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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2006-12-01

[politics][government][economy]続・ホスピタルよりホスピスを!

昨日のエントリと日が重なったのは単なる偶然でしょうけれど、昨日の朝日新聞より。

3年前に3億円あった公共事業費は、ついに242万円になった。

長野県南部、人口700人余の清内路村が財政難にあえいでいる。過去の整備事業の借金返済が膨らんだところに、小泉政権での地方交付税削減に直撃された。

同村への交付税額は00年は8億円前後あったが、06年度は6億円余に。借金返済分を除くと、行政サービスに使える実質額はピーク時の6割の水準まで落ちた。

赤字削減には取り組んでいる。水道料金は1.5倍に、健康診断の個人負担は4倍の年2千円にした。この2年、出来る限りの節約で2億円の収支改善効果をひねり出した。その大半が交付税削減と借金で消えた。

(略)

大企業の本社が集中している首都・東京は「税収バブル」に沸く。都の06年度税収見込みは4.5兆円。3年間で14%増だ。その間に道路や橋の予算は22%増。千代田区は今年度、所得制限のない独自の児童手当の支給を高校生まで広げた。都にはもともと交付税配分がなく、削減の影響もない。景気回復の恩恵は地方法人税を通じて集中する。

余裕ない国

「地方ができることは地方に」という小泉前首相の小さな政府路線と、地方自治体の分権要求が原動力となった三位一体改革(国と地方の税財政改革)。終わってみれば自治体の評価は散々だ。本当にほしい権限や財源は移譲されないのに、補助金や交付税は大幅に削られた。

(略)

経済財政諮問会議(議長・安倍首相)の民間議員は10月、「今後3年間で地方に5兆円の税源移譲」を提言。総務省は人口と面積で機械的に割り出す新型交付税を07年度から導入し、人口20万人以上の市の半分を交付税ゼロにしようとしている。国の再分配機能をさらに小さくしようというのだ。

朝日「どうする財政3/小自治体へしわ寄せ/再分配の喪失 所得格差 負担感増す」

「終わってみれば自治体の評価は散々だ。本当にほしい権限や財源は移譲されないのに、補助金や交付税は大幅に削られた」というのは霞が関としては不本意な評価で、権限の話は留保するにせよ、地方税の増額と補助金等の減額を同じだけ行えば、地方税の水平調整制度を新設しない以上、収入増は東京等の一部の地方公共団体に限られ、その他のほとんどの団体ではネットで収入減になるのは当然の話です。散々な評価をするなら、その程度のことも予測できずに一部の富裕団体に引き摺られるまま三位一体改革を地方六団体の総意に祭り上げてしてしまったわが身の愚かさに対してすべきでしょう。

霞が関住人としての愚痴はこの程度にするにしても(笑)、このような地方公共団体のうち存続可能なものはどのようなものか、示唆的な研究があります。

2.定住人口の維持要件

1) 分析手法
定住人口の維持要件の分析は,都府県の全市町村の中から「人口減少に一定の歯止めがかかっており,近い将来においても定住人口の維持が可能であると判断される市町村群(地域活性型)」と,その対極に位置する「過疎化の進行により人口が減少し続け,高齢者比率のみが高まっている市町村群(地域停滞型)」を抽出し,この二つの市町村群を目的変数,市町村の人口動態に影響を及ぼしていると推察される社会・経済的諸条件を示す統計指標を説明変数とした判別分析(注)による。

(略)また,要因分析の説明変数となる指標は,市町村別まで公表されている既存の統計データの中から,定住状況に影響を及ぼしていると推察される「所得水準」,「農林業活動」,「商工業活動」,「生活環境」,「自治体活動」をそれぞれ代表する指標として計16変数を採用した。分析の手順および採用した変数は第3図に示すとおりである。

注:判別分析とは,あるサンプルが一定の基準に照らしてどの群に属するかを,そのサンプルの特性から判断する手法である。判別の基準はカテゴリーのSAデータを目的変数に,P個の諸特性をそれぞれ説明変数にとって作成される関数式(Z= a0 + a1x1 + a2x2 +・・・・+ aPxP)による。判別に当たって重要度の高い(F値が大きい)説明変数を見つけ出すことによって,要因分析にも適用できる。

2) 判別分析結果
判別分析の結果は第1表に示すとおりである。まず,中山間地域全体を対象とした分析では,都市との位置関係を示す「DID(人口集中)地区までの所要時間」が最も強い影響力を有する変数(F値が最大)となった。就業機会に乏しい中山間地域では,所得確保にもつながる都市部への交通アクセスが定住人口を維持するために最も重要な要素となっていることがわかる。

(略)

(略)さらに,DID地区まで1時間以上という生活利便性の極めて低い地域では,「財政力指数」と「人口1,000人当たり医師数」が強い影響力を持つ変数となった。山間農業地域においては教育条件の改善や林業の振興が,都市部へのアクセスが悪い僻地においては町村財政への直接的な支援や医療施設の整備が,当該地域に所在する市町村の定住人口を維持していくために最も重要な課題であることを示唆した結果と解されよう。

「中山間地域における過疎化・高齢化の併進と定住人口の維持要件」農林水産省農林水産政策研究所

DID(DID(Densely Inhabited District)とは、日本の国勢調査において設定される統計上の地区である。市区町村の区域内で人口密度が4,000人/km2以上の基本単位区(平成2年以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定される。(略)人口集中地区ともいう。DID‐Wikipedia)に近いことが何より重要であると。こんなもの、創意工夫や自助努力でどうなるものでもありません。第1表から、これに近しい重要度があるものとしてF値が50以上のものを選べば次のとおりです(+−の符号は係数の正負を表します)。

  • 1人当たり課税所得(+)
  • 第3次産業就業人口率(+)
  • 1人当たり預貯金額(−)

これらに続くのは1人当たり工業出荷額ですが、そのF値は15.20でしかなく、以上の4要素に比べると相当に重要度に差があると考えられます。で、この3つを見れば、まず課税所得と第3次就業人口率はDIDに近いからこそ達成されるのが一般的傾向でしょうから、やっぱりDIDに近いかどうかが決め手ではないかとwebmasterは思います。預貯金額は係数がマイナス、つまり少ないほど人口減少が抑制されるということになりますが、これはおそらくは年齢の代理変数ということで、つまりは若い人間が多ければ人口は減りづらいということでしょう。少なくとも、預貯金を行政が召し上げれば人口が減らなくなる、なんて因果関係は絶対に成立するはずがありません(笑)。

他方、地域活性化としてありがちな施策の効果はいかほどでしょうか。人的交流の活性化など、F値でいえば6.15でしかありません。イベント開催なんてものも安直なアイデアではありますが、人口1,000人当たりイベント参加者数など5%水準で有意でないとの結果です。これらからわかるのは、DIDから遠ければ遠いほど過疎化・高齢化が進みやすく、過疎化・高齢化がいったん進んでしまえば、そこから脱却するのは至難の業だということでしょう。現実は、地理的要因が決定的に重要だという冷たい方程式の支配する世界なのです。やっぱりホスピスでのターミナルケアこそが、たったひとつの冴えたやりかたではないでしょうか。

なお、「DID地区まで1時間以上という生活利便性の極めて低い地域では,『財政力指数』と『人口1,000人当たり医師数』が強い影響力を持つ変数となった」というのは、考えようによっては怖い話です。財政悪化で行政サービス水準が低下し、けが・急病の際に不安がある地域からは人が逃げていく、というのが自然な解釈ではあるでしょう。しかし万が一、行政サービス・医療サービス供給において劣っているため、そうでない地域に比べて死亡率が高いことが人口減少の主因であるとしたら・・・。

[BOJ]物価動向を無視することもあると公言する日銀の審議委員

#本エントリは下記の報道に基づいていますが、trackbackいただいたa-kunさんのその名も「だからマスコミのいうことをそのまま信じちゃダメだってば(汗)」というエントリにて、実際の記者会見の模様(日銀発表のもの)を用いた検証がなされておりますので、そちらもごらんいただければと思います。言い訳をしますと、このエントリをポストしたときには、日銀はまだそれを公表していなかったんです・・・。(12/2追記)

日銀の野田忠男審議委員は30日、岡山市で記者会見し、今後の消費者物価の上昇率が低い水準にとどまっても「利上げの判断に影響しない」との考えを示した。次の利上げ時期は「年内、年明けを含めて白紙の状態」と述べたうえで、「経済指標を総合的に検討して結論をだす」と語った。

12月1日に10月分の全国消費者物価指数(CPI)が公表される。前月の上昇率は価格変動が大きい生鮮食品を除くと0.2%。市場が日銀の利上げ時期を予想するうえで大きな材料となる。ただ野田委員は利上げの判断は「物価だけではない。仮に将来の物価が現状の水準でも、ほかの経済指標の先行きもみる」との認識を示した。

日経「野田日銀委員、消費者物価上昇率低くても「利上げに影響なし」」

FRBがインフレターゲティングを導入しない理由として、FRBの使命は物価安定と失業率改善の双方であるから、というのはよく言われることです。インフレターゲティングを導入して物価安定のみに注力すると、失業対策がおろそかになってしまうおそれがある、と。それにしたって物価動向を無視して金融政策を決定するわけではありません。

しかし私たちが住むこの極東の島国の中央銀行において金融政策決定をつかさどる人の中には、現在のみならず将来の物価上昇の懸念がなくても利上げをする可能性を認める人間がいるわけです。現在物価上昇がなくても、将来物価上昇のおそれがあるから、というのであるならまだ納得もしましょう(本当にそのおそれがあるなら、ですが)。しかし、そのおそれもないのに利上げをするとは、この中央銀行の使命は何なのでしょう。

日銀職員について、bewaadさん始めとするリフレ派の方々、突っ込まれる前に敢えて書きますが、“デフレラバーズ”だろうと言いたい気持ちは分かりますよ(笑)bank.of.japanさんにからかわれてしまいましたが(笑)、やっぱり日銀にはデフレを愛するカルチャーが息づいているのでは、と疑わざるを得ないのです。

本日のツッコミ(全439件) [ツッコミを入れる]

Before...

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???枡?℃枡??????????紙Panasonic??0V??闃叉按??????????? ???い?????????UN-10E5-W?堝?涓??BS??10搴?S????儷?併???儕???????????UN-10E5W UN10E5W] [!のためブログサイトあなたしばらく今、最終的に得た勇気先に行くし、あなたを与えるために|私は読み取り、次のしてきたテ..]


2006-12-02

[economy][BOJ]2005年度GDP統計下方修正

内閣府が1日発表した05年度国内総生産(GDP)確報によると、物価変動の影響を除いた実質GDPは前年度比2.4%増で、従来の公表値の3.3%増から0.9ポイント大幅に下方修正した。名目GDPも1.8%増から1.0%増に、0.8ポイントの下方修正をした。

工業統計表など最新の基礎資料を取り入れて再計算した結果、個人消費は飲料などの消費が少なかったことが分かり、2.6%増から1・9%増に下方修正された。設備投資も産業機械などが伸び悩んだため7.3%増から5.8%増に、大幅に下方修正された。

05年度は従来、実質GDPの成長率がバブル崩壊後に初めて3%を超えた「力強い成長」とされた。しかし、1年もたたないうちに、確報値では、消費税率が5%に引き上げられる直前の好況期(96年度)の成長率(2.9%)も下回った。

GDPが下方修正されたことから、日本経済全体の需要と供給力の差を示すGDPギャップ(需給ギャップ)が、「最近もマイナス圏にあるのではないか」という見方も浮上している。新家義貴・第一生命経済研究所副主任エコノミストは「GDPギャップがマイナスで供給過剰の状態なら、最近の賃金や物価の上昇が鈍いことの説明になる」と話している。【尾村洋介】

毎日「GDP:大幅に下方修正…3%成長幻に 05年度」

だからいわんこっちゃない、ということですねぇ。ちなみに尾村記者がGDPギャップに言及しているのは、次のような記事を11/20に書いているからでしょう。

内閣府は20日、日本経済全体の需要と供給力の差を示すGDPギャップ(需給ギャップ)が7〜9月期に0.4%になったと発表した。3四半期連続のプラスで、プラス幅は4〜6月期の0.3%から0.1ポイント拡大。デフレ脱却に向けた国内経済の改善が続いていることを示した。GDPギャップは、実質のGDPと潜在的な成長力の差を示す。プラスならば、供給過剰・需要不足が解消され、物価が上がりやすい環境になったことを示す。

GDPギャップはバブル崩壊後、消費税率引き上げ前の駆け込み需要があった96年10〜12月期と97年1〜3月期を除き、マイナス基調が続いたが、05年10〜12月期に0%、06年1〜3月期からプラスとなった。【尾村洋介】

毎日「GDPギャップ:7〜9月期に0.4%」

2006年に入ってからどう変化しているかは明らかではありませんが、2005年度の下方修正での減額分と同じだけその後のGDPが低かったとすると、505.12兆円から503.37兆円で▲1.75兆円、その修正前GDPに対する割合が0.35%ということになりますので、潜在GDP成長率についての内閣府の推計を前提にするとしても、本年7〜9月期にようやくプラスに転じたということになります。

#webmasterの主張する潜在GDP成長率(2%台半ば〜3%)が正しいのであれば、当然ながらまだマイナスです。

GDPギャップといえば、本年行われたとある政策判断の際にも言及されていました。

【問】
本日の金融政策決定会合での議論と量的緩和政策解除に至った経緯について、ご説明を頂きたい。

【答】
本日の決定会合では、大きく分けて2つのことを決定した。1つ目は量的緩和政策の枠組みを解除した。つまり、金融市場調節方針を変更したということである。もう1つは、今後、いわゆる金利を軸とした金融政策を行っていくにあたって、新たな金融政策運営の枠組みを導入した。すなわち、透明性確保を意識しながら、新たな枠組みを導入した。

(略)

物価面では、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比はプラスに転じている。経済全体の需給ギャップが緩やかに改善を続けており、ユニット・レーバー・コスト(単位当たり労働コスト)の動きを見ても、下押し圧力は基調として減少している。加えて、企業や家計の物価の先行き見通しも上振れてきている。このもとで、消費者物価指数の前年比は先行きプラス基調が定着していくとみている。こうしたことを踏まえて、「消費者物価指数(全国、除く生鮮食品)の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで量的緩和政策を継続する」というかねてからの約束の条件は満たされたと判断した。

総裁定例記者会見(3月9日)要旨(webmaster注:強調はwebmasterによります)

(問) 消費者物価指数が7か月連続でプラスになっていることが今回の解除の1つの大きな要素になったと思いますが、そこには原油の高騰もかなり反映されています。その消費者物価指数そのものが、来月に基準が見直されると今の水準より少し下がるだろうという見方ですが、今後デフレに戻る危険性、可能性はもう消えたと言い切って良いのかどうか、お考えを聞かせて下さい。(略)

(答) 消費者物価指数は安定的にプラス基調でこのところ推移してきています。この先も、おそらくプラス基調を維持するだろうというのが私どもの基本認識です。その判断の最も大きな根拠は、経済情勢判断について景気は回復の段階を過ぎて拡大の過程に入ったことです。判断は、上方修正したわけではなく、局面の変化、つまりマイナスの需給ギャップをほぼ解消して需要超過の経済に入ってきているという判断ですので、経済がマクロ的に見て需要超過の経済に入ってくれば、それだけ物価の上昇圧力は少しずつ増してくる、ということです。もう1つはコスト要因で、いわゆるユニット・レーバー・コスト(単位当たり労働コスト)がまだマイナスを続けていますが、雇用・賃金の回復が続く中、これが物価を引き下げる力はだんだん減衰してきています。この両面から見て物価の基盤は刻々と強くなってきていると思っていますので、物価が下落し再び景気がどんどん不況の方向に向かうという意味でのデフレに経済が逆戻りするリスクは、ほぼ解消しているのではないかと思います。8月に消費者物価指数の基準改訂があり、おそらく表面的な物価上昇率は一旦下方に修正されると思いますが、物価の動きのトレンドそのものを見る限りでは、今申し上げたような感じで動くのではないかと思います。(後略)

総裁定例記者会見(7月14日)要旨(webmaster注:強調はwebmasterによります)

CPI下方改訂に続いて、またもや金融引締めへの転換の根拠として主張されたことが覆されたわけです。日銀の失政が、またひとつ明らかになったということで。

[economy]「真の失業率」推計最新版(2006-10現在)

年月   完全  真の  高齢化等 15歳以上 就業者数 完全   真の   高齢化等
     失業率 失業率 補正後  人口        失業者数 失業者数 補正後

1990   2.1%  3.2%       10,089   6,249   134   204

1991   2.1%  2.4%       10,199   6,369   136   155
1992   2.2%  2.2%       10,283   6,436   142   142
1993   2.5%  2.8%       10,370   6,450   166   183
1994   2.9%  3.4%       10,444   6,453   192   228
1995   3.2%  4.0%       10,510   6,457   210   266

1996   3.4%  4.1%       10,571   6,486   225   276
1997   3.4%  3.8%       10,661   6,557   230   262
1998   4.1%  5.1%       10,728   6,514   279   348
1999   4.7%  6.3%       10,783   6,462   317   435
2000   4.7%  7.0%       10,836   6,446   320   485

2001   5.0%  7.9%       10,886   6,412   340   551
2002   5.4%  9.4%       10,927   6,330   359   660
2003   5.3%  10.0%       10,962   6,316   350   700
2004   4.7%  10.0%       10,990   6,329   313   705
2005   4.4%  9.8%       11,007   6,356   294   688

2005/Q3  4.3%  8.9%       11,008   6,417   286   628
2005/Q4  4.3%  9.8%       11,015   6,356   287   694
2006/Q1  4.4%  10.9%       11,014   6,283   286   766
2006/Q2  4.2%  9.0%       11,014   6,418   280   631
2006/Q3  4.1%  8.9%       11,021   6,426   273   627

年月   完全  真の  高齢化等 15歳以上 就業者数 完全   真の   高齢化等
     失業率 失業率 補正後  人口        失業者数 失業者数 補正後

2005/11  4.4%  10.0%       11,016   6,344   292   706
2005/12  4.0%  10.4%       11,012   6,315   265   733
2006/1  4.5%  11.1%       11,013   6,269   292   779
2006/2  4.2%  11.0%       11,006   6,272   277   772
2006/3  4.4%  10.6%       11,021   6,308   289   745
2006/4  4.3%  9.6%       11,002   6,368   284   673
2006/5  4.1%  8.5%       11,015   6,448   277   602
2006/6  4.1%  8.8%  6.5%   11,025   6,438   278   618   449
2006/7  4.0%  9.0%  6.6%   11,020   6,421   288   632   454
2006/8  4.1%  8.9%  6.4%   11,019   6,427   272   625   443
2006/9  4.2%  8.8%  6.5%   11,024   6,431   280   624   446
2006/10  4.2%  8.8%  6.3%   11,030   6,437   281   622   434

2005/10  4.5%  9.1%       11,016   6,409   304   641
2004/10  4.7%  9.7%       10,997   6,352   311   686
2003/10  5.1%  9.8%       10,979   6,337   343   690
2002/10  5.4%  9.3%       10,952   6,355   362   654
2001/10  5.2%  8.2%       10,907   6,405   352   575
2000/10  4.6%  6.3%       10,855   6,508   314   439

    C/(B+C) D/(B+D)       A     B     C  D=Ax0.64-B

(直近月次ボトム)
     5.8%  11.6%        --    6,193   385   818
    (03/3,4)(04/2,05/2)           (03/2)  (03/4)  (05/2)

(注)
・単位は、%を付したものを除き、万人。
・ソースは総務省統計局の「労働力調査」(http://www.stat.go.jp/data/roudou/2.htm)。
・月次データは原数値を用いている(季節未調整)。
・「真の」値は労働力人口比率が0.64(直近ピーク(1992年))であると仮定した場合の値。
・「高齢化等補正」についてはhttp://bewaad.com/20060729.html#p02を参照のこと。

#過去の計数は以下のとおりです。

2005
03040506070809101112
2006
010203040506070809
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bewaad [>通りすがりさん こちらも誤解を招く書き方だったような気がorz。 GDP統計の問題や、さらには潜在成長率推計の問..]

通りすがり [bewaadさん> まさに仰る通りかと。 でもって様々なひとびとが様々な角度から丹念に指標を精査・分析していく作業、..]

bewaad [>通りすがりさん わたくしなんぞまったくの素人ですから、できることは限られてはいますが、せめて姿勢だけでもきちんとし..]


2006-12-03

[misc]人口増減のモデル化

先日のエントリでのコメント欄での議論を受けて、ちょっとしたモデルを作ってみました。

女性の寿命が90歳として、集団Aは30歳で1子を、集団Bは45歳で1子を儲け、それ以後出産はしないとします。男性は無視して無性生殖だと仮定すれば、累積出生率は1で人口維持が可能ということになりますが、いずれの集団もこの条件を満たしています。しかしながら、両者の人口には世代を経るごとに差が生じてきます。両者とも人口の初期値をxとした場合、人口の経過は次のようになります。

年数\集団AB
0xx
302x
452x
603x
903x2x

以後、それぞれ3xと2xで安定するわけですが、集団Aから集団Bに移行することがあれば、その移行期にはxだけ人口が減少することになります。人口減少がこのような理由で生じるのであれば心配は無用ですが、累積出生率の低下であればこのような下げ止まりは生じないわけですから、なんとかしなければなりません‐これが現在の日本が直面している状況だということになります。

#当然ながら、このモデルで生涯の出生率が1を割り込めば(現実に適用するなら2(出産年齢以前の死亡を捨象)を割り込めば)、出産年齢がどうであれ人口はゼロに収束します。

念のため、それを示してみましょう。集団Cは寿命は90歳でどの世代も不変ですが、出産年齢が第0世代では30歳、以後5年ずつ伸びて第3世代で45歳になり、それ以降は変わらないとします。この場合において人口の経過は次のようになります。

年数\集団C
0x
302x
653x
902x
1053x
1202x
1503x
1552x
1952x

以後2xで安定しますが、つまりは出産年齢が第0世代のままであれば3xが均衡値であったところ(集団Aと同じ)、出産年齢が高齢化することにより均衡値が2xにまで減少し、その過程で人口減少が起こったわけです。

逆に戦後の人口増加はどのようにして起こったか、これもこのモデルで大まかな仕組みを把握可能です。先日のエントリで引いた平成17年度「出生に関する統計」の概況/2  晩婚化・晩産化の状況では累積出生率が数十年にわたってほぼ2で安定して推移してきましたが、にもかかわらず人口が増えたのは、そう、長寿化の影響です。

集団Dの第0世代は寿命が60歳で、以後世代ごとに10年ずつ寿命が伸び、第3世代で90歳になった後はそこで長寿化が止まるとします。この場合において、出産年齢を固定すると30歳での人口の経過は次のとおりです。

年数\集団D
0x
302x
602x
903x
1002x
1203x
1402x
1503x

以後3xで安定しますが、つまりは寿命が第0世代のままであれば2xが均衡値であったところ(60年経過時の値)、長寿化によりそれが3xに増え、xだけの人口増加が生じたわけです‐先に述べた集団Cと逆の動きということになります。

よりこのモデルを一般化するならば、出生率が変わらなくても、平均出産年齢の平均寿命に対する比率の変化により、人口は増減するのだということになります。少子化・人口減少といえば、あたかも昔は子沢山だから人口が増えたのに、今では子供を作らなくなったからだという文脈でよく語られます。先日のエントリで述べたように、生涯出産をしない女性の増加が影響しないはずもなく、もちろんそのような要素はあるわけですが、それよりもはるかに影響が大きいのは平均寿命と平均出産年齢であると、このモデルは教えてくれるのです。

[economy]わかりやすいフリーター問題の解説

http://ranobe.com/up/src/up154312.jpg

はてなブックマークでは他のURIが人気を集めていますが(http://stat.ameba.jp/user_images/e5/c2/10012572082.jpg)、そちらでは略されている後半部も掲載されていますので、そこをご覧になったことのない方々におかれては、ぜひ。

本日のツッコミ(全12件) [ツッコミを入れる]

Before...

通行人 [いずみんさんがおっしゃる通り、そういう派遣会社もありますが、基本的に人材仲介業なので、仲介手数料が意外と高かったり、..]

 [紹介予定派遣で1万人くらいが就職しているようです。 http://www.mhlw.go.jp/houdou/200..]

bewaad [>いずみんさん、通行人さん、◎さん 情報提供ありがとうございました。そういえば紹介予定派遣があったことを失念していま..]


2006-12-04

[economy][book]門倉貴史「統計数字を疑う」

これまで何度か当サイトでも言及してきましたが、改めて取り上げてみます。といっても、既に多くの方が取り上げられており、高い評価を受けていることをご存知の向きも少なからずいらっしゃるでしょう。単一の統計としてはもっとも紙幅を割かれて紹介されている(pp172-206)CPIの上方バイアス(ボスキンバイアス)については、当サイトでも何度となく論じておりますし、出産の高齢化の出生率に与える影響(第1章末)についても、最近あれこれ書いたところです。えっ、何が言いたいんだって? webmasterが当サイトで書いていることはそれほどデタラメではないのですよ、と(笑)。

多くの統計が取り上げられている本書ですが、一般論としての統計にまつわる諸々の指摘もさることながら、シンクタンクのエコノミストである著者の強みが生かされている各種経済効果試算の内幕(第3章)、及び著者の先行研究の系譜に連なるBRICsに関する言及(第4章後半)や地下経済に関する考察(第5章)にこそ特長があるといえましょう。それらについては、著者のサイトのBRICs経済のページ地下経済のページで関連する話題をフォローすることができるのもうれしいところです。

webmasterに固有の事情を申し上げれば、先に触れたCPIの話や輸入デフレ論の批判的検討(第2章末)、戦後最長を謳われる今般の景気回復の弱さの検証(第4章冒頭)といった部分は、自説(といってもあくまで借り物ですが)の補強としてうれしい限りです。多くの人が本書を読み、メディアでの経済関連記事へのリテラシが高まって、経済を巡る議論の風向きが変わることを願って止みません。リフレ政策を脇に置くとしても、刑務所の存在が社会保障の貧困を補っているのではという仮説(pp68-74)や、サービス残業の削減が経済全体にもたらす好影響の分析(pp81-88)については、こういうことこそ経済財政諮問会議で議論されるべきだと強く思います。

といって手放しで褒めるだけでは、自説に有利な不当を埠頭に持ち上げているのではと受け止められるのも不本意ですから、webmasterが気付いた難点も指摘しておきましょう。ニューヨークの治安回復の説明として用いられる割れ窓理論‐{{'<q>街にある建物の窓ガラスを一枚でも割れた状態で放置しておくと、外部からその建物は監視が行き届いていないとみなされ、次々に窓ガラスが割られていくというもの。/(略)/この理論に従えば、万引きや違法駐車など小さな犯罪の放置は、将来的に凶悪犯罪の多発を招き、治安を大幅に悪化させることになるので、厳しく取り締まらなくてはならない</q><cite>(p60)</cite>‐について、筆者は批判的検討を加えています。

その結果、ニューヨークの治安回復の要因としては、割れ窓理論に基づく治安対策よりも景気の好転や少子化の影響が大きいのではないかとの結論を導いていますが(p64)、「ヤバイ経済学」を読んだ後では、食い足りないとの感が否めません。「ヤバイ経済学」では景気ではないとの論証がなされていますし、少子化に目をつけたならばもう一歩進めて・・・って、後は同書をお読みいただくとして。本書の出版が後であることを考えると、なおさら残念な気がします。

そういえばもうひとつ、世界全体の経常収支は赤字であること(pp165-167)の理由としては、クルーグマンの名を挙げていることもあり、宇宙への貿易赤字仮説を取り上げてほしかったですねぇ(笑)。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

通りすがり [2日付のコメント欄でGDP統計の限界に言及した通りすがりです。 門倉氏の著作についてはあいにく読んでいないのでコメン..]

bewaad [>通りすがりさん 幸いにして新書で手軽ですから(価格も、語り口も)、ぜひとも読んでいただければと思います。自信を持っ..]


