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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2006-06-29

[BOJ][pension]福井総裁は公務員として高額年金を受け取っているわけではありません。

書きたいことはタイトルで尽きているわけですが(笑)、福井総裁が年800万円近い年金を受け取っているとの公表に対する反響として、公務員の厚遇けしからん、といったものが散見されますので、その点について。前提として、日銀職員が属する年金は(国家公務員)共済年金ではなく、一般の企業の職員と同じ厚生年金です・・・ただ、これはwebmasterの記憶に頼った記述で、ぐぐっても裏が取れなかったので、万が一間違いあったらこのエントリの記述は取り下げます。

#コメントで提供いただいた情報で、日銀職員が属しているのは厚生年金であることの裏が取れました。(6/30追記)

さて、ではなぜこれほど高額の年金を受け取っているのか、主な原因としては3つ考えられます。

  • 個人年金の存在
  • 年金額の報酬比例性
  • 「3階」の存在

1つめですが、公表資料では単に個人年金保険を含むとの注記があるのみで内訳は定かでないので、これがどの程度寄与しているかはわかりませんが、厚生年金以外に年金を受け取っていることに変わりはないわけで、そうした個人年金の受取りがない人に比べれば、その分だけ多く年金を受け取っていることになります。一般論として言えば、個人年金は富裕層が利用している傾向にありますので(収入から年金保険料を捻出する余裕のある者でないと加入しないでしょう。平成15年のデータでは加入率は3割未満とのこと)、そうでない人からは多めに見えるのも無理ありません。

#コメントで提供いただいた情報によると、個人年金は121万円とのことです。(6/30追記)

2つめですが、厚生年金は基礎部分と報酬比例部分からなります(これは被用者年金に共通するので、共済年金でも同じことです)。基礎部分は一定の生活水準を確保するため必要な額ということで、基本的には国民年金と同様の給付体系になっています(俗に「1階」といいます)。報酬比例部分は読んで字のごとく、現役時代の報酬に比例して給付額が増える部分で、報酬に比例して保険料を多く納めていることに対応します(こちらは俗に「2階」といいます)。

ではその報酬がどうだったのかという話ですが、バブル崩壊後は不祥事などもあり引き下げられているとも聞くものの、日銀職員の給与は都銀(上位行)職員のそれと似たような水準であると言われていました。まして福井総裁の職員時代は不良債権問題もなく都銀の給与水準は他産業に比べ高いとされていた時代、加えて彼は若かりし頃から総裁候補と認められエリートコース一直線でしたから、おそらくは給与所得者の中でもかなり上位の層に属していたものと思われます。したがって、報酬比例で受け取る年金の額も、これまたかなり上位の層であるはずです。

#コメントで提供いただいた情報によると、「1階」「2階」合計で309万円とのことです。(6/30追記)

3つめですが、厚生年金においては、公的年金として制度的に保障されている「1階」「2階」に加え、各事業者の判断で「3階」を建て増すことができます。保険料負担は労使折半ですので事業者の財務に余裕がないと「3階」は作られないことになりますが、当然ながら「2階」までしかない年金に比べれば、「3階」がある年金の方が給付額は多くなります。

「3階」を設けている事業者は基金(一般に名称は「組織名称」+「厚生年金基金」といったもの。例:日本赤十字社(日本赤十字社は日銀と同じく認可法人です))があるはずで、しかしながら「日本銀行厚生年金基金」等はぐぐっても見つからなかったので、ひょっとしたら「3階」がないということも否定できませんが、これまたwebmasterが記憶する限りにおいてはあったはずです。「3階」も報酬比例なので、存在するなら大きく効いてくるでしょう。

#コメントで提供いただいた情報によると、「3階」は333万円とのことです。なお、基金を積みたてる形ではなく日銀自身が直接支払っているようです。(6/30追記)

#昔の雑誌記事で、日銀にはエリート向けの「4階」がある、なんてものも読んだような記憶がありますが、裏の取りようがないのでご紹介のみ。

というわけですので、本件が公務員の特権の証拠であるかのようなご批判は、霞が関の住人としては避けていただけると大変ありがたいので、ご配慮いただきますようお願い申し上げます。

本日のツッコミ(全32件) [ツッコミを入れる]
BUNTEN (2006-06-29 06:10)

>本件が公務員の特権の証拠であるかのようなご批判は

しませんが、この手の年金から強累進で税金を取りたてろ、という主張はするかもしれません。 :-p
(いつだったか、年金の減額はアウトだが、年金から税金取るのはギリギリセーフ、と書いたのはここのコメント欄だったような気がする。(^_^;)で、実際には低い給付から遠慮無く取られるようになっていて、かなり騒ぎになっているようで。http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-06-23/2006062301_01_0.html)

