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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2007-01-05

[economy]元橋一之先生らによるTFP推計

econ-economeさん(1/5訂正)経由ですが、3点ほど。

第1点ですが、日本においては非製造業のTFPが低いというよくある指摘が実証されています。

日本の産業別競争力を生産性によって他国に対してベンチマーキングすると、一般的に製造業においてその優位性が高いことが分かった。特に、エレクトロニクス、輸送機械、精密機械などの組み立て型産業において高い生産性レベルにある。その一方で建設、金融・保険、電力などの非製造業において日本の生産性は低くなっている。生産性レベルが高い輸出型産業と低い内需中心の非製造業が共存する日本経済の二重構造がここでも確認された。その背景には非製造業における規制改革が十分に進んでいないことが影響していると考えられる。1990年代後半以降、電力・ガス、電気通信、小売などの業種において規制改革が進み、生産性への影響も観察されているが、OECDの調査によるとOECD諸国において日本の規制レベルはまだまだ高いものとなっている。マクロレベルの生産性に対しては、医療サービスや教育などの公的サービス分野についても、適切な競争メカニズムを導入して生産性の向上を図っていくことが重要である。

生産性の国際比較による産業競争力のベンチマーキング

しかしながら、TFP推計手法をみると、ソロー残差の拡張のようなもので、生産成果から資本コスト、労働コストを差し引くことに加え、原材料コストとエネルギコストを差し引いて求めているようです(webmasterが素人であるゆえの誤読であるならご指摘いただければ幸いです)。この推計手法ですと、需要が細って稼働率が下がるような場合にも、それが諸コストの低下に反映されない限りは、TFPの悪化という形で表出してしまうのではないでしょうか。

日本の個別分析において、ほとんどの産業において80年代に比べて90年代が大いに減速している(Figure 5)のも、このことを裏付けるのではないでしょうか。RBC的には因果関係が逆で、TFP低下が平成大停滞をもたらしたということになるのでしょうけれども。

もちろん比較優位に相対的に特化している輸出型産業は、そうでない非製造業に比べてTFPは高いものであるとはwebmasterも考えます。しかし、絶対水準を比較するに当たっては、上記のような需要面に起因するブレを除去しない限り、需要が不振であった産業分野のTFPを過小評価してしまうおそれがあるともwebmasterは思うのです。貿易財・サービスに比べて非貿易財・サービスの効率性が劣るのは、比較劣位が残ることから必然であって、それを「日本経済の二重構造」というからには、このようなあるべきTFPから見ればノイズに当たる影響をきちんと除去した上での国際比較による検証が必要でしょう。

第2点ですが、上記のような推計手法であることの反射的効果として、各国の労働コストが集計されています。具体的には日米中台韓の5ヶ国(地域)での相対価格が産業別に集計されているのですが(該当論文のtable 5)、日米比較を取り出しても、全32産業アメリカの方が高価なものは2産業、日米が等価なものも2産業ということで、残る28産業は日本の方が労働コストが高いということになっています。

#当然ながら、他の3ヶ国(地域)に対しては、全産業において、日本の方が高くなっています。なお、デフレによる労働分配率高止まりの影響もあるでしょうから、自然体でこれほど日米格差があるかについては、留保が必要でしょう。

主として労働法制の違い(アメリカの方が労働者保護が薄くその分だけ賃金が安い)と移民の存在によるものではないかとwebmasterは推測しますが、とまれ、財界の労働コスト引下げ要求はこの辺りに起因するものと考えてよいでしょう。先日も書きましたが、これは本末転倒であって、少なくとも製造業についてはより資本集約・技術集約型にシフトしていく「構造改革」が必要だとwebmasterは思うのですが・・・。

第3点ですが、先にも触れた日本の個別分析をみると、1980-2000の分析期間における産業別平均TFP上昇率において、"Government"が"Electrical Machinery"、"Communication"、"Motor Vehicles"に次ぐ第4位につけています(Figure 1)。どこまでが"Government"に含まれるのかがわかりませんし、絶対水準としてどうかという議論は当然あるでしょうけれど、役所が非効率だとは限らないことのひとつの証拠になるのではないでしょうか。少なくとも、"Electrical Machinery"ら3産業以外から、リストラが足りないなどと言われる筋合いはないよなぁ(笑)。

#先にも触れた国際比較では、なぜか"Public service"("Government"はないのですが、これが相当する事項でしょう)は項目だけ掲載され数値が掲載されていないのですが、それがどういった数字になるのか、気になるところです。

[WWW]雪降らず 二十世紀は遠くなりにけり(字余り)

1/2に引き続いて、宿題を放り出して山口浩さんの別のネタに・・・。

先日に引き続き、ゼミ選考のために集めた学生のエッセイ第4弾。今回はすっぱいのと甘いのと。

まずは1つめ。

カップラーメン+?

