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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2006-10-24

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どういう仕様かを書くと裏をかかれるかもしれないという臆病者なので、具体的にどのようなものが排除の対象となるかは隠させていただきますが、よくある形のものであれば拒否されることはないと思います。できなかったじゃないか、ということがもしございましたら、その旨コメントください。

[media]大淀病院事件の報道姿勢

大淀病院事件については先日取り上げましたが、そこで紹介した毎日新聞の報道がどのような姿勢の下になされたのか、「「マスコミたらい回し」とは (その14) 今回の大淀病院の事例でどうすべきだったのか 産科救急担当医の見解(続き) 一方で毎日新聞奈良支局長は「大スクープ」に大喜び」(@天漢日乗10/22付)経由で、次の記事の存在を知りました。

今年8月、大淀町立大淀病院に入院した五條市の高崎実香さん(32)が容体急変後、搬送先探しに手間取り大阪府内の転送先で男児を出産後、脳内出血のため亡くなりました。

結果的には本紙のスクープになったのですが、第一報の原稿を本社に放した後、背筋を伸ばされるような思いに駆られました。

「もし遺族に会えてなかったら……」

というのは、今回の一件はほとんど手掛かりがないところから取材を始め、かなり時間を費やして事のあらましをどうにかつかみました。当然ながら関係した病院のガードは固く、医師の口は重い。何度足を運んでもミスや責任を認めるコメントは取れませんでした。なにより肝心の遺族の氏名や所在が分からない。

「これ以上は無理」

「必要最低限の要素で、書こうか」

本社デスクと一時はそう考えました。

そこへ基礎取材を続けていた記者から「遺族が判明しました」の連絡。記者が取材の趣旨を説明に向かうと、それまでいくら調べても出てこなかった実香さんの症状、それに対する病院の対応が明らかになりました。それがないと関係者にいくつもの矛盾点を突く再取材へと展開しませんでした。

さらに、患者、遺族は「名前と写真が出ても構わない」とおっしゃいました。「新聞、テレビ取材が殺到しますよ」と、私たちが気遣うのも承知の上の勇気ある決断でした。

情報公開条例や個人情報保護法を理由に県警、地検、県、市町村などの匿名広報が加速するなか、記事とともに母子の写真、遺族名が全国に伝わり、多くの反響が寄せられています。それは実名と写真という遺族の「怒りの力」によるものに他なりません。

支局の記者たちも、ジグソーパズルのピースを一つずつ集めるような作業のなかで、ぼやっとしていたニュースの輪郭がくっきりと見えた感覚があったに違いありません。手掛かりある限り、あきらめないで当事者に迫って直接取材するという基本がいかに大切で、記事の信頼性を支えるか。取材報告を読みながら、身にしみました。

改めて、お亡くなりになった高崎実香さんのご冥福をお祈りします。【奈良支局長・井上朗】

毎日「支局長からの手紙:遺族と医師の間で /奈良」

このような経緯で書かれた記事のスタンスは、CTを撮らなかった大淀病院に問題があり、もしCTを撮っていたら事態は変わっていた(=命が助かった)かもしれない、というものでした。これが正しいのであれば、不祥事の隠蔽を図る病院に対して、遺族の怒りを糧に真相を暴きだした正義のマスメディア、といわんばかりの自己認識もある程度正当化は可能でしょう。しかし、正しいのでしょうか?

紹介した天漢日乗のエントリ名に「その14」とあるように、この問題を継続的にフォローしていらっしゃいますが、そこでは2ちゃんねるの書き込みを中心に状況を分析していらっしゃいます。ソースが2ちゃんねるだという前提でご理解いただきたいのですが、そこでの議論の流れをまとめるならば、