すなふきん (2006-06-29 07:42)

しかしバブル以前はこういうタイプの批判は今より少なかったように記憶してるんですが。エリートがそれなりの厚遇を受けることはある意味仕方がないのであえて触れないと言うか、そんな態度が主流だったように思います。高度成長末期からバブル期を知る世代から見れば、長期不況が時代の断層を形成してるように見えてしょうがないです。明らかに日本社会の雰囲気が変わったように思いますね。

565 (2006-06-29 07:51)

 年金の内訳は元日銀職員として受け取る企業年金333万円、厚生年金309万円、個人年金保険121万円などとのこと。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060627-00000114-yom-bus_all
 どこかの新聞に公務員の場合は事務次官経験者でも250万円から300万円。ただし天下りがありますなんて記事がありました(こちらは脳内記憶)。

西麻布 夢彦 (2006-06-29 08:38)

公務員はともかくとして(しかし、日銀が「民間企業」というのは何とも納得できないが)、3階が大きい場合は、年金基金の予定運用利率がバカ高い可能性もありますね。
一般の企業年金基金は、自社株を買うことで(*1)、自社の成長を従業員に還元しているのですが、日銀の場合は、どうなんでしょうね。
(筋論を言えば、国債だけ買え、という話しになりますが)

*1 もちろん他社株も買います。

すがりー (2006-06-29 09:00)

http://www.zakzak.co.jp/top/2006_06/t2006062725.html
「日銀独自の企業年金(60歳開始・終身支給)は、基金を取り崩す一般企業と異なり、経常利益から経費として捻出(ねんしゅつ)。」
ということで、この記事が正しければ、基金が見つからないのも納得かと。

ダニアン (2006-06-29 11:05)

すがりーさんの引用が正しいのではないですか。
日銀独自の企業年金は、前の日銀不祥事で表に出かかったけど、某理事の自殺はそれを防ぎたかったからとか。
この年金が潰されたら、福井さんは日銀内部からつるし上げだそうな。

BUNTEN (2006-06-29 21:28)

>エリートがそれなりの厚遇を受けることはある意味仕方がない

それはエリートとしてのつとめを果たすだろうと期待しているからこその厚遇なわけで、今回の福井氏みたいにのーぱ●ちょめちょめに加えてインサイダーもどきとなると、厚遇だけでは無駄遣いになるからつとめの基準を明確化せよ、との批判が出るのは避けられないような…。(^_^;)。

>日本社会の雰囲気が変わった

それでもみんな金持ちなら"ケンカせず"で大目に見ることもありえますが、こいつ(福井氏)のせいで貧乏人が多数派になったとなると寛大な扱いはさすがに無理かと。

びん坊 (2006-06-29 22:52)

福井氏の年金が高くて何が問題なんですかね?
金に縁がない私は、正直いって、多少のやっかみは感じます。
でも、ヒステリックに糾弾するような話でも無い気がします。
そのような程度の低い認識だから、貧乏人なのかもしれませんがw
個人年金部分まで含めて批判しているマスコミを見ると、
空恐ろしくなります。
いつから日本は個人として財産を蓄えることが否定される国になったのでしょうか・・・。

それと、日本社会の雰囲気が変わったのでしょうか?
まわりでダメだと言っている人があまりいないのですが。

cloudy (2006-06-30 00:31)

>びん坊さん
「3階」部分については基金でなく営業利益=シニョレッジから出ているということは、お札を刷ってOBに渡しているのと同じ。

もちろん、現社員の給与もシニョレッジから出てるわけですが、労働者への対価として渡すのと、(過去に積立ててもいないのに)辞めた人に渡すのではだいぶ話が違うでしょう。

ていうか、そんなことしてるんだったらお札刷って社会保障の不足分埋めろよと思います。

通りすがり (2006-06-30 01:28)

>>webmaster
このエントリはいいですね。
当然のご指摘ですw。

>>cloudyさん
原理的にはそういうことになると思います。
まあ、日銀は絶対に認めないでしょうが。

トコトンまで議論して、国民に真実を知って
もらった上で、その是非を問えばよいでしょう。
びん坊さんは単なる純真な人か、もしくは・・、
いや、やめておきましょう。

bewaad (2006-06-30 05:45)

