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2005-09-08

[economy][politics]5度財投機関債について

#本エントリは下記の関連エントリ中3番の続きになります。

  1. 「財投機関債廃止のために郵政民営化をすべきなのか?」(8/24付)
  2. 「昨日の補足(財投機関債などについて)」(8/25付)
  3. 「それでも暗黙の政府保証は存在する、ほか」(8/27付)
  4. 「4度財投機関債について」(8/30付)

馬車馬さんからいただいた次のご質問に回答させていただきます。

◆ 馬車馬 (2005-08-31 13:02)

TB有難うございます。コメントが遅れてごめんなさい。本文、コメント欄ともに興味深く拝見しました。

ざっとまとめますと、
1. 政府の政策を実行する機関である以上、政府がきちんと面倒を見るのは当然
2. 現実問題として暗黙の政府保証は織り込まれている
3. ただし、そもそも「暗黙の政府保証」をどう定義するかという問題はある
4. 発行体による格差は現在むしろ縮小している
5. 旧自治省は明示的に地方債の「暗黙の政府保証」を認めていた
6. 地方債のスプレッド格差は実際のクレジットの格差に比べれば小さい
7. risk mitigationとしてカウントされるのでスプレッドには格差が出る
8. スプレッドは厳密には信用プレミアム+流動性プレミアムなので、そこでもスプレッド格差がつく

といったところだと思います。「どら」さんがご指摘されている通り、私はnon-JGBは完全に素人ですので、現場の方がトンデモとおっしゃるのであればそれは感受せねばならないと思います。また、同じ理由から上の2点目、4点目と6点目には反論のしようがありません。ただただ「勉強になります!」と思うばかりです。

それ以外の点について。1点目についてですが、政府にとって重要なのは実行機関の継続ではなくサービスの継続ですから、一度機関は清算して投資家に債権をあきらめさせ、改めて新しい機関を立ち上げてもいいわけです。その意味でこれは「暗黙の〜」を正当化するロジックにはなりにくいと思います。

3点目についてですが、これは全く仰るとおりで、「〜保証」は厳密には狭義広義の2種類があるのだと思います。私は狭義の「保証」しか考えておりませんでした。個人的には、機関債の今後を考える時に狭義の「保証」が前提されるのはまずそうですが、広義の「保証」についてはどうなのか、ちょっと疑問があります。こちらは(私の)今後の課題という事で。

5点目については、自治省が発行体格差を付けたくなかったので「〜保証」を半ば明言していた、と理解していますが、今は大分事情が変わったのではないかと。

6点目についてですが、クレジット格差に比べてスプレッドが小さい、という点は了解しましたが、どの程度小さいのでしょうか?

7点目ですが、risk mitigationでスプレッド格差が付くというのがちょっとよく分からないのですが、もう少しお教えいただけると幸いです。

8点目、10年前の公社公団債に比べ、現在の機関債のスプレッドは基本的に拡大している(金融機関は縮小しているように見えますが)と理解しているのですが、それも流動性プレミアムの増減で解釈可能でしょうか?もし違うとすると、このスプレッドの変化は何を反映しているのでしょうか?

質問しまくりで恐縮なのですが、お手間でないものだけでもご教授頂ければ幸いです。

コメントを拝見するに、「保証」がほとんどない、という部分については間違っているという結論だと思うのですが、改善しているのかどうか、そのペースがどうか、という点が未だにもやもやしております。その点についてもお教えいただければ大変ありがたいです・・・(ややこしいのは結局保証の有無はバイナリーではなく、「どの程度」存在するかが問題になっている、という点だと思います)

1点目ですが、清算・再調達等に要するコストと債務を事実上保証するコストの大小を比較して前者が小さいのであれば、ご指摘のような処理もあり得ますが、なかなかそのようなケースは想定しがたいのではないでしょうか。こと個別の事業のみを見るだけでは不十分で、他の財投機関の将来にわたっての資金調達コストにも影響を及ぼすわけですから。

3点目ですが、暗黙の政府保証自体は、最後に馬車馬さんご自身が示されているようにバイナリーではあり得ません。暗黙の政府保証がどのように観察されるかといえば、結局は金利が勝手格付けのように財務状態のみから想定される信用リスクに見合わないほど低い状態であるかどうかということになりますので、つまりは投資家が政府の損失肩代わりの確率をどの程度織り込んでいるかという鏡像しか観察できません。

実際に政府(予算・法律の決定権者=国会も含む)が財投機関の破綻に当たってどのように振る舞うかは蓋を開けるまで決定不能で、投資家が国の出資や監督等のコミットをどのように主観的に評価するその加重平均値がいわばimplied implicit government guaranteeであり、したがってex anteにはimplied valueしか存在し得ないとwebmasterは考えています。シュレーディンガーの猫が財投機関、観測者が投資家、その表情などから確率についてあれこれ雑談する野次馬(笑)が暗黙の政府保証について議論する者、といったところでしょうか。

5点目ですが、総務省の地方債の安全性についての解説ページにおける、地方債の元利償還に必要な財源を国が保障という微妙な言葉遣い(「保証」にあらず)が全てを物語っているのではないでしょうか(確か旧制度時代も「保障」と呼んでいたように記憶していますが、裏が取れませんのでその程度の信頼性としてお受け取りください)。

6点目ですが、実際のデータは他の方々にお任せするとして、先に紹介の総務省のページにおいて記されているように地方債はBIS規制上のリスクウェイトがゼロですので、それが価格形成に影響している可能性があるのではないか、という点のみ紹介いたします。

7点目ですが、政府支援の可能性がゼロでない限りは、その確率分だけリスクが低減されるはずなので、投資家は当然その低減効果を見込んで投資判断を行うということではないでしょうか。

8点目ですが、本来事業系財投機関の債券を悉皆的に分析すべきかもしれませんが、とても適任とは思えませんので、馬車馬さんのエントリで俎上に上げられていたのは道路公団と本四公団ですが、そこでまさしく道路公団について道路公団債はムーディーズでAa3、S&PでAA-と高い格付けを得ており、シングルAの社債スプレッドが0.15%程度であることを考えると、もっと低い金利で発行できていてもおかしくないとされているように、これらについてはポリティカル・リスクが織り込まれてスプレッドが拡大した可能性があり、他の事業系財投機関とは同列に論じられない可能性があるのでは、とのみお答えさせていただきます。

[government]METI, METI über alles!

