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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2006-11-06

[politics][economy][pension][book]権丈善一「医療年金問題の考え方/再分配の政治経済学III」

当サイトでもこれまで「I」「II」と取り上げてきたこのシリーズ、ようやく最新刊に到達です。相変わらずの権丈節で内容の濃さは保証いたしますが、「I」「II」と読み進めてくる場合には大きな問題がひとつ。

というのも、前半の5論文にせよ、後半の「勿凝学問」シリーズにせよ、その論旨の多くをこれら両書(とりわけ「I」)に負っており、他方で600ページを超える分量というのは、冗長の感なしとはしません。webmasterが思うに、公刊順とは逆に本書は権丈理論の入門として読むというのが格好の役割です。本書をまずは手にとっていただき、ご関心に応じて「I」や「II」の関係論文に進んでもらう、というのがお薦めの読み方でしょう。既に「I」「II」を読んでしまった方‐webmasterもそうですが‐は、復習といったところでしょうか。

この分量については、「勿凝学問」が過去の引用部分のほとんどを再録していることも大いに手伝っています。もともとのサイト上での公開ではその方が読みやすさにつながりますが、書籍という形式では、少なくとも本書掲載部分の採録については、単に参照先を示すという形の方がよかったのではないかと思います。「勿凝学問」は、「II」について取り上げた際にも書きましたが、時事問題への応用編といった趣で、しかもエッセイですから、「権丈入門」としては格好なだけに惜しいところです。

ちなみに権丈節と申し上げましたが、本書でもっともwebmasterが気に入ったのは次のパラグラフです。

どうして、日本の年金論議は、こうもおかしくなってしまったのか。この問いに対して、アメリカでは決して主流でない学説が実に狭いチャネルを通って日本に輸入されたのであるが、この学説を輸入した日本の論者が、たまたま旺盛な活動家であったために、日本は公的年金の世代間格差論議が活発な、世界でも珍しい国になってしまったのではないかという作業仮説をわたくしは立てている。この仮説のキーワードは<日本経済新聞社><阪大財政学グループ><一橋年金研究グループ>である。その内容を紹介しよう。

p178

紹介される内容についてはぜひ本書を紐解いていただきたいのですが、ここまではっきりと言い切るのは痛快です。この背後にある公的セクターへの不信感を募らせた風潮の立役者としては、慶應義塾大学経済学グループも忘れるわけにはいかないような気がするわけで、その代表格である加藤寛先生への接しよう(「勿凝学問35」)は若干身びいき、あるいはらしくない舌鋒の鈍り方では、という気もしないではないですが(笑)。

とまれ、そうした論者、さらにはそのような風潮に乗り年金不信をあおって「政争の具」としている民主党への批判にはwebmasterは大いに共感するのですが、その延長として来年7月の参議院選挙に当たって民主党が被用者年金一元化を再度「政争の具」とするであろうとの予言(「勿凝学問45」)には暗澹としてしまいます。ぜひともその予言は外れてほしいのですが、外れるとすればよりお手軽な「政争の具」の材料が出てきたとき(例えば金銭スキャンダル)でしょうから、それはそれで不幸な話ではあります。

#仮に自民党が野党になったならば、同じような行動をするでしょうから、民主党だけに問題があるという議論でもないのでしょうけれど。

蛇足ながら、「コンスタビリティ理論」「コンスタブル市場」(pp547,548)は、「コンテスタビリティ理論」「コンテスタブル市場」の誤りであると愚考いたします。重箱の隅ではありますが、気になりましたもので・・・。

[misc]ピンガ初体験

西原理恵子「鳥頭紀行/ジャングル編」を読んだ多くの人に強烈な印象を残すであろうお酒、それがピンガですが、某所で発見し、痛飲。高いアルコール度数(約40度)にかかわらず非常に口当たりが柔らかで、「鳥頭紀行」で描かれているとおり(笑)危険極まりないお酒といえましょう。ストレートであおったのがまずかったのかもしれませんが、後になって結構きました。

#最後に飲んだグラッパが余計だったのかも(笑)。

ちなみにそのお店のマスターによれば、ライムを搾って砂糖を入れカクテルにすると、いっそう口当たりが柔らかになるとのこと。いっそう危険な飲み物、ってことになりますねぇ・・・。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]
とおりすがり (2006-11-06 10:14)

>その代表格である加藤寛先生への接しよう(「勿凝学問35」)は若干身びいき、あるいはらしくない舌鋒の鈍り方

 ここまで読んで初めて権丈先生がKO×だとわかりました。書評を読んで、本を買わずに読んだ気になる悪い癖。

bewaad (2006-11-07 07:02)

>とおりすがりさん
とりあえず、「勿凝学問」は権丈先生ご自身がサイトで公開されていますから、買わなくてもそこからご覧いただくというのはどうでしょうか。

通りすがり2 (2006-11-10 23:52)

過去の日記にレス付け失礼します。

単に私の読解力と知的忍耐力の欠如なのですが、権丈先生の論説は論点を明解簡潔に提示されてないような気がして、すごく読みづらく感じてしまいます。素人目線で気になるのは、
.▲瓮螢で主流だった理論は何か
△任眛本で取り入れた理論は何か
どういうロジックで、日本は△陵論を採用したのか
し前の裏でどういう理由があったのか
なのですが、どうもい暴電世置かれすぎな気がします。

bewaad (2006-11-11 16:03)

>通りすがり2さん
私が文脈を汲み取れない形で部分的に引用してしまったということで恐縮です。

権丈先生の問題意識は、医療・年金分野は単純に競争原理を適用すればよし、というものではないにもかかわらず(なぜそのようにお考えなのかは「I」「II」で詳述されています)、市場競争による最適化の概念を無批判に適用しているのがアメリカ(さらにはそれを是とする日本)の問題だ、ということになります。

お示しの(3)については、医療経済学では(日本でも)そのような乱暴な議論になっていないにもかかわらず、そうした専門家の知見が無視され、一般論としての競争原理があたかも例外がないかのように過大評価されている、というのが権丈先生の分析です。

通りすがり2 (2006-11-25 14:05)

遅くなりましたが、ありがとうございました。
こんな通りすがりのいちゃもんに対しても、丁寧なレスポンスをつけてくださり、感謝です。

bewaad (2006-11-25 14:45)

>通りすがり2さん
補足説明はダメダメではなかったということでほっとしています。引き続きよろしくお願いいたします。


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