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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2005-11-20

[computer][economy]財政シミュレーションスクリプト

以前のwebmasterのエントリを発展させていただき、cloudyさんが「財政赤字カリキュレータ」を作成・公表されました。ぜひお試しください。

#言及されている「先行者」をご存じない方も今では多いかもしれないので、かつてネットを席巻したページを念のためご紹介しておきます。

最終的な目的は金融政策と財政政策のパラメータのみ指定して、インフレ率や成長率、金利はそれから自動的に求めるようにしたいとのことですので、イメージとしてはマンキュー先生謹製のPresidential Gameが目標となるでしょうか。Presidential Gameはマイナス金利にマイナス失業率が存在するという古典派の楽園(笑)ですので、インフレとデフレが非対称の失楽園を描き出していただければ。

関連してですが、かつてもっとお手軽なスクリプトがいちごで紹介されていましたので、サルヴェージさせていただきます。変数は3つ、グロス政府債務(初期値)、プライマリーバランス、金利と(名目)GDP成長率の差です。

<!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD HTML 4.01 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/html4/loose.dtd">
<title>政府債務簡易シミュレータ</title>
<script type="text/javascript">

var a = 0.7; //対GDPの債務総額の初期値。
var b = -0.01; //財政赤字の対GDP比。この例は-1%。つまり1%の黒字。
var c = 0.02; //公債利子率 - 名目成長率。この例は経済成長率<利子率で、差は2%。

for (var i = 0; i < 10; i++) { //GDP算出の範囲。この場合は10年。
document.write(a);
document.write("<br />");

a = b + (1 + c) * a; //年ごとの債務総額の漸化式。

}

</script>

#上記"<!DOCTYPE"で始まる行から"</script>"までをテキストファイルにコピペし、適当な名前のhtmlドキュメントとして保存し、Javascript対応ブラウザでそのファイルを開けていただければiの期間内のグロス政府債務(対GDP比)が表示されます。

このスクリプトではa, b, c, iを変えてあれこれ試してみることができるのですが、とりわけbを変えて試すことにより得られるインプリケイションは次のようなものです。

要するにだ、

  • 債務総額が発散するかどうかは、ドーマー条件だけで判定できる。
  • しかし、それが+∞か−∞かは、プライマリ・バランスの値や初期の債務総額がわからないと判別できないんである。
  • プライマリ・バランスが赤字なら、発散するなら必ず+∞です。
  • プライマリ・バランスが黒字なら、発散の方向はどちらの可能性もある。

以上、>>281-284をそのように読み替えてください。よろしく。

「そしてデフレが終わる時。」スレ・レス298

金利と成長率の差は、符号がどちらにしろ非常に小さいことは間違いない。今なら金利2%、成長率ゼロでプラス2%と置くのはそれほど非現実的ではない。つまり僅かでもPBを黒字にできれば、債務GDP比率の不安定定常解は大きなプラスを取ることになる。PB黒字比率1%なら定常債務GDP比率は50%、2%なら100%ということだから。で、初期値の債務GDP比率を、この定常解が上回れば、不安定性故に債務GDP比率は指数級数的に減少する局面に移行する可能性がある。

で、現在の債務GDP比率が130%だとすると、現在のデフレ均衡のままだと仮定すれば2.6%以上のPB黒字比率を実現すれば債務の指数級数的縮小過程に入る事になる。現在のPB赤字比率は6%だから、8.6%の引き上げに相当。要するに、50兆円弱(500x8.6%)の恒久増税(要するに今の税収を倍増する水準)ないし歳出削減(利払い控除後の歳出の大部分に相当)ができれば、デフレ下で財政再建は可能ということになる。

結論は、「デフレ下でもPB黒字化で財政再建は可能」という主張は「税率100%引き上げか、通常の政府歳出全額カット。あるいはその間のどこか」を含意していることになる。

「そしてデフレが終わる時。」スレ・レス335

本日のツッコミ(全18件) [ツッコミを入れる]
cloudy (2005-11-20 15:49)

ご紹介ありがとうございます。まだTB打ってなかったのに、めざといですねw
bewaadさんのオリジナルとは違い、ちと手抜きして初年度の計算も以降と同じにしてしまっているため、結果が変わってしまっています。その点ご注意を。
目指せマンキューのゲーム!ですが、当面の課題は歳入のより正確な推計でして、そのために国税庁と財務省の統計を眺めてGDPと税収の関係について考えているところです。このへんの関係で何か良い資料を御存知であれば教えてください >マスター

平家 (2005-11-20 21:27)

いや、面白い試みですね、cloudyさんのカリキュレーター。これを使って、一般会計の分析をされるなら「歳出から国債償還分を除いておくこと」という注が必要なのではないか、という気がするのですが。オリジナルのセットでも除かれていないようですが。私、間違っているでしょうか?

cloudy (2005-11-21 02:22)

なぜ歳出から償還分を除かなくてはならないのでしょうか?
償還分は毎回借り換えているので、新しい金利が適用されるようになるだけで、残高にも歳出にも影響しないと思うのですが。

bewaad (2005-11-21 03:36)