2006-12-05

[economy][politics]社会保障を代替する刑務所の一例

秘書給与の詐取で実刑判決を受けた元衆議院議員の山本譲司氏は、知的障害を持つ服役囚の介護が服役中の仕事だった。国会議員から一気に受刑者へと転落した時点で、ある程度の覚悟はできていたとは言え、そこには「服役囚の4人に1人が知的障害者」という驚くべき現実が山本氏を待っていた。

約1年半の刑期を終え出所してきた山本氏は、福祉の仕事に携わりながら、知的障害者の犯罪の実態を調べ始めた。そしてそれを一冊の本にまとめたものが、近著「累犯障害者」だった。その中で山本氏は、実社会では生きるすべを持たない知的障害者たちが、繰り返し犯罪を犯しては刑務所に戻ってくる様を克明に描いている。犯罪といってもほとんどが「しょんべん刑」と呼ばれる万引き、無銭飲食、自転車の盗難などだ。そしてそうした犯罪を犯して繰り返し刑務所に戻ってくる障害者たちの多くが、刑務所を事実上「終の棲家」としてしまっているのが実態だという。

おおよそどこの国にも人口の2〜3%程度は知的障害者が存在するとされる。日本の場合その数は300万人程度と推察されるが、その中で障害者に認定された際に渡される療育手帳を取得し公的福祉サービスを受けている人の数は46万人に過ぎない。残る障害者の多くが、福祉の網から漏れたまま、刑務所と社会の間を行き来する生活を送っているということになる。

(略)

しかし、それにしても本来福祉が担うべき知的障害者の保護を、法務行政が、しかも刑務所という場で担っていて本当によいのだろうか。そもそも、知的障害者が刑務所に入る以外に生きるすべがないような社会が正しい社会と言えるのだろうか。このような障害者が生き難い社会というのは、実は健常者も生き難い社会ということなのではないのか。

「「服役囚の4分の1が知的障害者」が意味するもの」(@ビデオニュース・ドットコム‐マル激トーク・オン・ディマンド12/1付)

刑務所が社会保障を代替しているとは昨日紹介した門倉本でも取り上げられていた話題ですが、その現場の一断面ということではないでしょうか。門倉本ではホームレスについて詳しく書かれていましたが、いずれにしても、権丈先生がよくおっしゃるような、家計による福祉サービスの自家供給の社会化の流れの中で、その歪んだ現れが、刑務所を実質的に介護施設として用いる者が少なからずいるということではないでしょうか。

ただし、もちろん歪みは是正すべきなのですが、歪んでいたとしてもないよりはあるだけまし、というのも残念な現実ではあるのでしょう。

[politics][government]官僚よりも政治家をひいき

政府は1日、再チャレンジ支援策の目玉としていた「国家公務員のフリーター枠採用」の導入を断念した。フリーターが俗称であり、制度上定義するのは困難と判断したためだ。代替として、職歴を問わず、29〜40歳の年齢制限だけを定めた採用枠を08年度から設ける。転職希望のサラリーマンらも応募可能となることで、格差是正のためのフリーター救済という本来の趣旨からは大きく外れる。

(略)

パートタイム労働法によるパート労働者の規定はある。しかし、アルバイト、パート、失業者の中にはフリーターとそうでない人が混在しており、「本人がフリーターだと思えばそうなる」(政府関係者)というのが実態。このため、政府は基準づくりはできないという結論に傾いた。【小林多美子】

毎日「国家公務員フリーター枠採用 断念/再チャレンジ支援「定義が困難」」

政府は、2007年度税制改正に盛り込む「再チャレンジ支援税制」の対象から、仕事・通学をしていない「ニート」や、定職を持たない「フリーター」を外す方針を固めた。政府案はほかに、制度を利用する企業・団体に地方自治体の事前認定を求めるなど、厳しく枠をはめる内容となっている。

安倍政権が「2010年までにフリーターをピーク時の8割に減らす」と公約したことを受け、政府は当初、雇用対象にニートやフリーターも含める方向で検討していた。

しかし、正社員としての雇用を望んでいるかどうかなど、支援すべきニートやフリーターの定義が難しいとして、「定義があいまいなまま制度を導入すれば、課税逃れに悪用されかねない」(内閣府)と判断した。除外の方針を固めたことにより、格差是正に向けたフリーター支援との趣旨から大きく外れることになる。

読売「「再チャレンジ支援税制」ニート・フリーターを除外」

対象の定義をどうするかなんて、霞が関標準で言えば係長で詰めるような話です。役所内のボトムアップで検討されたならば表に出ることすらなかったであろうこれら施策が、これだけ大事になった挙句にものにならずに終わるとは、もし提案者が官僚ならこれで出世はなくなってしまうだろうなぁという気が。しかし政治家であれば総理の座に上り詰めるわけですから・・・。

ともあれ、何とか定義しようと知恵を絞りはしたものの、内閣法制局や財務省主税局で倒されまくったであろう担当者の方々、お疲れさま。

[politics][government]政治家よりも官僚をひいき

自民党の宮路和明衆院議員(鹿児島3区)が平成15年、地元の後援企業による鹿児島〜種子島航路の高速船事業への新規参入計画をめぐり、参入を許可しない国土交通省の担当幹部らを繰り返し事務所に呼び出すなどして圧力をかけていたことが3日、分かった。複数の同省幹部は「強い圧力を感じ、一時は参入を認めようかとも思った」と話している。(三枝玄太郎)

口利きを依頼したのは、鹿児島県内でタクシー事業などを展開する「市丸グループ」(鹿児島市)。

宮路議員は市丸グループの会社やグループ代表の市丸良一社長が代表を務める政治団体から、平成14〜16年の3年間に計208万円の政治献金を受けている。市丸社長は宮路議員と所属派閥会長(当時)のパーティー券をそれぞれ10万円ずつ購入したとしている。

同グループは平成14年12月、種子島航路に高速船を就航させると表明。15年2月、高速船1隻を約8億円で購入した。

鹿児島の離島航路には、国が定めた基準で「乗客200人、乗用車20台」以上の輸送が許可条件とされるため、車両を運べない高速船のみの就航は認められない。

市丸グループは、既にフェリーを運航していた別の海運会社と協定を結ぶことで基準をクリアできるとし、許可を申請した。九州運輸局は許可されるとの見解を示したが、本省は不許可。

このため市丸社長らは、地元の宮路議員に相談し、国交省への陳情を頼んだ。宮路議員を通じて所属派閥の会長(当時)にも口添えを頼んだという。

複数の国交省幹部によると、宮路議員はこの後、担当の海事局次長や国内旅客課長を議員会館の事務所に繰り返し呼び出し、「本省の考えはおかしい」などと許可を求めた。その後も省幹部が宮路議員から「市丸グループの参入問題をなぜ放っているんだ」と叱責(しっせき)され、当時の海事局長が宮路議員から電話で怒鳴りつけられたこともあったという。

国交省はこの問題に関する議員からの働きかけ内容を内部文書に記録していた。

(略)

「先生に従おうかとも思ったが、国会で追及されれば省がもたないと考えた」。高速船の定期航路参入をめぐる宮路和明衆院議員の「口利き」問題で、当時の国土交通省幹部は産経新聞の取材に、宮路議員の圧力にさらされ困惑した胸中を、こう振り返った。当時、宮路議員とは逆に「新規参入を認めるべきでない」との考えを同省に伝えていた地元議員もいた。規制緩和で海運業界の再編が進む中、既存業者と新規参入業者が、政治家を巻き込んでバトルを展開した構図がうかがえる。

(略)

宮路議員に口利きを頼んだ鹿児島市の「市丸グループ」は14年12月、鹿児島〜種子島航路の高速船就航計画を表明。この航路は古くから、「いわさきグループ」(鹿児島市)の商船会社による1社独占が続いていた。

新規参入のネックとなったのは、海上運送法に基づき国交省が特定航路ごとに定めている「サービス基準」だ。離島住民の利便確保などのため、種子島航路の場合は「乗客200人、車両20台」を乗せることが条件。

海運業界では、人を運ぶ高速船は利益が出るが、車も運ぶフェリーは赤字に陥る傾向がある。高速船のみの参入では、フェリー航路が打撃を受ける恐れがあるためだ。

先発業者の「いわさき」は、フェリー1隻を定期運航する別の海運会社と協定を結ぶことで基準をクリアし、高速船4隻を運航してきた。「市丸」は、「いわさき」と協定を結んでいる会社と「二重協定」を結ぶことで就航をもくろんだ。

この二重協定の是非をめぐり、国交省内の見解は二分したという。

国交省出先の九州運輸局や鹿児島運輸支局は「市丸」側に「二重協定で参入できる」と“お墨付き”を与えていた。

だが、東京・霞が関の本省サイドの見解は「ノー」。フェリー1隻だけを運航する会社が2社と協定を結ぶのは認められないと回答した。

既に高速船購入の本契約を結んでいた「市丸」側は結局、約17億円かけて自前のフェリー1隻の購入に追い込まれる。

当初の就航申請が通っていれば、「市丸」側は17億円の追加投資が浮いた計算だ。

宮路議員は「九州運輸局はOKしたのに」と、省内の不統一を繰り返し責めたという。

産経「航路参入求め圧力 宮路議員、献金企業が依頼」

献金先を通じた陳情は、受ける側としては気が重いのは事実ではありますが、しかしこれは国土交通省側の落ち度でしょう。裏事情があれば話は別でしょうけれど(例えば、九州運輸局も当初は後ろ向きだったのに、「圧力」で見解を変えさせた、とか)、そうでない限り、市丸グループ側がどういうことだと詰め寄りたくなるのは当然でしょうし、その際に自分で直接コンタクトを取るより政治家を経由した方が効果的だと考えるのも無理はないでしょう。

対するに国土交通省の担当者が「圧力にさらされ困惑した」とは、まあこの記者の観察が正しければの話ではありますが、あまりに無責任な態度でしょう。九州運輸局や鹿児島運輸支局の担当者にはきちんと責任をとらせましたか? 最初から色よい返事がなければ無駄な投資をせずにすんだかもしれないわけで、民間事業者がどれだけシビアに採算性を見つつ事業計画を立てているかがわかっていれば、もう少し殊勝なコメントを紡がずにはいられないのではないでしょうか。

で、当の宮路議員のコメント。

■宮路和明衆院議員の話「九州運輸局がOKだと言ったのに、本省の国内旅客課長が“いけない”などと訳の分からないことを言うので、行政の連続性がないではないか、とただしただけ。種子島の住民も市丸の新規参入を望んでいた。国会議員が官僚を怒るのは日常茶飯事だ」

産経「航路参入求め圧力 宮路議員、献金企業が依頼」

おっしゃることはごもっともだと思いますが、「官僚を怒るのは日常茶飯事」というのは、もう少しお手柔らかにお願いいたします。

なお、関連して、

  • 地元にゆかりのある身として、やったことは確かに口利きに違いないけれど、この参入問題をずっと眺めていて、かつ新規参入を歓迎する側の一人として言うと、これで議員が刑事罰を問われるとしたら、ちょっと納得できない部分はありますね大石英司さんが取り上げられ
  • 関連する判例との関係について、福岡高決2005(平成17)年5月31日判例タイムズ1186号110頁の事件(略)は行訴法改正後に執行停止の申立てを認めた決定として,行政救済法の授業などでも紹介されることが多い事件ですが,こうした著名事件の裏側には,訴訟以外の解決ルートも動いていることを改めて確認させられたニュースでしたpaco_qさんが言及されています

ご参考まで。

本日のツッコミ(全27件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>偏差値40さん 加えて、夜逃げや自殺もあるわけで・・・。]

通行人 [>bewaadさん おっしゃる通りなのですが、僕は率直に完全失業者と呼んで、現実を直視すべきだと思います。数年前は、..]

bewaad [>通行人さん 結論には、当然ながら全く異論はありません。ただ、リフレで何でも解決すると思っていやがる、なんてことを言..]


2006-12-06

[economy]刑務所での暮らしの「お値段」

昨日の続きとなりますが、ホームレス等の暮らしよりも刑務所暮らしの方がいいと考える者が少なからずいる現在をどう考えるべきか、ひとつの材料として、刑務所での生活費はどの程度のものなのかを試算してみます。

刑務所・拘置所の収容人員が年平均で一日当たり77,932人です。少年院・少年鑑別所はこれに相当する統計がないのですが、新収容者がそれぞれ4,878人と19,627人とのことで、平均収容期間が少年院では3ヶ月、少年鑑別所では4週間だとすれば年平均一日当たり2,730人ということになります(いずれも平成17(2005)年度の計数。ソースは法務省の「白書・統計ページ」です)。合計すれば法務省の矯正官署ではだいたい年平均で毎日約8万人を収容しているわけです。

他方で収容者の生活にどの程度の費用が必要であるか、次のような証言があります。

加害者は、逮捕されてから刑務所や少年院をでるまで、食費、医療費、衣服費、ガス、水道、ちり紙代まで一切国の費用で賄うのです。弁護士も国の費用で依頼できます。刑務所の医療病棟や医療刑務所で手厚い治療が受けられます。

2002年度の決算を見てみますと、
(1)逮捕されてから48時間以内に、警察が出した医療費と食料費は3億7817万2000円に上っています。
(2)それ以後については、食料費146億800万円、衣服費10億3300万円、医療費21億9000万円、光熱費、燃料費72億8600万円、生活管理費(ちり紙、歯ブラシ代その他)50億8600万円で、合計397億100万円となっています。
(3)また国選弁護報酬は65億8100万円に上っています。

結局(1)(2)(3)を合計すると、466億6017万2000円が加害者のために支出されております。もちろんこの中には、刑務所などの職員人件費、施設費などは含まれていません。これらを入れると、2000億円は軽く越えるでしょう。

全国犯罪被害者の会 NAVS【あすの会:会の紹介】/ごあいさつ

ここに含まれていない大きな支出項目は住居費ですが、とりあえずの仮定計算として一人当たり月額1万円とすれば、8万人×1万円×12ヶ月で約100億円。これに上記の(1)と(2)を加えれば年間で約500億円が生活費相当ということになります。この数字を人数で割り戻せば、一人当たり年額60万円強。月額なら約5万円、日額なら1,700円強といったところです。

#矯正官署全体では年間2,000億円程度を費やしており(平成17年度決算で2,157億円)、全経費中だいたい1/4が生活費相当、残る3/4が刑務所等としての機能確保に充てられているということになります。

現在の生活保護支給は約100万世帯で、他方8万人のすべてが生活を求めて犯罪に手を染めるわけではないでしょうから、今ではまだ生活保護を受給して暮らす方が生活水準が高いものと考えられます。東京都区部の独居老人が住宅扶助込みでだいたい年100万円支給、加えて平成15(2003)年度で医療扶助が総額1.1兆円ですから、単純に世帯割りで年間約100万円、独居世帯だと人数が少ないですからさらに少額になるでしょうけれど、そこを捨象してこれを加えると年110200万円となり、50140万円程度の格差があるわけで、この動向を裏付けています。(計算間違いを訂正しました。(12/7追記)

#したがって、現在生活保護ではなく刑務所に暮らしを求めるのは、住所不定等により生活保護が受けられない者、あるいは何らかの障碍があり、それに関するコストを加えれば生活保護の支給水準では生活を賄うに不足する者が大多数であると考えられます。

しかしながら昨今では、生活保護の支給水準を国民年金のそれよりも低いものとしようとの議論があります。国民年金の支給水準が現在で80万円弱ですが、仮にこの議論が政策として採用されこれを下回るとなると、(医療扶助は別枠かもしれませんが)刑務所暮らしでの生活水準との格差は、単純計算で半分を割り込み20万円未満ということになってしまいます。ここまで生活保護の支給水準が引き下げられた場合、現在とは異なり、生活保護を受けようと思えば受けられるにもかかわらず、あえて刑務所暮らしを選ぶ、という者が出てくるのではないでしょうか。

もちろん犯罪に手を染めるにはさまざまな葛藤があり、いくら生活に困ったとしてもそんなことはしない、という人が多いのは事実でしょう。しかし、生活保護を受けるにもミーンズテスト(本当に生活保護を必要としているかどうかの収入チェック)があり、それによるスティグマを考えれば、全ての人にとって犯罪の抵抗感より生活保護の抵抗感が低いと言い切れるものではありません。累犯者ともなればなおさらです。

さらに、刑務所暮らしは額で単純に比較するより水準が高い可能性があります‐スケールメリットが効いてくるからです。単純に金目だけを考えるなら、個人でまちまちに暮らす場合、おそらく年60万円では刑務所での生活水準を下回ってしまうことでしょう。刑務所暮らしのスケールメリットが小さい(=非効率な運営)であればよいのですが、仮に2割程度の効率化がなされているなら、暮らす側の実感としては、ほぼ同等ということになってしまうのです。

[politics]現存する翼賛体制

全国都道府県議会議長会によると、05年に47都道府県の知事部局が提出した議案や同意案件などは1万1142件。うち修正して議決されたのはわずか14件、否決は10件にすぎない。ほとんど素通りだ。

毎日「知事 腐敗の構図(中)/解散選挙に弱腰 業者と蜜月関係も/議会 追及機運なく」

内閣提出法案の成立確率が高すぎるといった批判は多くありますが、それにしても8割台です。他方で否決される確率は0.09%(=否決されない確率は99.9%)、修正を含めても0.2%(=原案どおり可決される確率は99.8%)とは。知事の権限の強さを一般論としてはwebmasterも承知していましたが、にしても改めて数字で見ると驚かされずにいられません。

webmasterは地方分権には是々非々の立場で、一概にネガティヴに捉えるものではありませんが、にしても地方分権を声高に叫ぶのであれば、こういう実情をもう少し改善すべきなのではないでしょうか。いろいろと改善策を検討しているという反論があるかもしれませんが、これからやりますではなく、これだけ改善しましたという結果を出してから、というのがあるべき順序じゃないんですかねぇ・・・。

本日のツッコミ(全420件) [ツッコミを入れる]

Before...

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2006-12-07

[economy]リフレ政策の波及経路

救急車のクーポン制導入というアイデアを、クルーグマンの子守協同組合のお話の応用問題として発展形を考えるといろいろと面白そうだなぁ、と眺めていたところ、次のような記述がありました。

共有地のジレンマ的な問題に対処する一つの方法が、それを利用する人に「即時的な報酬」を付与すること。

未来に生じうる悲劇とか、みんなが救急車の利用を抑制した先に広がる「美しい国」とか、「今ここ」にあるもの以外のもので人を説得しようとしても、みんなを納得させるのは無理。

たとえ意味がなくても、とりあえず「モノ」をあげて、「利用すると、これがなくなっちゃうんですよ」とやったほうが、ある種の人にはたぶん効果的。

経済活性化のために「インフレターゲットを設定しよう」なんていう意見があるけれど、あれもまた、反応できるのは経済学に詳しい人だけ。自分も含めたほとんどの人は、「そうなると、何がおきるの?」と他人事。

同じことをやろうと思ったら、たぶん貨幣の価値に「半減期」みたいなものを設定して、「使わないで持っていると、お金の価値はなくなっちゃいますよ〜」とやったほうが確実。

国滅ぶだろうけれど。

「「最初の1回だけ無料」ルール」(@レジデント初期研修用資料12/6付)

まず傍論から述べるなら、名目価値を減価させる貨幣はゲゼルの消滅貨幣として、歴史上前例があります。

(Wörgl)オーストリア西部、チロル地方にある小都市。1932年から1933年にかけて、当時の市長であったミヒャエル・ウンターグッゲンベルガーによって減価する貨幣の理論に基づいた地域通貨「労働証明書」が流通し、地域経済の立て直しに大いに寄与したことで知られる。

当時ヴェルグルでは大恐慌のために大量の失業者が発生し、市の財政も破綻寸前の状況にまで追い込まれた状況下で、シルビオ・ゲゼルの理論に詳しかったウンターグッゲンベルガーがそれを実践に移した。この当時人口わずか4000人強のこの市は400人もの失業者を抱え、しかもそのうちの200人以上は失業保険の資格も切れて生活保護の需給対象になっていた。市の財政も破綻しており、5万シリングもの未払い利息を抱えていたのに対し市民税収入はわずか3000シリングであった。本来は11万8000シリングの未収の滞納市民税があるのでそれで利息の支払いは十分にできるはずなのだが、経済危機の中では納税する金銭的余裕のある市民はほとんどいなかった。このような中で1シリング・5シリング・10シリングの3種類の額面価格による『労働確認書』が発行され、1932年7月31日から流通が始まった。

この『労働確認書』は、いわゆる「スタンプ貨幣」の一つである。紙幣にはスタンプを張るスペースが用意されており、月が改まるごとに額面の1%に相当するスタンプを購入して貼らなければならない。当然この紙幣を手にした者はできるだけ早くこの紙幣で買い物を行おうとし、その結果として紙幣の流通速度が上がり、商取引が促進されるというわけである。

この成果は驚くべきものだった。1000シリングの『労働確認書』の流通からわずか3日で、5100シリングもの税金が市役所に支払われたという報告が飛び込んできた。税収が激増したためそれまで滞っていた公共工事が進み始め、わずか1年で10万シリングもの事業が行われた。また、フランスの雑誌のレポによれば「それどころか人々は税金を前払いしたりさえするのだ」という、現代社会では一般的に非常に考えにくい事態が起こっていた。また、オーストリア全体で失業者が329千人(1932年7月)から375千人(1933年7月)に増大している中、ヴェルグルでは逆に失業者数が1年で4分の1も減少した。しかしながら、経済政策における影響力の喪失を恐れたウィーンの中央銀行によって禁止令が出され、結局ほぼ1年で禁止されることになる。

ヴェルグル‐補完通貨研究所(webmaster注:強調は原文によります)

現在の日本のデフレ対策としては、慶應義塾大学商学部教授の深尾光洋先生が同様の効果を持つ現預金課税政策を提案されていますが、前例があることからも、「国滅ぶ」というわけでは必ずしもなかろう、というのが客観的評価だとwebmasterは思います。

この場合、手持ちの現金がそのままではどんどん減価してしまうわけですから、そのうち支出するつもりのあるもの(で時期を前倒しても問題のないもの)はなるべく早めにしてしまおうとするわけです。例えば手持ちの100円が明日になったら90円になってしまうなら、100円のものは今日買ったほうがまし(明日買うとすれば、減価後の100円=今日の111円必要)ということになります。生鮮食料品等だと前倒すにも限度があるでしょうけれど、上記引用中の税金なんてものは前倒しても困らないものの典型でしょう。

しかしながらこの方法、難がないわけではありません。どこまでを減価の対象とするかの線引きが非常に難しいのです。上記引用のように、紙幣(ないしその同等物)に適用するのは物理的にそのようにすればよいわけで簡単ではありますが、紙幣のみに減価を適用するなら、消費や投資に支出する以外に、預金するという抜け道ができてしまい、消費・投資への刺激効果は限られてしまいます。

では預金もふさぐとして、有価証券はどうでしょうか。株式や不動産はさすがに貨幣との代替性は低いかもしれませんが、ならば株式投信やREITは? と考えていくと、どこかで減価すべきものとそうでないものを線引きすることの難しさをおわかりいただけるのではないでしょうか。そのゆえんは、貨幣との代替性はさまざまな財においてそもそも連続的に変化するものであって、オールオアナッシングではないからです。

そこで逆の発想として、先の例で言えば、今日も明日も100円は100円ですが、値段の方が100円から111円に上がるとすれば、効果は同じということになります。いろいろな財・サービスの値段が上がっていく状態になれば、既述のような難点を持つゲゼルの消滅貨幣をわざわざ使わなくとも、普通の貨幣で十分なのです。いろいろな財・サービスの値段が上がっていく状態とは、すなわちインフレです。

#厳密には、今後の物価の動向の見込みが今日の消費・投資判断に影響を与えるので、大切なのは今のインフレ率ではなく、今後のインフレ率見込み(期待インフレ率)がどうなるか、ということになります。

冒頭の問題提起では「『インフレターゲットを設定しよう』なんていう意見があるけれど、あれもまた、反応できるのは経済学に詳しい人だけ。自分も含めたほとんどの人は、『そうなると、何がおきるの?』と他人事」とのことですが、インフレターゲティングの導入は手段であって目的ではなく、インフレターゲットが設定されたからといってその含意を皆が読み取る必要はありません。期待インフレ率が上がればよいわけで、実際にそうなった場合、インフレターゲットの効果はブラックボックスで何ら差し支えないわけです。

実際にリフレーション政策パッケージ‐インフレ(より望ましいのは物価水準)ターゲティングの導入と、日銀保有長期国債残高の大幅な増加等によるマネタリーベース供給の拡大がwebmasterが考える二本柱です‐が採用された場合、皆がいっせいに期待インフレ率を高め、消費・投資判断を変える必要はありません。目端の利く人間から順次変わっていけばよいわけで、重要なのは最初に判断を変える者のインパクトということになります。

目端の利く人間とは誰か、具体的には企業の経営者たちでしょう。鵜の目鷹の目で収益機会をうかがっている彼/女らにしてみれば、将来インフレになりそうだと予測しているにもかかわらず、路線転換を遅らせる理由はありません。いざなぎ越えの現在の景気回復ですら、外需を主として頼るのみであれだけの設備投資がなされているわけです。内需に火がつくインフレが見込まれることとなれば、内需関連産業が今までの抑制を取り戻すべく、大胆な路線転換を図ることは自然なことです‐今のように漫然とフリーキャッシュフローを積み上げておくのは、ライバルに遅れをとることに他なりません。

#理由は上記の応用で、インフレ=手持ち現預金の減価が予測されるならば、減価するがままに放置するのは収益機会を見逃すということになるからです。

本年度の第3四半期(7〜9月)のGDP(1次速報値)を見れば、民間消費約290兆円に対して粗輸出は84円に過ぎません(名目値、年換算(12/8訂正))。今年に入っての設備投資増10%強(各四半期の前年同期比)が主として粗輸出の好調さに支えられているわけですから、その3倍以上の規模の国内民間消費が活性化するとの見込みが成り立つならば、年率20%程度の伸びだってあながち夢物語とはいえません(専門的な推計は11/21に紹介しました)。

一般の消費者が将来予測において企業経営者ほど敏感ではないとしても、実際に設備投資が増え、雇用が増加し、給料が上がり、各種報道においてその手の話題が数多く取り上げられるようになれば、おのずと財布の紐も緩むというものでしょう。リフレーション政策パッケージの採用に当たってはその効果に懐疑的であっても、懐が暖かくなれば理屈がどうであれ消費行動を変えてくるはずです。

したがって、繰り返しにはなりますが、インフレターゲティングの含意が広く周知されることは、その有効性の必要条件ではありません。最初の段階においては、少なからぬ企業経営者の将来予測を変えることができるかどうかが勝負の分かれ目になるのです。

[economy][WWW]非常に楽しみな連載

以下の10項目別に、ファイナンス理論のエッセンスについて、数字をほとんど使わないで、生活的な内容を含めて書いていこうと思いますとのことです。これは要注目だとwebmasterは思います。山形浩生さんの「血も涙もない損得勘定だけの冷血ファイナンス屋養成講座」がおそらくこのまま未完に終わるであろうことを考えますと、なおさらその価値は高いといわざるを得ません。

  1. ファイナンス理論で出来ること、出来ないこと
  2. 危険はいやだけどお金はいっぱいく(ママ)ほしい−リスク・リターン・効用
  3. 明日の1万円と今日の一万円−割引率
  4. 不幸な時に恵んでくれる人のありがたさ−逆相関の大切さ
  5. 安全な口座が出来たらみんな同じ様に資産を持とうとする−二基金分離定理
  6. リスクの本質って何なんだろう−資本資産価格理論
  7. 世の中にうまい話はない−無裁定理論
  8. 周りを出し抜く?むりむり。−効率的市場仮説
  9. パイの切り方を変えても大きさは変わらない−MM命題
  10. 義務のついてこない権利は有料です−オプション価格理論

これらの勘所がつかめれば、ほとんどの人にとっては、例えばブリーリー&マイヤーズなんて分厚い本をわざわざ読む必要はないといっていいでしょう。その分野の専門家以外が基礎知識として押さえておくべきことは、この10項目に尽きているといってよいのですから。

本日のツッコミ(全86件) [ツッコミを入れる]

Before...

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2006-12-08

[misc]佐々木毅先生の仕事観

東大法学部ミシュラン経由で。

さまざまな事件が起き、若い人からは虚(むな)しいといった言葉が聞こえてくる。すでに人生半ばを過ぎた大人も、満たされない焦りに似た表情をしています。日本人の社会は、昔からある種の精神的なもの、知的なものを大切にして自分を耕す生き方をしてきたのですが、その部分が痩(や)せ細ってきたのではないかと思います。

それは、目に見えるもの、分かりやすいもの、理解しやすいものを余りにも判断の中心に据えてしまったからではないか。人付き合いからメディアの情報、仕事の業績までうまく伝わるものは分かりやすいのです。だから全体の中の分かりにくい部分は放りおかれて、話の単純な最大公約数が伝わる悪循環が起きてくる。世界各地で発生している問題は複雑ですが、島国に住む日本人にはそれを肌で感じることも難しい。勢い、言葉や映像、数字、流行などの単純に加工された情報が入ってくるだけになり、そしてそれに条件反射しているのです。とくにお金に換算できる話は非常に通りが良く、伝播(でんぱ)力が強い。世の中はそれだけでも動いていくような錯覚が起きてしまっています。

分かりやすいこと、単純なこと、そして答えがスッキリ見えることは確かに心地良い。しかしその物差しで生きていくと、考えるという精神的な掘り下げが出来なくなります。行き当たりばったり、出合い頭で結論を出す。仕事ではスピードが求められるからという自分への言い訳で、積み残してきたものがあるのではないか。この仕事に突き進んでいるのは、何に価値を見いだしているからなのだろうか。考えてみて欲しい。

自分を耕す仕事をせよ<佐々木毅が語る仕事・4>/分からないこと、の深さ

おっしゃることはまことにごもっとだと思うのですが、行革に関する先生ご自身のご主張は、下記の当サイトで取り上げたものを見る限り、「目に見えるもの、分かりやすいもの、理解しやすいものを余りにも判断の中心に据えてしまっ」ているような気がするのですけれども・・・。

[misc]蓮とホットケーキ

ホットケーキを作っていてふと思ったことなのですが、生地を焼き始めて表面がぶつぶつと泡立ってきたら裏返し時ですけれど、そのときのぶつぶつの見栄えというのは、一時期はやった蓮画像(webmaster注:リンク先は文章での説明であって画像そのものはありません)に実に似ているなぁ、と。食べ物を作りながら食欲のなくなる連想をするのは、webmaster自身どうかと思うのですが・・・。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>とおりすがりさん なぜ気泡ができるか、ということは考えたことがありませんでした。情報提供ありがとうございました。]

cloudy [脱線しますが、あれはやはり「ホットケーキ」の方がいいですね。 最近は「パンケーキ」と書く店が多いのですが、ズボンを「..]

bewaad [>cloudyさん ホットケーキミックスの箱に書かれたレシピでは(つまり、自分で小麦粉とベイキングパウダーを混ぜて生..]


2006-12-09

[economy]直近のGDPも下方改定

2005年度GDPの下方改定に続いて、本年第3四半期GDPの第2次速報において、第1次速報値が大幅に下方改定されました。

内閣府は8日、2006年7〜9月期の国内総生産(GDP)の改定値を発表した。物価変動の影響を除いた実質GDP(季節調整値)の成長率は前期比0・2%増(年率換算で0・8%増)となり、11月14日に公表された速報値の0・5%増(同2・0%増)から大幅に下方修正された。

GDPの柱の一つである設備投資が同1・5%増と、速報値の同2・9%増から大きく下方修正されたのが響いた。

7四半期連続のプラス成長は維持したが、足元の成長率が年率1%を下回っていることが確認され、日本銀行が目指す早期の追加利上げの判断には逆風となりそうだ。物価変動を反映し、家計や企業の実感に近いとされる名目GDPの成長率は、速報値の前期比0・5%増(年率1・9%増)から、改定値では前期比0・0%減(年率0・0%減)に下方修正され、2004年4〜6月期以来、9四半期ぶりにわずかながらマイナスになった。

大田経済財政相は8日の閣議後会見で、「個人消費の弱さが反映したが、設備投資はそれほど弱くない。景気の腰折れ懸念はなく、踊り場に入る兆候はない」と述べ、景気回復基調に変わりがないことを強調した。

(略)GDPの5割強を占める民間最終消費支出(個人消費)も速報値の同0・7%減から同0・9%減へ下方修正された。この結果、内需全体の寄与度はマイナス0・2%と、2005年10〜12月期以来のマイナスとなった。

読売「7―9月期のGDP年率0・8%増、大幅下方修正」

追加利上げする状況じゃないということ以上に、そもそも量的緩和・ゼロ金利の解除が原因ではないか、ということをまずは疑うべきではないでしょうか。この点に言及しているのが、

自民党の中川秀直幹事長は8日夜、埼玉県上尾市内での講演で、「国民生活とはかなりかけ離れた『駆け込み利上げ』はしないと信じたい」と述べ、日銀による追加利上げを強くけん制した。「金融政策の影響は大きい。政府としっかり意思疎通してもらわないといけない」とも強調した。

中川氏は今年7―9月期の国内総生産(GDP)改定値が大幅に下方修正されたことに関して「考え得る政策の影響はゼロ金利の解除などしか思い浮かばない」と述べ、日銀の金融政策が一因だとの認識を示した。そのうえで「金融政策が実体経済に与えた影響を検証し、国民に説明してほしい」と注文を付けた。

読売「7―9月期のGDP年率0・8%増、大幅下方修正」

このようにメディア自身の分析ではゼロで政治家である中川幹事長のみだ(webmasterが気付いた限りでは)というのは、やっぱり日銀への評価は甘いものだなぁと。

bank.of.japanさんの情報によると、中川幹事長、今夜の講演(埼玉県)で「政府から独立しているという日銀のメンツのためだけに(利上げを)強行するなら、その代償は余りにも大きい。日銀には『平成の関東軍』などと言われないよう心から期待したい」と述べたそうだと、もっとどぎつい表現(笑)だったとのことです。

ちなみに、

これにより、内閣府が示している2006年度の実質成長率見込みの2・1%を達成するためには、10〜12月期からの残り2四半期で年率3・1%の伸びが必要となる。また、名目成長率見込みの2・2%の実現には、年率8・6%の成長が求められ、いずれも達成が厳しい状況となった。

読売「7―9月期のGDP年率0・8%増、大幅下方修正」

そりゃ「達成が厳しい」どころではなく、絶対に無理(特に名目)というものでしょう(笑)。現状で推移どころか拡大しなければならないわけですが、実態はおそらくは逆で、例えば足元の景気ウオッチャー調査も先行きが怪しそうですし。

[economy][politics]円高シンドローム再燃の危機?

