限は不必要ともいえる状態にある。

また、日銀のマネーサプライも買い切りではなく、将来の売りオペとセットのいわば多年度中立型の通貨発行である。

必要であらば、長期国債の買い切りオペ等の手段で、マネーサプライを永続的に増やすという意思表示が可能な環境が、今は整っている。

「長期国債」と明示しているのは、長期金利の上昇が、ドーマーの定理の公債利払いの発散条件を満たさないようにするため。買いきり対象は、イールドカーブを見ながら適当に調節すればよい。

335 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:52

>>333
冒頭にいきなり、インタゲ否定だよ。

それも、インフレを起こせば景気が回復するわけではない。って養護みたいな理屈をこねやがるんだ。

需要が回復しないでインフレが起きるわけねーだろって100回野次を入れたくなったぞ。

オレ、財務省はインタゲ賛成かと思っていたので、開始わずか1分でぶちきれてた。甘かったよ。

338 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/14 23:57

5.バローの中立命題の拡大解釈

財政支出について、将来への税負担の先延ばしという発言が何度か出ていた。これは中立命題により、将来の増税不安から、景気回復に確実な効果が出ないという事を主張したいんだと思っている。

僕自身、心情的ケインジアンと名乗りながら、財政の効果については、買い切り、すなわち国債の累積残高好転とセットでなければ、乗数効果は期待できないという立場なため、限定的であるが、受け入れているつもりだ。

しかるに、その後の説明で、先行減税しますので、頑張って景気回復につとめてくださいと言うだけでなく、2006年度までに税収中立を目指しますんで、財政赤字は大丈夫ですという。

これも、中立命題だろう。すなわち、先行減税の効果は、中立命題で打ち消されると、財務省の人が自分で言っているのと同じ。

事実、「役所の立場を離れると、個人的には、減税の効果は薄いと思っています」という発言があった。

339 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 00:00

ちなみに、その会合で財務局側の2番目に偉い人(多分)は、

プライマリーバランスの説明をしながら、ドーマーの定理に言及したし、>>338に書いたように、「個人的には減税の効果は薄いと思う」発言したし、実はわかっているんだろうなと思った。

結局、彼らのスタンスは、
1.財務省は、景気対策を打てる状況にない
2.インフレターゲットは効果がない
3.よって、民間が右肩下がりの予想をやめて、自分らで景気回復してください
というものだったと理解した。

348 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 00:35

参考資料として配布されたもの

◎財政の現状と今後のあり方
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy014.htm

平成15年度 税制改正
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/pan1503-1/index.html

相続税・贈与税における「相続時精算課税制度」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/pan1504-1/01.htm

個人の方が上場株式等を売却した場合の株式等譲渡益課税について(平成15年4月)
http://www.nta.go.jp/category/kabushiki/pdf/01.pdf

預金保険制度(預金保護のしくみ)
http://www.fsa.go.jp/syouhi/syouhi/syouhi-hogo1b.pdf

◎管内経済情勢報告
http://www.mof-tokai.go.jp/keizai/jousei/jousei1504.pdf

◎デフレ下における地域の取り組みについて
http://www.mof-tokai.go.jp/keizai/jousei/1504def-1.pdf

◎印の資料は読むとぶちきれますので、ご注意ください。

359 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 00:58

という訳で、まさに官僚による机上の空論を痛感した2時間でした。

ご静聴ありがとうございました。

360 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 01:08

そうだ。財務省がインタゲに反対する理由としてあげていたものに、

名目金利は、物価上昇とともに、上昇する。物価上昇で「国債の金利が上昇したら、財政は発散する」

というものがあった。

つまり、「景気回復せずに景気回復しろ」と言っているわけで、神風が吹くのを待っているような感じだった。

というか、頼むから「日銀のケツをひっぱたいて、国債買いオペで長期金利を低め誘導させる」くらいの気概を持ってくれ。そのためのインフレターゲットだろ?

