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2006-11-10

[economy][sports]プロ野球の経済学IV:選手の資産価値

#会計が経済学か、という疑問はとりあえず忘れてください(笑)。

ライオンズ松坂選手のポスティング移籍に関連して、ろじゃあさんが面白い指摘をなさっています。

でも、これ、従来の移籍金はチームの補強に使うって意味で同じ業態を維持するために回ってたという基本的な資金使途以外の形でお金が流れるってモデルが今後も出てくるかもってことなんだろうかねえ。

イチローのとことかどうだったんだろうか。

ろじゃあが読んでてちょっとわからなかったのが、グループの赤字補填に利用されるってくだり。

ポスティングによる移籍金・落札金とかって、そもそも会計処理どうやってんだろうかねえ?

そもそも西武ライオンズの

バランスシートの資産のところに松坂選手を資産として計上しているわけではないだろうから(してるのかなあ)、

移籍金・落札金とか入ってきたらどうやって処理するんだろうか。

それに、その移籍金・落札金ってあくまでも西武ライオンズに入ってくるお金だろうから、西武ホールディングズにどうやって流すことになるんだろうか。

それぞれの過程で税務上の問題ってどうするんだろうなあ・・・・。

一応、これクロスボーダー取引だよなあ・・・・とか。

そもそもオリックスはイチローの分についての会計処理と税務上の処理をどうやってたんだろうか・・・・。

考え始めたら、結構頭が整理つかなくなってきますねえ。

「これ益出し?孝行息子松坂選手と西武グループの赤字補填?・・・スポーツ法学の問題かなあ」(@法務の国のろじゃあ11/9付)

オリックスの2000年度の連結財務諸表を見ても関連する記述はなかったので、まったくのあてずっぽうということになりますが、結論から申し上げれば次のような枠組みではないかとwebmasterは予想します。

  • プロ野球球団の所属選手に係る潜在的価値はのれん代相当の無形固定資産
  • したがって、ポスティング収入は固定資産売却益=特別利益計上

このような予想の手がかりとなったのは、ゴールデンイーグルスに係る次のお話です。

【増永】 初年度の黒字化に成功された要因として、どのようなことが考えられますか。

何度も申し上げているように、6事業の最大化に注力したこと。そして初年度なので、私たちにかぎっては償却金が少なかったというのが黒字化の大きな要因です。

(略)

償却金のひとつとして、選手を獲得する際に支払う契約金があります。年俸とかインセンティブとは別のものです。契約金は日本人選手でいうと3年。球団によっても異なりますが、外国人選手であれば楽天の場合1年半で償却されます。

ですから、年間で約9億円の契約金を使って日本人選手を獲得したら、毎年3億、3億、3億と償却が発生します。翌年も補強のために9億円の契約金が発生したら、さらに毎年3億円が積み重なっていきます。また同じことをやればその分上積みされる。

初年度は3億、2年目には6億、3年目には3人分が重なり9億円へと積み上がるのです。もちろん補強をやめれば、その翌年から階段のようにさがっていきますが。よって、初年度は償却が1年分で収まるということです。ところが2年目以降はどんどん積み上がっていくわけです。

他球団さんに比べて、この分が少なかったというのが黒字化の大きな要因のひとつとなります。

プレジデントビジョン 株式会社楽天野球団 代表取締役社長 島田亨氏 『初年度黒字化』インタビュー

年俸などの人件費とは異なり、契約金は償却性資産として計上されているとのことです。つまりは実際に選手としての活躍の対価の他に、球団に所属してもらうことの対価は別途計上し、所属の対価ですからすなわち当該対価を支払った年度の費用ではなく、所属が見込まれる期間(=所属の効果が発現する期間)にわたって償却(=費用認識)すべきものとされているということでしょう。

#このことから、日本人選手の1球団への所属期間は平均すれば3年程度だということがわかります。

この前提で松坂選手のライオンズにとっての価値を考えてみましょう。当然ながら契約金の償却はとっくに終わってます(1999年入団)。一般に企業会計においては、この手の価値を自ら認識して資産に計上することは認められていませんので(のれん代はあくまで買収等の取得時にのみ計上可能)、おそらくは契約金償却後の現時点においては、資産計上なしに効果のみが発生して毎年度の営業利益を押し上げている状態にあるものと考えられます。

