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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-05-21

[law]人権擁護法反対論批判 法案分析編(その7)

an_accusedさんの問題意識にお応えせねば、と思いつつ他の話題に浮気などしている間に取り上げない期間が随分空いてしまいましたが、plummetさんのところのコメント欄でご質問いただいているではありませんか。最新エントリだけをチェックしていたので気付きませんでした・・・というわけで、遅ればせながらではありますが取り急ぎお答えいたします(コメントとして回答させていただくには長いのでこちらで取り上げました)。

#その前にan_accusedさんのご意見につきましては、まだまとまっていないのでとりあえず気づきの事実関係をお示ししますと、まず行政府における法の遵守の担保ですが、内閣法制局の存在が外部の方々が思うよりよほど霞が関には重いということが挙げられます。各省庁の法の運用について、それが条文に沿ったものかどうかを国会で聞かれますと、内閣法制局は各省庁の大人の事情(笑)などはまったく斟酌せずに答弁しますので、仮に人権委員会が過去の判例等と矛盾した勧告をし、それが国会で取り上げられ内閣法制局に質問があれば、内閣法制局は間違いなく矛盾していると平気で答えますし、そうなれば政治問題化して大騒ぎになるのは必定ですから、いくら個々の人権委員が「これは人権侵害だ」と騒いでも必死で事務方は止めようとするはずです。また、国会同意人事を巡る議論は各省庁が根回しの段階でやらされています(人事は多くの人が好む話題でもあり、非常に骨が折れるものなので、多くの官僚にとってできれば担当したくない仕事の一つではあります(笑))。以上、あくまで裏事情的な話で、an_accusedさんのご懸念の解消に全く役立つものではないと自覚はしていますが・・・。

#もう1点、an_accusedさんのエントリへのJ2さんのコメントの中で、「法務省の外局」である事による独立性の考察は既に完了していましたでしょうか。(中略)正直、この部分の考察はBewaad氏も突っ込みが足りないと思うのですとのご指摘につきましては、3/13のエントリに付け加えるべきことはないというのが現時点での認識ですので、さらにご不明のところがあればご教示いただければと思います。

#ええぃ、ついでにもう1つ脱線です。百地章「憲法の常識常識の憲法」を本屋で斜め読みしたのですが(リンク先のレビューを読んでなお金を払うような物好き(笑)ではありませんので)、デモや集会、わいせつ物の出版等を公共の福祉で制限することを思いっきり認めているじゃないですか! よくもまあ人権擁護法案について、表現の自由に対して制限を課すもので違憲だなんてことを(笑)。ま、上記レビューでも、総じて著者には原理・原則、論理性といったものに対するこだわりが希薄。トピックも脈絡が無いし、引用や参照も恣意的ですとか、学者の書いた本とは思えないほど論理があまりに粗雑。/まず、賛成するには論拠が薄いです。薄い本にたくさんの内容を詰め込みすぎたせいでしょうか?/反対するにしても、論理矛盾があちこちにあるため、まともな反論にはとても耐えられない主張などというものがありますが(笑)。

さて、ご指名いただいた論点は一般救済手続の根拠なのですが、正直申し上げてan_accusedさんやOTZさんの論点をどこまでわかっているかが不安でもあり、まずは概要をお答えして、詳しくはその反応を見てから、と逃げておきます(笑)。

一般救済手続開始条件は第38条第1項において「人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれがあるとき」と規定され、根拠はここであって第2条第1項でなければ第3条第1項でもありません。

第2条第1項は言葉の定義を述べているだけだ、というOTZさんに対するan_accusedさんの指摘はごもっともなのですし、なにより第2条第1項に規定する人権侵害のみが一般救済手続に乗るとすると、第3条第2項の差別助長行為が対象でなくなってしまいます。ただし、第38条第1項はその定義を前提とした規定であるのもまた事実ですので、一概にOTZさんが誤りとも言えないと思います。

