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2005-09-01

[economy][media]そりゃ君らはデフレがうれしいだろうけどさ

総選挙が公示され、残暑の厳しい町の中を、選挙カーが走り回りはじめた。

どの候補者も口にするのは「カイカク」で、財政赤字も減らすと約束する。しかし、それには公的なサービスの低下や増税が避けられない。候補者を見抜く物差しは、バラ色の公約ではなく、国民が耐えるべき痛みを正直に告げる勇気の有無ではないか。

日本の国と地方の借金は700兆円を超え、国民1人あたりにすれば600万円にもなる。これほど大きな公的債務を抱え、しかもその債務が増え続けている国は、戦後の先進国の中では今の日本しかない。

現状のまま債務がふくらみ続ければ、いつか、財政に対する内外の不信感から円への信認が揺らぐ時がくるだろう。そうなれば、個人の金融資産が海外に逃げ出し、円は下落し、激しいインフレが起こる。

インフレによってお金の価値が目減りするので、国や地方の借金の価値も減る。しかしその分、預貯金も目減りし、経済混乱や物価上昇によって、国民がその負担を支払わされることになる。

しかも、インフレになると、低所得者や年金生活者ら弱者の受ける痛みが相対的に大きくなる。年金や介護保険の価値も下がるから、意図しなくても社会保障は縮減されてしまう。

つまり、財政改革を先延ばしすれば、弱者への負担の押しつけが自然に起きてしまうのである。

これは、巨額の財政赤字が激しいインフレと結びついた第1次大戦後の欧州諸国や、80年代の南米の歴史が雄弁に示している教訓だ。

改革をするかしないか。それは、国民1人600万円の債務を分割払いで整然と返済していくか、それとも支払いを先送りし続け、最後に破産して差し押さえにあうか、という違いのようなものである。

どちらが望ましいかは明らかだ。歳出削減や増税という改革の痛みは、いずれ返さなければならない借金の分割払いの痛みだと言える。

だからこそ、恒常的な赤字体質が続くなかで、歴代の首相は「財政再建」に取り組んだ。大平内閣は一般消費税の導入を試みて失敗し、竹下政権になってようやく消費税の導入に成功した。中曽根内閣では、雪だるま式に赤字を積む国鉄の民営化が決まった。

しかし、その後、バブル崩壊で投じられた巨額の景気対策のつけで、財政赤字は途方もなく膨らんでしまった。

少子高齢化社会で社会保障費の増大が確実な中で、各党のマニフェスト(政権公約)にある財政改革案の実効性に、有権者はどれだけ納得できるだろうか。

どうやって財政改革を実現するのか。具体的な政策ビジョンを語るように、候補者や政党に求めたい。

朝日「国民の借金 候補者は「痛み」を語れ」(8/31付社説)

  • 民間の貯蓄投資差額は対政府債権か対海外債権のいずれかになります。つまり日本の公的債務の大きさは、対外債権の大きさ(長らく世界一です)と同根なのですけれども。
  • 個人の金融資産が海外に逃げ出すといっても、円を外貨に換えるに当たって円を買う海外の需要が相対的に大きければ円は下落しません。だいたい通貨安によるインフレが「激しい」って、どの程度を想定しているんでしょうかねぇ。プラザ合意後のアメリカではドルは相当程度下落しましたが、アメリカがその際インフレに悩まされたなんてことがありますか? (いまさらキャピタルフライト(笑))
  • いまどきインフレ=弱者が苦しむなんて議論がまだ生き残っていたとは・・・。
    • 預貯金の目減りをいうなら、無貯蓄世帯は無関係です。
    • 年金は物価スライドがあります。
    • 失業者の増加は無視ですかそうですか。
    • パートタイム労働者の増加も無視ですかそうですか。
    • 家計もインフレによる住宅ローンなどの債務の実質減価による恩恵を受けます。
  • 財政赤字を問題にしているにもかかわらず、ドーマー条件を考えないのは朝三暮四です。バブル後の景気対策より、それをやめたはずの小泉政権下で債務増加が進んでいることをどう考えているのやら。
  • 「お手軽な印象論でなく、経済学の知見に基づいた社説を書くように、新聞に求めたい。」
本日のツッコミ(全14件) [ツッコミを入れる]
とおりすがり (2005-09-01 11:23)

社説に言うところの
>改革をするかしないか。それは、国民1人600万円の債務を分割払いで整然と返済していくか、それとも支払いを先送りし続け、最後に破産して差し押さえにあうか、という違いのようなものである。
 これは、ある意味「正当」だと思います。問題は、「分割払いで整然と返済する」方法のはずです。今の「改革」なり、構造改革原理主義が「整然」としたものかどうか、が問われているのだ(そして、マスコミなどが、構造改革しかないと煽っていることが問題なのだ)と、このブログを読むようになってから考えるようになりました。

cloudy (2005-09-01 14:02)