来日中のアダムズ米財務次官(国際金融担当)は7日の記者会見で、日本のデフレは終わったとの見解を示した。さらに日本政府が2004年3月以降、為替介入を実施していないことを歓迎した。会見要旨は次の通り。

──日本経済の見通しは。
「景気回復は持続可能とみている。国際通貨基金(IMF)は来年2%程度の成長を予測している。設備投資と輸出が景気をけん引し、個人消費にはまだ疑問符がついているが、回復は時間の問題との見方もある。多くの指標をみるとすでに日本のデフレの局面は終わっている」

(略)

──米自動車業界に円安への不満がある。
「米産業界の指導者とは定期的に協議しており、彼らの声を聞くことは重要。為替相場については日本が04年3月から介入を実施していないことを歓迎していると言うにとどめたい」

日経「日本 デフレ終わった/アダムズ米財務次官見解」

円安対策として金融引締めがアメリカから求められたとしたら・・・バーナンキが止めてくれることでも期待するしかないのでしょうか・・・。

[economy]設備投資が輸出関連主導であることの備忘

企業の設備投資意欲と密接に関連する工作機械の2006年受注額が、バブル期の1990年以来16年ぶりに過去最高を更新することが確実となった。北米や欧州を中心とした輸出がけん引役となり、国内も建設機械や電機業界からの受注が堅調だった。

日本工作機械工業会(中村健一会長)が7日発表した1-11月の累計受注額(速報)は、前年比6.2%増の1兆3107億円だった。12月の受注が20%減ったとしても、90年に記録した暦年の最高記録(1兆4121億円)を更新する。

(略)90年当時は内需が約7割を占めたのに対し、今年は輸出がけん引。11月までの累計は同14.5%増の6344億円と、この時点で暦年の最高記録を更新。輸出比率は48%に達した。

日経「工作機械受注額、最高に/今年、16年ぶり/輸出がけん引」

バブル期と同じ程度に内需関連投資が高まっていたとしたなら、

  • 1.41×0.7×11/12+0.63=1.53=1.17×1.31

ということで、17%ほど上積みがあったということになります。

[politics]道路特定財源問題関連エントリのサルヴェージ

旬の話題ですが、昔書いたことにあまり付け加えることもないので。

一般財源化できるなら税を減免をすべし

調整役に不向きな塩崎官房長官

本日のツッコミ(全14件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>通行人さん 夏は全般的に涼し目だったのではないでしょうか。消費者金融の貸し渋り問題は、もしあるとすればこれから本格..]

通りすがり [通行人さま> 7月は梅雨明けが遅れて天候不順になり、同月の消費指標が軒並み下がってしまったんです。これが7-9月期の..]

bewaad [>通りすがりさん 伝統を大事に、とは現政権の金看板ですから、きっと加持祈祷の復権も含まれているのですよ(大いなる勘違..]


2006-12-10

[government]「『天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない』バトン」への懐疑

あまりにタイムリーな話なので、まるで私にツッコんでくれと言われているように感じたこのニュース。

「天下り」あっ旋全廃提言に閣僚が反発

(略)

「天下り全廃」を提案した御手洗氏には拍手喝采だが、「官僚がやる気をなくす」という理由で「天下り全廃」に反対した閣僚は一体全体何を考えているんだか…。

(略)

私は、小泉政権時代は自民党の支持者だったが、この件で舵取りを間違えれば、次の選挙では自民党には票を投じない(>安部さん)。

と、言うことで、ブログを使ってちゃんと国民の声を届けようという試みとして、「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」バトンを読者の方々に投げてみようと思う。私の意見に賛同していただけるブロガーの方には、ぜひとも同じタイトルでブログエントリーを作り、さらにその読者に賛同を呼びかけた上でトラックバックを投げ返していただきたい(typepadの仕様上、反映には時間がかかるので注意)。日本中のブログで「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」という声が上がれば、さすがの自民党も無視できないはずだ。

「「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」バトン」(@Life is beautiful12/7付)

そもそも「日本中のブログで『天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない』という声が上がれば」ということがあり得ないでしょうし、万が一そうなったところで「さすがの自民党も無視できない」なんてこともないでしょうけれども、一応当事者である霞が関住人として(少なくともこれまで上記エントリに寄せられたtrackbackを拝見した限り、同業者はいなかったようですので)、この運動が仮に成功した場合の影響を予測するなら、天下り斡旋全廃のみがとおって平均的な待遇が下がり、その分だけ人材の質が下がるだろう、ということになります。それでもよろしければ、どうぞ。

#天下り問題についての包括的な論考はかつて行いましたので、もしよろしければご参考まで。また、isuzukiの日記トップページ冒頭のリンク集も有益です(当サイトのページも含まれていますので、手前味噌ではありますが)。

Satoshi Nakajimaさんはそのような将来像をよしとしているわけではなく、そうならないよう提案もしているではないか、というご批判もあるでしょう。事実、次のようにお書きになられています。

この閣僚の発言は、「官僚は給料が安くても、不夜城と呼ばれる霞ヶ関でサービス残業で死にそうになっても、最後には天下りして甘い汁が吸えるからがんばっている」と言っているに等しい。

これは官僚を侮辱した発言だし、そもそもインセンティブの与え方が間違っている(参照)。優秀な人に、国民のために霞ヶ関で長時間働いて欲しいのであれば、その働きに見合うだけの民間並みの給料を払うべきだし、残業手当も出せば良い。税金をそういうことに使うのはごく当たり前のことで、ちゃんと説明すれば国民を納得させることは可能なはずだ。

そういうオープンなアプローチを取らずに、「天下り先をちらつかせることにより官僚をこき使う」ことが、いかに間違ったインセンティブの与え方であるか、そして、それが決して日本の経済に、つまりは「国力」に悪影響を与えているか、まともな頭を持っていればどんな政治家にも分かるはずだ。

「「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」バトン」(@Life is beautiful12/7付)

一般論としてはおっしゃるとおり、でも実際にはどうしようというのでしょうか? まだしも具体案が形成され、天下り斡旋全廃とパッケージになって提案されているならば議論のしようもあるでしょう。しかしそうでなく、その点は後で別途、まずは天下り斡旋全廃から、ということになると、そこだけ先食いされるのは目に見えています。「優秀な人」「民間並みの給料」だけでも議論百出で成案が得られるかどうかも怪しいところ、成案が得られたところで昨今の風潮の中で、それが多数の支持を得られる姿などwebmasterには想像もできません(そう考える材料としては、例えば先日の3階年金に対するマスメディアの論調)。

#といいつつも、同じニュースに対する2ちゃんねる・ニュース速報板の反応(@【2ch】ニュース速報ブログ)をみると冷静な意見も少なからずあり(編集の結果であって、スレそのものでの比率はもっと少数派なのかもしれませんが)、希望がゼロというわけでもないのですが(ゼロに限りなく近くはあります)。

webmasterのわが身かわいさでこう申し上げていると思われるのもなんですので、先に触れた過去の論考において次のようなことを申し述べていることを引用しておきます。なお、引用文中「待遇を悪くして」とは、天下り廃止&代替措置なし、を指します。

それではどうすればよいのか。 天下りをやめることを絶対視するのであれば、webmasterの個人的見解としては、待遇を悪くして人材の質の低下を甘受するのがもっとも弊害が少ないと予想される。 既述のとおりキャリア官僚とは、金儲けがしたければいくらでも他に道はあったのに、あえてそうでない職業を選んでいるという、一種の変人の集団である。 だから、待遇が悪くなったほどにはパフォーマンスは低下しないだろう。 ・・・多分。

以下、関連する他の方のご意見について。

これに賛成だからこそ、あえて官僚の退職手当に関して書いておく事にする。

これは役人から愛人まで幅広く適用できる作法だが、きっちり辞めさせたければきっちり手切れ金を渡す事だ。これは民間におけるリストラの際の鉄則である。

その際重要なのは、過去はなるべく問わない事。さすがに横領などの明白な犯罪まではお目こぼしすうわけには行かないだろうが、至らぬ所を問うては行けない。重要なのは、きっぱり手を切る事なのだから。過去を詮索しては、切るに切れなくなってしまう。

「手切れ金はけちるな」(@404 Blog Not Found12/8付)

これまたおっしゃるとおりではありますが、先に触れた3階年金(と退職手当)に関する報道振りを見る限り、そのようなご意見をお持ちの方は圧倒的に少数ではないか、とwebmasterは思います。その見立てが的外れであるなら、これほどうれしいことはないのですが・・・。

最近そういえば某政策官庁で存在感のあった人々が,軒並み大学にいったり議員になったり知事になったり独立したり企業に転籍している.公務員倫理法で現場の情報を取りにくくなった上に,歴史を知る人が次々と野に下ると,政策立案能力にせよ経済界への影響力にせよ非常にまずい気がするのだが.

飛び出した人々に話を聞くと,許認可権はもともとないし予算も減ったし,行政手続法で法的根拠の不明瞭な行政指導も難しくなった.役所を飛び出しても社会を動かしていく方法はいくらでもあるし自由が利く.昔のようにおいしい天下り先もないので後ろ髪を曳かれることもないという.

よくよく考えてみれば,キャリア官僚というのは業界の偉い人と薄く広く付き合いがある訳で,別に斡旋などしなくたって,これはという人は周囲が放っておくはずがない.もともと地頭のいいひとばかり集めているはずで,斡旋が必要となるのは民間で通用しないほど要領が悪いか,民間の給与に満足できないほど強欲なのだろうか.

「「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」バトン」(@雑種路線でいこう12/9付)

現役期間中に就職活動にいそしむことを防止するために斡旋というシステムが組まれているわけですが、とりあえずそれは悪くないんだと考えを改めるにしても、斡旋には合理性があります。「斡旋が必要となるのは民間で通用しないほど要領が悪いか,民間の給与に満足できないほど強欲なのだろうか」ではなく、斡旋が必要でない=周囲が放っておくはずがない優秀な人間を引き止めておく、というものがそれです‐現に引用部冒頭にて、優秀な人間が飛び出していく様が描かれているように。

仮に優秀な官僚がいて、とある民間企業がその人材を欲しいとしましょう。その企業にとって、その官僚が20代〜40代の働き盛りの年齢で転職してくるのと、役所でしかるべく勤め上げて50代になってから転職してくるのと、どちらがいいかを考えれば前者に決まっています。となれば、その官僚に示されるオファーは、「今うちに来ればかくかくしかじかの待遇だけど、出世した後だとそこまでは出せないねぇ」というものになるでしょう(全てではないにせよ、多くが)。

このオファーは、その官僚にとっては、今すぐ転職するインセンティヴになります。このようなインセンティヴが組織全体に広まれば、優秀な人ほど早く転職し、最後に残るのは誰からも声がかからないような人間ばかり、ということになってしまいます。留学後の転職があまりにも多いために費用を返還させる法律(国家公務員の留学費用の償還に関する法律)を作らなければならなくなった現状は、すでにそのようになりかかっている霞が関の現状を示す一例でしょう。

一般化して言えば、官僚の転職市場における価格については、時間の経過による減衰が相当あるので、転職権の売買においては売り手が優位に立ちます‐売った側は高いうちに売ることができ、買った側は買ったものの価値が時間の経過につれて二重の意味で下がっていくので(後述)。あなたは優秀だから辞めないで下さいといって転職権を「買う」場合、組織の側から辞めてもらう場合には当然ながらその価値はゼロ(もう転職してもらってもかまわないので)なのですが、「買う」際の「対価」である天下り先の斡旋を履行せねばなりません‐といいつつも、出世に応じて天下り先の調整があるので、これでも低コストですんでいるというのが実際のそろばん勘定でしょう。天下りを全廃して、かつ優秀な人にとどまってもらうために給料を上げた場合、同一時点の現在価値で比べれば、天下りに係る費用の減少分を人件費の上昇分が上回るのではないかとwebmasterは思います。

#このパラグラフがよくわからないという場合には、「オプション タイムディケイ プレミアム」あたりでぐぐっていただければ。なお、「時間の経過につれて二重の意味で下がっていく」とは、通常のタイムディケイ(オプション価値(=プレミアム)そのものの時間経過による減価)に加えて、原資産価値(=転職時の給与)の減価があるということです。

本日のツッコミ(全731件) [ツッコミを入れる]

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2006-12-11

[government]官僚にとってのインセンティヴと天下り問題再論

昨日のエントリにいただいたコメントを拝見して、官僚は金のために働くのか、という点について詳しく触れた方がよいかと思い、改めてエントリを立てました。常にもまして客観性を放棄していますので、その前提でお読みいただければ。

webmasterの場合

アンケートをとったわけでなく霞が関全般を論じる立場にもないので、個人的・主観的な話からスタートすべきでしょう。というわけでwebmaster自身にとって、なぜ霞が関にとどまっているのか、ヘッドハントの声がかかったことがないという根源的な問題を無視すれば(笑)、次のような点がその理由であるように考えています。

  1. おおむね妥当と考えられる人事評価
  2. やりがいのある仕事
  3. 自由な議論が推奨される雰囲気
  4. 職場におけるそれなりの質の人材

相互に連関しているのものではありますが、あえて切り分けて抽出すればこのようなことになりますでしょうか。一言でまとめてしまえば自分にあった職場だ、ということになるのでしょうけれど。

1番目については、2番目以降を可能とするような基盤だといえます。無能な上司がはびこるようでは仕事もつまらなくなるでしょうし、自由な議論は敬遠されるでしょうし、優秀な部下が嫌気が差して辞めていけば必然的に全体の人材の質が下がります。また、自分より明らかに無能だという同僚が重用されているのを見れば、やる気もうせるというものでしょう。

2番目については、数年に1つぐらいしかやりがいがあるというに値する仕事はないのですが、それがめっぽう面白いというのはあります。贅沢を言えば全ての仕事にやりがいがあれば申し分ないわけですが、大学時代の友人やら仕事上付き合いのある民間企業の方々やらに話を聞く限り、数年に1つでもあるというのはそれなりに恵まれているように思います。他の仕事はどうしているかって? 案件の内容に応じてそこそこに手を抜いて、他の人間がやった場合と遜色ない程度の結果がでれば終わり、といったところでしょうか。

3番目については、外部とのコミュニケーションにおいてはもちろん話は別となるわけですが、全般的な傾向としては、部内においては自由な議論が大いに求められます。上記の数年に1つのやりがいのある仕事にしても、たいていそういうものは簡単にはいかないからこそやりがいがあるという側面が必ずあり、上司(場合によっては大臣まで)の反対、ないし懸念は当然に示されることになります。それを(必要な修正を加えつつ)自らが正しいと信じる形で実現できればこそやってよかったと思えるわけですが、上司が反対しているからという理由で議論が許されなければそのような結果になるはずもありません。

#少なからぬ場合に言うことをきかない使いづらい部下でごめんなさい>わが上司さま。

4番目については、議論をするにしても、こちらの言うことをろくに理解できないような相手ばかりでは、そうしようという気がなくなってしまいます。もちろんバカな上司・同僚・部下も少なからずいるわけですが、これまた大学時代の友人等に話を聞く限り、十分満足すべき水準にあるように思われます。といいますか、そのぐらいで文句を言うのは贅沢だとはよく言われることです。

以上のような要素があるからこそ、webmasterは霞が関を職場として選び、その選択は今のところ大きく間違ってはいなかったな、と考えているのです。例え大学の同期よりも給料が安くても。

#ちなみに、給料の高い公務員がいいというならば、立法府や司法府(とりわけ立法府)の事務職員をお薦めいたします>公務員志望の方々。個人的には、行政府に勤めるほどやりがいはないと思いますが(主役はそれぞれ政治家と法曹ですので)。

インセンティヴとしてのお金

じゃあ給料が安くても、もしくは天下り(の斡旋)がなくなっても、問題はなかろう、とお考えの向きも多いと思います。さはさりながら、事態はそう単純ではありません。

#以下、天下りとは組織の斡旋によるものを指すこととし、断りは省きます。

まず、webmasterのような考え方が多数派である保証は何もありません。多分に個人的見解ではありますが、国民のため、とか公のため、とかいって妙な使命感に燃えて薄給に甘んじるような人間より、自分の仕事にプライドを持ち相応の対価を要求する人間の方が、公務員として好ましい存在でしょう。使命感に燃える者が有能であればまだしも、無能な人間がそうであるほどやっかいなことはありません。

いずれにしても、生涯賃金が低い方がより有能な人間が集まる、ということは人の性としてあり得ないでしょう。それが少数なのかそれなりの数なのかはさておき、生涯賃金が下がれば、そうでなければ霞が関を選んであろう人間が逃げていくのは避けられないとwebmasterは考えます。

しかも、お金の持つ意味が以前よりも大きなものとなってきているのが現状です。先に挙げたような霞が関の(webmasterにとっての)魅力が失われつつあるからです。なぜかといえば霞が関に対する逆風で、自らの信じることを主張するに唇寒し、といった雰囲気がどんどん強くなっています。「『官僚の主張など抵抗勢力の言い訳に決まっているのだから耳を貸す必要はない、すべて政治家や財界、市民団体の言うとおりにすればいいんだ』というのが世間の風潮なんだから、それに従えばいいじゃないか」というあきらめがはびこり、それに異を唱えるのは愚かなことだ(少なくとも「大人の態度」ではない)と考える官僚が徐々に増えています。

#その意味では、先日取り上げた、フリーターの定義ができないと総理肝いりの政策を蹴っ飛ばした(内閣法制局なのか財務省主税局なのかは知りませんが)官僚は、最近にしては珍しく骨のある人間であるといえましょう。上司もよく日和らなかったもので。

かといって言うとおりにして何かことが起こった場合、提案者は多くの場合何の責任もとってくれません。内心、だから止めとけといったじゃないか、と思ったところで何の意味もありません。自分の考えたようにやったからこそ責任を引き受けようとも思えるものを、そうでないのに責任だけが押し付けられる立場に、誰が喜んで立つというのでしょうか。

となれば、せめてお金だけでももらわないとやっていられない、と考える官僚の数は、増えることこそあれ減ることはないでしょう。webmaster自身については、この風潮が強くなっていけば、どこかの時点でいくら金を積まれたってお断りだ、と辞めることになるのだろうなぁとは漠然と考えていますが、諸事情あってせめてお金がもらえるなら、と考える人がいたとして責める気にはなれません。自らの価値観を他人に押し付ける気はありませんし(少なくとも個人の人生観に関することがらについては)、なにより人はパンのみに生きるにはあらずといえども、パンなしで生きるにもあらずなのですから。

再び天下り問題

実際のところ、天下りしたいと思っている官僚は少数でしょう。加えて、その中にも実際に自分たちが退職する頃には天下りがなくなっており、したいけどできないだろうと思っている人間は少なからずいることでしょう。したがって、現役中の給与引上げにせよ、年金や退職手当の引上げにせよ、定年までの雇用延長にせよ、何らかの代替措置が講じられるのであれば、ほとんどの官僚は天下り廃止に同意するのではないか、というのがwebmasterが職場での会話から得ている感触です‐多くの官僚は、天下りが望ましいことであるとは決して思ってはいないはずです。

給与にせよ退職手当にせよ、官民比較で相応の水準に決められているのだから、代替措置がなくても生活に困るわけではあるまい、という指摘はあるでしょう。しかし、天下りなり代替措置なりは、生活のために必要とされているわけではありません。ある種の評価の指標として機能しているわけです。

例えばプロ野球選手の契約更改を考えた場合、仮に1億円の年俸の選手に対して球団は9,500万円を提示し、他方で選手が1億500万円を要求しているとして、差額の1,000万円がなければ生活に差し障るわけではないでしょう(税金を差し引いた後であればなおさら)。そこで問われているのは、1年間の働きに対する評価なのです。昨年よりも成果が上がらなかったと考える球団と、昨年よりも結果を出したと考える選手の評価のズレこそが問題なのであり、額はあくまでその表れに過ぎません。

#同一人の異時点間比較のほか、選手同士の比較の物差しとなる面もあるでしょう。

仮にそうした評価の表れとして天下りが問題なのであり、評価自体は変わらないと言うのであれば、総人件費改革や3階年金の議論の際にはどのようなご主張をされていたのでしょうか? 例えば、3階年金における官優遇論は間違っているとおっしゃった権丈先生が天下りを問題視されるのであれば、ずいぶんと印象は違ったものになるはずです。他方、そういった「実績」、あるいは具体案がないとなりますと・・・。

とまれ、webmasterは天下り廃止に反対しているわけではありません。

  • 代替措置がなければ人材の質は下がるだろうと予測し、
  • それを厭うのであれば具体的な代替措置を合わせて提案する必要があると注意喚起をし、
  • 質が下がってもいいというのは、それはそれでひとつの考え方であると評価をしている、

わけです(ちなみに代替措置とは、冒頭に書いたようなインセンティヴ構造に照らせば、霞が関だからと言ってアプリオリに抵抗勢力扱いせず、是々非々で聞く耳を持つ、というものの含まれます)。その上でご議論いただければ。

本日のツッコミ(全50件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>特殊法人さん 価値観に他人があれこれ申し上げるべきではないと思っています。ただ、私の考えを述べるなら、白河の清きに..]

bewaad [>wassenaarさん リンク先のメルクマールですと、私も平成組なんですけれども(笑)。 大いなる脱線で恐縮です..]

bewaad [>べあべあさん 私個人としては、その路線で頑張っていただきたいと思います。無駄な仕事を馬鹿馬鹿しいと思ったりできるの..]


2006-12-12

[government][WWW]絶望した! webmasterの文章力のなさに絶望した!

タイトルはqh-nuさん(及びその元ネタであるさよなら絶望先生)のパクリですが、そんなことはずっと昔っから明らかだったじゃありませんか。何でまたいまさらながらかというならば、

での天下り問題の記述を見たからに他なりません。一昨日のwebmasterの論旨とほぼ重なっているかと思うのですが、書く人が書けばここまで説得力が増すのですねぇ、と。

・・・なんて、さもご賛同いただいたかのようなことを書けば、

で、bewaad氏が(当事者のくせに)釣られているのも発見した。この人の場合は釣られるのが生き甲斐としか思えない豪快な釣られ方をする人であり、ヲチ先としては量産型魚拓と言えよう。個人的には「唇寒し」が超重要キーワードな気がするが、それは差し措くとしても。

「ブログは世論を作り出すことが出来るのか」(@切込隊長BLOG(ブログ)〜俺様キングダム〜12/11付)

と見られているわけですから、性懲りもなくまた釣られたということになってしまうのかもしれませんが、人間おとなになればそうそうキャラが変えられるはずもなく、それはそれでwebmasterらしいということなのでしょう。いっそのこと、title属性に仕込んである当サイトのキャッチフレーズを、「釣られるのが生き甲斐としか思えない豪快な釣られ方をする量産型魚拓©right;切込隊長」とでもしようかしらん。

ところで、切込隊長さんのエントリ中、固有名に言及がありながらリンクが張られていないのは当サイトのみです。以前trackbackを送ろうとしたら403 errorが出たこともありましたし、何か嫌われるようなことをしでかしてしまったのでしょうか・・・。

[law][media][government][book]小松秀樹「医療崩壊」

天下り関連のエントリを書きながら同時並行で読んだ本ですが、というのも本書で描かれている状況というものが、とても他人事とは思えなかったからです。いわく、コスト削減と世間のバッシングがモラールの喪失を招き、「逃散」が始まっていると。おそらくは医療現場や霞が関に限らず、談合その他の公共事業批判に関してゼネコン、いじめ問題等に関して学校、といったところ(、さらには他にも様々な分野)でも同様の現象が生じているのでしょう。

著者は、そのような現状を招いている、医療の実情も知らずに現場に理不尽な負担を結果的に押し付けている法曹やメディア、行政の言動を厳しく批判しています。もちろん医療側にも何ら問題がないというわけではなく、医療側がいかに改革をしていくべきかについてもあわせて提言をしています。それらの内容もバランス感覚に富んでいて、説得力にあふれています。関係者が本書を読み、事態の改善に向けて行動するならば、必ずや事態は改善することでしょう・・・ほんのちょっぴりだけ、残念ながら。

以前webmasterは、「十分に発達した科学技術は、魔法と区別がつかない」(Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.)というアーサー・C・クラークの言葉を引いて知識人を論じたことがあります。医療過誤に対して世間が過敏になっている原因の根本は、医学技術が発達しすぎて身近な存在ではなくなり、魔法と区別がつかなくなったことにあるのではないか、とwebmasterは思います。

魔法ですからそのからくりはブラックボックスで、ただ結果のみが素人には突きつけられます。結果から魔法は白魔術か黒魔術かが判断され、黒魔術の使い手とみなされれば「魔女狩り」の対象になる、というのは極めて自然な話です。鞄ひとつで往診に来た医者がお手上げですといえば、確かにお手上げだと納得もできましょう。しかしながら、ICUにてさまざまな医療機械に囲まれているにもかかわらずお手上げですと言われても、万人が納得することは望むべくもないでしょう。

当然ながら医療技術の進歩はこれからも続くでしょうから、こうした潮流は勢いを増すことこそあれ、押し止められるはずもありません。他方で、消費者主権なり民主政の深化もまたこれからも続くでしょうし、加えてICT技術の進歩は、「SYNC」が描いているように、世論の同期(同調)を今まで以上に迅速かつ大規模なものにしていくことでしょう。これが、webmasterが著者の提案を極めて高く評価しつつも、その効果は非常に限定的なものにとどまるだろうと考える理由です。医療崩壊は不可避である、と。

では、そこに希望はないのでしょうか。webmasterは唯一、知識人、あるいは専門家同士の共感が成立する可能性にそれを見出しています。どんな知識人・専門家であれ、専門外の分野においては素人ですから、他の専門についてそれが魔法と見えることには変わりありません。しかしながら、こうした人々であれば、自らの専門分野が魔法でないにもかかわらず、魔法であるかのように見られるという体験から、他の専門分野についても、きっと魔法ではない、何らかの合理的なメカニズムがあるはずだという信頼、魔法であるかのように見られて苦労しているであろうという共感が成立し得るのではないでしょうか。

現代社会に生きる人間はそれなりの科学的知識と社会的常識、さらに、他の専門分野への尊敬を持って生きている。自分の専門分野以外に大きな世界があることを知っている。残念だとは思いながらも、理不尽な世界があることも知っている。何らかの分野で責任を持って社会に寄与している人が、安心・安全願望にいつ攻撃されるか分からないと不安に思っているのは、どこか間違っている。

p88

このように書き、メディアや警察、厚生労働省が世論を気にする姿勢に理解を示す著者にして、法曹に対しては思考が過去に偏し現実を無視した演繹思考が問題だと指弾してしまう(III)というのは、これが言うほど簡単ではないことを雄弁に物語っています。にもかかわらず、これ以外の希望をwebmasterは見出すことができないのです。

なお、本旨ではありませんが。

日本でも薬害エイズ事件を冷静に振り返ろうとする試みが始まっている。(略)さらに2005年、第19回エイズ学会で「薬害エイズ問題から見えてくるもの」と題するシンポジウムが開かれた。2005年のシンポジウムでは、東京訴訟の原告の中心になった川田龍平氏、行政の中心にいた郡司篤晃氏、大阪HIV訴訟弁護団の徳永信一弁護士などが参加した。(略)

2005年12月のシンポジウムの議論を粂和彦氏のメモログから引用する。

最初に、関西弁護団の徳永弁護士が、昨年のシンポジウムを振り返った。その結論として、さまざまな立場からの見方はあったが、「産官学(産官医)が癒着して、エイズの被害が生まれた」という、いわゆる薬害エイズ神話は間違いであり、そこを乗り越えないと、真実も、今後役に立つ教訓も導き出せない、という点では、一致したと。(略)また、被害が起きた後の社会は、ジャーナリズムともども、犯人探しに終始してしまい、今もその後遺症が残る。

pp213,214

私は郡司氏の行動を論評できる十分な知識を持たない。郡司氏の話をうかがった後、数名の厚生労働省の官僚から、この問題について話を聞いた。薬害エイズ事件は厚生労働省の官僚の間で語り継がれている。確認できたことは、郡司氏はメディアからは徹底的に叩かれたが、まじめで有能だったがゆえに、現在も厚生労働省の後輩から尊敬されているということである。厚生労働省の医系技官は口を揃えて、当時の郡司氏の努力を評価した。世界の情報を迅速に集めて分析し、権能の許す範囲で最大限の対応をした。多くの医系技官が、自分には郡司氏ほどの対応をする能力がないと語った。彼らには、あれだけきちんと対応しても、あれほどひどい目にあったという共通認識が形成されている。(後略)

pp215,216

webmasterは薬害エイズ事件については、うかつにも当時の報道の印象を引き摺っており、現在専門家の間でこのような見解の一致が見られているとは存じませんでした。もし同じような方がいらっしゃいましたらと考えて、あえて引用させていただきました。

[government]売却すべき公務員宿舎に近い、別のとある公務員宿舎でのお話

地方行革としては、1つは予算の見直しの際一つ一つ洗い出し、優先度(順位)をつけて、歳出削減する。そのプログラムが議論となっているが、どのように予算の重点化をはかるということがなければ本質的な解決を見ない。8月に概算要求があるが、一律カットで予算の構成比変わらない。次に、資産・債務の管理である。どのくらい国と地方が資産を持っているのか。資産を効率的に使えばいいという議論がある。(例えば青山の公務員宿舎は売ればいい。)政府貸出金が250億円以上あるが、これを証券化して民間に売ってはどうかというのもある。処分益、利用益を生かさなければならない。公会計制度におけるバランスシートの整備も地方は遅れているのではないか。(後略)

「市議会議員特別セミナー(市町村アカデミー主催事業)/(1) 日本は生まれ変われるか〜構造改革道半ば〜/講師 大阪大学大学院経済学研究科教授 本間正明 氏」(@登別市議会「市民ネットワーク」研修視察報告(2006/4/11-14))(webmaster注:強調はwebmasterによります)

ふむふむ、青山の公務員宿舎は売ってしまえばよいと。

政府税制調査会の本間正明会長(62、写真)が、都内の官舎に愛人と同居していることが11日、分かった。官舎住まいの公務員などが国民の税金で甘い汁を吸う構図が問題視されている中、税制調査組織のトップにいる人物としてのモラルが問われそうだ。

本間氏の官舎愛人同居疑惑は、11日発売の週刊ポストが報じた。

それによると、本間氏は平成15年1月から、JR原宿駅から徒歩5分の東京・神宮前「東郷台宿舎」に部屋を借りている。部屋は上層階の96平方メートルで、民間の相場で50万円はくだらないとされるが、本間氏はわずか7万7000円で借りているという。

その格差だけでも噴飯ものだが、大阪大学大学院教授である本間氏がなぜ東京の官舎を借りられたのか。実際、13年1月から今年10月まで務めた経済財政諮問会議議員としての東京での会議は、月3回程度しか開かれていないのに。

しかも、同居人の届けが出されているのは本間氏の本妻だというが、実際は、同誌の取材に愛人関係であることを認め、「奥さんとは離婚調停中。結婚しようと話し合っている」。本妻も「北新地の女性らしい」と愛人の存在を承知しているが、「離婚の話は具体的にはない」と話している。

ZAKZAK「本間税調会長、愛人と官舎生活…税トップのモラルは?」

東郷台宿舎についてはいかなるお考えでしょうか? ひょっとして、外苑西通りや青山通りを渡ると基準が変わるのでしょうか(笑)?

