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2006-01-30

[economy][pseudos]トンデモ#12:「山田の法則」?

「トンデモ」の語を人口に膾炙せしめたと学会においては、「ひでおの法則」が見出されて(笑)います。

ひでおの法則
トンデモ関係の工学博士はみんな名前がひでおである
内田,糸川,関,村井ひでお、など

オタク文化論・オカルト各論

それに対抗して経済評論における「山田の法則」が提唱できないでしょうか?

山田の法則
トンデモ経済評論関係のメディア関係者はみんな名前が山田である。

その両巨頭の一人が「静かなるデフレ」の著者である山田伸二・NHK解説委員、もう一人が今回取り上げる山田厚史・朝日新聞編集委員です。

#サンプル数2で法則というには無理があるような気も。加えて他にもトンデモはいっぱいいるような気も(笑)。他のサンプルを募集中です‐とりあえず前者だけでも解決するためにも(笑)。

山田編集委員は、「対米黒字という幻想」と題して1/28の朝刊・Be on Saturdayに長文の寄稿をされています。そのスタートはいきなりこれです。

米国の貿易赤字は05年7000億ドルを超え史上最大を更新する、という。

日本の貿易黒字は11月までに9兆3000億円、年間では10兆円を超えそうだ。

黒字を稼いでいる日本がデフレに沈み、競争力で劣るはずの米国が好況に沸く。なぜなのか?

朝日「対米黒字という幻想」

なぜかって、そりゃ「競争力」に優れば黒字国・劣れば赤字国ではないからです。国内で使う以上に作れば輸出して黒字国に、作る以上に使えば輸入して赤字国になるだけの話。しょっぱなから飛ばしてくれますなぁ(笑。といっても、この問題意識がなければこの記事は成立しないわけですが)。

昨年1〜6月、日本の対米貿易黒字は3兆6200億円あった。同じ時期に3兆4200億円が日本から米国に還流している。

大赤字の米国に日本から銀行融資や証券投資などで資金が流れ、外資の懐に入って、今度は逆流して日本が買われている。

朝日「対米黒字という幻想」

日本からアメリカへの資金流入についても書いていますからわかっているのかもしれませんが、ネットの数字(輸出から輸入を差し引いたもの)である貿易黒字額とグロスの数字であるアメリカから日本への投資額を注記もつけずに比べるのはミスリードです。わかってない可能性が高いように思えますけれども(笑)。

インドは香辛料などを輸出して宗主国の英国から大幅な黒字を稼いだが、支払いは英国通貨のポンドで、ロンドンの銀行に預けられた。インド人の汗と涙で稼ぎ出した貿易黒字は帳簿の上だけだった。英国企業に融資され、宗主国の投資や消費を活発にした。英国人はインドの産物と資金で一段と豊かな暮らしを実現した、という。

三国さんは近著「黒字亡国」で、いまの日米関係が植民地時代のインドと英国の関係に酷似していることを丹念に描き、「対米黒字が日本にデフレを引き起こしている」と説いている。

植民地インドと同様に、日本は稼いだカネを米国に置いてきている。

朝日「対米黒字という幻想」

まず植民地時代のインドの輸出品目を見ますと、19世紀のインドの貿易では、棉花、綿糸、綿布、アヘン、米など概して数種類の主要品目が大きな比重を占めており、第一次大戦前には、インドは一方では欧米・日本に対して第一次産品を輸出し、工業品を輸入する発展途上国型の貿易構造を維持しながら、他方では東南アジアや東アフリカには工業品を輸出し、第一次産品を輸入する先進国型の貿易構造を作り出したとのことですから、そもそも「香辛料などを輸出」という認識が極めて怪しいわけですが。大航海時代で脳内歴史が止まってませんか(笑)?

