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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-06-04

[law][economy][BOJ]中央銀行総裁への損害賠償請求

タイ銀行(タイの中央銀行)レンチャイ・マラカノン元総裁に対して、タイバーツ通貨危機時の対応についてタイ銀行が損害賠償請求をし、それが裁判で認められたとのニュース(ソース:CNNなど)を受け、速水前日銀総裁のゼロ金利解除についても、そうすれば、いやそうすべきだという考えが頭に浮かんだりします(笑)。

しかしながら、タイの不法行為法がどうなっているかは全く知りませんのでどのような法律構成で損害賠償を導いたかはわかりませんが、こと日本に関しては難しいでしょう。

まず、タイと同様に日銀が前執行部を訴えるという構図を考えますと、日銀のマネタリー部門自身が同じ考えだったのは藤井良広「縛られた金融政策」軽部謙介「ドキュメントゼロ金利」を見れば明らかですから、そのような天に唾する行為は全く期待できないでしょう(笑)。

そういう法律以外の大人の事情を抜きに法律だけを考えても、不法行為に基づく損害賠償請求を行うには何より損害が生じていなければならないわけですが、ゼロ金利解除により、まあ名誉とか信頼はともかくとして、財産的に日銀に実害が生じたかと言えば生じていないでしょうから、やはり難しいでしょう。

ちなみにタイのケースでは、損害賠償の内容について一番詳しく触れていたTelegraph紙の報道によると、外貨準備に生じた損失と同額を請求したとのことですから、タイ法の詳細はともかく一般の不法行為としては、法理論的には筋がとおっているわけです。

ここで若干脱線しますと、外貨準備に生じた損失ということは、外貨を(固定相場制維持のためのバーツ買い介入で)安売りしたことについて、その段階で変動相場制を導入していれば売れたであろう価格との差額をいうのではないかと思われます(事実関係は未確認です)。マレーシアのように資本取引規制の導入・固定相場制の維持という政策オプションもあり(そしてそのオプションを採らなかったことについてレンチャイ元総裁のみに責任を帰することはできないでしょう)、その道を進んでいればそうした機会費用は存在しなかったわけですから、Telegraph紙の最後のパラグラフで引用されるタイ人のコメントのように、スケープゴートにされた側面は否定できないでしょう。

#本来なら、変動相場制導入を強く迫ったIMFこそが被告にふさわしいような気が(笑)。

では一般国民が国家賠償を求めたらどうなるのか。ネットでは詳細を見つけられなかったのですが、判例タイムズNo.923には、東京地裁平成8年6月17日判決として、次の判例が掲載されているとのことです。

一 大蔵省銀行局長が行ったいわゆる不動産関連融資の総量規制により地価が下落したため損害を被ったとして国に対してされた損害賠償請求が棄却された事例

二 公定歩合の引上げにより地下が下落したため損害を被ったとして日本銀行に対してされた損害賠償請求が棄却された事例

判決の内容がわかりませんし、その後上級審へ行ったのかどうか、行ったとしてどういう判決だったのかもわかりませんので全くの推測ですが、政策と損害との間に相当因果関係が認められなかったのではないかと思われます。

結局日本においては、中央銀行に対しては言論活動によって責任を問うしかないのではないかと。

[media][politics][government]それを言っちゃあお仕舞いよ

共同通信の配信で全国紙に掲載されていない記事(Google Newsで確認)ですが、次のような報道がなされています。

【北京3日共同】中国を訪問中の野田毅元自治相(日中協会会長)は3日夜、中国の呉儀副首相が5月の訪日時に小泉純一郎首相との会談を中止し繰り上げ帰国したことについて「(中国が)土壇場でキャンセルしたわけではない。日中外交当局間では、前から分かっていたことだ」との見解を示した。

野田氏によると、先月16日に小泉首相が靖国神社参拝を継続する意向を表明した直後、中国政府が日本側に呉副首相の訪日日程繰り上げを打診。その後「騒ぎを大きくしないよう当局間で話し合った」(同氏)結果、23日の首相との会談以前の日程は予定通り消化することで折り合ったという。