#東京にお住まい/お勤めではない方々に参考までに申し上げますと、東郷台宿舎の住所は渋谷区神宮前1−3−6ですが、渋谷区神宮前は外苑西通りを挟んで港区北青山と、青山通りを挟んで港区南青山と隣り合っています。なお、東郷台宿舎は「東京23区内に所在する国家公務員宿舎の移転・再配置と跡地利用に関する報告書」中の「表4 東京23区内で移転困難とした宿舎一覧」には含まれていないので、10年以内に売却等の処分がなされることとなります。

本日のツッコミ(全41件) [ツッコミを入れる]

Before...

pky [ はじめまして。「医療崩壊」について官僚の方がコメントされているブログは珍しく、とても興味深く拝見させていただきまし..]

pky [出典を書き忘れました。 参 - 厚生労働委員会 - 23号 平成18年06月02日 国会議事録検索システム]

bewaad [>pkyさん ありがとうございます。これからも気軽にコメントください。 働くことが好きだという傾向は、それ自体はと..]


2006-12-13

[WWW][politics]ネット上での政治運動手段としてのblogとメイル

最近の天下り議論の関連で。

すごい素朴な事を書くんだけど、同じ意見を見かけなかったので。

なんでブログじゃないといけないんだろうか? 天下りの是非の議論は詳しい人たちが議論するだろうから任せるとして、「世論」を感じさせたいのならブログで書くよりも自民党のサイトにメール送ろう!と書いたほうがいいのではないか? いまや新聞やテレビのニュースで「○○には抗議の電話やメールが殺到し…」といわれるぐらい、メールは充分政治力を持った道具になっている。

ブログというのは、相手に見に来てもらわないといけない訳で、ブログを見る様な習慣がない相手に対しては効果がない。IT企業など、ネット親和層を意識するような業種はともかく、そうでないところ、この場合は自民党という政党だが、現時点ではブログよりもメールの方が効果は大きいだろう。

「「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」バトンってなんでメールじゃダメなんだろう」(@ARTIFACT─人工事実─12/12付)

最初にこのバトンを取り上げた際に、仮にバトンが日本中に広まったとしても「さすがの自民党も無視できない」なんてこともないでしょうと書いたwebmasterとしては、blogの政治的効果に対する懐疑的姿勢にはそのとおりだと思うのですが、他方でメイルってそんなに効果がありますかねぇ、とも思います。確かに報道で言及されるようにはなっていますが、では上記で併せて言及されている「抗議の電話」の効果はいかほどでしょうか?

#以下、与党議員への働きかけを念頭に論じます。

政治家のインセンティヴを考えれば、究極的には選挙の当落に収斂するでしょう。これをやれば選挙に受かる、あるいはしなければ選挙に落ちる、という認識をどれだけ持たせられるか、というのが政治運動の手段の効力においては何よりも重要です。blogはその力に欠けるからこそ、手段としては大したものではなかろうと考えられます。

単にそれを目にする人の数、というのであれば、blogはマスメディアには全く太刀打ちできません。そうした受動的な対応ではなく能動的な対応がblogの強みだとしても、コメントないしtrackbackという能動的かかわりの数はPVに比べれば微々たるものでしかなく、それらがすべて投票行動に反映されたとしても高が知れているわけです。見に来てくれるかどうかよりも、この点が大きいのだとwebmasterは思います。

では、メイルならばどうでしょうか。メイルを送信するという能動的行為があるわけですから、その点はblogよりも効果的だろう、というのがとりあえずの判断ではあります。しかしながら、手間隙を考えるならば、pre-Web 1.0な手段、つまりは抗議の電話や手紙、署名といったものよりも遥かに手軽でしょう(テンプレをコピペして一括送信が可能ですから)。同じ数であれば、この観点からは、そうした昔ながらの手法の方が、背後に票がぶら下がっていると思わせる効果があるはずです。

逆に、電話や手紙、署名といった手段に対するメイルの優位性を探すならば、それらよりも送り手が野党っぽくはなさそう、といったところでしょうか。どうしても伝統的な手段では、どうせプロ市民だろう、といったような印象を抱かせがちな傾向があるのは否めません。そうした手段を通じた働きかけに応じようが応じまいが、どうせ野党に票を投じるのであれば、応じようというインセンティヴが働くはずもないわけです。応じたからといって票が獲得できたり、応じなかったからといって票が失われるわけではありません。この点において、そうした色がないのはメイルが有利な部分だとはいえるでしょう。

しかし、そうした路線であれば、メイルよりも遥かに新規集票が期待できる手法があります。以前PSE法問題に関連して、webmasterは次のようなことを書きました。

キョージュらの署名運動やメディア(案外朝日が最近熱心に取り上げているようで)との連携により世間的な関心を高めるべきです。国会議員は常に票につながる活躍の場を求めているわけで(行き過ぎると最近話題の永田議員になってしまいますが(笑))、人目を引けば引くほど議員の食いつきもよくなります。署名を集めたってほとんど意味はありませんが、彼らの活動を通じてメディアの露出を高めることには大いに期待が持てます。

電気用品安全法反対運動の1つのあり方(マニュアル編)(2/21付)

つまりは、無党派の動員可能性でいうなら、有名人+マスメディアの組み合わせに勝るものはありません。ネット上の運動が現実の政治の動きとリンクした例として、昨年の人権擁護法案反対運動や今年のPSE法反対運動がありましたが、いずれもオフの世界の出来事が政治を動かしたのであって、オンの世界の出来事がなかったとしても、おそらくは同じ結果になっていたと思われます。何より、各政党が選挙の際にマスメディアの露出をいかに高めるかに頭を悩ませ、有名人の擁立をさまざまな形で試みるというのが、わかりやすい証拠だといえるでしょう。票につながらないなら、そのようなことをするはずもないのです。

#そのほか、確固たる集票力が期待できる存在を動かす(だからこそ公明党は自民党に議席数以上の影響力を有しているわけで)、というやり方も有効ですが。

蛇足ながら。

bewaad institute@kasumigaseki(2006-12-10)
天下り関連はここでの議論が面白かった。行政による民間企業の斡旋と公務員の民間企業の転職を同じに扱ってしまうと問題が見えにくくなるんだなあ。

「「天下りあっ旋全廃に反対したらもう自民党には票を投じない」バトンってなんでメールじゃダメなんだろう」(@ARTIFACT─人工事実─12/12付)

お褒めいただいたにもかかわらず恐縮ですが、天下り斡旋と一般の転職を同じに扱った議論は、webmasterもさることながら、コメント欄でもなされておりません。天下り斡旋と類似のものとして民間の慣行で認識されているのは、子会社・系列会社への片道出向だとwebmasterは考えております。

[government]郡司篤晃先生の講演録

昨日のエントリを受け、bn2islanderさんからご教示いただいたものです。

少しでも多くの医療関係者、そして霞が関関係者の目に留まることを祈りつつ。

[economy][BOJ]フリードマンによる日銀金融政策の評価

hicksianさんによるご紹介です。もともとは、1997年のWSJ掲載論説です。

当サイトを訪問されるような方々であれば、どういった内容であるかはうすうすお察しいただけるかと存じますが、予想を裏切る(けれど期待は裏切らない(笑))タコ殴りです。これをご覧いただいた後で、フリードマン逝去に当たっての福井総裁コメントはかつて取り上げましたが、それを読むとなんとも不肖の弟子だなぁといいますか、そのエントリで書いたwebmasterの次の予想は大当たりだったなぁと(笑)。

お礼を言われたところで、「君らは破門だ。もう私とは無関係ということで」とでも草葉の陰から返されてしまうんじゃないでしょうかねぇ(笑)。

#「お礼」とは、「私自身も非常に尊敬していたし、(顧問として)特別の指導を頂いた。改めてお礼を申し上げないといけない」というフリードマン逝去に当たっての福井総裁コメントを受けています。

[misc]逆説の逆説たるゆえん

言語センスが劣悪なwebmasterの考えることがどこまで的を射ているかは極めて疑問ではありますが、ソースの本をまったく読まずに。

逆説論理学」で例示されていた逆説入りの標語のいくつかが、カネゴンが目をどんなに凝らしてみても逆説に見えず、焦る。

  • 「この土手に 登るべからず 警視庁」と書かれた禁札
  • 「手を洗う 心ひとつで 減る赤痢」(食堂に貼られていた標語)

(無題)(@あけてくれ - おれカネゴンの「算数できんのやっぱり気にしすぎとや」日記12/12付)

禁札は、おそらくはそれが土手の上に掲げられていて、下からではそれが読めず登ってようやく読める、ということではないかと。

標語は、実際に手を洗うという行動が赤痢を減らすのであって「心ひとつ」では減らねぇよ、ということではないかと。

本日のツッコミ(全131件) [ツッコミを入れる]

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2006-12-14

[law][WWW]態度と大義‐Winny事件地裁判決

まず、裁判の経過等については、公判の傍聴録をずっとまとめられてきたjoho_triangleさんの一連のエントリは必読だと思いますので、この問題にご関心の向きは、ぜひ。

で、判決についてですが、あれこれ議論はあるのでしょうけれど、なぜ有罪になったかというのは、次のとおりであるとwebmasterは思います。

どうもネット上の意見の大勢は、警察、検察、裁判所批判のようですが、私としましては、今回の判決はそれほどおかしなことは言っていないように思っています。

包丁は殺人に使われることがあるんだから包丁を作ったり売ったりすることは殺人幇助になるのか、という意見がありますが(たぶんこれがネットの意見の大勢)、これは幇助にならない事例から出発して本件の幇助性を否定する考え方です。

これに対して私のNo.17のコメントは、幇助になる事例からアプローチするとどうなるかという問題提起です。

(略)

言い換えると講学上は、つまり教室で理論的に考察するのであれば、幇助になりうる事案だと思われる、ということです。

(略)

No.17 モトケンのコメント | 2006年12月13日 19:53 | (Top)

この問題はものすごく難しいんですが

例えば、居酒屋の主人が客に酒を出すのは本来まっとうな商売なんですが、客が車を運転して帰ることがはっきり分かっているのに酒を飲ませたとなると、飲酒運転の幇助になる、という結論は多くの人が納得するところではないかと思います(これも何の問題もないかというと疑問はあるんですが)。

次に、友人から音楽を勝手に配信する方法はないかと質問された人が、友人がしようとしていることは著作権法に違反するということを認識しながら、「それならウィニーというソフトを使えばいいよ。」と言ってウィニーを教えた場合はどうでしょうか?

「ウィニー開発者に罰金判決」(@元検弁護士のつぶやき12/13付)

とはいっても、切込隊長さんがご指摘のように、それで納得という向きがそれほど増えるわけでもなく、亀裂は存在し続けるのでしょう。

腰が引けた言い方をするなら、先鋭化したネットの連中と通常の社会人の間の常識の落差があることをきちんと認識をした上で、私たちの社会は往々にしていろいろな試行錯誤をしながら最大公約数を探っていく動きをするのは当たり前のことだろうと思うわけである。

(略)

安易に妥協しろ、あるいは下された判決を甘受すべき、といいたいわけではない。同時に、それができないのなら海外に出て逝ってしまえという、短兵急な極論で良いとも思わない。ネット社会における常識では「金子が罰金刑だと、ふざけるな」であっても、普通の世間では「ネット乞食がフリーライダーしてるツール撒いた馬鹿だろ。有罪で当然」という議論だって成立するのは理解できよう。

「dankogaiはまず落ち着くべき」(@切込隊長BLOG(ブログ)〜俺様キングダム〜12/13付)

モトケンさんのおっしゃることに素直にうなづけない人でも、まずは違いの淵源がどこにあるのか、というところを考えてみると、この問題を異なる観点から覗いてみるいい機会になるのではないでしょうか。その手がかりになりそうだな、とwebmasterが思うのは、例えば次のような見解です。

(略)というか私としてはやはりSoftEtherの開発者などと比べて、逃げ隠れしておいて技術革新がどうとか語るな、という気はするのである。

この点は被告人が捜査陣に対して「技術的に理解不足。分からないなら首を突っ込まない方がいい」という趣旨の発言をしたと伝えられる点(msn毎日インタラクティブ)と関連して気になるところで、これってトンデモ科学の人の典型的な物言いと同じだよねえ。もちろん被告人の技術は本物であっていろいろな意味で実際に役立ってしまったわけだが、技術にせよ科学にせよ本来はその有効性・正当性を主張する側が内容を立証しなくてはならない(というお約束になっている)のに対して、立証責任を社会に転嫁しようとしている点は同じだなと。このあたり、判決要旨が「独善的かつ無責任な態度」としていることと関係があったのかな、とも思われるが、その主張を社会的に検証可能な状態におかなかったものに対しては科学的探求を理由にした免責を与える余地はないのではないか、とまあそういう話である。

「Winny事件判決」(@おおやにき12/13付)(webmaster注:強調は原文によります)

そしてその具体的解決方法のひとつとして、金子被告は「デジタル証券によるコンテンツ流通システム」を提案していた。それは次のような内容だ。

(略)

果たしてこの証券システムがうまく稼働するのかどうかはわからないが、しかし金子被告が真面目に著作権システムの今後を考えていたのは間違いなかったように思われる。そしてその将来を実現するためには、ボロボロになっている現行の著作権システムが崩壊しなければならず、そこでWinnyを配布して――と考えたのだった。

そして氷室裁判長はこの金子被告の思考経路に、明らかに一定の理解を示したのである。

論告求刑時の記事に書いたように、金子被告のそうした考え方は、現在の著作権法の理念とは著しくかけ離れている。その考え方がいかに倫理的には正しいものだったとしても、現行の著作権法、現行の著作権保護システムを崩壊させようとするのであれば、その行為は法違反とならざるを得ない。つまりは金子被告は字義通りの確信犯だったわけだ。

その意味で、金子被告が無罪となる道はこの時点ですでに存在していなかったように思われる。みずからの思想に殉じるのであれば、最後までみずからを負わなければならない。いや、そんな倫理性の話でなくても、あちこちで「著作権を崩壊させる」と発言して国家権力に挑戦し、結果的に著作権侵害ファイルを蔓延させている以上、これを無罪とするというのは国家権力の側の判断としてはあり得ないように思われる。

佐々木俊尚(CNET Japan)「Winny裁判、罰金刑は重いか?軽いか?--自己矛盾を抱えた判決(2/2)」

裁判官が実際にどのような考えに基づき判決文を書いたかは、他人が窺い知ることができるものではありませんが、解釈がわかれる難しい事案において、いずれの結論を妥当とするかにおいては、被告人の態度が相当程度影響することは普通にあり得ることです。判決において「被告人は改悛の情が顕著であり云々」として執行猶予がつくことは数多くありますし、もっと身近な例で言えば、酔って暴れたりとか遊びに行った先の風俗店がガサ入れを喰らったりした際、「ごめんなさい、もうしません」と謝れば「もうするなよ」とか言われて解放されますが、「何が悪いんだよ」などと食ってかかれば連行されて事情聴取、なんてことは珍しくもありません。

#後段は司法判断の例ではありませんが、一般的な世論の風向きが「犯罪」の評価に与える影響の例であり、この文脈においては同じことだとwebmasterは考えています。

他方で金子被告人は無罪だと主張する側においては、先にモトケンさんや大屋先生が出していた包丁の例を引くわけですが、あわせてP2Pファイル交換というソフトウェアの可能性や、ソフトウェア開発に与える影響、ひいてはネットにおける著作物の流通のあり方との関係を視野に入れた発言が多いようにwebmasterには見えます。これは、大義を掲げているということではないでしょうか。

切込隊長さんがいう「先鋭化したネットの連中と通常の社会人の間の常識の落差」とは、実はここにこそ存在するのではないでしょうか。一般に態度で量刑等が左右されることを、「先鋭化したネットの連中」も否定するものではないでしょう‐例えば、情状酌量という制度は廃止すべき、という主張をお持ちの方は少ないかと察します。その意味で、この落差は埋められないものではないはずです。

仮に金子被告人が極めて神妙な態度に終始した場合において、無罪となった可能性を考えてみる、というのは、本件についての議論を「先鋭化したネットの連中」と「通常の社会人」との間には深くて埋めがたい溝があると認識した場合に比べ、より実りあるものにするひとつのやり方ではないでしょうか。少なくとも現状、司法判断が「通常の社会人」の側に立っていることを踏まえれば、なおさら。

#もちろん「通常の社会人」の側に対して、態度が悪くても大義が認められる者を想定してみることを提案してもいいのですが、この文章をおいてある場所が場所ですから(笑)。

[economy]今年度の成長率見込み下方修正

内閣府は12日、実質で2.1%増としてきた平成18年度の国内総生産(GDP)成長率見通しを下方修正する方針を固めた。企業収益の伸びに雇用所得が追いついておらず、個人消費が伸び悩んでいるため、成長率見通しを下方修正する。政府は18年度中のデフレ脱却に向け、名目成長率が実質成長率を下回る「名実逆転」が解消されるとみていたが、新たな見通しではデフレ傾向が続くことを認める見込み。これに伴い、19年度の成長率見通しも当初より下方修正する。19日にも閣議了解する。

内閣府が8日に発表した7〜9月期のGDP2次速報は、1次速報後に発表された設備投資関係の統計が想定よりも低かったことなどから大幅に下方修正された。実質は年率換算で2.0%増から0.8%増に、名目では1.9%増から一気にマイナス成長となる0.0%減となった。

このため、内閣府では実質で2.1%増、名目で2.2%増としていた7月時試算の18年度GDP成長率見通しの達成がほぼ不可能と判断。名目を実質よりも引き下げる方向で検討している。この結果、今年度も実質が名目を上回る名実逆転は解消されない見込みで、デフレ経済からの脱却は難しいのが現状だ。

また、19年度も名目が実質を大幅に上回ることは困難とみており、実質1.8%増、名目2.5%増としていた今年1月発表の19年度成長率試算も下方修正する方向で検討している。

産経「18年度成長率を下方修正 内閣府」

ちょっと前までデフレ脱却近しとかすでにデフレは脱却したなどと調子のいいことを言っていたのはなんだったのでしょうか。何が原因でこのようなことになったのか、きちんとした検証が必要でしょう。webmasterは当然ながら、日銀の拙速な金融引締めが主因であると考えていますが。

[government]本間先生が公務員宿舎からの引越しを表明

12日の続報です。

政府税制調査会の本間正明会長(大阪大大学院教授)は13日、財政制度等審議会後の記者会見で、「常勤の国家公務員でない本間氏が、都内の国家公務員宿舎に入居している」とした週刊誌の報道について釈明、陳謝し、宿舎から近く退去する考えを明らかにした。

本間氏によると、経済財政諮問会議の民間議員だった2003年、大阪府内の自宅と東京との往復が体力的に厳しかったため、宿舎を管理する財務省に入居を申請した。財務省は「国立大学の教授は入居資格がある」として入居を認めた。

本間氏は「税調会長の公職について、十分な思いが至らなかったことは深く反省している」と陳謝したうえで、「12月1日に07年度税制改正の答申をまとめ、審議は週2回に減った。引っ越さなければならない状況の時に、報道された。できるだけ早期に退去する」と述べた。

読売「政府税調の本間会長、公務員宿舎退去へ…週刊誌報道で」

税調会長になっていなければ反省する必要はなかった、というのがご認識であると。他方、

政府税制調査会の本間正明会長は13日、財務省で記者会見し、自身が東京・渋谷の一等地にある幹部用の国家公務員宿舎に住んでいることを明らかにし、近く宿舎から退去する考えを示した。本間氏は9月に経済財政諮問会議の専門調査会長として、財政再建のために公務員宿舎を含む国有財産の売却推進を求める報告をまとめていた。「役人の特権」と批判されている公務員宿舎に、売却の旗振り役が破格の低家賃で入居していたことになる。

朝日「売却の旗振り役の本間税調会長、「格安」官舎から退去へ」

朝日ではダブルスタンダードが問題視されています。記者会見の詳細がわからないので、この点についてのやりとりがあったのかどうか、あった場合にどのようなものであったのかは不明ですが、このあたり、どのようなお考えであったのかは興味深いところです。ま、穀潰しの官僚とは階級がちがって、自分はそれだけの待遇を享受する資格があるとでもお考えだったんでしょうねぇ・・・orz。

本日のツッコミ(全400件) [ツッコミを入れる]

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2006-12-15

[law]真の対立点は何か‐著作権保護期間延長問題(前編)

昨日はWinny裁判を題材に、議論の真の対立点は何かを論じたのですが、同じく著作権に関する話題で対立点がずれているため議論が堂々巡りになっているのが、著作権保護期間延長問題ではないか、とwebmasterは思っています。ITmedia Newsの「著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱」を俎上に載せ、詳しくそのゆえんを書いてみたいと思います。

ITmedia Newsの記事においては、次のように論点が整理されています。

延長派と延長反対派の意見はポイントは以下の通り。

-賛成派の意見反対派の意見
1延長で創作意欲が高まる延長は創作意欲向上につながらない
2人間の寿命に合わせて延長し、クリエイターの妻子や孫の存命中は著作権が切れないようにすべき著作権法で妻子や孫の生活保障まで考慮すべきでない
3国際標準に合わせるべき70年未満の国も多く、70年は国際標準ではない
4延長は文化の発展につながる延長は文化の発展を阻害する

ITmedia News「著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱」(1/3)

一見全ての論点で真っ向から対立しているように見えますが、しかしながら根本的な対立点はただひとつ、表中の第4点に関する部分のみです。具体的には、

賛成派
適正な報酬が得られないと創作意欲が減衰するため著作権保護期間を延長すべき
反対派
二次使用が制限されると創作活動が阻害されるので著作権保護期間を延長すべきでない

という対立です。それ以外の論点というのは、賛成派はあれもこれも適正な報酬であるといい、反対派はそんなことを理由に二次使用を制限するのはおかしい、といっていることの実は変奏でしかありません。

この対立はいかんともしがたいのかと考えると、よくよく考えてみればそうではありません。著作権保護期間延長の是非というアジェンダが前提なので対立構造になっていますが、そこを離れて白地で考えれば、著作者に適正な報酬を支払うことと、自由な二次使用を確保することは、十分に両立できるでしょう。仮にこれらが両立できるのであれば、著作権保護期間を延長するかどうかというのは、極論すればどうでもいい話に過ぎないのです。

ではどのように両立させられるのか・・・を論じる前に、なぜこのような対立が生じてしまったのかを振り返ってみるべきでしょう。というのも、その要因を解消するものでなければ、形式上は両立するように見えても、両当事者に不満の残るものとなり、単に潜在化させただけ、ということになってしまいます。

そもそも、いくらwebmasterに傍目八目の利があるとはいえ、適正な報酬と自由な二次使用の双方の確保が、著作権保護期間延長問題と不可避ではないことぐらいわかって当然であるにもかかわらず、不可避であるかのように語られてしまうのは、不自然ではないでしょうか? webmasterはそこに、適正な報酬と自由な二次使用の両立を困難なものにさせているとある論点を見出しています。まず対立があるからこそ、著作権保護期間延長問題という格好の舞台を得て、その対立が主役を張ってしまうのだと考えているのです。

その対立が何かを考えるに、実は非常に優れた材料がITmedia Newsの記事(の元となったパネルディスカッション)で提示されています。以下、引用してみます。

司会を務めた中村伊知哉さんは「なぜ著作権法で遺族の生活保障までしなくてはならないのか分からない」と根本的な問題を指摘する。「自分の死後、家族の生活を守りたいと思うのは、作家もそば屋やうどん屋の主人も同じ。作家の遺族は著作権法で保護されるが、そば屋・うどん屋の遺族を守ってくれる『そば屋法』や『うどん屋法』はない」(中村さん)

零士さんはこの意見に対して「そばやうどんと一緒にしてもらっては困る。作家の作品は残るが、そばやうどんは私にも作れる」と反論した。

ITmedia News「著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱」(2/3)

(松本)零士さんの反論があまりにも的外れ‐そば屋やうどん屋にだって、コミケ等でマンガを描いている人はいるでしょう‐であるために議論が深まらなかったことが、まことに惜しまれます。そば屋やうどん屋と一緒でない‐それも、中村さんがご指摘のように著作者が有利なのではなく、実は不利である‐ところにこそ、対立を生む根深い問題が潜んでいるのです。賛成派がそこを鋭く突いていれば、さぞかし議論が熟したであろうに、もったいないことを・・・。

それが明らかになるように、あるべき「そば屋・うどん屋論争」を考えてみ・・・るのは、中編で。

[economy][media]動画うpぷりーず!‐Chairman Greenspan vs bank.of.japan

グリーンスパンと鍔迫り合いを繰り広げたのは、bank.of.japanのBやJが大文字ではなく、語がピリオドでつながれていることからお察しいただけるように、残念ながら日銀ではなく(笑)、本石町日記の管理人さんです。

ps 私は1990年代前半の4年間、英国に駐在した。その間、確か総裁会見は一回だけだったと思う。ベアリングズが破たんしたときだ。また、IMCがロンドンで開催されたとき、休憩で会議場から出てきたグリースパンFRB議長に先輩記者と無謀にもぶら下がった。その模様である。

私ら 「good afternoon, chairman」
グ議長 「………………………………………………………(無言)」(この間、珍しい虫を見るような目付き) 黙って立ち去った。

現場には各国の記者がたくさんいたが、ぶら下がったのは私らだけ。みんなぶら下がりが無意味だと知っていたのだろう。ばつの悪い思いをしたが、スペインのメディアの記者が「nice try」と言ってくれたのが救いであった(笑)。

「「丁寧かつ誠実な過剰発信」の副作用=ヘッドラインリスクが生じる理由(2)」(@本石町日記12/14付)(webmaster注:エントリのタイトル中の括弧付き数字は、原文では丸付き数字です)

グリーンスパンの「珍しい虫を見るような目付き」を見たくてたまらないのですが、さすがに動画はないでしょうねぇ・・・せめて写真はありませんでしょうか(笑)?

余談の部分だけをとりあげるというのも失礼な話ではありますが、本文はいつも同様、日銀関係者の行動の背後に潜む考え方について説得力のある考察を展開されていらっしゃいますので、そちらもぜひお目通しを。

本日のツッコミ(全20件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>なぎさっちさん その言い方も考えたのですが、石臼で蕎麦粉を引いてから手打ち、なんてことをしていたら通用しないな、と..]

bewaad [>bn2islanderさん、ゆーきさん そのあたりの実務は詳しくないものですから、いろいろと勉強になりました。あり..]

コーチ [I purchased any fantastic [url=http://www.recordchina.co.j..]


2006-12-16

[notice]ノロウィルスによる感染性胃腸炎にご注意ください

iori3さんの注意喚起を受け、webmasterも深刻さを認識しましたので、エントリを立てました。

ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎に関し、国立感染症研究所が継続的に行っている定点調査で、11月27日〜12月3日の1週間の患者数は、一医療機関当たりの平均で21・8人に上り、前週(19・8人)に続いて過去最多を更新したことが、15日わかった。

同研究所は、全国約3000の小児科医療機関から、感染性胃腸炎の患者数について毎週報告を受けている。今年は、10月半ばから流行し始め、11月上旬以降、患者報告数が急増。当初は西日本に患者が多かったが、関東や北陸での増加が目立つようになり、流行は全国に広がっている。

読売「感染性胃腸炎、全国患者数が2週連続で過去最多更新」

以下、参考情報ですが、

#どうでもいいことですが、東京都感染症情報センターのページでは、久しぶりにblink要素を見ました。ソースを見れば、その他字下げをblockquote要素でやっていたり、center要素を使っていたりと、なんとも懐かしい香り漂うページです。

簡単にまとめますと、

  • 感染予防
    • まめに手を洗う。
    • 人ごみに出かける際はできればマスクを着用する。
    • 同居者が発病した際の嘔吐物・排泄物処理においては、マスクやゴム手袋を着用の上、塩素系消毒(漂泊)剤(ハイターなど)でよく消毒する。
  • 感染した際の対応
    • 外出を避けとにかく休む(回復のためという以上に、二次感染防止のためですので、つらいけど頑張る、なんてことは他人に危険を及ぼすものだとお考え下さい)。
    • 水分補給のため、ローカロリーでない(=糖分含有の)スポーツドリンク(ポカリスエットなど)をぬるま湯で半分に希釈し、小分けにして飲む。
    • 下痢止めを服用するとウィルスが体内にたまってしまうので、服用しない。

ということかと存じます。くれぐれもご注意を。

[law]あるべき「そば屋・うどん屋論争」‐著作権保護期間延長問題(中編)

昨日の続きですが、

2006年12月15日 asakura-t そば屋やうどん屋はお店が残るが、著作者はお店のような有形のものは残らない――という話にいくのかな。じゃあサラリーマンは?(それこそ「一緒にするな」って?)

