archives of BI@K

CSS: default alternative
(要cookie)

toppage memoranda

(ここはbewaad institute@kasumigasekiの過去ログ倉庫です。コメント等は仕様上受付けを停止しておりませんが、こちらではご遠慮いただければ幸いです。何かございましたら、現行サイトにお願いいたします。)

2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|

2007-02-09

[economy]人口減少って、本当に問題なの?

昨日のエントリに関連する話題ではありますが。

結局のところ、この問題の解決策としては、以下の三つの選択肢しか存在しない。

  1. 国内で解決(domestic; do it ourselves = D)
  2. 国内の余剰高齢者を国外に移民(emigrate the old = EO)
  3. 国外の余剰若年者を国内に移民(immigrate the young = IY)

「少子化の三つの対策」(@404 Blog Not Found2/8付)

国内の余剰高齢者の移民という選択肢があることからも、人口減少そのものよりは、むしろ人口構成の問題であるとの受け止めだとwebmasterは理解します。

そして第三の理由は、絶対国力の減少。いくら一人当たりの生産性が高いといっても、市場全体が小さくなれば、当然その市場は後回しにされる。(略)クリティカルマスというのは確かにあるのだ。そしてクリティカルマスの点から見れば、今の日本でも小さすぎるという観かたもあるのだともおっしゃっていますので、人口の絶対数も無関係だということはないのでしょうけれども。

それをさらに詳しく見るなら、高齢者(現役引退世代)の増加は、

  • 生産活動に携わらない者の比率が増加するので、経済水準の維持に必要なだけの生産が不可能になるのではないか、
  • 医療費・年金等において相対的に高コストを要する者の比率が増加するので、経済水準を低下させることになるのではないか、

という2つの要素となるでしょう。相互に関連する話ではありますが、わかりやすく言うなら、収入は頭打ちなのに出費は増える、こりゃダメだ、と。

しかしながら、これらはそれほど深刻な問題ではない、とwebmasterは考えます。まず前者については、労働者人口が減り労働単価が上昇すれば、女性や高齢者など労働市場に参加していない者の労働参加が促されますから、生産活動に携わる者の比率の落ち込みは緩和されます。緩和されても落ち込むでしょ、というご意見もあるでしょうけれど、労働単価の上昇は同時に、労働力に頼らない生産活動(機械化、あるいは海外での生産(への投資)など)を相対的に廉価にするので、そちら側からも調整が進むのです。この点からは、「もの作りが大事だ」などといって妙な業界保護策に走らないことをこそ、警戒すべきでしょう。

後者については、まさに昨日年金について見たように、安定的な経済成長さえ達せられるなら、それほど心配すべき話ではありません。昨今の社会保障費関連の話題があまりに悲観的なのは、デフレ下でのろくでもない経済成長を前提としているからで、景気循環の波はあれど、デフレのような論外の状況に陥らないよう、まともなマクロ経済運営(他国と比べて抜きん出ている必要はなく、平均点程度でいいので)が行われることが何よりも大切です。

他方、これらに留まらない懸念の表明もあります。Dan Kogaiさんのエントリの契機となった、大石英司さんのエントリが代表的なものでしょうか。

問題は、地方に於いて、一族十数人しかいない中で、子供は一人、働いている人間はほんの二人で、残る10人は、みんな70歳以上、という時代が来るわけです。その時に、働き手世代一人で、救急車の運転もしなければならない、消防車に警察も、つまり公的業務を、もの凄く限られた人数でカバーしなければならない。小学校も中学校も、20万規模の中核市に一校のみ。通学はどうしましょう。片道1時間、保護者のマイカーで送り迎えするのも大変だから、毎日公民館に4、5人が集まって公民館でテレビ授業で済むでしょうか。高校なんか県庁所在地にしか無い。いずれそういう時代がやってくる。

今、たとえば長野県のいろんな過疎地で、泰阜村とか、それに近い状況にありますよね。それが更に遙かにタイトになる。コミュニティを回すには、一定のマンパワーが必要なのに、それが確保できないという状況がいずれやってくる。

ほとんど生産活動が無い地方のコミュニティでそれを回す原資は、都会から降って来る税金しかないけれども、いずれ、税金はあっても、人がいないという状況になる。だから私は、選抜公務員制度を提唱して、都会から若者を収奪して一定期間、地方で働かせるしか無い、と普段主張しているわけなのですが。

「人口が減るということ」(@大石英司の代替空港2/8付)

このような問題意識はwebmasterも共有していて、だからこそ限界自治体のホスピス政策なども提言しているわけですが、しかしこれは、人口減少に伴う問題なのでしょうか? こうした状況は、一言でいえば過疎化でしょうけれど、それが社会問題として語られるようになったのははるか昔からです。

「過疎」という語は、1966年に経済審議会の地域部会中間報告で初めて公式に登場した。翌年まとめられた同部会の報告は次のように述べている。

「人口減少地域における問題を『過密問題』に対する意味で『過疎問題』と呼び、過疎を人口減少のために一定の生活水準を維持することが困難になった状態、たとえば防災、教育、保健などの地域社会の基礎的条件の維持が困難になり、それとともに資源の合理的利用が困難となって地域の生産機能が著しく低下することと理解すれば、人口減少の結果、人口密度が低下し、年齢構成の老齢化が進み、従来の生活パターンの維持が困難となりつつある地域では、過疎問題が生じ、また生じつつあると思われる。」

(略)