アメリカは好きな国ではないが、「グリーンスパンがいる」という点だけはうらやましい。

366 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 01:44

なお、インフレターゲットで長期金利が上昇するというのは、物価上昇予想によるもの。物価上昇の予想が生じたら、その予想した物価上昇に見合うまで国債の金利が上がってもらわないと損をするという資金供給サイドの事情。新発国債の利回りもこれに引っ張られて上昇する。

財務省の国債発行担当が一番ビビッテいるのがこれ。

でも、物価上昇予測が発生しない限り、景気は回復しないので、通常の手段(国債をマネタライズしない)では、財務省に涙を飲んでもらうしかないと思う。というか、個人的には、借換え分を金利動向というかインフレ動向を見ながらマネタライズしちゃうのが非伝統的なれど一番手っ取り早い方法だと思う。

367 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 01:48

インフレターゲット導入によって、長期金利が上昇するのは瞬時だけど、それが景気に跳ね返って、税収が好転したのがわかるのは、需給ギャップが埋まるまでかかる。軽く1年以上のタイムラグがある。

この間、財務省の人間が針の筵になれば、いずれは好転していくんだけどね。

という訳で、この針の筵状態を恐れれば恐れるほど、需給ギャップは広がり長期金利上昇−財政好転のタイムラグが広がっていくんだ。

これこそ、官僚の「問題の先送り体質」だと思っている。

369 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 02:04

彼らは、「俺らには景気回復を期待してくれるな。でも、みんなが景気回復すると思えば、回復するのだ。だから悲観しないで欲しい」と、言い続けました。

もしかして、ここ経済板は、彼らの念仏経済学にとっては邪魔な存在なのでしょうか?僕は、なまじ経済学を知ってしまったがために、景気回復の足を引っ張っているのでしょうか?

そして、情報統制をしてみんなが大本営発表を信じれば、景気は底を打つんだから、正しい情報を伝える必要はない。要は、勘違いして景気が良いと思い込んでさえもらえばよいのだ、という事なのでしょうか?

彼らの論調だとそういう事になります。

いや、意見交換会に出席した他の連中は、本当に信じてしまいそうなので、わからんでもないが、金融機関の連中とか、ヘッジファンドの連中とかまで騙せると本気で思っているのか?もしかして、株式市場まで統制してやると思っているのか?

370 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/15 02:14

僕はケインズ流の公共事業に効果があるとは思っていません。

でも、現状の、政府と日銀の「景気対策を放置して、時として良いデフレとまで言う様」が、セーの法則を理由に対策を放置した大恐慌時代の経済学者の態度とだぶって仕方がないのです。

経済学者が景気対策を放置してどうするのか?政府と日銀がともに景気対策を放置した状態を許容してよいのか?失業率が5.5%と言いつつも、実際には10%程度はあると言われる状態を、当たり前と言ってよいのか?「痛みに耐えろ」の一言で済ませてよいのか?

こういう点に疑問を感じています。ケインズは、一般理論の冒頭で、セーの法則を痛切に批判し、象牙の塔に閉じこもって現実を見ない経済学者をこき下ろし、失業者対策を国の責任と明確に位置づけました。

無責任になる事は誰にでもできます。ケインズは、その中で一人で戦ったのです。僕が「心情的」ケインジアンというコテハンを使用するのは、その気持ちを一部でも良いから受け継ぎたいためです。

398 名前:心情的ケインジアン ◆sK44keyNes [] 投稿日:03/05/17 00:34

>>350
いまさらだけどレス。

結局、彼らの頭の中にあるのは、長期金利の上昇による国債の札割れが怖いという事だけだったと思う。そのために日銀に買いオペは要求しても、国債さえ安定発行できていれば、とりあえず問題は無いと考えている感じ。

それとね。彼らの一人(多分、2番目に偉い人)は、「僕らは金庫番だから」と言っていた。この自虐的表現にはちょっとびっくりした。

この人、わかっているけどあきらめちゃった人なんだと思う。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

本石町日記 [面白い、しかし悲しいジョークです。さらに最悪なことは、]

本石町日記 [「ジョークなことが現実に起きている」ということでしょうか。 植田委員(推定)の発言がなければ、広報ルームで倒れていた..]

bewaad [そちらでも替え歌を取り上げていらっしゃいましたが、現状維持でこれだったわけで、今月の議事要旨がどんなものか、ジョーク..]


