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(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

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2007-01-19

[BOJ][economy]日銀(とりあえずは)0.5%への利上げせず

事前にそのような報道が出まくっていましたので、結論自体には違和感はありません。しかし、いかなるロジックでそうしたのか、ということが重要でしょう。当サイトの主張のように、そもそも量的緩和にまで遡って過ちであったと認めるはずもなく(笑)、現時点で出ている情報から探ってみます。

−利上げ見送りの理由は。

「経済、物価情勢はこれまでのところ、見通しと比べてやや弱含んでいる。先行きについては生産、所得、支出の好循環が維持されるとの見方に変化はないが、強弱さまざまな経済指標があり、経済情勢をさらに見極めるのが適当との結論に至った」

中国「政府や与党への配慮ない 日銀総裁一問一答」

見通しに変わりはないけれども、現状がやや弱含んでいるから利上げせずというのは、フォワードルッキングを強調してきたこれまでの姿勢からすればおかしな話です。現在の指標からすれば、先行きの見通しの蓋然性が変化してきた、というのがあるべき理由でしょう。「経済情勢をさらに見極める」という場合、何を見極めるのか、ということです。いや、webmasterとしては、先行きの見通しに変化はないけれど見極めないと、といってずっと利上げしないということでもいいのですが(笑)、ふつうそうした場合には見通しが外れたということになってしまうのではないでしょうか、老婆心ながら。

逆に言えば、先行きの見通しは外さなかったという評価を変えないためには、どこかで利上げをしなければならないということを示唆していることになります。日銀が素直に「見通しを外しました」というような組織であるならば、そういう邪推はする必要もないわけですが・・・。

−今後の政策運営は。

「緩和的な金融環境を維持しながら、徐々に金利水準を調整するという基本的な考え方に変わりはない」

「あらかじめ何らかのスケジュール感を頭に置いて考えるわけではない。特定の経済指標の強弱が政策判断には結び付かない。物価上昇率が低くなったから利上げが遠のくなどと、単純ではない。(消費や物価の改善に)確証が持てれば即座に行動する」

中国「政府や与党への配慮ない 日銀総裁一問一答」

物価安定をその使命とする中央銀行が、「物価上昇率が低くなったから利上げが遠のくなどと、単純ではない」というのは、webmasterには理解不能です。物価上昇率が低くなったのなら、利下げを検討すべきではないの? この見解に賛成しろといっても日銀には受け入れられないであろうことぐらいはwebmasterだって予測可能ですが、物価上昇率が低くなった場合でも利上げすることがあり得るとすることを撤回することですら、期待するのは贅沢だというのでしょうかねぇ(泣)。

そうした事態が絶対に起こり得ないと断言する勇気もwebmasterにはありませんが(テクニカルな要因や、著しい期待の変化によってはあり得ることは否定できないでしょう)、基本線は、あくまで物価が上昇すれば利上げ(引締め)、下落すれば利下げ(緩和)であるはずです。インフレターゲティング導入を想定した際に、どの程度上昇(ないし下落)した場合にそうした行動に移るべきかにおいて見解の相違があるのはかまいませんが、これはそれ以前の問題なわけで・・・。

#といいますか、「即座に行動」とは利上げしか念頭に置いていないのは明らかなわけで、本当に予断を持っていないなら利下げだってあり得るでしょ?

−3人の政策委員が利上げを求めた。

「(景気が緩やかに拡大するという)将来の見通しでは全員が一致したが、経済の姿をなお丹念に検討していこうという判断と、もう十分判断できるという立場で、わずかに意見の差が残っている。判断の方向が違うわけではない」

中国「政府や与党への配慮ない 日銀総裁一問一答」

今般の一連の動きの中で、唯一といっていい肯定的評価が可能な点が、この賛否が分かれたという点でしょう。全会一致でいきなり変わるというのは、例えばイングランド銀行を見れば問題であるのは明らかでしょう。諸所の講演会などで地均しするのではなく、そうした票数の変化でこそ、金融政策決定会合における判断の移り変わりは示されるべきだとwebmasterは思います。手続ではなく内容に着目するならば、次回での利上げの可能性を大いに感じさせるため悲しいことではありますが・・・。

