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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-11-01

[politics]第三次小泉改造内閣発足

感想をとりとめなく。

  • もっとも意外だったのが、竹中大臣が経済財政政策担当を外れたことです。経済財政諮問会議は小泉政権の要で、他に何を兼任させようとも(これまでの金融担当や郵政民営化担当と同様に、ということです)、この担当を外すとは思いませんでした。総選挙の結果を受け党のグリップが格段に強化されたので、余人をもって替えても差し支えないという判断があったのではないかと思います。他方で総務大臣ということは、郵政民営化の遂行に加えて三位一体が大きいのでしょうけれども、これまでは竹中後継の芽はないと踏んでいましたが、わずかとはいえ出てきたような気がします。
  • というわけで後継者争いですが、その余については、
    • 今回の組閣で一番割を食ったのは明らかに安倍官房長官でしょう。というのも、閣外にいれば担がれやすいので取り込んだということもありますが、それ以上に、官房長官は総理の盾となる身ですから自分の主張は殺すことが求められ、したがって彼独自の見解として支持を集めていた主張(北朝鮮への経済制裁、人権擁護法反対など)を引っ込めざるを得ないどころか、それに反する政府公式見解を述べなければならないからです。それだけ小泉総理が彼のポテンシャル(=自らの退陣後に独自路線を打出す可能性が高い)を恐れているということかと思います。。
    • 福田元官房長官は閣僚・党役員へ登用されませんでしたが、彼が郵政民営化にいかほどの貢献をしたのかを考えれば自然な話です。といっても現状維持ですから、安倍官房長官よりはましでしょう。
    • 横滑りとなった麻生外務大臣は微妙なところです。外交では当面目を引く結果が出そうにない上、官邸の影響力が極めて強い分野ですから、大きくプラスに作用するとは考えづらいです。とはいっても逆に言えば大きな失敗をするリスクも低く、かつ、福田元官房長官とは異なり表面には残っているわけで、現時点ではリザーバーとして2番手候補でしょう。あの失言癖(坊ちゃん育ちがにじみ出ていて嫌いではないのですが)がリザーバーに向いているかといえば疑問ですが(笑)。
    • というわけで後継最有力は谷垣財務大臣でしょう。政府系金融機関問題できちんと答えを出せば、という条件付きですが。
    • 以上をまとめれば、本命谷垣・対抗麻生・大穴竹中。
  • その他全体の傾向としては、やはり論功行賞ということに尽きます。与謝野経済財政政策・金融担当大臣、二階経済産業大臣、小池環境大臣あたりが代表例でしょう。
本日のツッコミ(全174件) [ツッコミを入れる]

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2005-11-02

[politics][WWW]F尺度測定改訂版

cloudyさんがF尺度測定につき、Javascriptのバグフィックス版を公開されています。どのようなバグフィックスかの説明等、blogにて関連エントリも立てられていますので、感謝の言葉などはぜひそちらにお願いします。

#遅ればせながら、cloudyさんblog開設おめでとうございます。

[politics]21世紀のマーケッターは彼(女)らをB層と名付けた

不勉強で恥ずかしい限りなのですが、次のテキストを読むまで「ルンペン」の語源を知りませんでした。

マルクスは『フランスにおける階級闘争』において、客観的にもっとも収奪されていながら、主観的に彼らを収奪する体制イデオロギーにもっとも深く親和している階層を「ルンペン・プロレタリアート」と呼んだ。
レーニンは『帝国主義』において、自らは収奪されている労働者でありながら、植民地住民からの収奪の余沢に浴しているせいで、資本主義イデオロギーを支配階級以上に深く内面化してしまった社会階層を「ブルジョワ的プロレタリアート」と呼んだ。
マルクス、レーニンのような天才でさえ階級理論との不整合にてこずって「別のカテゴリー」を作ってそこにねじ込まなければならなかった社会階層に似たものが現在の日本に発生しているのかも知れない。
21世紀の社会理論家たちは彼らを何と名づけることになるのだろうか。

「「下流生活者」たち」(@内田樹の研究室11/1付)

ボナパルティズムを持ち出して小泉政権を語ろうとした割にはうかつな話なのですが、遅ればせながらぐぐってみても、なぜルンペン・プロレタリアートたちがナポレオン1世ないし3世の支持基盤の1つとなったのか、その分析は見つかりませんでした。閉塞感を切り開く可能性を見出したが故なのか、寄る辺を失った身として帰属先を見出したが故なのか、そのぐらいしかwebmasterには思いつかないのですが。

といってこれでは不勉強であるとのみ公にすることで、それこそチラシの裏に書けというレベルにとどまってしまう(いつもそうかも・・・)ので、「ルンペン・プロレタリアート」をぐぐる中で見つけた興味深いページを紹介いたします(webmaster注:強調は原文によります)。

ここには、小泉総理と若い層が「真ん中」の層をサンドイッチにして「文化大革命」をしかけている、という新鮮な構図が。

「◆政局マニア系◆ フリーターと新しい自民党との革命的可能性(1)」(@竹中平蔵 公式ウェブサイト: とてもマニア〜なコーナー10/29付)

フリーターこそ終身雇用!!雇用概念の消滅!!

これこそ、一般常識を180度ひっくりかえす革命的発想といえるでしょう。これなら確かに、フリーターが自民党を支持してもおかしくない。

マルクス・エンゲルス「共産党宣言」の「ルンペン・プロレタリアート階級」観的偏見の遺伝子を引継いだ「フリーター=負け組」論で思考停止に陥りつつ、自らは規制やみえざる障壁で身分を守られ実力以上の生活水準を謳歌している「労働貴族」は、「雇用概念の消滅」という表現におののくことでしょう!

近い将来、新しい自民党は以下のような「宣言」(DAS MANIFEST)を出す日が来るかもしれません。

「フリーターは、『夢』以外に失うものを持たない。彼らが獲得するものは『成功』である。全国のフリーターよ、自由民主党のもとに結集しよう!」

「◆政局マニア系◆ フリーターと新しい自民党との革命的可能性(2)」(@竹中平蔵 公式ウェブサイト: とてもマニア〜なコーナー10/30付)

サイト名からご賢察いただけるとおり、竹中大臣公式サイト中のスタッフが運営しているblogからの引用でしたが、さすがに大臣自身が目を通し、OKを出したものだとは信じたくないです・・・。

#目を通していればB層問題で懲りた彼がOKを出すはずはないと思いますが、そういう算盤勘定でなく信条として違うと言ってほしい・・・。

[politics]続・第三次小泉改造内閣発足 その1:ご紹介を受けて

昨日のエントリをfinalventさんに取り上げていただいたのですが、そこであわせて取り上げられているessaさんのエントリ小谷野先生のエントリ、いずれも読んでよかったと思うものですが、若干異論を挟みたい部分があります。まずはessaさんから。

二階俊博経産相のような微妙な人事は前原さんにはできないだろう。対中強硬派を外相と官房長官に置いて、経産省に親中派。ひとつは親中派という「間違った」人も使える所に使ってしまおうということ思う。それと、世論が親中に傾くなら、そちらへ行ってもいいということで、それが福田さんを閣外に置いた意味でもある。

あくまでwebmasterの個人的観測ですが、おそらく小泉総理にとって外交問題のプライオリティというのは相当低くて、親中派を「間違った」人だとは思っていないでしょう。二階経済産業大臣は、衆・郵政特委の委員長として郵政民営化に尽力したことで評価がなされ、親中派であることなどそれに比べればあまりにも些細な話ではないかと思われます。

#外交問題を重視しているなら、田中真紀子外務大臣なんて人事があり得るはずもなく。

おそらく中国・南北朝鮮への姿勢をもって小泉総理を評価しようとしている人々がその行動に時として戸惑うのは、彼(女)らのそれら諸国への思いに比べれば小泉総理の思いはあまりにも軽いということがわかっていないからだとwebmasterは考えています。小泉総理にとってその行動原理である友敵関係にたまたまはまったからこそそれら諸国に対して強く出ているだけで(はまることとなったきっかけは靖国問題でしょうが)、つまりは型どおりの行動をとっているだけなのですが、そこから意図を逆算して過大評価になっているのでしょう。靖国問題以外では、小泉総理にとってそれら諸国はどうでもいい存在に近いのではないでしょうか。

essaさんのエントリからはもう一点。

小泉さんは、完全に来年で引退する気なのだろう。

だから、スクリプトというかバッチプログラムを仕掛けて、後のことは全て自動実行するようにした。これで一年仕事をさせれば、おのずと答えが出る。小泉さんはそれを見守るだけで、干渉する気はない。次の人が自分の路線を継承しようが逆を向こうが関係ない。「この期末試験で一番成績のいい人が次をやってくれ」という遺言だ。

スクリプト説には同意なのですが、路線の継承には大いにこだわるとwebmasterは見ています。かねてから自民党をぶち壊すと公言してきた小泉総理ですから、ここでいう自民党=かつての田中派から橋本派につらなるスタイルの復活はまったく許す気がないでしょう。小泉総理にとって「構造改革」とはこのスタイルの撲滅にほかならず、その象徴が郵政三事業だったというのがwebmasterの観測です。

ではスクリプト説にどのような観点から同意しているかといえば、この「構造改革」路線を自動実行するようにしたというところからです。選挙直後に書いたように今回の総選挙、そしてその後の民主党の路線変更により、政権交代したところで大差ない、ないしはより先鋭的な路線であることは揺るぎなさそうになりました(その結果はろくでもないことになりそうですが)。

小泉総理はanima politikosにしては珍しく帰属集団への思いが薄い人ですから、この路線さえ守られるなら自民党はもちろんのこと、森派や「小泉チルドレン」だってどうなってもかまわないと考えているでしょう。民主党を含め「構造改革」路線がマジョリティとなった今、この路線への唯一と言ってよい脅威は高い人気を獲得できる政治家が、その人気を利用して路線変更を図ることだけです。

人気が低ければ低いほど「構造改革」路線に純化せざるを得ない枠組みが確立した今となっては、そうした路線変更を可能とする人気を獲得する可能性のある政治家=安倍官房長官こそが最大の脅威ですし、それほどの一般受けはしなさそうな経歴を政府系金融機関改革・増税を含む財政構造改革で補って次を襲うであろう政治家=谷垣財務大臣こそがもっとも望ましい後継者だとwebmasterは小泉総理の心中を忖度しています。

続いて小谷野先生のエントリから。

私が「官房長官をやらせればいい」と書いた安倍晋三がホントに官房長官になった。

しかしこれを「次期総理へ向けての抜擢」と見るべきではないだろう。官房長官は、毎日国民の目にさらされ、瞬時の判断を要求される職掌だから、二、三ヶ月内に、安倍が「頭が悪い」ということが多くの国民に印象づけられ、安倍の次期総理待望論はしぼむだろう。つまり謀略人事である。

安倍官房長官は次期総理の可能性を低めるための人事という見方は昨日示したように同じなのですが、ご指摘のような径路を通じてのものではないでしょう。なぜなら、そのような径路が存在するなら今もなお小泉総理の人気が高い理由が説明できないじゃないですか(笑)。

[politics][economy][BOJ]続・第三次小泉改造内閣発足 その2:竹中大臣は更迭?

与謝野経済財政・金融担当相は1日の閣議後会見で、日銀が量的緩和政策の解除の可能性について「06年度にかけて高まっていく」とのリポートを出したことについて、「政府としてとやかく注文をつける立場にない」と述べ、来年にも見込まれる解除を容認する考えを示した。「頑固なデフレが続いている」と解除を牽制(けんせい)し続けてきた竹中前担当相と正反対の姿勢を示したことになる。

朝日「与謝野経財相、量的緩和解除を容認 日銀政策は注視」

竹中大臣の総務大臣への横滑りについては、昨日は出世であると受け止めて論じたのですが、実は小泉政権内でもっとも親リフレである竹中大臣をマクロ経済担当から外す、というのが最大の目的だったりして(笑・・・えませんねぇ)。

#引用記事中の日銀のリポートについては、すでにドラめもんさんが詳細にご紹介(11/1付)ですので、そちらをご覧いただければ幸いです。

[economy][government][politics]週刊東洋経済2005/11/5号

なかなか面白い記事が並んでいました。特に気になったものを以下ピックアップしてみます。

土居丈朗「一般財源化では地方に春はこない」(p11)

国と地方の税財政改革である三位一体改革に関連して、中央教育審議会は義務教育費国庫負担制度を維持する答申を打ち出した。(略)地方6団体は、文部科学省のひも付きの補助金である義務教育費国庫負担金を削減し、使途が自由に決められる一般財源(地方税や地方交付税)に振り替えれば地方分権が促されるというが、地方分権に対する勝手な妄想にすぎない。

そもそも、補助金の対象である義務教育費は、自治体が義務的に支出を強いられるものだ。その財源が一般財源化されて自由にできるというのは勘違いだ。(略)税源移譲で地方税収が増加するとなると主に都市部では税収増となるが、大半の地方部の自治体では収支が悪化する。税収増よりも削減される国庫負担金の額が多いからだが、それでも、地方側が国庫負担金削減を強弁できるのは、財源を地方交付税に依存しようとしているからだ。

(略)

本来、義務教育とは国が最低限保障すべきナショナルミニマムに属する行政サービスである。(略)三位一体改革は、3兆円規模の税源移譲のためにはどの補助金を削減すれば達成できるか、という発想で国から地方自治体への補助金の要不要を決めようとしている。極言すれば、地方にとって必要性は低いが税源移譲に役立たない補助金は温存され、地方にとって重要でも税源移譲に役立つ補助金は真っ先に削減対象にしようとしている。国と地方のナショナルミニマムの観点を考えれば、義務教育費国庫負担金は本来削減対象にすべきでないのに、税源移譲の生け贄として、最優先で削減されようとしている。

だから、義務教育費国庫負担金を削減し一般財源化すれば地方分権の春が来る、とはとてもいえない。(後略)

三位一体がらみでは珍しい(笑)まっとうな意見です。ちなみに何がまっとうかと言えば、まず税源移譲額ありきという部分。義務教育費国庫負担金といっても、今回の議論の対象はあくまで中学校部分に限ったもので、小学校については税源移譲対象には挙げられていない(webmaster注:「第二期」に求めるとされています)のが何よりの証拠です。小学校まで入れたら、それだけで2.5兆円になってしまって他の補助金の多くが対象外になってしまうから、という以外の理由があったら教えていただきたいものです。

でも、今の雰囲気では義務教育費国庫負担金は税源移譲対象になるでしょう、多分。大臣も変わりましたし。財源は当然、指摘のとおり地方交付税でしょう。

「今週の気になる数字/10.7%‐完全失業率を大幅に上回る潜在失業率(05年4〜6月期)」(p27)

四半期ごとに公表される同調査(webmaster注:労働力調査)の詳細結果を見ると、今年4〜6月期平均で就業を希望している非労働力人口は、同期間の完全失業者299万人より170万人多い469万人。このうち勤務時間や賃金、勤務地などの面で「適当な仕事がありそうにない」という理由から求職活動をしなかった人は175万人で、しかもうち70万人は「適当な仕事があればすぐに就ける」という状況にある。

こうした潜在的な失業者を含む「潜在失業率」を試算すると、「就職希望者」全員を算入した広義のケースで完全失業率(4.5%)を6.2ポイント上回る10.7%。「適当な仕事があればすぐに仕事に就ける」人を参入(ママ)した狭義のケースでも、1ポイント高い5.5%となる。(後略)

鍋象さんの作業を受け継いで行っている「真の失業率」試算(直近は9月分・第3四半期)と同じ問題意識による指摘ではないかと。ちなみにwebmasterの試算では、第3四半期の「真の失業率」は8.9%でした。

「座談会 中堅・若手公務員たちの"本音"トーク/縦割りで改革論議もタブー/住民への情報発信も不足」(pp41-43)

河田(webmaster注:国土交通省総合政策局交通計画課専門官) 僕が直接担当しているわけではないですが、まさに今、うちの役所の道路局が関係する道路特定財源の問題が出ているじゃないですか。(略)それこそ、バスでも、路面電車でも何でもいいんですが、お年寄りになっても使えるようなものにお金を使ったり、社会保障の分野に使ってもいいんじゃないのと、普通思いますよね。そういった議論すらタブーみたいな感じになっている。ある種、軍隊みたいなところを感じます。

道路を作るために特別に徴税しているのが道路特定財源なのですから、道路を作る必要がなくなったら廃止するのが筋だと思います。なんでわざわざ財務省に塩を送るようなことをいうのやら(笑)。構造改革原理主義者の通弊として、やたらと財政危機を深刻に捉えているということがありますが、要求側と査定側の議論を通じてどちらがベターかを考えるべきところ、要求側と査定側が同じ立場に立ってその余の観点を切り捨てるなら、それこそ官僚独裁以外の何者でもないという気がするのですが、彼(女)らの「改革」の狙いってそういうもの?

野口悠紀雄「通説粉砕 WOW! WOW! 経済塾/第1回 財政赤字を家計の借金にたとえるのは間違いだ」(pp120,121)

国債発行に関して重要なことは、「年収600万円のサラリーマンが毎年400万円の借金をするようなもの」と騒いだり、「国債発行額を30兆円以内に抑える」という類の公約をすることではない。

必要な第一は、国債で調達された資金が、将来の日本人の所得を増やすような目的に使われているかどうかを監視することだ。(略)

そして第二には、野放図な国債発行を防止するための制度的裏づけを確保することだ。とりわけ、日銀引受けの国債発行を絶対に認めないことである。「財政規律の確保」という目的を達成するために本当に必要なことは何かを、われわれははっきりと認識する必要がある。

家計に例えるなら夫婦間の借金になると説く野口先生、「必要な第一」まではよかったのですが、「第二」に至ってあれまあという感じです。デフレは放置しておいてかまわないという所論の先生ですから、日銀による国債引受に抵抗があってもそれはそれで整合的なのですが、ファイナンスについて著書のある方がプライマリー市場だけを問題視してセカンダリーならいいと言わんばかりの主張はいかがなものかと。といいますか、そもそも現在だって満期を迎えた日銀保有国債は乗り換え、つまり償還に見合った額の引受をしているわけで、悠長なことを言っている場合ではありません。まさかご存じないなんてことはないですよね(笑)。

山口二郎「ポスト郵政民営化の政治課題/自民大勝で始まった新たな官僚支配」(pp126,127)

官僚や諮問会議が国民に無断で政策の根本をなす価値観の選択(webmaster注:社会保障費の対GDP比キャップ)を行い、選挙ではそれを隠蔽したうえで与党が巨大な多数を取り、その後に政策の全体像を示すというのは、民主主義の否定である。選挙では劇的な形で民意が表現され、与党は国民からの強い負託を得たはずであるが、現実には新しい形での官僚支配が始まっているのである。

(略)まず、民主党は小さな政府という同じレールの上で、どちらがより過激な数値目標を示すかなどという無意味な競争をやめるべきである。対案と政権構想は違う。当面の課題について中途半端な議員立法などをするより、経済財政諮問会議が示すのとは別の国の形を示すことに全力を傾注すべきではないか。(略)

ここに書いてあることだけ読めば一理あると思いますが、現在の状況を官僚支配と位置づけているところに認知的不協和回避の言い訳を感じざるを得ません。かつて山口先生は、日本を滅ぼす経世会支配といい、小泉首相は議院内閣制の運用に関して、旧来の常識を突き崩し、政策の実現に向けて内閣の凝集性を高めるという新たな仕組みを作ろうとしている。政策内容は別にして、小泉首相の政権運営の手法には賛意を評(ママ)したい小泉総理の手法を評価してきたわけで、ここで述べられている「新しい形での官僚支配」とは、実は官僚支配でも何でもなく山口先生がかつて示した「改革」の行き着いた先なのです。

今なお「改革」を支持するのであれば、以前のように「政策内容は別にして、小泉首相の政権運営の手法には賛意を表」すべきですし(社会保障費の対GDP比キャップなど、選挙以前からさんざん諮問会議で取り上げてきた話題です。選挙で「隠蔽」されたように見えたとしたら、それはメディアその他の責任に帰すべきです)、小泉総理の手法を難じるのであれば、そもそも「改革」を相対化、つまり小泉総理の手法を悪いないし失敗した「改革」であるとしてどこかに真の「改革」があるはずという思考から脱却しなければならないでしょう。そうでないと、今度は「日本を滅ぼす小泉支配」打倒のために次なる改革者=次代の敵を呼び込むだけです。遼を滅ぼすために手を結んだ金に遷都を強いられ、金を滅ぼすために手を結んだモンゴルに滅ぼされた宋を思い起こさせますなぁ・・・。

ポール・モルティマリー「改革に消極的なEU国民/ユーロ高再来で景気後退」(pp136,137)

03年の金融緩和過程で、ECB(欧州中央銀行)の利下げは不十分だった。景気回復が軌道に乗っていないにもかかわらず、インフレ懸念からECBは利上げをほのめかした。債券市場は反応したが、利上げは行われなかった。その後も景気回復の兆しが出るたびに、ECBは利上げを示唆し、景況感を悪化させた。これが、EUが低成長から抜け出せない理由の一つだ。

9・11テロの後の米Fed(連邦準備制度)や日本銀行のように、ECBも実質金利を非常に低い水準にすべきだった。しかし、すでに手遅れだ。債券市場は利上げを織り込んでいるが、コアインフレ率が1.3%と低い状況で、継続的な利上げに踏み切るとは考えにくい。利上げをするにしても25ベーシスポイントずつ、2回のみという小幅なものにとどまるのではないか。

中期的にも欧州経済の見通しは暗い。根源的な理由は構造問題に進展が見られないことだ。成長率が低く、どの国でも国民は不満を募らせている。一方、低成長ゆえに、構造改革は必要以上の痛みを伴ってしまう。構造改革のペースの遅さが、問題の根源にある。その解決には成長の加速が不可欠だが、構造改革が進んでいないために成長も加速していない。それなのにEU国民は強力な政治的指導者を拒否している。まさにジレンマである。

ヨーロッパも大変です。インフレ率が1.3%なのにさらに利上げするなんていうのは自殺行為にしか見えません。最適通貨圏ではないのではという通貨統合の理論的問題以前の問題でしょう、これは。しかし通貨統合=金融政策統合といい、その条件としての財政政策の制約といい、EUってのはヨーロッパにとっての古き良き時代=19世紀への復古主義運動なのでは、という気もしてきます。であるならイギリスが「栄光ある孤立」を守るのもまた必然ということで(笑)。

しかしこの筆者、イングランド銀行OBで、かつこれだけECBのダメさがわかっているというのに、なんで構造改革が処方箋だとしてしまうのでしょうか。

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Before...

bewaad [だったら竹中外務大臣の可能性もあったということですね(笑)。]

ドラめもん [竹中大臣のWeb、当該秘書のコーナーをリニューアルするという名目でトップページからのリンクを削除しましたね。なんだか..]

bewaad [そういう対応となると、やっぱり竹中大臣は事前には見てなかったんでしょうねぇ、アレ。]


2005-11-03

[BOJ][economy]竹森俊平「世界デフレは三度来たる」(月刊現代2005/12, pp264-282)と日銀の変容

竹森先生の好評連載ですが、メインテーマである狂乱物価をめぐる分析はもちろん興味深くあるものの、現在の日銀を考えるに注目したいのは70年代の日銀は狂乱物価をめぐる金融政策の失敗を自認できたという点です。

#具体的にどういった行為についてどう反省したのかは、ぜひとも月刊現代を直接ご覧下さい。

他方で現在の日銀は、例えば先日公表された「経済・物価情勢の展望(2005年10月)」にしても、かねてからwebmasterが非難しているプルーデンスとマネタリーの意図的な混同を用いて、かつての量的緩和導入は正しかったし今量的緩和を脱するのも正しいとしています。そもそもプルーデンスであるなら個別対応すべきで量的緩和は邪道ですし、マネタリーであるならデフレを脱却する前から盛んに解除をちらつかせてインフレ期待の発生を回避するのは事実上のデフレターゲットということになるのですが、これらのいずれかなら少なくとも一貫性だけはあり検証の対象となるべきところ、ぬえ的に使い分けているのですから批判回避が最大の目的であると考えざるを得ません。

#この混同がどのようなものかは、bank.of.japanさんが詳しく解説されていますので、そちらをご覧いただければと思います。

なぜこのように変わってしまったのか、竹森先生の筆は1つの手がかりを描き出します。日銀法改正の際、つまりは日銀の独立性のあり方が議論されていたときには、かつての狂乱物価を巡る日銀の自省は「独立性の欠如」にまつわる被害者意識へとすり替わっていました。では独立性が悪いのかと考えたくなりますが、一応中央銀行の独立性は一般に好ましいものと考えられ、それに文句をつけるだけの材料をwebmasterが持っているわけではありません。といいますか、そのような難題に取り組まなくとも2つの説明が思いつきます。

1つには自省するだけの余裕の有無です。竹森先生もお書きのように‐引用されているフリードマンの評を見ると、この頃の日銀が今あればと思ってしまいます‐70年代中盤以降は安定的な経済成長が達成され、第二次オイルショックにおいても先進国中最高のパフォーマンス(英語本来の意味です。為念)を示していたからこそ、昔は失敗もしたさと認められもするでしょう。

もう1つは連続性の欠如です。かつては政策委員会がスリーピングボードであったことの裏返しとして、日銀プロパーが狂乱物価時もその後も変わらぬ金融政策の担い手と認識され、だからこそ一貫性を相当程度意識せざるを得ませんでした。ところが今では政策委員会が実際に金融政策を決定しているだけに、そのメンバーが変わってしまえば同じ政策委員会といっても別物になってしまいます。典型が先日の植田先生の日経記事で、量的緩和政策導入時の理論的支柱であったその人が換骨奪胎だというに等しい指摘をしているのですが、もしまだ植田先生が審議委員であったなら、そもそも政策委員会の解釈変更事態があり得たかどうか疑問です。

#ちなみに、量的緩和政策導入時のメンバーは今では誰も残っていません。

とはいってもこれも良し悪しで、メンバーが継続している場合、導入者のメンツの問題で誤った政策が変更できないリスクもあります。メンバーの入れ替えはそうしたリスクをヘッジする手段としてきわめて有効です。この長所を維持しつつ短所を減らすためには、bank.of.japanさんや植田さんのように整合性を問い続けることしかないのだとwebmasterは思います。

#というわけですので、東谷暁さんがエコノミスト日経新聞に続いて、日銀を題材に取り上げてくれればいいのにな、と思いませんか(笑)?

[history][law]歴史と伝統を履き違える輩が出てきそうなので

三笠宮寛仁さま(59)が、自身が会長を務める福祉団体の会報で「女性天皇」に触れ、「歴史と伝統を平成の御世(みよ)でいとも簡単に変更して良いのか」と、疑問を投げかけられていることがわかった。

(略)

寛仁さまはまず、「万世一系、一二五代の天子様の皇統が貴重な理由は、神話の時代の初代・神武天皇から連綿として一度の例外も無く、『男系』で続いて来ているという厳然たる事実」と強調。〈1〉皇籍離脱した元皇族の皇統復帰〈2〉女性皇族(内親王)に元皇族(男系)から養子を取れるようにし、その方に皇位継承権を与える〈3〉廃絶になった秩父宮や高松宮の祭祀(さいし)を元皇族に継承してもらい、宮家を再興する――などの方法を挙げられている。

その上で、「陛下や皇太子様は、御自分達の家系の事ですから御自身で、発言される事はお出来になりません」とし、「国民一人一人が、我が国を形成する『民草』の一員として、二六六五年の歴史と伝統に対しきちんと意見を持ち発言をして戴(いただ)かなければ、いつの日か、『天皇』はいらないという議論に迄(まで)発展するでしょう」と結ばれている。

天皇や皇族は憲法上、政治的な権能を有しておらず、有識者会議はその意見聴取をしていない。

読売「三笠宮寛仁さま、女性天皇容認に疑問…会報にエッセー」

この報道を引いてやはり母系(女系)天皇には反対という意見が出てくるでしょうけれど、前にも書いたことですがそもそも皇族以外の者が皇統の行方を決定すること自体が歴史と伝統からの逸脱です。歴史と伝統を重んじるなら、皇室典範をどう変えるかは天皇家の判断に委ねるべきとし、仮に天皇家が母系天皇を是とするのであればそれを受け入れるべきです。しかし、歴史と伝統を持ち出す者に限ってアプリオリに母系天皇は否定すべきものとするものが多く、そのような発言は寡聞にして見られません。くれぐれも歴史と伝統についてのダブルスタンダードにはご注意あれ。

#しかし読売も、文化の日が旧明治節であることを十分に計算して今日記事にしたのでしょうけれど、にしては「意見聴取」だなんてさらっとえげつない表現を使うものですねぇ。

本日のツッコミ(全40件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>fhvbwxさん 誤りのご指摘ありがとうございました。 おっしゃるとおり、ヨーロッパの王家と比較するのはあまり意..]

一国民 [11/7の朝日新聞朝刊に天皇家の系図含めてわかりやすく書いてありました。男系の旧宮家を復帰させるためには600年くら..]

bewaad [言及いただいたのは世襲親王家のことかと拝察しますが、臣籍降下したのはあくまで戦後ですから、「600年くらい遡る」とい..]


2005-11-04

[book]「改革の経済学」はいずこ

若田部昌澄先生の標記新刊について、Amazonで注文しようなんて浅はかな考えを抱いたのが馬鹿だった(発送まで4〜6週間はかかるとのこと)。楽をしちゃいかん。書店に足を運ぶ程度の労を疎んじていてはいけないhicksianさんがおっしゃっていますが、昨日紀伊国屋本店とジュンク堂新宿店を探した限りでは見つかりませんでした。amazonの表記を信じるなら昨月28日には発売になっているはずなのですが、本当のところどうなのでしょう?