はてなブックマーク - bewaad institute@kasumigaseki(2006-12-15) - [law]真の対立点は何か‐著作権保護期間延長問題(前編)

見透かされてしまっていますorz。そのとおりです以上、では無責任なので、一応続けます。

もともとの「そば屋・うどん屋論争」を再掲すれば次のとおりです。

司会を務めた中村伊知哉さんは「なぜ著作権法で遺族の生活保障までしなくてはならないのか分からない」と根本的な問題を指摘する。「自分の死後、家族の生活を守りたいと思うのは、作家もそば屋やうどん屋の主人も同じ。作家の遺族は著作権法で保護されるが、そば屋・うどん屋の遺族を守ってくれる『そば屋法』や『うどん屋法』はない」(中村さん)

零士さんはこの意見に対して「そばやうどんと一緒にしてもらっては困る。作家の作品は残るが、そばやうどんは私にも作れる」と反論した。

ITmedia News「著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱」(2/3)

これを、延長賛成派と反対派の根っこにある亀裂が明らかになるよう書き換えるなら、次のようなものになるでしょう。

司会を務めた中村伊知哉さんは「なぜ著作権法で遺族の生活保障までしなくてはならないのか分からない」と根本的な問題を指摘する。「自分の死後、家族の生活を守りたいと思うのは、作家もそば屋やうどん屋の主人も同じ。作家の遺族は著作権法で保護されるが、そば屋・うどん屋の遺族を守ってくれる『そば屋法』や『うどん屋法』はない」(中村さん)

零士さんはこの意見に対して「そばやうどんと一緒にしてもらっては困る。作家の作品は残るが、そばやうどんは私にも作れる」「そば屋やうどん屋が死後50年で自動的に遺族のものでなくなってしまう、なんてことがあるのか。『そば屋法』や『うどん屋法』がなくてもその所有権は一般私法で保護されるが、著作権は著作権法なくして保護されない」と反論した。

もちろん両者の違いにはきちんとした理屈があります。レッシグの言うアーキテクチャの違いに基づくもので、そば屋やうどん屋といった形あるものは所有(占有)により他の人の利用を排除できますが、形なきものはそうはいきません。経済学的に言えばかつて紹介したように非競合性・非排除性があるということですが、本来なら遺族は当然ながら著作者自身の手元に止めておくことすら不可能な性質であるにもかかわらず、人為的に(ある程度)手元に止めておけるようにしたわけです。再度レッシグの枠組みを借りれば、アーキテクチャの違いを法により埋めて、形なきものを形あるものと似た形で取扱うこととしたのが著作権法だ、ということになります。

これを援用して延長反対派の考えを突き詰めていけば、本来存在しないものを政策的観点(創作意欲喪失の防止)からわざわざ付与しているものが著作権であり、ない方が自然なのだ、ということになります。山形浩生さんによる自分の作品がタダで使われることが本当に不名誉だろうか、レッシグによる英国の研究で、50年から70年の延長による著作物からの増収は2.5%に過ぎないという結果が出たとの主張は、こうした観点から、わざわざ付与することへの見返りのなさ、言い換えれば政策の必要性に疑義があることを主張するものでしょう。必要性に鑑み不自然なことをしているのだから、必要がないなら自然に戻すべき、というのは理屈としてはまっとうです。

では延長賛成派は理屈の通らないことをエゴイスティックにも主張しているということになるのでしょうか。著作権法の論理で言えばそのようなことにならざるを得ないのでしょうけれど、別の論理に照らせばエゴであるとはいえないだろう、というのがwebmasterの認識です。別の論理とは、労働価値説です。

労働価値説とは、財やサービスの価値はそれを生み出すに必要な労働の価値によって定まるというものです。昨今話題の白菜等の廃棄をもたらした野菜価格の下落を見ればわかるように、投入した労働の質や量が変わらなくても価格は変動するわけですから、現実には妥当しません。その意味で、延長賛成派が労働価値説を根拠に主張をしたところで「理屈の通らないこと」であることに変わりはないのですが、民主政国家においては、多くの人が正しいと考えることは、それ自体の妥当性を抜きにして、そこから体系的な制度を導き出し得ます‐公準のような位置に座すのです。

ホリエモンへの批判に典型的なように、額に汗して働くことが真に価値あることであり、そうでないものによる儲けはあぶく銭である、といった見方は根強くあります。他方で反批判を行う側にしても、肉体労働はしていないにしても、価値ある頭脳労働はしているのだ、という言い方を得てしてするわけですから、こちらもまたある種の労働価値説に囚われているといえましょう。ことほどさように労働価値説が世の中で理解を得ている以上、その理解を得られている範囲内においては、労働価値説に基づく主張はエゴとして切り捨てられるものではないでしょう。

労働価値説にのっとって延長賛成派の理屈を再構成するならば、問題は例えばレッシグが指摘するような増収の程度ではなく、不公平の存在にあります。労働の産物という点に変わりがないにもかかわらず、著作権は形あるものの所有権等に比べて、著作者の死後50年で消滅してしまうという不当に貶められた状態にあり、それを是正すべきであると。差分の多寡ではなく差分の存在そのものを問題視しているわけですから、差分が少ないと反論されたところで、納得するはずもありません。

パネルディスカッションにおいても、そのような無意識の論理の存在を感じさせる発言はあります。

それでも延長しないと創作意欲が減退するのだと三田さんは言う。「ヨーロッパで死後70年保護されると聞くと『同じような物を作っているのになぜ日本だけ50年なんだ』と思う。『日本も70年にして下さい』と訴えても『お前の作品はもうかっていないから50年でいいんだ』と言われると、わたしも意欲をなくす」(三田さん)

ITmedia News「著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱」(1/3)

ここで問題になっているのも、やはり格差の存在です。先日に天下り問題に関連して、webmasterは次のように書きました。

例えばプロ野球選手の契約更改を考えた場合、仮に1億円の年俸の選手に対して球団は9,500万円を提示し、他方で選手が1億500万円を要求しているとして、差額の1,000万円がなければ生活に差し障るわけではないでしょう(税金を差し引いた後であればなおさら)。そこで問われているのは、1年間の働きに対する評価なのです。昨年よりも成果が上がらなかったと考える球団と、昨年よりも結果を出したと考える選手の評価のズレこそが問題なのであり、額はあくまでその表れに過ぎません。

官僚にとってのインセンティヴと天下り問題再論(12/11付)

低く見られていることを問題視している人間に対して、低いといってもそれほどではないのだからいいだろう、という理屈は通用しません。それほどではないのならくれよ、という反発を招くのがオチでしょう。前編で延長賛成派が求めるのは適切な報酬だと書きましたが、他に見劣りしない評価、というのがその本質なのです。

しかし、延長賛成派に理解を示すとしても、その理屈には大いに問題があると言えましょう。というのも、形あるものと同等の財産権保全を、という要求が満たされるのは、消滅することのない永久の著作権が確立された場合に限られるからです。現在死後70年という主張がなされているのは、

  • 少なくとも著作権同士の比較においてアメリカ等と同等の評価になる、
  • 流石に永久の著作権というのは世間的に通らないだろう、
  • 今よりはマシ、

というそろばん勘定に基づく妥協案に過ぎません。そのうち死後100年、200年という主張が出てくるのは間違いないでしょう(少なくともディズニーは絶対にやるはず(笑))。

以上のwebmasterの見立てが正しいのであれば、究極的には永久著作権が確立されなくては満たされることのない延長賛成派と、70年でも問題ありと考え(といいますか、現状の50年ですら)永久著作権など論外に決まっている延長反対派との間の対立の解消など、夢物語にしか過ぎないように思えます。前編において「著作者に適正な報酬を支払うことと、自由な二次使用を確保することは、十分に両立できるでしょう」としたwebmasterは、余りに楽観的過ぎたのでしょうか? いえ、決してそうではないはずです(そうでなければこんなエントリを立てるはずもなく(笑))。望みを託すのは、次の名台詞。

なにジョジョ? ダニーがおもちゃの鉄砲をくわえてはなさない?

ジョジョ、それは無理矢理引き離そうとするからだよ

逆に考えるんだ、「あげちゃってもいいさ」と考えるんだ

荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険 4」、p21

何をどう逆に考えるかは、後編で。

[history][book]塩野七生「ローマ世界の終焉/ローマ人の物語XV」(p)

まだ全三部中第二部までしか読み終わっていませんが、

webmasterの勝手な妄想を垂れ流すなら・・・

第一希望 568年(ランゴバルド族によるローマ占領、ランゴバルド王国の建国)
一昨年昨年と2回にわたり書いたことであり、しつこくて恐縮ですが、ベリサリウスを読みたい!
第二希望 408年(スティリコ処刑)
普通なら410年の西ゴート族によるローマ占領が画期的事象となるのでしょうが、そこは人に思い入れて筆を進める塩野七生ですから、「最後のローマ人」スティリコ(ちなみに民族としてはゲルマン人(ヴァンダル族出身))の死をもってローマの滅亡である、と。前巻でテオドシウス1世まで書いているのですから、1巻まるまるスティリコを思う存分書いてください(笑)。
第三希望 455年(ヴァレンティニアヌス3世死亡、テオドシウス朝(@西ローマ帝国)滅亡)
ガッラ・プラキディアやアエティウスを「最後のローマ人」と認定すればこちら。第二希望とは異なりアッティラを登場させられるのが強みでしょう。彼がローマ帝国を滅ぼしたわけではないにせよ、出てこなければやっぱり物足りないでしょうし(笑)。

#当たる可能性は、逆の順番でしょうねぇ。

ローマ人の物語、最終巻はどこまでの範囲?(7/9付)

と書いたwebmasterからすれば、非常にうれしい内容です。締めくくりが何か、目次で察しはつきますがまだ読んでいない(のとネタバレ防止の)ため書くことは控えますが、第一部はほぼまるまるスティリコに割かれています。やっぱり目頭が熱くなりますねぇ、彼の生涯は。

[misc]バーガーキング再上陸!

冒頭エントリに続いて、重ねてiori3さん経由で。

ロッテと企業支援会社のリヴァンプ(東京・港)は米ハンバーガーチェーン大手のバーガーキング(フロリダ州)とフランチャイズチェーン(FC)契約を結び、来夏から国内で店舗展開する。5年で100店を出店する計画。バーガーキングは1990年代に西武鉄道グループや日本たばこ産業(JT)と組んで日本市場に参入したが、業績悪化により2001年に撤退しており、再上陸となる。

日経「米バーガーキング、日本に再上陸」

うれしいですねぇ・・・。霞が関から程近いJTビル(合同庁舎2号館建築中には、旧自治省が入っていました)には昔バーガーキングがあり、webmasterは愛用していたのですが、撤退をとっても残念に思った記憶があります。ぜひとも霞が関近辺に出店してくださいお願いします。

本日のツッコミ(全36件) [ツッコミを入れる]

Before...

ふま [bewaad様 エントリ違いなんですが、シニョレッジを増やすことを考えると 日銀は日本国債を買うよりも、『金利の高..]

bewaad [>ふまさん 実証データは持ち合わせていませんが、裁定がかかるのでそのようなフリーランチはない、つまりはインカムゲイン..]

アリバイ会社 [<a href=http://dmajor.info/>アリバイ会社</a> 通りすがりです。]


2006-12-17

[law]逆に考えたオルタナティヴ‐著作権保護期間延長問題(後編)

これまでの論旨を簡単に振り返れば次のとおりです。

  1. 著作権保護期間延長を巡る賛否は、延長による著作のインセンティヴ強化を重く見るか、他者の著作の阻害を重く見るかの違いに由来する。
  2. 両者は一見両立できそうであるにもかかわらず、対立が解消される気配がないのは、
    1. 賛成派がこだわっているのが、他の財や他国の法制との違いからくる、自らの労働が正当に評価されていないとの被差別感ゆえだからであり、
    2. 反対派がこだわっているのが、知的財産のアーキテクチャからすれば著作権は例外的な存在との理解があるゆえだからである。
  3. この対立は「逆に考える」ことで止揚可能なのではないか。

というわけで、さっそく逆に考えてみます。まずは元ネタの再掲から。

なにジョジョ? ダニーがおもちゃの鉄砲をくわえてはなさない?

ジョジョ、それは無理矢理引き離そうとするからだよ

逆に考えるんだ、「あげちゃってもいいさ」と考えるんだ

荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険 4」、p21

これを次のように書き換えてみます。

なに反対派? 賛成派が著作権を抱え込んではなさない?

反対派、それは無理矢理引き離そうとするからだよ

逆に考えるんだ、「そもそも彼/女らのものなんだ」と考えるんだ

つまりは賛成派の主張の根っこにある考え方を全面的に取り入れ、死後70年なんてちんけなことを言わず、永久著作権を認めてしまうわけです。あなたが頑張って作り出した成果に対する支配権は、未来永劫あなた、そしてその相続人のものです、と。

そんなことをしたら大変なことになってしまう、という反論はもちろんあるでしょう。二次利用を阻害してもいいのか、と。しかしながら、この逆の考えは、所有権などの他の財産権と同様に、著作権は勝手に消え去ったりはしません、といっているだけに過ぎません。一般に財産権が受ける制約には、当然ながら同等に服してもらうことまでは否定するものではありません。

一般の財産権が受ける制約とは多々ありますが、この文脈で重要なのは次のものでしょう。

第29条 財産権は、これを侵してはならない。

2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

何が出典かは明らかでしょう‐日本国憲法です。二次利用の興隆は公共の福祉に適合するわけですから、第29条第3項にのっとって、正当な補償をして国が買い取って、パブリックドメインにしてしまえばよいのです(この場合の正当な補償とは、著作権が永久に継続する前提で算出します)。

具体的には、例えば次のような手続はどうでしょうか。

  1. 著作者の生存期間中は、著作権は存続することとする。
  2. 著作者が死亡した段階で、国は万人一律の著作権買取額(例えば1万円とか、10万円とか、その程度でしょう)により著作権の買取りを請求することとする。著作者が生前に著作権を譲渡していた場合においても、同様とする。
  3. 相続人(あるいは著作権の譲受人)は、万人一律の著作権買取額に異議がある場合には、代表者一人を定めて、一定の期間内にその再鑑定を申し出ることができることとする。当該期間内に再鑑定の申し出がなかった場合においては、異議がないものとみなして、この著作権買取額で国が死亡者のすべての著作権を買い取った上で、パブリックドメインとすることとする。
  4. 再鑑定に当たっては、専門家からなる第三者機関が、個別に適当と考えられる買取額を査定することとする。
  5. 相続人等は、第三者機関の査定額に不服がある場合においては、国による著作権の買取りを拒否することができることとする。買取りの拒否がなかった場合においては、当該査定額で国が死亡者のすべての著作権を買い取った上で、パブリックドメインとすることとする。
  6. 著作権の譲渡をしなかった場合において、3で定めた代表者が死亡した、あるいは国に対して著作権の買取りを求めた際には、2以下の手続を再度行うこととする。

相続の際の手続は以上のようなものとして、関連して次のような整備も併せて行うべきでしょう。

  • 国による著作権の買取りに必要な額は、特定財源として、著作物関連課税(著作権保有に係る資産税とするか、取引に係る付加価値税とするかは議論があると思います)を創設して充てることとする。
  • 著作者死亡後において、パブリックドメイン化していない著作権の利用に当たっては、3で定めた代表者の同意により、すべての著作権相続者の同意があったものとみなすこととする。
  • 3で定めた代表者は、著作者や著作の名称とともに、登記により公衆の縦覧に供することとする。
  • 一律、ないし個別の著作権買取額は、譲渡の有無にかかわらず、相続税算定に当たっての財産評価額とする。

趣旨を説明しますと、まず、著作者本人が生存中に著作権が続くことには誰も異論がないでしょう。万人一律の著作権買取額を設定するのは、多くの場合、いちいち鑑定していたら、そのコストが買取額以上にかかってしまうと考えられるからです。ほとんどの人は一律の著作権買取額以下の価値しかない著作権しか有していないでしょうけれど、鑑定コストを考えれば、一律処理してしまった方が安上がりになるはずです。買取りですが、一律にであれ個別にであれ、提示された買取額での買取りに相続人等が応じた場合、自らがそれでいいと考えたわけで、自動的に補償の正当性は確保されます‐補償額が正当でないと考えるなら、買取りに応じなければいいのですから。

#逆に言えば、その程度の水準に設定する、ということです。

このスキームの長所は、webmasterがそうであろうと推測する賛成派・反対派双方のこだわりどころを押さえているところでしょう。賛成派にとっては、死後70年どころか、遺族が望めば永久に著作権を保持できるわけですから、これ以上優遇しろといわれても困ってしまいます(笑)。もし何世代か後で著作権を国に買い取ってもらうことがあるにせよ、その際には同意に基づき、さらには正当な補償を受けられるわけで、強制的に召し上げられてしまうとか、勝手に消え去ってしまうというものではありませんし。

反対派にとっては、二次利用の大幅な拡大が達成されるわけですから、一部の著作権が永久に残ったとしても問題は小さいはずです。パブリックドメイン化したものの二次利用の拡大は言うまでもありませんが、世代を超えて手元にとどめおかれる著作権についても、自動的に残るのではなく相続人等の能動的行動を必要とすることにひっかけて、「交渉窓口」の一本化をしてしまうことにより、次のような問題は解消されます。

著作権保護期間中に著作物の2次利用を行いたい場合は、権利者の許諾を取る必要がある。だが著作者の死後何十年も経つと、権利を相続した遺族を見つけ出すことすら難しい。これが著作物の2次利用を制限し、文化の発展を阻害するという意見もある。

「著作者の死後、著作物は相続人の共有財産になってしまう。50〜70年も経つと相続人は十数人になっている可能性もあり、うち1人でも反対したら作品を使えなくなる。私が関わってきた営利利用でも、許諾取得は大きな問題。教育や『青空文庫』など非営利目的では2次利用はより難しくなり、作品の死蔵につながる」(福井さん)

平田さんは劇作家の立場から、脚本のパブリックドメイン化の重要性を語る。「遺族が脚本の上演を拒否するケースは、出版物の2次利用拒否よりも多い。若くして亡くなった作家の作品が後になって日の目を見た時、作家の見ず知らずの親戚1人の反対で上演できなくなる可能性もある」(平田さん)

ITmedia News「著作権保護期間は延長すべきか 賛否めぐり議論白熱」(2/3)

問題があるとすれば、思いのほか買い取られてパブリックドメイン化される著作権が少なくなってしまう可能性でしょうけれど、おそらくそれは低いものだとwebmasterは考えます。というのも、買取りに応じるかどうかの相続人等の判断は、ひとつ上の世代において買取りに応じたなかったことへの評価‐ひらたくいえば、親が応じなくてよかったと思うか、あのとき応じておいてくれればと思うか‐に大いに依存すると考えられるからです。

第三者委員会の判断が将来の価値評価として平均的にほぼ的中させている場合において、適正価格をはじき出したときには妥当かどうかの判断が1/2で分布すると仮定すると、第X世代が第X−1世代の判断を是とするか否とするかの確率は1/2ということになります。ここで、いったん買取りに応じてしまえば後から覆すことができないという仕掛けの存在を考えれば、買取りに応じず存置される著作権の数は、世代を経るごとに半分ずつ減少していくとの予測が成り立ちます。

加えて、ヒトは一般的傾向として流動性選好を持ち合わせているので、価値評価として妥当であると判断した場合、その資産をそのままの形で保有するよりも、換金して保有する方を好みがちです。これらを併せ考えるなら、心配するほどあれもこれも長きに渡って存続してしまう、ということはないでしょう‐第三者委員会が傾向として低めの買取価格を提示してしまうならば話は別ですが(笑)。

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小物入れ [Hmm it appears like your blog ate my first comment (it was..]

ナイキ [My coder is trying to convince me to move to .net from PHP..]

tielelfitouse [,ダウンジャケット宥,欄 ババリ ]


2006-12-18

[sports]FIFA Club World Cup Japan 2006

バルセローナはいいチームですし‐ナショナルチーム同様にクラブチームのランキングを作成するなら、現時点では世界一になるのは間違いないでしょう‐、デコは好きな選手(MVPおめでとう)ではありますが、バルセローナをさんざん持ち上げロナウジーニョを追い掛け回す報道に辟易していたので、インテルナシオナルが勝ってよかったなぁ、と。これでバルセローナが勝っていたら、どんなバカ騒ぎになっていたか、想像したくもありません。ちょっと前までのレアル・マドリーに対する盲目的報道がそのままシフトしてきた感があります。

#でも、エトオかメッシのどちらかでもいれば、バルセローナが勝っていたんでしょうねぇ・・・。

どうしてもヨーロッパのチームに注目が集まるのは仕方がないことではありますが、この調子が続くなら、ヨーロッパ代表がwebmasterの最も好きなチームであるインテルや、最も好きな監督が率いるチェルシーの場合でも、負けてしまえと思ってしまいそうで気分が暗くなります。かといってバルセローナのように持ち上げられないとすれば、それはそれで癪に障るのでしょうけれど(笑)。

好悪の感情を抜きにしても、ヨーロッパチャンピオンに与えられる栄誉がひとつ増えるだけ、という状態でないのは、今後の大会の発展を考えればよいことではあるのでしょう。ラグビーの日本選手権における大学チームのような扱いをヨーロッパ以外のチームが受けるようでは、存在意義が疑われてしまうでしょうし。ちなみに昨年のリヴァプールに続いての決勝戦敗退ですが、旧トヨタカップ時代には、最後の10年をみるとリベルタドーレスカップ・ウィナーが勝ったのは2000年・2003年のボカ・ジュニアーズしかなかったことを思うと、この変わりようは何らかの状況変化の反映なのか、たまたまなのかは気になるところです。

大会の今後といえば、オセアニア代表の扱いは難しいところです。これまでのところは、実質的な開催国枠(昨年の三浦知良、今年の岩本輝雄)として機能しているため、大会の盛り上がりを考えれば存在意義があるといえますが、開催国枠が今後設定されるなら、それすらなくなってしまうでしょうし。かといって、今後彼の地のレヴェルが劇的に向上するとも考えづらいのは否定できないわけで。

#レヴェルについては、アジア人ごときに言われたくはないでしょうけれど。

[history][book]塩野七生「ローマ世界の終焉/ローマ人の物語XV」

一昨日紹介しましたが、読み終わりました。ベリサリウスを取り上げていただいたことはうれしく思ったものの、これまで主役級の扱いを受けてきた人々とはやっぱり思い入れが全く違い、通り一遍なのは残念ではあります。ニカの乱など、一段落で済ませられていますが、背景事情やその後への影響を書き出せば一章まるまる使ってもいい事件でしょうし、彼の戦歴の主要な相手のひとつペルシア(ササン朝)はペルシアとだけ扱われ、ホスロー一世の名前すら出てこないですし。せめてユリアヌスぐらいの密度で書いてもらえれば、とついつい思ってしまいます。

とまれ、15年にわたり買い続けてきたシリーズが終わるというのは、感慨深いものです。内容についての評価はいろいろあるでしょうけれど、ローマ史というものを普及させたのは、やはり功績だといえるのではないでしょうか。これより長く買い続けているシリーズというと、グインサーガがあるわけですが・・・。

[history]世界で五本の指に入る戦上手は・・・

厨房なネタではありますが、上記のローマ人の物語最終巻の関連で、ベリサリウスを知らない人から、それってどんな人と聞かれたときに反射的に出た言葉が、「世界で五本の指に入る戦上手」。でも、よくよく考えると本当かしらん?

やっぱりアレクサンドロス大王ははずせないよな、アレクサンドロスを第一位に挙げ自らを第三位としたハンニバルだって有資格者ですし(ハンニバルが第二位としたエパイロス王ピュロスは、ハンニバルより下のような・・・)、万能の天才カエサルも、と考えるとベリサリウスを含めて4人。古代ヨーロッパだけでこれでは、先が思いやられます。

あれこれ考え、ちょっとでも難点があれば落として、と絞りに絞ったのですが、それでも下に列記のように十本の指にしかなりませんでした。これをさらに半分に絞り込むとしたら、残るのは誰なんでしょうかねぇ・・・。

  • アレクサンドロス大王
  • ハンニバル
  • ベリサリウス
  • 李靖
  • バトゥ
  • アラーウッディーン・ハルジー
  • ティムール
  • ヤン・ジシュカ
  • アレクサンドル・スヴォーロフ
  • カール・グスタフ・マンネルヘイム

#時代順です。

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bewaad [>Baatarismさん 彼の場合、残っている肖像画もかなりのものですよねぇ。朱元璋ほどではありませんが(笑)。]

bewaad [>つばめレディさん 近現代、というより乾隆帝の遠征後ではそういうことになるかと思います。その後は、確かに別の基準を持..]

bewaad [>猿マシーンさん 岳飛は、その頃であれば完顔陳和尚が上かという気がしますし、となると直接対決で負けているとはいえスブ..]


2006-12-19

[government]天下りを巡る議論の整理

またか、とお考えの向きも多いかもしれませんが、山口浩さんからご自身の考察とともに、この件、公務員の方々のご意見もぜひ聞きたいとの言及がありましたので、それにお応えしたいと思います。基本的には下記において何らかの形で触れたことの再構成ですから、既にご覧の方々は適当に読み飛ばしていただければ。

山口さんのご主張は、天下りがなくならないのは年下の上司に仕えることを受け入れられないからではないか、言い換えれば高年齢層が降格を受け入れられないからではないか、ということです。それゆえに50歳前後から次々に退職せざるを得ず、天下りを宛がっているのだ、ということになります。

あくまでwebmaster自身の考え、及びこれまでの霞が関暮らしでいろいろな人と会話した結果が根拠ということで、客観性は極めて低いのですが、そのような理由で反対している人はほとんどいないのではないかと思います。何より、政治家の先生方に対しては、年齢にかかわらずへりくだって接するのが習い性ですから(笑)、そうした経験も豊富ですし。

もちろん、相手が政治家だから受け入れることが可能だという側面もあるでしょうし、頭で考えて大丈夫だと思っていたことが、実際に体験すれば思わぬ感情が湧くこともあるでしょうから、ひょっとしたらあれこれうまくいかないこともあるかもしれません。ただひとつだけ間違いなくいえるのは、そんな理由を前面に打ち出しての反対などできるはずもない、ということ。であるなら、本当にそれが問題であるなら、押し付けてしまえば受け入れざるを得ないので押し付けてしまえばよい、ということになります。

山口さんはこの点を私たちは1つ忘れていることがあるように思う。ちょっとした、しかしとても大きなことをとおっしゃっているわけですが、webmasterから見ると、忘れられがちな大きな点としては、もっと結論を左右するものがあるように思われます。なぜ天下りを廃止すべきか、という点です。

個々の論考においては、少なくともスタート時点では明らかになっているものも多いのですが、少なからぬ論考は、天下りを廃止すべきというのは当然の前提とされており、なぜかについては論じられていません。また、スタート時点では明確であっても、議論の過程で他の要素が混交してしまうものも少なくありません。というわけで、何が問題と考えるかによってどのような結論となるのか、まぎれなく整理すれば次のようになるでしょう。

まず、生涯賃金の水準に対する問題意識の有無により大きく2つに分かれます。天下りにより得られる賃金・退職金が問題なのか、それとも天下りという手段が癒着等を生むから問題なのであって、生涯賃金は現行水準でも問題ないと考えるかで、処方箋は異なってくるわけです。前者であれば単に天下りを全廃し代替措置を講ぜず、その分だけ生涯賃金は減少しますから、代償として人材の質の低下、ひいては行政サービスの供給減少を伴います。

他方で天下りという手段が問題なのであって、生涯賃金を引き下げる必要はないという立場の場合、第二の問題のプライオリティの置き方で、結論が異なってきます。この第二の問題とは、総人件費をどう考えるか、というものです。単純に天下り、つまりは外部に負担させていた賃金を内部で支払うことで代替するのであれば、総人件費は増えざるを得ません。

総人件費が増えてもかまわないというのであれば、定年まで働かせてその間も賃金を払い続けるというのが結論になります。総人件費が増えるのは困るというのであれば、一人当たりの単価が上がる分だけ頭数を減らさざるを得ず、その分だけ行政サービスの供給減少という代償が生じることになります。

以上を改めてまとめれば、

問題とする点天下り廃止の代償措置メリットデメリット
生涯賃金の高さなし総人件費が増加しない人材の質が低下し行政サービス水準が下がる
癒着等定年までの雇用継続行政サービス水準が維持される総人件費が増加する
(同上)定年までの雇用継続・人員削減総人件費が増加しない頭数が減少し行政サービス水準が下がる

ということになります。世の中にフリーランチは存在せず、何かを得るということは何かを失うということでもあります。天下り廃止を得るために何を失ってもよいのか、そこが選択の分かれ目になるとwebmasterは考えます。

なお、この整理に対する批判としては、

  • 生涯賃金が下がっても霞が関を職場として選ぶような人間こそ官僚になるべき(だから人材の質は下がらないだろう、ということになります。山口さんのそもそも「公務員である」ということ自体が重要なのだ。ぶっちゃけた話、公務員の方々のモチベーションの中には、「勲章」とか「娘の結婚式の際の肩書き」とかいう類の「priceless」なものが占める部分がけっこう大きいのではないかと思うがどうだろうとのご指摘も同趣旨でしょう)
  • 霞が関の業務は非効率極まりないので、民間並みに効率化すれば行政サービス水準は下がらない

というものがあるのではないかと考えます。前者については、仮に官僚の所得に対する限界効用が民間セクターの労働者に比べて低いとしても、それがゼロでない限りは、程度はともかくとして下がることは避けられないとwebmasterは考えます。そもそも所得に対する限界効用が低いのかどうかについても議論はあるわけで、マズロー流にいうならば、自己実現欲求や承認欲求は誰でも持っていて、民間セクターの労働者がそうした欲求において官僚よりも少ないと言い切れるのかどうか、webmasterは疑問がないわけではありません。

#蛇足ながら、何をやっても叩かれる風潮は「『priceless』なもの」をも減衰させていて、それが転職増や学生の間での不人気につながっているわけです。

後者については、国会対応業務を例に、霞が関は年2.5%の労働生産性向上を成し遂げてきている、という試算をかつてしたことがあります。現状においてミクロな目で見て効率化の余地が多々あり、今後も技術発展等に応じてさらなる効率化を進めることが可能となることは事実ですが、民間セクター(の事務部門)にそれほど引けをとらない効率化はこれまでも図られてきているわけです。全体としての効率化の余地は、業務そのものからの撤退といったようなことをしない限り、それほど大きなものはないでしょう。

[comic]現在官僚系もふ・最終話

終わっちゃいましたが、最後まで怒られず失敗せず反抗せずなんて印象で押し切ってくれましたなぁ。田村謙治議員が取材源のひとつのようですが(たむけん日記(9/16付)参照)、彼に限らず、「ボクは違うんだけどさぁ、周りには子どもの頃からガリ勉って奴が多くってさぁ・・・」なんていう人がさぞかし多かったのではないかと(笑)。取材源が薄っぺらだったから、中身も薄っぺらになってしまったのでしょう。敵役にも理を認めて悩む、なんてことがついぞありませんでしたから。

本日のツッコミ(全45件) [ツッコミを入れる]

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bewaad [>似非国民さん 学校教育の成果で測るとなると、外部要因である家庭や社会の影響を除去するということだけでも絶望的なよう..]

特殊法人 [>bewaad氏 やや残念ですが、bewaad氏は現状維持派ですか。それはそれでひとつの見識だと思います。もし何か具..]

bewaad [>特殊法人さん 現状維持派というより、漸進主義者だと自認しています(21日のエントリのようなことを考えたりもするわけ..]