>BUNTENさん
公務員狙い撃ちということでなければ、個人的には特にネガティヴということはありませんが、利子課税等とのバランスは結構面倒なような気がします。

エリートの義務を果たしているかどうかは、まともなデフレ対策をしていないじゃないかという批判が真っ先に来て欲しいもので、逆に言えばそれをきちんとしていれば楼蘭に行こうがどうでもいいだろうと(自腹なら、ですが(笑))。

話は変わりますが、ちょっと前のグレーゾーン金利問題についての新聞インタヴュー(確か日経)で、後藤田大臣政務官が個人向け公的金融があってもいいじゃないかと主張されていました。政策金融の拡大を目指す抵抗勢力として問題視されないといいですね(笑)。

bewaad (2006-06-30 05:49)

>すなふきんさん
貧すれば鈍すのは世の習いですから、致し方ないでしょう。みんな貧乏が悪いのさ、ということで、その貧乏を引き起こした(少なくとも脱却のためベストを尽くしたとは言い難い)福井総裁には、ファンド投資・解約なんぞよりよほどそちらの責任をとっていただきたいものです。

bewaad (2006-06-30 05:53)

>565さん
情報提供ありがとうございました。

事務次官の年金ですが、共済年金の「3階」は一律「1階」「2階」合計の1割弱ですから、だいたいそのぐらいだと思います。

bewaad (2006-06-30 05:58)

>西麻布 夢彦さん
民間企業だから厚生年金というわけではなく、別に法律がない限りは厚生年金だという整理であれば、それほど違和感はないのではないでしょうか。「別に法律」があるのは国家公務員共済、地方公務員共済などですが、特殊法人や認可法人にはそうした法律がないので、制度としては厚生年金ということになります。

本筋からは離れますが、ESOP等による自社株購入は、会社が倒産した場合には現在の収入のみならず将来の収入までふいにしてしまうわけで、リスク管理の観点からは避けた方が賢明ではないか、と個人的には思ってます。

bewaad (2006-06-30 05:59)

>すがりーさん
情報提供ありがとうございました。

bewaad (2006-06-30 06:02)

>ダニアンさん
日銀職員及びそのOBはいくらでもいるわけで、理事の自殺に結びつけるのは無理があると思いますが、既に支払っている年金は削られないとすれば、現役職員からは恨まれるでしょうねぇ(笑)>年金の変更があった場合。

bewaad (2006-06-30 06:05)

>びん坊さん
メディアの姿勢に疑問を持っている人は多いですし、辞任せよと主張している人々は数多くいますが、少なくとも当サイトに書き込まれるような方々は、お金をもらっているからという理由でそう主張してはいらっしゃってませんし、そのような主張をするメディアには批判的であるように思います。

bewaad (2006-06-30 06:09)

>cloudyさん
>ていうか、そんなことしてるんだったらお札刷って社会保障の不足分埋めろよと思います。
これには大いに同意ですが、年金を直接支払っていることについては、本質的な問題ではないと思います。事業者負担保険料であれば負担と支払いの時間のずれがあるだけですし、労働者負担保険料についても手取り一定であれば、これまた事業者負担の時期がずれるだけです。後者については、給与の名目値を下げているのは事実ですが。

bewaad (2006-06-30 06:10)

>通りすがりさん
お褒めいただき恐縮です。最後の「w」が気になりますが(笑)。

びん坊 (2006-06-30 06:48)

>cloudyさん
3階部分の話、なるほど、そういう論点があったのですね。

>通りすがりさん
純真じゃないですw
ゴシップ紙的な取り上げ方に終始して、結局糾すべきところを糾せないままうやむやに終わるのだったら、何のための社会の木鐸か、と。
あ、マスコミに期待していなければこんなことは思わないわけで、
そういう意味では純真ですかねw

>bewaadさん
冷静かつ真摯な分析は興味深く、いつも楽しみにしています。
コメントありがとうございました。

西麻布 夢彦 (2006-06-30 07:58)

>bewaad様
> 社株購入は、会社が倒産した場合には現在の収入のみならず
> 将来の収入までふいにしてしまうわけで、リスク管理の観点
> からは避けた方が賢明

私も、ダブルリスクだな、と思いますが、さすがに日産の年金組合が、運用利率を追って、トヨタ株は買えないでしょうね。
ましてや、三菱系列の会社が、三菱以外の株を買うなど、ガクブルです。
(現実には、あるていど柔軟にやっているでしょう。デリバティブとスワップなるものを使って、帳簿に「住友」の文字が出ないようにしているとか)

koge (2006-06-30 10:28)

>>3階」部分については基金でなく営業利益=シニョレッジから出ているということは、お札を刷ってOBに渡しているのと同じ。 もちろん、現社員の給与もシニョレッジから出てる
なるほど、だから彼らはあんなに『日銀のバランスシートの毀損』にこだわるんですねw