大いに期待の内容は言うまでもないのですが、加えて田中先生のタレコミ情報(笑)(ちなみにこのエントリのコメント欄を見るに、献本を受けた田中先生のみならず、Fellow Travelerさんも既読の模様です)によると当サイトのことをお取り上げいただいているようで、一刻も早く印税を納めさせていただきたいのですけれども・・・。

ところで書店にて、何も買わずに帰るのも何のために来たのやらということになるかとしばし渉猟。稲葉先生からご紹介ハンナ・アーレント「全体主義の起源 帝国主義」に目を通すも、明らかに現状以上に余裕がないと読み終わるのがいつになるのか知れたものではなく、ペンディングしてしまいました。その代わりというわけではありませんが、大学時代の教科書だった篠原一「ヨーロッパの政治」を再購入(物持ちが悪いのです・・・)。さらに以前anonさんからご紹介のあったアレンド・レイプハルト「民主主義対民主主義」以前木走さんが触れていたのを見て以来欲しかった三浦博史「洗脳選挙」を見つけて購入。以上、子供買い(笑)。

[movie]皆さんZ GUNDAM II観てますね

前作のあまりの混雑ぶりを踏まえて、今回はしばらく時間を置いてからにしようと思っていたのですが、それほどではないのでしょうか? そうなら今回はなんといっても真の主役ヤザンさまのご登場があるのですから週末にでも行こうかしらん。

[misc]宇多田ヒカルの将来は・・・

昨晩のうたばんを観ていて、外見がジェシー・ノーマンのようになった姿が垣間見えたような気がしました。歌唱力もそうなってくれれば言うことありませんが。

本日のツッコミ(全122件) [ツッコミを入れる]

Before...

&#12417;&#12450;&#12523;&#12511;&#35069;&#38263;&#12373;&#35519;&#31680; [<a href="http://compedu.si/">( 【お買い得商品】</a> &#12417;&#124..]

&#21270;&#12375;&#12383;&#21402;&#12356;&#29226;&#12289;&#36275;&#12398;&#24059;&#12365;&#29226;&#12395; [<a href="http://demsar.si/">()プラス(1個</a> &#21270;&#12375;..]

&#12531;&#12463;&#215;&#12452;&#12456;&#12525;&#12540;&#12464;&#12522;&#12540;&#12531; [<a href="http://dar-radovljica.si/">()セントリー(1個単位</a> &#12..]


2005-11-05

[economy][book]伊藤隆敏、H・パトリック、D・ワインシュタイン(編)、祝迫得夫(訳)「ポスト平成不況の日本経済」

先日第2章のみ紹介した本書ですが、読み通してみるとなんだかなぁという感が無きにしも非ずというのが正直な感想になります。第2章と第3章(90年代日本の金融政策分析ですが、この論文(に代表される知見)によりITバブル崩壊後のFRBの金融政策が失敗を免れたと噂されるいわくつきの逸品)は必読といえますが、その他において微妙なものとどうかと思うものの比率が結構高いです。

まずまず無難なのは次の各論文でしょうか。

第7章 深尾「生命保険会社の経営健全化」
いつもの深尾節ですので、同種の論文を既読であれば改めて精読する必要はそれほどないかと存じます。
第9章 藤井「社債市場と信用リスク評価」
丁寧な実証分析で、もちろん改善すべき点があるとはいえ、日本の債券市場がまんざらでもないことがよく分かります。
第11章 浦田「自由貿易協定:日本経済再生の触媒機能として」
経済学の歴史においては、その多くの活躍が自由貿易の護持という形で現れたのですが、その系譜に連なるものです。

続いて微妙なグループ。

第4章 伊藤・ミシュキン「日本の金融政策:問題点とその解決策」
リフレ政策提言としてスタンダードなものですが、クルーグマンの4%インフレを「高インフレ」というあたりに代表される、理想はゼロインフレだけどデフレとインフレは非対称なのでボスキンバイアスや金利非不制約との関係で安全をみてちょっとインフレ側がいいかな、といった消去法的マイルドインフレ肯定スタンスには違和感があり、もっと率直に言えば日銀とは技術論における違いしかないような雰囲気がします。アカロフの積極的マイルドインフレ肯定論などに鑑みれば、先月の竹森先生の「世界デフレは三度来たる」で描写された失業率をNAIRU(これ以上低くするとインフレになるよ、という失業率)以下に下げるための無理なインフレ率の引上げでなければ、それほどインフレに神経質になる必要はないのではと思います。
第8章 祝迫「投資と企業再生」
ミクロ的な分析の是非についてwebmasterがあれこれ申し上げられるはずもないのですが、本章のメインのテーマは、なぜ90年代以降の日本において実物投資の配分メカニズムが極端に非効率になってしまったのかを、よりミクロ的・制度的なレベルで分析することである(p257)という問題設定はメタ的には疑問です。もちろんそうした研究の意義を否定するものではありませんが、ミクロ的な資源配分メカニズムにこそ日本低迷の根源的理由があり、そこを改革すればよろずめでたしと言わんばかりのトーンが気になります。明示的にマクロなんぞどうでもよいと書いてあれば反論もできるのですが(笑)。
第10章 樋口・ハシモト「日本の労働市場:これからの課題」
マクロ経済の低迷から問題を紐解き始めるのはよいのですが、景気さえ回復すれば、すべて問題は解決するとはいえない(p322)という辺りから徐々に怪しげに。誰も「景気さえ回復すればすべての問題は解決する」とは言っていないわけで、どの程度が景気回復の領分かを書かずに以下ひたすらミクロ政策を説くのはどうでしょうか。その政策提言も、生涯を通じての労働を正しく評価する姿勢を若者に身に付けさせることも必要(p327)というのが混ざっていたり、生産性の高い産業に労働者をシフトさせるべきと言ってみたり(アメリカでの同種の主張に対してはかつてクルーグマンが、それならシフト先は皆が思うような情報産業ではなくタバコ産業になるよ、といっていたことを思い出します)、景気云々が添え物らしく感じられなくもなく・・・。

最後にどうかと思うものたち。

第5章 星・カシャップ「銀行問題の解決法:効くかもしれない処方箋と効くはずのない処方箋」

そもそも4つの問題設定からして疑問です。4つの問題とは過小資本、追い貸し、オーバーバンキング、時代遅れのビジネスモデルですが、まず過小資本は景気回復でカバー可能と考えられます。そうした指摘を意識してか「景気回復は問題解決の十分条件か?」と一節を設けて十分条件でないと結論付けていますが、その理由は2003年以降の景気回復水準が5年間継続するという「楽観的」シナリオなら十分条件たり得るもののそれは楽観的過ぎるからというものと、出ました国債のキャピタルロス。星先生は一般にリフレ派として分類されていて、確かにインフレターゲット導入提言に名を連ねていたりもするのですが、どうも昔から疑いを持ってみてしまうwebmasterではあります。

続いて追い貸しですが、経営不振あるいは債務超過の企業のうちどの程度が、正常なマクロ経済環境下で生き残れるかということである。景気回復によってほとんどの企業が黒字化し、不良債権が正常化するなら(略)追い貸しは長期的に合理的な戦略であり、無理にやめさせる必要はない。/景気が回復しても存続不可能な企業がある場合、再生する企業と最終的に清算・売却する企業に借り手を峻別することが必要になる(p153)といいつつ(この指摘には100%同意します)、その後の議論は追い貸しはすべてダメなものばかりというのみ。この引用部の前段は単なる飾りですか? 偉い人ではありませんがwebmasterにはそれがわからんのです。

オーバーバンキングになると支離滅裂としか言いようがありませんで、銀行の低収益性は、銀行部門の規模が過剰であることにも起因している。日本は他国と比較して間接金融の規模がはるかに大きい。その結果、貸出スプレッドが押し下げられるのは当然(p146)って、規模が過剰=貯蓄投資バランスにおいて貯蓄が過剰ということなら銀行のミクロ問題ではないでしょうし、規模が過剰=金融機関数が過剰ということなら、(そもそもアメリカの方が金融機関数は多いのですが、経済学的な含意を考えれば)オーバーバンキングの解消とは政策的に金融市場を競争制限的なものに作り変えて銀行部門にレント収益=貸出スプレッド増を享受させるということになります。処方箋を見るとオーバー・バンキング解消のためにはいくつかのやり方が考えられる。一方の極端には、銀行業界の自発的なM&Aによる自力再編を待つやり方がある。(略)/もう一方の極端としては、存続不能な銀行を閉鎖し、オーバー・バンキングを速やかに解消するやり方がある(p153)とあり、後者であるとしか解釈不能なのですが、webmasterのようなアマチュアが申し上げるのもなんですけれど経済学者として恥ずかしくありませんか?

最後にビジネスモデルについては、政府は民間市場の働きを妨げないようにする(一歩進んで後押しする)べきだという一般原則以外は、この点に関しての政策論議は考え難い(p154)とあって、少しはほっとはするのですが(でも括弧書きは気になりますよ(笑))。

第6章 土居「公的金融改革の方向性」

第1の問題は、アプリオリに公的金融機関の存在を悪としてしまっていることです。公的部門に資金循環がシフトしたというデータを持ち出した上で公的部門が資金配分を効率的にできれば問題ないが、これまでのマクロ経済のパフォーマンスからも推察できるように、十分に効率的に行えてきたとはいい難い。すなわち、資金の流れの公的部門への集中が日本経済の成長を阻害した可能性があるといえる(pp180,181)って、じゃあまず因果関係が低調なマクロパフォーマンス故に公的部門に資金が集中したのではなく、公的部門に資金が集中した故にマクロパフォーマンスが低調だったことを証明してほしいものです。ちなみにwebmasterは前者だと考えていますが、その理由は近年において金利が低迷していることで、公的部門が資金配分を誤っているなら真に資金を必要とする成長部門の資金需要が満たされず金利が上昇するはずだからです。

#同種の問題意識として、現在、日本の国債の残高は500兆円を超え、未曾有の規模に達している。もはや、これ以上の無節操な財政赤字拡大は許されない状況にある(p185)とあり、第2章との整合はどうなっているのと思うわけですが(笑)。

第2の問題は、第1の問題の帰結として一般論と個別論が矛盾してしまっていることです。例えば土井先生は現在、公的金融機関が営んでいる業務のなかで市場の失敗を補完する部分は、公的関与が必要だが国が厳しくその業務を監視・抑制する必要がある。他方、民間企業でも営める業務は、国の関与を減らす必要がある(p211)と指摘し、この部分には何の異論もないのですが、では同じページで農林漁業金融公庫について国の補助を多く必要とする業務は地方自治体に移譲して、地方自治体から直接貸付し、補助金が必要ならば国が当該自治体に交付するかたちで行い、農林漁業金融公庫自体は廃止することが望ましいと書いてあるのは何なのでしょうか? 組織のトップの任免に代表されるように農林漁業金融公庫は相当程度政府の監視・抑制が効く一方、地方自治体は地方分権の流れもあり国があれこれ口出しすべきでないということになっているわけですが、いったい政府(国)のコントロールを強くしたいのか弱くしたいのか。これは一例ですが、結局は公的金融機関はつぶすべしという結論先にありきなのでしょう。素朴に考えて、地方自治体に農林漁業金融公庫以上の審査・回収能力があるとは思えませんし、だからといってそうした能力を強化するため地方自治体が組織・人員を増加させることが合理的だとも思えないのですが。

第3の問題は、法的概念に触れているのですがその使い方が間違っているところです。例えば土居先生は「国有株式会社」という概念を公的金融機関のあるべき姿として導入してそれは特別な設置根拠法を持たない等の点で現に存する「特殊会社」と異なるとし、その代表例としてJR北海道・四国・九州を挙げているのですが、これらJR諸会社は「旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律」という設置根拠法を持つ特殊会社なのですけれども(笑)。

また、公的金融機関には法律上「破産」の定義がないとしていますが、民間会社にだって「破産」の定義はありませんし、善意に解釈して破産手続に入ることができる要件を「破産」の定義だとするなら、破産法上破産手続の対象たり得るには単に「債務者」が「支払不能」であればよく(第15条第1項)、申立権者は「債権者又は債務者」なので(第18条第1項)、法形式的には公的金融機関には「破産」の定義はあるということになります。主要な倒産法制では他に民事再生法が同様の構成で、株式会社に限定される破綻処理手続は会社更生法と(会社法上の)特別清算手続なのですが、いずれにしても単に「破綻」「倒産」と書けばよいところ、無理して「破産」という法律用語を不用意に使っているのは感心しません。

第4の問題は、日本はオーバーバンキング状態にあるとか財投機関債が善であるといったステレオタイプを受け入れていることです。オーバーバンキングについては既述のとおりですし、財投機関債についてはかつて詳細に論じました(webmaster注:リンク先のエントリで冒頭紹介の他エントリもご参照いただければ幸いです)ので繰り返しませんが。

#以上、第1章は全体の概観なので省略しています。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

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bewaad [確かに申し立てられてみないとわからないのは事実ですが、通説では国・地方公共団体のみが破産能力を否定されているのではな..]

libero [手元にある破産法の本がちょっと古いので、現在は違うのかもしれませんが、公庫・公団・基金等の公共企業体についても破産能..]

bewaad [実際問題として、あれこれ議論が盛り上がっていて、とりわけ政府の支援策がそれなりに蓋然性をもって語られているのであれば..]


2005-11-06

[economy]政府系金融機関のあり方

金融ソルジャーさんからご依頼のあった標記テーマを、昨日土居論文に絡めてとりあげたいと考えていたのですが、漏れてしまいましたので改めてエントリを起こしたいと思います。

といっても要すれば土居論文への批判への裏返しで、一定水準以上の情報の非対称性の存在など、政府がコストを勘案してもなお介入すべき事情があるかどうかを検討し、介入すべきであるなら政策手段(補助金、政策減税、信用保証、出融資など)を吟味して最適なものを選択し、金融的手段(信用保証、出融資)が望ましいと考えられるものについては政府系金融機関を存置して執行せしめるべし、と順を追ってきちんと検討するということにつきます。

機関の存廃をどうするかについては、このように行うべき業務を決定した上で、その業務量から逆算して必要と考えられる人員・組織をはじき出すべきでしょう。業務として不要と考えられるものについては、採算がとれる部門は営業譲渡のような形で人員・組織・債権ごとオークションで買ってもらえばよいのではないかと思います。この方式であれば待遇がよくなることが期待でき、当該部門の雇用問題がリストラの足を引っ張ることもないでしょう。

そうなると残されるのは政策的に必要な業務と、不要だけれども買い手がつかない業務ということになりますが、後者の廃止に当たっては各機関に第三者委員会(新経営陣を含む)を設けてチェックさせつつまずは当事者にリストラ計画を策定させることが妥当でしょう。というのも、成功するリストラというものは、従業員に組織の問題を自分の問題として当事者意識を持たせた上で将来のビジョンを共有させ、やめるにせよ配置転換(たまたま今いる部署がいいからといって前掲の売却の利益に与れるというのも不公平な話ですから、全体としてガラポンすべきでしょう)するにせよ過半の納得に努めたものだからです。

それでは機関の数が減らないではないかというご意見もあるでしょうが、あまりにも不要な業務が多く単独の事業体として維持するに不適当なものを廃止する(その場合の残存業務は類似業務を営む存続機関に吸収させざるを得ないでしょう)だけでも十分な効果があるのではないかと思います。よく統合は数合わせに過ぎないという批判がありますが、そのとおりだと思いますので‐通常は減らすだけでなくという趣旨で使われますが、それは偏った用法でしょう。

重要なのは存続部分の運営の効率性をどのように担保するか。財投機関債なんていうばかばかしい手段に頼るのはやめ、金融機関としての民間同様のディスクロージャーに加え、政策執行に伴うコスト等についてのディスクロージャーを充実させ、どの程度の政策支援をどの程度のコストをかけて行っているかを明らかにした上で、民主的政策決定‐つまりは法律や予算による統制‐にしたがい結果をチェックしていくことに尽きるとwebmasterは考えています。

[economy]今のマンデル教授は信頼できるか

先日の小泉・マンデル(マンデル=フレミング・モデルや最適通貨圏理論でノーベル経済学賞を受賞した人です)会談を受けて、次のような期待をBaatarismさんがお示しになっています。

まあそれはおいておくとしても、この記事で一つ気になってるのは、実は小泉首相はマンデル教授と差しで議論できるほどマクロ経済に詳しく、しかもわざわざマンデル教授を官邸に招くほどこの分野に関心が深いと言うことです。

これまで小泉首相はマクロ経済に疎く関心も薄いという印象がありましたから、これはちょっと驚きでした。

(略)

ここからは僕の(半ば願望混じりの)予測なのですが、小泉首相は日銀に対して「量的緩和解除を行うなら、代わりにインフレターゲットかインフレ目標値を設定してくれ」と要求するのではないでしょうか?経済財政諮問会議が春に出した「21世紀ビジョン」にインフレターゲットが入ってるのも、そこへの布石のような気がします。

「最近、気になってること」(@Baatarismの溜息通信11/5付)

ところがどっこい、もし小泉総理がマンデル教授の最近の所説を実現しようとするなら、事態はまったく逆になりそうです。例えばMasaru Aokiさん(八田先生の教え子さんのようです)はマンデル教授の講演会について次のような記録を残されています。

ノーベル経済学賞受賞者、ロバート・マンデルの講演会に行ってきた。

彼は今時珍しい固定相場制支持者で、「変動相場制は金融政策ではない」「インフレ・ターゲッティングをやって成功した国はない」など、疑問符のつく発言が多かった。

クルーグマンが「ノーベル賞は若い頃のマンデルに与えられた」って言ってたくらいだから予想はしていたけど。

まあ、生マンデルを拝めただけでいいか。

いきあたりばったり人生(2004/6/10付)

実際のところ、固定相場制推進が高じて金本位制復帰を唱えたり、ラッファーカーブの導出にも貢献したとの説もこれあり、あまり期待しない方がよい(むしろ引き締め方向で議論が盛り上がったというネガティブショックを念頭に置くべき?)のではないかと考えます。

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bewaad [>鍋象さん 一定の前提を置いた専門的議論が、前提が無視されて一般化されるパターンですね・・・。]

はげ [マンデル氏は欧米の「陰謀物」の本だと、世界統一政府主義者(ワンワールド主義者)の手先だって罵られてる。MFモデルを作..]

bewaad [あくまで個人的な感想ですが、まだ世界統一通貨の方がMFモデルや最適通貨圏と矛盾なく説明できそうです(もちろん多くの前..]


2005-11-07

[economy][book]若田部昌澄「改革の経済学」

インセンティブとノーフリーランチという2つの概念と、実験が困難な経済学(とりわけマクロ経済学)にとって理論の妥当性を検証する貴重な材料である歴史を用いて、望ましい改革とはどのようなもので、そのためにはどのような政策が実施されるべきかを非常に丁寧に論じています。その結果、索引・リファレンスを除いて357ページの分量と大部なものになっていますが、そこは若田部先生ならではのわかりやすい文章ですから、あっという間に読み進めることができます。

何より読むべきと薦められるのは、webmasterを含めて経済学の専門的な知見を有していないリフレ派でしょう。最新の研究成果を平易に噛み砕いての記述ですから、何となく信じ込んでいるような事柄について、改めてどのように正当化が可能かを確認することができます。webmaster自身、今まで諸々を読んで自分なりに理解したことに基づいて書いたエントリについて、なるほどこのように考えればすっきり整理できるのかとか、まんざら間違ってはいなくてよかったなとか、あれこれ考えながら読んだものです。取り上げる題材は多岐に及び、リフレ政策の経済学的裏づけにとどまらず、日銀の政策決定におけるインセンティブやメディアの経済報道のあり方といった関連分野にも及んでいますので、その点でも有用です。

もちろんリフレ政策に反対の方々にも読んでいただきたいのですが(納得しないということも当然あるでしょうけれど、その際には議論していただければよいわけで)、残念ながらなかなか手にとってももらえないでしょうし、そもそもこの分野について党派色がついていると見られているであろう当サイトでこう呼びかけること自体にいかほどの意味があるかは疑問ですが(笑)。

[comic]現在官僚系もふ・第30話

いよいよ3巻分を超え、次回から4巻目ですか。

畜産農家と連携して、とかいった展開になっていくのでしょうけれど・・・とりあえずようきゅうがわとさていがわがいっしょにりょこうにいくほどまでにゆちゃくしているのはかすみがせきでしかつうようしないかんのなれあいでよくないとおもいます、こういうことがはびこっているからざいせーあかじがここまでふくらみ、こいずみそーりのこーぞーかいかくがこくみんのきたいをあつめているのです、ぜひともけーざいざいせーしもんかいぎでぎりぎりきゅーだんしてください(棒読み)。

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Before...

bewaad [どうせならば切抜きと対比して、どのような加筆がなされたかを味わうというマニアックなお楽しみはいかがでしょう(笑)。]

小僧 [それは老後の楽しみにとっておきます :-) と明後日の方向へ韜晦したところで。この本の紹介ページならば、版元さんの ..]

bewaad [官僚的形式主義により、一律amazonでの紹介としてます(笑)。 冗談はさておき、「立ち読み」システムは便利ですね..]


2005-11-08

[economy]2ちゃん軍板の方々へ

#以下は、軍板の民主党に関するスレ(「前原ですが○○できません」というようなタイトルがついています。現時点での最新スレは「前原誠司ですが存在をアピールできません」です)で行われたやりとりに関するものであることをお断りいたします。(11/9追記)

webmasterの2ちゃんねるでの巡回板の中には経済板と軍事板があるのですが、最近両板の間で小泉政権の経済政策の評価をめぐり不幸なやりとりが続き、どちらの板にも愛着を持つ身としては大変つらいのですが、webmasterとしては軍板の方々におかれてはある種のステレオタイプなご批判が多いように見受けられます。とりわけ軍事関係では多くをご教示いただいた尊敬すべきコテハンの方であっても、経済についてきちんとご理解いただいた上でのご批判ではないように思えてなりませんので、あらためて現在の経済状況を(webmasterが経済板を代表するものでもなくあくまで主観的なものに過ぎませんが)まとめてみたいと思います。

例えば先の大戦において日本軍が次のような問題を抱えていたことについては、ある程度のコンセンサスが得られていると思います。

  • 陸海軍の協同がまったくと言っていいほど機能していなかった。
  • シーレーン確保の重要性がまったくと言っていいほど認識されていなかった。
  • 失敗をフィードバックして再発を防ぐ体制がなかなか整備されなかった。
  • ロジスティックスが貧弱だった。

しかしながら、これらの問題が仮に存在しなかったとしても負けていただろうということについても、同様にある程度のコンセンサスが得られていると思います。陸海軍が戦略方面の決定から兵器開発に至るまで緊密な連携を確保し、海上護衛に必要な兵力・兵器を当時可能であった最大限度まで充実し、ノモンハン以降前線や後方で明らかとなった改めるべき点が迅速に全軍に反映され、正面装備を削ってでもロジスティックスに資源を投入していたとしても、あの戦争に勝てたわけではありません。若干敗戦は遅くなったでしょうとか、犠牲者の数を減らすことができたでしょう、というものにとどまります。

同様に、政府の介入による誤った資源配分が現にそうであったよりも少なく、不良債権問題にはその初期から迅速かつ抜本的な対応がなされ、ニート・フリーターと称される層を含め国民が今以上に懸命に働いたとしても、本来できるはずの経済成長は不可能です。そして実は、このことは多くの経済学者のコンセンサスになっています。個別の問題についての指摘‐政府支出の内容を見直せとか、不良債権処理を促進せよとか、職業訓練を充実させよとか‐はこのコンセンサスを前提としたもので、それについて言及を省略していることを見逃してはミスリードになってしまいます。

そのコンセンサスとは何かといえば、現在にいたる低成長は総需要不足の結果だということです。そしてその総需要不足をもたらしている最大の原因はデフレだということです。そこを見ずして先に並べたような政府支出の見直し、不良債権処理、職業訓練等の「構造改革」を進めればまともな経済成長が確保できると考えるのは、既述の陸海軍の協同等の改善があればアメリカに勝てたと考えるようなものです。あくまで、それらによって現状よりはましな負け方ができるでしょうけれども、というものに過ぎないのです。

なぜそういえるかを順を追って説明してみます。経済が順調であるさまとは、端的にはどんどん物やサービスが売れる状態です。ではそれらが売れないとしたらどういう原因があるかといえば、究極的には物やサービスを買いたい人がいるのに売り切れか、物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみているかのいずれかです。

では今の日本がどちらの原因により経済が順調でないかを確定するには何を調べればよいのでしょうか。基本的には、経常収支、インフレ率、失業率の3つを見れば診断は可能です。念のためそれぞれの内容をご紹介すれば、経常収支とは物やサービスの輸出入の動向を示すもので、黒字であれば輸出超過・赤字であれば輸入超過ということです。インフレ率とは物価動向を示すもので、数字が大きければ大きいほど物価が上昇しているということです。失業率とは働きたいのに働けない人が働きたい人の中でどれぐらいいるかを示すもので、数字が大きければ大きいほど働きたいのに働けない人が多いということです。

今の日本は経常収支は黒字、インフレ率はマイナス、失業率は改善しつつあるものの依然として高い水準にあり、これらはすべて「物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみている」状態にあることを示唆します。というのも、まず経常収支黒字ですが、経常収支を分解すると次のような形になります。

  • (供給側)国内で生産した全ての物・サービス=国内の者に売った分+海外の者に売った分+売れ残り
  • (需要側)国内で購入された全ての物・サービス=国内で作られたものを買った分+海外で作られたものを買った分

ここで、上の式でいう「国内の者に売った分」と下の式でいう「国内で作られたものを買った分」が等しいことは自明です。経常収支が黒字ということは、残る「海外の者に売った分」が「海外で作られたものを買った分」よりも多いということですから、(さらに「売れ残り」を加えればなおさらですが)国内で買えるだけの分量を超えて生産がなされているということになります。

次にインフレ率と失業率ですが、基本的に物やサービスを生産しようとすれば、そのためには原材料や機械といった生産のための物(以下「生産資源」と略します)と人手が要ります。「物やサービスを買いたい人がいるのに売り切れ」であるなら、作れば売れるわけですから生産能力を高めるために生産資源や人手を今以上に皆が欲することになり、逆に「物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみている」なら生産資源や人手をそろえるにもコストがかかるのでそれらは欲しがられなくなります。ここで、前者であれば失業率が下がり、後者であれば逆というのは定義上明らかでしょう。

インフレ率はさらに広範な要素を対象とする指標で、生産資源や人手を確保する場合には代金を支払う必要がありますが、逆に言えばこうしたときはお金を手元においておくより‐ひいては人から借りてでも‐生産資源や人手に換えてしまった方が得だという判断がなされたということになります。皆がお金を手放すわけですから、当然お金の価値が下がり物やサービスの価値が上がる、つまりインフレ圧力がかかるわけです(生産のための費用が多くかかるようになりますが、「物やサービスが買いたい人がいる」わけですから、価格転嫁可能です)。逆に「物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみている」なら、作ったところで売れないわけですから生産資源や人手は減らしてお金のままで持っておいたほうがまだまし(お金の保管のための費用は生産のための費用より明らかに少ないわけで)ということになるので、お金の価値が上がり物やサービスの価値が下がる、つまりデフレ圧力がかかるわけです。

日本の高失業率・低インフレ率(デフレ)は、以上から「物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみている」状態の表れであると考えられます。先の経常収支黒字とあわせ、このことは疑いようもありません。

ここで、物やサービスが魅力的でないから金があっても買わないのだ、つまり供給(生産)側の相対的な能力不足ではないかという見方もあり得ますが、これは現実には妥当しません。というのも、先進国中で日本だけが継続的に経済不振ですから、問題は日本の供給側か需要(消費)側にあるということになりますが、前者(他国の供給側より日本の供給側が相対的に能力不足)であれば輸入が増加し、かつ、それにより日本での消費が活発になるという現象が観察されるはずですところ、そのようなことは起こっていません。

後者(他国の需要側より日本の需要側が相対的に目が高い)であれば何らかのヒット商品があってなお消費が全体として伸びない理由がありません。例えば携帯などに使う金が増えたとき、お金があるなら他の物やサービスを引き続き買い続けるはずで、全体としては消費が伸びるはずです。ところがそうしたヒット商品があっても全体として消費が伸びていないということは、お金がないのでその分だけ他の物やサービスに費やすお金を減らしているということになります。

では、「物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみている」状態である原因がデフレであるのはなぜでしょうか。「海外の者に売った分」が増えるという形で買い手が現れることもあるのですが、日本にとって海外消費は与えられる条件ですから増えれば幸運、減れば不運ということでしかありません。というわけで国内事情に話題を限定しますが、まず、物価が継続して下落していくわけですから、物やサービスを買うなら値段が下がってから買った方がよいという環境そのものが挙げられます。

これでは「金がない」のではなく「金があるのに使わない」ではないかとのご指摘もあるでしょうが、続きがあります。物やサービスがなかなか売れないわけですから、企業の売り上げは当然落ちます。それに応じてコストも下がれば何の問題もないわけですが、なかなか下がらないコストがあります。1つは労働コスト、1つは借金、1つは既に買ってしまった機械等の設備です。

労働コストについては、一般に先進国では最低賃金規制や賃下げの際の労組交渉などがあり、賃金水準を簡単に下げることはできません。となるとコストを下げるためには、解雇法制が許す範囲内での解雇か、それに限界があれば採用抑制しかありません。とは言っても、赤字になったからといって従業員をゼロにできるものではなく、一定のコストは必要であり続けます。

借金については、売り上げが減ったからといって元本は減りませんし、金利は固定金利ならやっぱり減りませんし、変動金利でも(デフレで名目金利が下がる状態なら)多少は減りこそすれ、デフレに伴ってマイナスの金利にはなるわけではないので(マイナス金利で貸すぐらいなら現金のまま持っていたほうが得なので、そのような条件で貸すのは恩恵以外ではあり得ません)、日本全体で見れば相対的に高コスト状態が維持されます。

既に買ってしまった設備については、減価償却によりコストを一定期間かけて認識していきます。どの程度の減価償却が毎年必要であるかは買った値段と償却期間により定まりますから、買った後で売り上げが下がっていけば、償却期間が過ぎ去るまではコストは下がりません。

このように企業は(一部に元気な企業があっても)全体としては「金がない」状態に落ち込んでいきますし、家計についても、勤め先の企業が「金がない」故に倒産したり解雇されたり採用されなかったりで失業者となれば「金がない」状態に、また、住宅ローンを抱えていれば企業と同様にその面からも「金がない」状態に落ち込んでいくことになります。

逆に言えば、インフレでありさえすれば、少なくとも平均的にはこのような「金がない」状態へ押しやっていく圧力がなくなります。その分だけ「国内の者に売った分」が増えますし、もちろんデフレにおいてなお金があるような者にとっても、時間が経てば物やサービスの値段が上がるわけですから、その前に買おうという気になって今買う分が増えますので、これらにより売り上げ増が達成され、「物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみている」状態が解消されることになるのです。

以下は補足として関係する話題を簡単に取り上げますと、

  • 政府支出の見直し、不良債権処理、職業訓練等の「構造改革」ではなぜダメかといえば、これらは基本的に供給側の生産能力を高める施策です。今でさえ売れ残りそうだから生産資源の調達を絞っているのに、生産能力が高められたら少量の生産資源で同様の生産が可能になるわけですから、ますます生産資源の調達が絞られることになります。ちなみに実証研究では、「失われた十年」の間に日本の生産能力の伸びが大幅に落ち込んだという結果は観察されていません(現在でも年2%台半ば〜3%程度)。つまり、生産能力が落ちたからそれを伸ばさないといけないという「構造改革」は誤診に基づく間違った処方箋ということになりますし、同時に、生産能力が落ちていないにもかかわらず生産量は落ちているわけですから、やはり総需要不足だという上記の議論がサポートされます。
  • 今では十分に経済成長しているではないかという意見もありますが、上記のとおり日本経済は年2%台半ば〜3%程度の潜在GDP成長率があるのですから、平均的にその程度の成長をしなければ(つまり、調子がいいときならそれ以上)十分とは言えません‐つまり今の経済成長は到底そのレベルに達していません。今は好景気と言いますが、好景気の定義は(厳密には指数判断ですが)成長率が回復していることであって、その程度は問われないのです。
  • デフレを人為的にインフレにしようとするのは時代遅れのマルクス主義やケインズ主義で、市場の決めるインフレ率が望ましいという意見もありますが、これはそもそも現代の先進国ではすべて通貨が管理通貨制、つまりどれだけの通貨を発行するかはそもそも人為的に決定されているのだという点を見落としたものです。レッシグが「CODE」で示した法、規範、市場、アーキテクチャの4分類で言えば、管理通貨は市場ではなくアーキテクチャに属するもので、人為的に決定されるべきものなのです。
  • また党派的な見解に過ぎないという意見への反論としては、通俗的理解でいう「ケインズ主義」への有力な批判者であるミルトン・フリードマンやロバート・ルーカス(今やケインジアンやマネタリストという区別は本質的には意味がなくまともな経済学者はすべてケインジアンであると同時にマネタリストである、という文脈以外で彼らをケインジアンと呼ぶ人は地球上にいないでしょう)が、それぞれ「ある意味で私たちは未だに大恐慌という戦争と戦っているのです。(略)私たちは歴史から学んでいます。ただ、日本で今日起きていることを考えると、これはちょっと疑わしいですが(笑)」と言い、「国債だけでなく、極端な話をすれば、ドルでもポテトでも銃でも買ったらいい」と言っていることも挙げられるでしょう。
  • もしこのエントリをご覧いただき、少しは検討する価値がある議論ではないかと受け止めていただいた際には、ぜひとも専門家の手による飯田泰之「経済学思考の技術」若田部昌澄「改革の経済学」といった著作に進んでいただければ幸いです。

#というわけで、これからこのエントリのURIを貼ってきます。

本日のツッコミ(全240件) [ツッコミを入れる]

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2005-11-09

[economy]続・2ちゃん軍板の方々へ

昨日のエントリに対して、多くのご質問・ご意見・ご批判をいただきました。対話に応じていただいたことに深く感謝するとともに、改めてwebmasterの考えをお示しさせていただきますので、引き続きご議論いただければ幸いです。

#以下、引用については改行に手を入れております。

「民主党の前原ですが日本国民を騙せません」スレ

908 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 09:34:15 ID:???