ポスティングにより収入が得られるということは、この現在は資産計上されていない「選手を所属させている権利(状態)」について、MLB球団に売却した、と観念することが可能です。現在はこの資産の簿価はゼロですから、収入はまるまる利益となり、費目でいえば通常の資産売却時の利益と同様に特別利益に計上されるものと予想されるのです。

#なお、この理屈が正しければ、契約金のほか、金銭トレードの対価なども同様な処理がなされていると想像されるのですが、以上を含め実態をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示いただければ幸いです。

ですから、

松坂選手という「資産」の「益出し」ってことかい?

「これ益出し?孝行息子松坂選手と西武グループの赤字補填?・・・スポーツ法学の問題かなあ」(@法務の国のろじゃあ11/9付)

というろじゃあさんの見立てについては、webmasterはそのとおりだと思うわけです。

ちなみに、ライオンズに生じる利益のホールディングスへの移転については、財務基盤の強化等の一般的な反映については連結決算で即座に、ということになるでしょう。しかし、実際にキャッシュアウトを伴うような事態への対応ということであれば、配当支払いを噛ませることが必要なのではないでしょうか。

[economy][science][book]「ダメな議論」フォローアップ

一昨日に「ダメな議論」を取り上げたことを受けて、

  1. Dan Kogaiさんから同書の書評が公にされ、
  2. それに対して、47thさんが先般の経済成長論も視野に入れた論考を書かれました。

Danさんのエントリにおける飯田先生ご自身によるコメント、及び47thさんのエントリは一読の価値があると思います。

本日のツッコミ(全17件) [ツッコミを入れる]
ろじゃあ (2006-11-10 12:40)

お久しぶりです、ろじゃあです。
ご丁寧なフォローありがとうございました。
私も勉強になりました。
また遊びにきてくださいませ。

つばめレディ (2006-11-10 18:00)

 貢献度大→無形資産拡大→利益拡大なら、リーグ優勝チームは毎年大幅な営業利益拡大が見込めるはずなのに、「優勝したからうちのチームの決算は絶好調」という話は聞きませんよね(特にパリーグ)。
 実態は現金主義に近いのではないのかなあと思います。
 複数年契約はやっぱり引当金を積むのでしょうか?
 

通報 (2006-11-10 20:55)

専門家の傲慢、素人の怠慢
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50683676.html

gyogyo (2006-11-11 00:40)

はじめまして。「球団利益のホールディングスへの移転」についてですが、西武ライオンズの場合は西武ドームで試合を興行する際に「球場使用料」等の名目で西武鉄道(球場の所有者)に相当額を恒常的に払っているはずです。この契約条件を何かの理由をつけて増額するなどちょっといじれば、利益配当という形を取らずとも球団の利益(カネ)を少なくとも西武鉄道に吸い上げるのは割と容易なのではないでしょうか。

bewaad (2006-11-11 16:37)

>ろじゃあさん
こちらこそご無沙汰しております。

なるほど、と思いエントリを書き上げました。考える材料を与えていただきありがとうございました。

bewaad (2006-11-11 16:44)

>つばめレディさん
野球選手の実力自体は年俸相当ではないかと思います。成績がよければその分だけ人件費が高騰というのはよくある話ですし。

複数年契約は、会計理論上は当然引き当てるべし、ということになるのでしょうけれど、実態はどうなんでしょうかねぇ。公開企業がないのでよくわかりません。

bewaad (2006-11-11 16:44)

>通報さん
情報提供ありがとうございます。

bewaad (2006-11-11 16:46)

>gyogyoさん
ご指摘のやり方が手っ取り早いのは間違いないのですが、きちんとした積算がつかない形でやると利益操作になってしまいますし、それだけですべてを吸い上げるのは難しいと思います。

つばめレディ (2006-11-11 18:25)