「ドタキャンでなかった」 呉儀副首相帰国で野田氏(リンク先は徳島新聞)

実はそうではないかと思っていたのですが、触れてはまずいと思って遠慮していたものを>下のいずれか。

  • (不用意につい口を滑らせたのであれば)野田議員
  • (オフレコにもかかわらず記事にしたのであれば)共同通信

海外要人を迎える際には、いきなりよく知らないことを突きつけられて不利にならないよう、日程といったロジ(知る人も多いと思いますが、霞が関用語でロジスティックスの略。内容ではなく(こちらはサブ(サブスタンスの略)といいます)手続のことです)だけでなく、どのようなテーマについて話し合うのかについても事務方で調整し、事務方はそれを踏まえて事前に想定問答を用意するわけです。

だからこそ、この手の会談においてドタキャンというのは本国の政変なんていう突発事態がない限りあり得ない話ということになります。相手の返事がどうであれ要求することに意義があるならば、言うだけ言って帰ればいい話ですし、返事に意味があるにもかかわらず意味のある返事をもらえる見通しが立たないのであれば、そもそも会談をセットしなければよいのです。

完全に憶測ですが、今回の流れは次のようなものだったのではないかとwebmasterは考えています。

  1. バンドンでのAA首脳会議スピーチ小泉総理・胡錦濤国家主席会談と同様のやりとりをする前提で、呉儀副首相来日・小泉総理との会談をセット。
  2. 中国側より、(国内事情から)もう少し色よい言葉がもらえないだろうか、との持ちかけ。
  3. 日本側より、無理との回答。
  4. 双方協議の結果、それなら会談自体しない方がよいとして、以下の条件で合意。
    1. 中国側が前言を翻したので、会談のキャンセル自体については中国側の責任として公表。
    2. 日本側は、中国がいわば恥をかぶることとのバランス上、キャンセルの非難はしない。
  5. キャンセル公表(5/23)直後、双方とも合意に沿って中国側の事情(緊急の公務)でキャンセルになったと発表。
  6. 小泉総理が「先方が『ぜひ会いたい』ということなので、『私も喜んでお会いしますよ』と予定を作ったが、分からないですね。野党の審議拒否が伝染したのかな」と発言(5/23)。
  7. 一国を代表する立場の者を国内の野党と同一視したことに中国が反発し、キャンセルの理由を靖国問題と公表(5/24。多分、23日夜の間にそうすることが中国側から伝えられたので、24日朝には日本側も公式にキャンセルの非礼に言及)。

とまれ、中国側は既にキャンセルの理由を靖国だとしているわけですから、この野田発言のダメージは少ないですが、日本側にとっては、今まで嘘をついていたということになり、かつ、中国とは異なりそれに対する批判が十分にあり得ますから、それなりの政治的軋轢が生じかねません。

野田議員にはそのように政府を困らせたいという動機がないと考えられること、(あくまでGoogle Newsに基づけばですが)共同通信以外にこの問題を取り上げるメディアがないことの2つの理由から、共同通信がオフレコ破りをしたのではないか、というのがwebmasterの推測です。

[misc]田中先生、ご乱心(笑)

「山田優嬢のセレブ価値は保たれたか?」(@ノーガード経済論戦6/3付)は、「経済学を知らぬエコノミストやトンデモなビジネス書に果敢にノーガード戦を挑み、混乱する経済論戦シーンを明快に読み解く。」というお題目とはあまりにかけ離れているとの指摘を免れないと思います(笑)。

#ガルブレイスに端を発する広告の経済効果について触れられていて、当然ながら単なる芸能談義ではありません。先生の名誉のために付け加えておきます。

ところで、6/2の19時44分の段階で田中先生は、「ノーガード」原稿(二本)を抱えているとおっしゃっていましたが、山田優のニュースはそれ以降に出たわけで、予定原稿をさしおいてまでお取り上げになったという理解で間違いないのでしょうか?(笑)