−政府や与党に配慮したという見方がある。

「そうした要素が入る余地はない。ただ、政府との十分な意思疎通は今後も万全を期す。日銀の判断と責任で(金融政策の)運営に努めるのが国民の信頼を得る道だ」

中国「政府や与党への配慮ない 日銀総裁一問一答」

聞くだけ野暮というもので、仮に配慮していたのが事実だとしても、はいそうですとは答えるはずもないでしょう(笑)。

ところで、メディアでは中川自民党幹事長をはじめとする利上げ反対の声は、選挙目当てだという解説が多くなされています。いい意味で選挙目当てだ(例えば、多くの選挙民にとってプラスとなることだ)という文脈ではなく、悪い意味で使っていると解すべきでしょう。なぜ悪いのかといえば、webmasterが推測する限り、目先は多くの者が喜ぶけれども、長い目で見ればかえって日本全体にとってマイナスになるというロジックだとしか思えません。

この推測が当たっているならば、どこまで意識的かどうかはさておき、メディアで発言する者の多くはバブル再発の懸念を有しているということになるのでしょう。しかも、バブルが再発すればなぜ悪いかといえば、バブルで浮かれて必要な改革をサボり、結果としてバブル崩壊後に多大なるツケを払わされるという理由であるように見えます。

結局のところ、この見方を覆すことができない限り、多数派は(実際に景気が悪くならない限りは)日銀を支持するのかなぁ、とwebmasterは思うのですが、いかがでしょう?

−利上げを予想した市場関係者も多かった。対話は十分か。

「経済情勢を分析して議論を詰めると繰り返してきた。利用可能なデータを分析して将来を予想するのは、われわれも市場関係者も同じだ」

中国「政府や与党への配慮ない 日銀総裁一問一答」

少し前に取り上げたばかりなので繰り返しませんが、市場が織り込んでいるのは利上げすべき状況にあるということではなく、状況がどうであれ日銀は利上げするだろうということであるとしか思えません。その意味で、市場との対話は十分すぎるぐらいに行われているのが現状でしょう。

本日のツッコミ(全20件) [ツッコミを入れる]
a-kun (2007-01-19 07:44)

や、だからソースはきちんと待てというのに。19日の日本経済新聞5面「福井日銀会見要旨」によると・・・
「あらかじめ何らかのスケジュール感を頭に置いて考えるわけではない。特定の経済指標の強弱が政策判断には結び付かない。物価上昇率が低くなったから利上げが遠のくなどと、単純ではない。(消費や物価の改善に)確証が持てれば即座に行動する」
この答えに対する問いは前半部と後半部で異なる。
前半部分「〜単純ではない。」に対する問いは「CPIがマイナスになれば追加利上げは困難になるのか」。フォワードルッキングな経済運営を志向する中央銀行としては当然の答え。イングランド銀行ですら2004年には直近のCPIがインフレターゲットの下限を下回っているにもかかわらず利上げを断行した実績がある。
後半部分に対する問いは「金融経済運営の機動性についてはどう考えているか。」この問いの文面にはプラスもマイナスもない。答えに関しても「(消費や物価の改善に)」というかっこ部分は総裁の解答に含まれていない。
もちろん日本経済新聞が正しい報道を行っていない可能性はある。でも上記が本当なら福井総裁のコメントの意味はかなり変わる。だからきちんと日銀の公表する会見要旨を待つべき。それが公式回答なのだから。
実際の会見は30分以上かかるので中国新聞HPのような単純な答えになるはずがなく、それなりによくまとめられているとはいえ、さすがにダイジェストに過ぎない。秒単位・分単位で意思決定を判断させられる立場ならともかく、そうでないのならきちんと待つべき。

BUNTEN (2007-01-19 07:52)

景気下ぶれの最大のリスクが日銀とゆーのもどんな世界なんだという感じですねぃ。orz
こんなハラハラドキドキはあまり味わいたくないものです。

おまけ
某大企業の面接は17日でしたが、用務員への応募だったためか本業関係の話は一切出ず。(出なかったとはいえ、長期失業を景気のせいにしないようにするなど色々気を遣いましたが、万一出ていれば爆死確実でした。)
合否? 前回募集では応募者が少なくて失敗したので今回は十分時間をかけた、とのお言葉からすると先方の期待通り応募者多数。なかなか厳しそうな印象です。

a-kun (2007-01-19 07:53)

ああ、俺も正確ではなかった。前半部の問いは更に細分化出来る。以下、前半部を訂正。
「あらかじめ何らかのスケジュール感を頭に置いて考えるわけではない。」という答えに対する問いは「今後の金融政策については。」
「特定の〜単純ではない。」までの答えに対応する問いが「CPIがマイナスになれば追加利上げは困難になるのか」