2005-05-27

[economy]「ニート」を騒ぐ連中は隗より初めよ

「若者の人間力を高めるための国民会議」という会議が開催されたとか。若者の働く意欲を喚起し、能力を育み高めるためというのが大きなお世話というか、「人間力を高める」なんていう戯言を唱え、自発的に失業している人々を洗脳して働かせようなんていうのは自由主義国家のありようとして根本的に間違っていると思います。

それでもまだ自発的失業者が増えている、ないし非労働力人口が増えているというなら、少なくとも問題の認識は間違ってはいませんが、若年無職者の多くは非自発的失業なわけで、何らかの対策を講ずるというなら、需要対策が何よりも優先して検討されなければなりません。にもかかわらず、メンバーにはマクロ経済学者は入っていません。「マクロ」の限定を外しても玄田先生のみです。問題の認識を間違っている上に(もしくは故に)対応策のノウハウのない人間を集めて何ができるというのでしょう。

まだオフィシャルな議事録等は公開されていないので、報道から会議の模様を探ると次のようなものだったようです。

「大人の本気を見せて、わかりやすいメッセージを与えることが必要だ」(玄田東大助教授)

「大人の本気見せよ」ニート対策国民会議が初会合(読売)

「資源の乏しいわが国では、人材の問題は将来を考える上で深刻。若者の『人間力』の在り方について、幅広い議論をし全国的な運動とすることが必要だ」(奥田日本経団連会長)

「若者にもプライドがあり、大人が働く意欲を高めてやろうという姿勢では失敗する。(同じ)目線が重要」(玄田東大助教授)

「ニート」と同じ目線が重要…対策議論の「国民会議」(zakzak)

「家庭、学校、企業、行政などが一体となって教育から職業への円滑な移行など、きめ細かな対応が必要」(奥田日本経団連会長)

若者の自立支援、官民一体で協議・国民会議が初会合(日経)

「フリーターというレッテルを貼るのではなく、人物本位で採用するなど、企業側にとっても受け入れの問題を解決する必要がある」(奥田日本経団連会長)

政府が「ニート」対策会議を立ち上げ(TBS)

・・・対症療法ばかり。他人の人間力とかいうものを高めようとする前に、まずは自分たちの見識から高めていただきたく。

[economy]で、他の施策を調べてみました。

同じぐらいバカな話として、厚生労働省は「若者自立塾創出推進事業」合宿形式による集団生活の中で生活訓練、労働体験等を通じて、社会人、職業人として必要な基本的能力の獲得、勤労観の醸成を図るとともに、働くことについての自信と意欲を付与するんだそうです)なんてピントはずれなことをやっているわけで、まあミクロ政策官庁なので彼(女)らの手札に限りがあるのは事実ですが、にしても、このようにあたかも無職者側に要因があるかのような偏見を助長する措置などやらない方がましでしょう。

こうした政府方針のベースは若者自立・挑戦戦略会議が平成15年6月にとりまとめた「若者自立・挑戦プラン」にあります。この報告書、問題の原因については次のような分析を行いました。

若年者問題の主な原因としては、第一に、需要不足等による求人の大幅な減少と、求人のパート・アルバイト化及び高度化の二極分化により需給のミスマッチが拡大していること、第二に、将来の目標が立てられない、目標実現のための実行力が不足する若年者が増加していること、第三に、社会や労働市場の複雑化に伴う職業探索期間の長期化、実態としての就業に至る経路の複線化、求められる職業能力の質的変化等の構造的変化に、従来の教育・人材育成・雇用のシステムが十分対応できていないことなどが挙げられる。