  • CTを撮っても脳出血であったとわかるだけで、わかったところで大淀病院ではなにもできなかった。
  • 子癇発作と分娩という前提で搬送先を探していたが、脳出血と分娩だとわかっていたところで、現に受け入れ困難とした病院が受け入れるとすることは想定しがたい。
  • より高度な対応が必要ということで、現に受け入れた国立循環器病センターにより早く搬送が決定した可能性はあるが、そうであったとしても結果は変わらなかった可能性が高い。というのも、
    • 脳出血は出血と同時に脳細胞破壊が生じるので、3時間以内に手術できなければ死亡の可能性は高い。
    • 他方、国立循環器病センターへの搬送は1時間以上を要し、かつ、分娩中の脳出血は帝王切開を先行させるのが通例である(脳出血が発生してしまった段階で母体は死亡の可能性がそれなりにあるので、2人死ぬよりは1人しか死なない方がマシ、という判断)ので、脳出血への手術は発生から3時間以内には不可能。
  • なお、大淀病院においてCTをとる場合、安静が求められる患者を動かすリスクがあった。
  • 受け入れ態勢が整っていなくても受け入れるべきだというのは、そうした体制が整っていないのに受け入れた場合に過失責任が判例上認定されているので、望むべくもない。

ということだとのこと。

もちろん最終的には毎日新聞の報道が正しく、2ちゃんねるの書き込みが間違っていた、ということになるのかもしれませんが、少なくとも現段階においては、いずれが正しいとは決めかねるのではないでしょうか(webmasterの主観的印象では、2ちゃんねるの書き込みの方が信頼できそうですが)。であるならば、不十分な情報に基づき軽々に断罪することなく、双方の見方をバランスよく伝えてこそのマスメディアでしょう。まして、もし2ちゃんねるの書き込みの方が正しいなら、医療従事者にとっての訴訟リスク・風評リスクを高め、より医療サービス供給体制を整備するコストを増加させることになってしまうのですから。

ちなみに、奈良県の医療サービス供給体制整備の現状について、次のような報道がありました。ご参考まで。

奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医5人が04、05年の超過勤務手当の未払い分として計約1億円の支払いと、医療設備の改善を求める申入書を県に提出したことがわかった。医師らは「報酬に見合わない過酷な勤務を強いられている」と訴えており、要求が拒否された場合は、提訴も検討する方針。

県によると、同病院の年間分娩(ぶんべん)数は05年度で572件。産婦人科関連の救急患者は年間約1300人にのぼる。産婦人科医が当直をした場合、1回2万円の当直料が支払われるが、当直の時間帯に手術や分娩を担当することも多いという。

申入書によると、当直について労働基準法は「ほとんど労働する必要がない状態」と規定しており、実態とかけ離れていると指摘。当直料ではなく、超過勤務手当として支給されるべきで、04、05年の当直日数(131〜158日)から算出すると、計約1億700万円の不足分があるとした。現在9床の新生児集中治療室(NICU)の増床や、超音波検査のための機材の充実なども要求している。

医師の一人は「1カ月の超過勤務は100時間超で、医師の体力は限界に近い。更新期限を過ぎた医療機器も少なくなく、これでは患者の命を救えない」と訴える。

県は、産科医を1人増員するなどの改善策に乗り出すとともに、医療設備の改善を検討しているが、超過勤務手当の支払いは拒否した。担当者は「財政難のため、すべての要求に一度に応えるのは難しい」と説明する。

朝日「「過酷な当直」、産科医5人が超勤手当1億円要求 奈良」

[economy][BOJ]CPIは1ポイント以上でようやくゼロインフレ?

これまでも当サイトではたびたびボスキンバイアス(CPI(Consumer Price Index、消費者物価指数)は統計のクセとして高めの数字が出るということ)に言及してきましたが(最近では8/309/2あたり)、それでも最大で1ポイントを超えるかどうかだと思っていました。8月の基準改定によりそのうちいくばくかは訂正されたわけですから、今ではコンマの前半ぐらいだろうというのがこれまでのwebmasterの相場観でした。しかし、そうではないのかも、という話が。

リフレ政策にはまったく踏み込んでいないのだが、「輸入デフレをデフレの主犯格と見るのは無理。不況によって発生した需要不足がデフレを発生させた」とか「日本のCPIには0.73%〜1.34%の上方バイアスがある」とか、どこかで聞いた話が満載の隠れリフレ本的な雰囲気もある。まぁ、とかいいつつ聞いてみるとそうじゃなかったりすることもしばしばあるので予断は許さないが(w 少なくとも、この本で書かれている内容は非常にまっとうなものだと思う。

「門倉貴史著「統計数学を疑う なぜ実感とズレるのか?」を読む」(@A.R.N [日記]10/22付)

