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2007-02-05

[politics]野党にとっての痛恨の善戦‐愛知県知事・北九州市長選挙

与野党が激突する今年最初の大型選挙として注目を集めた愛知県知事選と北九州市長選が4日投開票され、それぞれの推薦候補が「1勝1敗」となった。野党は苦戦が予想された愛知での善戦を追い風ととらえ、女性を「産む機械」に例えた柳沢伯夫厚生労働相の罷免要求で攻勢を強める構え。与党内でも辞任論が再燃する可能性がある。

日経「愛知知事選は現職神田氏、北九州市長選は野党系の北橋氏」

まあこうした見方が一般的であろう、とはwebmasterも思います。しかしながら、この善戦ゆえに野党は振り上げた拳の落としどころがなくなってしまい、今後はジリ貧になっていくでしょう。なぜかといえば、端的には優勢を頼んで勝利条件を上げ過ぎてしまったからです。

現在野党は審議拒否をしていますが、その具体的内容は次のとおりです。

また、来週から補正予算審議が参議院に移り、与党が審議を強行する恐れがあるとの認識を示した菅代表代行は、「断固、そうした審議を進めるべきではない。柳澤大臣の辞任が先との姿勢で戦っていきたい」と表明。週明け以降も、厚労相の辞任を引き続き強く求め、辞任しない限り、すべての国会審議に応じない方針を3党間で確認したことを明らかにした。

「菅代行、社民、国民新党幹事長と会談 厚労相の辞任要求を再確認」(民主党公式サイト)

鍵になるのは、「厚労相の辞任を引き続き強く求め、辞任しない限り、すべての国会審議に応じない」という部分。ここまで言ってしまった以上、与党が辞任せずで結束していれば、野党としては打つ手がありません。補正予算ぐらいならばともかく、今後来年度予算や各種の重要法案審議が始まった後においても審議復帰をしなければ、どんどん野党のイメージが悪くなるばかりですが、かといって辞任を勝ち取らないのに復帰してしまえば腰砕けの印象のみが残りますから、行くも地獄帰るも地獄とはこのことでしょう。

すべての審議を拒否+辞任するまで復帰しない、というコミットメントをしてしまった以上は、今回の選挙が最初で最後のチャンスだったわけです。さすがにどちらも与党を負かしていたならば、与党内でも辞任の機運は弥が上にも高まっていたことでしょうけれど、善戦ではそれにはまったく及びません。人の噂も75日、柳沢発言問題の鮮度はこれから失われる一方ですから、それにこだわっていつまでも(予算審議にすら)応じないというのでは、いずれ風向きが必ず変わります。

#野党が国会審議に出席していないというのは、過去形ではなく現在進行形ですから。

これでは、うまくいったときのことだけを考えて、失敗した場合にダメージを最小化するためにはどうすればいいかという発想がまるでない、と言わざるを得ません。補正予算審議には出席しないとでもしておくなり、それなりの形式を踏んだ謝罪などを勝利条件にしておくなりしておけば、このようなことにはならなかったのですが。その程度に抑えておいても、選挙で2勝すれば辞任は結果的には勝ち取れたでしょうから、そこまで辞任というカードへの掛け金を積む必要はなかったのです。

#小沢代表は、住専問題におけるピケの失敗から何も学ばなかったのでしょうかねぇ・・・。

何が何でも辞任を勝ち取らなければ負けだ、という背水の陣である以上、このまま辞任を勝ち取れなければ川に突き落とされるだけのこと。当然ながら与党はそれを見透かしていますから、辞任に応じる考えなど出てくるはずもありません。

しかしながら、そんな野党にすら付け込む隙を与えるのが今の与党(笑)。報道を見る限り、参院からは今般の選挙結果を受けて辞任論が再燃しているようですが、これが野党にとって本当に最後のチャンスでしょう。うまく与党内を分裂させ、不信任案の可決が見込めるようになれば勝利が見えてきますが、さて、それだけのことを仕組める寝業師が今の野党にいるのやら・・・。

逆に言えば、辞任はさせない姿勢を明確にしているにもかかわらず、参院側にそのような発言を許す安倍総裁というのも、本当に脇が甘いなぁと。そのぐらいはきちんとグリップしないと。