by P.N ☆

中学時代、友人5人と「カップラーメンにお湯を入れる代わりに他の飲み物を入れたらどうだろう?」と言う話になり、好奇心からお湯の代わりになりそうな飲み物をカップラーメン(醤油)に入れて食べたことがある。

こうして始まった新しいカップラーメンの開発(?)
最初に入れたものは牛乳だった。

(略)

これが成功したので他のものでも試してみよう!ということで近所のスーパーへ行き、アセロラジュースとお茶を買っていざ挑戦。

(略)

そこにいた全員がやる気をなくし、たった2回の挑戦ながら『やっぱりカップラーメンにはお湯だよね』という結論に至り、カップラーメンへの挑戦(?)は幕を閉じたのだ。

(略)

カップラーメンを食べるとき、いつもこの時のことが『ふっ』と蘇り、笑いがこみ上げてくる。
そして中学校のアルバムを開いては思い出に浸っている。

ぐえぇ。まったくなんてことを。
牛乳はともかく、アセロラジュースとは。しかも元のしょうゆ味の上にそれを足すと。中学生とはいえ、日本が誇る発明品であるカップラーメンに対してこのような狼藉に及ぶとは、まさに神をも恐れぬ振る舞いであろう。

「学生のエッセイ その4」(@H-Yamaguchi.net1/4付)

うーん、あの一世を風靡した(?)「爆裂! カップメン」(続き物になっていますが、1ページ目から2ページ目へのリンクのみURIが誤記されていますので、当該ページには直リンクを張っておきます)は、もはや知る人も少なくなってしまったのでしょうか。書籍化もされたんですけれどもねぇ・・・。

#ちなみに、アセロラジュースはまずいものの、お茶は結構いけるそうです。アセロラジュースで挫折せずにお茶まで試していれば、山口さんの教え子の若き日の挑戦はさらに続いたのかもしれません(笑)。

ひょっとして、当サイトの読者におかれましても、「爆裂! カップメン」や、さらには例えば先行者なども、ご存じないという方々のほうが多いのでしょうか?

[sports][media]箱根駅伝中継

5区を走った順天堂大学の今井選手を「山の神」と呼ぶのが普及しているようですが、人に対して「山の神」と使う場合には、恐妻家が用いる配偶者の呼称というのが一般的なわけで、マスメディアの言語センスも、いまさらながらではあるものの、いかがなものかとwebmasterは思うわけです。もうほとんど忘れてしまいましたが、例えば「一緒に並走」のような重言がやたらとあったようにも感じましたし。

本日のツッコミ(全14件) [ツッコミを入れる]
宮嶋陽人 (2007-01-05 12:38)

>山の神
とはいえ「箱根の神」では何かと差し障りもあるでしょうし。
ただ、今回の箱根中継ではご指摘以外の箇所でも、実況アナウンサーの日本語力がどうかと思われる箇所が多かったですね。
それでも自分の頭で考えて言葉を出すだけ、テレビ朝日のアナウンサーよりはましと言わざるを得ないのが悲しいところ。

>建設業
ここにもいましたよ、ゼロ成長理想論者(笑)
http://www.kataru.jp/012.html

アルベルト (2007-01-05 23:31)

これも有名ですが・・・
http://www.kinsan.ne.jp/tabasco13.html

竹馬 (2007-01-06 08:30)

全く統計データーが無いのですが、アメリカでの自分の経験からすると、日米を比較した場合に、日本の方が高精度(高品質)の仕事をあらゆる場合に求めている気がします。そのため、日本では、労働の限界生産性が低下していても更なるコストを掛けて高精度(高品質)の仕事を求められているのではないでしょうか。
日米のスーパーマーケットの野菜売り場を比較したときの、家の奥さんのボヤキを思い出します。(笑)

結果、高精度・高コストの日本と中精度・低コストのアメリカという図式じゃないかなぁと(笑)。なんとなく、アメリカのイメージは、柔軟なフレームワークやシステムを構築して、後は、そこに適当に放り込んで、問題や新しい課題が発生したら調整するなんですよね。

戦闘機の設計やインターネットって正しくそんな気が・・・・
(立法も、全体の法体系を殆ど意識せず、それぞれの法律を作って、調整は具体的な訴訟が発生したときに司法が行ないますよね。(笑))

日本のシステムは、極度の詰め詰めで、構想したときの状況に過適応で、状況が変化したときに柔軟に対応できてない気がします。(笑)フレームワークの見直しを2〜3年毎に行わされるのは勘弁して欲しいなぁと・・・・

ではでは

bewaad (2007-01-06 18:15)

>宮嶋陽人さん
ライヴでの言葉遣いには甘いつもりなのですが、ちょっと今回は目立ってましたねぇ。

ゼロ成長(理想)論は、本日(6日)とりあげた竹中論説でも触れられていましたが、それが知的誠実さだと一般に認知されている点が一番の問題なのだと考えています。

bewaad (2007-01-06 18:16)