くしくも門倉本はこの週末店頭でパラパラとめくり買ったところだったのですが、8月の基準改定の影響が▲0.5ポイントでしたから、依然として0.23〜0.84ポイントの上方バイアスが残っていることになります。直近のCPI(本年8月分)は生鮮食料品を除くベースで0.3%、酒類以外の食料とエネルギを除いたベースで▲0.4%ですから(いずれも全国・総合、前年同月比)、上方バイアスを除去すればいずれで見てもまだデフレ真っ只中、ということになります。

さらには、もっと上方バイアスは大きいのではないか、という意見も。

日銀が今年3月9日発表した「新たな金融政策運営の枠組みの導入について」の中で、「『物価の安定』についての考え方」をこう説明した。

「『物価の安定』とは、概念的には、計測誤差(バイアス)のない物価指数でみて変化率がゼロ%の状態である。現状、わが国の消費者物価指数のバイアスは大きくないとみられる」

同発表の背景説明で、日銀はCPIの計測誤差(バイアス)に、指数算式など8つある可能性を指摘した。CPI算出の難しさがわかっている日銀がバイアスが大きくないというのは異例といえる。

(略)

日銀が日本のCPIにバイアスはないと指摘してから5カ月後、指数算出の基準改定が総務省から発表された。算出の基準年は5年に一度改定されており、日銀が指摘した8つのバイアスであるウエートが変更された。それによれば今年3月の上昇率は0.1%とプラスだったが、量的緩和解除を受けた4月は0.1%下落とマイナスに転じた。この4月の数値は旧基準で算出した水準を0.6ポイント下回る。日銀が短期金利を0.25%に引き上げた7月の上昇率はわずかプラス0.2%だった。

(略)

米国の統計算出手法でこうした上方バイアスを合理的に推定すると、日本のCPI上昇率は平均で1%強、実態より高めになっていたと思われる。ただし、これは年によって大きく変わる可能性がある。京都大学の有賀健教授は、分析した対象品目についてのバイアスを1.5〜2%と見積もっている。そのうえ、品質の向上と新製品の発売によってさらにかなりの上方バイアスがかかる公算が大きい。

日経「日本の統計 精度向上急務/正しい政策の前提/政府・日銀、専門人材増やせ/デビッド・ワインシュタイン・コロンビア大学教授」(10/23付経済教室)

ワインシュタインとは、当サイトで何度となくお世話になっているあのワインシュタイン‐つまりは、ブロダ&ワインシュタイン論文のワインシュタイン‐ですが、彼によりここで示されているバイアスは、なんと1〜2ポイントであり、「そのうえ、品質の向上と新製品の発売によってさらにかなりの上方バイアスがかかる公算が大きい」ときています。有賀先生の見積りとは、おそらくAriga, Kenn and Matsui, Kenji, "Mismeasrement of CPI", 2002のことだと思うのですが、レファレンスや添付図表をあわせて52ページの大論文(しかも英語)なので存在に触れるだけとさせていただきますが、それにしてもすごい数字です。

ワインシュタイン自身が示した「平均で1%強」とは、アメリカ式に、

  • 平均の計算方法を算術平均から幾何平均に変更し、
  • 基準を5年に一度でなく毎年変更することとした、

場合の数字です。後者は今年8月以降の1年間に限っては解消されていますが、例えばワインシュタインが言及している「品質の向上と新製品の発売」について、門倉本では耐久財とサービスをあわせて0.43〜0.93ポイントという推計がなされているのですから(p198)、その一部は基準の毎年変更により解消されるにせよ、1ポイント以上のバイアスが依然として残っていると考えてもおかしくはないでしょう。

こうしたバイアスによりどういう問題が生じるか、ワインシュタインは次のように指摘します。

政府の統計作成の改善には資金が必要だ。経済学者や統計学の専門家に投資する見返りに何が得られるのだろうか。

まず、日銀のエピソードが物語るように、悪しき統計は悪しき意思決定につながる。日銀が3月に物価上昇率がわずかプラス0.1%だと知っていたら、量的緩和解除はなかったに違いない。日銀の行動がデフレ回帰を促すことがないよう期待したいが、日本の戦略は期待に基づいたものであるべきではない。日銀の使命は物価安定だが、バイアスのかかった不正確な手法を使って算出された物価データしか見ていなかったら、使命を果たせるはずがない。