#個人的な利害得失を申し上げるなら、野党の出席しないまま予算審議や法案審議が進むというのは、仕事が大幅に軽減されてまことにめでたいのですが(笑)。

・・・ってなことを書いて準備していたのに、サーバトラブルで公にできないままでいたところ、次のような動きが。

一方、民主、社民、国民新3党は、今後の国会審議に応じるかなどについて、近く党首会談を開いて対応を決める。民主党内には厚労相の不信任決議案を提出し、07年度予算案審議からの復帰を探る動きもある。

これに関連し、民主党の鳩山由紀夫幹事長は、5日朝、都内で記者団に「政府・与党はこれで(柳沢氏が)辞任せずに済んだと思っているかもしれないが、大間違いだ」と指摘した上で「新たな思いで、さらに議論の場で追及することもあり得る」と述べ、国会審議への復帰を示唆した。

共産党の穀田恵二国対委員長は午前、国会内で自公両党の国対委員長と会談し、与野党幹事長・書記局長会談か国対委員長会談を開くよう要請。与党側は「協議の用意はある」と答えたという。

中日「政府・与党が厚労相続投を確認/補正予算案、参院委で単独可決」

前半に書いたようにずるずると審議拒否を続けるよりはよほどましな「損切り」ですが、そもそも事前にちゃんと退路は確保しておけよ、と。

本日のツッコミ(全17件) [ツッコミを入れる]
刺客 (2007-02-05 22:27)

与党自民党と対決をする際に、ちゃんと落とし所を用意しておかなかった間抜けな野党民主党
当然の結果ですな

通りすがり (2007-02-05 23:58)

ベンチャーブームの際にexit戦略を考えず行け行けどんどんでジリ貧になるなんて事例が散見されたなんて話がありましたが、日本人のメンタリティーなんすかねぇ。そう言えば太平洋戦争期の日本とか、ポスト・バブル期の日本とか。

中山 (2007-02-06 00:50)

まことに仰るとおり。自ら望んで硫黄島に立てこもってどうするよ…。

西麻布夢彦 (2007-02-06 09:39)

今回の民主党の審議拒否は、以前の(小泉時代の)欠席戦術と比較して、国民の理解をえているのでは?
その理由は、柳沢さんがケシカランからではなくて、米国のイラク政策の失敗が明白になる中、小泉−安倍枢軸の従米路線に国民が危機感を感じていることにあると考えます。
これで6カ国協議が拉致抜きで結審したら、かなりの確率で倒閣に至ります。
少なくとも、米国は拉致に言及しなくなったので、対北宥和政策に転ずる可能性が、極めて高いですね。
民主党としては、攻撃材料に欠かない以上、多少の強行路線は問題ないでしょう。(補正予算だけを犠牲に「起きる」ことは、識者には自明の流れでしたし)
構造改革賛成派の私としては大変残念な状況です。
(ま、安倍先生は構造改革を進めてくれないので、どうでもいいのですが)

通行人 (2007-02-06 11:51)

>これで6カ国協議が拉致抜きで結審したら、かなりの確率で倒閣に至ります。
つまり、民主党は、安倍内閣倒閣のために、拉致抜きで結審するように中国向けに議員外交に励むという事でしょうか?

西麻布夢彦 (2007-02-06 12:40)

> 通行人様
>中国向けに議員外交
その必要もないでしょうね。
今日の議題である「勝利条件を上げ過ぎてしまった」に絡めるなら、「拉致被害者全員が帰ってくるまで拉致は解決しない」といった時点で、拉致の解決は不可能です(勝利条件が高すぎる。現実的なのは、せいぜい「謝罪」まででしょう)。
こんなの「宇宙の根源悪を倒すまで、俺たちの戦いは終わらない」といっているようなもので、北から見れば、ニポーンは当事者能力無しと見なされます。
安倍先生は、不可能を自分の「金看板」にした時点でハンデを背負ってますね。
ま、あまり、このような議論をしても、管理人様にご迷惑になるので、とりあえずこの程度で。

bewaad (2007-02-06 12:43)

