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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2006-03-21

[economy]無謀にも大竹先生に異論を唱えてみる。

大竹文雄先生による「若者の所得格差拡大」での現状分析にはほとんど同意するばかりなのですが、一点だけ納得のいかないところがあります。若者の所得格差拡大の是正策として4つのご提案をなされているうちの1つです。

第三に、既存労働者が実質賃金の切り下げに応じやすい環境を作ることだ。デフレ環境では、実質賃金を引き下げるには、名目賃金の低下を受け入れる必要がある。しかし、インフレのもとでは労働者は実質賃金の切り下げを受け入れやすい。最低限名目賃金の維持さえ獲得できれば、労働組合委員長の面子も立つのではないだろうか。また、デフレでもなかなか低下しない教育費、住宅ローンについても、デフレに応じて負担を減らすことができるような制度を組み込むことが必要だ。そうすれば、既存労働者が名目賃金の引き下げに反対することで、潜在的な労働者である若者が不利な立場に立たされることもなくなり、日本企業の長期的な成長力が低下することもない。

「若者の所得格差拡大」(@大竹文雄のブログ3/20付)

住宅ローン(に限らず貸出債権)にデフレ連動減価を組み込んだ場合、デフレ下では銀行の資産は痛まざるを得ません。他方で負債である預金は元本保証商品ですから、このシステムでは銀行にデフレのリスクが集中することになります。最近の日本を振り返っても、商品として事前に組み込んだものではないにせよ、借り手の破綻等による債権カットを通じて銀行資産のデフレ連動減価は事実上事後的に実現したも同然で、その結果不良債権問題が世を賑わせ金融不安を惹起したことは記憶に新しいところです。

これを放置すれば信用収縮によりいわゆるデフレスパイラルにつながるわけですから、何らかの対策なしにデフレ連動減価貸出など導入できるはずもありません。安直な対策は政府が銀行を支えるというものですが、マクロ的に見た資源配分上、このような銀行への優遇が望ましいといえるのは緊急対応に限られるでしょう。

であるなら、銀行の資産が減価するのと同様に負債も減価させるしかありません。といっても存在するリスクは消滅することなく転嫁されるのみですから、銀行から預金者にデフレリスクが移っただけということ。とりあえず家計が主たる預金者だとして、デフレで預金が減価するなら、結局はそもそもの目的であった実質賃金の切下げを受け入れてもらえなくなってしまう、というのが単純な問題です。

単純な問題というならそうでない問題は何かといえば、預金は通貨にほぼ等しいものとして、事実上現金と同様に用いられていますが、そうした使用が妨げられることです。現金はデフレで減価しないのに預金は減価するなら、「ほぼ等しい」ものではなくなってしまい、経済活動において預金決済から現金決済へのシフトが起こってしまいます。結局起こるのは銀行要因ではなく貨幣要因での信用収縮で、また解決したはずの問題が生き返ってきます。

#おそらくマネーサプライの定義から預金通貨が外れるという形で統計上はより直截に現れるでしょうけれど。

となるとさらに先に進み、デフレの場合には現金も減価する仕組みを作ればよい・・・って、ゲゼルの消滅貨幣です。名目貨幣価値が固定され財やサービスの価格のみが変動する通常の通貨体系に比べ、名目貨幣価値と財やサービスの価格が独立に変動するこの体系の方が価値測定のコストを引上げ、経済活動を収縮させることは想像に難くありません。

とあれこれ生じ得る問題を考えてきましたが、これらよりはそもそもデフレにならないようにする、仮になってしまったらそこからの脱却に全力を尽くす方がよほど問題が少ないのではないでしょうか。大竹先生がお書きのとおり、インフレ環境ではデフレ連動減価ローンを必要とする前提が崩れ、つまりは実質賃金の引下げは容易です。デフレ環境を所与のものとしてその中での実質賃金引下げ策を模索するより、デフレ脱却策をこそ検討すべきだとwebmasterは思います。

[economy][politics][BOJ]国会における経済論戦 その5

"pseudos"カテゴリにも入れようかと思った(笑)珠玉の逸品をどうぞ(以下の全ての引用中の強調はwebmasterによります)。

○大塚耕平君 今回、ライブドア事件でいろんな物議を醸しているわけでございますが、今日はその背景について、短い時間でございますので三点、是非、皆様方、とりわけ閣僚の皆様方と議論をさせていただきたいと思ってこの時間をいただいております。

