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2005-11-27

[economy]It's Baaack! China's Possible Slump and the Return of the Strong Y(e/ua)n Syndrome

ワンパターンなタイトルでごめんなさい。

昨日のエントリを受け、kaikajiさんが「「日本病」の克服と内需拡大政策について」と題して再度中国経済について論じていらっしゃいますが、議論の前提とされる以下の記述の妥当性はどうでしょうか。

さて、まず中国国内で将来の中国経済がその轍を踏むことを危ぶむ声があがっている「日本病」の内容であるが、これは大略次のようなものだと理解できる。

ア.貯蓄率が高く、外需依存型の経済構造の下で高い成長率を達成
イ.対アメリカの貿易黒字が拡大、「不均衡」の是正を求められる
ウ.ドル高是正の合意→以後一貫して円高が続く→慢性的な円高期待が形成される
エ.円高を抑えるため低金利政策続く→国内資金が資産市場に向かう→バブルの発生
オ.バブル崩壊→不況
カ.低金利政策のため金融政策の選択肢狭まる→不況長引く

この内ウ、からカ、までがいわゆる「円高シンドローム」として理解されているものなので、一応「日本病」という言葉が使われるとき、「円高シンドローム」に陥る可能性も含まれているものと考えられると思う。

「「日本病」の克服と内需拡大政策について」(@梶ピエールのカリフォルニア日記。11/25付)

まず円高シンドロームですが、詳しくは田中先生の解説をお読みいただくとして、乱暴にまとめるなら「(国内経済の安定化よりも)円高を指向して金融政策が運営される」ということです。速水前日銀総裁が典型的な円高シンドローム罹患者ですから、その振る舞いを思い出していただくのが早道でしょう(笑)。

実際に円ドルレートの推移公定歩合の推移を見るなら、バブル前には次のような政策運営方針が透けて見えます。

  • 1987年2月のルーブル合意を受けての相対的な円安許容と金融緩和
  • 1989年7月に日米構造協議が開始されたことに代表される貿易摩擦の悪化と金融引締め

単に数字だけを見てもわかりづらいのですが、テイラールールと実際に採用された金融政策の比較研究ではテイラールールによるコールレートの水準と実際のコールレートの水準との比較を通じて,(1)1987年から88年の引き締めの遅れ,(2)バブル崩壊後の緩和の遅れ,(3)93年末から95年の緩和の不足,(4)97年秋の金融システム危機後の緩和不足,が検証される(p55)とされています(webmaster注:引用部の括弧つき数字は原文では囲み数字)。ここでの乖離のうち唯一の「引締め」が足りなかったという(1)がルーブル合意後というのは示唆に富みます。

また、この研究では明示的に触れられていませんが、テイラールールが示唆するコールレイトと実際のコールレイトの違いを表すグラフ(p55)を見れば、85年から86年にかけては緩和はしているもののそれが不十分であることは明らかです。これは85年のプラザ合意の影響を想像させて余りあると言えるでしょう。本来もっと緩和してしかるべきところ、円高誘導のため緩和の程度を抑制してしまったわけです。

つまりは円高シンドロームの前提としては、

  • 円高にしろという圧力がある
  • その圧力への対応が金融政策に割り当てられる

の2点があるわけで、kaikajiさんの「前提」をwebmasterの理解に基づき書き直すと次のようなものになります。

  1. 貯蓄率が高く、外需依存型の経済構造の下で高い成長率を達成
  2. 対アメリカの貿易黒字が拡大、「不均衡」の是正を求められる
  3. 財政赤字で超過貯蓄を吸収することには抵抗(80年代は土光臨調に代表される「増税なき財政再建」時代でした)→「是正」の負担が主として金融政策に寄せられる→金融政策運営が引締め気味に
  4. 財政・金融政策双方の引締めにより国内景気は悪化するため、「是正」の圧力が緩むと(=ルーブル合意)景気対策が求められる→財政政策の抑制基調が変わらない以上、3.とは逆に景気浮揚の負担が主として金融政策に寄せられる
  5. 過剰な金融緩和の継続→バブル発生
  6. 貿易摩擦の悪化により「是正」圧力が再燃→バブル批判とあいまって金融政策が再び引締め基調に転換→バブル崩壊
  7. バブル崩壊後も「是正」圧力は止まらず(日米構造協議後にもフレイムワーク協議がありました)、金融緩和に転じても"too little, too late"
  8. 低成長の継続→デフレへ