>刺客さん
審議復帰に関する報道がちらほら見られますが、私が目にした限り「辞任するまで審議に復帰しないという発言はどうしたんですか」というツッコミがないのは、やっぱり世間(というよりマスメディアが、と言った方が正確でしょうか)は野党に甘いものです。

bewaad (2007-02-06 12:44)

>通りすがりさん
日本人に限らず、人間なんてそんなもの、ということだと思います。私を含め。

bewaad (2007-02-06 12:44)

>中山さん
刺客さんへのお応え、あるいは本日(2/6)のエントリを書きつつ思ったのですが、実は野党への目線は私の想像以上に甘く、硫黄島の日本軍というよりダンケルクの英軍だったのかもしれません。

bewaad (2007-02-06 12:46)

>西麻布夢彦さん
日米関係が最重要なのかどうかはさておき、与党がいろいろと攻撃材料を与えてしまっているのはおっしゃるとおりですが、民主党もそれをまったくといっていいほど活かせていないわけで、そこまでの支持を得ているのかどうか、個人的には疑問です。

ちなみに拉致問題ですが、本件の野党とは異なり日本政府は経済支援という切り札をもっているので(能力的に他に可能なのはアメリカだけでしょうけれど、アメリカはそうする気はなく、やる気であれば中国・韓国も持っているでしょうけれど、日本とは経済の実力が違いすぎます)、そのカードの威力を考えれば、勝利条件を上げすぎとは一概にいえないと思います。カードを自ら(国内向けに)使いづらくしているように見える状況は、あまり賢明ではないようにも思いますが、そこは外交も内政の延長線上でしかあり得ないのですから、やむを得ません。

bewaad (2007-02-06 12:47)

>通行人さん
中国よりも、(これは西麻布さんと同じ見方になりますが)アメリカが鍵を握っているのではないでしょうか。

h (2007-02-06 13:08)

少なくとも私には審議拒否なんて理解できません。
安倍でいいのかという思いはありますが、かといって民主も馬鹿すぎてどうしようもありません。

koge (2007-02-06 15:42)


>拉致
誰かが言ってましたが、冷戦中に米ソでやってたことを考えると北朝鮮の拉致は「同情はするが人数が一桁違う」と聞いてなるほどと思いました。確かにこの国は、6カ国の中で唯一「人命・人権」といってられる良くも悪くも平和ボケした国ですからね。
個人的には、向こうはもう誰を持ってきたとか彼らがどこで暮らしてるとかが金正日にも分からないくらい(軍を含む)政府の指揮系統が崩壊しちゃってるんじゃないか(つまり小泉訪朝のときに金正日が分かってる分は全部出してた)という気がしないでもないんですが。

おおや (2007-02-06 19:38)

参院あたりでくすぶる辞任論、というのが野党に情勢を見誤らせて賭け金をレイズさせるためのフェイクだったらいやだなあ、と思いました。
さすがにそこまでではないと思うのですが、野党側がまた勝手にレイズを始めたようなのでどうでもいいような。

bewaad (2007-02-07 07:27)

>hさん
http://bewaad.com/20050603.html#p02
で書いたのですが、審議拒否自体は、会期制その他の国会審議の与件に照らせば、使い道を間違えなければ有効なカード足り得ます。民主党は使い方として拙くはありましたが、使ったこと自体は合理的ですし、他方で自民党が野党になった場合を考えれば、彼/女らだってそれが有効だと考えられる場面では使うでしょう。

bewaad (2007-02-07 07:27)

>kogeさん
実は北朝鮮では中央の統制がほころんでいるのでは、というのは昔書いたことがあります。
http://bewaad.com/archives/themebased/reflex.html#Jan1103

そちらの方が実は対処に困る、というのが悲しい現実であって、独裁者の威令がもっとあってその判断でどうにでもなるというのであればなぁ、という気もします。かといって独裁者の威令が行き届く場合、その個人の資質によっては、という問題もあり、しょせんは隣の青い芝なのかも。

bewaad (2007-02-07 07:28)

>大屋先生
私も同じ考えで、さすがにそこまでリスキーな賭けはしていないとは思います。単に結果オーライなんだろうな、と。


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