であれば対策はこの順番に従って、需要不足解消のためのものが最優先と考えるのが常識ですが、なぜかこの報告書、対策の記述にはいると一切需要対策が描かれず、あるのはミクロ介入・洗脳施策のオンパレードという噴飯もの。厚労省や文科省みたいなミクロ官庁のみを並べたのならともかく(むろんこの場合、そんな二次的な当事者能力しかない連中ばかり集めても意味がないという批判が当たりますが)、きちんと内閣府が絡んでいる(後には内閣官房も加わります)のだから頭が痛くなってきます。

霞が関を代表するような立場ではさらさらありませんが、若年無職者の方々には本当に申し訳なく思います・・・。

[economy]じゃあ若年労働の実態ってどうよ?

なにやら内閣府が報告書を出したようですが、内閣府サイトではまだ公開されていないので、zakzakより転載します。

#最近では、対外公表と同日にネット掲載するのが霞が関スタンダートでないかい、内閣府?

90年代後半から、特に20−34歳の若年層で所得の格差拡大が加速。フリーターやパート、アルバイトの増加が大きく影響していることが分かった。一方で正社員を希望する若者の割合は増えており、報告書は「職業能力を得る機会を与える政策が極めて重要」と訴えている。

ヤング所得格差拡大、フリーター増など影響…内閣府(zakzak)

やっぱり非自発的失業じゃないですか。詳しくは次のsvnseedsさんの分析をどうぞ(内閣府の報告書がsvnseedsさんの分析よりも的はずれだったらやだなぁ・・・)。

[economy][history]経済学史学会大会報告集第69回大会@大阪産業大学

この週末開催とのことですが、リフレ派諸氏による報告が目白押しです。レジュメはダウンロード可能なのですので、ご関心の向きは是非ご覧下さい。

田中先生が本業でお忙しいというのはこのことだったようです。

[WWW]プリティ柘植さん

復帰。よかったぁ・・・。

本日のツッコミ(全95件) [ツッコミを入れる]

Before...

マルベリー バッグ amazon [あなたたちはになりがち??何あまりにも私は楽しむ。 この種の報告露出が賢い仕事や!私の| |私たち||私の個人的なの..]

ロンジン 投資 [そこヘイヘイ|あなたはどのブログのプラットフォームには、心共有する旨でしょうか?私は今すぐに、近い将来にが、私はハー..]

眼鏡屋 レイバン [ちょっとそこ!オフトピック だ簡単な質問。あなたのサイトがモバイルフレンドリーにする方法を知っていますか? App..]


2005-05-28

[science][economy]BSE対策としての輸入禁止の是非

27日付のBSEを取り上げた読売社説について、swan_slabさん経由ですが、「[米国産牛肉]「輸入再開の条件は整っている」 by読売新聞社説」(@BSE&食と感染症 つぶやきブログ)において厳しい批判がなされています。しかし、妥当でないと考えられるところがあるので、反論を試みてみたいと思います。

とはいっても、BSEについての科学的知識がwebmasterにあるわけではありませんので、主として以下の記述に依拠しています(当然ながら、このエントリの文責はwebmasterにあり、下記のページの作者の方々にはございません)。

これらの記述をwebmasterなりにまとめると、BSE対策については次のように考えられます。

  • BSE対策の主力は特定危険部位(脳、脊髄など)除去と肉骨粉使用禁止です。
  • 全頭検査を行うことによってBSE陽性とされた牛を食用から除くことができますが、検査感度精度(5/29訂正。通行人さんのコメントをご覧ください)の限界等もあり、BSEプリオンが存在していても陽性とは検知されないケースもあります。
  • 齢が一定以下の若い牛は、それが安全か危険かに関わらず、検査したところで陽性と判定できる可能性はほとんどありません。
  • これらの対策により、牛肉を食べることによる変異型クロイツフェルトヤコブ病(vCJD)のリスクを減らすことができます。
  • 他方、これらの対策がまったく講じられなかった(BSE発見前には。当たり前ですが)イギリスであっても、おそらくすべてのvCJD患者数は数百のオーダーにとどまるものと予想されます。