>cloudyさん
税収弾性値(ご案内のとおり1.1を採用してます)については、2003年に書いたテキストで次のページにリンクを張りましたが、これが一番まとまっているように思います。きちんと調べたわけではありませんが、この資料はもう新しいものとは言いがたいですが、今でも税収弾性値について異なる数値を政府見解として採用してはいないようです。
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/zeichof/z006.htm

bewaad (2005-11-21 03:44)

>平家さん
要点はcloudyさんご回答のとおりですが、詳しく書けば次のとおりです。

現状では一般会計歳出としての国債償還費(=国債整理基金特別会計への繰入れ)がいくらあっても、その分だけ一般会計歳入としての新規国債発行額が増えるだけですから、この新規発行債は事実上借換債(法律的には国債整理基金特会で発行される国債のことになります)と同じものとなります。

財政黒字が達成されるなら、黒字分は債務残高をネット減させる償還にまわされますのでそこでの償還は考える必要がありますが、逆に言えば財政黒字になるまでは考慮する必要はないということになります。

BUNTEN (2005-11-21 06:18)

無茶な数字を入れてみました。具体的にはリフレケースで実質成長率2.0%,デフレケースで実質成長率2.4%、つまりデフォルトで入っている実質成長率の数字を入れ替え。(ありえねー)
で、表の最終年の比は143:165で、それでもリフレ有利。(元の数字では114:202)
この結果を、"「構造改革」した方が実質成長率が上がる、と仮定してもなお、財政上はリフレの方が有利。"と読んでもいいものでしょうか?

平家 (2005-11-21 23:04)

bewaadさん、cloudyさん。意見を書きましたので、お読み下さい。http://takamasa.at.webry.info/200511/article_19.html

bewaad (2005-11-22 05:48)

>BUNTENさん
算式としては税収が名目GDP成長率×1.1で伸び、他方で支出は利払いは加重平均名目金利で伸び、その他支出はインフレ率で伸びという枠組みになってますので、十分な実質成長率の上昇があれば財政上もデフレが有利になるでしょう。というか、算数としてはデフレが十分に深刻になればその他支出がどんどん縮むという形にはなってますので、名目成長が確保できる限りにおいてデフレは深刻な方がお得という答えが出てきてしまいます。

bewaad (2005-11-22 05:52)

>平家さん
拝読しました。確かに厳密には初期値だけは調整したほうがいいのかな、という気がしてきました(ただ税外収入をオミットしているなど、その程度は誤差のうちと割り切ってもよいかなと)。しかし初期値以外は大丈夫です。というのも、新規国債発行額を独立した変数として扱わず、あくまで残差でとっていますので。

平家 (2005-11-22 07:06)

>bewaadさん
おっしゃるとおり、初期値さえ調整すればいいのです。
後、「カリキュレーター」の改善として、
1 「歳出」が一般会計の歳出から国債費を除いたものであることを明示しておくこと(こうすると歳出がインフレ率にリンクするという仮定が合理化できます。)
2「歳入」の定義の明示
をしていただければと思います。
 もし、一般会計との金額の整合性を取りたいのであれば(その方が分かり易いと思いますが、)、国債償還費=期首国債残高÷60で計算し、付け加えればいいと思います。(黒字になると、また別の計算が必要になりますが、まあ、そういうことはないでしょう。)
cloudyさんに期待します。

cloudy (2005-11-22 14:19)

平家さん、大変丁寧なコメントに感謝します。
指摘された点を改善してみます。

cloudy (2005-11-22 14:42)

bewaadさんへ。
財務省の税収弾性値についてですが、デフレ脱出時にはもっと大きい値になるのではないかと思います。もちろん、控えめな値でも債務比が収束するということを示せれば十分なのでその点では1.1で良いわけですが、それだと視聴者?に訴える力がイマイチ弱い。
あと、ホントは純債務を表示したいのですが、政府の金融資産がどう変化していくのかが全くわからないので困ってます。

BUNTEN (2005-11-22 21:11)

bewaad (2005-11-22 05:48) さん
http://bewaad.com/20051120.html#c08

支出について下方硬直性を組み込んでいない、というわけですね。orz

bewaad (2005-11-23 08:17)

>平家さん、cloudyさん
皆様のおかげで巣立った我が子を見る思いです(笑)。

bewaad (2005-11-23 08:25)

>cloudyさん
精緻に税収弾性値を詰めていくとなるとミクロモデルを作ってということになりかねませんで、なかなか難しいのではないかかと思います(特に税制改正の変更の除去が)。個別の税目について推計した論文はあるようですが・・・(先生方ならある程度目途があるかもしれませんが)。

純債務云々は、一番大きいのは年金基金でしょうから、その手の推計を当たるのが早道かな、という気はします。

bewaad (2005-11-23 08:26)

>BUNTENさん
政府支出の増減がGDPに中立という形になってますので・・・。

平家 (2005-11-23 15:24)

>cloudyさん
お役に立てて嬉しいです。

bewaad (2005-11-24 00:18)

>平家さん
こちらも今後ともよろしくお願いいたします。


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