Baatarism (2006-06-30 15:26)

>cloudyさん
その話、ワイドショーや週刊誌に知れたら、とんでもない日銀バッシングになりますね。w
「身内限定ヘリマネ政策」と言ったら、さすがに言い過ぎかな?w

葉山の光と影 (2006-07-01 09:05)

企業年金の形で、経常利益から出る!!。
そんなアホな、PLの経常から出せるのは
特別損だけだろう。退職金積み立ての取崩しなどの
引当金戻入とか固定資産売却とか、限定されている。
日銀は株式会社だから、経理は自由でも大枠は
法律で決まっている。
それが経常利益から出るというのは、年金のなまえによる
第2給与だと思う。他に解しようがない。
本当に年金積み立ての取り崩しではないのか、耳を疑う。
もし本当なら、えらい問題になるね。

bewaad (2006-07-01 15:18)

>皆様
今は諸事情あって時間がないので、お答えは後でということにさせていただきます。ごめんなさい。

bewaad (2006-07-02 06:36)

>びん坊さん
うれしい評価ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。

bewaad (2006-07-02 06:38)

>西麻布 夢彦さん
単にマーケットポートフォリオを買えばいいんですけどねぇ、簡単な方法としては。ストックオプションのような上乗せを目指すものであれば、リスクを冒す価値もあるのでしょうけれど・・・。

bewaad (2006-07-02 06:41)

>kogeさん
バランスシートの毀損というよりは、デフレバイアスということではないでしょうか。運用していないのですからその利回りの低下を気にする必要はなく、他方でもらう現金の価値を高めることによって利益を得るわけですから。

もしバランスシートの毀損を、速水前総裁流の円の価値の趣旨でお使いでしたら、余計なことを申し上げました、とあらかじめあやまっておきます(笑)。

bewaad (2006-07-02 06:42)

>Baatarismさん
それが日銀バッシングにつながるような世間であれば、もうちょっとデフレに対する理解も異なっているのでは、と思う私は悲観的に過ぎるでしょうか(笑)。

bewaad (2006-07-02 06:48)

>葉山の光と影さん
一般企業において労使折半の保険料のうち使用者負担分は人件費計上ですから、当期の費用として直接支出していることは本質的な問題ではないのではないでしょうか。

気になるのは、日銀のP/Lをざっと眺めてみたのですが、負担保険料や年金給付に相当するものが計上されているようには見えない点です。人件費(日銀のP/L上では「給与等」)の内訳は、職員給与、役員給与、退職給付ということなので、退職給付に紛れ込ませていない限りはこの課目ではないということになります。じゃあ何よ、と。

もしご存知の方がいらっしゃいましたら、上記のなぞについてご教示いただけませんでしょうか?

koge (2006-07-02 08:40)

Baatarismさんとこでも同じこと書きましたが、これってよその中銀も似たようなことやってるんですかね?
もし違うのなら、非キリスト教国で「神の目」がなく「世間の目」しかないこの国ではなまじっか「独立性」なんてものを持たせると独立してないことによる弊害以上のことをやらかすと言う私の説が裏付けられることになりますね。
正直司法とか会計検査院とかみたいに公務員だけども行政や立法からは独立した組織にしたほうがいいんじゃないですか?裁判官でも待遇面では人事院に逆らえないらしいですし。で、「信認」のために政策委員の国民審査でもつけて(笑)

bewaad (2006-07-03 07:49)

>kogeさん
個人的にはキリスト教文化と日本文化の差にあれこれ還元するのはいかがなものかと思うのですが、本件に限らず、注目されなければ情報の提供のされ方は変わらないということではないでしょうか。3階の原資も、運用すれば運用銘柄であれこれ問題が生じかねないという、それはそれで理屈の無い話ではないですし(インデックス投資でいいじゃないかとか、代替案はあるにせよ)。

独立性については、日銀法改正時に大蔵省バッシングの中で中身を問わず絶対視されてしまったことが原因ではないかと思います。どのような意味での独立性が必要か、ということについてもっと冷静な議論がなされていれば、もう少しましな日銀になっていたんだろうなぁと思わざるを得ません。

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福井さんへの攻撃は、こんどは高額の年金へとシフトしてきました。年800万円という

福井総裁が村上ファンドに出資した問題ですが、最初は就任時に解約しなかったのに2月になって突然解約したことが問題になっていたのに、やがてゼロ金利で預金に利子が全然付かないのに総裁だけ村上ファンドで儲けたというやっかみ半分の話になり、さらに福井総裁が資産を公


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