これに基づいて、まず読売新聞の社説を批判しますと、先に紹介した「[米国産牛肉]「輸入再開の条件は整っている」 by読売新聞社説」にてMarikoさんがおっしゃっているように、肉の色での月齢判断は20月齢超の牛を以下と判断してしまうリスクがありますし、特定危険部位除去がきちんと行われるかどうかの裏も完全にはとれていないわけですから、和牛と同じぐらい安全だから輸入再開してもよい、というのはまず間違いなく誤っています。

他方でMarikoさんのご意見で妥当でないとwebmasterが考えるのは、和牛と同じぐらい安全でないと輸入再開は認められないとしている点です。和牛の安全性がどのくらいかと言えば、中西先生の試算では、50万年強に1人がvCJD患者となる程度のリスクしかないほど安全だということになります(ちなみに検査を全廃(20月齢以下に限らず)して特定危険部位除去のみとした場合で5,000年強に1人、特定危険部位除去すらやめてしまったとしても約300年に1人と推計されています)。

例えば全頭検査には日本では年間約40億円が投じられていますが、50万年強に1人を5,000年強に1人に減らすために年40億円が妥当なコスト負担かどうか。最終的には主観的評価にならざるを得ないわけですが、全頭検査により安全性が高められていること=全頭検査は維持すべきこととは限りません。そのコストを他のリスク対策に用いたら当該リスクはどの程度削減されるか、その対策の「副作用」(例えば検査器財の生産・廃棄等に要する環境負荷など)はどの程度のものなのかをも視野に入れ検討すべきものでしょう。

同様に、アメリカに対して検査を行うレベルや特定危険部位除去の手法をどうしてほしいかを求める際、単にそれをすればしないよりも安全だといっても相手を納得はさせられないでしょう。技術的に可能な安全対策と経済的に可能な安全対策は違います。人生に存在する他のリスクとのバランスを見ながら、どの程度のコストを費やすことが合理的かを示すことが必要でしょう。

もちろん、相当程度のコストを費やしてもなお、他のリスクに比べて顕著な危険が残るのであれば、コストを費やしたことを理由とせずに輸入禁止を継続すべきでしょう。他方、アメリカ産牛肉よりも高リスク食品が出回っており(そんなのあるかって? もちとか)、かつ、それなりのコストを費やして安全性の向上に努めたにもかかわらずなお輸入が認められないのであれば、アメリカからは感情的な排外主義にしか見えないはずです。

Marikoさんが個人的な選択として和牛と同じ安全性が確保された外国産牛肉しか口にしたくないと考えることは十分尊重されなければなりませんが、他方でアメリカに旅行した際に現地で牛肉を口にしている人は数多くいるわけで、それらの人々にとっての若干のリスク増加と引換にアメリカ産牛肉を日本でも口にしたいという選択もまた、十分尊重されなければなりません。あるリスクを社会的に受容すべきかどうかを考えるには、オールオアナッシングでリスクを論じるのではなく、対策によるマージナルなリスクの変化とその費用を明らかにした上で論ずべきではないかとwebmasterは思います。

なお関連で気になった寄り道を2つ。まず、食品安全委員会中間とりまとめに関して、委員であった山内先生が「官僚たちに騙された」とされていることです。20月齢以下の全頭検査廃止に伴うリスクの増大がわずかだという分析結果が受け入れられた一方で、わずかでもリスクが増大するのだから当該全頭検査は廃止すべきでないという意見が取り入れられなかったことを指してそのように発言しているようですが、中間とりまとめを見れば、コストの記述もなければ他のリスクとのバランスの記述もありません。なぜわずかしかリスクを減少させない20月齢以下の全頭検査を継続すべきかを論じもせずに騙されたとは、自らの視野の狭さを物語る以外の何物でもありません。というか、コスト感覚ないでしょ。

次に、冒頭紹介したswan_slabさんのエントリにおいて、アメリカ産牛肉の輸入再開論はアメリカ(や輸入再開により利益を得る者)にすりよるプロバガンダであるかのような記述があります(これは輸入禁止継続論者の多くに共通するもので、swan_slabさんに限った話ではありません)。確かにその可能性はあるでしょう。しかし同時に、輸入禁止継続論が輸入禁止により利益を得る者、端的には和牛農家にすり寄るプロバガンダである可能性にも触れなければ、フェアな態度とは言えないのではないでしょうか。

[law]現代語会社法

(問)江頭先生が公開講座には新会社法の条文を持ってこいといっていますが、持っていない人はどうしたらいいのでしょう?