第二に、統計の改善は日本の財政状況に大幅な前向きの影響を及ぼす可能性が高い。公的年金など日本の政府支出の多くはCPIに連動している。これにバイアスがかかっていれば、政府は必要以上の支出をしていることになる。

例えば、日本の年金支出の伸び率が先のバイアスによって実際の物価上昇率より1%高くなっているとすれば、93年から2003年にかけて、政府はこの過ちによって合計23兆円を失ったことになる。この数字は、公共投資支出または公的医療支出の年間総額にほぼ匹敵する。言い換えれば、日本の物価上昇率を正しく計算することは、非効率な政府プロジェクトの洗い出しや医療制度改革よりも有効だということになる。

日本のために安倍首相がとることができる最もコスト効率の高い方策は、数百人の経済学者や統計学の専門家を雇用することかもしれない。

日経「日本の統計 精度向上急務/正しい政策の前提/政府・日銀、専門人材増やせ/デビッド・ワインシュタイン・コロンビア大学教授」(10/23付経済教室)

第1点については、冒頭に示したリンク先で書いているように、知っていたからこそ基準改定の直前にならぬよう冷却期間を計算してやったのではないかとwebmasterは疑っているわけですが、にしても、そうしたバイアスが専門家だけの知識にとどまらずマスメディアに広く知れ渡っていたなら不可能だったろう、とは思います。上方バイアスの存在も知らずに日銀の操作に乗せられるな、というよりは上方バイアスをなくす方が早道なのは確かでしょう。

#ワインシュタインは、うすうす察しながらも大人の態度でこのように書いたのだったりして(笑)。

第2点については、webmasterはうかつにも気付きませんでしたが、確かにそうした効果があることに間違いはありません。ただ、単純計算で23兆円のすべてが1ポイントのバイアス分物価スライドが上振れたことの反映だとするなら総額があまりに巨大になってしまうわけで、CPIがマイナスだった期間においては物価スライドが停止されたことの影響が加味されてしまっているのではないか、という気はします。いずれにしても、この点については消費を下支えする効果があったでしょうから、今後の改善はさておき、これまでに限って言えば結果的にはよかったかな、とも思うのですが。

しかし、もっとコスト効率を上げるため、数百人集めて精度を上げることに先立ち、今すぐにでも機械的に上方バイアスは1ポイントであるとみなし、それを差し引いたものをCPIとして使うことにする、というのはダメでしょうかねぇ(笑)。

[comic]現在官僚系もふ・第70話

葬儀へ参列するに儀礼として求められる服装を無視し、焼香に当たって抹香を投げつけるとは、織田信長? だからといって実は親子だった、なんてひねりは一切ないのでしょうけれど。

一、備後守殿疫癘に御悩みなされ、様々の祈祷、御療治侯と雖も、御平愈なく、終に三月三日、御年四十二と申すに、御遷化。生死無情の世の習ひ、悲しきかな。颯貼たる風来なりては、万草の露を散らし、漫漫たる雲色は満月の光を隠す、さて一院建立、万松寺と号す。当寺の東堂桃巌と名付けて、銭施行をひかせられ、国中の僧衆集まりて、生便敷御弔いなり。折節・関東上下の会下僧達余多これあり、僧衆三百人ばかりこれあり。三郎信長公、林、平手、青山、内藤、家老の衆、御伴なり。御舎弟勘十郎公、家臣柴田権六、佐久間大学、性久間次右衛門・長谷川、山田以下、御供なり。

信長御焼香に御出づ。其の時の信長公御仕立、長つかの大刀、わきざしを三五なわにてまかせられ、髪はちやせんに巻き立て、袴もめし侯はで、仏前へ御出でありて、抹香をくはつと御つかみ侯て、仏前へ投げ懸け、御帰る。御舎弟勘十郎は折日高なる肩衣、袴めし侯て、あるべき如きの御沙汰なり。三郎信長公を、例の大うつけよと、執貼評判侯ひしなり。其の中に筑紫の客僧一人、あれこそ国は持つ人よと、申したる由なり。