でまあ上で書いたように貿易黒字は輸入できるほど国内消費・投資がなかったということと同じなのですが、輸出で黒字となっても生活水準が向上しなかったのは、ポンド払いであったことなどより、

  • 高付加価値産業である綿織物製造から駆逐され低付加価値である原材料品の産地として特化させられたこと、
  • しかもその輸出はイギリス系商人によって担われ輸出することに由来する付加価値分もイギリス人の懐に入った、
  • 相対的為替レートがポンド安・ルピー高に設定され交易条件が不利だった、

ことの影響の方がよほど大きいでしょう。ちなみに貿易黒字(正確には経常黒字)は資本赤字の鏡像で、資本赤字は国内投資をカバーしてなおあまる国内貯蓄のことですから(政府の存在は捨象)、ポンド払いでなくルピー払いだったとしても海外に金を持っていかざるを得なかったのです。

植民地インドと同様に、日本は稼いだカネを米国に置いてきている。

米経済戦略研究所のクライド・プレストウィッツ所長はかつて私に言った。

「レクサスはいいクルマだ。トヨタは米国人に売っていると思っているが、我々は日本のクルマを日本人のカネで買っている。米国にとってこんなうれしいことはないが、こんなことがいつまで可能なのか」

こんな日米関係を、米政府内では「日本は米国のクライアントカントリー(保護領)」と呼ぶ人がいる、という。国際収支が黒字になっても「勝ち」ではない。資金を自国で使えないなら「貢いでいる」のと同じである。

朝日「対米黒字という幻想」

プレストウィッツがどのような趣旨でコメントしたのか裏は取れませんが、まともな経済学に基づく発言だとすると、日本から借金して日本から物を買うという自転車操業がいつまでつづくのか、そのサステナビリティに懸念を示したと考えられます(この手の懸念であればクルーグマンやバーナンキも表明しています、というか現在アメリカでの経済論壇における主要論点の1つです)。

それが山田編集委員の手にかかると「貢いでいる」ということになってしまうのですから、正しい意見も聞き手に能力がなければ正しくなくなってしまうといいますか(笑)。日本が資金(経済学的に正確を期すなら超過貯蓄)を自国で使わないのは、自国で使うより海外で使うほうが得だからに他ならず、別にアメリカに強いられてアメリカに投資しているのではありません。アメリカ政府内で被保護国扱いされるのは安全保障の観点から見てのものと考えるのが自然でしょう(安保条約の実質的片面性など)。

ついでに揚げ足を取っておきますと、国際収支=経常収支+資本収支+誤差脱漏で、会計的には経常収支と資本収支はネットアウトでゼロになりますから、「国際収支が黒字」になるのは誤差脱漏ゆえ(笑)。その黒字が「『勝ち』ではない」って当たり前ですね(笑)。

#経常収支のつもりで使ったのでしょうが、それにしても「勝ち」を意味しないのはこれまで申し上げたとおりです。

で、締めは次のとおりです。

経済の血液が米国に流れれば、その分日本は消費や生産に回るマネーを失い、経済は停滞する。代わりに得ているのが米国の政府が発行する国債だ。ドル建ての米国債は円高になれば減価する。しかも勝手に売れない。日本が資金を引き揚げたら、それこそドル暴落が起こりかねない。

「わたし貢ぐ人、あなた使う人」の日米関係。ブッシュ政権は、減税をしながらイラクに大量の兵士を送るという芸当が可能になる。

小泉・ブッシュの友好は「対米黒字」が支える同盟関係だ。

朝日「対米黒字という幻想」

おいおいこの文脈からいきなりイラク政策批判ですか。別に批判したっていいのですが、そのロジックがこれほどデタラメではかえって他の批判者の足を引っ張るだけでしょう。でまああれこれの問題点が濃縮してますのでそれぞれを簡単に。