(答)法務省が公開していますから、それを打ち出せばいいのではないでしょうか。ただし、附則込みで全856頁(pdfファイルの容量は1.7MB)もあるので、あまりお薦めはできませんが・・・。

#ちなみにそれに伴う改正の分量はその約4倍もあります。昨年秋からこの作業に巻き込まれた官僚が一体何人いるのか、想像もつきません。

本日のツッコミ(全2006件) [ツッコミを入れる]

Before...

MichaelTen [aopvtqq http://www.comferenza.it/parka-hollister-449...]

Richardpype [vbsvnfx http://www.rechtswinkelalkmaar.nl/roze-puma-s..]

TylerHuh [hzfazba http://www.dsinfo.se/nike-air-max-command-whi..]


2005-05-29

[law][politics]森岡正宏厚生労働大臣政務官のA級戦犯発言

既に多くの議論が行われておりますが、webmasterが見たところでは取り上げてられていない論点で気になるものがあります。

森岡政務官はいくつかの理由を挙げてA級戦犯は(もう?)罪人ではないとしているようですが(報道を列挙されているerictさんのエントリからたどって各紙をチェックした結果です)、その中には、遺族が年金をもらっていることと、刑の執行後公職に就いたことが含まれています。

そもそも罪人の定義をどうしているのかが気になりますが(罪を犯したかどうかという事実関係の問題と、それに対する非難可能性を混同しているようなので)、とりあえずそれを脇に置くとして、森岡政務官の主張とその対偶を示すと次のようになります。

森岡命題
  1. その遺族が年金をもらっていれば、その者は罪人ではない。
  2. その者が刑の執行後公職に復帰することができれば、その者は罪人ではない。
森岡命題の対偶
  1. その者が罪人であれば、その遺族は年金をもらうことができない。
  2. その者が罪人であれば、その者は刑の執行後公職に復帰することができない。

ある命題とその対偶は同値ですから、森岡命題を是認するなら、その対偶も是認しなければなりません。webmasterは上記対偶は適当でないと考えるので、森岡命題も(その余はともかく少なくとも)これらの点については適当でないと考えます。

[government]次期総務次官は旧自治省出身者

branchさん経由で、「総務次官に林消防長官内定「たすきがけ人事」崩れる」との読売報道に接しました。

  • 本当に自分たちが「たすきがけ」を崩すために仕組んだなら、それがばれるような今回の話を振り付けるようなことはせずに旧総務庁の人間をあてがうよ、この話は自分たちにとっても驚きなんだ、と必死に釈明する旧自治省。
  • なるほどと思いつつも、どこか疑いを捨てきれない旧郵政省。
  • 漁夫の利を狙って静観する旧総務庁。
  • この人事が外からどう見られるか気になって仕方がない麻生大臣。
  • 旧郵政省が悩んだり苦しんだりすることは何であれ喜ばしく、思わずほくそ笑む小泉総理。

・・・という妄想をついつい楽しんでしまうのは、もちろんwebmasterが悪人だからです(笑)。

#このエントリは、以下の一連のエントリの続編です。

  1. 総務省幹部更迭
  2. 陰謀論いろいろ@総務省
  3. 大人の解決
  4. 「総務省郵政担当幹部「更迭」。何故いけない?民間企業では当然ですよ。」(@清谷防衛経済研究所 ブログ分室5/23付)