 選手の価値=年棒ならわざわざ選手価値を固定資産(でいいのか?)に計上しなくてもいいんじゃないですか。価値が膨らんだことによって利益計上して税金を払うのは馬鹿らしいですよ。僕なら選手価値は計上しないですね。ややこしいでけですもん。
 でも、西武グループって昔は黒字を少なくしようと決算していたイメージがあったのですが、変わったのですかねぇ。

無業者 (2006-11-12 03:05)

>つばめレディさん

 選手の契約金は繰延資産に計上されて3分割して3年で償却(資産価額を減らして損失に計上する)が行われますが、年俸は繰延資産にはなりません。
 細かいことですが、会計上は固定資産ではなくて繰延資産になります。似たようなものですけれど。

 そして、つばめレディさんが (2006-11-10 18:00) に書いた「貢献度大→無形資産拡大→利益拡大なら、リーグ優勝チームは毎年大幅な営業利益拡大が見込めるはずなのに」というのは、この資産が時価評価されているとの認識による疑問であると推測しますが、繰延資産の額は契約金の額だけでして、選手の貢献度を時価評価して資産計上するといったことは行われません。ですので、選手が活躍しても資産は増えず、利益も出ないことになります。
 契約金を繰延資産に計上する理由は、契約した選手には普通数年働いてもらいますからその期間に費用を配分しようという考えからです。法人税法にそう書いてあるから、という理由もあります。償却期間が3年というのは法人税法の規定です。
(参考:法人税法基本通達 繰延資産の償却期間 8-2-3の表の一番下を参照
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kihon/houjin/08/08_02.htm

 複数年契約の場合の年俸は、多分、長期負債(将来の年俸)の引き当てと長期資産(将来働いてもらう権利)の計上とが行われるのでしょうけれど、スポーツ団体に関わったことがないので自信がありません。

bewaad (2006-11-12 06:53)

>つばめレディさん
ミスリーディングだった点は申し訳なく思いますが、契約金以外は何ら資産計上されていない、というのが実態でしょう。自己のれんが資産に積めないように、経営陣の主観的評価は現在の会計基準においてはオフバランスでしかあり得ません。

ただ、会計基準で資産計上が認められること⊂経営陣が資産価値があると思うこと、ということでありまして、バランスシート上ゼロ円のものについて売り渋る可能性があるのはなぜか、ということを論じたものです。

bewaad (2006-11-12 07:25)

>無業者さん
情報提供ありがとうございます。

ところで、複数年契約の場合、長期資産の計上は可能なのでしょうか? つばめレディさんへのお応えでも書きましたが、自己のれんへの否定的スタンスからすると、このようなケースでは計上不可能ではないか、という気がするのですが。

無業者 (2006-11-12 15:05)

>bewaadさん (2006-11-12 07:25)
 長期資産の計上は可能と思います。自己のれんは金額の客観的な算出ができませんが、選手との複数年契約では将来の年俸が既に決まっていますのでその問題はありません(出来高払いの部分は除きます)。
 それに、計上するのは選手に働いてもらう権利であって、選手の売上への貢献度等ではありませんので、のれん代からの類推は不適当かと。

通報 (2006-11-12 22:54)

一般人が行う経済学批判の作法
http://fromdusktildawn.g.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20061112

bewaad (2006-11-13 04:04)

>無業者さん
言われてみればおっしゃるとおりで、契約で実額を決めていますから当然ですね。エントリと混同した議論をしてしまいお恥ずかしい限りです。ご指摘ありがとうございました。

HMD (2006-11-15 00:39)

いつも興味深く拝読しております。
会計面については、bewaadさんのご説明でほぼ理解できました。
あとは税務面ですが、この点はどうなるのでしょうね?

直感的には、
ライオンズの段階では、移籍金によって増加した
トータルでの利益の分に法人税が課され、
西部の段階では、関係法人株式等についての
受取配当益金不参入の規定が適用されるため、
ライオンズからの移籍金の収受には課税されない
こととなるかと思ったのですが。。
(自分で調べろといわれそうですが。。)

bewaad (2006-11-15 05:27)

>HMDさん
税務の実務は私も詳しくないのですが、おそらくそのような整理になるのだろうと思います。連結納税は選択しないでしょうし。

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