  • 「経済の血液が米国に流れれば」ってだから民間ベースの投資判断で行われているわけで、誰も強制しているわけではないんですってば。で、日本が貿易黒字国になったこととデフレになったことはどのぐらい近接したタイミングで発生しましたか?
  • 「ドル建ての米国債は円高になれば減価する」って円安になれば逆に儲かりますが何か(笑)?
  • 「しかも勝手に売れない」ってどうせかつての橋本発言(アメリカの貿易摩擦に由来する対日強硬発言に対して「米国債を売却したい衝動にかられる」とかいったやつ)がアメリカから批判されたことあたりが念頭にあるのでしょうが、どの国だって自国の国債市場を乱高下させかねない軽率な発言をされたら抗議・批判ぐらいして当然です。それが陰謀論者の手にかかると・・・。
  • 「減税をしながらイラクに大量の兵士を送るという芸当が可能になる」のは、日本でも流行の財政の信頼性やらサステナビリティの問題です。別に日本の投資家がアメリカ国債を買わなくたって、それ以外の投資家がそのリターンがリスクに見合うと思えば買うでしょうし、日本の投資家が買い続けようとしたってそれ以外の投資家の多くが見放したら買い支えられるものではありません。幼稚な陰謀論はほどほどに。

以上、クオリティペーパーのディスクオリティでした。

[science]太陽表面低温の法則をはぐくむもの

上のエントリでの「ひでおの法則」についてのリンク先でそのすぐ下を見ると、太陽表面低温の法則が紹介されています。

太陽表面低温の法則
なぜかトンデモ関係者はみんな主張するらしい
その証拠:高い山に行くと涼しくなる。(大槻教授その他主張)
その他の主張:プロミネンスが熱いだけで本体は冷たい。太陽黒点は森である。

オタク文化論・オカルト各論

かつてとあるスキー場に行った際に女子高生と思しき集団の中でまさしくこれに関する会話がなされていまして、

「ねぇねぇ、何で高いところに行くと寒いのかなぁ。だって高いところの方がお日様に近いでしょ? 不思議じゃない?」

「そうだよねぇ、低いところの方が寒ければスノボだって近くでできるのにぃ」

「ホント、何でだろうねぇ?」

と盛り上がっていました。彼女たちに「実は太陽表面は低温で、暖かいのは地熱によるものだったんだよっっっ!」と言ってあげたら「な、なんだってー!」と応じてくれたのでしょうか(笑)?

[comic]現在官僚系もふ・第39話

先週webmasterは次のように書きました。

で、作中でも予算案が出来上がったばかりだというのに、どうやって歳出削減に取り組むというのでしょう。現場にでも出て行って止めようとするといったところでしょうけれど・・・そういう抵抗勢力叩きをしたいなら財務省でなく会計検査院か総務省行政評価局の職員にでもしておけばいいのに。

ところがどっこい、現場に出るどころか主計局内異動ですよ(笑)! なぜ現場と申し上げたかというと、そこで言い訳できないような不正を見つけたなら行政府の裁量で予算執行を止めもできるでしょうという趣旨でした。それがなんともはや、このまま夏以降までとどめ置いて平成19年度予算案の査定で減らすというのでしょうか(笑)。それとも(作中時間において審議中であろう)来年度予算案の修正でもさせます(笑)?

#一年生係員がずっといない本籍地(笑。緑さんも一番下っ端のままですねぇ、これでは)も悲惨だと思いますが、まあ作者の知ったことではないのでしょう。妙に背伸びせずそういう辺りをきちんと描けば霞が関からの評価も上がると思うのですが、そんなものはいりませんかそうですか。

ところがあくまでデスクワークだということであれば、国会の議決を経た予算を当該議決時からの特段の事情変更もなく担当が1人で勝手に止めるということになります。もちろん予算は歳出権限の上限を画するもので効率的な執行等により予算額より少なく収めることはよくある話ですが、対中ODAを出すか出さないかといった政治マターを根っこからなかったことにするなんてことは、常識的にはかんりょーの政治・国民の無視・軽視ではないかと。

取り上げたテーマである対中ODAについても一応触れるなら、前回のBSEもそうですが、それなりに経緯があって意見が対立している問題について一方の観点のみを正しいとするのは底が浅いと申しますか、そういう問題をきちんと描ききるだけの力量はないのだから無理しなければいいのに、と思います。

最後に取材が足りないといつも言っていることの極めつけですが、総理秘書官(首相秘書官としていないのは評価できます)は局長級ないし審議官(局次長)級ポストで、補佐や係長ごときがどなりつけたり脅したりなんてことはあり得ません。というか絵柄を見てもそういう年齢のキャラとしては描いていないわけで、そのぐらいきちんと調べましょう。