とおりすがり (2007-01-19 10:50)

内閣府大臣官房審議官として経済財政諮問会議の事務方も務められる方の官僚実名HPで、経済財政諮問会議の「日本経済の進路と戦略」について解説されています。
最後に、「ようやく基礎的財政収支の黒字化が見えてきました。ここ数年は、デフレでしたので、そのような見通しも立たなかったのです。」と、率直なコメントがついています。
http://homepage3.nifty.com/zenshow/
そのうち、過去日記(http://homepage3.nifty.com/zenshow/page326.html)に落ちるかと思います。

cloudy (2007-01-19 12:27)

朝日社説は予想通りの「ダメな議論」です。
http://www.asahi.com/paper/editorial20070119.html#syasetu1
主張の内容をまとめると

・政府の圧力はダメ→誰もクビにできないのに何が圧力なんだろう
・市場は利上げを予想して動いていたんだから、ちゃんと利上げすべき→日銀が事前に「オレはやるぜオレはやるぜ」と臭わしていたことが問題。それをやめるべき
・不動産バブルが心配→土地価格だけの問題なら規制緩和など別の方法で対処すべきでは
・円資金がドルに替えられ、世界各地で投機的な取引を膨らませている→変動相場制だから、各国は自国の金融政策できちんと制御できるはずだし現にやっている。「日本がバブルを輸出している」などと発言している中銀総裁がいるならクビにすべき
・金利生活者には厳しい状況が続く→失業者が増えることより金利1%で生活できる3億以上の金持ちのことが心配らしい
・景気が後退した時に備え、金融緩和の余地を少しでも広げておきたい→「余地」は金利ではなくインフレ率の方
・9-12月期の消費が好調だった場合は利上げできるか→GDPデフレータが+2.0%を越えていればいいけどまずアリエナス

bewaad (2007-01-20 02:07)

>a-kunさん
実際に日銀が公表した会見要旨では、両者はご指摘のとおりの別の質問に対する答えでした。でも、そうだからといってそれほどニュアンスは異なるのでしょうか?

前者については、(エントリに書いたように)例外的にそうした事態があることを認めるにやぶさかではありませんが、だからといってニュートラルではないと考えています。後者については、全体を貫くトーンからして、利下げなんてものがまったく念頭にないと推測するのは、自然ではないでしょうか。

bewaad (2007-01-20 02:07)

>BUNTENさん
もし採用ということになれば、あちらも久々に更新でしょうか。吉報をお待ちしております。

bewaad (2007-01-20 02:07)

>とおりすがりさん
岡本さんのご意見については当サイトでも取り上げたことがありますが(http://bewaad.com/20051124.html#p01)、本当にデフレが大きく影響していたとお考えになったのであれば、ご意見を変えられたということなのでしょう。内閣府の事務方に折伏されたとか(笑)。

ただ、構造改革のおかげでデフレ脱却が見えてきたのだ、なんてお考えになっている可能性を、私は捨て切れなかったりもします・・・。

bewaad (2007-01-20 02:07)

>cloudyさん
朝日は(テレ朝の報道ステーションを含め)国際的過剰流動性論が好きですねぇ。社論なのでしょうか。

昨年第4四半期の消費は、それほど目覚しくはなくとも、第3四半期より増加が見られれば利上げの理由付けに用いられそうな気が・・・。

a-kun (2007-01-20 12:58)

bewaadさん>
実際の会見録をご覧になったのであれば明らかなように、福井総裁は非常に慎重に、言質を取られないよう官僚的な言い回しを多用している方です。(講演のときはよくアドリブを入れてサービスされますが(笑))
特に最近の彼の決定会合後の記者会見は質問に対して原則論と月報(あるいは当日の議決結果)の範囲内で答えているに過ぎない。でも丁寧すぎる嫌いがあるからそこに誤解の元があるのかな?