>>825

>究極的には物やサービスを買いたい人がいるのに売り切れか、物やサービスはあるけれども買い手に金がなくて指をくわえてみているかのいずれかです。

これ、本当にそうなのか?どうにも共産主義の臭いがするんだが。まぁ、欲しいモノがない=売り切れと言う考えなのかもしれんが。

ここで題材としているのはあくまで総量でして、個別の物やサービスについて国が買えというようなことは想定していません(そういった経済運営が不適当であるのは言うまでもありません)。国内全体としての生産力と購買力のいずれが相対的に多いのかについて議論させていただきました。

911 名前:ブーメラン ◆FFR41Mr146 [sage] 投稿日:2005/11/08(火) 09:34:59 ID:???

つか、今の財政再建って、景気回復打ってまたコケない為の基礎固めだろ?何故そこに「インフレにさえすれば万事解決するんだ!」って、声も高々に飛び込んで来れるのよ。本当に敗戦から何学んだんだと小一時間。

インフレにさえすれば万事解決するというつもりではなく、デフレを脱却しない限りは、財政再建を含む現在問題とされている多くのことがらの解決は覚束ないということが趣旨でした。もちろん戦前日本のように、せっかくデフレを脱却しながら別の失敗に陥ったケースもあり、インフレだけれども失敗するということはありえるのですが、デフレであれば失敗の確率は格段に高まります。というのも、例えば財政再建にしても安定的な経済成長でないのに歳出削減や増税で達成したという前例はなく、デフレでは潜在力をフルに発揮した経済成長は不可能だからです。

927 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 09:45:35 ID:???

インタゲ厨って、構造改革=景気回復策だと思ってるんだろうなぁ。とりあえず、減税も公共投資も(ついでに借金も)したのに不景気から脱出できなかった理由を教えて欲しいなぁ。

構造改革=景気回復策という位置づけはむしろ現政権がとるもので(「改革なくして景気回復なし」など)、webmasterのようにリフレ政策(デフレ脱却のための積極的な財政・金融政策パッケージ)を主張する側は、むしろ構造改革と同時にデフレ脱却(景気回復)すべし、ないし構造改革の実現には景気の下支えが必要であり景気対策のない構造改革はうまくいかない、という意見を主張してきました。

ご質問の点については、例示の政策はすべて財政政策になりますが、財政政策単独では一時的な景気回復効果はあっても、それのみで持続的な景気回復をもたらすものではない(景気の落ち込みが軽ければ、そうしたちょっとした後押しで持続的な景気回復に至ることもありますが)からです。十分な金融政策による民間の消費や投資の喚起を伴わなかったからこそ、今回の景気回復はバブル崩壊後3度目となりますが、いずれも十分な景気回復とは言いがたい状況にあるものと考えています。

936 名前:海の人 ◆STEELmK8LQ [sage] 投稿日:2005/11/08(火) 09:55:25 ID:??? BE:73116959-#

>933

インフレ・ターゲットなるものを人為的に定めて、市場を人為的に動かせるとか考えたり主張してる時点で、漏れのような意地の悪い人間は

そりゃ紅海のほとりで「海よ割れろ」と叫ぶのは自由だけどそれで海が割れるわけじゃないからねぇ

などとニヤニヤしてしまうのでありおり(笑)

それにしても米国の土地バブル崩壊は、やっぱり現代のローマ帝国終焉の序曲なるのですかなぁ。

漏れ自身は、はやいとこ「米国以後」の暗黒時代に備えた方がいいのではという考えなんですが、実際にそう動き始めているのを見ると、なんとも感慨が深いものではありますが。

インフレターゲットの設定はインフレ率の適切なコントロールに有益ではありますが、それさえ行えばインフレ率が勝手に収束するわけでもなければ、それなくしてもうまくいく場合もあります。ただ、モーゼと違い奇跡を必要としないのは、対象が海とは違いいろいろと先読みをし自立的な判断を行う人間だからで、かつ、金融政策には実際にインフレ率を左右する効力があるからです。

例えば歴史上最も有名なハイパーインフレは第一次大戦後のドイツでのそれですが、シュトレーゼマンとシャハトのコンビによるレンテンマルク導入により急速に収束しました。しかし、こうした政策が実際の経済取引等の連鎖を通じて直接効果を発揮する(例えば通貨供給の減少により投融資のコストが上昇してその量が抑制されるなど)には1年半から2年近くはかかるという結果が一般の金融政策についての実証研究で示されています。

にもかかわらず、1923年のドイツにおいては、10月のレンテンマルク導入決定・11月の導入開始を受け、10月には1ヶ月で約300倍というハイパーインフレが12月には1ヶ月1.74倍にまで引き下げられました。これは、レンテンマルクに代表される時の政権の政策・態度を見て、それまではインフレが続く前提でお金をなるべく早く手放そうとしていたドイツ国民が、それでは損をすると先読みをして行動を改めたためにもたらされた効果です。

つまり、金融政策ではインフレ率をぴったり何%と固定することは不可能であっても、引き下げたり引上げたりと方向に影響を与えることは可能なので、それが行われると皆が信じれば、それによりもたらされる害を避けるために自主的に行動パターンを変えるという径路を通じて政策効果が自己実現的に早期に現れてくることになります。

逆に言えば、インフレターゲットを形だけ設定しても、そんなものは守られないと国内の各経済主体が予測するなら、そうした行動パターンの変化はまったく期待できません。ターゲットを設定した上で、その範囲からインフレ率が外れそうになったらきちんと政策対応するという実績を示して、インフレ率がターゲットレンジ内に収まることを織り込んで消費や投資が行われるようになれば、外部ショックによるインフレ率の変動はあっても、ターゲットを設定しないよりははるかにインフレ率の変動を少なくすることが可能になります(実際にインフレターゲットを導入した諸国と導入しない諸国のインフレ率の変動には差が生じています)。

945 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 10:02:51 ID:???

インタゲがこの上なく成功してGDPレベルの債務が返済できた事例を挙げて欲しいな。逆の事例ならよく目にするんだが。

インフレターゲットという政策手法はここ20年ほどで普及してきたもので、他方この期間にご指摘のような事態が生じた例はありませんので、そのまま前例としてお示しできるものは残念ながらありません。

ある程度類似した例でよろしければ、戦前の高橋財政が挙げられると思います。その前の旧平価での金解禁などのデフレ政策により日本経済がどん底に落ち込み、それに伴って税収も落ち込んでいたところ、金輸出再禁止や国債の日銀引受といったリフレ政策により日本経済を立て直し、税収も復活させ財政も健全化を方向付けました。高橋財政がなければ、1930年代後半の軍拡は経済・財政的に不可能だったでしょう。

「前原誠司ですが党内議論も纏められません」スレ

42 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 11:46:54 ID:???

はやすぎやねん

前スレ>>831

日本帝国軍が駄目駄目だったのは「近代軍としての体裁すら整えられなかったから」、つまり、戦争前に構造改革できなかったからというのも大きい。陸海軍協同も戦前に片付けておくべき問題だし。ようは構造改革しておけばもっとましでしたよ、と。まぁそんなことできたなら戦争しなかっただろうけど(苦笑)。

彼のいう需要喚起は戦前にたとえれば「陸海軍予算アップ」になるんじゃないか?「構造的な問題を無視して、とにかく大きくなれば強くなる」ってのはまさに戦前の陸海軍そのものなわけで(苦笑)。

おっきくなるのも大事ですけど、おっきいだけでは戦争に勝てませんよ、と。

44 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 12:02:14 ID:???

いあ、失業率が高くてインフレではないから(webmaster注:45番のレスを踏まえ訂正済みです)、サービスがあっても手を出せないデフレ(大意)と表現しているようだから,動員を高めて、戦力を増して、日本の制圧地域を広げれば、見かけの使用できるリソースが増えるという主張ジャマイカ。

うえまあそれを進めたら外国と言う要因と衝突もしたわけだが(微笑

今回の経緯を踏まえますと軍にまつわる例え話をするには勇気が要りますが、webmasterが思うに、構造改革とは演習・訓練のように部隊や兵士の戦闘力を上げようという政策で、景気回復とは十分な補給体制の確保を図る政策ではないでしょうか。というのも、構造改革は経済全体として生産性を上げようというもので、つまりは資源をできるだけ有効活用して付加価値(ラフに言えば仕入れと出荷の差額)を高めるためのものである一方、景気回復は作ったものがきちんと売れて、その収入をさらなる生産活動に振り向けるということが円滑に行くよう環境整備を図るものだからです。

169 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 17:32:20 ID:???

B層の俺にはわかんねえな。

いままで散々操縦桿引いてるのに浮かないから期待を軽量化したり翼形変えたりしてんのに「とにかく迎え角増やしてJATOに点火すれば飛ぶんだよ!」って言われてるような。

むしろ、いままで散々操縦桿を引いていた(90年代前半や小渕政権下での財政政策)つもりが、根元に引っ掛かりがあって実はもっと引けたはずだった(不十分な金融緩和で政策効果が相殺されていた)ので、軽量化や翼形を変える前にまずはその引っ掛かりを除去して設計上操縦桿を引くことができるはずのところまで引けるようにしましょう、ということが申し上げたかったのです。

241 名前:ブーメラン ◆FFR41Mr146 [sage] 投稿日:2005/11/08(火) 21:47:20 ID:???

>>233

つか、俺からすれば「足元も覚束ないのに、インタゲなんてしてアホか?」という感想しかないわけで。企業もそうでしょ。どんぶり勘定を改めて、経営を健全化させなきゃいくら事業を拡大しようが生産を増やそうが無駄。短期的には成長が復活したように見えるけど、体質が腐ったまんまだからまた同じ場所に逆戻り。

リフレに反対って訳じゃないがね、今はその時期じゃないよ、どう見ても。

体質がどの程度腐っているかについて、例えば潜在GDP成長率(十分に需要がある場合、生産能力がどの程度向上すると見込まれるか)を比べてみますと、日本は昨日も申し上げたとおり2%台半ばから3%程度と経済学者の間では見込まれているわけですが、アメリカでも3%前後、EU諸国で2%程度といったところで、それほど悪いわけではありません。経済財政諮問会議では1%台という推計が使われていますが、これは需要側の購買力低下により引き下げられたと考えるべきもので、少なくとも専門家でこの見通しに同意する論文を書いている人はいないと思われます。これは改めるべきところがないというのではなく、多々そういう点はありますが、総合評価としてはまんざら日本経済は捨てたものではないということです。

もちろんこの潜在GDP成長率を維持していくためには、その時々の外部環境の変化などに対応して、規制緩和や教育水準の向上などを不断に行っていく必要があり、そのようないわば運動能力向上のためのトレーニングの必要性は重々承知していますが、今は需要不足で例え話を続けるなら病気でそもそもの身体能力が発揮できない状態にあり、まずは病気を治すことを優先する方が、病気のままでトレーニングを継続するよりも効果的ではないかと考えております。

271 名前:名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc. [sage] 投稿日:2005/11/08(火) 22:12:43 ID:??? BE:35255737-#

>265様 ごきげんよう

(AA略(webmaster注:こちらのcgiの仕様によるもので、失礼いたします))

と申しますか、戦間期の日本の経済外交の涙ぐましさを見ますと、本当に世界恐慌と金本位体制への回帰がいかに日本経済に大きな打撃を与えたか、それに溜息しか出ません。戦前日本の最大の悲劇は、自由貿易体制が崩壊してしまった事にこそあるのですから。

というわけで私は、現代日本の最大の課題は、自由貿易体制の維持が第一であり、そのためにはアメリカのポチと呼ばれようが、とにかくパクス・アメリカーナを一分でも一秒でも長く続けさせることにあると確信している次第です。

まさに戦前の金本位体制への回帰がデフレ政策、すなわち金融の引き締めによる経済力の弱体化に他ならないわけで、現状のデフレは当時に比べればまだましであるものの、やはり高橋財政のようにデフレ脱却を最優先する政策を実行すべきだと考えております。もちろんデフレを防止できるに越したことはないのですが、なってしまった以上はそうではないかと。

また、名無しロサ・カニーナ ◆cDIj6u5gc.さんからは他に231、235、237で旧日本陸海軍等についてのご教示をいただき、非常に勉強になって感謝しておりますが、237の最後のご指摘、通説による日本軍批判では、軍事板の構成員に理解し得るような形での説明は成立し得ないのではないかと、私は考えるわけですが、いかがでしょうか?については、勉強不足ゆえテキストの中に事実誤認があったのは恥じ入るばかりですが、昨日「既述の陸海軍の協同等の改善があればアメリカに勝てたと考えるようなもの」と書かせていただいたのは、趣旨としては同様の方向のつもりでした。

すなわち、通説による日本軍批判が当たらないようなより改善された旧軍であっても、ご指摘のような国力や総動員体制の遅れ・不備などがある限り結果が変わらなかったであろうと見込まれるように、ボトルネックが多々あるとしても一番深刻なそれを解消しないことには、その余の改善の効果は低いものにとどまるでしょう。で、今の日本経済にとって一番深刻なボトルネックは需要不足ではないかという考えをお示しさせていただいた次第です。

368 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 23:19:12 ID:???

>>354

過去ログ嫁。そんな簡単な理屈はもうとっくにわかってるっつーの。ここで出された疑問を箇条書きにしてやる。

  • 実際にどう実施するのか。
  • 実施してインフレが手におえなくならないのか。
  • ハイパーインフレが起きたらどうするのか。
  • ハイパーインフレになればまだましで、スタグフレーションはどう回避するのか。
  • スタグフレーションに対して有効な処方箋はあるのか。

こういった疑問に対して、蓋然性の高い回答を示した人間はひとりもおらん。

まず実施手段ですが、基本はインフレターゲットの導入と、ターゲットレンジに収まるよう積極的な金融緩和を行うことです。「積極的な金融緩和」の具体的手法については議論があって、長期国債購入額を増やせばよい(webmasterはこの立場です)というものから、他の金融資産(例えば外債や株式など)の購入も必要だ、さらには日銀引受国債を原資としての財政政策(減税や財政支出増)が必要だというものまであり、完全に確立されたパッケージがあるわけではないのは事実です。

インフレのおそれについては、先にお答えさせていただいたように、インフレターゲットは経済主体のインフレ期待を安定化させるものですから、むしろインフレターゲットがない方が手におえないインフレになるおそれは高いです。これも繰り返しですが、インフレターゲットの有無に着目してインフレ率の変動を観察すれば、ターゲットのある諸国においてインフレ率はより安定的に推移しています。

ハイパーインフレへの対処法としては、先にお答えさせていただいたように、インフレの継続を見越した経済活動が損になる政策(基本は金融引き締めです)の採用・継続を断固としてやり遂げることです。この「断固として」というのがポイントなのは嘘のような本当の話で、めちゃくちゃ厳しい引き締めをやってもそのうち腰砕けになると思われている場合と、引き締めの程度はそれほどではないけれどもインフレが沈静化するまで絶対に継続するだろうと思われている場合とでは、前者より後者の方がより有効だというのは歴史上よく観察されています。

スタグフレーションの原因は、無理にインフレ率を上げすぎることです。昨日申し上げたとおり、失業率とインフレ率にはある程度の連関性が見られ、インフレ率を上げることで失業率を下げることができるというのは一般論としては成立します。しかしこれにも限度があって、転職待機期間など世の中には一定の失業者が存在しているのが自然で、その際の失業率を自然失業率と呼ぶのですが、これを下げるのはそれこそ構造改革でしかあり得ず、インフレ率を上げることによっては達成できません。

仮に失業率(現状・自然ともに)・インフレ率がともに3%である経済があるとして、金融緩和によりインフレ率を5%に上げたら失業率が2%に下がったとします。しかしこの効果は一時的で‐なにしろ「自然」失業率ですから‐そのうち失業率は自然失業率に戻り、しかしインフレ率は5%のままです。これを繰り返せば自然失業率に見合うインフレ率が底上げされ、その底上げされたインフレ環境下で不況に陥れば、高インフレ率と高失業率が並存するスタグフレーションとなります。

であるなら、その回避のためには自然失業率まで失業率を下げるのは金融緩和、さらに進んで自然失業率を下げることにより失業率を下げたいなら構造改革と政策分業を図ることということになります。仮に失業率が10%と高くてもそれが自然失業率であるなら金融緩和による引下げを狙ってはなりませんし、4%と低くてもそれが自然失業率を上回るものであれば金融緩和で対応しなければならないと使い分けをしていれば、スタグフレーションに陥る可能性は低くなります。

#何らかの外部ショックで適切な金融政策運営をしていてもスタグフレーションとなることはあり得るので完全に回避可能というわけではありませんが、それは不適切な金融政策運営をしていればなおのこと、ということになります。

スタグフレーションに対する処方箋は、金融引き締めによるインフレの抑制、インフレ抑制に伴って生じる(自然失業率以上の)失業対策としての財政出動、(仮に自然失業率自体が高止まっているなら)構造改革による自然失業率の引下げ、といった政策パッケージとなります。

382 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2005/11/08(火) 23:24:15 ID:???

そういえば、景気回復したのって企業の自助努力って言ってたよね。それなら量的緩和もゼロ金利も解除してOK?>Bewaadの中の人

デフレはそれ自体が経済に悪影響を及ぼすものですから、安定的なマイルドインフレに達するまでは金融緩和を止めることは不適当だと考えています。景気が回復しているのは事実ですが(で、その主因は企業の自助努力ではなく、アメリカ・中国などへの輸出が順調に増加して国内の需要不足が補われたことと、これまでの投資抑制が限界に来て設備更新をせざるを得なくなったが故の設備投資増加であると思います)、昨日論じたようにその水準は低いものにとどまっているので、国内消費が活性化し、更新以外の投資需要も本格化した後(その頃には当然デフレを脱却しているでしょう)に始めて金融緩和を止めるべきだと思います。

補足として、先にお答えしたように自然失業率を下回る失業率達成のため金融緩和を用いるべきでないので、現在の失業率が自然失業率の水準まで下がっていないということが上記の前提になりますが、これだけ失業率に改善が見られてなおデフレのままだということ自体、自然失業率に到達していないことの証拠となります。おそらく日本の自然失業率は、完全失業率ベースで3%を上回ってはいないと考えられます(9月末で4.2%)。

#その他にも、trackbackをいただくなどさまざまなご意見をいただきましたが、とりあえずここまでのお答えとさせていただきます。申し訳ありません。

本日のツッコミ(全1227件) [ツッコミを入れる]

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&#12480;&#12452;&#12456;&#12483;&#12488;&#12473;&#12509; [<a href="http://demsar.si/">()プラス(1個</a> &#12480;&#12452;..]

&#12300;&#52;&#28857;&#12475;&#12483;&#12488;&#12301;&#34220;&#29992;&#32654;&#30333; [<a href="http://domus.si/">()プラス(1個単位)j</a> &#12300;&#52;..]

&#12452;&#12472;&#12531;&#12464;&#12465;&#12450;&#12434;&#21516;&#26178; [<a href="http://despero.si/">()プラス(1個単</a> &#12452;&#1247..]


2005-11-10

[notice]一昨日来のエントリにつきまして

2ちゃんねる軍事板でのリフレ政策をめぐるエントリ・書き込み等につきましては、webmasterの非を全面的に認め、次の書き込みをしてきました。

一昨日以来お騒がせしております。

関係スレ、及び私のサイトにお寄せいただいた皆様のご意見などを拝読し、
また、自ら冷静になって振り返ってみまして、
今般の一連の書き込み等はまったくの板違い・スレ違いの意見について、
経緯も省みることなく一方的に行ったものであると痛感しました。

以上、非は全面的に私にあると認めまして、
これまでの行為について謝らせていただきたいと存じます。

いろいろな騒ぎを引き起こし皆様にご迷惑をおかけいたしまして、
誠に申し訳ありませんでした。

以後、このような過ちを繰り返さぬよう、
反省にも反省を重ね、今後の戒めといたしたいと考えております。

本当にごめんなさい。

「前原誠司ですがB層の支持がえられません」スレ・148

webmasterの書き込みが契機となって軍板を訪れたり、そこで書き込まれた方々もいらっしゃるかと存じますが、以上がwebmasterとしての本件の総括ですので、よろしくご了解の上、今後の対応についてご勘案いただければ幸いです。特にスレ違い・板違いの書き込みについては、もちろん一方的な希望に過ぎませんが、ご遠慮いただければと切に願っております。

本件により何らかのご迷惑をおかけした方々に対してましては、こちらでも改めてお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。

また、有益なアドバイスを数々お寄せいただき心から感謝しております。ありがとうございました。

本日のツッコミ(全91件) [ツッコミを入れる]

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2005-11-11

[science][politics]BSE問題における「政治的配慮」とは

先日妥当ではと評した食品安全委員会プリオン専門調査会答申(webmaster注:先日取り上げたのはその原案でしたが)ですが、中西先生が不当であると評していらっしゃいます。もちろんリスク評価についてwebmasterが中西先生よりまっとうな判断ができるなどとは想像もつきませんが、どういう観点から見るかでこの評価の違いが出たかと考えれば、実はBSE問題について語られる政治的配慮とは世の中のそれとは全く逆ではないかという仮説が成り立ちます。無粋を承知で全く逆とは何かを書けば、アメリカ産牛肉は危険なのに圧力をうけ輸入再開に踏み切るという配慮ではなく、アメリカ産牛肉はそれほど危険でないにもかかわらずいかにも危険そうだといわなければならない配慮ということです。

かねてからwebmasterも認めることですが、アメリカの特定危険部位除去は日本のそれに比べて不十分ですし、アメリカでは日本のように全頭検査はしていませんし、検査を行う一部(月齢20ヶ月以上)に該当するかどうかの見極めも万全とは言いがたいものです。にもかかわらず上記の仮説を導き出した所以は、次の中西先生の指摘につきます(中西先生も、アメリカ産牛肉が日本産牛肉よりリスクが高いことは無論認めていらっしゃいます、というか、この問題に興味を持っていながらそのことを否定する人はいないでしょう)。

では、リスクはどのくらいか? それを簡単に実感できる事実がある。30ヶ月齢以下については、日本への輸入肉のような危険部位除去を行わず、また20ヶ月齢以下という条件のない牛肉を食べている米国の状況を見ることである。

米国からの輸入牛肉で、日本に100年に1人の変異型クロイツフェルトヤコブ病の患者が出るリスクがあったとしよう。とすれば、牛肉の消費が日本よりはるかに多い米国では小さく見ても、2000年代初頭から始まる100年間に1000人強の患者が出るはずである。もちろん、こんなこと起きてはいない。申し訳ないような気もするが、米国人が食べていることは、1000倍以上の検出力で試験してもらっているようなものなのである。

このような状況であるが、調査会が独自の見解でリスクが大きいと考えるとすれば、それはそれで耳を傾けたい。しかし、調査会の今回の結論が、もし「評価できない」というのであれば(実はここがはっきりしないのだが)、それは重大な問題だと思う。

(略)

厳しいことだが、どんなにデータが少なくとも、リスク評価はある結論を出さねばならないのである。したがって、もし、調査会としてリスクについて判断できないという見解ならば、一刻も早く解散し、新しい調査会を組織すべきではないだろうか。(以上毎日新聞)

雑感323-2005.11.8「米国輸入牛肉のリスク:プリオン専門調査会は解散した方がいい」

さてプリオン専門調査会の判断ですが、一定の前提(=アメリカでの特定危険部位除去がきちんと行われる等)でリスクは大差ないと評価し、ただその前提の蓋然性を評価していないので、結果においてリスクを評価していないわけです。よって、リスクを評価しろと言われたのにそのミッションを果たさないようでは存在価値がない、という中西先生の批判はしごくまっとうです。日本と全く同じではないけどそれに近いことをすればリスクも近いレベルにとどまるでしょう(乱暴な要約で失礼します)、ということぐらい誰でもいえるだろうと。

・・・って、お前は妥当といったろうということですが、では中西先生のようなリスク評価がなされたとして、それが社会的に受け入れられたかと考えれば、かえって混乱を招くだけだったように思えるからです。結局のところ、アメリカ産牛肉についてのリスク評価としては、素人考えとしては「日本産牛肉よりもはるかに大きいが、にしても大したものではない」というあたりではないだろうかと思うのですが、前半がある限り輸入再開に反対する人は一定の支持を集めるでしょうし、かといって後半がある限り輸入再開を拒み続ける理屈が立ちません。

ましてプリオン専門委員会は合議体で、一部委員にはアメリカ産牛肉の輸入再開に反対する者もいます(その主張の是非をwebmasterが判断できるものではないことはお断りします。つまり、輸入再開すべきでないというのは正しいかもしれません)。それら委員はプリオン専門委員会の議事運営や結論を批判しているわけですが、中西先生のような判断を多数決で採用すれば、そうした批判はさらに強いものとなるとの想像は容易です。食品安全委員会のサイトを見ればご理解いただけるように、同委員会はBSE問題のみを取り扱っているものではありません。BSE問題を契機に他の分野での判断にも疑いの目を向けられるようになるのはできるだけ避けたいと考えても自然でしょう。

となれば、アメリカ産牛肉は危険だと宣言してある種の身の証を立てた上で、でもその危険性を回避する策がきちんと講じられるなら大丈夫だから、あとは政府の責任でその回避策をきちんと確保してね、というロジックを採用するのはある意味合理的です。本来ならアメリカ産牛肉は危険だなどと言われれば波風が立ちかねませんが、今は輸入再開の方がよほど重要でしょうから、それで再開されるならどうでもいい話でしょう。他方で危険だとは言っているわけで、危険なものを危険でないかのように判断したという批判は回避できます。

そうした判断の根っこには、おそらく専門委員会の多数派は中西先生と同様のリスク評価をしていたということがあるのではないかとwebmasterは思います。本当に危険なものを危険でないというのは絶対に拒否するでしょうけれど、それほど危険でないものを危険といったところで、だけど輸入再開できる方法があるのですよとしておけば、実際にはなんの問題もないじゃないかと。中西先生は環境ホルモン問題などの教訓として、危険なものを危険でないというのと同じぐらい危険でないものを危険というのは不適当だとお考えでしょうし、それが正しい姿勢であるのは言うまでもないのですが、にしても、と。

もちろん曲学阿世かと問えばそのとおりというのが答えになるわけですが、そのような配慮をしたくなった気持ちはわかるような気がするのです。

#今日は本業が多忙ゆえ、エントリのみで失礼させていただきます。コメントいただいておきながら恐縮ですが、時間ができたら何がしかの対応はいたしますので。


2005-11-12

[politics][book]三浦博史「洗脳選挙」

エッセンスは以前の木走さんのご紹介に尽きていて、それが著者の携わったさまざまなエピソードや関連情報で裏付けられています。当然この本は著者が政治家に自らを売り込むために書かれたという側面があるであろうことに留意して読む限りは有益なこと請け合いです。

・・・で終わりではあまりなので、本書でも触れられている自民党と民主党の違いについて、身近に見ている人間として若干の補足を。本書で触れられている違いは地方組織の足腰の強さについてですが、そうした違いは当然ながら中央にもあるわけです。最近そうしたものを垣間見せるイベントがありました。民主党と自民党それぞれのbloggerを集めた懇談会です(例えばtracker's burrowなどでその模様が紹介されています)。

明示的に建物の違いやそれを支える財政基盤の違いには言及されているわけですが、当然ながらそれは人材にも影響します。といってもそれは議員の差ではなく、党職員の差になのですが、人材としてどちらが上かといったことを遥かに超えて量的な差が大きいように見えます。というのも、党運営に携わる専任職員が自民党にはいる一方、民主党ではそれらしい肩書きの人でも実は議員秘書と兼任といった具合です。

懇談会の場でも、自民党の世耕議員は明らかにその場だけではなく、それがネットに載って読む人がいることを念頭に発言している一方、民主党側の諸議員は過剰にbloggerというものを意識しすぎてかその場で素の姿をさらしてしまっています(霞が関相手にもそのぐらい素直でいてくれるとうれしいのですが(笑))。もちろん議員個人の資質によるところもあるのでしょうが、仮に世耕議員が民主党所属であれば、党職員がやってくれるような下調べ(時としてこちらに下請けがあったりも(笑))その他の作業に忙殺されることから自由ではあり得ず、同様のクオリティの維持は難しいでしょう。

#話はそれますが、あくまでそんな気がするというものですが、世耕議員はかつてとは違う意味での党人派‐党組織・職員に確固たる基盤を形成するという意味で‐となることを視野に入れているのかなという気がします。

もちろん党職員がいればよいという単純な話ではなくて、もしそうなら共産党最強ということになってしまいますけれども(笑)、少なくとも本書に示されたような選挙戦術を実行するのが組織的になのか、それとも個人ベースにとどまるのか、その差が積み重なればやはり大きなものにならざるを得ないのでしょう。

#このところ先送りさせていただいているコメントへの対応ですが、明日にはなんとかしたいと思います。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

ブログ図書館の人 [bewaad様の過去記事の題名一覧(コメントおよびトラックバックを含む)を掲げるページを作りました。 http://..]

bewaad [ご労作ありがとうございます。昔のスパムコメントをきちんと片付けていないのが丸わかりで恥ずかしくもありますが(笑)、明..]