今まで二つ出ました。一つは、企業が法律さえ守ればいいという形で、もう一回だけ片仮名使いますが、コンプライアンスという言葉を誤解しているがために、法律にはやってはいけないとは書いてなくてもやってはいけないことがあるんだという点についての思いが十分に至っていない。これは倫理とか企業の価値、信用ということと言ってもいいかもしれません。

それからもう一つは、今申し上げました、活動の自由に対して被害を与えたときには一罰百戒ですよというその罰則の均衡が保たれていない。これが二点目であります。

三点目は、実は大きな経済の流れの中で金融緩和をやり過ぎると金融・証券不祥事というのは起こりやすくなるというその環境のお話をさせていただきたいと思います。(資料提示)

お手元のグラフは、プラザ合意のあった一九八五年から今日までの赤い線が株価、そしてビルのようになっております青い線が公定歩合、そしてこの折れ線グラフのように右にほとんど一直線に伸びているのが財政赤字であります。そして、この八七年から九三年まで、グレーのシャドー、失礼しました、影を掛けてございますが、この時期は、一九八八年に、先輩の議員の皆様方は御承知のとおりリクルート事件が起きまして、その後、様々な金融・証券の不祥事、それは株にまつわることもあれば、土地にまつわること、あるいは絵画にまつわること、そして九一年にはその資産にかかわる様々な大手銀行の不正融資事件が続発をして、結局、衆議院と参議院に証券金融問題特別委員会が設置をされたわけでございます。私はこのころ金融・証券の現場にいましたので、そういうことの調査もやりましたし、これは大変なことだなと思っておりました。そして、その後の白い期間、これが失われた十年とか失われた十五年とか言われているその期間であります。

総理は、在任中に不良債権の処理をして経済を立て直したと、そういうお話になっておりますが、これはどのように立て直されたかといえば、この公定歩合の階段がどんどんどんどん下がってきて、もうほとんど下に付くぐらいまで来てしまった。この金融緩和に支えられたということは、これはどなたも否定できない事実だと思います。

そして、その間にどういう金融緩和が行われたかというと、先ごろ量的緩和政策の解除で随分話題になりましたが、これも国民の皆さんには日本語で言っても分かりにくいと思いますよ。しかし、九九年にゼロ金利政策が始まり、量的緩和政策が行われ、それだけが注目されておりますが、その後、財務省が行った為替介入の非不胎化政策、介入自身は日銀がやりますけれども、しかし財務省と日銀が行って、つまり介入した資金をじゃぶじゃぶにマーケットに残した、市場に残した。そして、国債が事実上の貨幣と同じような役割を果たすという物すごく前例のない金融緩和が行われて、ようやく二〇〇三年の小泉政権のちょうど真ん中辺りで株価が七千円台を付けたところから今日上がってきているんですが、実は株価というのは絶対水準じゃないんですよ。どのぐらい上がったかという比率、その比率によってやはり不祥事が起きやすいか起きやすくないか、この私は指標があると思いますよ。

ちょうどこの八七年は、二万円からそしてピークの三万八千円に行くこの過程で、世の中の人が、あるいは株式にかかわる投資家や企業の方が、これは上がるぞということを前提にして様々な経済活動をやったことが不祥事につながっていったんですね。このときは株だけじゃないです。さっき申し上げたように、土地とか絵画とかいろいろありました。今日、小泉総理の在任中の一番ボトムのところからちょうど今二倍ぐらいに来ているんですよ。そこで起きたのがライブドア事件であります。

こういう経済環境が金融・証券不祥事に非常に大きな影響を与えているというふうに私は思いますが、その点についての総理のお考えをお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは随分大きな質問でね、時間をいただければゆっくりやりたいんですけども、あんまり時間を掛けちゃいけないでしょう。

財政・金融政策をこの経済の停滞を脱するために最大限活用しようということでやってきたわけであります。平時の経済政策では現在の経済状況というのはとても理解できないほど複雑であります。また、日本だけの対策では一国の経済状況を改善するには限界があると。国際情勢、国際経済にも大きく影響されます。