テレビ局や朝日読売の社員は30歳で年収1000万と言われてますね。
それは彼等の優秀さによるものではなく、規制によるレントに他ならないわけですが、そこんとこを勘違いして「俺達は実力でこんなに売上あげてんだから、倒産会社や失業者どもは努力が足りねーだけなんだよ!デフレなんか関係ない!」とマジで思ってるんじゃないでしょうかね。
ですから、まず実行すべき改革は再販制廃止と電波行政の見直しでしょう。改革の波が自分たちにも及べば少しは違った意見も出てくるのでは。三輪先生や池田信夫氏にがんばってもらわないと。

すなふきん (2005-09-01 19:29)

>cloudyさん
>それは彼等の優秀さによるものではなく、規制によるレントに他ならないわけですが、

まあ、レントもたしかに関係ありますが、入社するには何百倍もの競争率を突破するわけですから、世間的には超エリートであることは事実でしょう。少なくとも平均レベルよりはかなり高い能力を有しているということは言えるんじゃないですか。レントの底上げ部分をとっぱらった収入はどのあたりが妥当なのかということでしょう。

svnseeds (2005-09-01 20:33)

アヒャ。こりゃひどい。
どうして彼らは借金全部返す必要があると考えるのかなあ。それにこの数字、やっぱりグロスのものですよね・・・orz。

(2005-09-02 00:13)

円が下落したら、輸出が増えて景気回復するのに、なぜそれを問題視するんでしょうかね。南米でも自国通貨が暴落して、景気回復した国はたくさんあるというのに。
日本は対外純債権国だから、円が下落するほど円建ての対外債権の価値は高まるし、ネットでの政府債務も減るし、良い事尽くめ。
それにインフレが痛みだったとしても、それが歳出削減や増税の痛みよりひどいとはいえないはず。
増税で分割払いせずとも緩やかなインフレで分割払いでもいいはずですし。

bewaad (2005-09-02 06:42)

>とおりすがりさん
あくまでこれは一例であって、他紙も似たようなものなのが困りものですよね・・・。

bewaad (2005-09-02 06:55)

>cloudyさん、すなふきんさん
やはりレントが先にあり、だからこそ待遇がよく競争率が高くなる、という因果関係ではないでしょうか。

個人的に知り合いの記者さんを思い浮かべてみると、もちろん優秀な方々も多いのですが。

bewaad (2005-09-02 06:59)

>svnseedsさん
民間ですらdebt policyはさまざまな要素を考慮する必要があって単純に無借金がいいわけではないというのに(今無借金がいいのはデフレへの適応ですし)、まして徴税権や通貨発行権がある政府においてをや、というはずなんですけれどもねぇ。

同業者(毎日)の経営不振を一般化しちゃってるだけだったりして(笑)。

bewaad (2005-09-02 07:05)

>◆さん
リフレ派の間では、なんでこんなにインフレに抵抗感があるのかよく議論になっていました。円安警戒もインフレが口実になっていますし。

(2005-09-03 16:08)

「お手軽な印象論でなく、経済学の知見に基づいた社説を書くように、新聞に求めたい。」

そんな難しい知見で述べられたら、新聞、読む気にはなれないですよ…。

bewaad (2005-09-04 06:10)

彼らは物書きとして給料をもらっているわけで、そこはわかりやすく書いてくれるはず(と期待したいです)。

うみゅ (2005-09-07 11:35)

>Bewaad様
 経済白書レベルですら、経済学を大学で受けていない一般大卒には付いていくのに大変な状況では、分かり易く書く事には限度があるかと思います。それでも、改善の努力は欲しいところですが。

つーか、マスコミは給料を下げてその分人手を増やして欲しいと切に感じます。こちらも何人か新聞社の方とお付合いしておりますが、彼らはあまりにも仕事が多すぎて定点観測をする余裕なんてありません。給料を下げる代わりに仕事の量を減らし、その分定点観測なり、専門を強化するなりの余裕が欲しいところです。

ヌル (2005-09-07 23:06)

貿易黒字なのに不景気なのはなんで?とか、国債って日本国が日本人にしてるものなのに破綻するのはなんで?とか、公共事業って日本人の仕事と給料になるのに何が悪いの?とか当たり前の疑問を当たり前に説明してあげれば中学生でも分かる話だと思うので、要はマスコミが勉強しないという体質の問題だと思います。

bewaad (2005-09-08 03:49)

>うみゅさん、ヌルさん
知り合いの記者を見て言語するなら、人事異動のスパンが短すぎるのかな、という気がします。「足で稼ぐ」=労働集約産業である面もあることも踏まえ、組織内での効率化の余地は多分になるのではないか、と個人的には思っていますし、その際は専門的な話は無理して自社スタッフでまなかうことなく、外部に出すことになるのではないかと思ってます。

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帰宅してTVをつけると報道ステーションで各党の代表が討論をしてた。 しかし、ひどい。ひどすぎる。司会者、自民党、民主党が素人経済学の謝った概念にとらわれているので「日本はもう破綻寸前」と言う「ノストラダムスの大予言」を前提でしゃべっている。キバヤシが少年..

http://bewaad.com/20050901.html#p01 最近の新聞でも、科学解説記事などは自然科学系の教育を受けた記者が書くようになってきたようだが、相変わらず経済記事は経済学を知らない記者が書いているようで。


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