#ちなみにどうやって差別助長行為を一般救済手続の対象とするかといえば、「おそれ」に引っかけるのだとwebmasterは解します。

他方で、第3条第1項の禁止に抵触したから、というan_accusedさんのご意見も、第38条第1項があくまで被害者の目線から規定している趣旨にそぐわないと考えられます。例えば罰則規定は、「第○条の規定に違反して××をした者」といったワーディングとなりますが、第38条第1項はそうした規定ではありません。限界事例を考えれば、被害(やそのおそれ)のない人権侵害は第3条第1項で禁止されていますが、一般救済手続の対象にはなりません(実際にそうしたケースがどれほどの確率であり得るかはさておき)。

ちなみにOTZさんの問題意識の出発点である近隣の騒音公害ですが、騒音も暴行罪や傷害罪の構成要件たり得ますので、ケースによっては人権侵害に該当するとは思います。しかし、じゃあ一般の暴行罪や傷害罪を人権委員会が取り扱うかといえばそうではありませんから、おそらく今後の運用としては、話を聞くだけは聞いて(第37条第1項の「人権侵害に関する各般の問題」は人権侵害そのものでなくても該当しますから、相談は可能です。法令用語としては、「関する」はゆるい関連性を表す(逆に相対的に近しい関連性は「係る」を用います)ものなので)、悪質なものは警察へ(虐待に該当するものは自分で処理するでしょうが)、そうでないものは極力相談レベルでの解決を図るのではないか、という気がします。

#条文では定かでないので、法務省がそう考えている保証はありませんが。

この手のトラブルはちょうど警察と(現在の)法務局・人権擁護委員、地方自治体など関連する政府部局のいずれにも一義的には対応を任せづらいものです。民事不介入の原則を言い訳にできる警察ならばともかく、他はじゃけんに追い返すこともできず、まあ何かはせざるを得ないケースが多々あるでしょうから、法に定められた権限行使を対象外行為に適用するような場合を除いて、権限外だから手を出すなと整理すべきものでもないように思います。

plummetさんの同エントリのコメントで、性的指向と性的嗜好の違いについて触れられていましたが、そういう意味では例えばスカトロジーが実際には清潔であるにもかかわらず、不潔だと他のお客に思われるという理由で入店拒否をされるケースは、スカトロジーは性的嗜好ではあっても性的指向ではないので、法律上は第3条第1項第2号の「人種等を理由としてする不当な差別的取扱い」には該当しません。

#ペドフィリアもそれが差別的取扱いであれば同様の問題が生じますが、これについては多くの場合、児童虐待の文脈で法律上は取り扱われるでしょう。サディズムも同様かもしれません(愛する人にしか嗜虐は向かないのに、あたかも誰にでも行うかのような誤解に基づき差別されるような場合は差別問題ですが、虐待として取り扱われることの方が多いでしょう)。

これらが典型的に「その他の」で読み取って法の適用を受けるケースであると考えられます。

#このエントリは、以下の一連のエントリの続編です。

本編
前編(3/13)後編上(3/14)後編下(3/15)趣旨説明編(3/29)faq編(4/9)
リジョインダー編
1(3/17)2(3/18)3(3/19)4(3/20)5(3/21)6(3/22)7(3/27)8(3/30)9(3/31)10(4/2)11(4/4)12(4/5)13(4/8)
法案分析編
1(3/24)2(3/26)3(4/1)4(4/10)5(4/11)6(4/14)
正誤訂正編
1(3/25)2(4/6)
百地教授編
1(4/20)2(4/21)

[economy][BOJ]やってもうた・・・

「また、資金供給に対する金融機関の応札状況などから資金需要が極めて弱いと判断される場合には、上記目標を下回ることがありうるものとする。」

既にこれはまあ、素晴らしい「市場とのコミュニケーション」ぶりですね(by 田中秀臣先生)、調節方針の紙が汚くなりつつある。「なお」、「また」、「さらに」、「一方」、「しかし」…、あぁ、どこまで続くのか(by bank.of.japanさん)、ゼロ金利解除の教訓はまったく生かされていない(by 英-Ranさん)、いいかげん他人の人生を賭けて経済学の実験するのやめてくれないかなあ>日銀(by svnseedsさん)といった、金融政策に対する考え方の違いを超えて、政策の内容以前にその態度といいますかやり口の問題が指摘されていますが、webmasterからも、同様に内容以前の問題をまずは指摘したいと思います。

本気で技術的問題を理由にするなら、「今回、新しい金融調節方式の実施にあたり、長期国債買い切りオペを増額するのは、あくまで、資金供給オペの未達(いわゆる「札割れ」)が多発するケースなど、所要の資金供給を円滑に実施するうえで必要と判断される場合です」との解説をまずは撤回してみろ!