2006-12-20

[politics]教員に「左翼」が多い原因についての4つの仮説

旧日本軍の戦争犯罪に関心をもってエントリ書いたりあちこちでコメントしたりしていると、「左傾教師が自虐史観を植えつけてきた」とか「言論界はサヨクだらけ」といったはなしをしょっちゅう聞かされるわけだけれども、(略)まあ全体として教員(小学校〜大学まで)の政治意識を日本人全体のそれと比較すれば、左派的というかリベラル寄りの傾向があるというのは嘘ではなかろう、とは思う。文部省(文部科学省)の「努力」を無視して「左傾教師が好き勝手をやってきた」と主張するのがおかしい、というだけで。

しかし教師の採用権限は小・中・高校なら教育委員会、国公立大学なら教授会、私立の学校なら理事会が握っているわけで、教授会はともかくそれ以外が「サヨクのスクツ」であるなどとは考えがたく、そうすると、「なんで教員には左派的ないしリベラル寄りの傾向があるのか?」が当然問題になる。イデオロギー的傾向性と能力のあいだに相関関係がないと仮定すれば、答えは職業選択における傾向性とイデオロギー的傾向性とのあいだに相関関係があるからだ、というものになろう。

別のいい方をすると、「教師はサヨクばっかりだと文句を言うなら‐そしてそういう文句はもう随分長いこと言われているわけだが‐なぜ右派・保守派は教員になろうとしないの?」ということ。本当に教員の政治的傾向が左派寄りなのだとすれば、それは右派寄りの人間が教職を忌避してきた結果だと考えてよいはずである。先日、当ブログで話題になった「教師はオイシイ職業か?」という問題に関して私が否定的な見解をもっているのも、一つにはそのためである(右寄りの人間には教職がちっともおいしい職業に思えないからこそ忌避してきたのではないか? ということ)。

「そもそも教師にサヨクは多かったのか? そしてもし多かったのだとすると…」(@Apes! Not Monkeys!12/19付)

仮説その1:学歴と左翼への親和性との相関関係

一般論として、高学歴であれば「左派的ないしリベラル寄りの傾向がある」といえるでしょう。今でこそ学士号は珍しい資格ではありませんが、原則大卒である必要がある教員は、時代を遡れば遡るほど、日本人全体よりも平均的に学歴が高く、その分だけそうした傾向が強かったと考えられます。

仮説その2:公務員としての職場環境

就職が決まったからといって髪を切り、彼女に「もう若くはないさ」と言い訳したくなければ、髪を切れなんてことを言われない職場を選ぶ必要があります(元ネタはバンバン「『いちご白書』をもう一度」です。為念)。公務員一般において、世間の見方どおり「お堅い」人も多いでしょうけれど、かといって髪を切らなければ左遷だ、なんてことはないのも事実です。

髪で就職先を選ぶことはないにせよ、例えば男性から見て配偶者の労働についてどう考えるか、といった点については大いに違いがあるといえましょう。かつて自らがいた学校の教員を思い出していただければおわかりのとおり、教員においては寿退社という慣行は民間に比べないといってよいため、結婚、さらには出産を経ても多くの女性が勤務を継続されていらっしゃいます。こうした環境は、女性の社会進出に対して好意的な男性にとっては相対的に心地よく、専業主婦であることを求める男性にとっては相対的に不快なものであることでしょう。

私学には直接妥当する話ではありませんが、公立においてこのようなことが一般的であれば、そちらに合わせるという動きも少なからずあったのではないでしょうか。

仮説その3:企業側の敬遠(あるいは敬遠されているとの観測)

東大法学部から司法試験を受験し弁護士へ、という流れの担い手には、民青で活動していたために一般企業への就職は無理だとあきらめて、という学生が少なからずいました(webmasterの学生時代の風潮においては)。大学紛争時代の著名人ほどに活動が活発であれば教員でも難しいのかもしれませんが(ゆえに予備校講師、という人々は結構いるわけです)、それほどでなければ、思想信条で差別してはいけないという建前が相対的に守られている公務員であれば、一般企業よりも採用されやすいといえるでしょう。

なお、本当に企業が採用の際にそこまで身辺調査をやるのか、webmasterは実態を知る立場にはないのですが、学生側がそうだと信じて最初からあきらめていれば、結果においては同じことになります。公務員の場合、警察や自衛隊を除けば、それほどのことはないはずです。

仮説その4:類は友を呼ぶ

採用に当たってのOB訪問などで、学生側は自らの嗜好に合う職場・合わない職場のいずれかを観察し、合わないと思えば敬遠する確率が高くなるでしょう。採用側も、意識して多様性を確保しようとしない限り、自らの嗜好に近い学生に対して高い評価を与えがちで、その結果採用される確率も高くなるでしょう。

こうした相互作用から、いったん何らかの傾向が確立された場合、それを強化する方向に採用活動が偏っていくと予想されます。

[government]夕張市再建計画に漂う暗雲

北海道夕張市が財政再建団体への以降を決めてから、20日で半年になる。360億円もの借金を20年間かけて返すという、自治体が経験したことのない厳しい再建の道のりを始めた北の街では、市民の間に生活への不安が広がり、人口の流出が始まっている。

10日。1人の住民が夕張市を離れた。市中心部でスナックを経営してきた山崎博司さん(58)。店を11月末で閉め、この日が引っ越しだった。

喫茶店を20年前に開き、生演奏で歌えるスナックに12年前に改装した。ところが、6月20日に市が再建団体入りを表明して以降、一晩に数人はあった客足がぱったりと途絶えてしまった。

「市職員だけでなく、市民の消費全体が冷え込んで、客がゼロの日が続く。良くなることはないっしょ。もう、この街では暮らしていかれないよ」

(略)

将来に見切りをつけて近隣の町に店を移した人、働く場を求めて札幌市などに出る人……。年の瀬を前に、夕張市からの転出が相次いでいる。10月と11月だけで152人。昨年同期の2.2倍の多さだ。だが、本当の人口流出はこれからだ。

朝日「いまがわかる あすをさぐる 列島2006/夕張 それから/暮らし覆う重圧 止まらぬ人の流出」

夕張市の人口は、9月末時点で13,079人でした。出生と死亡が釣り合っていて流出入しか変動要因がなく、かつ、10・11月に流入がなかったと仮定すれば、2ヶ月で1.2%の人口減少があったということになります。年率で言えば約7%。単純に計算すれば15年足らずで無人の地となってしまいます。

もちろん、無人の地となるというのはこの2ヶ月のトレンドを定規で伸ばしただけの話ですから、そうはならないでしょう。こうした状況だからこそ、と義侠心を発揮して踏みとどまる人もいるはずです。しかしながら、どのような人が残るかといえば、その多くは、職の当てがない、あるいは引っ越し代その他の転居に必要な費用すら出すのに窮する、といった人々ではないかと考えられます。少なくとも、出て行くのは出て行った先での暮らしに見込みがあり、引っ越すだけの余裕がある人でしょう。

となれば、人口流出の市財政への影響を考えれば、当然ながら、マイナスに働きます。相対的に稼ぎがいい、つまりは住民税等で貢献できる人々がより多く抜け出し、相対的に稼ぎが悪い、つまりは社会保障等においてより多くの行政サービスを必要とする人々がより多く残るからです。要するに‐収入が減るほどには、支出が減りません。

加えて、交付税交付金の減額がのしかかってきます。先日取り上げたように、そもそも夕張市の財政悪化の最大の要因は交付税交付金の減少でしたが、これは交付税改革前であっても、ということ。交付税改革が進めば、人口と面積に算定要素が集約され人口の交付税交付金の額に与える影響は大きくなることと、その他要素(高齢化、寒冷地等)のウェイトが下がることの、二重の衝撃が夕張市を襲うわけです。

こうした状況への処方箋は、今のところ市町村合併でしかありません。救済してくれる他の地方公共団体があればこの手法は有効ですが、今でさえ差し伸べられる手がないというのに、ますます悪化する財政状況に鑑みれば、事実上この道は断たれたといって差し支えないでしょう。

そこで総務省が用意している奥の手が、債務免除の法定化、ということなのでしょう。国が支援するという選択肢が存在しないという前提に立てば、これが最後の切り札ということになるわけですが、とりあえず導入後に他の団体に及ぼす影響を無視するとしても、借金返済がなければ黒字、という団体にしか有効ではないという限界があります。

もし、高齢化比率(65歳以上人口比率)がどんどん上昇し、借金を全額免除したところで(交付税交付金込みの)財政収支が赤字である、という団体が出てきたとしたら・・・後世から振り返れば、夕張市はそうした状況への対処法を探る、住民を素材にした社会実験であった、ということになる可能性は、webmasterはゼロではないと思うのです。

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bewaad [>HMDさん 「グループ会社では日本ポリペンコ、三宝化成、菱樹化工が好成績であり、分社化した設備機器関係のヒシテック..]

鍋象 [HMDさんbewaadさんありがとうございます。僕も酒席で聞いた話だったので、記憶違いがあるかも知れません。]

bewaad [>鍋象さん まあでも実態はそれほど遠くないところなのだと思います。確かに相当の精神力の持ち主でしょうし、であればかな..]


2006-12-21

[notice]いただいたコメントへのお応えは、明日とさせていただきます。ごめんなさい。(T/O)

[government]官僚人事の効率化を通じた天下り廃止私案

一昨日山口浩さんのエントリを題材に天下り問題について論じましたが、それを受けて再度山口さんにこの問題を取り上げていただきました。ご丁寧な対応ありがとうございます。そこでの問題提起に、webmasterなりの考えを述べたいと思います。

山口さんのご提案は、概要以下のとおりです。

  • 天下りを廃止し、定年まで勤めるようにする(必然的に、年少の上司に仕える者が出てくる)。
  • 必要な総人件費の増加は許容するも、民間での人材管理手法を取り入れ、増加の額を最小化する。

webmasterが思うに、政治的には「必要な総人件費の増加は許容」されるはずもないので、一昨日書いたように人材の質の低下は不可避だと思いますが、他方でこれまで何度か書いてきたように、フィージブルな結論はそれしかないとも思います。ただこれは、「増加の額を最小化」することの言い換えでもあり、つまりは最小化した結果ゼロにするということであれば、山口さんとwebmasterには実は見解の相違はない、ということになります。

アプローチとしては異なる角度からのもの、つまりwebmasterの考察は個々の人材の質が下がっても組織としての業務の質を下げないためにはどうしたらよいか、というものになるのですが、民間にはなく霞が関(のI種採用事務官)に特有の大いなる非効率を改めるという点では変わりありません。具体的には、一般に1〜2年に一度の人事異動の間隔を長くする、ということになります。より厳密にいうなら、間隔はそのままでもいいのですが、局間異動のような業務内容がほとんど入れ替わってしまうようなものを短期では行わない、というべきなのですが。

各省庁の事務官のトップである事務次官を例に取り上げてみます。事務次官の任期はほとんどが1年、まれに2年務めれば大物次官と呼ばれたりもするわけですが、仮にこれを企業におけるCOOに擬えるなら(ちなみに、大臣がCEOに相当するでしょう)、このような短期での入れ替わりということは、不祥事でもない限りは想定し難いといえます。

#防衛庁の守屋現事務次官は、もはや4年目と例外中の例外を更新中ですが。

なぜ想定し難いかといえば、あまりに非効率だからです。何が非効率かといえば、

  1. 慣れるまでの期間がそれなりに必要で、その期間中は実力を十分には発揮できない、
  2. 経験を重ねたことにより生じる効率的な業務運営が細切れになる、
  3. 毎年交代と決まっていると、明らかに人材の質として劣っているとわかっていても交代しなければならないことがある、

といったところでしょうか。

これらのうち、人材の質の低下の影響が致命的に事態を悪化させるのは、第3点でしょう。逆に言えば、多少のばらつきはあるにせよ、毎年ひとりぐらいはCOOとして十分な能力を有する者がいたからこそ、このような無駄が許されてきたわけです。人材の質が下がり、例えば5年にひとりぐらいしかそうした者が出てこない、ということになれば、事務次官は5年にひとりのポストということに落ち着かざるを得ません。

それより下のポストについても同じことが言えます‐むしろ、よりそうする必要が高まると言えるかもしれません。事務次官は選り抜きの者を就けることができますが、肩たたきが始まるまでは全員がどこかのポストについているわけで、全体としての質の低下がそこかしこに現れることになります。それを第1点・第2点の効率化で補うことが必要です。

その他、かつて「リーガルパターンの可能性」として論じた業務の定型化・マニュアル化も必要でしょう。従来、霞が関においては、マニュアル的なものといえば創意工夫の阻害を厭って試みられることはあまりなされてこなかったのが実態です。人材の質が低下してくれば、そもそも創意工夫に期待する部分が少なくなり、そこそこのレヴェルを大過なく確保することがより重要視される、すなわちマニュアルの存在意義が大きくなるとwebmasterは予想しています。

かくのごとく業務運営の枠組みを変えることができるのであれば、個々の人材の質が低下したとしても、組織としての業務の質は相当程度維持することが可能だとwebmasterは考えます。あわせて、ある程度は雇用期間の延長も図られるでしょう。例えば、事務次官になる年次が今と変わらなければ、長期にわたり務めることとなる分だけ、退職する年齢はより高いものとなります。

また、早期勧奨退職の慣行を細かく足並み揃えて実施できるのは、ほぼ毎年人事異動を行うというタイミングのあわせやすさゆえでもあります。3年以上同一ポストを務める人間が数多くいる中では、肌理の細かいコントロールをしようとしても限界があり、年次逆転などもそれなりに見られるようになるでしょう。例えば、局長になったときには事務次官より年次が下でも、5年間務め上げたときには年次が上になっている、とか。このような積み重ねで平均退職年齢は上昇し、ある程度は山口さんのイメージに近い実態になるようにwebmasterは思います。

ちなみにこの案のデメリットは何かといえば、なぜ今は短期間での人事異動を繰り返すのか、その長所は何と認識されているかの裏返しということになります。webmasterの見立てでは大きく分けて2つあり、

縦割りの強化
各部局に長くいる人が増える一方で、事務次官や官房長といった人間が入省後に経験するポストの多様性は今よりは小さくなり、相対的に各部局のブラックボックス化が進むでしょう。その先にある世界を示唆するものとして、霞が関の上位ポストはほとんどがキャリア事務官が占めているとはいえ、情報の非対称性ゆえにキャリア技官やヴェテランの人事や専門分野にはなかなか口出しできないという実態がありますが、キャリア事務官の中にも、そうした「自治領」が形成されていくのではないでしょうか。
癒着等
ひとところに長くとどまるようになれば、当の本人にとっても慣れで流す部分が増えてくるのは人の性として致し方ないところですが、それ以上に、何らかのコネを持とうとする人間にとって、コネを作ることの価値が増えることが大きいでしょう。短期間で人が入れ替わってしまうのでは、せっかく作ったコネも無駄になってしまいますが、相手が長らく同じ人ということであれば、投資効率は格段に向上することになります。とすれば、コネを作ろうとする動きは、増えることこそあれ、減ることはないでしょう。

といったものではないかと考えられます。

以上が本論ですが、続いて個別のご質問へのお答えを。

キャリア公務員が年下の上司に仕えるのをよしとしないとした点について、「そんなことはない」とのことだが、ではなぜキャリア官僚の間で定年までにほとんどの人が辞めてしまう事実上の慣行があるのだろうか、と質問させていただきたい。慣行の存在自体は、国会での議論にも何度も登場しているし、首相の答弁書でもはっきり書かれているから、否定はできないはず。もちろん公務員人事の裏事情など知る由もないが、報道などで一般に伝えられるものを見る限り、昇進レースから外れた順に外に出て行く、という見方が多い。これが記者の思い込みということなのだろうか。もちろんそういう可能性もあるだろうが、こうした記者は、多くの官僚たちから長い時間かけていろいろな話を聞いているはずだ。それに、私の個人的経験でいえば(bewaadさんよりはるかに少ないだろうが)、私のこの見方に対して官僚の方々からこれまで明示的な否定を受けたことはなかった。というわけで、この見方が官僚の間に広く受け入れられているのではないかと考えたのだがちがうのだろうか。

「「天下りがなぜ悪いか」より前に「なぜ天下りがあるのか」だと思う」(@H-Yamaguchi.net12/20付)

まず、慣行が存在するのはそのとおりで、否定するつもりはまったくありません(前回も、それを前提に論じていました)。その内容も、「昇進レースから外れた順に外に出て行く」というものだとwebmasterも認識しています。「この見方が官僚の間に広く受け入れられているのではないかと考えたのだがちがうのだろうか」といえば、違いません、というのがお答えとなります。

その存在理由ですが、どのような理由で始められたのかはwebmasterも知りません。しかし、いったん普及したのち、止められない理由は、やはり総人件費・定員の縛りがきついから、ということであると考えています。一般的な傾向として、課長補佐より下は体力勝負である面が多いので、プロスポーツ選手の大半は40歳になる前に引退するように、若さが絶対的な能力差として立ちはだかるのは否めません‐霞が関の場合、体力とは少ない睡眠時間で連日働くことが可能であること、となりますが。

課長級以上のポストは絶対数が少ないので、定年まで人員を抱え込む場合の受け皿はどうしても課長補佐級がメインとならざるを得ませんが(そうでないと、課長級以上は皆50歳後半かそれ以上、ということになってしまいます)、課長補佐級であっても定員の縛りがゆるいということはありません。結果として、高年齢課長補佐を受け皿とすれば、若年課長補佐の人員減にもつながり、二重に平均年齢を押し上げます。

このことは、課長補佐級の全体としての生産性を下げる方向に影響を与えざるを得ません。個別に見ても、同じ課長補佐なんだからと年齢に関係なく仕事を割り振れば高齢者層にとって過酷な、年齢を考慮して若年層に仕事を今まで以上に多く割り振れば若年層にとって過酷な、それこそ過労死を増やすような結果になると予想されます。

だいたいこんなあたりではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか>同業者の方々。

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2006-12-22

[economy]プライマリーバランス赤字縮小@平成19年度予算原案

世の中の報道振りとしては、例えば次のように、税収増という僥倖によるものであり、さらなる歳出削減や消費税増税が必要だ、というものが大多数です。

安倍晋三政権のもとで最初の予算編成になる2007年度予算の財務省原案がまとまった。景気回復に伴う税収増を追い風に、新規国債発行を06年度比で過去最大の約4.5兆円減らすなど財政健全化に一歩前進した。だが道路特定財源や地方交付税など予算の構造に踏み込んだ抜本改革は迫力不足だった。税収が増えているからと気を緩めずに、首相主導で既得権益にさらに切り込む果断な改革を進めてほしい。

日経「予算の構造改革にもっと踏み込め」(12/21付社説)

景気回復による税収拡大で、予算編成の様相が一変した。

(略)

税収増の追い風を受け、歳入不足を補うための新規国債の発行額を、25・4兆円に抑制した。今年度に比べ4・5兆円の削減となる。「国債の新規発行額を過去最大の幅で減らす」とした安倍首相の指示が実現したわけだ。

(略)

政府は来年度の実質成長率を2%と見込んでいるが、それも米国、中国の経済動向次第だ。国内の景気が失速すれば、今回のような税収は望むべくもない。

景気に左右されにくい安定した財源が必要だ。その条件にかなうのが消費税である。財政再建を軌道に乗せるには、消費税率の引き上げが欠かせないことを、安倍内閣は再認識すべきだ。

読売「財政再建へ楽観視はできない」(12/21付社説)

安定的な経済成長の維持こそが最大の財政再建策であるとの立場を貫いてきたwebmasterとしては、だから言わんこっちゃないといいますか、もっと早くデフレを脱却していれば財政再建はもっと進んでいた(ましてデフレを防止できていたならなおさら)はずだというのが正直な感想です。にもかかわらず、そのような見方をする報道がほとんどないのはなげかわしいといいますか、読売なんてリフレ政策を理解していたんじゃないのかと。実質2%成長なんて、そこから失速なのは論外で、現状はまだ十分な巡航速度に達していないと称すべきでしょう。

消費税は、その導入に当たっての理由のひとつ(さらにはそれ以前の、一般消費税(大平内閣)や売上税(中曽根内閣)についても同様ですが)として、読売で書かれているように景気に左右されない安定財源の確保が謳われていました。しかしながら、「景気に左右されない安定財源」には財政のビルトインスタビライザー機能(所得税の累進性や法人税の赤字非課税により、景気が悪くなれば自動的に減税され、よくなれば自動的に増税されることなど、景気を安定化させる方向に財政が自動的に調整されること)の否定という問題があります。わざと悪いイメージのレッテルを張るなら、強きに媚びて弱きに居丈高な税制とでも呼びましょうか。

加えて、日本の「いざなぎ越え」をあざ笑うかのようなイギリスやアメリカの長期経済成長は、適切な金融政策の実施により、振れ幅の小さい高い水準での経済成長が可能であることを教えてくれます。インフレターゲティングの導入などによりそのような経済成長が達成されるなら、そもそも景気に左右されることを懸念する必要は相当程度小さくなります。うーん、読売がどこまでインフレターゲティングのことをわかっているのか、不安になってきますねぇ(笑)。

ちなみに、景気回復期‐まして、日本のように景気低迷が長期間続いた後のそれ‐においては、中長期的には税収弾性値は1.1、すなわち経済成長率がx%伸びれば、税収はその1.1倍伸びるわけですが、これよりも税収の伸び率は大きくなると予想されます。100億円の赤字企業が利益を100億円増加させて収支トントンにしても税収はゼロのままですが、さらに増加すればその約4割は税収となります。まして、メガバンクのように繰越欠損金を抱えていれば、それを解消するまでは黒字であっても税収はゼロのままですが、解消されれば過去最高益とされる昨今の利益の約4割の税収が見込めるわけです。

#当然ながら、「景気に左右されない安定財源」が増えれば増えるほど、税収弾性値は小さくなります。

まずはこうした制度が予定する税収増をきちんと確保してから、つまりは名目で5%程度、実質で3%程度の成長を数年続けて、それでもなおプライマリーバランス黒字が達成できないという状況であった場合に初めて、増税その他の必要な財政再建策を考えるべきでしょう。それなりの水準の安定成長の達成が、もっとも政治的コストが低く、誰にも痛みを強いず、しかも毎年数兆円単位という巨額の効果が見込める財政再建策なのですから。

[economy]食品ドメスティックバイアスの一例

Q4〔回答票21〕我が国の食料自給率は,国際的にみて非常に低い水準にあると言われています。しかし,自給率を向上させていくためには,多少価格が高くても国産の食料品を選ぶことなどによって,一定の経済的な負担が生じる可能性もあります。あなたは,我が国の食料自給率の水準として,将来的にどの程度の水準とすることが望ましいとお考えですか。この中から1つだけお答えください。

( 2.0)(ア)現状(40%)より低い水準でもかまわない
(10.5)(イ)現状のままでよい
(20.4)(ウ)50%程度
(49.0)(エ)60〜80%程度
( 6.9)(オ)90〜100%程度
( 2.3)(カ)100%を超える水準
( 9.0) わからない

Q5〔回答票22〕あなたは,我が国の食料の生産・供給のあり方についてどのようにお考えですか。この中からあなたのお考えに最も近いものを1つだけお答えください。

( 7.8)(ア)外国産のほうが安い食料については,輸入する方がよい
(44.5)(イ)外国産より高くても,少なくとも米などの主食となる食料については,生産コストを引き下げながら国内で作る方がよい
(42.3)(ウ)外国産より高くても,食料は,生産コストを引き下げながら,できるかぎり国内で作る方がよい
( 0.6)その他
( 4.7)わからない

Q6〔回答票23〕あなたは,食料自給率向上のためにどのような施策が必要だとお考えですか。この中からあなたのお考えに最も近いものを1つだけお答えください。

(36.7)(ア)消費者のニーズにあわせた国内生産の拡大を図る
(37.5)(イ)生産面ではなく,むしろ「食育」の推進や国産農産物の消費促進など消費面からの取組みの拡大を図る
(10.2)(ウ)国は財政負担をしてまで食料自給率向上のための対策は実施せず,生産者等の自主的な取組みに委ねるべき
( 5.0)(エ)国も生産者等も食料自給率向上のための取組みを行う必要はない
( 1.3)その他
( 9.3)わからない

(webmaster注:数字は回答選択のパーセントです)

「食料の供給に関する特別世論調査」の概要

日本の農業の生産性の低さはドメスティックバイアスゆえだ、とwebmasterは指摘してきましたが、まさしくそれを裏書するアンケート結果です。米の自給率にこだわるならば米の市場開放などあり得ない話ですし、今より自給率を上げたければ、そばやうどん(小麦は大半が輸入)、醤油や味噌(大豆は大半が輸入)、各種肉類(飼料は大半が輸入)などを食卓から捨て去り、米と野菜を塩を中心とした味付けで食べるような食生活になるわけですが、主食は日本で作れという約45%の人間や、それ以外も日本で作れという約42%の人間は、まずそれを実践してからそのような主張をするべきでしょう‐大半は実践していないはずで、そうでなければここまで自給率が下がるはずもありません。

しかし、8割以上の人間が高コストでの国内食料生産を支持している割には、農業の生産性が低いのは構造改革が進んでいないからだとか、農業の抵抗勢力が原因でFTAやEPAが進まないのがけしからんとか、農業向けの予算はもっと削れだとか、そういった意見が多いのはなぜなんでしょうかねぇ? 日本のように土地・労働力の確保に高いコストが必要な国では米作や麦作なんて他国に比べ生産性が低くて当たり前ですし(製造コストが高止まりするものは国内生産にこだわらず外国から輸入している製造業に比べ生産性が低いのもこれまた当たり前です)、にもかかわらず市場開放などしたら外国産に席巻されるに決まっていますからFTA等は論外ですし、生産性が低い=儲からないのに生産を継続させようとすれば公的支援は必然なのですが・・・。

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平家 [bewaadさん、気がつきませんでした。失礼しました。]

bewaad [>通行人さん カリフォルニア米なんて、輸出補助金なしで価格競争すればアジア産に勝てるはずもなく、高関税+ミニマムアク..]

bewaad [>平家さん いえいえ、引き続きよろしくお願いいたします。]


2006-12-23

[media]大淀病院産科休診

以前取り上げた大淀病院事件が、さらなる悲劇を呼ぶ可能性を高くする結果に終わりそうです。天漢日乗で紹介されていたNHKのページは削除されているようですので、別ソースから。

奈良県大淀町の町立大淀病院で8月、重体になった妊婦(当時32)が計19病院に搬送の受け入れを断られた末、大阪府内の病院で死亡した問題で、同病院が来年3月で分娩(ぶんべん)の取り扱いを休止することがわかった。同病院の産婦人科にはこの妊婦を担当した常勤の男性医師(59)しかおらず、長年にわたる激務や妊婦死亡をめぐる対応で心労が重なったほか、別の産科医確保の見通しが立たないことなどが理由とみられる。

県などによると、同病院は来年3月末で産科診療を休止し、その後は婦人科外来のみ続ける方針。スタッフの拡充を検討したが、県内の公立病院に産科医を派遣してきた奈良県立医大の医師不足などから、新たに医師が確保できず、分娩対応の継続ができないと判断した。病院側は同日、院長名で事情を説明する文書を張り出した。

男性医師は県立医大から非常勤医師の応援を得ながら、年間150件以上のお産を扱っていた。宿直勤務は週3回以上で、妊婦が死亡した後、「ここで20年以上頑張ってきたが、精神的にも体力的にも限界」と周囲に漏らしていたという。

県南部では、県立五條病院(五條市)が4月に産科医不足から分娩取り扱いを中止しており、大淀病院がお産を扱う唯一の病院だった。県幹部は「早急に県内の周産期医療のあり方を見直さねばならない」と話す。

朝日「奈良・大淀病院、分娩対応中止へ 県南部のお産の場消える」

仮に当初の毎日新聞の報道のとおり、医療ミスであったとしても、なんとかそこで産科医療が継続されるような方向での論評が望まれたケースであったとwebmasterは考えます。記事にあるとおり、大淀病院が奈良県南部での唯一の産科診療の選択肢だったからです。悪いことをしました、だから潰しますでは、困るのは現地の妊産婦ということになってしまいます。

しかるに、本件は医療ミスだったとの報道は、webmasterが関連情報を見る限りは間違いだったと言ってよいと思います。大淀病院の産科医をはじめとする関係者は、当時の切迫した状況・限られたリソースの中で、ほぼベストといえる対応をしたと評価できますし、それでもなお死が避けられなかったからといって責任が追及されるようでは、誰もがしり込みして当然です。

そのような報道を行い今回の残念な結果をもたらした毎日新聞こそ、その責任をとことんまで追及されるべきでしょう。速やかに自らの誤報を認めた上で謝罪を行い、新しい産科医の人件費を丸抱えしてでも大淀病院での産科診療継続を図るべきです。今後奈良県南部において妊産婦に何らかの問題がおき、大淀病院に産科があればなんとかなったのに、ということがあった場合、そうした事態を招いた原因の過半は毎日新聞の報道に帰せられるのですから。

[politics]本間政府税調会長辞任問題雑感

本間正明氏から吉川洋氏へか。なんか知らんけどもむちゃくちゃ不安な人事ですね(もっと率直にいいたいところが本心だよなあ。簡単にいうと人間力が……パペットってか……bewaadさん頼むw)。

「誰かのパペットになるのか?」(@Economics Lovers Live12/21付)

そのようなことをおっしゃられましても、本当に吉川先生になるのかもわかりませんし、仮にそうだとしても、吉川先生の人となりでしたら、学界つながりでむしろ田中先生の方があれこれ知るチャンスが多いのではないでしょうか(笑)。というわけで、せっかくいただいたリクエストにはあまりお応えできないのですが、その余のことを徒然なるままに。

  • 日銀の福井総裁もそうですが、この手のスキャンダルでは辞任の話が盛り上がるというのに、本職での失敗‐端的には、未だデフレから脱却できていないこと‐については、辞任はおろか問題視する発言すら公にはほとんど見ないというのは、webmasterには理解はできても納得はできません。世の中の期待するその手のポストに就く人間像というのは、私人としてクリーンでありさえすれば、専門的能力はどうでもいい、ということなんですねぇ(やっぱり、専門的内容はブラックボックスということなのでしょう)。
  • 本間先生を経済財政諮問会議の民間議員として引っ張りあげたのは小泉政権でしたし、官舎への入居も小泉政権時代だというのに、現総理の任命責任ばかりが取りざたされているのは、マスメディアの論調は世の鏡でしかないことを考えれば、本当に国民的人気を得ていた小泉前総理に対して、人気がバブルでしかなかった現総理、ということを端無くも表しているのだとwebmasterは思います(いまさら前政権を批判しても仕方がない、ということではあるにせよ)。復党問題以来、いろいろな失敗が重なって人気が落ちてきていると見られているわけですが、むしろ岩盤となる人気がないからこそ、ひとつひとつの失敗が大きなダメージにつながっているということなのでしょう。
  • 復党問題といえば、それ以降は道路特定財源問題についても本件についても、中川幹事長が一歩も二歩も引いているというのは、彼の権力の増大を快く思わない官邸の意向の表れであると考えてよいでしょう。中川幹事長からすれば、お手並み拝見ということだったのでしょうけれど、その結果がこれでは、かえって党内の少なからぬ人に「中川幹事長はさすがだ。それにひきかえ・・・」という印象を与えただけなのでは(笑)。
  • 結局、口では田中派的な政治手法への攻撃をしておきながら、「汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう」(by竹下登)的な黒子をきちんと配置していた小泉総理は(飯島秘書官、竹中大臣、中川国対委員長ら(いずれも当時)、そして数多くの霞が関関係者)、その強みも十分にわかっていたということなのでしょう。他方で、非田中派的政治手法への批判を額面どおり受け取ってしまい、それから本気で決別してしまった現政権は、官邸という狭い世界ですら俺が私がの大合唱で、まして党内その他はいうもさらなり、といった状況であると。
  • このように人情の機微に疎いという現政権の特徴を踏まえれば、次期税調会長が誰になるにせよ、路線転換はあり得ず、法人税減税その他は引き続き推進されるのでしょう。名を捨てて実をとるか、名をとって実を捨てるか、いずれもできずに名も実もということでは、似たような失敗が繰り返されるだけだとwebmasterは思うのですが。つまりは、田中先生のご質問にお答えするなら、誰がなってもパペットとしての振る舞いを求められるのは、本間前会長のときと変わらないのでは、ということになります。
  • 財務省が本間前会長を好まずリークした、という説がメディアでは多く見られ、官邸もそれを疑っていたようですが、本当にそうであるとすれば、国民福祉税のときの失敗をまったく活かせていないといいますか、短期的な目的を達成したとしても、中長期的には警戒されてバッシングを受けるだけだというのに、バカなことをしでかしたものです。仮にそうであったとしても、この手のことは「沈黙は金」であるに決まっているというのに、実際、財務官僚の一人は舞台裏について「宿舎の件はうち(財務省)が用意し、自民党税調のインナーが引き金を引いたという感じかな」と言ってはばからない産経「首相官邸 危機管理また不発 成長戦略「顔」こだわり」)とは、愚行の上に愚行を重ねているとしか言いようがありません(実際にはそうでないのに、いい機会だと強がっているなら、もっとバカですが)。参院選に当たって、集票のための「抵抗勢力」認定を受ける可能性がずいぶんと高くなったのでは?
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竹馬 [>>>市井の勤務医様 この場合の規制撤廃は、数少ないアメリカでの自分の経験からも、日本にとって良くない事態を招くだけ..]