そういう中で、今言われた今までの過去の対策ずっとこのグラフにして示されましたけども、端的に言えば、金融政策も財政政策も今までの経済理論から理解できないほど目一杯使ってますよ。そして、目一杯使っても想像できない事態が起きています。なぜならば、普通だったら、これだけの国債を増発して財政政策やっていると、そう言われながら緊縮政策だという批判を受けている。これも理解できないでしょう、普通から考えれば。これだけのゼロ金利のみならず量的緩和、こういう財政・金融政策を打ったなら、普通だったらばインフレですよ。インフレ起きておかしくない状況ですよ。それが今デフレ。これも今までの経済理論から言えば理解できないことです。

しかし、そういう中で様々な経済・金融対策を打って、ようやく今景気回復の足取りがしっかりしてきたと。デフレ脱却の兆しが見えてきたという状況になってきているわけであります。

でありますので、現在のは、現在の対策というのは平時の対策ではないと、非常時と言ってもいい、様々な、むしろ常識外れの非常識な対策を打ってでも今の経済状況を正常なものにしていかなきゃならないと。ここがまた難しいところで、正常な財政・金融政策では経済が正常な状況に戻らないから、あえて非常識な異例な対策を打たざるを得ない。それだけ、なかなか経済というのは生き物であり難しいなと感じております。

第164回国会 参議院予算委員会 議事録第12号(2006年3月15日)

証券市場におけるスキャンダルも量的緩和の所為ですか(笑)。そのうち地球温暖化やトリノでの日本代表選手団の不振の原因にまでされるかもしれませんねぇ(笑)。

対する小泉総理も、「今までの経済理論」の使いどころが素晴らしい(笑)。どうやら小泉総理にとっての「今」とはケインズの一般理論公刊前ということのようですが、自分が知っているものが全てだとお考えなんでしょうか(笑)?

○大塚耕平君 国民の皆さんにテレビを通じて申し上げたいと思います。(資料提示)最大の日本経済の疲弊の原因はこの財政赤字がずっと増え続けていること、そしてこれは将来の世代にも大きな禍根を残すので、このことを削減する、まともな水準に戻すということが今の世代の政治にかかわっている人間の非常に大きな仕事であると、そのことを申し上げたいと思います。

その上で、今の総理の御発言ですと、国民の皆さんが誤解する点がございます。不良債権の処理はある程度進みました。それは認めます。しかし、これがだれのコスト負担で実現したかということについては、総理はどのように思っておられますか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) (略)

○大塚耕平君 私は今批判なんかしてないですよ、総理。この不良債権の処理がだれの負担で、経済全体から見たらだれの負担で行われたかということを国民の皆さんが冷静に認識をしていただかないと経済の今進んでいることが分からないということを申し上げているので、総理の御認識をお伺いしたかったんです、先ほどの法令遵守の話と一緒で。

申し上げましょう。先ほど、ごめんなさい、与謝野大臣、私に話をさせてください。日銀から、一九九一年を基準にすると、この十五年間で金利収入が家計から、家計を中心に金融資産を持っている人から三百四兆円逸失したという答弁がありました。そして、九一年は少し基準として高過ぎるかもしれない、それは私もそう思います。そこで、ちょうど世界の平均あるいは日本の平均である金利水準であった九三年を基準にすると、テレビをごらんになっている家計の皆さんを中心に百八十兆円の金利収入が失われたという日銀答弁がありました。そして、この失われた十五年間で不良債権処理に投入された資金が実にちょうど百八十兆円ぐらいなんです。

マクロで見ますと、家計の皆さんが金利収入を失って、それが銀行を含む企業部門に言わば転嫁をしている。しかし、これは経済が破綻しては困りますからやむを得ないことだったかもしれない。しかし、この企業や銀行の立て直しのために使う財源というのは本来は政府が負担するべきもの、そのように考えますと、この十五年間で本来政府が負担すべき財源を国民の皆さんの金利収入を放棄するという形で捻出をした、そういう認識でいいんですねということを私は総理にお伺いをしたかったんです。そうかどうかということを国民の皆さんにお話しいただけませんか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 最初からそう言ってくれれば分かりますよ。漠然とした質問するから、こっちも漠然とした大きな答弁しかないでしょう。

今、金利の、これも一面だけで見ちゃいけないんですよ、家計のことばっかり言っているけども。預金が、ゼロだと、金利が。家計の負担だと言っているけれども、国民の中には預金している人もいるし住宅ローン借りている人もいるんです。金利が低いといって、預金者は損している損している、こういう人たちを犠牲にしていると言われますけれども、同時に、ローンを借りているのは低いから得しているわけですよ。全部プラスマイナスあるんです。それを一面だけ見ているのはいけないから両方見なきゃいかぬと。