信長公記 巻首 備後守病死の事(webmaster注:強調はwebmasterによります)

本日のツッコミ(全24件) [ツッコミを入れる]
マスコミ嫌い (2006-10-24 04:57)

モトケンさんのところ(http://www.yabelab.net/blog/)でも、医師たちが、救えなかった可能性が高いという議論を展開してました。
しかし正義の味方、社会の公器の肥大した自覚はあっても間違ったときに謝ったところを見たことがないのは気のせいですかね。

bewaad (2006-10-24 05:14)

>マスコミ嫌いさん
謝ってくれなくても、きちんとやりかたを改めてくれればいいんですけどねぇ・・・。

iori3 (2006-10-24 08:50)

bewaadさん、ご紹介ありがとうございます。
地元の事例であり、わが家にも関わる話なので追っかけています。今回の大淀病院に通えるような場所よりも医療事情の悪いところに住んだことがありますので、亡くなられた奥様には大変お気の毒でしたが、国立循環器センターがよくぞ赤ちゃんだけでも助けた、と思ってるのですがね。このところ、意図的なのか、「お産は全例無事じゃないと医者のミス」という報道が続いています。そんなことがあり得ないのは、ある年齢以上の人ならよく知ってると思っていましたが。周産期の死亡率をここまで下げてきた日本の医師の努力に「恩を仇で返してる」のが、昨今のマスコミの産科「医療ミス」報道ではないかと思います。現場の士気低下が容易に想像できますし、もし、こうした報道によって、今後若い医師が産科を選ばず、「お産難民」が増加しても、決して最初に間違った方向で産科を叩いた記者達は、責任を取りません。不確かな情報ですが、現在50代が三割、60代が四割と言われる産科、もしこの数字の通りなら、今後10年を経ずして、日本は先進国とは思えない、悲惨な産科事情に陥ると思います。産科からの逃散が続出し、今回の事例の奈良県南部では、すでに「お産難民」が出ています。最後の砦であった大淀病院産科閉鎖などということになると、果たして出生率全国ワースト2位の奈良県はどうなりますか。少子化担当大臣が奈良二区選出の高市早苗大臣だというのは、皮肉というのか何というのかですね。

鍋象 (2006-10-24 10:23)

CPIバイアスの件。あんまり突っ込むと、今度は
「あてにならないバイアスを抱えたCPIで金融調節を行うのは、目隠しで車を車庫入れしろというようなもの。不可能なことを金融調節の目標とすべきではない。」
という類の日銀節が炸裂してしまいそうな悪寒。

koge (2006-10-24 10:42)

「お産は全例無事じゃないと医者のミス」というのは、欲望が技術を追い抜いてしまったとしか言いようがないと思いますね。

しかしこの場合、もしマスコミが「医学的に正しい」報道をしてたらどうだったんでしょうか?
今とは逆にネットで医者叩きが盛り上がったんでしょうか?
そういう報道をしたマスコミが、視聴者や読者から見放されて潰れたんでしょうか?
それとも、いくら警察の横暴や患者側の考えの無茶さを煽っても(事実がそうだというわけではありません)何の盛り上がりもなく、ほかのニュースに埋もれてしまったんでしょうか?

アルベルト (2006-10-24 11:18)

「専門知の軽視、あるいは専門知を持つ人間に対する敵対心」及び「被害者の思うこと、感じることが正義を構成する全てであり、加害者側は何らの弁解も認められずどんな罰も受けなければならない」という二つの要素(雰囲気)が現在の日本の様々な問題において通奏低音のように流れていると思います。産科問題しかり、弁護士への批判の数々や飲酒運転の問題、それこそリフレ問題についても同じことがいえるのではないでしょうか。理屈ではなく直情や印象で意思決定が行われたり社会罰が与えられたりする現状は怖いと思います。
私は親が医者なんですが、こういう問題を見て思うことは「自分は医者にならなくて本当に良かった」ということと、「東京(は極端としても大都市圏)以外には住みたくない」ということだけですね。民事はまだしも、ミスならぬミスで刑事罰の可能性があるなんて本当におかしいですよ。

通行人 (2006-10-24 18:55)