2005-11-13

[law][book]長尾龍一「ケルゼン研究II」

lawカテゴリに入れたものの、それは長尾先生が法哲学者とされている以上の意味はなく雑文集に近く、そしてそれに3,600円という対価を支払うことを妥当と考える人があまり多いとも思えないのですが、webmasterにとってはそれらは対価に値しました。お亡くなりになったばかりのピーター・ドラッカーがケルゼンと親戚(ケルゼン夫人の甥がドラッカー)だなんて知りませんでしたし、その微妙な関係(第5章に詳しいです)を見てからドラッカーの著作に接すれば違った陰影が覗かれるような気もします。

量的にもっとも大部なのはマーク・トウェインの世紀末ウィーン(もちろん19世紀です。為念)のオーストリア議会見聞記ですが、その他ケルゼンの第一次大戦期のオーストリア・ハンガリー二重帝国官僚としての業績など、同帝国末期の政府部内のさまざまなエピソード(宰相の決闘なんてものもありますが)は興味のある人にとってはたまらなく面白いものです。この頃のウィーンと言えば文化芸術のみが注目されがちですが、政治も捨てたものではありません(結果としては捨てたものといわざるを得ないでしょうけれども)。

幕末の幕府に似て、というと乱暴な共通化なのでしょうが、一国の衰退期において案外まっとうな再建策が模索され、しかしそれが潰えていく様というのは、現代日本官僚としてのwebmasterもよく味わうべきなのでしょう(笑)。といいますか、そうした時代だからこその悲喜劇であり、後世から見ての面白さなのでしょうけれど。

そういえば、稲葉先生がカール・シュミットをしこしこ読むとのことですが、ケルゼンとモーゲンソーを中心にシュミットやレオ・シュトラウスらのつながりを描いた第4章は、現代アメリカ思想をそういう観点から見ようとしている方々にはたくさんのヒントが詰まっているものなのかもしれません。そっち方面には疎いwebmasterにとっては単にトリビア的に知識をもたらしてくれたに過ぎないのですが。

本日のツッコミ(全18件) [ツッコミを入れる]

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2005-11-14

[notice]新たな目次のご紹介

ウェブログ図書館 Weblog(Blog) Libraryにて当サイトのエントリも収集いただいているジエノロジ研究所にて、Bewaad Institute 題名一覧というページを作成いただきました。

以前取り上げさせていただいた小僧さん作成の過去記事indexとの違いですが、

  • ジエノロジ研究所謹製:時系列(月単位)で整理され、コメント(投稿者名)・trackback(相手エントリへのリンク)も網羅
  • 小僧さん謹製:全体ページのほか各カテゴリ別で整理され、(IEなどのブラウザでは)タイトルのリンクにカーソルをホバーすると冒頭部分のテキストを表示(a要素にtitle属性を設定)

というものですので、画面上部のカテゴリ別のエントリ一覧もあわせ、必要に応じてご活用ください。

[notice]軍板との一件についていただいたコメントについて・前編

#このエントリは、「2ちゃん軍板の方々へ」(11/8付)「続・2ちゃん軍板の方々へ」(11/9付)及び「一昨日来のエントリにつきまして」(11/10付)を受けてのものです。

上記各エントリにいただいたご批判等を整理させていただきますと、次のようなものになろうかと存じます。

  1. 論じ方についてのご批判
    1. 板違い・スレ違い:JSFさん、ヘタレさん、名無し三等兵さん、横槍さん(以上11/8付エントリ)、名無し三等兵さん、JSFさん、もういいからさん(以上11/9付エントリ)、775さん、通りすがりさん、JSFさん(以上11/10付エントリ)
    2. 認識違い(板同士の対立などない):yamaさん、JSFさん(以上11/8付エントリ)
    3. 前提についての議論が不十分:ミギーさん(11/8付エントリ)
    4. 文章としてわかりづらい:ミギーさん(11/8付エントリ)
    5. 構造改革の是非を論じると議論が発散する:roomerさん(11/8付エントリ)
    6. 態度が勘違い:通りすがりさん、ええっとさん(以上11/8付エントリ)、yさん、なんだかなさん、つっこみますさん(以上11/9付エントリ)
    7. 文体が固すぎ:roomerさん(11/10付エントリ)
  2. 内容についてのご批判
    1. リフレ政策は実現可能性に難があるのではないか:名無しさん、aaaさん(以上11/8付エントリ)、yさん(11/9付エントリ)
    2. インフレとデフレの影響は本当に非対称なのか:ただのひと(11/8付エントリ)
    3. 現状の景気回復をどう考えるのか:774さん、くまごろんさん(以上11/8付エントリ)
    4. インフレ期待の形成は可能か:名無しさん(11/9付エントリ)
    5. 景気回復よりも財政再建を優先すべきではないか:ツィツィミトル星人さん(11/9付エントリ)
    6. 物価に遅行して所得が上昇する層の存在をどう考えるか:Lieutenantさん(11/9付エントリ)
    7. インフレ連動でリターンが上がる資産に貯蓄がシフトすれば消費・投資は増えないのではないか:とさん(11/9付エントリ)
  3. 結果についてのご批判
    1. 軍事板への偏見をもたらしかねない:一介の名無し三等兵さん、774さん、横槍さん(以上11/8付エントリ)
    2. 対象があいまいで無駄な書き込みを誘発:名無し三等兵さん(11/8付エントリ)
    3. (webmasterの書き込みに先立つインフレターゲットに関する書き込みについて)放置した方がよかった:あえて名を伏すさん(11/8付エントリ)
    4. 議論の終わらせ方が無責任:777さん(11/10付エントリ)
  4. ご質問など
    1. 意図が不明:名無し四等兵さん、すなふきんさん(以上11/8付エントリ)、すなふきんさん(11/10付エントリ)、JSFさん(ご自身のエントリ
    2. 熱くなっていたのか:irさん(11/10付エントリ)

時間・手間を割いてのご批判など、本当にありがとうございました。大変多くのご意見をいただき、また重なる部分もあるため、個別にお返しするよりは、むしろある程度まとめてという形で対応したいと思います。

よって、まず明日はなぜこのようなことをしてしまったかを振り返りつつ他山の石としていただくための総括をし、明後日は内容についてのご批判に対する考え方を書いてみたいと思います。

[comic]現在官僚系もふ・第31話

安直に狙いどおりとしなかったのはいいのですが、署名を集めてって、そのために松阪に行くのが効率的かどうかはさておき、典型的な圧力団体のロビーイング手法なのですが、もふの仕掛けるロビーイングはいいロビーイングで、黒幕と思しき人の仕掛けるロビーイングは悪いロビーイング?

本日のツッコミ(全16件) [ツッコミを入れる]

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2005-11-15

[notice]軍板との一件についていただいたコメントについて・中編

#このエントリに関連するエントリは、「2ちゃん軍板の方々へ」(11/8付)「続・2ちゃん軍板の方々へ」(11/9付)「一昨日来のエントリにつきまして」(11/10付)及び「軍板との一件についていただいたコメントについて・前編」(11/14付)です。

なぜあのようなことをしてしまったのかを振り返ってみれば、一言でいえば軍板へのストーカー的な一方的思い込みが大きかったように思います。世に反リフレ的な言説は数多く、webmasterもそのほとんどはスルーしているわけですが、軍板ならメディアのミスリードへの警戒感を持っているであろうし、何より毎日チェックしている板ということもあり、デフレについて書き込んでみようと思ったのがきっかけでした。webmaster自身、最近はリフレ政策には何が足りないのかをつかみかねていて、その手がかりをそうした軍板への評価に重ね、疑問を呈してもらいたいと求めてしまったということもあるような気がします‐当然ながら迷惑極まりない話ですが。

本来ならこの段階で板違いだと気づいてこの考えを捨て去るべきだったのですが、ここで思いついた(9日に書いた)構造改革とは訓練のようなものでリフレ政策とは兵站の充実のようなものという例えにとらわれてしまいました。書くなら書くでどのような文脈で軍板にてデフレ関連の話題が出てきたかを見て‐そうすれば本件は経済板住人らしき者による書き込みへの対応であって、軍板住人が好んで取り上げたものではないことはすぐにわかり、書き込みを思いとどまることができたはずなのですが‐それに応じてあれこれ考えるべきところ、この思いつきに酔ってしまいそうした慎重さを失っていました。その割に構造改革への言及は残ってしまいましたが。

8日のエントリをご覧いただければ明らかですが、結局この例えは使いませんでした。というのも、あれこれ考えてはみたものの結局は一断面を擬えたものに過ぎず、例えば「経済を子守りしてみると。」のようなまとまったモデルが構成できなかったからです。ここが思いとどまる第2のチャンスで、当初の考えどおりにはいかなかったのですからやめればよいものの、この頃には軍板に書き込むこと自体が目的となっていたように思います。文章が下手なのはもとからでなかなか直らないのですが、このような経緯で狙いも論旨もさらに不明確になっていったのでしょう。

書き込んだ後も、もちろん板違い・スレ違いというご批判は多々いただいたのですが、9日のエントリで取り上げさせていただいたようなレスがもらえたことがうれしく、そちらに目が行ってしまいました。それらにレスを返してしまったのは恩を仇で返したようなものですが、この最後の失敗の原因が自分のサイトをきちんと見ていなかったことです。レスへの対応を優先と決めつけて、エントリにいただいたコメントをじっくりと読んだのは書き込んだ後。10日に遅ればせではあれど思い返すことができたのは、その後コメントを踏まえてあれこれ考え直したからですが、例えば結局bewaadさん相手には何も出来ませんでしたと繰り返し諌めていただいたJSFさんはおっしゃっていますが、そのような次第になったのは以上のとおりwebmasterに原因があったのです。

以上、半分以上はマスターベーションな繰言ですが、あえて公開させていただいたのは、

  • いただいたご意見に感謝するとともに、あくまで問題はwebmasterの側にあってもう少しでいいから賢明であればそれらが活かせたということをお示ししたかったこと、
  • webmasterがあたかもリフレ派を代表してしまったような形になってしまいましたが、数々の無礼・過ちはあくまでwebmasterに属するものと明らかにしたかったこと、
  • こうしてオープンにしておけば、より強く今後の自制につながるであろうこと、
  • このようなwebmasterが運営しているサイトですから誤りは山ほどあって当然で、今後とも広くご意見をいただきたいこと、
  • リフレ政策の内容に関するご意見・ご質問には回答させていただきたいのですが、その前に内容以前の部分を取り上げるべきと考えたこと、

といった理由からです。こうしたエントリがこれらの趣旨にかなうかどうかも試行錯誤ですが、さらなる失敗の繰り返しだったとしても、後で恥じ入ることができるという一点だけには意味があるだろうというのが現時点でのwebmasterの考えです。

[economy][BOJ]政府・与党関係者の日銀牽制発言

週末から急な動きですが、基本的には次の田中先生のご見解が当たっているのではないかと思います。

いうだけなんでコストもかからないし、彼らの責任回避にもなるので誘因両立的だからどんどんいってほしいところ、と悪魔のささやき。

「ひょっとして日銀、「抵抗勢力」に?!」(@Economics Lovers Live11/14付)

実は発言そのものは、日銀の公式見解(デフレを脱却すれば量的緩和は解除するよ)と矛盾するものではありません。実際に発言を見てみれば次のとおりです。

自民党の中川政調会長は13日の京都府連パーティーでのあいさつで、日本銀行が2006年春にも金融の量的緩和政策の解除を模索していることに関し、「どうすれば06年にデフレ脱却ができるのかをしっかり考え、今の量的緩和の議論をしないといけない」と述べ、デフレ脱却を確実にするためには、量的緩和策の解除を急ぐべきでないとの考えを示した。

読売「量的緩和解除は尚早、自民政調会長が日銀をけん制」

安倍晋三官房長官は14日午後の記者会見で、日銀の量的金融緩和を巡り、自民党の中川秀直政調会長が「政策目標について日銀に独立性などない。分からないようなら日銀法改正を視野に入れる」などと早期解除を強くけん制したことに関し、「日銀法によって、日銀も基本的には政府と政策的な協調を進めていくことになっている。その趣旨を踏まえて、政府の持っている目標に向かって日銀にもしっかり努力していただきたい」と日銀に改めて慎重な対応を促した。

日経「官房長官「日銀、政府と政策協調へ努力を」」

小泉首相は14日、日本銀行による金融の量的緩和策の解除について、「(解除は)まだ早いのではないか。物価(の上昇率)がゼロ以上ないと。まだデフレ状況だ」と首相官邸で記者団の質問に答えた。

日銀が来年春にも解除を模索していることについて、時期尚早だという認識を示したものとみられる。首相が、日銀の金融政策について発言するのは異例だ。

読売「日銀の量的緩和解除、「まだ早いのでは」と首相」

以上のように、政府・与党関係者はデフレ脱却までは量的緩和を解除するのは望ましくないと言っているに過ぎないので、日銀と違うことを言っているかどうかはわかりません。例えば小泉総理の発言にしても、来年春は時期尚早だというのは読売記者の解釈で、来年春に「デフレ状況」でなくなっていれば日銀が仮に解除しても何ら問題はないということになります。

いかな日銀とはいえCPIがマイナスである間は量的緩和を解除しないはずで、問題は政府・与党関係者のいう「デフレ脱却」の定義如何と、「解除」の定義如何によって金融政策が引き締め方向に動くかどうかが決まってきます。前者については、日銀がCPI(消費者物価指数)がプラスというメルクマールで押してきた以上、いまさらGDPデフレータを使うわけにもいかないでしょうから(一般にCPIは数字が高め(概ね1%程度とされています)に出ます)、CPIがプラスになりさえすれば日銀と政府・与党に見解の差はないということになるでしょう。

あとは「解除」ですが、誘導目標を金利に切り替えてはじめて「解除」だとすると、CPIがまだマイナスであっても「解除」でない引き締めへの動き=日銀当預残高の引下げはあり得ます。この「解除」ならざる引締めは容認されるのか、それともこうした引締めすらも牽制しているのか、そこのところを注視していく必要があるでしょう。

で、先に紹介した田中先生のご指摘ですが、多分竹中大臣・中川政調会長の意図はそうした引締めをも牽制したいのではないかと思います。主導権は竹中大臣でしょうけれど、中川政調会長は竹中大臣が参議院議員になる前からの理解者で、両者には太いパイプがあります。いくら小泉総理の人気が高いとはいえ、経済が落ち込めばそうした人気は相当程度落ち込むというのが政治の世界ではよくあることですから、小泉総理への忠誠心篤い二人としては、実際に引締めが遅れ景気悪化を防げればよし、仮に日銀が突っ走って景気が悪化しても日銀が原因だという準備を整えることができれば悪くはないという狙いではないかと。

竹中大臣はちょうど横滑りで経済財政担当大臣からはずれ、デフレをめぐって日銀を批判しやすくなったのも大きいでしょうし(これまでなら「じゃあ政府は何をしている」と言われれば、まずは矢面に立たざるをえない肩書きでしたから)、中川政調会長にいたっては与党幹部なので経済財政諮問会議とは離れていますから、ますます批判しやすいというものです。

では安心して見ていられるかといえば、例えば日銀総裁をメンバーに含む経済財政諮問会議で日銀の方向性が概ねよしとされるような場合に身を挺して止めに入るとは期待できませんから(既述のように景気が悪くなっても総理の責任問題にならなければよいので)、そもそもそのような空気が経済財政諮問会議をはじめとする経済政策決定の場で広がらないことが重要でしょう。同会議を取り仕切る竹中大臣の後任は次のような発言をしているのですが・・・。

デフレ脱却について、竹中前担当相がマネーサプライの増加が必要だと唱えていたことに関して、与謝野担当相は、特に自身の立場は示さなかった。「耳学問的に言えば、マネーサプライが少ないから経済が悪いと考えるのか、経済が悪いからマネーサプライが増えないと考えるのか、ということだが、景気が良くなれば自然にマネーサプライが増える、マネーサプライの不足によって経済が沈滞しているのではない、というのが私の友人の学説だ」と述べるにとどめた。

ロイター「景気は上向いている、ペイオフ発動にならないと確信=与謝野担当相」

本日のツッコミ(全53件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>fhvbwxさん >リンタゲ 例えば若干オーバーシュートした場合をターゲット達成したと考えるのか未達と考えるのか、..]

通りすがり [fhvbwxにはあまりかまわないほうが いいのでは? ネットストーカー的 な印象があります。]

bewaad [>通りすがりさん そのあたりの判断はお任せいただければ。]


2005-11-16

[notice]軍板との一件についていただいたコメントについて・後編

#このエントリに関連するエントリは、「2ちゃん軍板の方々へ」(11/8付)「続・2ちゃん軍板の方々へ」(11/9付)「一昨日来のエントリにつきまして」(11/10付)「軍板との一件についていただいたコメントについて・前編」(11/14付)及び、「軍板との一件についていただいたコメントについて・中編」(11/15付)です。

本日はリフレ政策の内容についていただいたご意見・ご質問への回答です。

実現可能性について

「言ってることはわかった、でもできるのソレ?」これが軍事板の人たちの疑問なんだと思いますよ。

だから必死に理論を説明しても意味が無いと思います。むしろそれはもうやらなくてよくて、替わりに言うべきは「こうすれば実行できる」という方法論なのではないでしょうか。しかしそれは経済学というより、政治の話になってしまうわけで……

名無しさんのコメント(11/8付エントリ)

いつもリフレ派の意見を聞いて思うんですけど、ここまで理論的に完璧ならなんで実践しないんでしょうか?ネットワークを活用し、権力のある人(またはそれに連なる人)をこの理論で説得すればいいんじゃないのでしょうか?2chやブログを利用すれば初期の人数(伝道者として)をある程度確保できるでしょうし、説得した人が新たに別の人を説得すれば鼠算式に同調者は増えていきますよね(完璧な理論だし)。そうすれば世論の形成?ということになり日銀も動かざるを得ないんじゃないんでしょうか?なんでやらないのかいまいちよくわからないので、もしよろしければ教えてください。

aaaさんのコメント(11/8付エントリ)

いずれにせよ、

  • では、その素晴らしい正論が時の政府に採用されず、時の有権者に支持されないのはなぜ?(=>プレゼンの不徹底/方法の失敗)
  • 採用/支持されるように働きかけることに失敗しているのはなぜ?(=>プレゼン能力の欠如)
  • 経済板的正論を主張する人のプレゼンがまずい、能力がないのはなぜ?(=>「自分だけが真実を知っている」と考えがちな選民意識への執着)

という諸問題に行き着くように思われます。

経済理論としての正しさと、それを採用/啓蒙に持っていく能力とは正比例しません。立脚点や重要視するスタンスが異なる相手に、自説への賛同を求めるなら、もう少しプレゼン能力と選民思想をどうにかすべきなのではないかと思った次第です。

yさんのコメント(11/9付エントリ)

悲しいながら「こうすれば実行できる」というのは、形式的には日銀の金融政策決定会合で過半数の審議委員が賛成すればできるということで条件は明らかなのですが、ではどうやったらその賛成が得られるのかという実質論については、まったくもって目途が立っていません。そもそも日銀などの中央銀行に独立性が一般に要請されているのは、通常の民主的政策決定過程は金融政策の決定には不向きであって、限られた専門家が国民の多数の意向に逆らってでも経済学により導き出される「正しい」政策を実施すべきと考えられているからこそ、中央銀行の独立性は多くの国において認められているわけです。

#死んだ赤子の歳を数えても仕方がないのですが、審議委員時代から積極的にデフレの害を説きリフレ政策の導入を主張していた中原伸之前審議委員は、2003年初の速水日銀総裁(当時)の任期切れによる後任総裁選定の際、現在の福井総裁の有力な対抗馬として取り上げられていまして、その際に中原総裁が誕生していれば終わっていた話ではあります。

とはいっても現に独立性のある中央銀行が失敗したらどうするのよ、というのが今の日本の直面する状況でして、中央銀行の独立性を損なうというコストとデフレが継続するコストを比較して後者が大きいと判断するなら、中央銀行の独立性もしょせんは法律事項で国会の過半数議決で変えられるものですから、それを目指すことが唯一の解となるでしょう。ただ悩ましいのが、確率論的に独立した中央銀行が行う政策決定が民主的過程による政策決定よりも「正解」を数多く導き出すというなら、一回の失敗を取り上げて民主的政策決定を通じて中央銀行に圧力をかけて政策を変更させようというのはあまりに近視眼的であり、そうした逡巡が潜在的にはリフレ派にはあるのかもしれません。

とまれ、多数派形成により中央銀行に圧力をかけることが必要だと割り切るにせよ、基本的にデフレの害が中短期的には「狭く深く」(失業者などの限られた者が多大なダメージをこうむる)である一方インフレの害は「広く薄く」であるので、裏返せば徳保さんが喝破されたように例えば、なぜリフレ政策で失業率が下がるのか。竹森先生の「月刊現代」の連載を読んで、ようやくスッキリ納得したのですが、その答えを聞いて驚くなかれ、「賃金の上昇は物価高と雇用増に遅れるから」だという。つまり給与の高止まりが失業増の原因だから、物価に対し賃金を切り下げれば雇用が回復するのです。「俺の給料は安過ぎる」と思っている一般国民が支持できる内容でないことは明白ということになり、その道もまた険しいというのが現状です。

この道を進む以上、最終的にはaaaさんがおっしゃるようにある程度の数の理解を得ていくということしかなく、そのため岩田(規)先生や野口旭先生、田中(秀)先生に代表されるような多くの方々が様々な切り口からデフレの問題とそれへの処方箋としてのリフレ政策を語っていらっしゃる(最近リニューしていないので最新作はフォローしていませんが、関連著作をまとめたページがあるので一例としてご覧下さい)のだと思います。webmasterのようにリフレ派になった人間がさらに勉強させていただくだけでなく、少しずつかもしれませんが新たにリフレ政策への理解をいただく方々を増やしていると思います。

そうしたご努力に比べwebmasterのしていることがどうかと考えれば忸怩たるものはあるのですが、少なくともwebmasterがもっとやり方を改善しないことには、yさんのような受け止めからリフレ派全体に悪印象をもたらすことになってしまいます。もっと自らのテキストを客観視し、どういう難点があるのかを見逃さないようにして少しずつであっても改善していきたいと思います。

以上のように、これらのご指摘にはwebmasterとしても答えられる段階にはなく、どうすればいいのか日々考えているというのが正直なところです。

インフレとデフレの影響の非対称性について

わたし良くわかっていなくてすみませんが、インフレかデフレは(どちらもマイルドなもんであるかぎり)単に所得移転がどちら方向に動くかだけの話のような気がするのですが。右のポケットのお金を左に動かすだけのようなことで経済が良くなったりするのでしょうか?

  • 賃金の硬直性に関しては所得の企業から家計への移転ですが、インフレ時には逆にこの硬直性で家計から企業に所得が移転されるだけでは?
  • 借金に関しては借り手から貸し手への所得の移転で、これもインフレ時には逆になるだけでは?
  • 減価償却に関しては、これは単に会計上の話ですから、少なくとも経済学的な話をするのであればリアルベースでのキャッシュフローで見るべきだとおもうのですが?実質上は黒字会社だと税効果でかえって会社側に有利ということもあり得るかもしれません(違うかもしれません)。そうしたところで、単に企業と政府の間の所得移転だと思われるのですが。これは経済の話としてはすこし頂けないような気がいたします。

ただのひとさんのコメント(11/8付エントリ)

まず、そもそも名目ベースでのパイが膨らんでいく状況かそれとも縮んでいく状況かという前提についての論点があり、デフレによる消費・投資抑制効果でそれは後者であるということがそもそもの問題の始まりになります。

さらにその問題を増幅させるものとして取り上げていただいた部分があり、一般に市場を通じた資源配分は価格の変動を通じて行われるものですが、その変動に差があれば資源配分に問題が生じてしまうことになります。賃金や金利については下方硬直性により資源配分に歪みが生じるというもので、賃金はゆっくりと調整されるので時間の問題、金利はゼロ以下にはなり得ないので本質的な問題として資源配分が歪みます(=失業増加や信用収縮)。

もちろん上方にもスピードの差があり、賃金は遅行しますし、金利も既存の債権債務には(変動金利であるものを除き)影響が及ばないので遅行はしますが、下方硬直に比べれば上方遅行は程度として軽いので歪みはより少ないものとなると考えています。

なお減価償却については確かにミスリードでした。設備が生産するアウトプットの量が想定どおりでも価格が下落すれば名目ベースでの投資資金回収ができないという方が正確です。実質ベースでということなら、投資せずに現金で置いておけば目減りはしないわけで、つまりは機会費用が増加するということになります。

現状の景気回復について

質問ですが、景気が良くなればかなりの問題が解決できるのは理解できますが、インタゲじゃ無いとそれは達成されないものなのでしょうか?株価だけ見ていると景気は回復しているんじゃないかなぁと思いますが、どうなんでしょうか?

774さんのコメント(11/8付エントリ)

あのー、日本だけが経済不振・・・っていつの時代の話ですか。とりあえず現在はまるっきりその逆のようですが。

くまごろんさんのコメント(11/8付エントリ)

インフレターゲット設定その他のリフレ政策はあくまで需要喚起の手段ですので、別の政策手段等により需要喚起ができればそれでも景気回復は可能ですし、そもそもデフレであっても景気循環がなくなるのではなくその平均値が下がるというものですから、循環的な景気回復もあります。webmasterは循環的な景気回復と海外需要増加(=輸出増加)が今の景気回復の原因だと考えていますが、逆に言えばそれらが安定的に確保されない限り景気循環の平均値は上がりません。そのためには民間需要の安定的な上昇が必要でしょうし、そのためのリフレ政策でもあります。

また景気回復の水準ですが、実質ベースで2%台後半(名目ベースで5%強)程度が日本経済の実力を十分に発揮した状態、つまり好不況を平均してその程度であってしかるべきと考えていますので、今の景気回復は期間こそ長いですが十分なものとは考えていません。もともと80点とる実力のある学生が30点にまで成績が落ちたとき、その後50点とれるようになれば最悪期から見れば回復ですが、まだまだ十分とはいえないようなものです。

なお、くまごろんさんの続きのコメントにて「式が合っていれば結果が間違っていても気にしないのが経済学者。結果が合っていれば式が間違っていても気にしないのがエコノミスト」というかんべえさんのコメントが引かれていますが、そもそもa economistというのは経済学者をも含む概念で、それがカタカナになるとなぜか経済学者が除かれるというのはグローバルスタンダードに反するわけで(笑)。

真面目な話をしますと、リフレ派の経済学者の方々はそのマクロモデルにミクロ的基礎付けがないということで「エコノミスト」的だと批判されていまして(かつてあった「ザモデル」論争というのがその典型です)、少なくともリフレ政策についてその言葉をもっての批判は当たらないのではないかと思います。

インフレ期待の形成可能性について

>この「断固として」というのがポイントなのは嘘のような本当の話で、

ええと……私はこの「断固として」という点に非常に懐疑的でして……たとえ金融政策担当者が「インフレ率は絶対この範囲に収めてみせる!」と断固たる決意を表明しても、人というのは必ずそれを自分の都合のいいように解釈するというか、「そんなこと言ってても絶対ヤツはどこかで折れるだろう」と予感を抱くもので……

例えば、先の郵政解散が例として挙げられますね。小泉首相はことあるごとに「郵政民営化は絶対やる」公言し、「死んでもいい」とまで述べたことさえありました。彼の後見人である森氏も「法案が可決されなきゃ小泉は解散する」とまわりに対して釘を指しました。しかしこのように彼らが「断固たる」態度を示しても、反対派は郵政民営化法案に反対票を投じ、結果として解散選挙で辛酸をなめたわけです。人が本当に合理的に行動するなら、郵政解散っていうのはありえなかったわけですよ。

リフレ派の方々は、小泉首相以上に「ブレない・断固たる」と世間から評価を受ける人物を用意できるのですか?