そして、企業を優遇していると言うけども、企業が発展するからこそ雇用も増えていくんです。企業が業績を上げれば賃金も上がって従業員も潤うわけです。

ですから、一面だけ、金利がゼロだと、だから預金者は損している損していると言うけども、借りている人は金利が低いから得しているんですよ。で、金利がこれ上がってくればまた批判しますよ、借りている人はどうするんだどうするんだと、一方だけ批判する。

だから、両面を見なきゃいけないということを私は言いたい。大塚さん、いい指摘してくれましたよ。

第164回国会 参議院予算委員会 議事録第12号(2006年3月15日)

財政赤字がなければもっとひどいことになっていたのですが、これはまだ序の口。

預金者の逸失金利収入についての言及は多くなされていますが、ここでの大塚議員のように不要債権問題と対比するとそのおかしさがよくわかります。「失われた15年」において債権者‐預金者もこの仲間です‐が損をして債務者‐借金を返せない不良債権の貸し先はもちろん債務者です‐が得をするというなら、借り手は大いに得をするわけで借金が返せなくなる者が多数に上るはずもありません。むしろ得をするなら借金をする者が銀行に殺到するのが自然です。ところが現実には債務者は概して返済負担に苦しみ、その結果銀行の貸出債権が続々と不良化していったのは皆様ご存知のとおりです。

もちろんこれは債権者が損をして債務者が得をしたという前提が間違っているからで、債権者が得をして債務者が損をしていたからそのような事態が生じたわけです‐名づけて「大塚議員の背理法」(笑)。金利は下がったところでゼロですが物価はマイナスになり得るので債権者はただ現金を持っていればその実質価値が増し、他方で債務者は金利付の資金を借りて減価する財・サービスを仕入れているわけですから損をすると。一言でいえば実質金利(金利−物価変動)が上昇したから債権者が得をして債務者が損をしたということです。

小泉総理はうまくかわして真正面から大塚議員に賛同してはいませんが、考え方は一緒ですねぇ・・・。

○大塚耕平君 私は片方だけ見ていただきたいなんて言っていません。おっしゃるとおりで、いや、実にいい答弁をしていただきました。

過ぎたるは及ばざるがごとしなんです、金融政策も財政政策も。だから、金利も上げても下げても、損をする人もいれば得をする人もいる。だから、金利はそこそこの水準になければならないんです。それが今なぜそこそこの水準にできないかというと、それは谷垣大臣が所管しておられる国債の発行残高がこんなに増えてしまって、そのことが金利が上げられない最大の理由なんですというふうに言っていただければ非常に国民は分かりやすいわけなんですが。

そこで、今日は日銀の武藤副総裁においでいただいておりますので、財務大臣、後ほどお伺いしますので、ちょっと待っててください。

先般の量的緩和の解除で、当面ゼロ金利を維持すると、そして物価安定の目安として消費者物価上昇率がゼロから二%と、このように発表されたわけなんですが、この物価安定の目安というのが意味がよく分からないんですね。二%を超えるまではゼロ金利を続ける、つまり消費者物価が二%を超えるまではこの異常な金融政策、過ぎたるは及ばざるがごとしのその過ぎたる金融政策を続けるのかどうかというのが次の大きな課題になります。そして、いや、低いんだったら、ローンの金利も低ければ、総理のおっしゃるように双方、借りている人、預けている人、得するからいいんですよ。ところが、預金金利は〇・〇〇一%、普通預金、そして定期預金でも〇・〇三%とか、そこは据え置かれたまま既に住宅ローンの金利は上がり始めているわけですよ。企業に対するプライムレートも上がり始めているわけですよ。つまり、均衡が取れていないんです。

そこで、ここは日銀副総裁と財務大臣に両方にお伺いしたいんですが、財務大臣には質問の内容が少し変わってしまって恐縮ですが、日銀には、二%を超えなくても、場合によってはゼロ金利を解除する可能性があるのかどうかということをお伺いします。

そして、財務大臣には、やはり今財務大臣の上司であられる総理大臣が過ぎたるは及ばざるがごとしということをおっしゃったわけですから、日銀の副総裁のこれから御発言される答弁に対してどのようにお感じになるかを御答弁いただきたいと思います。

○参考人(武藤敏郎君) (略)

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどから大塚さんの議論を伺っておりまして、課題は共通なんで、ぐるぐる回る輪廻からどうやって脱して解脱できるかと、その解脱の道を探ろうということですよね。