個人的には、亡くなった方の遺族をテレビの場に引き出して、思ってもみない事を興奮のあまりしゃべらせてしまって、引っ込みがつかなくさせちゃうのは宜しくないかなと思う。というか、誰かテレビ局に「そんな事をしている暇があったらカウンセラーをあてがってやれよ」と突っ込むべきかと思う。

エキストラ (2006-10-25 01:33)

2ちゃんねるでの現在に至るまでの議論の数々の中では、今回の大淀病院事件は多くのイベントの中の一つの様に感じています。産科だけでなく医療全体が縮小していく過程を見ているようです。最近は加速度が増しているのではと感じますが、やはり5年後の年金支給バランス対策を考えておられる方がいるのでしょうか?90年代のロシアではわずかの間に平均寿命が10年位下がったという話を聞いたこともありますし。

bn2islander (2006-10-25 02:09)

某所でも書きましたが、毎日新聞の報道姿勢には問題があるかも知れません。しかし、報道しない方が良かったのかと言われたら、それも疑問なケースだと思います。毎日新聞のスクープがなくても、この事件が報道されていれば良かったのでしょうが。

bn2islander (2006-10-25 02:15)

もう少し付け加えますと「毎日新聞の報道には問題が大きいが、それでも毎日新聞が報道しなければ表には出なかっただろう」と思います。この事件の場合、表に出すべきか出さざるべきかと言われたら、奈良県の医療体制、ひいては全国の医療体制に警鐘をならす意味では、表に出すべきケースであると思うのです。

生ける屍 (2006-10-25 02:25)

>アルベルトさん
>専門知の軽視、あるいは専門知を持つ人間に対する敵対心

まあ、文系の研究者の場合は「専門知」を持っているはずの人その当人もしばしば「変」だったりしますからねえ(苦笑)
もちろん、ズレた専門知の害悪よりも、bewaadさんのエントリにおける小飼さんとの件のように、啓蒙されても引き下がらない人たちの方が遥かに厄介なので優先順位が違うのは事実でしょうが・・・。

>被害者の思うこと、感じることが正義を構成する全てであり、加害者側は何らの弁解も認められずどんな罰も受けなければならない

例えば被害者の人権を論じる場合にも、コメンテーターやキャスターは「加害者の人権の方が守られていいのか」と暗に被害者VS加害者の対立を煽動するようなことを平気で言いますしねえ。
(もっとも自分はそれがイヤなので最近はそういう番組は見ないようにしているのですが)
こういうことは普通にやっていいと久米宏が広めちゃいましたからねえ。司法も最近は世論を過剰に気にするようになってきました。

オーマイニュースあたりを見ていると面白いですよ。「市民記者」の言い分の多くが、まさに岩波の「世界」やワイドショー・ニュースショー・TVタックルの受け売りでしかないのが手に取るように分かります。「正論」や「諸君!」にハマる人たちの裏返しでしかない。こういう気分が改革ブームを支えたんだなあと思う。
「世に倦む日々」あたりも左翼ぶっているのに、いざ死刑問題などになるとド大衆丸出しの素朴なタカ派ぶりを発揮しますね。ありゃ本当にビックリする。

生ける屍 (2006-10-25 02:34)

>この事件の場合、表に出すべきか出さざるべきかと言われたら、奈良県の医療体制、ひいては全国の医療体制に警鐘をならす意味では、表に出すべきケースであると思うのです。

ちなみに、朝日にはこういう記事も載っていました。

奈良の妊婦死亡、産科医らに波紋 処置に賛否両論
2006年10月23日22時13分
http://www.asahi.com/national/update/1023/OSK200610230082.html

ただメディア全体では概ねこの調子ですねorz

■【主張】病院たらい回し 患者本位の基本忘れるな 産経 平成18(2006)年10月24日[火]
http://www.sankei.co.jp/news/061024/edi000.htm

>患者を救うのが、病院や医師の義務である。患者中心の医療の基本を忘れているから患者をたらい回しにし、患者不在となる。
もう一度、医療とは何かをしっかり、考えてほしい。

他、地域医療体制に対して問題提起するオピニオンでさえ、この件で医療ミスがあった可能性自体はどこも認めてしまっているようです。

bewaad (2006-10-25 06:54)