名無しさんのコメント(11/9付エントリ)

思考実験としてインフレターゲットの有無のみが異なり他は全く同じ経済・中央銀行での金融政策を考えた場合、ターゲットがない方が期待インフレ率がぶれやすいのではないでしょうか。目標とする一定の範囲があってなお折れる中央銀行であれば、目標がなければなおさら上下動は大きいものとの予想が成り立つでしょう。実態としても、インフレターゲットを導入した諸国はそうでない諸国に比べてインフレ率の上下動が小さなものとなっています。

郵政解散の例については、プレイヤーにとって自ら操作可能かどうかという条件が違うので同列には論じられないでしょう。亀井議員その他は自ら解散を阻止できると考え、でもそれが叶わなかったわけですが、一般の企業や家計は自らインフレを招く・抑止するとは通常考えないわけです。郵政民営化反対派が本来操作可能でないものを操作可能と誤解して行動を誤ったということであれば、逆に言えば操作可能でないと正しく認識していればご指摘のような合理的行動を取っていたはずで、その例を援用するならまさしくインフレターゲットについては、個々の経済主体がインフレ率を操作可能と考えているとのデータは寡聞にしてwebmasterは知りませんで、つまりはインフレ目標を所与のものとして行動すると考えられることになります。

景気回復と財政再建との優先順位について

すみませんが、現在小泉首相が進めている政策は『財政の健全化』であって、インフレターゲットであろうとリフレだろうと必要なことだと思うのですが。

無駄に使われているお金をストップして毎年膨大な量になる財政赤字を減らすことを最優先することが間違いと言い切るのは無理がありますし、景気を回復させれば税収が増えると言うのは確かですが、それと財政の健全化は別の話だと思います。私が小泉首相を支持している理由の一つがそこです。私は景気回復を首相に求めていません。国庫の健全化を期待しています。

ツィツィミトル星人さんのコメント(11/8付エントリ)

かつて経済財政諮問会議の民間議員ペーパー(つまりどちらかといえばリフレ派でない人々の主張です)を取り上げて論じましたが、日本の80年代の財政再建を見ても国際比較をしても景気回復なくして財政再建に成功した例はありません。また、同じ資料をご覧いただければおわかりかと思いますが、「無駄に使われているお金」として人件費や公共事業費をゼロにしたところで財政赤字は止まりません。

なお、日本の財政事情は実はそれほど深刻でないという論文を以前紹介し、また、リフレ政策で財政赤字の対GDP比は安定的に抑制できるとの試算をしたこともありますので、よろしければご覧下さい。

物価上昇のスピードの差について

とりあえずインタゲが「理論的には」不景気を克服できるのは理解できるんだけどな。ただ、「物価はあがるが給料はあがらない(あがりにくい)」層への手当てはどう考えているのかな。公務員もそこに含まれているけど(笑)。

ここをクリアしないと庶民の共感は得にくいな。

Lieutenantさんのコメント(11/9付エントリ)

ただ、こういう直感的な問いに大衆を納得させる回答を示せないなら、政治家は動かないと思うよ。「全体としてはうまくいきます」と言われても、「で、俺の権益はどうなるの?」というとき、「損します」というのでは、実行は難しいでしょ。特に政治家の場合。

2〜3%のマイルドインフレを達成という場合、物価の上昇、賃金の上昇、実質の金利の低下をどうバランスよく(不公平感なく)進行させるかという処方箋こそがインタゲの王道じゃないの?

Lieutenantさんのコメント(11/9付エントリ)

うーむ(苦笑)。その辺(理論的主張の部分ね)は理解した上で、「不公平感」をどう取り除くのか、という話を聞きたかったのだが。別に計画経済的な介入をやれとは言わんけど、「金融の量的緩和」だけでは、そのインフレは歪なものになる気がするし。例えば、投機的な財のみが暴騰して、いわゆるヒルズ族みたいな層だけが恩恵をこうむるみたいな。「防御反応」というのは、インフレ期待に反応して、消費性向を高めるということを指していると思うが、それは「物価の上昇、賃金の上昇、実質の金利の低下」がバランスよく起きた場合の反応じゃないかな。

なんか上手く表現できないが、別にインタゲを否定するわけではない。ただ、カタログスペックと運用は別物じゃないかということ。実際の運用で生じる問題にどんな対策を打てるかというのが知りたいね。

Lieutenantさんのコメント(11/9付エントリ)

最後に引用したコメントを受けての銅鑼衣紋さんのコメントが丁寧に解説していますが、まず基本は現状もリスク調整(失業リスクや政策変更リスク(障害者自立支援法などが典型例でしょう))をすれば期待できる所得水準はかえって低くなるということを説明し理解を求めていくということかと存じます。実際に何らかの歪みが生じて対応が必要という事態になれば、ティンバーゲン流の政策割り当て(1つの政策で二兎を追うのは不適当で、目的の数だけそれに合った政策を用意すべきというもの)にしたがって規制の改廃や財政政策で対応ということになるかと思います。

資産価格等への影響について

今の構造改革が「上に厚く下に薄い」というのは、その通りだと思う。だから、現状が景気回復に移行しつつあると言っても、それは「雇用なき」や「賃上げなき」好景気になる可能性が高いという認識でいる。

インタゲが総需要を増大させ、税収増・消費拡大につなげようと思えば、「上に厚く下に薄い」傾向を抑える仕組みを設けた方が効果的ではないのかな? 例えば、マネーサプライが増大したとして。それが株価や地価の上昇に「しか」反映しないという状況があれば、インタゲ派が主張する効用(需要の拡大等)は起きないと思うが如何?

Lieutenantさんのコメント(11/9付エントリ)

投資雑誌なんかを見ると「将来のインフレに備えて金を買え」みたいな記事が出ていますが、もしこのような行動が主流であるならば、通貨が円から金になるだけで市場に対するデフレ構造は変わらないのではないでしょうか。

つまり、インフレになったとき金持ちは金を買い貧乏人は物を買えなくなれば(貴金属をのぞく)消費が減少しますよね。結果として企業業績悪化、株安・税収減、国債利払いパンク、通貨暴落ハイパーインフレと雑誌の煽り文句がちらつくのですが…

とさんのコメント(11/9付エントリ)

ご迷惑ついでにお願いですが、もしよろしければ簡単な産業別影響予測のようなものを拝見したいのですが。

例えば、製薬業界にとっては、保険財政が厳しく薬価の伸びが期待できないうえに開発期間が長いため、インフレがリスク要因になりえますよね(素人考えですが)。

とさんのコメント(11/14付エントリ)

一般に資産価格は、そこから得られるキャッシュフローをCとし、金利をrとすればC/rで得られ(例えば毎年1,000円の利払い・配当などがある資産は金利が5%なら20,000円の価値があるということになります)、Cがgの割合で毎年増えていくのであればC/(r-g)で得られます(先の資産のCが毎年3%ずつ増えていくなら50,000円の価値があるということになります)。

この例で言えばCがインフレ率と同じだけ増加だと考えれば、インフレ率が0%から3%に上昇することで資産価格は2.5倍になるわけで(実際には金利もインフレ率上昇に伴い上がっていくのでその影響も考慮する必要があります。具体的には"r-g"が効いてくるので、インフレによるCの伸び率の上昇がrのそれより大きければ、要すれば実質金利(名目金利−インフレ率)が下がれば資産価格は全体としては上がります)、資産価格の上昇率は一般にはインフレ率を上回ります。というのも、この算式は将来にわたるキャッシュフローを念頭においているので、その全体の上昇が今の価格に反映されれば、1年分のみの上昇であるインフレ率よりも高くなるからです。

というわけで資産価格のある程度の上昇は不可避ということになりますが、他方で価格上昇=高くても買う経済主体の登場は、経済全体としては望ましい効果をもたらします。高くても買う経済主体はそれだけその資産を有効活用できるからで、土地が典型ですが例えばデフレ期には金利負担なく取得した者(相続など)にとっては固定資産税に見合う程度の収入しかなくても金利を負担して買おうとする者の値段では見合いませんが、インフレ期には買い手がペイする値段でも魅力的な値段設定が可能となります。土地を売って儲けることの評判が悪かったとしても、より生産性の高い用途に転用される可能性が高くなるので、どんどん取引が成立した方がよいのです。

以上を前提に個別のご指摘にお答えするなら、まずLieutenantさんに対しては、例えば増税なら消費税増税ではなく累進強化や相続税増税、法人税にしても全体を中立にするとしても損金計上可能経費の拡大と税率引上げの組み合わせ、固定資産税の上物非課税化・見合いとしての対土地税率の引上げといった「構造改革」をあわせ行うことが望ましいのではないかとお答えしたいと思います。とりあえずこれまで行われてきた所得税のフラット化を元に戻すとか、消費税率引上げの中止といったことだけでも。

とさんの1つ目のご質問ですが、もともと金持ちの消費増というのはそれほど期待できず、相対的貧困層の消費増が期待されるわけですが、万が一そうした階層の賃金が上昇しなかったとしても、上記のように実質金利が引き下げられれば(=インフレ気味になっても急には金融を引き締めない)貯蓄の妙味がその分だけ少なくなるので消費は増加します。また、賃金が一定でも就業者数が増えれば、全体としての消費はその分だけ増えるので、全体として消費が減少する可能性は極めて低いと考えられます。

2つ目のご質問ですが、産業別の事情には詳しくないのであくまで一般論ですが、デフレである現状とは逆の構造が有利となります。デフレに有利な構造とは売り上げが落ちればその分費用も落ちればダメージは少なく、かつ下方硬直性のある生産資源は少ないに越したことはないのですから、つまりは固定費の割合が小さく変動費のそれが大きい構造が一般的には有利です(だからリストラはそれを指向するわけで)。インフレ期にはこれが逆となり、固定費の割合が大きく変動費のそれが小さい構造が一般的には有利となります。

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2005-11-17

[economy]太平洋の向こう側でのインフレターゲット反対論

バーナンキ次期FRB議長(候補)の上院ヒアリングをsvnseedsさん田中先生中村先生が取り上げていらっしゃいますが、あくまでtestimony((冒頭)証言)部分だけですので、その後の質疑応答からインフレターゲット反対論への反論を紹介してみます(ソースは"Bernanke confirmation hearings"(@William J. Polley11/15付)です)。

サーベインス議員(日本ではエンロン事件を受けての企業改革法(サーベインス・オックスリー法)の立案者として知られていると思います)の質問は、インフレターゲットを採用しているECBを引き合いに出して、ヨーロッパではアメリカよりはるかに失業率が高いではないかというもの。フィリップスカーブ(インフレ率と失業率はトレードオフの関係にあるという経験則)を念頭に、インフレターゲティングはインフレ率を抑制しすぎて失業率を高止まりさせるのではないか、という趣旨でしょう。で、バーナンキの回答は次のようなものだったとのこと。

Senator, it was below that rate 20 years ago before the ECB was even created. I believe there are other factors that contribute to that difference.(上院議員、アメリカの失業率が低いというのはECBが設立されるより20年も前からのことです。その違いは別の要因によるものだと思います。)

#別の要因とはNAIRU(これより下がるとインフレ圧力が生じることとなる失業率)が違うよということかと。

[government][media]農水省の対メディア姿勢

branchさんt9930211さんが注目の農水次官&農水大臣のメディア批判ですが、もともとあそこはそういうところです。リンク先は最新で1年前のもの、その前も1年半近く間があいていてつまらないので、ぜひとも大人気ない当初のような活発な活動‐返事がなければもう一回(笑)!‐を願う次第です。

客観的に申し上げるなら、こういったメディアとの議論は大いに行われてしかるべきだと思うのですが、霞が関としては江戸の敵を長崎で討たれるのが怖くてなかなか踏み込めない傾向にあります(直接の抗議はともかく、それをオープンにはしにくいです)。じゃあなぜ農水省はそこまでやるのかと考えるなら、どうせ農水行政は時代遅れ等々と批判されてばかり(webmasterが思いつく限り寛大な目で見てもらえたのは鳥インフルエンザやBSE等で色仕掛け(笑)が成功した次の事例(webmaster注:元記事は削除されているので、それを引用しているページへのリンクを張ってあります)だけです)なので、メディアへの反論の限界費用が低いってことなんでしょうねぇ・・・。

危機に立ち向かう美人キャリア−。コイヘルペスウイルス(KHV)や米国産牛のBSE(狂牛病)問題、最近では猛威をふるう鳥インフルエンザの発生で大打撃を受けている日本の食卓。次々に襲い掛かる感染症に、農林水産省はてんやわんや状態だが、100人ものスタッフを率いて陣頭指揮をとっているのが、栗本まさ子衛生管理課長(49)。省内でも「美人の誉れ高い」(同僚)と評判の栗本課長は、獣医の肩書も持つ。日本の安全を守る栗本課長って、どんな人?

「夫妻が命を絶ったことは大変残念だ」

京都府丹波町の鳥インフルエンザ問題で8日早朝、浅田農産の会長夫妻が自殺した。農水省の記者会見に現れた一人の女性に、編集局の視線がくぎ付けになった。

「だれだ?」

穏やかで冷静な口調に、オジサン編集幹部も「うん」と素直にうなずきそうなほど、農水省幹部のイメージとはかけ離れていた。

(略)

衛生課課長補佐や動物医薬品検査所企画連絡室長、動物医薬品検査所室長などを歴任した後、昨年7月から衛生管理課長を務めている。

衛生管理課はコイヘルペス、BSEを巡る日米協議、高病原性鳥インフルエンザと3大感染症の対応に追われる。課員は約80人と省内では最大規模。感染症の続発で100人規模にまで膨れ上がり、現在は霞が関では小さな「局」並みとなった布陣を率いる。

「1週間に睡眠は10時間しかありません」。自宅に帰ってシャワーを浴び、仮眠する生活が2カ月を超えた。

国会会期中も質問取り、答弁書作成のため、午前3、4時まで居残ることもある。目の下にクマを作りながらも美貌(びぼう)は健在で、省内でも優秀な人材が集まる同課を仕切る。

省内には「小さな体で一人ですべてかぶって痛々しい」と同情論もあるが、「冷静で激することなく、諭すように処理していく」という評価だ。

夕刊フジ「食ショックに立ち向かう才色兼備課長の素顔 獣医師の肩書持つ栗本まさ子・農水省衛生管理課長」

[WWW]「かわいらしい大学生のようなぴちぴちのかなりレベルの高い感じをプンプンとさせている女の子たちが、霞ヶ関駅の近く(略)誰か教えてください!」

ついでにt9930211さんがらみで。6番目の回答までの盛り上がりと、7番目の回答との落差がなんともいい感じです(笑)。

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2005-11-18

[WWW]Reincarnation Baton

roi_dantonさん(11/13付)から受け取りました。ちょっとネタにマジレスモードで。

Q1 前世はなんだと思うか?
輪廻転生があるとすればその主体は阿頼耶識でしかあり得ないと思っていますので、関係のあるすべてのものとしか。厳密には「前世」ではないですが、それとして答えるとアートマンを是認してしまうことになりますから・・・。
Q2 前世ではどうしていたか?
それぞれの時点でのそれぞれの存在としてそれぞれの振る舞いを。
Q3 次は何に転生したいか?
解脱したいので転生したいとは思いません。
Q4 転生してどうする?
それぞれの時点でのそれぞれの存在としてそれぞれの振る舞いを。
Q5 友人が突然「じゃ、俺転生してくるわ」と言い出した。どうする?
親しければ止めるでしょう。だって、自殺するというのですから。
Q6 突然、知らない異性が「君は前世で恋人だった。今会ったのも運命、二人は結ばれる運命なの」と言ってきた。どうする?
何か惹かれる女性であれば会話をしても運命とやらが勘違いだったと気づかれ去られてしまいますし、惹かれないのであれば会話する気になれないので、最初からお断りさせていただくのが賢明でしょう。
Q7 転生ってあると思うか?
一般に言われているような意味での転生はないと思います。
Q8 誰にバトンを渡す?
このような空気を読まない人間の後でよろしければ、どなたでも「bewaadから受け取った」として拾ってください。

[government]コピーに始まる霞が関稼業

でもなあ! コピーは奥が深いんだぞ! 「この傾きをなんとかして」と言われて微妙な傾きを一発で直せたときの爽快感はお前らには味わえないだろうな!

FAXのせいかしらないけど、紙のそこかしこの微妙な汚れを全部修正テープで消してコピーしたら綺麗になったときの感動といったら、もう!

最近のコピー機は進歩していて、大抵のことはできてしまうんだ。枠消しだってやってくれるんだぞ! 今までは修正テープで消していたFAXの送信主の部分が枠消しコピーであっさり消える快感を味わえないなんて、悲しい人生だなあ!

「めざせコピーマスター」(@霞ヶ関的似非ノンキャリ月記(週記(日記))(11月分)11/16付)(webmaster注:強調は原文によります)

このテキストを読んで深く頷かない人間は霞が関住人にあらず!

さてコピー機に歴史あり、どのようなコピー機と深い縁を結んだかで世代がわかるものです。

  • 昭和40年代以前:青焼き
  • 昭和50・60年代:コピーのみ、ソートは手動(特に初期世代は「ゼロックス世代」(普通紙コピーはゼロックスにより開発。ステイプラーを「ホッチキス」と呼ぶようにコピー機を「ゼロックス」と呼ぶ世代です))
  • 平成ひとケタ:フィーダー、ソーターが標準装備
  • 平成ふたケタ:デジタル化、カラー化、オートステイプル

参考:複写機(の歴史)

省庁・部局により前後はありますが、霞が関の住人となったばかりで勤務時間中コピーをしている時間のシェアがもっとも高い時代の思い出話に出てくるコピー機は世代によってこのように移り変わっています。webmasterの場合は(検閲)

ところで上記引用部には続きがあります。

…………お父さんお母さん、僕はこんなにせせこましい人間に育ちました。

ibid

官僚がせせこましいのはコピーに明け暮れる社会人としてのインプリンティングのせいです!!(嘘)

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2005-11-19

[economy]談合されても問題が少ない入札

今般の成田空港に関する談合をめぐり、山口浩さんが「比較的低コストでそこそこ有効な談合防止策に関する思いつき」と題して大変興味深いご提案をなさっています。それが何かはぜひともリンク先をご覧いただきたいのですが、その成否には次のような重要な前提が必要です。

原則に立ち返って、発注者のほうが強い、ということを思い出そう。本当に発注をやめたとして、より深刻な状態になるのは企業のほうのはずだ。これは一種のチキンレースといえる。勝ち負けはどちらが本気かで決まる。ならば発注側が「本気」でやればいいのだ。

「比較的低コストでそこそこ有効な談合防止策に関する思いつき」(@H-Yamaguchi.net11/18付)

仮に発注をやめて施設の整備ができない空港側が、発注がなくても他で食べていける等の要因がある企業よりも「より深刻な状態」になってしまえば、このご提案は成立しないからです。本件においていずれが「より深刻な状態」であるかはwebmasterにはわかりませんが、とにかく発注者側より受注者側が発注がないと困る状態であることが前提です。では別の方策はないのか考えてみましょう。

そもそもなぜ談合を行うのか、当然その方が受注者にとって得だからですが、どのように得かと整理するに当たっては囚人のジレンマが補助線として有用です。蛇足かもしれませんが、以前のエントリから囚人のジレンマとはどのようなものか念のために再掲します。

共犯二人がともに自白すれば二人とも懲役十年、どちらか一方が自白すれば自白した者は司法取引で懲役一年、しなかった者は改悛が認められないとして懲役二十年、どちらも自白しなければ証拠不十分で逮捕のきっかけとなった微罪のみが問われ懲役二年という状況(懲役の具体的年数には意味はありません)にあれば、相手が自白しようとしまいと自分は自白したほうが得(相手が自白するなら懲役二十年が十年に、自白しないなら懲役二年が一年になる)なので二人とも自白し、どちらも自白しなかった場合の二人とも懲役二年という両者をあわせ考えればベストの状態ではなく、二人とも懲役十年という結果になってしまうというのが囚人のジレンマです(。)

「バブル崩壊の知られざる後遺症」

これを談合に当てはめると次のような対応となります。

  • 両者が連絡をとりあって自白しないよう示し合わせて二人とも懲役二年になった場合=談合により高値で受注
  • 両者の連絡がとれずそれぞれにとっての合理的な判断で二人とも懲役十年になった場合=談合がなく安値で受注

#片方のみが自白したケースは談合破りでしょうか(笑)。

囚人のジレンマが成立するにはいかにお互いが疑心暗鬼になるかに依存して、典型には囚人ですからお互いを連絡が取れないよう隔離しておけばよく、それでめでたくそれぞれを懲役十年の刑に処することができるのですが‐競争入札でいえば、談合取締りが隔離と、安値での発注成立が懲役十年と同じ役回りになります‐、談合のケースでは受注側を囚人のように本当に隔離してしまうわけにもいかず、さらには実態として談合のやり方も高度化しているようで、なかなか「隔離」もきちんとするのは難しいといわざるを得ません。

ここで発想を逆転させてみます。談合すれば「懲役十年」が「懲役二年」になってしまうことが問題であるとするなら、談合しても「懲役二年」ではなくもっと長い刑期‐理想的には十年‐になるなら問題は相当程度解決可能です。ここで鍵となるのは「懲役二年」は入札という仕組みをとる以上、実は「懲役二年」ではなく「懲役○年」であり、必ず受注側が「二」や「三」といった札を入れて確定することになります。ここでできるだけ「十」に近い数字を札に書かせるインセンティブ設計をすれば、談合をこの世から消し去らなくても弊害は限りなく小さなものとなります。

とここまで書いておいてなんですが、実はそのようなインセンティブ設計は既存の入札にも組み込まれています。それは予定価格で、それ以上の価格では入札不成立とするものですが、囚人の例でいえばともにだんまりの場合には自主申告の懲役期間とするけれど、その申告期間が囚人には知らされていない「予定期間」より短かったら懲役十年にするようなものです。この場合、下手に短すぎる期間を申告すれば十年になってしまいますから、限りなく申告する期間は十年に近づいていくはずです‐「囚人には知らされていない」という条件が守られている限り。

よく官製談合といわれますが、この構造からそもそも官製でなければ談合は成立しないことがわかります。予定価格がわからなければいくら受注者側で示し合わせても入札できるとは限らないわけで、談合による超過利潤を享受するためには事前に予定価格を入手することが必須です。予定価格が入手できなければ、談合したところで入札価格は限りなく談合がない場合に札に書き込む価格に近づいていくのは、先の「予定期間」と同じメカニズムです。

官僚として申し上げるのは何ですが、ここで発注側が身を正せば良いという案は採らないほうが無難です。それができるならそもそも談合事件は起きないわけで、浜の真砂は尽きるとも世に談合の種は尽きまじ、やりたいと思えばできるならやる誘因は遍在しているのですからやる可能性は根絶できず、であるならやりたくてもできないようにするしかありません。

どうしたらできないようになるのか。答えは簡単、事前に決めなければ事前に知らせようもありません。「予定価格決定委員会」でも立ち上げて、入札が始まってから協議を開始し予定価格が決まったらそれを入札会場に伝えて開札するようにすれば、仮に談合があったところで「懲役十年」に極めて近い相場で価格は決定せざるを得ないでしょう。

#もちろん委員の買収防止など、現実に運用するにはそれなりの工夫が必要ですが。

ちなみに成田空港の件は6社での談合で、事実上それらしか受注できる能力がなかったので寡占状態だったわけですが、この手法はそうした場合でも有効です。入札は事前にスペックを公表して行われるので、供給量や製品差別化では競争できず、価格のみが唯一の変数となります。こうした条件下での寡占競争が行われた場合の結果(ベルトラン=ナッシュ均衡)は、完全競争市場での均衡価格=超過利潤ゼロとなりますので。つまり、「懲役十年」が短すぎるといった事態は起こらないのです。

[economy]JR西日本中間決算に見る安全性向上の損得

さる11/8、JR西日本が中間決算を発表したのですが、かつて福知山線事故に関連して次のようにwebmasterは仮説を立てたので、それを検証したいと思います‐JR西日本の中間決算が出たら取り上げなければと思っていたのが見逃していて、10日以上放置になってしまっていました。

さらに、これはまったくの憶測なのですが、以上のように安全性を向上させることのベネフィットが小さいことに比べ、そのためのコストが高すぎるのではないのでしょうか。企業にとって合理的な経営判断として、今のレベルの安全性にとどめているのだとすれば、そういう構造が背後にあることになります。それを是正しようとするなら人為的に、安全性を向上させたときのベネフィットを増加させるか、そのためのコストを負担するか、安全性が相対的に劣ることに対してコストを負荷するしかないのではないかと、webmasterは思うのです。

「福知山線事故について考えてみた(上)鉄道の安全性」

ここでいう「安全性を向上させることのベネフィット」は事故により生じた損失を避けられたという形で現れますから、逆に事故により生じた損失からどの程度かを推し量ることが可能です。具体的に見てみましょう。まずは直接のコストです。

特別損失「その他の損失」のうち、福知山線列車事故に伴う支出額は3,405百万円であります。また、今後事故に伴う補償などの支出が見込まれますが、これらの費用については、現時点では金額等を合理的に見積もることが困難であります。

平成18年3月期 個別中間財務諸表の概要(p30)

他方で売り上げ減少という逸失利益もまた費用としてカウントすべきですから、それを推計してみます。鉄道事業の概況は次のとおりです(単位は百万人キロ、10億円)。

年度200020012002200320042005上2005上×1.97(輸送人キロ)、2.01(運輸収入)
輸送人キロ52,58852,55152,64751,67452,14226,70252,602
運輸収入773.6772.7769.9752.0750.3379.5762.8

#ソースは中間決算及び2004年度年次報告書、今年度について年度計数を推計するための掛け目(輸送人キロについての1.97、運輸収入についての2.01)は、中間決算と年度決算の過去3年間の比率(2004年度は1.96と1.99、2003年度は1.97と2.02、2002年度は1.99と2.03)の算術平均値。

いずれをとっても前年度より改善が見込まれますが、どの程度の改善かの基準として、2004年度までの5年間で回帰式を導出して(xは2000年度=1とした場合の何年度目か)これまでの延長線上にある数値を計算すると次のとおりです。

回帰式R-squared6をxに代入して得られるy(a)2005上×1.97、2.01(再掲)(b)b-a
輸送人キロy = -176.9x + 528510.459451,79052,602812
運輸収入y = -6.73x + 783.890.8483743.5762.819.3

人キロ・収入ともに伸びていますが、トレンドからの乖離で見れば193億円の収入増があったことになります。

外部環境による改善ということも考えられますので同業他社(阪急、阪神、南海、近鉄)を見てみますと、中間決算を公表しているのは南海のみで、阪急阪神近鉄はまだ業績予想修正のみですが、それらは次のとおりです。

会社対前中間期売り上げ増備考
阪急1.9%持株会社連結ベース売上高。業績予想上方修正の理由として「阪急電鉄(株)における旅客運輸収入の増加」との記述あり。
阪神5.2%連結ベース売上高。業績予想下方修正の理由において特に鉄道事業についての言及なし。
南海0.1%鉄道事業営業収益。
近鉄9.7%単体ベース売上高。業績予想下方修正の理由において特に鉄道事業についての言及なし。

これらから鉄道輸送需要の伸びを推測するのは乱暴ですが、他にこれといった指標もないので算術平均をとれば4.2%増、他方でJR西日本の対前中間期の運輸収入伸び率は3,767億円から3,795億円で0.8%増ですから、その差3.4%ポイントを事故の影響による収入減と観念すれば130億円程度の逸失利益があったとも言えますし、きちんと比較できる南海のみを対照事例として考えるなら0.7%ポイント上回っており外部環境要因で運輸収入が伸びたわけではないとも言えます。

とあれこれ関連データを見るに、単なる山勘ではありますがやはり逸失利益は数十億のオーダーにとどまるような気がします。今後の補償など関連して生じ得る将来の費用を勘案しても、「安全性を向上させることのベネフィット」はキャッシュフローベースで1事故当たり200億円には届かないのではないでしょうか。

他方で「そのためのコスト」ですが、5月末発表の安全性向上計画ベースで4年間で600億円の増、その後増加させる方向で検討中とのことなので、1年当たり150億円以上のキャッシュフローが必要だということになります。

・・・やっぱり、そろばん勘定では安全性の向上は割に合わない可能性が高いのではないでしょうか。残念ながら。

[economy]アカロフ先生の講義録

kaikajiさんがこれから連載とのこと。英語論文を読めば内容はわかるとのことですが、怠惰なwebmasterとしては連載を大いに楽しみにさせていただきたいと思います。というのも、題材が次のようなものとのことですから。

こういった従来のマクロ経済学における'Missing Motivation'の典型例として、アカロフ氏は、「5つの中立性(neutrality)」に関する問題を挙げる。これは、各ミクロ経済主体の行動が政府の財政・金融政策などによって影響を受けない(経済政策はミクロ経済主体の行動に対し中立的である)ことを示す以下の5つの定理または仮説のことを指しており、いずれも新古典派的な政策的インプリケーションを導く理論的前提として重要な意味を持ってきた。

  1. リカードの等価定理
  2. フリードマンの恒常所得仮説
  3. M-M(Modigliani= Miller)定理
  4. 自然(失業)率仮説
  5. 合理的期待形成仮説

アカロフ氏は、これらの「中立性」に関する定理もしくは仮説は、実は個々の経済主体の「動機づけ」を考慮していないものだとして、その理論的脆弱さを批判する。そして、これまで「ミクロ的基礎付け」を欠いているといわれてきたケインズ経済学の伝統的な見解(「中立性」とは正反対の結論を見出す)こそ、このような「動機付け」に関する新しい理論的知見に整合的であるだとする。つまり、「ミクロ的基礎づけを書いているのは実はそっちのほうだ!」とケインジアンの立場から新古典派に「逆襲」するような内容になっているのだ。

「ケインズ経済学の逆襲!」(@梶ピエールのカリフォルニア日記。11/18付)(webmaster注:機種依存文字は変更してあります)

そもそもアカロフが啓蒙書において筆不精なのは人類にとって重大な損失だとwebmasterは思っていますので(クルーグマンやスティグリッツ並みにとは言いませんから書いてほしいなぁ・・・)、kaikajiさんの試みは知的遺産としての価値があります、とまで言い切ってみたいと思います。

本日のツッコミ(全19件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>鍋象さん、ko-jiさん ここで書いたあれこれは、基本は寡占市場分析から入っています。プライステイカー・プライスメ..]