竹馬 [>>>補足 そもそも、どの程度の医療レベルと医療費負担にするかは、別に国民的議論が必要なことで、まずはこの議論をどう..]

bewaad [>皆様 12/31付エントリにここでの議論を紹介いたしますので、続きはそちらでお願いいたします。]


2006-12-24

[government]ホワイトカラーエグゼンプションと公務員給与の実態

はてなブックマークで見つけたのですが、

厚生労働省の課長以上には、管理職手当という手当が支給される代わりに残業代が一切支給されない(公務員は労働基準法適用除外、ということで一応合法らしい)。ということで、「絶対に『わかった』とは言わない」どころか、すでにやっているわけですな。

http://anond.hatelabo.jp/20061222134941

この人はホワイトカラーエグゼンプションについては理解しているようだが、官僚制度の知識はウトイようだ。

「ホワイトカラーエグゼンプション」(@はてな匿名ダイアリー12/23付)

若干の事実誤認が含まれているようですので、いくつか訂正を。

国家公務員の課長職は、職級でいうと9級以上の上級幹部職員。国家公務員の職級順位は係員(1-2級)<係長(3-4級)<課長補佐(5-6級)<室長(7-8級)<課長(9-10級)という順位となっており、人数的には官僚ピラミッドの上から0.8%ぐらいまでが課長級以上。

霞ヶ関の本省には国家公務員が約17万人いるが、9級の課長は全省庁で1400人、10級の課長は66人しかいない。地方公務員でたとえると局長など、知事が出席する会議に出るような立場が国家公務員の課長だ。民間企業なら営業部長や工場長や支社長クラス。

http://www.jinji.go.jp/kyuuyo/pdf/18koumukyuyo.pdf

国家公務員幹部に超過勤務が支払われていないのは事実だ。しかし、政府が提案しているホワイトカラー・エグゼンプションは、国家公務員の課長クラスを対象としているのではなく、国家公務員でいえば3級の係長とか棒級の高い2級のベテランの係員の残業までサービス残業を合法化してしまえという提案だ。

「ホワイトカラーエグゼンプション」(@はてな匿名ダイアリー12/23付)

行政職俸給表(一)の適用を受ける者で超過勤務手当の対象外なのは、課長級以上ではなく室長級以上です。引用文中の人事院資料によれば、7級が3,240人、8級が1,951人ですから、残業代が支払われない者の全職員に占める比率で言えば、約4%ということになります。

#この上に指定職(局次長級以上)がいますが、比率を考える場合には人数的に言えば無視してよいでしょう。

だから国家公務員の9級の課長以上が超過勤務手当てが無いことをもって、政府が提案しているホワイトカラーエグゼンプションを国家公務員が「すでにやっている」とはいえない。

もし国家公務員の9級の課長以上が超過勤務手当てが無いことを基準とするなら、ホワイトカラーエグゼンプションは年収2000万円以上の役職者だけに限定すべきということになり、それは現在政府が提案している内容とはまるで異なる。

国家公務員の課長をホワイトカラーエグゼンプション適用の基準とするならなおさら、政府提案のホワイトカラーエグゼンプションはひどすぎると考えるべきだろう。

「ホワイトカラーエグゼンプション」(@はてな匿名ダイアリー12/23付)

これまた人事院資料によれば、モデル給与で見て年収が2,000万円を超えるのは事務次官のみということになります。モデル給与には室長級の例示がありませんが、室長級になったばかりであれば、だいたい年収800〜900万円ぐらいでしょうから、部長や課長など「管理職の平均的な年収水準」、具体的には現時点では、年収800万前後の管理職、または管理職手前の正社員のみが対象となる見込みホワイトカラーエグゼンプション‐Wikipedia)という現在の案は、ほぼ国家公務員の実態と重なっていると考えられます。

違いがあるとすれば、「管理職手前の正社員」が対象になっていない点で、現実問題として、課長補佐級から室長級に昇進する際には、給与が下がる人が大半です。つまりは超過勤務手当>昇給+管理職手当、ということですが、肩書きに無関係に年収で超過勤務手当の支給の有無を決めるようになれば、全く同様のものになるといえるでしょう。

[economy]ワーキングプア問題への対処法

これまたはてなブックマーク経由ですが、NHKスペシャル「ワーキングプアII 努力すれば抜け出せますか」の感想が注目を集めているようです。コメントを見ても、賛同する向きが多いようですが、このページで示されている対処法というのは、なんだかなぁ、と。

解決の基準は、岩田が示した。

すなわち、貧困のラインをきめ、人生を犠牲にせずに生活できるように最低賃金や母子家庭への支援額などを定めることである(現状の額はそのようになっていない)。竹中平蔵が言っていたが、格差がいくら広がろうともそれ自体は問題ではない。生活できない、あるいは人生を犠牲にするほど働きづめの人間が生まれ貧困が再生産されてしまうほどの貧困が広がっていくことが問題なのだ。前回の感想のところでもあげた、ロールズの言葉を再度引用しておこう。「不平等は、社会の他の構成員の不利益を招かない限りにおいて、是認される」。逆にいえば、不利益を招けば=貧困を生めば是認されない。

そのための政策は、八代が示した。

すなわち、最低生活を保障し、所得の再分配機能を強めることである。

八代の言うように、それこそが健全な市場がワークする土台にもなる。

そして、その原資については、内橋が示した。

「大企業ばかりが利益を独占するしくみを変えない限り報われない」と内橋は述べた。所得再分配の原資を、市場空前の利益をあげる大企業に応分の拠出を求めるということになる。

「国際競争力が落ちるではないか」と反論があるだろう。内橋はこれについて、次のように言っている。「日本の労働力を安くするといって、外国人のチープワーカーを使う。これでは正当な国際競争力にはならない」。社会的な責任を果たさない国際競争力とは、真の国際競争力ではないというわけだ。じっさい、税負担だけの比較でみると日本の企業は先進国のなかでどっこいどっこいなのだが、社会保障負担分をくわえると、非常に低い負担しかしていないことがわかる。

NHKスペシャル「ワーキングプアII 努力すれば抜け出せますか」の感想(webmaster注:強調は、原文では赤字です)

所得再分配をある程度強化することに異議があるわけではありませんが、それでよろずめでたしとはいかないはずです。所得再分配の財源を確保しないことには再分配をしたくてもできないわけですし‐大企業に応分の拠出を求めるといって、じゃあ不況になったら支出を打ち切ってもいいのですか?‐、受け取る側のスティグマの問題もあるわけですから。

引用文中でいえば、真の国際競争力というのも勘弁願いたいコンセプトです。外国人のチープワーカーを使うことの何が問題かといえば、少なくとも製造業に関して言えば、本来海外で作ったほうが効率的な製品を、モノ作り幻想に囚われていつまでも国内で作ろうとしていることにあります。不動産も労働単価も高いのが日本という国の特徴なのですから、広大な土地の上での人海戦術が効果的な産業は、どんどん海外でやってもらうべきなのです‐偽悪的に言うなら、その成果を配当等で搾取すればいいのです。

逆に言えば、日本に残る産業とは、

比較優位であるもの
知的財産や海外への投融資を活用する産業、など
輸入できないもの
人手が必要なサービス産業、など

ということになります。前者は何もしなくても儲かっていくでしょうから、後者をどうするかというのが大きな問題でしょう。非製造業は製造業に比べ非効率だ、構造改革しなければというのでは、人手を大幅に減らすことを可能とする新技術の開発がない限り、結局は労働単価を引き下げることに他なりません。

先の所得再分配政策の限界をもあわせ考えるなら、何らかの公的支援をその手のサービス産業に対して行い、スティグマなしで賃金という形で成果を受け取ることができる雇用の場を創出すること、というのが一案でしょう。そもそも(直接)再分配を受けなければならない者を減らしてしまえ、ということなのですが、例としては、介護報酬の引上げ等を通じた介護従事者の拡大が挙げられます。

もうひとつの限界、すなわち財源の問題については、当サイトのいつもの主張ということになります。つまり、経済成長。

八代は「さらに改革をすすめれば解決する」「何より景気回復が第一」「最大の原因は長期経済停滞。もっと高い成長で雇用機会を増やす」などととんちんかんな発言。「いざなぎ景気」をこえるといわれる「実感なき好景気」が続いているのに、何を見ているのか。

すでに前にものべたように、大企業は大量の非正規雇用の活用(キヤノンや松下の偽装請負活用を見よ)と成果主義賃金による正社員締め上げで、これまで労働側に引き渡す富を吸血しながら成長している。そして、法人税などのくり返しの減税によって再分配機能がマヒしつつある。どんなに好景気が続いても国民全体に実感が乏しいのはそのせいである。これを続けていっても「解決」はしない。むしろ、ワーキングプアのような存在を前提として成長があるのだ。

「企業成長とともに労働の果実が大きくなる」という神話は右のグラフをみれば、すっかり説得力を失っているのがわかるだろう。

NHKスペシャル「ワーキングプアII 努力すれば抜け出せますか」の感想(webmaster注:強調は、原文では赤字です)

いざなぎ越えでも今の程度なのだから、といっても長さだけですから、経済成長の度合いで見ればいざなぎはおろかバブル景気や平成景気にも劣るとは当サイトでも指摘していますし、マスメディアでも(最近になってようやく)指摘されてきているところです。加えて雇用の観点からは質としてもあまりよくなく、あくまで輸出主導なのですが、既述のとおり輸出産業は日本ではコスト高になる労働集約産業ではなく、したがって家計への波及も小さいものにならざるを得ません。同じ経済成長であっても、内需主導ならばもう少し家計に波及したと考えられるのですが・・・。

非正規雇用などにしても、労働条件がどういうものになるのかは、企業の善悪ではなく売り手市場か買い手市場かで決まる話で(まさか、バブル期には企業経営者はみな聖人君子だったわけでもないでしょう)、最近になってようやく買い手市場から脱する兆しが見えてきた、という程度にとどまっていることが問題の本質であるわけです。企業経営者が先行きについて強気で、将来は人手不足になるおそれがあると思えば、先回りして正社員雇用で縛り付けておかないと、と勝手に改善していくだけのこと(逆にこれまでは、将来の人手が余るおそれに備え、すぐ馘にできるようにという流れで非正規化が進んできたわけです)。

#この辺りは、同じ作者さんによる前回のまとめページについての当サイトでの言及とほとんど同じになってしまうわけですが。

八代先生の発言は、その意味ではまったくもっておっしゃるとおりだとwebmasterは考えます。ただひとつ、「さらに改革をすすめれば解決する」という部分を除けば、ですが。所得再分配についても、以上のようにマクロが改善した後においてなお必要な部分について充実させるということであれば、そもそも所得再分配を必要とする対象が少ない上に、税収もたっぷり上がっていることでしょうから、財源について心配する必要はなくなっていることでしょう。

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bewaad [>うひょうさん kogeさんへのお応えでも書きましたが、機械化が可能な部分はどんどん価値が下落し、そうでない部分の価..]

Akame [bewaadさま。以下、あまりにも拙いツッコミなのかもしれないのを承知で書きます。 べつに、批判したいわけでなく、よ..]

bewaad [>Akameさん ちょっと重要な前提についての言及が欠けていたようです。失礼しました。 当サイトのスタンスとして、..]


2006-12-25

[notice]祝200万ユニークアクセス

カウンタのキャッシュが壊れてリセットされてしまってから調整していないので、画面上では表れていませんが、標記のとおり、昨日200万ユニークアクセスを達成いたしました。100万が2/18でしたから、この1年で2003〜05の3年間累計を上回るアクセスをいただいたということになります。どうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。

[law][book]大屋雄裕「法解釈の言語哲学」

読んだときにすぐwebmasterの頭に思い浮かんだことがあったのですが、哲学に全く不向きな頭を持つ素人の単なる戯言に過ぎないのではという気がして、エントリを立てるのをためらってきました。しかし、そうならそうとご指導いただければいいと割り切って‐大屋先生には当サイトを巡回対象に入れていただいているようですので‐、思い切って書いてしまいます。

本書が取り組む論点は、(唯一の)正しい法解釈はあるのか、というものです。著者の解答はそのようなものはなく、解釈を行うそれぞれが社会の共通理解を得るため議論を戦わせ、多くの支持を得たものが正しいものとして取り扱われる、ということになるのですが、webmasterは疑問に思ってしまうのです‐そんなの、当たり前じゃないですか、と。

逆に言えば、冒頭書いた「素人の単なる戯言」とは、正しい法解釈なるものがあり得ると、かくも多くの法哲学者が考え、議論してきたのがなぜだか理解不能だ、ということになります。身も蓋もないことを言ってしまえば、仮に正しい法解釈があるとしても、有限の時間と能力では事実上それを探し出すことはできず、観念的な存否の可能性を検討するまでもなく、実務上はそんなものはないと取り扱って差し支えないのです。哲学とは、そうした現実の制約から議論を解放して観念論を磨くものとはいえ・・・。

著者はそうした素人の知識不足にも配慮してのことか、次のような解説はあります。

フリーライダーが発生する可能性を承知しながらも井上やデリダが普遍としての正義を要請したのは、それがなければ普遍性への志向が基礎付けられ得ないと考えたからであった。

p200

歴史上の多くの事例が、自らの価値観が普遍性の体現であると(あるいは、それにもっとも近いものであると)認識した者たちこそが、悲劇を引き起してきたこと‐わかりやすい例で言えば、十字軍や共産主義‐を示していて、むしろ普遍性への志向を捨て去るところに、民主政の妙味があるのではないでしょうか。むしろ、普遍性への志向は積極的に捨て去られるべきだとwebmasterは思うのです。

そんな低レベルな疑問はとっくに解消済みだ、と井上先生らには叱られてしまうのかもしれません。普遍性への志向を維持しつつも、そうした悲劇を回避する方策は理念的にはあり得て、井上先生ご自身であれば、そうした実践が可能なのでしょう。しかし、多くの者にはそのようなことは望むべくもないというのが、歴史の知恵というものではないでしょうか。

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bewaad [>kogeさん 不向きなのでそれが何かはまったくわからないのですが、備えるべき条件としては、より大衆の意向に左右され..]

bewaad [>bn2islanderさん 宗教的バックグラウンドの有無がひとつと、西洋法体系の受容の際に「パラダイムシフト」が起..]

bewaad [>一国民さん インサイダー情報より公開情報にこそ真実が得てして含まれているというクルーグマン的スタンスに立っておりま..]


2006-12-26

[economy]視点・論点「まん延するニセ経済学」

本編

みなさんは、「ニセ経済学」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。

これは、見かけは経済学のようだけれども、実は、経済学的とはとても言えないもののことで、「疑似経済学」や「似非経済学」などとも呼ばれます。

『そんなものがどこにあるんだ』とお思いの方も、例として、国際競争力や、キャピタルフライトや、フェアトレードなどの名前を挙げれば、『ああ、そういうもののことか』と納得されるかもしれません。それとも、かえって、『え?』と驚かれるでしょうか。

例えば、皆さんもよくご存知のように、『このままではキャピタルフライトが起こる』と盛んに言われ、ひところは大手出版社もこぞって関連書籍を売り出すほどのブームになりました。キャピタルフライト本がよく売れたのは、もちろん、キャピタルフライトに経済学的な裏づけがあると信じた人が多かったからでしょう。テレビや雑誌などでも頻繁に取り上げられましたから、それを疑えという方が無理な話かもしれません。

しかし、実は、キャピタルフライトが起こるおそれがあるという経済学的な根拠は、ほぼない、といってよいのです。あのブームは、まったくの空騒ぎでした。大手出版社までが、なぜ、その空騒ぎに乗ってしまったのか。きちんと検証しておく必要があります。

いまは、フェアトレード、すなわち発展途上国を搾取する商品は買わないようにしようという論説に、人気が出てきているようです。しかし、実のところ、搾取と言っても現地では収益源ですから買わなければかえって困らせてしまい、せいぜい一部の人々をほんの少し豊かにする程度の効果しか期待できません。

いま、このような、経済学のようで経済学ではない、「ニセ経済学」が蔓延しています。

こういった「ニセ経済学」のなかに、しつけや道徳に関わるものがあります。その話をしたいと思います。

よく知られている例の一つは、『国の借金は企業(や家計)に擬えると、破綻状態にある』といういわゆる「財政破綻」説です。しかし、この説に、経済学的に信頼しうる根拠はないのです。その意味で、これもまた「ニセ経済学」です。

もちろん、どんな借金でも無限にできるわけではありませんから、どこかに限界はあるでしょう。しかし、それだけなら、お小遣い帳や大福帳などでも同じです。返済可能かどうかとは、まったく別の話なのです。

ところが、この説は、市場関係者に広く受け入れられています。全国各地で、投資ファンドやシンクタンクの講演会が開かれているようです。

もちろん、無駄な財政支出を問題だと思う人は多いでしょうし、エコノミストもそういう風潮を何とかしたいと思っているのでしょう。

そういうみなさんにとって、「財政破綻」説が一見、福音に思えたことは分かりますが、経済学的根拠のないものに飛びついても、仕方がありません。

そもそも、無駄な財政支出を何とかしたいというのは、全体の額の問題ではなく、個別の事業の問題だったはずです。まして、夫がお小遣いを無駄遣いして困ると考えるなら、やめるようにきちんと説得するべきでしょう。国の財政を引き合いに出そうとしてはいけません。

もう一つ、今度は、貿易にまつわる奇妙な説を紹介しましょう。

労働者を安い賃金で働かせると、貿易黒字で豊かになり、高い賃金を支払うと、貿易赤字で貧乏になってしまうというのです。

賃金というのは労働者の所得のことですから、これは、所得が下がれば豊かになるという主張です。しかし、もちろん、そんな馬鹿なことはありません。

貿易収支は、ただのおカネの帳尻です。儲かっているかどうかも、生活水準がどうかも表されていなければ、売買されるものが何かも表されていません。『おカネを受け取ってさえいれば儲かっている』など、いい大人が信じるような話ではなかったはずです。ところが、これが広く信じられています。『中国人と同じ賃金でないと国際競争に勝てない』といわれると、それだけで、『それはそうだ』だと思い込んでしまう人は、意外に多いらしいのです。

この説が、いくつもの企業で、賃金抑制の材料として使われていることが問題になっています。滅私奉公を教えるのに、格好の教材と思われたようです。

しかし、本当にそうでしょうか。

この授業は、たくさんの問題をはらんでいます。

まず第一に、明らかに経済学的に誤っています。経済学的思考離れが言われる今、道徳だからといって、ここまで非経済学的な話を、事実であるかのように教えていいはずがありません。

しかし、それ以上に問題なのは、賃金決定の根拠を、付加価値を無視して国際比較に求めようとしていることです。

賃金は、価値を生み出す労働の対価ですから、その決定は、あくまでも、価値に見合った水準を考えなくてはならないはずです。労働者であればどんな労働をしても同じ賃金を払うべきなのか。それを考えてみれば、この話のおかしさは分かるはずです。

「財政破綻」がしつけの根拠を経済学に求めるものだったのと同様、ここでは、道徳の根拠を社会科学に求めようとしています。それは科学に対して多くを求め過ぎです。

しつけも道徳も、人間が自分の頭で考えなくてはならないことであって、社会科学に教わるものではないはずです。

さて、「ニセ経済学」が受け入れられるのは、経済学に見えるからです。つまり、ニセ経済学を信じる人たちは、経済学が嫌いなのでも、経済学に不審を抱いているのでもない、むしろ、経済学を信頼しているからこそ、信じるわけです。

たとえば、キャピタルフライトがブームになったのは、『円安は経済に悪く、円高は経済に良い』という説明を多くの人が「経済学的知識」として受け入れたからです。

しかし、仮に、経済学者に、『円高は経済にいいのですか』とたずねてみても、そのような単純な二分法では答えてくれないはずです。

『円高といってもいろいろな原因で起こるので、中には経済にいいものも悪いものもあるでしょうし、経済にいいといっても分野によってはなにか悪いことも起きるでしょうし、ぶつぶつ……』と、まあ、歯切れの悪い答えしか返ってこないでしょう。

それが経済学的な誠実さだからしょうがないのです。

ところが「ニセ経済学」は断言してくれます。

『円高は良いといったら良いし、円安は悪いといったら悪いのです。

また、借金が膨らむとなぜ良くないのかといえば、破綻するからです。

賃金を中国人並みに引き下げれば、貿易黒字が増えるから、良い傾向なのです。』

このように、「ニセ経済学」は実に小気味よく、物事に白黒を付けてくれます。この思い切りの良さは、本当の経済学には決して期待できないものです。

しかし、パブリックイメージとしての経済学は、むしろ、こちらなのかもしれません。『経済学とは、様々な問題に対して、曖昧さなく白黒はっきりつけるもの』経済学にはそういうイメージが浸透しているのではないでしょうか。

そうだとすると、「ニセ経済学」は経済学よりも経済学らしく見えているのかもしれません。

たしかに、なんでもかんでも単純な二分法で割り切れるなら簡単でしょう。しかし、残念ながら、世界はそれほど単純にはできていません。その単純ではない部分をきちんと考えていくことこそが、重要だったはずです。そして、それを考えるのが、本来の「合理的思考」であり「経済学的思考」なのです。二分法は、思考停止に他なりません。

「ニセ経済学」に限らず、良いのか悪いのかといった二分法的思考で、結論だけを求める風潮が、社会に蔓延しつつあるように思います。そうではなく、私たちは、『合理的な思考のプロセス』、それを大事にするべきなのです。

bewaad institute@kasumigaseki管理人 bewaad

備考

  • 元ネタは、既に多くの人がご存知でしょうけれど、NHKで放映された菊池誠大阪大学教授による「視点・論点『まん延するニセ科学』」です(12/27訂正)
  • いろいろなパラフレーズが流行っているようですので、経済学バージョンを作ってみました。本職の経済学者等から見れば、お前の書いていることもニセ経済学だ! という部分もあろうかと存じますので、加除訂正すべき点などご教示いただければ幸いです。
  • リフレ政策はデフレが悪でインフレが善だとの二分法ではないか、とのご批判もあろうかと存じます。しかしながら、元ネタである自然科学においても、例えば永久機関は不可能だとか、そういう「曖昧さなく白黒はっきりつ」く問題があるわけですから、二分法が全くあり得ないわけではないということだと理解しています。
  • 適任でないのでどなたかにお任せしたいと思いますが、パラフレーズとしては昨今の教育論議が一番作り易そうな気が。塾禁止とか、徴農とか・・・。
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2006-12-27

[government][politics][science]三題噺‐ニセ科学・陰謀論・情報爆発

民衆が馬鹿であれば単純にガバナビリティ(被統治能力)は低いし、
程度の悪い嫌韓厨みたいなのは大発生するし、
自分で考えないからワケの解らん運動家の扇動に乗りまくりだしで、
為政者からすれば都合の悪い事ばかりじゃねぇのかと思うのだけど。
(嫌韓厨は自分の都合の悪いところから目をそらせられると思う人も居るだろうけど、
程度を過ぎると苦労するのは反日デモの対応に追われた中国が既に証明済み。)

「権力者は民衆が馬鹿の方がいい」っつー思い込みは
ステレオタイプの「(マンガ的な)悪の権力者」のイメージを前提にするから
これを下手に表に出すと逆に物凄く頭が悪く見える。注意。

「権力者は民衆が馬鹿の方がいい」(@Scott's scribble12/26付)

権力の側に位置する身として申し上げるならば、当サイトで取り上げたネタとしては去年で言えば人権擁護法案、今年で言えばグレーゾーン金利問題あたりが格好の例といえるでしょう。もう少し視野を広げるならば今のデフレなんかもまさしくこのパターンで、バブル潰しへの狂奔でこんなことになってしまっているわけで、世の中すべて理屈で片がつく世界というのは、webmaster個人としては自らの理屈の弱さをあげつらわれる可能性が高くなり困ったことではありますが(笑)、一般的には歓迎すべきものであるはずです。

しかしながら、このような見方‐「権力者は民衆がバカの方がいいと思っている」と信じられていること‐は、webmasterが予想し得る限りの遠い将来においても、解消されることはないでしょう。というのも、多くの人の主観において、権力者が隠し事をしていた、と信じられる話は尽きないと考えられるからです。webmasterの巡回先のひとつで、ちょうどこれに当てはまるものが最近見られました。

美爾依(みにー)さんは今日もハイテンション。ぶっ飛び具合は斜め上方向です。絶望しないように肩の力を緩めて行って見ましょう、では本題に入ります。

(略)

井上さんは公表していると言っているが、これは米国の国防省が公表しているわけで、日本の防衛庁が公表しているわけではなく、日本国民に対して公表されている資料とは言えない。

いえ、日本の防衛庁も日本語で公表しています。それをマスコミも報道しています。例えば以下の反戦平和運動団体は其処から情報を得てサイトに上げています。

イージス艦こんごう改造後08年に迎撃ミサイル発射試験

防衛庁は海上配備型「ミサイル防衛」について04年度予算から4年計画で4隻のイージス艦の改修とSM3を購入することにしています。費用はおよそ1300億円。SM−3は「1艦8発体制」(衆議院安全保障委員会04年10月22日、衆議院予算委員会第一分科会05年02月28日)と言われていましたが、1発を迎撃実験に回し、9発ずつ購入することが明らかになったのは初めてです。SM−3は1発20億円近くすると言われています。また06年度予算で「みょうこう」の改修、07年度予算で「きりしま」の改修が行われることも明らかとなりました。

SM-3は1発20億円弱だそうです。私の知っている情報だとSM-2のFMS調達価格が1発2億円弱ですから、SM-3はSM-2の10倍近い値段です。・・・このように、一般の国民でも努力次第でこのくらいの情報は知り得る事が出来ます。別に英文資料に頼る必要もありません。なおこの反戦平和団体は長崎港監視で有名な「長崎平和委員会」です。

「ミサイルの値段で間違った解釈をした人」(@週刊オブイェクト12/14付)

MDの整備に関する議論ですが、公表済みの資料であっても公表していることがわからないことは得てして起こるものです。意図を勘繰りすぎだとかもうちょっと探す努力をして欲しいといったことはいえるものの、このような反応になることは自然でもあります‐木の葉を隠すなら木の葉の中、とも言われるわけですから。

もちろん木の葉を隠すために木の葉の中に混ぜ込んでいるわけではなく、物理的、あるいは技術的制約のゆえというのが実態です。国の予算で言うなら、一般会計約80兆円のすべてを国会に提出される予算案は網羅しているわけですが、それゆえにピンポイントで欲しい情報を探すには相当程度の慣れが必要で、しかも記述は簡潔なものになっていますからそれを読んだだけではわかりづらいのは否定できない事実です。

したがって、各省庁は予算そのものとは別に、いろいろな説明資料を作成しているわけですが、80兆円すべてについて詳しい説明資料を作れば検索の困難性は増すばかりですし、役所の人手と時間にも限りがありますから、ごく一部についてのみしか作成されない、ということにならざるを得ません。ごく一部とはどのようなものかといえば、目玉の施策としてアピールしたいものや、世間で問題になっている等でよく聞かれることが明らかなものですから、それ以外の多くの部分については、個別に質問があればお答えいたします、という対応になります。

しかし、そうした対応は、外形的に見れば、木の葉を木の葉の中に隠していることと区別はつきません。先に書いたような物理的・技術的制約がなく、意図的にそうしたのだという理解の枠組があれば、隠していると考える人にとってはそれが真実になるのです。逆に言えば、能力における過大評価があるから、意図的にそうしているのだ、という理解に結びつきやすいのでしょう。

実際、ニセ科学についての菊池先生の「視点・論点」では、次のようなご発言がありました。

さて、「ニセ科学」が受け入れられるのは、科学に見えるからです。つまり、ニセ科学を信じる人たちは、科学が嫌いなのでも、科学に不審を抱いているのでもない、むしろ、科学を信頼しているからこそ、信じるわけです。

たとえば、マイナスイオンがブームになったのは、『プラスは身体に悪く、マイナスは身体に良い』という説明を多くの人が「科学的知識」として受け入れたからです。

しかし、仮に、科学者に、『マイナスのイオンは身体にいいのですか』とたずねてみても、そのような単純な二分法では答えてくれないはずです。

(略)

それが科学的な誠実さだからしょうがないのです。

「視点・論点「まん延するニセ科学」」(@うしとみしよぞ12/21付)

これについても、同じことが当てはまるのでは、とwebmasterは思います。単純な二分法では答えないことを、科学的誠実さではなく、何か隠し事をしているのではないか、というように理解しているのではないでしょうか‐水からの伝言ではあまりそうした面はないかもしれませんが、月着陸否定説には顕著に現れています。

抽象化するなら、カエサルの「人は見たいものしか見ないという」という台詞がありますが、その延長として、見たいものを見せてくれる者を信頼する、ということがあるのでしょう。それと表裏一体となるのが、見たいものを見せてくれなかったり、見たくないものを見せてくれたりする者には不信感‐つまり、隠し事をしている‐を抱くということではないかと。究極的には、オンディマンドで見たい理由をセットに供給してくれる者こそが、もっとも信頼を勝ち得るのだとwebmasterは思いますし、ニセ科学や陰謀論は、そうした形で世に普及しているように見えます。

#おそらくは、そうでないニセ科学や陰謀論は普及することなく淘汰される、ということなのでしょうけれど。

この見立てが現実をある程度言い当てているのであれば、極めて悲観的な見通しが成立してしまうように、webmasterには思えてなりません。すなわち、学問その他の掘り下げが進み、あわせて技術の進歩が加速し、世に流通する情報が爆発的に増加している現状、ニセ科学や同種の考えはこれまで以上に世にはびこるのではないか、と。より「隠されている」感が強まらざるを得ない中、「ご存知ですか? 知っている人は少ないのですが、真実は・・・」というささやきの魅力は、高まりこそすれ低まるとは考えられないのですから。

[economy]「真の失業率」推計最新版(2006-11現在)

年月   完全  真の  高齢化等 15歳以上 就業者数 完全   真の   高齢化等
     失業率 失業率 補正後  人口        失業者数 失業者数 補正後

1990   2.1%  3.2%       10,089   6,249   134   204

1991   2.1%  2.4%       10,199   6,369   136   155
1992   2.2%  2.2%       10,283   6,436   142   142
1993   2.5%  2.8%       10,370   6,450   166   183
1994   2.9%  3.4%       10,444   6,453   192   228
1995   3.2%  4.0%       10,510   6,457   210   266

1996   3.4%  4.1%       10,571   6,486   225   276
1997   3.4%  3.8%       10,661   6,557   230   262
1998   4.1%  5.1%       10,728   6,514   279   348
1999   4.7%  6.3%       10,783   6,462   317   435
2000   4.7%  7.0%       10,836   6,446   320   485

2001   5.0%  7.9%       10,886   6,412   340   551
2002   5.4%  9.4%       10,927   6,330   359   660
2003   5.3%  10.0%       10,962   6,316   350   700
2004   4.7%  10.0%       10,990   6,329   313   705
2005   4.4%  9.8%       11,007   6,356   294   688

2005/Q3  4.3%  8.9%       11,008   6,417   286   628
2005/Q4  4.3%  9.8%       11,015   6,356   287   694
2006/Q1  4.4%  10.9%       11,014   6,283   286   766
2006/Q2  4.2%  9.0%       11,014   6,418   280   631
2006/Q3  4.1%  8.9%       11,021   6,426   273   627

年月   完全  真の  高齢化等 15歳以上 就業者数 完全   真の   高齢化等
     失業率 失業率 補正後  人口        失業者数 失業者数 補正後

2005/12  4.0%  10.4%       11,012   6,315   265   733
2006/1  4.5%  11.1%       11,013   6,269   292   779
2006/2  4.2%  11.0%       11,006   6,272   277   772
2006/3  4.4%  10.6%       11,021   6,308   289   745
2006/4  4.3%  9.6%       11,002   6,368   284   673
2006/5  4.1%  8.5%       11,015   6,448   277   602
2006/6  4.1%  8.8%  6.5%   11,025   6,438   278   618   449
2006/7  4.0%  9.0%  6.6%   11,020   6,421   288   632   454
2006/8  4.1%  8.9%  6.4%   11,019   6,427   272   625   443
2006/9  4.2%  8.8%  6.5%   11,024   6,431   280   624   446
2006/10  4.2%  8.8%  6.3%   11,030   6,437   281   622   434
2006/11  3.9%  9.2%  6.4%   11,034   6,410   292   652   439

2005/11  4.4%  10.0%       11,016   6,344   292   706
2004/11  4.4%  10.2%       11,003   6,322   290   720
2003/11  5.0%  10.0%       10,982   6,323   330   705
2002/11  5.1%  9.4%       10,943   6,346   338   658
2001/11  5.2%  8.0%       10,919   6,430   350   558
2000/11  4.5%  6.5%       10,863   6,502   309   450

    C/(B+C) D/(B+D)       A     B     C  D=Ax0.64-B

(直近月次ボトム)
     5.8%  11.6%        --    6,193   385   818
    (03/3,4)(04/2,05/2)           (03/2)  (03/4)  (05/2)

(注)
・単位は、%を付したものを除き、万人。
・ソースは総務省統計局の「労働力調査」(http://www.stat.go.jp/data/roudou/2.htm)。
・月次データは原数値を用いている(季節未調整)。
・「真の」値は労働力人口比率が0.64(直近ピーク(1992年))であると仮定した場合の値。
・「高齢化等補正」についてはhttp://bewaad.com/20060729.html#p02を参照のこと。

#過去の計数は以下のとおりです。

2005
03040506070809101112
2006
01020304050607080910
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bewaad [>kogeさん あれは自らの知識等の反映であって、意図的に有効と思えないものをぶち上げているわけではないと思うのです..]

bewaad [>ああ自民党さん もちろん全部の概要はあるわけですが、そしてそれについても(情報公開法の請求を含め)聞かれれば答える..]

bewaad [>通行人さん ネットでの言論は、個々のサイトをみればそのような役目を果たし得るのだろうとは思うのですが、それを編集な..]