[misc]ザモデル氏、再登場

田中先生つながりで、かのザモデル氏(当ページでの敬称の通常の用法とは異なりますが、「氏」が経緯もあり一番しっくりきます)がドラエモン氏は引退したんですか。知りませんでした。ここには偶々来たのですが、(どなたか)よろしく伝えてください。とのコメントをEconomics Lovers Liveに寄せていらっしゃいます。田中先生からここも見ているんじゃないかなとあるように、既にご覧になったかもしれませんが、念のため掲載させていただきます。

[sports]サッカー日本代表、バーレーン戦勝利

次の名台詞を思い出しました。

「東郷は運のいい男ですから」
(山本権兵衛海軍大臣が明治天皇に対して東郷平八郎舞鶴鎮守府司令長官を常備艦隊(後に連合艦隊)司令長官に推挙した際の言葉)

手腕は東郷提督ほどには期待できませんが、運は東郷提督なみに期待できそうです、コインブラ監督。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]
isuzuki (2005-06-04 11:57)

スレ違いなんですが聞いておきたかったので。Deep Throatに関する評価を聞いてみたいんですが。 Bewaad氏の評価はどんなもんなんでしょうか? 裏切り者か正義の味方かみたいな議論がありますが。

韓流好きなリフレ派 (2005-06-05 01:45)

ははは。殿ご乱心ですか、か。まあ、そんなようなもんです。爆。あれはELLの方に掲載する「ネタ」話(主にbewaadさんとyanoさん、nmさん向け)だったんですけどね。笑。

ま、セレブの経済学というのも実はあって(え!)、いまザモデル氏が来てますが、当時、苺経済板でも名前が頻繁にでていたSuttonのThe Theory of Industrial Organizationの最新版にトピックスで掲載されてます。そのうち調子にのって?続き書くかもしれないね(^^;)

bewaad (2005-06-05 13:41)

>isuzukiさん
「裏切り者か正義の味方か」は、それは立場によって違って見えて当然なのでしょう。結局は結果を見て判断ということになるのでしょうが、結果がどれほどよくても、それを裏切りと考えて許さない人は当然いるでしょうし。

ただ、その手の話は昔から怪文書という形で多く流れているわけで、それをホイッスルブラウアーという別のラベルが貼られるようになっただけというさめた気分も若干あります。怪文書で地位を追われた人というのもそれなりにいますから。

bewaad (2005-06-05 13:44)

>韓流好きなリフレ派さん
ひょっとしてELL(というのが公式略称だったのですね)用の原稿を間違えて載せてしまったのか、というのが第一印象だったのは内緒です(笑)。

外務省の方々の一人 (2005-06-08 06:44)

鋭いご指摘方、拝読させていただきました。

野田先生の発言は、日中協会会長として訪中した際に邦人記者に対する記者会見でのものですので、共同の記者さんがオフレコ破りをしたわけではないです。
事務レベルの内々の日中間のやりとりを知る立場にはありませんが、「呉儀副総理のドタキャンの件は話さなかったのか」とつっこまれ、なかった。それは世間で言われているほどの問題じゃない・・・と問題を沈静化させるため過小評価しようとして、つい口をすべらしたのでしょう。こういうウブな先生が、海千山千の中国を相手にするのはいかがなものかと。

bewaad (2005-06-08 08:19)

>外務省の方々の一人さん
毎度インサイダー情報ありがとうございます。6/8のエントリで紹介したIrregular Expressionさんで、町村大臣の否定発言を受けて野田議員が嘘をついたのではないかという論考を披露されていますが、本当であってもイエスとはいえないだろうと思いつつ読んでいたところです。

といいますか、中国側も困りますよね。野田発言が中国国内で知れ渡れば、あの日本のために演ずる必要もない(と中国国民が受け取る)汚れ役を自ら買って出たということになり、威信に傷がつくわけですし。

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なんじゃあ、この木馬すぎるのは (^^;;)


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