鍋象 [例えば予定落札価格からスタートする逆オークション方式など考えてみましたが、談合を許容しちゃうと結局予定落札価格が正し..]

bewaad [関数の話になるとこちらの手にも余ってしまって定性的にぐだぐだ書くだけです。トホホ・・・。]


2005-11-20

[computer][economy]財政シミュレーションスクリプト

以前のwebmasterのエントリを発展させていただき、cloudyさんが「財政赤字カリキュレータ」を作成・公表されました。ぜひお試しください。

#言及されている「先行者」をご存じない方も今では多いかもしれないので、かつてネットを席巻したページを念のためご紹介しておきます。

最終的な目的は金融政策と財政政策のパラメータのみ指定して、インフレ率や成長率、金利はそれから自動的に求めるようにしたいとのことですので、イメージとしてはマンキュー先生謹製のPresidential Gameが目標となるでしょうか。Presidential Gameはマイナス金利にマイナス失業率が存在するという古典派の楽園(笑)ですので、インフレとデフレが非対称の失楽園を描き出していただければ。

関連してですが、かつてもっとお手軽なスクリプトがいちごで紹介されていましたので、サルヴェージさせていただきます。変数は3つ、グロス政府債務(初期値)、プライマリーバランス、金利と(名目)GDP成長率の差です。

<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd">
<title>政府債務簡易シミュレータ</title>
<script type="text/javascript">

var a = 0.7; //対GDPの債務総額の初期値。
var b = -0.01; //財政赤字の対GDP比。この例は-1%。つまり1%の黒字。
var c = 0.02; //公債利子率 - 名目成長率。この例は経済成長率<利子率で、差は2%。

for (var i = 0; i < 10; i++) { //GDP算出の範囲。この場合は10年。
document.write(a);
document.write("<br />");

a = b + (1 + c) * a; //年ごとの債務総額の漸化式。

}

</script>

#上記"<!DOCTYPE"で始まる行から"</script>"までをテキストファイルにコピペし、適当な名前のhtmlドキュメントとして保存し、Javascript対応ブラウザでそのファイルを開けていただければiの期間内のグロス政府債務(対GDP比)が表示されます。

このスクリプトではa, b, c, iを変えてあれこれ試してみることができるのですが、とりわけbを変えて試すことにより得られるインプリケイションは次のようなものです。

要するにだ、

  • 債務総額が発散するかどうかは、ドーマー条件だけで判定できる。
  • しかし、それが+∞か−∞かは、プライマリ・バランスの値や初期の債務総額がわからないと判別できないんである。
  • プライマリ・バランスが赤字なら、発散するなら必ず+∞です。
  • プライマリ・バランスが黒字なら、発散の方向はどちらの可能性もある。

以上、>>281-284をそのように読み替えてください。よろしく。

「そしてデフレが終わる時。」スレ・レス298

金利と成長率の差は、符号がどちらにしろ非常に小さいことは間違いない。今なら金利2%、成長率ゼロでプラス2%と置くのはそれほど非現実的ではない。つまり僅かでもPBを黒字にできれば、債務GDP比率の不安定定常解は大きなプラスを取ることになる。PB黒字比率1%なら定常債務GDP比率は50%、2%なら100%ということだから。で、初期値の債務GDP比率を、この定常解が上回れば、不安定性故に債務GDP比率は指数級数的に減少する局面に移行する可能性がある。

で、現在の債務GDP比率が130%だとすると、現在のデフレ均衡のままだと仮定すれば2.6%以上のPB黒字比率を実現すれば債務の指数級数的縮小過程に入る事になる。現在のPB赤字比率は6%だから、8.6%の引き上げに相当。要するに、50兆円弱(500x8.6%)の恒久増税(要するに今の税収を倍増する水準)ないし歳出削減(利払い控除後の歳出の大部分に相当)ができれば、デフレ下で財政再建は可能ということになる。

結論は、「デフレ下でもPB黒字化で財政再建は可能」という主張は「税率100%引き上げか、通常の政府歳出全額カット。あるいはその間のどこか」を含意していることになる。

「そしてデフレが終わる時。」スレ・レス335

本日のツッコミ(全18件) [ツッコミを入れる]

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bewaad [>BUNTENさん 政府支出の増減がGDPに中立という形になってますので・・・。]

平家 [>cloudyさん お役に立てて嬉しいです。]

bewaad [>平家さん こちらも今後ともよろしくお願いいたします。]


2005-11-21

[law]民法の法形式

民法というのは中央省庁等改革関係法施行法という邪道の法律(笑)を除けば最大の法律で全5編からなっているのですが、この各編は総則・物権・債権という前3編と親族・相続という後2編にグルーピングされます。で、それらは同じ法律か違う法律かという点について、AKITさんが次のような考察をされています。

ここで私はふと疑問に思いました。現代語化(平成16年改正)前の民法は、法形式的には「民法第一編第二編第三編」(明治29年法律89号)と「民法第四編第五編」(明治31年法律9号)の二つに分かれていて、昭和22年改正は後者の全面改正として理解されるべきなのではないか?(後略)

翻って考えてみるに、法律番号では明示されていませんが、昭和22年改正における「民法」も明治29年法律89号が明治31年法律9号によって第四編第五編の題目、目次、条文が「付された」ものを指していると解釈することができます。もっとも、明治31年法律9号はそのような立法形式を明示には採用していません。現状において民法という法律は明治29年法律89号のみを指すものと考えても差し支えないと思われますが、それが明治31年法律9号によって明治31年段階から第四編第五編が「付された」ものと考えるか(その場合、平成16年法律147号は既に統合されていることを「確認」したにとどまることになります。)、あるいは、中田教授の説のように平成16年改正によっていわば創設的に両法律は統合されたと考えるかは、議論の余地は残るのではないか、というのが私のさしあたりの暫定的見解です。

「「民法」の法形式」(@唯々諾々のもうぐだぐだ11/18付)

霞が関というのはこういう中身にまったく関係のない形式を考える場所でもあります(笑。といいますかこのようなことを大真面目に考えるのはこの世で法制局しかなく、霞が関の諸官庁では法制局を通すためにあれこれ頭を悩ませる結果、知らなくてもいいような知識が溜まるわけで)が、そのストックに照らせば次のような整理しか考えられません。

  • 民法とは明治29年法律第89号
  • 明治31年法律第9号による民法第四編第五編の追加は明治29年法律第89号である民法の一部改正
  • これが明確な形で表されているのは民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)

というのも、民法の一部を改正する法律(昭和22年法律第222号)では、(AKITさんもご指摘ですが)「民法の一部を次のように改正する」として前3編と後2編を区別せずに「民法」として取り扱っていますから、ここでいう民法とは全5編を包括する題名として取り扱われています。今の法制局審査であれば間違いなく「民法」は「民法(明治29年法律第89号)」と書かざるを得ず、だから平成16年の現代語化法でもそうなのですが、では昭和22年改正と平成16年改正が違うかといえば同じなのです。法律番号の有無が違うではないかということになりますが、これはかつてはおおらかだったからつけなくても許されていて、今はおおらかでなくなったので必ず付けさせられるのです。いや、冗談ではなく本当の話。

何でそのようなことが言えるかといえば、例えば民法の改正に伴う関係法律の整理に関する法律(昭和22年法律第223号)を見ても、そこで改正されている法律も原則として法律番号は付されていないので、民法が特別な取扱いというわけではなく題名を挙げた後に続く(一部改正対象の)条文はすべて同一の法律の条文ということになります。昭和22年の段階では単に法律名を書けば特定としては足り法律番号を引いての特定は不要だったというのが慣習で、単に民法と呼べば第1編から第5編までの全体を指すという解釈は確立していたということになります。

ではなぜそもそもこの整理に紛れが生じていたかですが、法制局で口伝にて形成された体系だからというのが実際のところ(笑)でしょうけれど、AKITさんが引用する中田先生の次のテキスト(要すれば孫引き)が参考になると思います。

前3編と後2編が別の法律によって成立したとはいえ、後2編は、当初から「第四編」「第七百二十五条」から始まる形で成立しているし、民法施行法(1898〔明治31〕年法律第11号)も、1つの法律の中で、「第一章通則」の後、「第二章総則ニ関スル規定」から「第六章相続ニ関スル規定」までを一連のものとして扱っているのだから、立法技術の形式はともかくとして、実質的には1896(明治29)年法律第89号を1898(明治31)年法律第9号が追加的に変更したと理解することもできる。今回の改正の形式は、このような理解に立つものと考えられる。

中田裕康「民法の現代語化」ジュリスト1283号(2005年2月)(via 「「民法」の法形式」(@唯々諾々のもうぐだぐだ11/18付))(webmaster注:強調はwebmasterによります)

編を追加するような大改正であっても、一部改正である以上法律番号は必ず改正される法律のものを引き、改正する法律のものを引くわけではありません(で、そうであっても一部改正法において改正される部分は一部改正法により成立するものです)。例外は全部改正のみです(この場合は改正する法律の法律番号で以後特定されることとなります)。後2編が「別の法律によって成立した」としても、その「別の法律」が一部改正法である以上(一部改正かどうかはわからないではないか、というなら全部改正法でない以上)は改正される側の法律番号で特定されることとなるので、あくまで「明治29年法律第89号」というのが第1編から第5編までを通じての民法の法律番号ということになります。

#それに合理的根拠はありません。道路を右側通行とするか左側通行とするかのようなもので、統一さえされていればどちらでもいいのですが、日本ではそうなっているとしか。

以下は関連する話題ですが、まず中田先生の従来の題目である「民法第一編第二編第三編」及び「民法第四編第五編」というのは、明治29年法律第89号の「民法第一編第二編第三編別冊ノ通定ム」及び明治31年法律第9号の「民法第四編第五編別冊ノ通之ヲ定ム」を受けてのことかと存じますが、この両法においてこれらは本則と解すべきで、題目(題名のこととして以下議論を続けます)と解すべきではありません。昔の慣習ということで特殊な構成ですが、これらはあえて言えば民法制定法の本則のようなもので、民法本体はあくまで別冊部分になります。

双方の別冊を見たことはないのですが、現代語化法の新旧対照表から察する限り、それらには「民法」と冒頭にあり、その後それぞれの本則の前に「民法」とあるのみで、「民法第一編第二編第三編」や「民法第四編第五編」という記載はないようです。つまりあくまで「民法」が題名で、「民法第一編第二編第三編」や「民法第四編第五編」は題名ではありません。

#AKITさんも別途明治31年法律第9号について附則等は一切なく、表題と施行期日、旧民法の関連する編の廃止、目次、条文を内容としていますと書かれていますが、「表題」は本則(つまりこの「民法制定法」部分には題名はありません)、「施行期日」「旧民法の関連する編の廃止」が附則、「目次」「条文」は別冊中の本則の規定により効力を有する部分(つまり民法)であって法律本体のそれらではありません。

また、現代語化法の「題名及び目次(明治三十一年法律第九号において付されたものを含む。)を削る。」について、明治29年法律89号に明治31年法律9号により題目及び目次(条文もであろう)が「付された」という扱いになっていてとAKITさんは書かれていますが、ここで「付されたものを含む」とあるのは、本来題名は冒頭に一度だけ書かれ、目次はその後に続くというものなのですが、別冊形式で第4編・第5編を追加したが故に題名が複数回出てくる可能性が否定されていません(具体的には第4編以下の目次の前の「民法」)し、その目次の位置も特定されないのであえてそのような規定を設けざるを得なかったということになります。逆に言えば、この問題が生じないならわざわざこの規定は設けられず、かといって付されなかったということにはならない(かえってきちんと付されたが故に言及する必要がなくなる)ということになります。

#実際に改正法の条文を書く人間以外が知る必要のないトリビアですが、題名や目次(あと見出しもそうです)は付すものである一方、条文は加えるものだったりします。何故かは知りません(笑)。

[comic]現在官僚系もふ・第32話

来週は署名が集まって、という展開を大いに予感させるのですが、署名勝負なら「利権」側が同じことしてきたらどうするんでしょう。って、作中ではしないのがお約束でしょうけれど。

本日のツッコミ(全24572件) [ツッコミを入れる]

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lnykm [Il existe &eacute;videmment d。ヌautres traitements plus ou ..]


2005-11-22

[BOJ]11/18の福井日銀総裁記者会見

政府・与党関係者の牽制を受けてか、いつにも増してヒートアップしております。そうした答えを引き出した記者の方々に感謝しつつ。

(問) 速水総裁の時、2000年8月にゼロ金利政策を解除し、その後ほぼ半年後の2001年3月に方向転換した。この政策変更は外部からは失敗だったとの声もあるが、総裁はこの政策変更をどのように判断しているか。また、次に政策変更される場合、この経験をどのように活かすのか。

(答) 当時の政策について、それが成功だったか失敗だったかということは私の立場からはコメントしない。ただ、金融政策というのは、その時々に与えられた条件、そして将来にわたって予見し得る諸条件をすべて点検しながら、最も適切と思えるところを、機動的に一番良いタイミングで実施していくということだと思う。2000年の時も、そのような観点からそのような政策がとられたと理解している。

今回と前回とでは、与えられた条件が全然違うと思うし、予想する将来の姿も違っている。従って、過去の材料を下敷きにしながら私どもが判断するということではなく、現在私どもが直面している材料、そしてこれから予見される材料の中で、最も適切な政策判断をする。そしてタイミングが一番大事である。経済がグローバル化され、市場もグローバルな中で一体として動いているもとでは、政策運営のタイミングにズレがあるとその皺が将来むしろ増幅して残り、かえって悪い結果を呼ぶということもあるので、ライト・タイミングできちんとやっていきたいというのが基本的な考えである。もちろん、将来にわたって予見し得ない様々なショックが起こり得る可能性があるということは、すべての国の中央銀行が十分念頭に置きながら、そういう意味ではある程度リスクをとりながら政策運営をやっていかざるを得ない。予見し得ないことまですべて織り込もうとして、手をこまねいてタイミングを失するわけにはいかない。これは金融政策の一番難しいところだ。予期せざるショックが仮に起こった場合にも、ショックを吸収するだけの粘着性というか、そういったものを備えているかを十分計算に入れながらやっていくということである。

(後略)

コメントしないといいつつ、ゼロ金利解除は政策判断に問題はなく単に運が悪かっただけということを事実上言っているわけで、自身の退任会見でゼロ金利復活をITバブル崩壊(それも主としてアメリカのそれ)のせいにしていた速水前総裁と同じ考えだということですね。じゃあ議決延期請求権を行使した政府の見通しは間違っていたとでも? ま、ある意味金融政策の透明性を確保する発言ではあります。あのときと同じことをやるつもりだと。

(問) 量的緩和政策を続けることの副作用について改めて伺いたい。また、インフレ・ターゲティングについて、今の段階でどのようにお考えか伺いたい。

(答) 量的緩和政策の枠組みをいつ修正するのか、予断を持って臨んでいるわけではない。従って、なお当面量的緩和政策を堅持するということであるので、量的緩和政策のコスト、ベネフィットについてバランス・シートの計算が終わったわけではない。しかし、ごく大掴みに一般論で言えば、量的緩和政策は、経済を健全に運行していくメカニズムの中で一番大事な金利メカニズムを封殺しながら運営してきている。そのような大きな犠牲を払いながら、デフレ・スパイラルから脱却するためのかなり異例な措置であるという点を忘れずに、私どもが今後することについて、なぜそのような転換が必要かを是非正しく理解して頂きたい。従って、消費者物価指数に基づく約束が満たされたという判断に至った以降も、そのような大きな犠牲を払い続けた場合に、よりダイナミックで健全な息遣いが聞ける経済になるか、ということが問われなければならない。私どもは、皆さんにそれを問いながら、きちんと答えを出していきたいということが一番基本的なところである。

インフレ・ターゲットについては、少なくとも量的緩和政策を堅持している限りにおいては、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上になるというものを──これはインフレ・ターゲットとは言わないとは思うが──、重要な通過点という意味で厳格なターゲットとしている。そこから後、私どもがどのようなかたちで金融政策の透明性の枠組みを作っていくかということについては、今のところオープンである。将来重要な課題として検討していきたい。金利政策の領域に入った後の話としては、インフレーション・ターゲティングであれその他の手法であれ、一番重要な点は、金融政策の透明性の確保と機動的な運営が両立するような枠組みでなければならない。

金利メカニズムが働かないのは量的緩和をしているからではなくてデフレと名目金利非不制約の組み合わせゆえでしょうに。仮に量的緩和を行っていなかったとして、実質金利1%で資金調達可能な企業Aと同2%で資金調達可能な企業Bがあるとします。さて、2%のデフレ下において企業Aと企業Bの名目資金調達金利に差は生じるでしょうか?

で、ターゲットという単語に「通過点」という意味があるとは初めて知りました(笑)。英語のtargetにはそのような意味はないと思うのですが、何語でしょう(笑)?

(問) 先程、政府・与党との対話について質問があったが、官房長官はデフレ克服を再三おっしゃっている。目指す目標は日本銀行もデフレの克服であると思うが、消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になることが即デフレ克服であるのかという点で、総裁は以前も、その時点でデフレを克服したとはなかなか言い難いという趣旨の話をされていた。タイミングが大事であるならば、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比が安定的にゼロ%以上を達成した時、政府はデフレ克服と考えていないが、日本銀行はそれを条件にしたわけであるから、量的緩和政策を解除することになる。しかし、依然として政府にデフレ克服が目的であるという声があるとすれば、その溝を埋める説明の仕方はどういうものがあるのか伺いたい。

(答) 私どもも、消費者物価指数だけでデフレから脱却したかどうかを判断しようとしているわけではない。ただ、仮に消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になったと判断できる状況になったとすれば、以前の状況に比べれば、経済のデフレ的な要素は相当後退しており、消費者物価指数がプラスであり続ける限り、そうしたデフレ的要素はその後も時の経過とともにさらに薄れていく。私どもが言っていることはそういうことである。ただし、直ちにインフレを心配しなければならないという状況に一足飛びにはいかないであろう。量的緩和政策は、あくまでもデフレ・スパイラルに陥って経済が死んでしまうことを捨て身で防ぐための異例な措置であり、これには大変コストがかかっている。金利機能を封殺しているし、多くの消費者の皆さんも、ほとんど一文も預金利息を受け取れないという犠牲を払ってこの政策を支えている。消費者物価指数が安定的にゼロ%以上になると判断した時点は、そういった異例な政策を通常の政策モードに切り替えるためのひとつの通過点である。それは通過点であっても、いくらかデフレ的雰囲気は残っているかもしれない、あるいはすぐにインフレの心配を目の前にしなくていいかもしれないが、経済は連続線上で変化していくので、私どもは経済実勢に合わせて金利政策のレジームに移っても、そこは経済実態を飛び越えて引き締め政策に一挙に転ずるという、そういう意味でのタカ派では決してない。経済が緩やかなスロープで上昇し、インフレ期待についてもあまり上昇する雰囲気がないのであれば、私どもは余裕を持ってその後の金融政策に対処する、と明言しているのはそうした意味である。むしろ、あまり異例な政策を長くやりすぎて、すべての人が「もうデフレは終わった。明日からインフレが心配だ」というところまで引っ張っていくと、その後の反動は大きく、大変な混乱を起こす。これを避けようということである。

今回の会見のエッセンスがもっとも凝縮された応答です。あまりにも盛りだくさんなので以下簡潔に。

  • 消費者物価指数が安定的にゼロ以上という基準がそもそもの間違いで、ボスキンバイアス(消費者物価指数が技術的に内包するバイアスで、実際の物価の動きよりも指数が高めに出るというもの。概ね1%程度と推計されています)を考えれば安定的に1%以上は必要でしょう。
  • 「消費者物価指数がプラスであり続ける限り、そうしたデフレ的要素はその後も時の経過とともにさらに薄れていく」という根拠は何なのでしょう。風を吹かせて桶屋を儲けさせる無理をしても、消費者物価指数がインフレ率指標としてよく知られているので、それがプラスになったことがプラセボのように効くかも、といったものしかwebmasterは考え付かないのですが。
  • 金利機能の封殺云々は既述のとおりです。
  • 預金者の犠牲は福井総裁お得意のフレーズですが、インフレ率マイナス1%(GDPデフレータで見れば今はそのぐらいです)環境下でのゼロ金利とインフレ率2%環境下での1%金利なら前者が得だってことわかってます?
  • 経済実態以上に引き締めるのがタカ派とのことですが、経済実態の評価が過大ならその過大な経済実態に即した金融政策は結果においてタカ派ということになります。では経済実態の評価は、というのは後述します。
  • 「その後の反動は大きく、大変な混乱を起こす」ってのは具体的に何?

(問) 今の質問に関連して、消費者物価指数に関わる3つの条件がクリアした時は、デフレを脱却したということではないのか。

(答) それは一概に言えないと思う。どういうお考えでお尋ねになったかによるが、デフレという言葉は非常に多義的に使われる。一般物価の下落として使われる方もいれば、資産価格の下落にウエイトを置いて考えておられる方、両方つき混ぜて言っておられる方、さらには経済活動の落ち込み、あるいは部門的落ち込みというところまで含めて様々な意味で用いられている方もいるので、デフレが終わったとか終わらないということを論ずること自体、どれほど意味があるのかどうかということである。それよりは、経済の回復の持続性、そして物価の趨勢がどちらに向かっているかについて、判断をシェアできる人が多くなるのが一番大事なことであると思う。定義論争はデフレの場合に一番危険なことではないかと思う。皆さんが見ておられる側面とか、個々の方々が思っておられる利害の側面が違っていると思うので、デフレ脱却宣言は多分政府においてもできないのではないかと思う。

定義論争も何も、一般物価の下落以外は誤用でしょうに。じゃあお聞きしますが、インフレの定義は何?

(問) そうすると、量的緩和政策というのはデフレ・スパイラル対策であって、デフレ対策ではないということになるのか。

(答) デフレ対策である。それは妙な質問であると思うが、デフレ・スパイラルを免れるように努力するというのがデフレ対策そのものであるし、デフレ・スパイラルに陥るのを防ぐことにある程度成功して、安定的な拡大に戻っていく過程すべてがデフレ脱却のプロセスである。その間、量的緩和政策が効果を発揮し続ける限り、それはデフレ対策と言って良いと思う。

妙な質問も何も、2つ前の質問への回答において「量的緩和政策は、あくまでもデフレ・スパイラルに陥って経済が死んでしまうことを捨て身で防ぐための異例な措置」と評したのは福井総裁ご自身では? どうも福井総裁、いわゆるヴィクトリアン・デフレ的なデフレ(物価下落と不完全雇用経済成長の同時達成)はデフレでないとお考えとしか・・・。

(問) 先行きの景気と物価について伺いたい。2003年度、2004年度の実質成長率が2%となったのに続き、2005年度、2006年度もほぼ2%の成長率が予想され、また、足許の完全失業率の水準も相当に低い。持続性のある息の長い景気回復といった場合、目先の経済成長率に対する総裁のイメージを伺いたい。

また、2年続けて2%成長を遂げているが、日銀は日本の潜在成長率を1%近辺と述べている。すなわち、潜在成長率を1%超える成長を2年続けているので、それなりに需給ギャップは縮小していると思われるにも拘わらず、物価が上昇していない。こうした背景には、生産性の上昇に伴って潜在成長率が上昇している可能性がある。潜在成長率上昇の結果、需給ギャップの縮小が緩やかになる中で、消費者物価指数が0.5%を超えて1%に向けてどんどん上昇するということはなかなか想像し難いのではないか。

(答) 大変重要な質問である。今後の日本経済の安定的な姿を最終的にどのように認識できるのかということにつながる重要な問題である。とりあえず、この先の当面の見通しも、少なくとも1.5%を上回る成長とみており、民間の予測でも2%に足をかけている。これは潜在成長能力を少し上回っている可能性が非常に高く、需給ギャップがかなり縮んで来て、今後も縮小し続ける。これは少なくとも明確に言えることであると思う。需給面から物価の基調が変わる。

しかし、もう一つは生産性がどれくらい上昇しつつあるか、従って日本経済の潜在成長能力がどの程度のスピードで上方修正されつつあるのかが大事である。ここのところは、どこの国でも前もって読みとれないところであるが、生産性が上がり、潜在成長能力が少しずつ上方に向いているとすれば、それだけ成長を嵩上げする力が増している。その一方で生産性が上がって潜在成長能力が上がり、潜在成長能力通りの成長が続いていく過程にあっては、需要が増えてもインフレにはなりにくい面があると思われる。需給ギャップが縮まることと、生産性が上がって物価上昇圧力を吸収する余地が広がることの両面から考えていかなければならない。今後はその点について究明努力をしっかりやっていかなければならない。これは日本銀行だけでなく、能力のあるシンクタンクの方々や経済分析家に、少しエネルギーを割いて頂くと私どもとしても大変助かるところである。

(後略)

というわけで先ほど後述としていた経済実態の評価です。日銀は本来1%程度の成長しか見込めない日本経済がそれを1%ポイント程度上回る成長が続いていると評価しているわけで、つまりは相当背伸びした状態であると見ているわけです。ではその評価が妥当かどうか、以前にも取り上げた2003年のESRI(内閣府の研究所)でのパネルディスカッションから吉川先生(東大教授・経済財政諮問会議委員)のコメントを引きます。

最後に、一番大事なことですが、ジョルゲンソン教授のチームの発表、それから、深尾・宮川両教授の発表、いずれにおいても、これから10年ほどの日本の潜在成長率は2%以上となっている。ジョルゲンソン教授ですと2.4%、深尾・宮川教授ですと、幅がありますが、真ん中をとりますと2%ぐらいの成長率ということであります。これは政府が言っているよりも、オプティミスティックかもしれません。私自身は、個人的には、今日、発表されたものに近い考えを持っています。最後に、このことの持つ意味合い、なぜ2%超の潜在成長率が重要であるか。この点についてコメントしたいと思います。

(略)

第2点は、2%を超える成長力が日本経済にはポテンシャルとして十分あるという点は、実は経済学者の間では、かなり共有されている見方だろうと思います。しかしながら、一般の日本の経済社会、これはマスコミも含めてですが、これは、一番初めに牛嶋次長がちょっと紹介されたように、ゼロ%成長といいますか、2%成長を語るということは無責任な楽観論であるという雰囲気があると思います。そういう意味でも、今日、発表された方々のような、いわばしっかりとした経済学的な分析に基づく結果として、日本経済には2%程度の成長能力があるということを示すということは大変重要なことだと思います。

2003年11月10日開催 国際共同研究フォーラム『技術革新、構造改革の効果と我が国の潜在成長力の展望』議事録, pp26,27

「能力のあるシンクタンクの方々や経済分析家に、少しエネルギーを割いて頂くと私どもとしても大変助かる」などと言うのはずいぶんと失礼な話だということに尽きるのですが(とっくにエネルギーは割いているのですから。ちなみにこのパネルディスカッションには西村審議委員が東大教授の肩書きでご参加ですから(当時は就任前)、まずはじっくり話を聞かれてはいかがかと)、とまれ現在の経済成長は楽観的に見ても潜在成長率程度、平均的にはまだ潜在成長を達成していないというのが「経済分析家」(ってのも妙な名詞ですが)の観測であるわけです。

この点、馬車馬さんは日銀があまりにも低く潜在成長率を見込んでいるのでインフレリスクを過大評価している可能性があるとし、bank.of.japanさんにいたっては金融を引締めたいがゆえに潜在成長率を逆算した疑いがあるのではとまでご指摘です。これらのご指摘を考えすぎだとはwebmasterはまったく思いません。

#馬車馬さんのエントリでは当サイトについての言及がありますので、それについては明日にでもお答えしたいと考えています。

(問) 先程から量的緩和政策の解除条件を満たすことと、デフレ脱却の判断に関して、いろいろな所見を伺ったが、デフレ脱却の判断と量的緩和政策の解除の条件が満たされることが、直接リンクしないという見解は、政策委員の方々の間でコンセンサスとしてあるのか。さらには、例えば、デフレ脱却を判断するタイミングと量的緩和政策の解除条件が満たされることが、同じ政策決定会合ではなくとも、1、2か月程度の時差をもって認められるとお考えか。あるいは、直接的な関連の判断が難しいことや、経済の回復の度合いによっては、半年から1年程度も時差があり得るのか、見解を伺いたい。

(答) これは、答えれば答えるほど危険な質問だと直感した。私は消費者物価指数の判断とデフレ脱却の判断を切り離すなどということを明確に申し上げていない。もしそのように受け取っている方は、メモから消して頂きたい。消費者物価指数が安定的にプラスになるということは、経済のデフレ的色彩は相当薄まってくるという判断と表裏一体になっている。デフレは見る人によって非常に広い概念なので、私どもは国民一般の皆様と一番共有し得る消費者物価指数を、異例な金融政策の解除の基準として持たせて頂いたと言っている。この基準を満たすということは、日本経済がデフレ脱却の方向に着実に進んでいることを示しており、その確信のもとに判断することに間違いない。切り離すというフレーズは、非常に危険なフレーズで私はそういうことを一切言った覚えはないので、メモからこれを是非消して頂きたい。

そして、先程申し上げた通り、デフレは人によって見方が違うので、全員一致して「ようやくデフレが終わりました」と判断した時には、もうインフレになっているかもしれない。それくらい、この判断が揃わない事項であることを申し上げた。従って、異例な政策は、皆さんと共有し得るある明確な時点に判断を揃えて解除する。しかし、経済全体の脆弱性がどれぐらい払拭されたか、あるいはどれくらいショックに対して強さが備わってきたかという点については、経済は連続的に変化していくので、日本経済があらゆるショックに対して急に強くなるとは私どもは想定していない。従って、私どもは金融政策の面から、余裕をもってできる限り緩和的な対応を引き続き行って、経済の持続的な回復を更に促し、構造改革も金利メカニズムを活用しながらより自然な姿で促進していってもらいたい。これが私どもの基本的な思想である。デフレ脱却判断と消費者物価指数とを切り離して乱暴に量的緩和政策を解除するというようなメモを一切消して頂きたい。

「デフレ脱却判断と消費者物価指数とを切り離して乱暴に量的緩和政策を解除する」という一節の意味がこれほど食い違っているのはもはやなんと考えればよいのやら。普通は「消費者物価指数がゼロを上回ったとしてデフレから脱却したとは言いがたい状況なのに量的緩和を解除する」ことを乱暴とすると考えるべきところ、「消費者物価指数がゼロを上回ったのにデフレから脱却したとは言いがたいことを盾にとってしばらくたってから量的緩和を解除する」ことを乱暴だとは・・・。

といいますか、明らかにここで記者は好意的にこれまでの回答を受け止めて‐すなわち、解除3条件を満たしたとして消費者物価指数がプラスになったらただちに解除するのではないかとの危惧がある中、先ほどの定義問答などを聞いてそんな機械的なことを日銀はしないと解して‐、そうはいっても金融政策決定会合は合議体ですから、そのような福井総裁・プロパー職員の慎重な判断を無視した審議委員が急進的な決定をするのではないかと思い、審議委員の首に鈴は付けたのかという趣旨で質問をしているわけです。

ところが痛い点を突かれると本音が零れ落ちることはよくあることですが、福井総裁はこの質問をまったく逆に自分や日銀に対して悪意あるものと理解して本音が出てしまったように見えます。つまり、消費者物価指数がプラスになっても解除は遅らせるんでしょうな、と悪意を持って言われたと勘違いをして(善意か悪意かを問わなければ勘違いではないのですが)、そんなことするものかと突っぱねてしまったのではないでしょうか。

(問) 政府がデフレ脱却が最優先であり、これが政府と日銀の共通目標であると言い続ける以上、政策に対するスタンスで政府と日銀のズレは続く危険があるということか。

(答) 基本的なズレは今もないし、将来にわたってもないのではないかと思う。デフレ脱却が最優先というのは言葉を変えて言えば、構造改革をさらに進めながら経済の足腰をさらに強くしてショックに対してより強い経済にしていくということであり、表現をフォワード・ルッキングに変えればそうなると思う。それは今後とも日本銀行の政策の目標とするところである。だから、基本的には相違にならない。ただ、定義論争であれこれとデフレの定義は何かということになると、それは皆さんが政府と議論をされても多分色々なズレが生じると思う。なぜならば、デフレというのは本来それほど明確な定義があるものではないからである。

「デフレ脱却が最優先というのは言葉を変えて言えば、構造改革をさらに進めながら経済の足腰をさらに強くしてショックに対してより強い経済にしていくということであり、表現をフォワード・ルッキングに変えればそうなると思う」というのがどういう趣旨なのか、webmasterにはまったくわけがわからないのですが、どなたか教えてくださいませんでしょうか・・・。

[BOJ]量的緩和解除を正当化する主張

経済同友会が「量的緩和政策からの転換に向けて」と題したレポートを21日に公表しました。結局は副作用が大きいからやめろということなのですが、その副作用とやらは次のとおりです。

  1. 信用スプレッドが圧縮され信用力による金利格差がつかないこと
  2. 預金金利収入が抑制されていること
  3. 国債利払い等が少なくてすむので財政健全化努力が十分になされないおそれがあること
  4. 資産価格が急騰するおそれがあること
  5. 今後インフレになった場合に金融政策の転換が急激なものとなり混乱をまねくおそれがあること

1と2は上のエントリで論じたので再論はしません。3はじゃあ不十分にならないようきちんとやればよいでしょうとしか。というか利払いの多寡がっていうのはいかにも企業経営的ですが、企業と国家は徴税権や通貨発行権の有無という違いがあって同列に論じるのは間違いだというのに。4は資産価格を気にして金融政策をみだりに変更すべからずというのがバブルの生成・崩壊で得られた教訓じゃないのと小一時間。5は抑制しなければならないほどの水準のインフレになるリスクをどれだけ見込むかですが、上のエントリにあるように潜在成長率のまっとうな推計をベースにすればそれほどおそれなければならないものではありません。

輸出企業や寡占企業にとってはデフレによる内需収縮はそれほどの害がなく、相対的な競争条件変化を考えればむしろ好ましい側面があるので、意図的にデフレを継続させようとしてこのような提言をしているならまだ救われますが(少なくともベースに経済学があるわけで)、多分そうではなくって、単に清算主義的な心情から来ているだけなんですよねぇ・・・。

[economy]It's Baaack? The Psychological Law and the Return of the Ratchet and Demonstration Effects?