これを撤回しないうちは、札割れが起きそうなら長期国債買切りオペを増額するのが唯一の選択肢であるはずでしょうに、まったく。

本日のツッコミ(全15件) [ツッコミを入れる]
plummet (2005-05-21 08:00)

 わざわざエントリーまで起こしていただいてありがとうございました。
 現在は、申告があれば原則すべて受理することになってるそうなので、騒音などの迷惑行為についても、いちおう受け付け、せいぜい一般救済の範囲内で対処することになりますか。
(証拠を確保して警察に行くといいよー、くらいのアドバイスで終わりそうな気はしますが)
 取り急ぎ。

OTZ (2005-05-21 09:12)

はじめまして。
私のようなただのコメンター及びねらーの即席HNが挙げられていて、非常に驚いております(笑)

問題意識の発端はこちらで、
http://www.jimin.jp/jimin/expless/013/002_a.html

一般救済は「あらゆる人権侵害」を対象とするとあったので、その根拠はどこかという事でした。
一般救済の根拠は第二条でも第三条でもない…これは思い浮かびませんでした。
やっぱ類型を表す「A、Bその他の X」という読み方は曲げられないのですね。
どっちかに根拠を求めてたら、2条と3条で読み方が違っちゃうので、釈然としないものを感じていました。

「相談」でも受理にカウントしてるんですよね。極力「相談」で解決なら問題はないと思います。
「性的嗜好」の件についても、発端は私の2ch某スレでの疑問からですので(笑)、
お取り上げ頂き大変嬉しく思っております。

J2 (2005-05-21 09:22)

いきなりほぼ一ヶ月前のコメント欄でのつぶやきを引用されるとは思わなかったです、焦りました、さすがですお役人。
私の言った「突っ込みが足りない」というのは、法解釈というより「パリ原則から見た評価」とか、「国連人権委からこの法案はどう見えるのか?」という視点は無かったんではという気がした故の発言です。過去記事を見ようとするとInternalServerErrorが頻発している様でちょっと確認できなかったのですが、確かBewaad氏は「法務省の外局でも内閣直属でも大差ないよ。どっちでもいいんじゃない」的な見解だった記憶があるのですが(大雑把でスミマセン)、「海外向けアピール」て側面を無視してません?とちょっと思ったり、そもそもパリ原則自体どうよ?的な突っ込みに興味があったわけであります。ちょっとまとまりが悪いですが、そんな感じでした。

鰻谷 (2005-05-21 09:34)

どらめもんサンのとこで言われてましたが、もともと、30〜35兆円「程度」って決めてる目標を、テクニカルかつ一時的な要因で外れることに、わざわざなおがきはいらないですよね。
結局その先、なし崩し的に目標を引き下げて、量的緩和政策の出口としたいだけじゃん!って魂胆がねぇ。。。
ほんとおっしゃられているように、金融政策方針以前の問題として、その政策運営の不明瞭さに、政策委員の資質の問題を見るような気がします。
大体、自ら設定した「目標」を下回ることが「ありうる」ってものいい自体、気にいらないのですけれど。。。

防犯のひと (2005-05-21 10:52)

近隣の騒音公害等のトラブル(いわゆる「民ゴタ」)について、現在、警察が「民事不介入の原則」を理由に一切対応しないことはないこととされています。桶川事件等に端を発した一連の警察不祥事以降、何度も何度も国会で警察庁が答弁していますので、その一部を引用いたします。

「民事不介入という誤った姿勢、考え方、これを払拭する」「国民の生命、身体、財産を守るのが警察の責務でございますので、そういった観点から、これは民事だから事件にならないからということで関係ないと、そういうことではない」(平成13年11月21日参・共生社会に関する調査会における黒澤正和生活安全局長答弁)