2006-12-28

[misc]2006年を振り返る(1)‐私的ランキング・女性タレントトップ10

昨年同様、客観性はないものとお考え下さい。まずは今年限定の主観的印象から。

第10位 戸田恵梨香
「ギャルサー」で演技の幅を広げた上に、電子政府のポスターに採用されてやたらと霞が関で見かけるものですから。
第9位 福田麻由子
「白夜行」での活躍が実質第1話だけだったのが残念です。「14才の母」の主役が彼女だったらなぁ(志田未来がダメだったというわけではありませんが)。
第8位 甲斐まり恵
多分このランキングで、一番ミーハーな気分(笑)で選んでしまった人でしょう。
第7位 麗奈
今年大幅にメンバーが入れ替わった早耳ムスメから、引退メンバーを代表して。
第6位 仲間リサ
(同上)新メンバーを代表して。
第5位 安めぐみ
昔はなんとも思っていなかったのに、最近になってふといいかな、と思ってしまうことがあるというのは、webmasterも年だということなんでしょうか・・・。
第4位 及川奈央
メディアで久しぶりに名前が出てきたと思ったら、陣内智則・藤原紀香の結婚がらみで「私のことを体だけの関係だと思っていてもいい」とは・・・早く別の幸せが見つかるといいですねぇ。
第3位 本仮屋ユイカ
話題の若手女優といえば、戸田恵梨香、長澤まさみ、香椎由宇、沢尻エリカ、堀北真希、上野樹里、綾瀬はるかといったところがメジャーなのでしょうけれど、来年の映画版吉祥天女(原作が大好きなのです)が今から楽しみです(主役じゃありませんが)。
第2位 BONNIE PINK
実はwebmasterは男顔が好きなのですが、はじめて映像を見たときにその男顔っぷりにやられました(笑)。そんな機会を与えてくれたANESSAのCM作成スタッフ&蛯原友里には感謝を。
第1位 相沢紗世
正月に資生堂が新聞の全面広告を出し、そこで資生堂が使っている女性タレントの全員が載っていたのですが、同じようなメイク・服装で並んでいる中で明らかに美しさで群を抜いていました。日経ぎらいゆえに、昔のポスターで見るたびに「スノッブな感じだなぁ」と毒づいていたものですが、もったいないことをしてしまったと後悔してます(笑)。

続いて、これら(及び書くに至らなかったもの)を勘案して、現時点での総合ランキングを。

第10位 小倉優子(-3)
そろそろ路線転換を模索した方がよいのでは・その1。よゐこ濱口とのスキャンダルはいいきっかけになり得たのでしょうけれど、対応を誤ったのでは?
第9位 観月ありさ(-1)
そろそろ路線転換を模索した方がよいのでは・その2。コメディエンヌとしての評価も、外見とのギャップというゲタを履いてのことですから・・・。
第8位 相沢紗世(new)
上述のとおりです。
第7位 篠原涼子(-2)
安定した演技力を発揮してます。
第6位 春香(+4)
気にしだすと、松坂屋や大丸のポスター等、いろんなところでお見かけします。
第5位 黒谷友香(+1)
「TANNKA 短歌」、見たかったなぁ・・・。
第4位 新垣結衣(n.c.)
今年はブレイクしましたねぇ。
第3位 香里奈(-2)
主役級の役が増えましたが、そうなると演技力のなさがつらいような・・・。
第2位 山田優(n.c.)
出演CM数が減少傾向で、ついにテスティモも交代してしまいましたが、一般的にはもう下り坂?
第1位 上原美佐(+2)
「アテンション・プリーズ」に「のだめカンタービレ」と、脇役での抜擢が目立ちましたが、来年こそは主役級に躍り出ていただきたいものです。

[economy]経済成長こそ財政再建の柱だって言ったじゃない

昨日の経済財政諮問会議で示された「財政健全化の中期的目標及び平成19年度予算案との関係について」というプライマリーバランス赤字解消に向けた新たな試算を受け、いちいち引用するのも面倒なのでざっくりまとめてしまいますが、新聞各紙でこのままでは歳出削減努力が鈍るとか、消費税増税ができなくなるといった悲鳴(笑)が上がっています。試算の内容は、具体的には、

  • 7月の「骨太の方針」ではプライマリーバランス赤字が16.5兆円とされていた(解消に向けた財源見込みとしては、歳出削減が11.4〜14.3兆円、歳入増が2.2〜5.1兆円)。
  • 19年度予算案では、その際の想定よりも3.5兆円税収が増えた。
  • さらに、同予算案では、3.5兆円の歳出削減がなされた。
  • その結果、プライマリーバランス赤字は9.5兆円となり、「骨太の方針」での歳出削減見込みから3.5兆円を差し引いた7.9〜10.8兆円の歳出削減のみでカバーされる可能性がでてきた。

というものです。しかし、その前提を見れば、歳入面については、平成18年度の国・地方の税収(国民経済計算ベース)をもとに、名目成長率3%、税収弾性値1.1の前提の下、平成23年度における国・地方の税収等を機械的に計算ということですから、もっと名目成長率が高くなれば‐例えば、実質成長率2%台半ば+インフレ率2%台半ばで5%‐、より達成は容易なものとなります。

ちなみに同日示された「日本経済の進路と戦略(仮称)」では、

「進路と戦略」に盛り込まれた政策が実行される場合には、潜在成長率が徐々に高まることなどから、今後5年間のうちに2%程度あるいはそれをかなり上回る実質成長率が視野に入ることが期待される。また、名目成長率については、5年間のうちに3%台半ば程度あるいはそれ以上も視野に入ることが期待される。

(略)

物価については、「進路と戦略」で示された適切なマクロ経済運営の下で、デフレ脱却後、安定的なプラスの物価上昇率が徐々に実現していくと見込まれ、消費者物価指数の上昇率は5年間のうちに2%程度に近づいていくものと見込まれる。また、GDPデフレーター上昇率は、消費者物価指数の上昇率をやや下回る程度で推移すると見込まれる。他方、リスクが顕在化するケースでは、物価上昇率はこれらを若干下回ると見られる。

日本経済の進路と戦略(仮称)

とされているのですが、この見通しであっても、先の試算に比べればもっとプライマリーバランス黒字達成は容易なものとなるわけです‐名目成長率は「3%台半ば程度あるいはそれ以上も視野に入る」のですから。本来であれば、同日に同じ内閣府が提出した資料なのですから、両者は整合性をとるべきなのでしょうけれど、そうなってしまってはこれまで財政危機を喧伝してきたことが嘘だとばれてしまうからこそ、両者で数字を使い分けているんでしょうねぇ(笑)。

ちょっと前までの環境において、リフレ政策を主張する者から、まともに経済成長すれば財政状況は大幅に好転すると言われても信じることができず、増税and/or歳出削減が必須であると信じていたというのは、webmasterにとっても理解は可能です。しかしながら、このように実際に数字が残るようになってなお、そうした主張を続けるというのは、財政状況ゆえにそう考えていたわけではなく、財政状況はあくまで口実であってそれらが自己目的化しているようでもあり、その理由がよくわかりません‐政治家や役所に対しては、あれだけ過ちは素直に認めるべきとおっしゃるのですから、まさか昔の過ちをそうと認めたくない、というわけでもありますまい(笑)。

・・・あっ、そういえば、次のニュースを予測していたのかもしれませんねぇ。今のような名目成長率は、あくまでうたかたに過ぎない、と。

日銀が来年1月17、18両日に開く政策委員会・金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標を年0.25%から0.50%に引き上げる案が27日、議題に上る見通しとなった。正副総裁と審議委員の9人で構成する政策委の過半数が賛成に回れば、今年7月のゼロ金利解除以来、半年ぶりの利上げとなり、金融政策は正常化に向けて一段と前進する。

ZAKZAK「日銀が来年1月に追加利上げ検討」

本日のツッコミ(全17件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>庶民さん 一般論として、無駄を排除すべきなのはおっしゃるとおりで、そこには異論はありません。しかしながら、個別論へ..]

bewaad [>同業者さん 私はもう少し楽観的で、確かに今はテクニカル要因もあるのでしょうけれど、本格的に経済成長が達成されればこ..]

操迥 [リ頏跟 髀繩鴃 痼迥鈞驫蔘 齣謫 粳韆粫繿褂謌 蓁粫礦糂琺逶 關繖關蓁蓐瑩繼繪 轢驟諷辷 ]


2006-12-29

[misc][sports]2006年を振り返る(2)‐年間10大ニュース「芸能・スポーツ等部門」

#同シリーズの他エントリは「『2006年を振り返る』シリーズ・ラインナップ」をご覧下さい。

第10位 PRIDE地上波中継中止
U字管のありがたさがしみじm(ry
第9位 松坂レッドソックス入り
日本人初のサイヤング賞をぜひとも獲得していただきたいものです。
第8位 ミハイル・シューマッハ引退
絶対的な強さでいえばアイルトン・セナ、ここぞというときの速さでいえばナイジェル・マンセルといった過去のチャンプの方が優れていたでしょうけれど、長きに渡ってトップクラスの総合力を維持したという点で、過去のチャンプの誰にも勝っていたのだと思います。お疲れ様でした。
第7位 亀田騒動
12/20の防衛戦は普通のチャンプとして及第点を与えられる内容だったと思いますが、となると普通でない演出とのバランスの悪さが際立つわけで、今後の展開が難しいところです。八百長が疑われるような普通でない内容はもはや禁じ手なわけですし。
第6位 冥王星を惑星から除外
科学ネタとしては、今年一番話題になったのではないでしょうか。
第5位 ドイツワールドカップ・日本代表1次リーグ敗退
順当でしょう。過大に期待を持ちすぎただけです。大会そのものは、やっぱりジダンの大会だったのでは。いくらMVP(&バロンドール)がカンナヴァーロであったとしても。
第4位 トリノオリンピック・日本選手団金メダル1
こちらはちょっと運が悪かったかも。といっても、片手で余るぐらいが順当でしょうけれど。オリンピックそのものについては、男子フィギュアスケイトのプルシェンコの金メダルがもっとも印象的でした。あれほど銀メダリスト差がついているのは、素人目ではありますが、他の金メダリストと比べても格が違ったような。
第3位 WBC開催・日本優勝
次回はメジャーリーガーの出場辞退がもっと減ることを祈っています。
第2位 秋篠宮家に悠仁親王殿下ご生誕(12/30訂正)
不謹慎なことを申し上げるなら、逝去の可能性を見て見ぬふりする世の中の風潮が、天皇制の危うさを端無くも表しているのでしょう。
第1位 福岡ソフトバンクホークス、3年連続プレイオフ敗退
セカンドステイジ第2戦、わずか1点を失いサヨナラ負けを喫した後、マウンドにくずおれ、ズレータとカブレラに両脇を抱えられて退いた斉藤和巳の姿は、今年のスポーツシーンの中で最も印象に残るものでした。判官びいきではないと自認するwebmasterではありますが、彼のあの姿には不覚ながら感動を覚えてしまいました。こういう言い方は好きではないのですが、男(むしろ漢?)としてかくありたい思わざるを得ません。

[government]夕張市職員給与を物差しに国家公務員給与を考える

【夕張】市財政再建のため職員数や給与の大幅削減を打ち出した夕張市で、来年度からの手取り給与額が、生活保護を受給した場合の金額を下回るケースもあることが分かった。市職員の間には「財政再建とはいえ、『最低限度の生活』は保障されるはずではなかったのか」との憤りや嘆きが広がっている。

北海道「手取り、生活保護以下? 夕張市職員 来年度からの給与削減で」

夕張市といえば、次のようなことを財務省が言っているようです。

2007年度予算の地方交付税を巡る攻防は18日、財務省が目指した地方交付税(交付金)の一部を特例的に減らす「特例減算」を見送り、国の税収の一定割合を自動的に地方に配分する原則通りとすることで決着した。地方への交付税の配分を抑えて国の財政再建につなげる財務省の狙いは空振りに終わり、国の財政再建に課題を残した。

(略)

財務省が特例減算の導入を狙ったのは「国の長期債務残高は一般財源の18倍にも達する。(07年度に財政再建団体に移行する)北海道夕張市の9・6倍よりも財政難だ」(主計局)との危機感があるためだ。

読売「財務省 交付税切り崩せず 特例減算 見送り」

ということは、国家公務員の給与は生活保護の約10%でいいという主張がなされてもおかしくないでしょう。最初に言うのは誰かな?

[economy][media]経済学の正しさの実証

12月は、マクロ経済の観点からするとなかなか興味深い月であった。

まず1日の国内総生産(GDP)統計速報値発表である。(略)統計上は実質GDPの成長率がかなり高いにもかかわらず、物価は依然としてデフレを脱却していなかった。景気が良いのになぜ物価は上がらないのだろうか。

確報値で2005年の実質GDP成長率は3.3%から2.4%へと大幅に下方修正された。この数字は日本経済にとっては悪いニュースではあるものの、これでつじつまが合ったことは確かである。要するに、まだ需給ギャップが残っているのである。経済学は正しい。

次に19日の日銀金融政策決定会合。(略)GDP確報値の下方修正によって、需給ギャップ解消による近い将来のインフレ懸念、という日銀の基本前提は再考を余儀なくされた。日銀がデフレを目指すのではない限り、現状では利上げを行う理由は全くない。利上げ懸念が後退し、20日に日経平均株価は1万7000円をつけた。やはり経済学は正しい。

そして24日の2007年度予算案提出。GDP確報によって名目成長率も1%に下方修正されることとなった。それにもかかわらず、主として景気回復によって税収は7兆円も増加した。(略)財政再建の切り札は景気回復である。ここでも経済学は正しい。

(略)

「踊り場」の先が下り坂にならない保証はない。その行方は、一つには政策の動向にかかっている。金融政策を引き締めれば、景気は悪化する。この点では、経済学は正しい、とならないことを祈るばかりである。(カトー)

日経「大機小機 経済学が正しかった12月」

bank.of.japanさん注目のカトーさん(7/1110/25のエントリを参照)による最新のテキストですが、相変わらず慇懃無礼の粋を集めたような素敵な嫌味の連続です(笑)。日経内部で多数派に・・・はならないでしょうねぇ。

本日のツッコミ(全33件) [ツッコミを入れる]

Before...

bewaad [>ゆーきさん 情報提供ありがとうございました。 >いわゆる「批判」は窓口職員をみていわれるのですが、国関係の届けは..]

Boupfaxox [Wyr ZQC gfywym hamox xz jeg vkzhg oy hgg dgwyimvt oypy12 w..]

UGG キッズ [http://bbs.sin-capital.com/viewtopic.php?f=82&t=163812&sid..]


2006-12-30

[politics][economy]2006年を振り返る(3)‐年間10大ニュース「政治・経済部門」

#本シリーズの他エントリは「『2006年を振り返る』シリーズ・ラインナップ」をご覧下さい。

第10位 ベネディクト16世聖下戴冠
大変です、フォースの暗黒面がカトリックを支配しています(笑)!
第9位 PSE法施行時の混乱
霞が関でも1年間いろいろな事件・不祥事がありましたが、webmasterがもっともお粗末だと思ったのが本件です。そもそもの発端も、収め方も。
第8位 教育関連の問題頻発
いじめ、世界史等未修、教育再生会議、教育基本法改正等々・・・。しかし、あくまでwebmasterの主観的観測ですが、例示した前の2つはひろく一般の関心を集めたものの、後の2つは多くの人々にとっては興味の対象外だったような気はします。
第7位 夕張市財政再建団体転落
後世からは、「見一葉落而知歳之将厦暮(一葉落ちて天下の秋を知る(淮南子))」という言葉が当てはまる事件だった、と回顧されるのではないでしょうか。
第6位 堀江貴文ライブドア社長・村上世彰M&Aコンサルティング社長逮捕
↑とは逆に、こういう事件はあったけれども世の中の流れは変わりませんでした、と回顧されるのではないでしょうか。
第5位 グレーゾーン金利社会問題化・貸金業法等改正
とうとう法律も成立してしまいました・・・。
第4位 北朝鮮核実験実施
6ヶ国協議については、拉致問題のみが残る課題となって妥協を迫られる可能性がそれなりにあるような気がします。仮にそうなってしまえば、どこまでも突っぱねて孤立化するのか、妥協した上で何らかの別のチャネルを模索するのか、難しい選択をせざるを得ないでしょう。
第3位 小泉前総理任期満了、安倍政権発足
そのうち書こう書こうと思って書かずに今に至っていますが、安倍総理にとっての郵政民営化は憲法改正や教育基本法改正であって、両者の世間的関心度合いの差が支持率の差を生み出す主因なのだとwebmasterは考えています。もちろん、大衆向け言動のセンスの違いも大きいのでしょうけれど。
第2位 アメリカ中間選挙にて民主党勝利
円高シンドロームが再発しませんように・・・。
第1位 量的緩和・ゼロ金利解除
やはり当サイト的にはこれをトップからははずせません。

[economy][science]マイナスイオン商品のプライシング

こんにちは、皆様。菊池先生などに影響されてニセ科学批判をやっている分析技術者の柘植と申します。ここには経済学に詳しい人が多そうなので教えてください。私は菊池先生のブログなどで「大手家電がマイナスイオン商品の販売に踏み切ったのは経済学的にも問題ではないか」という話などもしております。つまり、「情報の非対称性の大きい市場」として「新規付加価値付き」という市場を「レモン市場化した」と批判したりしているわけです。こういう考え方に対するお考えをお教えいただければと思い書き込みました。

12/26のエントリに対する柘植さんのコメント

非常に面白い問題提起だしたので、エントリを立てて取り上げてみたいと思います。まず、柘植さんの問題意識そのものについて申し上げるなら、現にマイナスイオン商品はレモン化はしていない、つまり価格に見合った効能が期待できないとして買い手がつかない状態にはありません。その意味で、ご批判は現状に適合していないのではないでしょうか。

では、マイナスイオン商品の普及は、経済学的にはどのような道具で説明されるべきなのでしょうか。とある評判の高い今年の新刊書に答えがあるように、webmasterは思います。

コスタ・コーヒーはロンドンアイの近くにある唯一のコーヒーショップとして、希少性の力をいかんなく発揮している。(略)

しかし、コスタ・コーヒーはロンドンアイから借りている希少性をどう生かすべきだろうか。(略)販売数量が減少するのを覚悟で一杯当たりの利益率を高めるか、利益率を下げて販売数量を増やすか、そこがジレンマだ。

カプチーノに高い値段を払いたくない人には60ペンスで、値段が高くてもカプチーノと景色を楽しみたいという人には3ポンドで売って、そうしたジレンマを回避できれば、コスタにとっては願ってもないことだろう。その方法なら、高い利益率を確実に確保しながら、守銭奴には小幅の利益でコーヒーを販売できる。ただし、どうすればいいのだろう。価格表に「カプチーノ3ポンド、カプチーノにそんなに払いたくないというお客さまは60ペンス」とでも書くのだろうか。

(略)

このやり方にも一理あるが、これでロンドンのサウスバンクの住人の心をとらえられるかどうかは疑わしい。もっと巧妙にやるべきである。

コスタはしばらくの間、エレガントな戦略を展開していた。昨今のコーヒーバーの例にならって、「フェアトレード」コーヒーを販売するのである。(略)数年間にわたり、発展途上国の農業を支援したいと考える客は、普通のコーヒーよりも10ペンス高いフェアトレードコーヒーを注文した(ロンドンではそうした客はけっして少なくない)。その10ペンスは貧しい生活に苦しむコーヒー農家の手に渡ったと信じていただろう。だが実際には、そのほとんど全額がほかでもないコスタの手に渡っていたのである。

(略)

差額の10ペンスのうち、90パーセント以上が客と農家の間で消えていった。(略)ある覆面経済学者がこの点をコスタに問いただしたところ、この事業そのものが誤解を招くとして、2004年末からは、希望する顧客にフェアトレードコーヒーを普通のコーヒーと同じ値段で提供するようになった。コスタがフェアトレードコーヒーをプレミアム価格で販売するのを断念したのは、企業のイメージを守るためであって、採算が悪かったからではない。

しかし、フェアトレードコーヒーの値入れ率を一般のコーヒーの値入れ率より高くしてももうかったのはなぜだろう。コスタがフェアトレードの考え方そのものを拒絶し、こうした理想主義的な運動を妨害しようとしていたわけではないことは確かだ。その答えはフェアトレードとはまったく関係がない。フェアトレードコーヒーを提供することで、正当な理由があれば少し高くても買ってもよいと考えている客を見つけだせたからである。フェアトレードカプチーノを注文すると、コスタにふたつのメッセージが送られる。ひとつ目のメッセージには、コスタはほとんど関心を示さなかった。

「私はフェアトレードコーヒーを支援すべき製品だと考えている」

コスタが耳をそばだてたのはふたつ目のメッセージである。

「値段が少し高くてもまったく気にしない」

(略)

(略)気前のよい客(つまり、社会意識の高い客)には高い価格を、つつましやかな客(つまり、社会意識の低い客)には低い価格を設定できれば、両方の世界の長所を最大限に生かせる。コスタはもはやこの戦略を使えないのではないかと心を痛めている読者もいるかもしれないが、その心配はない。値上げを受け入れる顧客を見つけだす方法はほかにいくらでもある。それに、コスタ・コーヒーはとんでもない策士ではない。経営がうまくいっている企業なら、顧客に受け入れられるであろうぎりぎり上限の価格を設定しようとするだろうし、実際にそうしている。

ティム・ハーフォード「まっとうな経済学」、pp52-56(webmaster注:下線なし強調は原文に、下線付き強調はwebmasterによります)

この分析を借りるならば、マイナスイオン商品とは、気前のよい客(つまり、健康意識の高い客)には高い価格を、つつましやかな客(つまり、健康意識の低い客)には低い価格を設定するという、「ほかにいくらでもある」「値上げを受け入れる顧客を見つけだす方法」を「経営がうまくいっている企業」が「実際にそうしている」例に過ぎないということになります。マイナスイオンはまるっきり似非なんだから違うといったところで、フェアトレードコーヒーの例にしたって9割は幻想に支払っていたのですから、五十歩百歩でしょう。

フェアトレードコーヒーの例からは、もうひとつ、いかにしたらマイナスイオン商品の跋扈を止められるかの手がかりも得られます。コスタ・コーヒーがフェアトレードコーヒーを値下げしたのは、「企業のイメージを守るため」でした。同様に、マイナスイオン商品を売ること‐最低限、非マイナスイオン商品よりも高い値段をつけていること‐が企業イメージの悪化につながるのであれば、合理的な経営判断の結果として取り扱いを止めるでしょう。

となると、結局は消費者教育、という夢のない話に落ち着いてしまうのはやむを得ないところです。売れない商品は企業だって売らないわけで、買う消費者がいるからこそ、マイナスイオン商品は出荷され続けているということになるのですから。

[joke][science]「人生の折り返し点は19歳」仮説の証明

「歳をとると月日が経つのが早い」なんて台詞を聞くことが多い年の瀬ではありますが。

73 :おまんこ仙人 ◆lBgySC146M :2006/12/28(木) 22:51:56 ID:EF91YxA60

80年生きるとしても、

体感時間で考えたら人生の折り返し地点は19歳

偉い学者さんが言ってたっす

「高校を卒業してニートになるともの凄い勢いで時間が過ぎ去っていく」(@【2ch】ニュース速報ブログ(`;ω;´)12/29付)

この偉い学者さんの言を証明してみましょう。

まずは体感時間の定義ですが、むかし、鹿野司さんがLOGiNに連載している「オールザットウルトラ科学」で書かれていたと記憶しているのですけれど、1年の体感時間を人生に占める1年の比率とします。ゼロ歳児(人生最初の1年)なら1、以後1/2、1/3・・・で79〜80歳にかけての1年は1/80ということになります。

続いて折り返し点の定義ですが、19歳で折り返すということを、〜18歳と20歳〜の体感時間の累計がほぼ等しいということととします。

以上を前提に、まずは20〜80歳の累計体感時間を求めると、1.418です。他方で18歳からさかのぼってこれに近い累計体感時間を探すなら、5〜18歳で1.412となりほぼ等しいといえます。

つまり、4歳以前はほぼ記憶から抜け落ちる(物心つく、というよりは若干年嵩になりますが)と仮定し、5歳以降が認識され得る人生だとするならば、ちょうど19歳で人生は折り返すとしてよいようです。

ちなみに、

  • ゼロ歳児からが人生だと考え体感時間の折り返し点を探るなら(人生80年を仮定)、80歳までの累計体感時間(4.965)の半分を上回るのは実に7歳(2.593)ということになります。
  • 連続時間で積分すれば年単位どころか秒単位で折り返し点が求められますが、どなたかお願いします(笑)。
本日のツッコミ(全35件) [ツッコミを入れる]

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2006-12-31

[book]2006年を振り返る(4)‐私的ランキング・新刊書トップ10

#本シリーズの他エントリは「『2006年を振り返る』シリーズ・ラインナップ」をご覧下さい。

第10位 沢木耕太郎「危機の宰相」
池田政権下での所得倍増政策を巡る人間模様を描いていますが、経済と歴史の双方が好きなwebmasterにとってはたまりませんでした。惜しむらくは、一般読者向けのナヴィゲーションとして、御厨貴先生の解説のほか、経済学者による解題があればなぁと思います。供給過少の解消が高度経済成長前の課題だった、なんてことの意義がわかるとより楽しめますので。
第9位 神門善久「日本の食と農」
豊富なデータに裏付けられた、日本の農業を考える際の手がかりがたっぷり詰まっています。もっとも紙幅を割かれている農地転用問題について、供給を規制で絞るからこそあれこれ問題が起こるのだし、転用価格が(農業に係る)収益還元法で算出される価格より高いというのは、そこで農業をやらないほうが効率的であることを示しているわけですから、転用を厳しく制限すべしという筆者のご主張には納得できない、といった点はありますが、それを差し引いても現実の描写は大いに蒙を啓かれました。
第8位 ダニエル・H・フット「裁判と社会」
医療崩壊や国策捜査といった文脈で今年もよく語られた司法について、世間では大いに誤解があるんだ、と聞いて実態を知りたくなったならばぜひ(11/1に取り上げました)。
第7位 黒田基樹「百姓から見た戦国大名」
大河ドラマより100倍面白い歴史の実相が描かれていると言っても過言ではないでしょう(11/16に取り上げました)。
第6位 小松秀樹「医療崩壊」
経済財政諮問会議などで医療の「構造改革」が叫ばれたりもするのですが、そのようなことを言うからには本書を読んだのだろうな、と確認したくなります(12/12に取り上げました)。
第5位 スティーヴン・レヴィット、スティーヴン・ダブナー「ヤバい経済学」
クルーグマンが言うように、やっぱり心理歴史学にもっとも近い学問は経済学なんでしょう、との感を強くしました(5/2に取り上げました)。
第4位 矢沢久雄「情報はなぜビットなのか」
昨年第3位とした結城浩「プログラマの数学」同様、題名に騙される(?)ことなく経済学部における数学入門としてお薦めできる一冊です‐統計学や線形計画法、果てはモンテカルロ法のわかりやすい概略が示されているのですから。梅津信幸「あなたはコンピュータを理解していますか」を先に読んでおくと相乗効果抜群ですので、もしこれから読もうという方がいらっしゃいましたらお試しください。
第3位 安達誠司「脱デフレの歴史分析」
戦前の政治体制にまで踏み込んでの経済分析ですが、逆に経済学的思考に基づく政治分析としても味わうことができます(5/24に取り上げました)。
第2位 今村都南雄「官庁セクショナリズム」
webmasterが官僚であるということを踏まえた上で受け止めて欲しいのですが、霞が関の分析としてもっとも優れたものだとお薦めできます(9/11に取り上げました)。
第1位 竹森俊平「世界デフレは三度来る」(
「危機の宰相」のところでも書いたように経済と歴史が好きなwebmasterですが、そうした嗜好を持つ人間にとっては涙モノの一冊で、司馬遼太郎や塩野七生の諸作品よりも面白いと偏見を申し上げてしまいましょう(5/7に取り上げました)。

#積読が10冊以上ある中でのランキングというのは、webmaster自身妥当性が疑わしいのですが。

[notice]12/23の議論の続きはこちらでお願いします。

「大淀病院産科休診」を受けて活発なコメントの応酬がありましたが、tDiaryの仕様上1日のページ当たりのコメント数は上限100となっており、それに引っかかってしまいましたので、以後はこちらで継続いただければと存じます。

[notice]年末のご挨拶2006

先日申し上げたが、この1年はこれまでの3年間累計よりも多くのアクセスをいただき、本当にありがとうございました。けっして昔は手抜きをしていたというわけではありませんが、これだけ多くのアクセスをいただくようになると、それだけ多くの人の目に触れるだけの価値のあるテキストを書いているのかどうか、ときとして不安になるのは否めません。そんな際でも、増えていくカウンターの数字や、お寄せいただくご批判を含め数多くの建設的なコメントやtrackbackを見ると、webmasterだけではなく、多くの人の力があって当サイトが続いているのだと心強く思います。

これからもお力添えをいただけるよう、サイトの管理に当たってはできるだけの心配りをしていくつもりではありますが、足らざるところも多々あると思います。webmasterに何らかの価値をお認めいただける間のみでかまいませんので、今後ともご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

それでは皆様、よいお年を。

#来年は明日元旦よりスタートする予定です。

本日のツッコミ(全41件) [ツッコミを入れる]

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bewaad [>Rosewoodさん 医師会については、被用者よりも使用者の方がその手の団体活動をしやすい(時間的な余裕など)とい..]

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