先日紹介させていただいたkaikajiさんによるアカロフ講義録シリーズですが、その2として恒常所得仮説に対する反論を読んで思いついたのが表題です。

#以下、学部レベル(それも教養課程)の経済学の話です。

そもそも恒常所得仮説って何よということですが、問題意識としては長期と短期で消費と所得の関係が違うのはなぜかということです。長期ではほぼ消費と所得は大差ない(=所得のほとんどを消費する)のですが、短期では所得がゼロでも一定の消費がある一方で所得が倍になっても消費は倍にはなりません。この違いはどこからくるのか、それを説明する仮説があれこれ議論されてきたわけですが、俗に次の三大仮説が存在します。

  • 相対所得仮説
  • ライフサイクル仮説
  • 恒常所得仮説

相対所得仮説というのは、所得が減ってもなかなか消費水準は下げられない理由として過去の自分の所得に応じた消費や他人の消費を考えます。いい食材の味を知ったら安いものでは満足できないとかいうのが前者で、武士は食わねど高楊枝と周りの目を気にして羽振りがよかった頃の消費水準を下げることができないというのが後者です。

ライフサイクル仮説というのは、一生涯を通じての消費と所得が見合うようにするため行動するという仮説で、人生の途中では仮に所得が増えても引退後の消費に回すことを考えてその一部を貯蓄しておこうと思い、他方引退してからは所得がなくなってなお貯蓄を取り崩して消費するので、長期(一生涯)では消費と所得が大差なくなり、他方で短期(現役中・引退後)は所得の変化ほどには消費が変化しないということになります。

恒常所得仮説というのは、将来にわたって安定的に継続すると予想される所得(=恒常所得)と消費が見合うように行動するという仮説で、一時的に所得が増減してもそれは恒常所得の増減ではないのでそれほど消費には影響を与えず、その増減が一定期間継続してこれは恒常所得の変化ではないかと思うようになって本格的に消費を見直すので長期と短期で差が出るということになります。

で表題ですが、ラチェット効果とデモンストレイション効果というのは、相対所得仮説のそれぞれ過去との対比、他人との対比を気にして消費が変わる部分を指します。相対所得仮説はミクロ的基礎付けがないということでどちらかというと傍流の扱いを受けていたのですが、アカロフは"psychological law"とやらを持ち出して恒常所得仮説ではなく相対所得仮説(と明記されていませんが、三大仮説で言えばこれが一番近いものといえます)の復権を唱えます。アカロフとクルーグマンが実際にどのような関係にあるかは知らないのですが、思いついてしまったのでつい(笑)。

#当サイトの読者には解説不要の方も多いでしょうけれど、リフレ政策の端緒となったクルーグマンの論文は"It's Baaack! Japan's slump and the Return of the Liquidity Trap"といいます。以上、無粋な蛇足でした。

本日のツッコミ(全135件) [ツッコミを入れる]

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東芝(TOSHIBA)43V型 地上・BS・110度CSチューナー内蔵 フルハイビジョン液晶テレビ REGZA 43J10 [そこにちょっとオフトピックの私がしたこれは|場合にはブログはWYSIWYGエディタを使用する場合は疑問に知りたいか手..]

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2005-11-23

[economy]構造改革の王道

昨日申し上げたように、馬車馬さんのwebmasterについての言及を受けて考え方を述べさせていただきます。テーマは構造改革。

ただし、これについては批判もある。Bewaad氏はここ数ヶ月小泉内閣の構造改革に痛烈な批判を加えているのだが、その理由として「改革なくして景気回復なし」は誤りであること、構造改革は不景気を悪化させてしまうので今行うべきではないこと、景気回復によって「構造問題」の一部は解決されてしまうこと等が挙げられている。

これらの主張には理解できるものもある。上で書いたとおり、潜在生産量は景気変動を無視した、「頑張れば達成できる生産量」に過ぎないのだから、これが増えたところで実際の生産量が増えるわけではない。その意味では、「改革なくして景気回復なし」というフレーズは確かに間違っている。ただし、「不景気だから構造改革は先送りすべし」という主張には納得するわけには行かない。もし構造改革の結果不景気が長引いたというのなら、その分だけ景気対策を行えばよいのだ。つまり、構造改革の結果不景気になったとしても、それは構造改革が悪いのではなく、景気対策を行わないのがいけないのだ。この2つは明確に分けて考えなければならない(注4)。

小泉内閣が景気対策を軽視しているのは明らかな事実であり、その点は大いに批判されて良いと思う。しかし、景気対策と構造改革は単純な二択問題ではないのだから、これをもって構造改革批判に用いるのは筋が違うのではないだろうか。構造改革が批判されるのは、それが生産性の向上に結びつかない「構造改悪」であった場合だけであり、それは結局個々の構造改革の案件について地道に議論していくより他に方法がない。大上段に振りかぶって「不景気なのだから構造改革は良くない」という十把一絡げな議論は粗っぽ過ぎるように思われるのだが。

注4:この二分法にはひとつ問題がある。構造改革の中には財政改革があり、その中には財政赤字の削減というテーマがあるため、これを実行すると景気対策は実行できなくなってしまう。筆者はとりあえず財政赤字の削減だけは当面あきらめる、という方法でこの矛盾を回避すべきだと思っているが、Bewaad氏はもともと政府支出の拡大(ないしは減税)に消極的な立場なので、この点は問題にならないはずだ。

「日本の「潜在力」と構造改革」(@マーケットの馬車馬11/13付)

「不景気だから構造改革は先送りすべし」とは主張していません、以上、というのがもっとも簡単なお答えになってしまうのですが、それだけではなんなのでもう少し丁寧に論じてみます。

まず「ここ数ヶ月小泉内閣の構造改革に痛烈な批判を加えている」(のはここ数ヶ月に限った話ではないと思うのですが(笑))理由の最大のものは、馬車馬さんのお言葉を借りるなら「構造改革が批判されるのは、それが生産性の向上に結びつかない「構造改悪」であった場合」だからで、例えば郵政民営化についても、「個々の構造改革の案件について地道に議論」させていただいたつもりです。

そうは言っても先送り云々と解される可能性のあることは繰り返し申し上げていて、それは「景気回復を最優先させよ」ということです。政治リソースの有限性故に景気回復を最優先させれば構造改革に手が回らなくなるというなら、結果として先送りになっても仕方がないでしょう。そこはプライオリティの問題で、可能であるなら両方やることに何ら異存はありません。

#ここ数十年、とりわけ最近の10年ほどで着々と政府のコミットメントは相対的に減少しているわけで、その路線を粛々と進めていくことには何の問題もないでしょう。

ただ、構造改革=潜在成長力を引上げる施策といっても、具体的に何をどうするかは決して簡単には見出せません。というのも、生産性がなぜ停滞したの? どうすれば回復するの? 答えはどっちも同じで、「わっかりませーん」なのだ(クルーグマン「クルーグマン教授の経済入門」p34)ということに尽きるのですが、これを丁寧に論じた稲葉先生のテキストをご自身がサルヴェージされました(当サイトの読者層とはかぶっているでしょうから皆様お読みかと察しますが、もしリンク先の「論争」をまだご覧になっていないというならぜひ)ので引用させていただきます。

生産性のメカニズムは実のところ経済学にとっては解明の対象と言うよりは議論の前提である、という印象はかつて労働問題を学んできた私自身がかねてから抱いていたものである。

たとえばこのことは、現代マクロ経済学の主潮流となった内生的成長理論には明確に当てはまる。内生的成長理論はかつての経済成長の理論モデルでは外生変数、モデルを作る際に前提として与えられていた技術進歩、生産性上昇を、モデルの中で決定されてくる内生変数として取り扱うところにポイントがあるわけだが、それにしたって、やれ、規模の経済がはたらいて(要するに、たくさん作れば作るほど単価が安くなって)だとか、人的資本の蓄積によって(仕事に慣れたり訓練を受けたりして労働者の練度が上がって)とか、知識資本の蓄積によって(新技術の開発がうまくいって)とか、いった常識の範囲に属することを、きちんと数理モデルにできるようになった、というだけのことだ。数理モデルにできるということの意義はもちろん存外に大きいが、過大評価も慎まなければいけない。

重要なのは、それがその名前が素人に与えかねない印象ほどには、技術進歩、生産性上昇の具体的メカニズムを十分に理論化した、とは決して言えないということである。教育訓練投資や研究開発投資が生産性の向上をもたらすメカニズムについての数理的な記述をそれは与える。しかし実は肝心なことはほとんど何も解明されていない。いくらの金をかけた投資が、ではなく、具体的に、その金を使ってどのような研究開発とか教育訓練とか組織設計とかをすれば生産性が上がったり新製品ができたりするのか、についてはそのモデルはほとんど何も語らないのだ。

(略)

クルーグマンは本書[『クルーグマン教授の経済入門』]では内生的成長理論について特に何も言っていないが、生産性についての経済学者のおしゃべり一般を「宴会の雑談に毛の生えたような」「しろうと社会学の爆発」と片付けている。こう言われてカッとなる経済学者は多いだろうし、それ以上に経営学者、産業社会学者は頭にくるに違いない。生産性のメカニズムこそは、マルクス経済学、(旧)制度学派経済学残党(具体的にはフランスのレギュラシオニストやアメリカのラディカルズ)、そして経営戦略論、生産管理論、労働過程論のまさに中心課題であるのだから。しかしながら「しろうと社会学」ならぬ「くろうと社会学」による生産性研究においてもなお、「生産性が上がった場合にはこのようなことが起きている」とは言えても「こうすれば生産性が上がる」とはとても言えないのが現状ではないか。

「いいかげんスレが延びたので」(@インタラクティヴ読書ノート別館の別館11/22付)

#以上の文脈では潜在成長率≒生産性向上とお考えいただいて結構です。

じゃあ結局は各論に入れば構造改革には何でも反対ということかとのご指摘もあるでしょうから、これぞなすべき構造改革と言える例を挙げてみましょう。それは食のドメスティック・バイアスの解消です。典型的には食料安全保障論で、主として一定の自給率を確保しなければという量的な観点とBSE問題に当たって顕在化した質的な観点がありますが、つまりは国内で食料生産を行うことには意義があるという考えのことです。

先日紹介した伊藤・パトリック・ワインシュタイン「ポスト平成不況の日本経済」中の浦田論文にもあるように、FTAの締結を通じた自由貿易の拡大は確実に経済成長に寄与し、かつ、その障害になっているのが農業問題であるのは明らかです。ここでいう農業問題とは、一見農業者団体に代表される生産者側のエゴと見られがちですがその背景にあるのは上記のドメスティック・バイアスで、農業保護のやり方についての批判は多々あれど、一定の農業保護ないし産業政策的コミットメントを行うことそのものは一般には是認されています。

単に農業者団体等を抵抗勢力扱いするのではなく、ドメスティック・バイアスの解消を通じてFTAの積極的活用を図ることができれば、郵政民営化やら政府系金融機関の民営化やら三位一体改革やら財政赤字削減などよりもよほど日本経済にとって効果において高いと推測され、しかも効果が実際に発現するであろう蓋然性も極めて高いのは間違いありません。直ちに実現すべし!

[economy][government]構造改革の邪道 その1

奥田経団連会長、値下がり防止策「業界で検討を」(NIKKEI NET)

日本経団連の奥田碩会長は21日の記者会見で、三洋電機やパイオニアの経営が悪化していることに関連して「値引きをしないような方策を業界全体で考えないとマージンを取れない」と述べ、デジタル家電などの値下がり防止策を家電業界として検討する必要があるとの認識を示した。

奥田氏は「販売価格を大手の小売業者にコントロールされており、新しい製品を出してもあっという間に値段が下がる」と指摘。家電メーカーが製品の価格政策を協議すれば談合と受け取られかねないが、奥田氏は「構造的な問題を皆が意識をしないといけない。(価格に関する)具体的な話をしなかったらよいのではないか」と述べた・・・

・・・さて、「(価格に関する)具体的な話をしなかったらよいのではないか」・・・というのは、もちろん、そんなことはありません。価格を維持するためには、何らかの形でアウトプットを制限しないといけないわけですが、販売数量の制限や地域分割も典型的なカルテルですし、川下業者に対して共同で取引拒絶するのもアウト・・・というよりも、「業界としての値下がり防止策」をさせないのが、独占禁止法の最大の目的といっても過言ではないので、この取組を許してしまうのは、独占禁止法の自己否定みたいなもの。

「「値下がり防止策」の「業界としての検討」の先にあるもの」(@ふぉーりん・あとにーの憂鬱11/21付)

さて、先日取り上げた成田空港談合や道路公団談合などをさんざん指弾したメディアその他の方々におかれては、同様にこのカルテル必要論を難じていただきたいもので。というかここでは市場競争が「構造的な問題」とされ、カルテルにより構造改革すべしと言っているに等しいわけで、そういう人間が経済財政諮問会議で構造改革を論じているのは喜劇ですか、悲劇ですか?

ちなみに紹介したエントリにおいて、47thさんは次のようにお書きです。

結局、アメリカを見ていても、競争を激しくやった後で企業が淘汰されても、他の産業への資源の分配が促されるわけではなくて、債務だけ整理されてすぐに再生されて、同じ産業に資源が再投入されているだけのようにも見えます。それでも、長期的にみれば、資源分配の調整はなされているのかも知れませんが、果たして市場に頼った調整が他の調整に比べて常に優れているのかは、一概に言えないような気もします・・・

これについて申し上げるなら、基本はよりよい倒産法制とはどのようなものかという議論の深化が求められるのであって、言い換えれば市場を通じた調整そのものの是非ではなくその手法についての議論が求められるのではないでしょうか。市場を通じた調整が他の調整に比べて常に優れているとは言えなくても平均的には優れているわけで、そのあり方を漸進的にでも改善していくべきなのではないかとwebmasterは考えます。

[economy][government]構造改革の邪道 その2

上記エントリで紹介の47thさん引用記事には続きがあります。

また、千葉県の建築設計事務所がマンションなどの構造計算書を偽造していた問題について「規制は無くせばよいというものではない。規制緩和だけでなく、必要なら新しい規制もつくるべきだ」と述べた。建築物の安全性に関する規制の緩和をめぐっては、慎重な対応が必要との見解を示した。

日経「奥田経団連会長、値下がり防止策「業界で検討を」」

この発言そのものについては何ら異存はないわけですが、事故が起きたらこの手の言説が世を覆い、起きない限りは同趣旨のことを(とりわけ官僚が)言えば抵抗勢力扱いされる風潮こそ構造改革が必要ではないかと思うのはwebmasterだけでしょうか(笑)? 逆に言えば、普段は政府は小さければ小さいほどよいとしているような人々は、こういう時にこそ安易な行政責任の追及は責任を裏打ちする権限拡大になるから止めろと主張すべきではないでしょう。先のドメスティック・バイアスではありませんが、権限のみを叩いてそれを生み出す原因を何でもかんでも利権と信じて疑わない姿勢を自問していただきたいと切に願うわけでして。

その点、建築基準法改正時から緩和すべきでないといい、今回改めて民間への事務委託を「建築基準法改悪」と言い切っている共産党は、少なくとも一貫性については凡百の構造改革論者よりよほど見上げたものです。なお、確認を政府がやっていたら見逃さなかったとは言い切れない、ないし見逃さなかったとしてもそのコストが適正かどうかという議論はあるので、事務委託などすべきでなかったというその結論に素直に同意できるものではありませんが。

といいますか、kanryoさんがご紹介のように建築確認について自治体に賠償責任を認める裁判所の判断は既に出ているわけで(それが今回のケースに妥当するかどうかは話は別ですが)、早く裁判所を抵抗勢力扱いしてみろと。さらに悪質なのは、早々に「純然たる民・民の問題とはいえない」と権限確保に走った北側大臣ではないでしょうか。ほら、「官から民へ」の大合唱により包囲網を固め、怪しからん策動を封じないと!

本日のツッコミ(全26件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>蛇の足さん 以後気をつけたいと思います。 一応いいわけしておきますと、本件をめぐるメジャーな言論と小さな政府指向..]

馬車馬 [TB頂いていながらコメントが遅れてごめんなさい。最近どうも忙しない日々を送っている上に、週末は寝込んでおりまして。 ..]

bewaad [>馬車馬さん 日々勉強ですので昔と言うことが変わってきているかもしれませんし、あと、個別の政策への批判においてそれっ..]


2005-11-24

[economy][government]改革派官僚の「告白」

同業の立派な先達をこうした形で取り上げるのにはためらいもあるのですが、岡本全勝総務省大臣官房総務課長が次のような主張をされています。

21日の朝日新聞では、「小さな政府改革、識者3人座談会」「官から民、なぜ今」で、北城経済同友会代表幹事、加藤秀樹構想日本代表、広井良典千葉大学教授が、議論しておられました。

「官から民へ」という言葉は、水戸黄門の「葵の印籠」のように、重宝がられています。私も使っています。もっとも、ここでも議論されているように、詳細は必ずしも詰まっていません。すなわち、なぜ官から民なのか、何をもって政府の大きさを測るのか、縮小すべきは何か、残る国の役割は何かが、問題なのです。

「官から民へ」は一つのスローガンであって、政治家がしゃべる分には良い言葉です。しかし、スローガンであるので、学問的には詳しくは定義された言葉ではありません。そして、この言葉は運動方向(ベクトル)を表しているのであって、対象物や目標は明らかではありません。もっとも、だからこそスローガンとして優れているのです。何にでも使えるからです。

なぜ官から民なのかは、赤字財政でこれ以上、今の財政支出を続けられないからです。また、官が支配することで、民間の活力が削がれるからです。

何を縮小するかは、分野別に議論しなければなりません。安全安心・社会保障などは、そうは縮小はできないでしょう、すべきでないでしょう。今後縮小すべきは、公共事業や産業振興だと思います。そしてこのような縦割り分野別でなく、横割り事務別の切り口も必要です。教育や福祉であっても、民間が実施できます、しています。官がしなければならないのは、その企画と基準作りと検査でしょう。実施は、どんどん民間に委ねることができるのです。

(後略)

岡本全勝のページ(webmaster注:リンク先から消えた後は、おそらく日本の政治21(11/22付)に保存されることになると思います)

「この言葉は運動方向(ベクトル)を表しているのであって、対象物や目標は明らかではありません。もっとも、だからこそスローガンとして優れているのです。何にでも使えるからです」というのは同業者から聞きたくなかった台詞ですが、というのも方向=ヴェクトルだなんていう間違いをしているから((1,1)と(2,2)は同じ方向ですが違うヴェクトルです)、ではなくて(笑)まず結論ありきだということに他ならないからです。頑迷固陋と批判されようと、理屈を突き詰めて整理できるまでは簡単には納得しないというのが霞が関の美風だったのでは?

簡単に反論しておきますと、「赤字財政でこれ以上、今の財政支出を続けられない」「官が支配することで、民間の活力が削がれる」との根拠については、前者はブロダ&ワインシュタインで否定されていますし、後者は世界的に見て「官が支配」している程度では低い部類だと平成17年度経済財政白書(で引用するOECD研究)にて説かれています。以上、岡本課長が主張する「なぜ」は説明になっていないということで。

何をすべきか(縮小すべきとは決まっていないことは上記のとおりです)について、政府の業務運営について効率化努力を怠るべきでないのは当然ですが、公共事業は縮小すべきってこれまでどんどん縮小されてきていることは経済財政諮問会議の民間委員にも認められていることだったりします(産業振興については先のOECD指標で近似されている、つまりこれも減少していると言ってよいでしょう)。効率化努力=質の改善を怠ってはならないことと総量を減少させるべきことはイコールでないですよね?

ちなみに言及されている朝日新聞記事ですが、これまた日本は大きな政府であるという思い込みからスタートしているものでありここまでの議論で反論済みということになるのですが(部分的に見るべき主張がないというわけではありませんが)、傑作なのは国際競争に勝って、豊かな暮らしを維持したいのなら、努力しないといけないという北城経済同友会代表幹事の言です。

経済の新しいパラダイムが必要になっている。アメリカがいまでは、ほんとうの意味でのグローバル経済の一部になったからだ。アメリカは生活水準を維持するために、きびしさを増している世界市場での競争の方法を学ばなければいけない。生産性を向上させ、製品の品質を高めることが不可欠になっているのは、このためだ。高付加価値産業を主体とするものに、アメリカ経済を変えていかなければならない。将来、職を生み出すのは、高付加価値産業である。新しいグローバル経済で競争力を保つ唯一の方法は、政府と産業が新たな関係を結ぶことである(。)

ポール・クルーグマン「良い経済学 悪い経済学」, p169

これはクルーグマンが貿易に関する一般的な誤解の要約として作った文章ですが、北城代表幹事の認識まさにそのままです。といいますか、クルーグマンが批判したこうした概念が経常赤字国であるアメリカで信じ込まれがちなのはわからないでもないですが、経常黒字国である日本でなんで生じるんでしょうかねぇ・・・。

#アメリカが恒常的に経常赤字で日本が経常的に経常黒字なのは「国際競争」とやらに勝ったがためではなく、単にそれぞれの貯蓄投資差額の帰結に過ぎません。為念。

[misc]制服ふぇち

昨日取り上げた日経記事についてpotato_gnocchiさんも取り上げられていて、ふむふむと頷きながら過去エントリへのリンクをたどりさらに頷き、はてなの日記タイプなので1日に複数エントリがあってその前にも何かあるなとスクロールアップしてみたところ・・・。

それは一つには、かなりむかし、女性の看護師さんとお付き合いしていた頃、とある熱い夜に「○○くんは白衣でしたいと思わないの? 白衣の私、カワイイよ」とあどけないまなざしで質問をされたのがトラウマになっているというのもあるわけですが… 誰だよ彼女にそんなこと仕込んだ奴は…_ト ̄|○

「フェティシズムにまつわる苦い想い出」(@常夏島日記7/1付)(webmaster注:強調は原文によります)

なんでこのうらやましい限りな体験がトラウマになるのかよくわからないのですが、それもあって私はぜんぜんそういう癖がないので、制服愛好家の気持ちが全く分からないのです。(略)この辺は深く分析した本が何冊もあるだろうから、そういうのを読めば分析的には理解できるのかもしれないけど、本質的にはやっぱり理解できないなぁとのことなので、熱く語ってみようじゃありませんか、一制服愛好家の気持ちを!

#「深く分析した本」を全く読んだことはありません。語るのはあくまで「制服愛好家の気持ち」です。

制服は業務や肩書きに属するもので、それを着ている異性は一個人としてよりもその業務等に意義があるわけです。制服はそれを着ている人間がその働きに専念していることを表象し、それに反して我を出すことは一種のタブーであります。フライトアテンダントが恋人だからといってサービスを良くしたり、婦人警官が同様に交通違反を見逃したり等々は許されるべきものではなく、制服を着ている=業務等に従事している以上は個性を殺して業務等を優先させなければならないわけです。

ところが制服を着た異性と云々となった場合、このタブーを破って我に返らせたということになります。つまりは一種のナルシシズムなのですが、他の者には業務として接しているところ、自分だけにはそうした仮面をかぶり続けることができない=自分にはそれだけの魅力があるのだと満たされるというわけで。その意味では露出度を高めたコスプレは邪道であって、色気を感じさせなければさせないほどよいという逆説が成立しているのです。

#以上は制服へのフェティシズムではなく制服を着ている異性へのフェティシズムだと、書き終わってから気づいてみたり。

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2005-11-25

[economy]木村剛さんの転向?

一部で物議をかもしている(笑。田中先生trackbackありがとうございました木村剛さんのインフレターゲット導入賛成論ですが、econ-economeさんが丁寧にご紹介です。既にご指摘のある部分を除いてもっともツッコミどころだとwebmasterが思ったのは、インフレターゲットが金利引上げの口実として使えるという部分。

インフレターゲットを設定する方が金利引上げのタイミングは遅くなるでしょうに!

木村さんの想定するターゲットレンジはCPIゼロ、というのに1票。

[misc]「文が長くなりすぎることの弊害。」

ああ、あまりにも思い当たる節がありすぎて痛いです・・・。

なぜ長くなるかといえば、結局は自分の言葉に自信がないことの裏返しではないかとwebmasterは思います。相手が疑問に思うであろう部分を先回りして、こう思われるかもしれないからそれについても触れておこうとか。細部はともかく伝えたいことの根っこは伝わるはず、という自分の言葉への自信‐逆から見れば相手の受信能力への信頼でもあるのですが‐があれば、あれこれ書き連ねないと不安でたまらないといった強迫観念から自由になれるのでしょうけれど。

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bewaad [>irさん 衝撃(笑)の告白をしますと、これでもかなり意識して細切れにしているほうなのです(泣)。これで仕事上法令の..]

bewaad [>鍋象さん 真正面から物価の安定=ゼロインフレ、と唱えるような気がする私は日銀を信じているのやら信じていないのやら(..]

bewaad [>sophia_flosさん 名文家が多くいらっしゃるのを承知で乱暴な一般化をするなら、法令という悪文に親しむ法律関..]