中川経産相:経産省不祥事で訓示「国民の見る目は厳しい」(毎日)

通産省時代から中央官庁の中で最も活躍してきた本省に対する国民の見る目は厳しい。『このくらいはいいだろう』という考えや風通しの悪さが結局、省始まって以来のイメージ低下につながった」 ※ 強調は引用者による。

部内向けに言っていることなのでことさらに論難するつもりはないけれども、このような発言があったということだけは指摘をしておきたい。ま、「活躍」の語義を幅広くとらえれば、必ずしも誤りではないのかな、と。(´ー`)y-~~

記事をご紹介のbranchさんとは異なり、webmasterは「活躍」ではなく「中央官庁の中で」の解釈がポイントだと思います。「経産省は他省庁に比べて最も活躍してきた」という意味ではなくって、「経産省が最も活躍してきた舞台は他省庁を相手にするものだ」ということで(笑)。

本日のツッコミ(全9件) [ツッコミを入れる]
しょうゆ (2005-09-08 17:58)

すりらんかたん、偉い。

ライス国務長官「スリランカからの寛大な支援に特に留意している」

http://www.asahi.com/international/update/0908/008.html

ある債券のセールスマン (2005-09-08 21:53)

いやあ、郵政改革の自民党案って実は郵政肥大化と地銀殺しの政策じゃあ
ないですか。なのに銀行が何も言わないんで変だなと思っていたんですが
あちこち聞いて回った結果、要するに金融庁から圧力掛かって反対とは言
えないことがわかりました。どうも小さな政府のかけ声はともかく、実際
には政府による非公式の民間への干渉は強まるばかりですね。はっきり言
うなら、これは暗黒政治ですよorz

韓流好きなリフレ派 (2005-09-08 22:28)

肥大化かどうかは例の附帯決議問題のすりらんかさんの
解釈などもからみますが、それでも民営化準備室の骨格
経営試算をみると信じられないくらいに「儲かる」ないし
「儲ける」気でいることだけは確かですね。

例えばナローバンクなんて儲からないものには公社も郵政民営化
積極論者も見向きもしませんよね。自信満々だ 笑。

yubin (2005-09-08 22:31)

ばーれーたーかー とか言ってみるテスト。

bewaad (2005-09-09 06:23)

>しょうゆさん
「印税を寄付します」なんて著作が書店に並んでいる光景をおもわず想像してしまいました(笑)。

bewaad (2005-09-09 06:29)

>ある債券のセールスマンさん
民間からすれば、特にメガや優良地銀・信金なら、民営化郵貯はおそるるにたらずなのではないでしょうか。預金流出懸念になやまされているようなところはガクガクブルブルかもしれませんが。

bewaad (2005-09-09 06:34)

>韓流好きなリフレ派さん、yubinさん
実は旧郵政官僚にとっては願ったりかなったりの民営化だ、という話はあるかなと思います。郵政事業においては旧郵政官僚、特定局長、組合の三つ巴の内部闘争があったわけですが、例の更迭騒動以来旧郵政官僚の動きはまったく見えなくなっており、勝ち馬に乗ろうと舵を切ったのかな、という気もします。

馬車馬 (2005-09-22 21:43)

すみません、折角エントリーを起こしていただいていながらコメントをするのを忘れていました。

1点目ですが、清算コストがどの程度あるかは私には分からず、保証すること及びそれに付随する社会的コストと比較することはほとんど不可能なように思えますので、この点はちょっと議論が難しいかもしれませんね。私は単純に、たとえば連絡橋の買い手なんて国しかありえないわけで、政府はニヤニヤしながら「じゃぁこの値段で買い取りますから、それでカバーできなかった部分は君たち(債権者)が泣いてね、保証?なにそれ?」って言えばいいと思っているのですが。その結果暗黙の政府保証が消滅してスプレッドが広がったとしても、それは望ましい結果であって忌避すべき必要は全くないと思います。

3点目についてはおっしゃるとおりですと申しますか、難しいですよね、と(笑)。5点目の地方債ですが、とりあえずそういう文章を総務省の役人に書かせてはいけないと思います。保障というのはニヤリとさせられますけど(笑)。

BIS規制のリスクウェイトってゼロだったんでしたっけ。すっかり忘れてました。オレンジ郡の例もありますし、それは変えたほうがいいと思いますね。今進んでるBIS規制の改定案ではどうなってるんでしょうね。8点目については『悉皆的に分析すべき』と言うことに全く依存はないわけですけれども、そんなことをやる気には全くなれないという点でも同じでありまして。だれかクレジット系のレポート分けてくれませんかねぇ(笑)。

bewaad (2005-09-23 08:45)

本来国が直接やればいいところ、定員やら政府肥大化批判やらで特殊法人をつくってやらせ、さらにそこに市場原理を導入する、というのがいかにも接木で、そのゆがみが端的にあらわれているのが暗黙の政府保証なんだと思います。本来国でやるべき業務であれば国が一括して資金調達することが合理的で、「国がやるべき業務」かどうかを議論すべきなのに、それを兵糧攻めだのなんだかんだとピントが外れているのはなんだかなぁと思います。


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