[misc]香里奈 in ボシュロム・メダリストII

21日より放送されていたとのことですが、ようやく見ることができました。化粧惑星クーリッシュのCMと比べて個人的にはこれが一番香里奈さんのイメージに合っている気がしますというbutterfly fishさんの意見に100%同意です。

杏露酒シャーメゾンにも出ていますが、一度にいろいろ出ると使い捨てられそうですから、もう少し露出を控えてもらった方がいいような気が。もっとキャラを愛したCM企画に厳選していただければと思います。

#最近のCMでもっともキャラを愛して企画しているのは、パイロットではないでしょうか(相武紗季出演。ええ、贔屓目ですとも(笑))。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

 [森岡命題を本編の通り定義すればおっしゃる通りですが、]

 [森岡命題を本文のとおりに定義すればおっしゃるとおりですが、 対偶のの方で言うと、 ・その者が「人道に対する罪乃至平和..]

bewaad [>獏さん そのあたり、本文で定義があいまいとした「罪人」の定義によるのではないかと思います。で、通常「罪人」かどうか..]


2005-05-30

[movie]機動戦士Z GUNDAM A New Translation ‐星を継ぐ者‐

議論が分かれるところだとは思いますが、セル画は全部新しくしてしまってもよかったのではないかとwebmasterは思います。見ているとどうしても、昔の画と新しい画の切替えに若干なりとも気が取られざるを得ません。「やっぱり昔はメカニカルなところの書き込みが甘いなぁ」ですとか、「アムロは絵柄変わってるなぁ」ですとか、コンマ数秒そういった思いが頭をよぎってしまいます。富野由悠季が総監督・絵コンテ、キャラデザが安彦良和なのですから、全部描きなおしてもあまり抵抗はないのではと。

#描きなおしてよくなったベストはアッシマーに1票。

ストーリーは当然ながらZを知らない人を完全に無視していますが(笑)、そういうものを求められる作品ではないでしょうから問題ないでしょう。よくできた予告編ですが、真の主人公を少しでいいから顔を出させてくれていれば、ということを除いて文句はないです。

主人公はカミーユじゃないかって? その主人公特権のゲタのせいで最後には苦杯をなめさせられる、製作者の介入さえなければ勝っていたであろうナチュラル・ボーン・ファイターのあの人こそが悲劇の真の主人公です(断言)。

[comic]現在官僚系もふ・第10話

終わりませんでした。

相変わらずマンガとしてのできはいまいちですが(「国会バッヂ」を付けているのは最後のシーンだけだとか)、国会待機の実態を知ってもらうのは霞が関の住人にとってうれしくないはずもなく、後編をお手並み拝見と評価は留保しておきましょう。というか、変な結論を出さないでいてほしいなぁ・・・。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

鰻谷 [昨日妻子を家に置き去りにし、昼過ぎからこそこそっと映画館に行ったのですが、その回はなんと満席で次回分も立ち見になって..]

bewaad [>鰻谷さん 東京でも似たようなものです。目当ての時間は満員で、4時間後の席を予約しての出直しでしたから(笑)。]


2005-05-31

[law][politics]続・森岡正宏厚生労働大臣政務官のA級戦犯発言

先日のエントリの続きです。ご本人が発言を公表されていることを知りましたので覗いてみましたが、前回の指摘よりも本質的なところで間違ってます。

そもそもA級戦犯といいますが、日本が占領下にあったとき、勝者である連合軍が国際法違反の軍事裁判で敗戦国日本を裁いたものです。

少なくとも19世紀ヨーロッパにおける国際慣習においては、地域紛争であればともかく、全面戦争の敗北に当たっては皇帝・王の退位、さらには皇帝・王家の断絶がけじめとしてつきものだったわけで(ナポレオン、同3世(以上フランス)、ヴィルヘルム2世(ドイツ)、カール1世(オーストリア=ハンガリー)。普墺戦争においてフランツ・ヨーゼフ1世が退位しなかったのは、勝者プロイセンがそう取りはからった故)、この慣習を持ち込めば天皇家の断絶は必然でした。

#このあたり、今ちょうど読んでいるジュリストで長谷部先生がご紹介のPhilip Bobbitt, The Shield of Achillesにおける、勝者による敗者の憲法の書換えの議論と重なる部分があるのでしょうか?