2005-11-26

[economy]財政も金融も構造改革も‐中国の行方にあるべきもの

kaikajiさんが「「日本病」と中国版「リフレ派vs.構造改革派」?」と題して今後の中国経済政策について次の選択をめぐる論争があるとご紹介されています。

  1. 内陸部・農村開発による内需の拡大
  2. 引き締め政策の持続による高金利・元高誘導

webmasterのように人民元のフロート化は金融政策のフリーハンド確保のためのものと認識する人間にとって、2番の政策はいかがなものかと見えます。従来の元安のために金融政策を縛っていた状態から元高のために金融政策を縛る状態に代わるだけということになってしまうからです。やはり金融政策は最優先目標を物価安定に、それに次ぐ目標を景気安定化に置くべきでしょう。逆に言えば、それらの実現に向けて金融政策は活躍してもらう必要があります。

#kaikajiさんはこれら論争の対象である「日本病」(と中国で呼ばれるもの)を円高シンドロームとご覧になっていますが、2番は元高シンドロームそのものなわけで、ご紹介の記事(日本語のものしか読んでいませんが)のとおり内需主導経済への転換を迫られる状態が「日本病」と認識されていると解すべきではないでしょうか。

では1番がよいかということですが、これについてのkaikajiさんの評価は次のようなものです。

この内、1.の主張は、近年の元高圧力は、農村や内陸部の経済が疲弊しているため内需が伸び悩んでいることに起因するものであり、都市化の推進や内陸部へのインフラ建設を通じて内需の拡大を図ることによって、貿易不均衡およびアメリカの政治的圧力は緩和されるだろう、というものだ。「アメリカの圧力をかわすため内需を拡大しましょう」というのはいかにも前川レポートの既視感ただようもので、同じ問題の「先輩」である日本人としては「大丈夫かいな?」と思ってしまうのだが、こういった主張にはむしろ、中国は国内が発展途上なので内需はこれからもどんどん拡大するよ、現在の貿易黒字は一時的なものだよ、だから80年代の日本とは違うよ、という含みがあるようだ。

「「日本病」と中国版「リフレ派vs.構造改革派」?」(@梶ピエールのカリフォルニア日記。11/25付)

この見立てを論ずるため、まず前川レポートを見てみましょう。もっとも関係深い点は次の部分ではないかとwebmasterは思います。

財政政策の運営に当たっては,赤字国債依存体質からの早期脱却という財政改革の基本路線は維持すべきであるが,財源の効率的・重点的配分,民間活力の活用,規制緩和等の工夫を図り,中長期的に,バランスのとれた経済社会を目指し機動的な対応を図る必要がある。

(略)

金融政策の運営に当たっては内外通貨価値の安定を確保しつつ,内需主導型経済の実現に向け,機動的に運営することが必要である。

「国際協調のための経済構造調整研究会報告書」(いわゆる前川レポート)(@データベース『世界と日本』/戦後日本政治・国際関係データベース/東京大学東洋文化研究所 田中明彦研究室)

結局ここで財政政策でなく金融政策主導で内需拡大を図ったことがバブルの一因となったわけです。その意味でデフレ脱却を金融政策のみに頼ればバブルの再発を招きかねないという主張にも一理はあるとも言えます(その手の主張をする者が財政政策について概ね緊縮を求めることにはゼロ理しかありませんが(笑))。

となると、1番の主張は実は日本の失敗をよく学習したものだと言えます。巨額の貿易黒字の原因となる貯蓄超過を財政赤字で吸収し対外摩擦を回避しつつ内需拡大を図るというのは、本来バブル前に日本がとるべきだったにもかかわらず財政再建が優先されて達せらなかったもの。中国も日本同様人口爆発世代が現役世代の中核を担うようになる一方で少子化が進み貯蓄余力が世代人口・一人当たりのダブルで増加する状態で、貯蓄超過はそれこそ構造問題ですから、ここはあきらめて財政赤字の累積に努めざるを得ないでしょう。

問題があるとするなら割に合う投資先が十分にあるかどうかというもの。この巨額の超過貯蓄は来るべき超高齢化社会・中国への備えとなる米びつですから、いざ食べようという際に米が腐っているようでは困ります。つまり、投資先が中国経済の生産性を十分に引上げるものでなければ、高齢化人口を担うには力不足の経済にとどまっているということになってしまいます。

ですからここで構造改革という次の政策の出番が回ってきます。インフラ整備と同時に円滑な経済活動のための環境も向上を図るなら‐kaikajiさんご指摘のように私的財産権の保護や法治主義の徹底といったものが特に求められるでしょう‐、整備されたインフラを活用しての経済活動も活性化し、結果として公的投資が割に合ってきます。それこそ中国にはそうした部分で先進国にキャッチアップする余地はいくらでもあるわけで、いわば構造改革の入れ食い状態(笑)です。小難しいことを考えず多少の失敗はおそれずどんどん制度を輸入すればよいのです。

と結論付けると、kaikajiさんに引いていただいたあちらを立てればこちらが立たず、やっぱりwebmasterは彼の国の官僚でなくてよかったとしみじみ思います(笑)というかつてのwebmasterの台詞と矛盾するのではという疑問があるでしょう。しかしながら、以上はあくまで方向を指し示すだけで実施が容易であることを論ずるものではありませんし、あくまで経済に限った話ですから、その過程で数多く生じるであろう政治的・社会的問題は別途解決される必要があるので、やはりあこがれの職業(笑)にはなり得ないのです。

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2005-11-27

[economy]It's Baaack! China's Possible Slump and the Return of the Strong Y(e/ua)n Syndrome

ワンパターンなタイトルでごめんなさい。

昨日のエントリを受け、kaikajiさんが「「日本病」の克服と内需拡大政策について」と題して再度中国経済について論じていらっしゃいますが、議論の前提とされる以下の記述の妥当性はどうでしょうか。

さて、まず中国国内で将来の中国経済がその轍を踏むことを危ぶむ声があがっている「日本病」の内容であるが、これは大略次のようなものだと理解できる。

ア.貯蓄率が高く、外需依存型の経済構造の下で高い成長率を達成
イ.対アメリカの貿易黒字が拡大、「不均衡」の是正を求められる
ウ.ドル高是正の合意→以後一貫して円高が続く→慢性的な円高期待が形成される
エ.円高を抑えるため低金利政策続く→国内資金が資産市場に向かう→バブルの発生
オ.バブル崩壊→不況
カ.低金利政策のため金融政策の選択肢狭まる→不況長引く

この内ウ、からカ、までがいわゆる「円高シンドローム」として理解されているものなので、一応「日本病」という言葉が使われるとき、「円高シンドローム」に陥る可能性も含まれているものと考えられると思う。

「「日本病」の克服と内需拡大政策について」(@梶ピエールのカリフォルニア日記。11/25付)

まず円高シンドロームですが、詳しくは田中先生の解説をお読みいただくとして、乱暴にまとめるなら「(国内経済の安定化よりも)円高を指向して金融政策が運営される」ということです。速水前日銀総裁が典型的な円高シンドローム罹患者ですから、その振る舞いを思い出していただくのが早道でしょう(笑)。

実際に円ドルレートの推移公定歩合の推移を見るなら、バブル前には次のような政策運営方針が透けて見えます。

  • 1987年2月のルーブル合意を受けての相対的な円安許容と金融緩和
  • 1989年7月に日米構造協議が開始されたことに代表される貿易摩擦の悪化と金融引締め

単に数字だけを見てもわかりづらいのですが、テイラールールと実際に採用された金融政策の比較研究ではテイラールールによるコールレートの水準と実際のコールレートの水準との比較を通じて,(1)1987年から88年の引き締めの遅れ,(2)バブル崩壊後の緩和の遅れ,(3)93年末から95年の緩和の不足,(4)97年秋の金融システム危機後の緩和不足,が検証される(p55)とされています(webmaster注:引用部の括弧つき数字は原文では囲み数字)。ここでの乖離のうち唯一の「引締め」が足りなかったという(1)がルーブル合意後というのは示唆に富みます。

また、この研究では明示的に触れられていませんが、テイラールールが示唆するコールレイトと実際のコールレイトの違いを表すグラフ(p55)を見れば、85年から86年にかけては緩和はしているもののそれが不十分であることは明らかです。これは85年のプラザ合意の影響を想像させて余りあると言えるでしょう。本来もっと緩和してしかるべきところ、円高誘導のため緩和の程度を抑制してしまったわけです。

つまりは円高シンドロームの前提としては、

  • 円高にしろという圧力がある
  • その圧力への対応が金融政策に割り当てられる

の2点があるわけで、kaikajiさんの「前提」をwebmasterの理解に基づき書き直すと次のようなものになります。

  1. 貯蓄率が高く、外需依存型の経済構造の下で高い成長率を達成
  2. 対アメリカの貿易黒字が拡大、「不均衡」の是正を求められる
  3. 財政赤字で超過貯蓄を吸収することには抵抗(80年代は土光臨調に代表される「増税なき財政再建」時代でした)→「是正」の負担が主として金融政策に寄せられる→金融政策運営が引締め気味に
  4. 財政・金融政策双方の引締めにより国内景気は悪化するため、「是正」の圧力が緩むと(=ルーブル合意)景気対策が求められる→財政政策の抑制基調が変わらない以上、3.とは逆に景気浮揚の負担が主として金融政策に寄せられる
  5. 過剰な金融緩和の継続→バブル発生
  6. 貿易摩擦の悪化により「是正」圧力が再燃→バブル批判とあいまって金融政策が再び引締め基調に転換→バブル崩壊
  7. バブル崩壊後も「是正」圧力は止まらず(日米構造協議後にもフレイムワーク協議がありました)、金融緩和に転じても"too little, too late"
  8. 低成長の継続→デフレへ

以上から、もし「日本病」というものがあるなら、それは多産多死→多産少死→少産少死というプロセスにおいて生ずる貯蓄超過への対応として、通貨高及び財政・金融引締め政策で臨むことではないかとwebmasterは考えます。それを免れるには、まずは外為については受動的に市場が決めるもので政策目標としないとの立場を守ること(いわゆるビナインネグレクト)が第一でしょう。これが無理なら、金融政策はなるべく国内経済対策に割り当てつつ、財政赤字は気にせず必要な社会資本整備を行うのが望ましいのではないかと。

#これが日本でできなかったのは、やはり円高シンドロームに加えて、財政赤字フォビアがあったからではないかと。

ちなみにその後のkaikajiさんの議論には概ね異論はありません。しかし、財政赤字路線が高じてバラマキになるのではとの危惧については、ビナインネグレクトができなければwebmaster流の「日本病」につながるわけで、いずれの弊害がより少ないかを考えてみる必要があるのでは、と思います。

[economy][BOJ]「鏡よ鏡、世界で一番タカ派の中央銀行はどれ?」

macroblogのエントリですが、日銀・FRB・ECBを比較してFRBが候補に挙げられています。だから今はドル高基調だ、というわけで。なぜ日銀じゃないのと言えば政治の圧力があり簡単には引き締められそうにないからとのことですから、この圧力を撥ね返すことができれば栄冠は日銀に輝くことでしょう(笑)。

#本気で栄冠を目指さないでくださいね>某中銀

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2005-11-28

[movie]機動戦士Z GUNDAM II A New Translation ‐恋人たち‐ その1

ようやく観てきました。封切り後結構経っているからかかなりすいてます。前作同様知らない人は無視のストーリー展開ですし、新旧セル画の混在もありますが、新画をかなりの程度増やしていましてこれはいい方向だと思います。キャラの造り自体はwebmasterも旧が好きなのですが、平均的なレベルが明らかに違いますし。

で、どうしてもネタバレで言いたいことがあるので、本日最後のエントリに続きを書きます。

[government][book]新しい霞ヶ関を創る若手の会「霞ヶ関構造改革・プロジェクトK」

t9930211さんbranchさんが取り上げていらっしゃったので読んでみましたが、ちょうど最近感銘を受けた次の文章がよく当てはまる本です。

いっぱんに「改革」の好きな人は仕事ができません。というか仕事ができないのは、制度のせいだとおもって、改革をしたがります。狭い範囲の見聞ですが。そういうひとはカリキュラムをいじるのが好きです。

もっとも(本当の)現場では、「改革」は自発的になされる場合がほとんどありませんが。というか日々、このような「改革」の残務処理に追われていて、そのような余裕がない、というべきかもしれません。(遠い目。)

「申し訳ありませんでした。」(@yeuxquiの日記11/25付)(via 「大学改革ネタ」(@インタラクティヴ読書ノート別館の別館11/26付)

記者の観るところを以てすれば、日本人の一つの欠点は、余りに根本問題のみに執着する癖だと思う。この根本病患者には二つの弊害が伴う。第一には根本を改革しない以上は、何をやっても駄目だと考え勝ちなことだ。目前になすべきことが山積して居るにかかわらず、その眼は常に一つの根本問題にのみ囚われている。第二には根本問題のみに重点を置くが故に、改革を考えうる場合にはその機構の打倒乃至は変改のみに意を用うることになる。そこに危険があるのである。

社説「改革いじりに空費する勿れ」(@東洋経済昭和11年4月25日付)(via 「リフレと左翼:石橋湛山と山形浩生」(@Economics Lovers Live11/26付)

根本的な批判は以上で尽きているといってよいのですが、若干補足しておきましょう。現状に問題があると認識するからこその改革案ですが、その問題とはどのようなものと認識されているのか。これぞというまとまったテキストがないのでwebmasterなりに整理すると次のようなものです。

  1. 「国民全体のためになる政策」が存在する。
  2. 現在は前例・横並び重視や縦割りといった霞が関の流儀により、そうした政策が実施されない状況にある。
  3. かつては右肩上がり経済だったので霞が関の流儀を許容する余裕があったが、今はそのような経済成長は見込めないので余裕はなくなり、改革する必要がある。

第1点については、近々アレンド・レイプハルト「民主主義対民主主義」(最近読了しましたがすごく面白かったです)と絡めて論じたい話と関係が深いのですが、少しばかり先行してエッセンスを書くとそんなものは本当に存在するの、ということが疑問です。昔当たらずとも遠からぬ話を書いたのですが、世論が分裂しているような政策課題においては、どちらか一方を採用するより足して二で割る方がむしろよい可能性が高いとwebmasterは思います。

したがって第2点についてもそうした「足して二で割る」技術と見ればむしろ積極的に評価すべきで妥当しないということになります。ちなみに前例・横並び重視と言えば聞こえは悪いですが、整合性・一貫性の重視(法律屋的にいえば「禁反言」(原語はestoppel)、簡単には二枚舌を使うなということです)と言えば印象は大いに変わるはずで、つまりは「前例・横並び」というラベリング自体に価値判断が含まれています。

これは実は最初に紹介した「「改革」の好きな人は仕事ができません」という言葉がまさに当てはまる事例です。A法がある方向へ政策誘導するものであるとき、B法がそれと違う方向への誘導をしようと思えば、

  • A法とB法の適用されるべき対象をきちんと場合分けして矛盾が生じないようにする。
  • A法を改廃してB法と同じ方向へ政策誘導するようにする。
  • B法の内容を変更し、あるいはその策定を諦め、A法の枠組みを維持する。

という3つの対応が考えられるわけですが、十分に有能な官僚であれば最初の2つの選択も可能で、しかもこれらは前例・横並び重視です(2番目のものについては、A法を改廃する理由についてA法制定時のそれと矛盾しないように整理するからです)。それらを成し遂げられず最後の選択を取らざるを得ず、前例・横並び重視が悪いと嘆くのは無能官僚が自らの無能を責任転嫁しているだけとも言えるでしょう。

最後に第3点ですが、右肩上がりはもう不可能という前提がどの程度の「右肩上がり」を念頭に置いたものかは本文中に言及がないものの、どうせ平均で名目5%成長なんて不可能だという思い込みに基づいているのでしょう。著者陣は平成9年(1997年)に社会人になった者ということで、大人になってからというもの名目2%成長ができれば御の字だという時代しか知らない不幸は割り引いて考える必要はあるでしょうけれど、井の中の蛙という自覚ぐらい持つべし。

結局以上のようにそもそもの前提に問題がある以上、改革案なるものも方向性において正しいとはいえません。取り上げて論じるのは略しますが(リクエスト(特に当人たちからのもの)があればやりますけど)、個別に見るべきものはあれど大枠はいかがなものかと。

[politics]景気が悪くなるって? 寝られないって?

悪者探しに終始すると、マンション業界つぶれますよ、ばたばたと。不動産業界も参ってきますよ。景気がこれでおかしくなるほどの大きな問題です。

対応を気を付けないといけない。寝られないでしょう、大きい地震が来たら自分のマンションがつぶれるという話ばかりされると。

ニッカンスポーツ「武部氏、耐震偽造問題「景気悪化まねく」」より武部幹事長発言@釧路市での講演

仮に今回の事件で不動産取引が滞るとすれば、それは当該取引がレモン(不良品の隠語)市場で行われているということがわかったためということになります。つまり、買い手には優良かそうでないかがわからないため、市場価格で売りに出されているのはそれ以下の価値しかないものがそうでないと偽っているからと合理的に推測して買わなくなるためです。吊るし上げの対象を探すがごとくのメディアの対応はwebmasterも気に入りませんが、だからといって与党幹部があたかもそうした対応がなければ取引が滞らないかのように語るのは騙りでしょう。レモン市場をそうではないと偽れということに等しいわけで。

それに、きちんとけりをつけないことには寝られない人は減らないと思いますよ、僭越ではありますが。

[comic]現在官僚系もふ・第33話

署名を集めただけでやっかいというならほとんどの予算要求はやっかいですね。切れ者という設定の主査なのにコストも知らなかったんですか(予算要求は当然いくら要求するかという数字込みの話です)。ご都合主義だなぁ・・・。

[movie]機動戦士Z GUNDAM II A New Translation ‐恋人たち‐ その2

というわけでネタバレ編ですが、良かった点と悪かった点をそれぞれ。

良かった点
ハマーン専用ガザC!
悪かった点
ヤザンによるジャマイカン謀殺の省略!
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bewaad [>vodkaさん ハモンさんの例もありますから、そこはケースバイケースではないでしょうか>自爆テロについての富野監督..]

とおりすがり [古い記事にコメントを付して恐縮ですが、公務員関係のウェブサイトを巡回していたら、次のような記述がありました。 「霞..]

bewaad [>とおりすがりさん プロジェクトKにしても3Rプロジェクトにしても、どちらのblogも今年の初め以来更新されてません..]


2005-11-29

[misc]経県値&経験マップ

中村先生のエントリから。結果をそのままお示しするとあれこれ素性につながる情報が入ってしまうので、数のみに限れば次のとおりです。

類型該当都道府県点数
◎…住んだ(5点)×420
○…泊まった(4点)×25100
●…歩いた(3点)×721
△…降り立った(2点)×12
▲…通過した(1点)×55
×…かすりもせず(0点)×50
合計(47)148

ということで、中村先生に2点及ばず。

1つだけ結果をばらすと埼玉県は3点なのですが、中村先生も埼玉県は毎週歩いているが,泊まったこととなると,ハテ?と首を傾げる。多分,泊まったことはないと思うとのこと(webmasterは毎週ではありませんが)。これについて、「『経県値』の系譜」にてなるほどという指摘があります。

埼玉は何度足を踏み入れようとも依然として●のまま。東京にとても近く、宿泊を前提とした有名温泉観光地のようなものも少なく、東京ディズニーリゾートや成田空港といったホテル集積地もない埼玉って、なかなか用事があっても○になりにくい土地柄のような気がします。

「『経県値』の系譜」・レス46096

ちなみにレス41124によるとトップは194点とのこと(一応今日現在でそれ以降のレスも調べましたが、まだ第一位でした)。また、住んだことのある都道府県数の最高は12だそうで、上には上が当然ながらいるものです。

また、レス41125では都道府県別の集計もなされています(得点のべ人数を地図上の色分けで表したものもあります)。なんとなくではありますが、過疎地の苦しみというのが視覚で察せられるように思います(参加者に東日本居住者が多いとのことですので、そのバイアスは割り引く必要があります)。

具体的に下位の県を書くと和歌山・福井(37位タイ)、愛媛、秋田、鹿児島、宮崎、佐賀、鳥取、高知、徳島、沖縄(47位)ですが、これを見ると本四架橋を地域エゴと切り捨てられないように思えますし(批判することが悪いというのではなく批判の仕方が悪いということです。為念)、観光による沖縄振興に取り組むリフレ派・渡久地明さんのご苦労はいかばかりかと。

[government][WWW]感どうする経済館

田中先生が「子供を煽る博物館」と呼んでいるものですが、内閣府がやっているというわりに内閣府サイトからのリンクもありませんし(内閣府サイトへリンクは張ってますが。片思い(笑)?)、ドメインもgoドメインではなく汎用jpドメインと微妙な臭いが。

連絡先は内閣府になっているのは確認したのですが、脱線させてもらうとそもそもこの注意書きが何とも。リンクする場合は連絡をとあるのですが、そのためのフォームも独自ドメインでなくiijnet.or.jpドメインですし、リンクは必ず新しいウィンドウが開かれるような設定で行ってくださいって、a要素のtarget属性の値は"_blank"を強要ですか(その問題については、徳保さんがわかりやすくおまとめです)。お断りですね(笑)。

さて、本題に戻ります。東京タワーにあるリアルでの博物館は行っていないので判断は避けますが、web版は事前に恐れていたほど(笑)のものではなく、特に「1万円はどれだ?」は結構はまってしまいました。

で、傑作なのが次のテキスト。

返すあてのない借金を持って首が回らなくなることがよく問題になりますが、返すあてがあれば、借金を持つことは一概に悪いことではありません。むしろ、借金がある=お金を貸してくれる人がいる、と考えれば、借金があることは社会的に信用があるということもいえます。

要するに、借金があるかないかや借金の大きさの情報だけでは、その会社の将来性はわからないのです。

「経済ものしりクイズ」中のとある問題の解説文

抵抗勢力が紛れ込ませたのでしょうか(笑)。

[economy]経済学における実証とは

ロバート・ゴードンによるアメリカ30年代と2000年代の違い、つまりは大恐慌に比べITバブル崩壊が軽傷ですんだのはなぜかの説明がEconLogで紹介されていますが、その分析自体より最後の一文に感銘を受けました。

I really think that empirical macroeconomics ought to be economic history. The benefit-cost ratio of econometric equations in macro has been quite low, in my opinion.(webmaster私訳:実証マクロ経済学とは経済史であるべきだろうと思う。私見では、マクロでの計量経済学の方程式のコスト・ベネフィット率はあまりに低いものにとどまっている。)

"The 1920's and the 1990's"(@EconLog11/28付)

リフレ派の知見の多くが大恐慌や昭和恐慌の分析から得られていることについて勇気付けられる発言だと思います。

ちなみにゴードンの分析ですが、1に金融政策の積極性、2に財政政策の積極性、3にバブルとその崩壊の程度の差、によって2000年代は30年代よりましだったというものです。ま、どのような知見を得るかについてはRBC流の見方からはいろいろ言いたいこともあるでしょうけれど。

本日のツッコミ(全27件) [ツッコミを入れる]

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bewaad [>鍋象さん スキー旅行が多いとなると、西日本を埋めるのは難しいでしょうね。ここは新たな趣味を開拓とか(笑)。]

小僧 [時節に乗り遅れのツッコミにて失礼いたしますが、先月末の「ニッポン全国むらおこし展」 http://www.enjoy..]

bewaad [>小僧さん 「そこの名産を食べた」で0.5点、なんてのも面白いかもしれませんね(笑)。 個人的には不美人県で有名な..]


2005-11-30

[notice]Atomでの更新情報提供始めました

少し前に最近、コメントの量がおおくなったせいで、RSSのエントリがコメントばかりになってしまい、最新の記事が分からなくなっています。/RSSにコメントが入らないように設定してもらえないでしょうか?というご要望をBaatarismさんからいただいておりまして、標記の対応を講じさせていただきました。以下の設定となっております。

RSS(エントリに加えツッコミも反映されます)
http://bewaad.com/index.rdf
Atom(エントリのみ反映されます)
http://bewaad.com/atom.xml

本来RSSをツッコミなしにすべきところですが、Atomを吐き出すプラグインがデフォルトでエントリのみ反映で変更できない仕様となっておりますので、上記のとおりといたしました。よろしくご賢察の上、必要に応じて使い分けていただければ幸いです。

[economy]「真の失業率」推計最新版(2005-10現在)

年月   完全   真の   15歳以上  就業者数 完全   真の
     失業率  失業率  人口         失業者数 失業者数

1990   2.1%   3.2%   10,089   6,249   134   204
1991   2.1%   2.4%   10,199   6,369   136   155
1992   2.2%   2.2%   10,283   6,436   142   142
1993   2.5%   2.8%   10,370   6,450   166   183
1994   2.9%   3.4%   10,444   6,453   192   228
1995   3.2%   4.0%   10,510   6,457   210   266
1996   3.4%   4.1%   10,571   6,486   225   276
1997   3.4%   3.8%   10,661   6,557   230   262
1998   4.1%   5.1%   10,728   6,514   279   348
1999   4.7%   6.3%   10,783   6,462   317   435
2000   4.7%   7.0%   10,836   6,446   320   485
2001   5.0%   7.9%   10,886   6,412   340   551
2002   5.4%   9.4%   10,927   6,330   359   660
2003   5.3%   10.0%   10,962   6,316   350   700
2004   4.7%   10.0%   10,990   6,329   313   705

2004/Q3  4.7%   9.3%   10,988   6,379   314   653
2004/Q4  4.4%   10.1%   10,998   6,326   290   713
2005/Q1  4.7%   11.3%   10,982   6,236   305   792
2005/Q2  4.5%   9.1%   11,002   6,402   299   639
2005/Q3  4.3%   8.9%   11,008   6,417   286   628

年月   完全   真の   15歳以上  就業者数 完全   真の
     失業率  失業率  人口         失業者数 失業者数

2004/11  4.4%   10.2%   11,003   6,322   290   720
2004/12  4.1%   10.4%   10,995   6,306   270   731
2005/1  4.5%   11.1%   11,004   6,261   296   782
2005/2  4.7%   11.6%   11,003   6,224   308   818
2005/3  4.8%   11.1%   11,003   6,260   313   782
2005/4  4.7%   9.7%   10,994   6,352   310   684
2005/5  4.6%   8.7%   11,008   6,435   307   610
2005/6  4.2%   8.9%   11,003   6,418   280   624
2005/7  4.3%   9.0%   11,005   6,410   289   633
2005/8  4.2%   9.1%   11,006   6,405   284   639
2005/9  4.2%   8.7%   11,014   6,437   285   612
2005/10  4.5%   9.1%   11,016   6,406   304   641

2004/10  4.7%   9.7%   10,997   6,352   311   686
2003/10  5.1%   9.8%   10,979   6,337   343   690
2002/10  5.4%   9.3%   10,952   6,355   362   654
2001/10  5.2%   8.2%   10,907   6,405   352   575
2000/10  4.6%   6.3%   10,855   6,508   314   439

     C/(B+C)  D/(B+D)   A     B     C  D=Ax0.64-B

(直近月次ボトム)
     5.8%   11.6%    --    6,193   384   818
    (03/3,4)  (05/2)         (03/2)  (03/3)  (05/2)

(注)
・ソースは総務省統計局の「労働力調査」(http://www.stat.go.jp/data/roudou/2.htm)。
・月次データは原数値を用いている(季節未調整)。
・「真の」値は労働力人口比率が0.64(直近ピーク(1992年))であると仮定した場合の値。
・少子高齢化の進展による労働力人口比率のあり得べき低下は考慮していない。

蛇足ながら各年の10月の比較で気になった点を挙げておきますと、

  • 完全失業率や完全失業者数でいえば2000年10月に優ったわけですが、就業者数では100万人以上下回っています。
  • 就業者数でいえば2001年10月をわずかに上回っていますが、完全失業者数では当時を50万人弱下回っているので、潜在的失業者である無業者は(表のような1992年基準でなくても)相当程度増えていると考えられます。

#過去の計数は以下のとおりです。

2005
03040506070809

[economy][government]建築物の安全基準遵守に関する規制のあり方

先日単に規制緩和すればよいというわけではあるまいという趣旨のことを書いたわけですが、じゃあ具体的にどうすればよいかというとなかなか難しい問題です。ちょうど木走さんが業界の内実を詳しくご説明ですので(コメントもあわせて必見かと存じます)、それを見ながら考えたものをいくつか紹介したいと思います。

前提としてこのような問題が生じるのはなぜかといえば、次のような要素によるところが大きいです。

情報の非対称性の存在
買う商品(この場合は建築物)の良し悪しを買い手が見抜くことが難しい場合、売り手には買い手を騙して高く売ることで利益を増やすことができますから、そうしようというインセンティブが働きます。他方、そういうものだという常識が広く行き渡ると、買い手は騙されるリスク分だけ低い価格でしか商品を買おうとせず、買い手がつく価格では適正原価を確保できなくなるので、安かろう悪かろうという商品しか出回らなくなってしまいます。
プリンシパル・エージェント問題の存在
プリンシパルとは依頼者、エージェントとは依頼者のために働く者のことですが、エージェントにとっての利害とプリンシパルにとってのそれが同じ向きでない場合、エージェントは自らの利益を優先させプリンシパルのそれをないがしろにするインセンティブが働きます。本件でいえば買い手がプリンシパル、検査会社がエージェントということになりますが、検査会社が買い手の利益になるよう厳しくチェックしても検査依頼が減るだけであれば、厳しいチェックを期待できなくても止むを得ません。
商品の値段の高さと「人権」
何のことやらというのが率直なご感想でしょうけれど(笑)、現代の人権思想においては債務奴隷、つまり借金を返済し終わるまで強制的に労働させその対価を天引きするという制度は認められるものではありません。建築物が高価であることを考えると、倒産してしまえば終わりですから、この債務奴隷的な手段がない限り事後的な賠償による対応が困難です。儲けて使ってしまえばこっちのものという状態を防止するためには、少なくとも儲けた段階で何らかの手立てが必要でしょう。

これらのそれぞれにどのような対策が可能かを考えてみます。まず情報の非対称性ですが、これは専門家によるチェックで対応するより他ないでしょう。かつての行政によるチェックがそれほど有効でなかったのは行政に専門家が十分にはいなかったからで、将来においても十分な量の専門家を行政が抱えるのは難しいでしょうから、基本は民間の活用ということになるでしょう。

次にプリンシパル・エージェント問題ですが、買い手が自主的に応分の費用負担をすることは、現在でも可能(建築士に依頼してみてもらう)であるにもかかわらず広く行われていません。それも市場原理と割り切って、つまりそうしたことをしなかった者が泣きを見ても自業自得とするのも一つの選択肢ではありますが、とりあえず今の風潮からしてそうした制度は多数が望むものではないと仮定した上で、何らかの方策がないかということになります。

誰が検査を依頼するにせよ、その依頼者と買い手の間にはやはりプリンシパル・エージェント問題が生じ得るのですが、少なくとも厳しくしても損な取り扱いにはしない者とすればその可能性は低く抑えることができるでしょう。webmasterが考え付いたのは行政、損保会社、同業者といったところです。

このうちもっとも問題がありそうなのは行政で、というのも先の情報の非対称性の問題が復活してしまうからです。チェックを専門家がやるとして、そのチェックが適正かどうかが判断できなければ問題は堂々巡りになってしまいます。

損保会社というのは外国に例があるそうで、それなりにうまくいきそうですが、外国の詳細を知らないので疑問も残ります。保険契約者が買い手であれば保険料自己負担ということになり、それをきちんと負担することを前提としてよいならそもそも買い手がチェックをきちんと依頼することも前提とできるはずです(法律で強制付保とするという対応も考えられないではありませんが)。保険契約者が建設側であれば、保険料に色をつけることで甘くするというインセンティブが埋め込まれるような気がします。

同業者の場合、直接同業者同士で検査を依頼しあうというよりは、自主規制団体を設けてそこから依頼するという形になるでしょう。インセンティブ付与のため、預金保険制度のように建築物保険制度を設け、違法建築の際の賠償が倒産により支払えなくなった場合にそこから補填するようにすることが考えられます。この場合、違法建築はすなわち同業者の費用負担に跳ね返るわけで、違法建築を見破るという点において買い手と利害が一致することになります。

というわけで最後の財源問題に既に踏み込んでしまいましたが、同業者による相互監視の場合は建築物ごとに建築物保険料を徴収して検査費用と万一の場合の補償財源に充てることとなります。ちなみに行政の場合は建築税といった目的税、損保会社の場合は保険料となるでしょう。

以上、生煮えの考察ではありますが、皆様の議論の一助となれば幸いです。

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