>iori3さん
ナショナルミニマムとして産科医の水準をどこまで求めるか、ということなのだと思います。昨今の風潮では、産婆による取り上げがナショナルミニマムで、それ以上の水準の医療が欲しいなら、それが提供されている場所に行け、ということに結果的になっているような気がします。もちろんそんなことを真正面からいう人はいませんが、予算の総額の統制は事実上そうしたことを強いている状況にあるのではないか、と。

bewaad (2006-10-25 06:56)

>鍋象さん
それに加えて、本日(10/25)書いたことですが、実質GDP成長率が高くなっているから引き締めしなければ、という逆噴射のおそれもありますよねぇ(笑)。

bewaad (2006-10-25 06:59)

>kogeさん
マスメディアの誤り(らしきもの)というだけでネット界隈ではニュースヴァリューが認められる状況ですが、逆に言えば、それがなければ埋もれていたのではないか、と個人的には思っています。

bewaad (2006-10-25 07:03)

>アルベルトさん
専門知については、何度か書いていることですが、結果(≒生活水準)が出ていないからまとめて信頼性が落ちている、ということでないかと個人的には考えています。日銀や大蔵(財務)省のせいでいい迷惑、という人が多いのでしょうけれど、既存の権威がまるごと正統性の危機にあるのかな、と思ってます。

大都市圏こそ住みやすい、というのがおおっぴらに言うことがはばかれる中、「田舎もいいよね」といった観光客的言説がまかりとおっているのは、かえって有害でないの、という気がしてならないのですが。事情を知る人からは失笑を買うだけですし、地域間資源配分にネガティヴな空気が濃くなるだけですし。

bewaad (2006-10-25 07:07)

>通行人さん
遺族にしても、最初の段階できちんとした説明を受けていれば、かえって救われたかもしれないわけで、メディアが算盤尽くでやっているなら方針転換も容易でしょうけれど、妙な正義感に燃えているからこそ始末が悪いですよね。

bewaad (2006-10-25 07:11)

>エキストラさん
2ちゃんねるの中でも、板によって対応は違うのでしょう。医療は、とりあえず医療費が増えて供給を支えるというのが解法であると仮定すれば、
○所得の改善による医療費の絶対額の向上
○介護のアウトソースによる医療供給の医療サービスへの特化
ができれば、国民負担率に悪影響を与えることなくそれなりの改善が可能なのだと思っています。

bewaad (2006-10-25 07:13)

>bn2islanderさん
その利害得失は中長期的に見なければ判断が難しいとは思います。ただ、報道がなかった場合との比較はともかく、より偏りの少ない報道であった場合がよりよかったであろうということはいえるのではないかと思っています。

bewaad (2006-10-25 07:15)

>生ける屍さん
結局、今逆らうのが難しい権威とは専門知なんかより、よほど「常識」なのでしょうけれど、それを直視できない状況(どこまで意識してのことかはわかりませんが)が問題なのかな、という気がします。

bn2islander (2006-10-25 21:52)

偏りの少ない報道がベターだったと言うのは、同感です。例えば、事件直後に記者会見でも開いていれば、毎日新聞の報道姿勢はなかったのではないかと思いました。その意味で、マスコミだけでなく病院側や奈良県の情報公開の姿勢も問われるべきではないかと思うのです。

通行人 (2006-10-26 02:53)

見込み捜査で誤認逮捕すると、マスコミは一斉に問題視するんだから、見込み取材で捏造までして誤報をしたマスコミももっと叩かれてしかるべき。しかも、警察と違ってそれをチェックする機構が機能していない。

bewaad (2006-10-26 05:41)

>bn2islanderさん
今回に関して言えば、病院の記者会見で誤りだと(現場の事情を十分に把握しないまま?)認めてしまったのが躓き立ったのでしょう。下手に「言い訳」と受け止められた際のリスクを考えれば、そのような「事なかれ主義」に走ってしまうのはよくわかるのですが。

bewaad (2006-10-26 05:43)

>通行人さん
メディアが政府を仮想敵にし過ぎていることが原因なのかな、と考えています。身内で傷つけあうのは、政府を利するだけだ、みたいな言い訳がまかり通っているのではないかなぁ。


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