以上から、もし「日本病」というものがあるなら、それは多産多死→多産少死→少産少死というプロセスにおいて生ずる貯蓄超過への対応として、通貨高及び財政・金融引締め政策で臨むことではないかとwebmasterは考えます。それを免れるには、まずは外為については受動的に市場が決めるもので政策目標としないとの立場を守ること(いわゆるビナインネグレクト)が第一でしょう。これが無理なら、金融政策はなるべく国内経済対策に割り当てつつ、財政赤字は気にせず必要な社会資本整備を行うのが望ましいのではないかと。

#これが日本でできなかったのは、やはり円高シンドロームに加えて、財政赤字フォビアがあったからではないかと。

ちなみにその後のkaikajiさんの議論には概ね異論はありません。しかし、財政赤字路線が高じてバラマキになるのではとの危惧については、ビナインネグレクトができなければwebmaster流の「日本病」につながるわけで、いずれの弊害がより少ないかを考えてみる必要があるのでは、と思います。

[economy][BOJ]「鏡よ鏡、世界で一番タカ派の中央銀行はどれ?」

macroblogのエントリですが、日銀・FRB・ECBを比較してFRBが候補に挙げられています。だから今はドル高基調だ、というわけで。なぜ日銀じゃないのと言えば政治の圧力があり簡単には引き締められそうにないからとのことですから、この圧力を撥ね返すことができれば栄冠は日銀に輝くことでしょう(笑)。

#本気で栄冠を目指さないでくださいね>某中銀

本日のツッコミ(全10件) [ツッコミを入れる]
梶ピエール (2005-11-27 18:36)

再度にわたり詳しい解説ありがとうございます。どうも私の方に(そして恐らく中国のエコノミストの「日本病」の理解にも)いわゆる「円高シンドローム」と田中先生の解説にある「経常収支黒字の袋小路」という現象との混同があったようです。私のあまり根拠のない見通しを言えば、今後の中国がかつての日本のようにアメリカとの貿易摩擦回避のために金融政策を左右される可能性は低いと思いますが、資本市場のゆがみからバブルを発生しやすいという問題や、財政出動による社会資本整備を効率よく行えるかどうか、という問題はずっとついてまわりそうです。いずれにせよ、今回の議論で「中国経済について論ずるものは日本経済をよく知っていなければならない」ということを改めて思い知らされました。どうもありがとうございました。

Baatarism (2005-11-27 21:42)

bewaadさんが(日本のリフレ派が)言っている「円高シンドローム」というのは、日本の金融当局が対米関係を気にして金融を引き締めることで円高を維持しようとする傾向なのに対して、梶ピエールさんが(中国のエコノミストが)言っている「円高シンドローム」というのは、プラザ合意以降に急速な円高が進んだことに対して日本が金融を緩和しすぎて、その結果バブル→資産価格高騰→金融引き締め→バブル崩壊となったことを指しているのでしょう。異なる現象に同じ言葉が割り振られたことで、議論が混乱したのではないでしょうか?

bewaad (2005-11-28 02:16)

>梶ピエールさん
こちらこそお付き合いいただいてありがとうございます。中国の貯蓄過剰状態というのはまさしく日本がかつて直面した課題で、しかもそれへの対応がうまくいかなかったという点で反省すべきものだと思いますので、どうしても中国経済を考える際にはあれこれ考えてしまう次第です。

bewaad (2005-11-28 02:19)

>Baatarismさん
「円高シンドローム」は大野・マッキノン以来の概念ですから、中国のエコノミストが誤用をあらためるべきだと思います。というのも、単に著作権的な話ではなく、そのような誤用で「円高シンドローム」を解してしまうと、まさに日本の轍を踏むことになってしまうからです。「元高誘導」という言葉に反応してしまったのもそのためで、元安誘導をやめることによる自然体での元高であればともかく、そうした方向で金融政策を運用することは、まさに日本が陥った罠だと思います。

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