そりゃ現在の金利水準と月報に示された見解から考えて現在の日銀が利下げを考えていないだろうことは容易に推測されますが、だからといって「今後の金融政策運営における機動性なり柔軟性に関する課題について、何かお考えがあればお教え下さい。」と聞かれたら教科書どおり「金融政策の機動性については、先程から申し上げている通り、経済・物価の情勢変化、新しいデータを素早く解析し、将来につなげて将来の姿を再構築して自らこれを判断する能力をしっかり磨き上げていきながら、いたずらに判断を急ぐことなく、かついたずらに延引することなく、的確なタイミングで判断す
ることによって、判断に確証が持てれば即座に政策行動に出るという基本を守っていく限り、機動性は十分保証されると思います。」とでも答えるしかないのでは?(逆に聞きますがどう答えるべきだと思われます?) そこに言外の意味を与えるのはさすがにうがった見方だと思います。
特に中国新聞のようにいろんな質問から目立ったフレーズだけを組み合わせて意味を持たせようとするのは読者にミスリードさせる意思があるとしか思えません。さすがにそんな文章に乗っかって議論を展開させるのかどうかと思うのです。

a-kun (2007-01-20 15:42)

補足。
最後のセンテンスで「ミスリードさせ」ようとしている主体は「中国新聞」のこと。bewaaadさんを指していっているわけではないので念のため。

bewaad (2007-01-21 16:47)

>a-kunさん
そこは逆に官僚として上の答弁を用意する立場だからこそ深読みをしてしまうのだろうなぁ、と。

本当にニュートラルに機動性を重んじるのであれば、利上げにせよ利下げにせよ、といった類の一節を入れるものです(それこそ揚げ足を取られないようにするため)。それを付け加えないというのは、自分が答弁の書き手であったとして想像するならば、利下げというものがまったく念頭になく、付け加えようということを思いつきもしなかったのだろうな、ということではなかろうかと。

単に官僚的修辞学に対する習熟度の違いかもしれませんが(笑)。

a-kun (2007-01-22 07:34)

うーん、私自身、上に書いているように福井さんの頭の中に利下げを考えているとは思っていないんですよ。だからといって「機動性は?」と問われて「利上げできる確証があったら即座に実施します」と答えるつもりはなかっただろうし、実際問題今回のように利上げしなかったわけでしょ。だからあの回答は単に教科書を棒読みする気分でしかなかったように思うんですよね。

>単に官僚的修辞学に対する習熟度の違いかもしれませんが(笑)。
それはそうかも(笑)
ただ普通「市場関係者」はあの文面なら「機動性」の問答からは利上げへの意欲を感じ取らない(もし利上げを示唆する気ならもっとはっきりと示唆するだろう)ということです。
あ、もちろん他のところから利上げへの意欲を感じ取れたのは事実なんですけどね。
個人的に「なんだかなあ」と思うのは明らかに他の質問への答えをまぜこぜにして一問一答のように見せている中国新聞のやり口は、さすがにミスリードを誘っているとしか思えなくて、それに乗っかった議論はやめてきちんと原典に当たってからにしましょうということ。俺たち「市場参加者」はあんな感じの「一問一答」を速報ベースで見せられて(原典に当たってたら半日以上経っちゃうので仕方なく)「本当の一問一答はどんな感じだろう」と推測する訓練をしているので(笑)特にそう思うのかもしれません。

とおりすがり (2007-01-22 11:37)

訂正
岡本氏の過去ログ落ちのurlは下記になったようです。
経済財政3
http://homepage3.nifty.com/zenshow/page371.html

bewaad (2007-01-23 05:22)

>a-kunさん
もっと早く会見録を公開しない日銀が悪いということで(逆恨み)。テープ起こししたものを公開するには、作業時間に加え総裁らのチェックも入るでしょうから、あれ以上はなかなか早くならないだろうなぁ、というのは組織人としてはよくわかるのですが、動画ファイルですぐ公開しちゃうとか、そういうことをやってくれるとありがたいです。

bewaad (2007-01-23 05:22)

>とおりすがりさん
情報提供ありがとうございました。

BUNTEN (2007-01-23 18:16)

皆さんから応援いただいたにも関わらず、某大企業の面接は残念ながら一次面接で敗退確定(二次面接の案内が来ない)です。orz
顛末は就活日記に書く予定ですが、現在体調不良につきしばらく後になります。

a-kun (2007-01-24 00:12)

確かBloombergは会見の音声ファイルを公開しているんだよな。有料会員制だから一般には流れないけど。それでもここ数年の情報の動き方を見ていると動画ファイルの無料提供どころかリアルタイム中継になるのもそう遠い未来ではないかもしれません。

bewaad (2007-01-24 06:45)

>BUNTENさん
お疲れさまでした。

bewaad (2007-01-24 06:46)

>a-kunさん
退任に当たって、記者は勝手なことを書くなら信頼できない、テレビを通じて直接国民に語りかけたいとした佐藤栄作元総理の理想が、いろんなところで実現するわけですね(笑)。


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