>アルベルトさん
それもありましたねぇ(笑)。結構覚えているようで忘れているものです・・・。

bewaad (2007-01-06 18:19)

>竹馬さん
私も単なる印象論としてはそういう思いがあるのですが、実際にまともな比較研究をするとどうなんでしょうか。実証結果がどうかも気になりますし、もし違いがあるとして、それがどういうインセンティヴ構造の帰結なのかも面白そうですね。

Rosewood (2007-01-06 19:15)

公的サービスの生産性向上とはすなわちコスト削減と考えてよいのでしょうか。この分野はどこも市場拡大が難しく、サービスに対する対価は政府が管理しており、受益者により多くのサービスを受けてもらおうとすれば政府が総費用抑制と言って単価を切り下げてしまいます。事業の効率化といっても、人間相手で職人技的な業界では限界があります。最終的には医師や教師の給料を減らせと言ってるようにしか聞こえないのですが・・・

また、権丈先生についてご紹介ありがとうございました。ただ今権丈先生のHPで勉強中です。先生のHPとこちらのブログをm3で再度紹介させていただきました。

鍋象 (2007-01-06 19:28)

あけおめです。今年もよろしくお願いします。

>竹馬さん
激しく同意ですが、日本の場合高品質中価格一本やりで、アメリカは品質と価格が折り合ってラインナップされているんだと思います。日本人の職人芸のレベルの高さと、同時に自己評価の低さをなめてはいけませんw

>フレームワークの見直しを2〜3年毎に行わされるのは
それは極度の詰め込みの設計にもかかわらず、状況が変化したときに柔軟に対応できている証拠でしょうw

半径50mの視点で小売業とか見てると、アメリカなんぞより日本の方がよっぽど競争が激しいです。彼らは競争を回避して利益を上げる仕組みを作るのはとても上手ですが、同じ土俵でガチンコになったらそうでも無いと思います。アメリカは戦略レベル、日本は戦術レベルの構想が得意なのかなと思ったりします。

solidarnosc (2007-01-06 23:11)

詳しくありませんが、日本の非製造業のTFPが低いというのはやはり違和感があります。bewaadさんのおっしゃるとおり、消去法でTFPを測定する方法は、景気の影響を十分排除できないし、労働の質が考慮されているものでもないと思います。(経済学者がしっかりすれば解決できるのでしょうか?)

わかりやすい例として、ホームレス同士の空き缶ひろいを考えてみます。
「もともとAさんは○○地区唯一の拾い屋として、一日1000本の缶をひろい三千円の収入がありました。ところが、不況により○○地区に、B,Cというライバルが出現しました。缶ひろいのテクニックを向上させましたが、いかんせんライバルとの競争があり、缶の数も限られているので、一日500本どまりです。収入は半分の千五百円になってしまいました。」
この場合、缶ひろいの生産性は向上し、まちが以前よりきれいになったことは容易に想像できますが、ホームレスの生産性は低くなったと「観測される」のでしょう。

なんてことはない、結局、参入障壁が低く、労働組合も発達していない非製造業は、不況になると過当競争になり、需給の関係上、TFPが低く観測されているだけではないか。

P.S.あいまいなTFPを根拠とした生産性の低さを理由に、規制緩和の必要性をとくのもちょっと不安です。高い生産性が観測されれば必要な規制緩和までも実行できなくなりかねません。

bewaad (2007-01-07 17:33)

>Rosewoodさん
会計原則に照らしてどうなるか、厳密なところはわかりませんが、一見する限り物件費の削減あたりがTFPには効いてきそうに思えます。人件費削減は、労働生産性の向上には効いてくるでしょうけれど、TFP(≒技術)には中立だと思います(少なくとも当該論文の定義上は)。

bewaad (2007-01-07 17:43)

>鍋象さん
>アメリカは戦略レベル、日本は戦術レベルの構想が得意なのかなと思ったりします。
アメリカの将軍にドイツの士官、日本の下士官にロシアの兵隊を組み合わせれば世界最強というジョーク(ヴァリエーションはいろいろあったと思いますが)を思い出しますねぇ。

bewaad (2007-01-07 17:47)

>solidarnoscさん
↓のような試みもあり、あれこれ努力はなされているのだと理解しています。
http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/kako/cwp00j15.htm

Rosewood (2007-01-08 09:06)

>bewaadさん
ご教示ありがとうございました。

bewaad (2007-01-08 15:49)

>Rosewoodさん
実は、あの論文を読みつつ、人件費削減の程度も計量化してくれないかなぁ、とは思ってました。TFPとは別であるにせよ、ご指摘のような部分も相当程度あるのだろうな、ということを感覚的には見込んでいますもので。


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