「相談の内容が民事上の法律関係に起因するトラブルでございましても、民事不介入を理由に国民からの相談を真摯に受け止めず、所要の捜査や犯罪の防止のための必要な措置を取らないということなどがないよう指導を徹底」(平成14年7月2日参・外交防衛委員会における黒澤正和生活安全局長答弁)

本筋の部分ではありませんが、誤解されがちなので、コメントさせていただきました。ご容赦ください。_o_

本石町日記 (2005-05-21 21:30)

まさに「やってもうた…」ですね。なお、日銀ホームページの「教えて!にちぎん」は、次のように“教えて”います。『日本銀行は、資金供給のためのオペレーションの未達(いわゆる「札割れ」)が多発するケースなど、所要の資金供給を円滑に実施するうえで必要と判断される場合には、長期国債の買い入れを増額することとしています』。現状ではなんとか乗り切れそうなので国債買いきりの増額は必要ないと思われますが、必要ならやるべきだ、というのが私の立場です。決めたルールはきちんとやる、それが信認の基礎だと思うためです。

an_accused (2005-05-21 23:47)

 何度も丁寧なお答えをいただき、本当にありがとうございます。
 政府部内に籍を置いた経験のない私にはいま一つ実感できないのですが、内閣法制局にはおそらくかなりの「重み」があるのでしょうね。いただいたご回答につきましては、
1)立法過程においては、内閣法制局は高いハードルとなって各省庁の前に立ちはだかることになるのでしょうが、一旦成立した法令の解釈権は、ひとまずは法律所管官庁が有することになるのではないか。
2)法的に疑義の生じるような個別案件における法解釈については、内閣法制局は後々司法判断が示される可能性があるうちはその解釈の当否について積極的に述べようとはしないのではないか。
といった疑問がさしあたり浮かんできますが、過去の法制意見のありようなどを勉強することによって、私なりに理解に努めたいと思います。
 
 一般救済手続については、いただいたご説明のおかげでよくわかりました。ありがとうございました。

bewaad (2005-05-22 08:21)

>plummetさん
さらにいえば、人権擁護委員なんてものを引き受ける心の広い人であればなおさら、門前払いなどできないでしょう。今でも法務局の担当者から、「こういうのはうちの担当ではないっていったでしょう。気をつけてください」なんて注意されていたりして(笑)。

bewaad (2005-05-22 08:32)

>OTZさん
こちらこそ、いただいたお題からいろいろと考えを発展させることができ、貴重な機会を与えてもらえたと思っています。これでくずおれた状態から起き上がっていただければ(笑)幸いです。

bewaad (2005-05-22 08:36)

>J2さん
こちらこそ昔の話をいきなり持ち出してすみません。an_accusedさんのエントリをみて気になってしまったもので・・・。

対外的には、何より結果を出すことが重要でしょう。政府による人権侵害をきちんと指弾できれば、法務省の外局であることを日本に対して問題だとはいわないと思います。

パリ原則自体については、他国の憲法問題はよく知りませんが、こと日本においてはあそこまでの独立性を字句どおり最大限に達成させようとするなら、憲法改正が必要でしょう。

bewaad (2005-05-22 08:38)

>鰻谷さん
そのあたり、22日のエントリで各紙社説を取り上げましたが、まったく問題にされてません。どこかで触れるぐらいはしてほしかったと思います。

bewaad (2005-05-22 08:40)

>防犯のひとさん
とはいっても、犯罪につながる可能性があってこそ、という制約は(他の役所とは違って)残るという理解をしているのですが、誤りであればご教示ください。

bewaad (2005-05-22 08:41)

>本石町日記さん
ご賛同いただきありがとうございます。

なお、22日のエントリで再度取り上げさせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。

bewaad (2005-05-22 08:42)

>an_accusedさん
内閣法制局のそのあたりについては、近いうちにエントリを立てて論じてみたいと思います。少々お待ちを。

Eset NOD32 (2013-02-06 21:57)

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