それをしなかったからこそ、前例のない(=国際法に照らして合法性に疑義が生じ得る)東京裁判におけるA級戦犯の断罪に至ったわけで、森岡政務官は天皇家の断絶をお望みなのでしょうか?

日本は経済封鎖され、やむなく戦争せざるを得ない状態に追い詰められ国際法のルールにのっとって戦争をしました。

経済封鎖の直接の原因は南部仏印進駐なのですが。これをやむなくというのはあまりにもずうずうしいというものです。遠因を探せば大きな節目は満洲事変ですが、これもまた日本には弁解の余地はありません。

ついでに、国際法のルールにのっとってって、宣戦布告が遅れてリメンバーパールハーバーとレッテル張られたことをお忘れでしょうか?

いわゆる自虐史観な人々の工作員なのでしょうか(笑)。まったく、無能な味方ほど始末に負えない敵はいないものです。

[economy][BOJ]当座預金残高と予想インフレ率との関係

今週号(2005.6.4号)の週刊東洋経済にて、高橋洋一さんが「今こそ『インフレ目標政策』を採用せよ」と題した記事を書かれています。既に中村先生がご紹介ですが、その中で、当座預金残高と予想インフレ率の推移がグラフ化されて重ね合わせられています(p99)が、びっくりするぐらいフィットしてます。

とくとご覧あれ。

#今思えばとっくに誰かが示していてもよかったものですが、コロンブスの卵ですねぇ・・・。

[misc][book]本田透「電波男」

昔からのしろはたファンとしては、最近の路線に若干違和感があったのですが、それを吹き飛ばす一作です。最近サイトではあまり見られなくなった冗長な語り口、稲葉先生には不評だったのですが、ファンから見れば芸のうち、あばたもえくぼです。久しぶりに味わうことができました。

明らかに不十分なマルクス主義の理解に基づき暴言を吐く(ことで読者のご指導を待つ)と、本田さん自身前書き(そして文中の各所)でマルクスに触れていますが、下記のような対応関係にある資本論のパラフレーズという見方ができるのではないでしょうか。

電波男資本論
イケメンブルジョア
キモメンプロレタリアート
異性関係の恋愛至上主義化による人間疎外労働力の商品化による人間疎外
萌え共産主義

では萌えも共産主義のように劣勢を強いられるのかといえば、二次元相手ですから遺伝子が残せないわけで、産めよ増やせよ地に満てよのDQNに対しては相当分が悪いような(笑)。ミームの普及により新たなオタクを取り込んでいけばよいのですが・・・って、人類の存続が危ないです(笑)。

さはさりながら、萌えと恋愛資本主義の二項対立が描かれていますが、生殖ではなくナルシシズムを優先する点において両者は同じ構造でしょう。どんな相手であれ遺伝子を残せないよりはまし、といってつがう生殖優先の「原始共産制」には戻れない中で両者の行く末はどうなるのか。トラウマを克服した本田さんに書いてほしい気もする一方で、そうなったら創作意欲なんてなくなっているのではという気もまたするのです。

本日のツッコミ(全376件) [ツッコミを入れる]

Before...

シャープAQUOS LC-70UD20 (70V型 4Kモスアイパネル採用液晶テレビ/USB HDD録画対応) [より多くの書き込み、私は言わなければならないすべてのthats。あなたはあなたのポイントを作るためにビデオに頼ってい..]

鏃ョ? HITACHIL32-H01 [32V????笂?BS?110搴?S????儷??????с?娑叉?????揮 Wooo [私のパートナーと私はよいだけでなく、| |異なるから来るこっちにつまずいI かもしれない公式サイトと思った同様に可能..]

アイフォン6s cケース [http://karel.restaurant/thmv/6y4r4t6cnb.htmlカスタマイズされたアイフォン..]


トップ 最新 追記