それで、大塚さんの御診断は、解脱するためには金利を正常化しなきゃいかぬと、まあこういうことだったと思うんです。その金利によって大きく国民が、失われた十年を抜け出す間に金利によって国民が大いに負担を被ったじゃないかという御議論でした。

私は、そういう面も確かにあると思います。しかし一方、これだけ国債発行残高が積み上がってきたというのは、私は財政演説で四つ目の過剰だって言いましたけれども、この日本の今の財政赤字はですね。過剰債務や過剰雇用、過剰設備、こういうものを乗り越える間に、やっぱり国の国債も、国もそれだけある意味では犠牲を被ってきたということだろうと思います。それで、これは最終的には国民負担になっていく。

今、金利が正常化できない原因は財政だとおっしゃった、赤字国債がこれだけ積み上がっているからだとおっしゃった。実は、私はちょっとそれは一面的だと思うんですね。お互いに因となり果となってこの因果の連鎖があるんですよ。それをどうやって断ち切っていくかということが問題だろうと思います。

で、私は、日銀が専門家が集まって慎重に判断されたこの結果、これは当然尊重しなければならないと思っております。今後、じゃゼロ金利がどうなっていくかと、これもまた慎重に判断されて、自然に金利の調整が行われていくでしょう。私の立場としては、その際に、やっぱりマーケットが変なふうに暴れられちゃ困るということであります。やっぱり安定的に推移して、落ち着くべきところに落ち着いていっていただきたい。そのために日銀も頑張っていただかなきゃならないし、私どももやるべきことはやらなきゃいけないと、こう思っております。

第164回国会 参議院予算委員会 議事録第12号(2006年3月15日)

今はとにかくデフレをなんとかしろ、デフレである環境においてインフレを心配するのは栄養失調で苦しんでいるときに肥満を心配するようなものだ、といった趣旨のことを繰り返し申し上げてきたwebmasterですが、こうしたやりとりを目にするとインフレが心配でなりません。というのも、政府債務残高が多いことを理由に利上げできないというのであれば、今後インフレ局面になったときでもまともな引き締めができずインフレの昂進を放置するということに他ならないというのに、野党議員がそれを当然視し、財務大臣も否定しない。ま、日銀のことだから大丈夫でしょうけれど(笑)。

#しかし、金利のみを取り出して適正な水準を観念できるというのもすごいですねぇ。

ちなみに貸出金利に比して預金金利の上昇が遅いということですが、本来預金金利はマイナスでないとペイしないところ、マイナスにはなれなかったためにゼロ近傍でとどまっているからというだけのことです。先にも書きましたが、預金者が名目金利の非負制約ゆえに得していた部分がはがれていく過程が今始まっているのです。

なお、武藤副総裁の発言を略したのは、単に日銀の公式見解を述べているだけだからです。総裁と違って不規則発言がないのは、官僚というバックグラウンドのなせる業でしょうか(笑)。

○大塚耕平君 誤りなき金融政策、財政政策の運営こそが、残された総理の在任中における総理の大きな仕事だと思います。是非在任中に、次の総理ではできないかもしれないゼロ金利の解除をされることを期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

第164回国会 参議院予算委員会 議事録第12号(2006年3月15日)

で、大塚議員は日銀出身なのですが、日銀はこんな裏切り者の存在を許してよいのでしょうか? 日銀があれほど金科玉条としている中央銀行の独立性に価値を全く認めず、金融政策運営を総理の大きな仕事と位置づけた上で、ゼロ金利解除の決定主体となることを期待しているのですよ、彼は(笑)!

本日のツッコミ(全14件) [ツッコミを入れる]
大竹 (2006-03-21 08:15)

私は金融のことは詳しくありませんが、デフレ連動ローンやノンリコース・ローンであれば、最初から金利にプレミアムがつくので、必ずしも銀行だけが損失を被るわけではないと思います。説明不足だったのかもしれませんが、事前にそういうリスクを組み込んだローンの話をしているのであって、事後的に銀行が不良債権処理をしろというのではありません。

koge (2006-03-21 12:12)

う〜ん…「この政治家にしてこの中銀あり」なのか、「この厨銀にしてこの政治あり」なのか…orz

Baatarism (2006-03-21 12:35)