本日のツッコミ(全11件) [ツッコミを入れる]
luke (2006-01-30 19:53)

新聞の経済論説のひどさですが、毎日新聞は相変わらずすさまじい。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/tamaki/news/20060129ddm008070102000c.html

野口旭氏は「ケイザイを斬る!」第1回で毎日新聞の2001年3月12日朝刊の社説「デフレ宣言 物価下落を止めてはならぬ」にみられる経済音痴ぶりを指摘した後「おそらくこの『毎日新聞』も、「物価下落を止めてはならぬ」とまでは言わなくなっていると思う」と述べていますが、甘かったようです。

Baatarism (2006-01-30 21:48)

>lukeさん
「大政翼賛型経済学者、エコノミスト」
「正義の経済政策」
「悪巧みの土壌ともなっている超緩和政策」
いやいや、すごい言葉が並んでますね。

「岩田規久男も野口旭も田中秀臣も若田部昌澄も、小泉マンセーの大政翼賛型経済学者だったんだよ!!」
「な・・・・なんだってー!!」

銅鑼衣紋 (2006-01-30 21:57)

かつて、福井総裁が追いつめられて無効なはずの量的緩和の強化に
踏み切ったときブッタギレたエコノミストが多数でましたが、今度は
小泉・竹中・中川の(まあ福井さん同様なんでしょうがw)リフレ派
転向とも聞こえる宣言で、またまた認知不協和に陥った人が出てきた
わけですねぇ(笑)マクロ政策派をクルーグマン信者とかいってバカ
にしていた人たちの方が、予言者・聖人の裏切りで深く傷ついている
ようで、ご愁傷様としか言えませんな。

読者の一人 (2006-01-30 23:08)

匿名ハンドルで失礼します。
経済は胡散臭いものと思われているので経済音痴でも気にならないのでは。
ttp://mazzan.at.infoseek.co.jp/hoko1.html(11/28付)
世間一般ではマクロ政策派なんてこれくらいの認識でしょう。
いつも思うのですが経済学者に向けられる目が厳しくて悲しいです。
これだけ不況だと言われ続けていれば当然なのかもしれませんが。

銅鑼衣紋 (2006-01-30 23:18)

>読者の一人さん

不況は関係ないですよ。高度成長の真っ盛りにも「くたばれGNP」
とか「経済学第二の危機」とか、凄かったですよ(笑)床屋談義に、
学問だなんて無粋なせりふを吐きながら割り込むことがみなさん大変
ご立腹ということが大きいように思います。

bewaad (2006-01-31 07:20)

>毎日のアレ
本日(1/31)のエントリで取り上げました。ご覧いただければ幸いです。

bewaad (2006-01-31 07:24)

>読者の一人さん、銅鑼さま
あくまで主観的観測なのですが、表に出てくる批判はそのときどきの情勢に応じていろいろあるでしょうけれど、サイレントマジョリティの経済学に対する最大公約数的態度としては、やはり不況によって悪化しているのではないか、という気がします。そのかつて評価されていた「経済学」は重商主義的・産業政策的なそれだったりはするかもしれませんが(笑)。

ぬこたん (2006-01-31 23:17)

>>#サンプル数2で法則というには無理があるような気も。加えて他にもトンデモはいっぱいいるような気も(笑)。他のサンプルを募集中です‐とりあえず前者だけでも解決するためにも(笑)。

つ:山田 昌弘

bewaad (2006-02-01 03:48)

>ぬこたんさん
実は山田昌弘先生の著作はあまり読んでいないのですが、エントリで掲げた二人ほどの打率(笑)なのでしょうか?

koge (2006-06-24 21:49)

>AKITさんのTB
山田氏がこう書く以上は、やはり総裁は辞めるべきなんでしょうね(笑)

bewaad (2006-06-25 21:10)

>kogeさん
個人的に美質があるからもったいない、なんて理屈は、じゃあ美質がなければいいのかってことですし、まさしく道義的・倫理的に判断せよってことになってしまいますからねぇ(笑)。

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