きっと大塚議員にとって金利というのは単なる政策手段ではなく信仰対象なのでしょう。金利のためなら独立性などただの手段でしかないわけですね。w

そういえば彼については2005-08-12のコメント欄でもbewaadさんがこれと同じようなコメントをしてましたね。

cloudy (2006-03-21 15:42)

大塚耕平、相変わらずですね。日銀の魂百まで。
昔、苺のトンデモスレで彼を紹介した記憶があります。参考まで。
http://www.ichigobbs.net/cgi/15bbs/economy/0748/36

銅鑼衣紋 (2006-03-21 16:34)

>cloudyさん

一方には、「デフレ脱却の鍵は財政支出であり、それをサボってい
る政府の責任を問わず、日銀に罪を擦りつけるインタゲ派は政治
的」という日銀シンパもいれば、大塚某みたいに「財政出すからデ
フレになる」という元日銀マンもいる(笑)こいつら同志でバトル
してから、インタゲ派と決勝戦なら楽なのに、なぜかこいつら同志
は仲良しだから困るw要するに、インタゲ/リフレ阻止できればあ
とはどうでも良いんでしょうね(藁)

ドラめもん (2006-03-21 22:50)

2月23日の参議院財政金融委員会は珍しくインターネット中継を聞きながら仕事してたのですが、このとき大塚センセイは「良いデフレ」の話はするわ(会議録の発言番号136)、「家計部門の想定逸失金利収入」の話はするわ(発言番号140)と聞いてて頭が痛くなりました。ネタにするのすっかり忘れてましたが(笑)。
で、白川理事が逸失金利収入の質問に答えさせられた部分(発言番号141)ですが、報道では当然ながら「日銀の白川理事は国会で逸失金利収入に言及」みたいな書かれ方をしてて、これじゃあ日銀が進んで発言したようで日銀応援団が足引っ張ってないでしょうかって気はしました(が、福井総裁が「預金者に我慢いただいている」とか言ってるのでアレなのですが、爆)。
本エントリー最後でご紹介された利上げ発言もそうですが、大塚センセイは日銀にとっても単なる「無能な味方」っぽいですな。

bewaad (2006-03-22 02:28)

>大竹先生
拙稿をご覧の上、コメントいただきありがとうございます(一応事前に仕組んだものだとは理解して書きました)。

結局、なぜそのようなローンが開発されないかを考えれば、デフレが極めて異例な状態であるからで、開発コストも無駄になりますし、ヘッジのニーズがなければプレミアム分だけ競争力がなく売れないとの判断があるのだと思います。

デフレが常態になるなら金融機関も取り組むかもしれませんが、そもそもそのような適応が不要である環境がよほど望ましいのではないか、と考えた次第です。

bewaad (2006-03-22 02:29)

>kogeさん
こと彼に関しては、エントリで書いたように出身母体が出身母体ですから、「この厨銀にしてこの政治あり」であることに間違いないでしょう(笑)。

bewaad (2006-03-22 02:32)

>Baatarismさん
名目金利に物価と独立した適正な水準があるというなら、エントリでも書きましたがハイパーインフレの際にはものすごいことになっちゃいます。独立性だけでなくインフレファイターという役割もどうでもいいということになると、やはり相当の異端(笑)。

bewaad (2006-03-22 02:36)

>cloudyさん
クラウディングアウトというものを、伝統的ISLMに基づく金利上昇としか理解していないようですねぇ。希少資源を取り合うからこそ価格が上昇するというロジックは日銀にいても身に付かない、と(笑)。

bewaad (2006-03-22 02:39)

>銅鑼さま
あと、論破されてもそうと気が付かず引き続き主張を続け、こちらが根負けしがちだという点でも共通しているような(笑)。

bewaad (2006-03-22 02:42)

>ドラめもんさん
そっちもありましたねぇ(笑)。

逸失金利は毎日をはじめメディアには評判が高いようですから、政治的には有能な味方なのではないでしょうか、残念ながら。ご指摘のとおり福井総裁の信念にも沿うものですし。

BUNTEN (2006-03-22 06:29)

>そもそもそのような適応が不要である環境がよほど望ましい
(http://bewaad.com/20060321.html#c07)

一票。
今はとりあえずインタゲとか緩和とかしか言わない理由がこれです。

bewaad (2006-03-23 07:54)

>BUNTENさん
そちら風に名乗るなら統一戦線、ということになりますね(笑)。小異を捨てて大同につくってなかなか難しいのですが・・・。


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