過疎対策として、1970年に過疎地域対策緊急措置法が制定され、以降、十年おきに過疎地域振興特別措置法、過疎地域活性化特別措置法として更新され、過疎対策が講じられてきた。現在では、2000年に制定された過疎地域自立促進特別措置法を基に、十年間に渡る過疎対策が実施されている。現行法における過疎地域とは、この法律の第2条第1項の要件(第32条によって読み替えられて適用される要件を含む)に該当する市町村である。

過疎‐Wikipedia

60年代後半から認識され、70年に最初の総合的対策が講じられたということからは、高度経済成長期に顕在化したということが察せられますが、とまれ、すでに40年を数える問題です。人口減少とは最近の問題なのですから、全体としての人口よりも、その国内での分布の問題であるといえましょう。もちろん、全体の減少がより事態を深刻にしていることは確かですが。

[BOJ]政治の圧力なんかより、能力に疑問を持たれているのでは?

米国の大都市圏で住宅市場の落ち込みが鮮明になっている。国内消費は底堅く、今のところ米景気への影響は限定的だが、一部の専門家の間で、住宅バブル崩壊が米景気失速につながるとの見方は根強い。米住宅市場の動向は、世界経済をけん引する米経済の行方を占うバロメーターとなっている。

(略)

ただ、先行きは予断を許さない。プリンストン大のクルーグマン教授は、米紙ニューヨーク・タイムズ紙上のコラムで再三にわたって住宅バブル崩壊を警告。エール大のシラー教授も「年内のどこかでマイナス成長転落がありうる」と、バブル崩壊が先導する景気後退の可能性を強調する。

シラー教授は住宅ローン返済が滞り、金融機関経営に悪影響を与える可能性も指摘する。昨年夏以降の市場金利上昇に伴い、信用力の低い低所得者層開拓を狙った「サブプライム・ローン」の焦げ付き件数は急増。同教授は「日本のバブル崩壊の二の舞を演じる危険も念頭に置かなければならない」と表情を引き締める。

こうした見方があることに対し、1月17日にニューヨークで講演したFRBのミシュキン理事は「日本ではバブル崩壊後、日銀が速やかな金融緩和をしなかった」と反論した。

同理事は「中央銀行はバブル崩壊を確認したら間髪を入れず金融緩和で対応することが重要」と述べ、FRBが既にバブル崩壊に向けて準備を始めていることを強調している。

東京「海外エコノメール/米国発:予断許さぬ住宅市場/バブル崩壊、景気後退も」

政治家やポジションを持つ投資家の発言としては、先般の利上げ騒動において政治の圧力に屈したの屈しないのと、それによって信認がどうしたこうしたといった議論になっているようですが、同業者たる海外の中央銀行から見れば、そんなことよりも金融政策の遂行能力において見くびられているのでは、とうかがわせる報道です。バブル崩壊時の対応は過去のことだとしても、未だに当時の誤りを認めないというのでは、「わかってないなぁ、こいつ」と内心馬鹿にされてもやむを得ないでしょう。

こうした日銀に対する認識があるのであれば、同業者をはじめとするプロの目からは、利上げ騒動も日本での報道振りとは異なって移っているのではないでしょうか。当サイトで繰り返し申し上げていることではありますが、デフレから脱却していないというのに利上げをするのは、期待インフレ率の急激な上昇でも観測されない限り、とうてい正当化できるものではありません。「あいつら、引き締めればいいと思っていやがるんだ(笑)」というのが正直な感想であるかもしれませんし、先日のFinancial Timesの社説も、そうしたプロの空気を反映したものだったのではないでしょうか。

[BOJ]今さら日銀の目標が何であるかが話題になるとは・・・。

日銀は政治的圧力から利上げを見送ったのではないかとの憶測があり、市場では日銀や総裁に対する批判や問題視する見方も広がった。

一つは、日銀の政策と政府の経済政策の関係を定義している日銀法第4条の解釈の問題である。(略)

二つ目は、日銀の金融政策の基軸の問題で、中期的な物価安定を目指すことと、金利を正常な水準に戻すことと、どちらをより重視した政策を基軸とするのかについて、明確にすべきではないかとの問題である。これらの問題を明確にすることは時間がかかるだろうが、日銀の信認や政策の独立性を確保するためには、ぜひとも解決する必要がある。

朝日「経済気象台/日銀の金融政策」

「金利を正常な水準に戻すこと」なんてものが、なんで金融政策の目標になり得るんだよぉ・・・。

本日のツッコミ(全8件) [ツッコミを入れる]
本石町日記 (2007-02-09 21:48)

目標は「日銀法第二条」に明記されております。物価安定を通じ、持続的な経済成長に資する、と。金利正常化と物価安定が別々の目標になることはなく、日銀のロジックでは、金利正常化が将来の物価・経済安定につながる、というものになるはずです。恐らく、このコラムの書き手の思考が分裂しているように思われます。もっとも日銀のメッセージがそういう解釈を促したとすると、やっぱり日銀が変なんですかね(笑)。

通りすがり (2007-02-09 23:50)

ま、FTだって、「日本はデフレ」と認めつつ「今度のG7を期に円高介入しろ」と社説で主張しているぐらいですから、所詮は誰かのポジショントークなんですけどね(苦笑)

実際問題、本石町日記さんはじめとしたマスコミの方には悪いのですが、取材を受けた際に自らのポジションに沿ったトークを行うことは多いです。

tanbry (2007-02-10 12:39)

初めまして。今年のセンター政経を受験したのですが、ちょうど皮肉めいた問題がありましたよ。33問目の4つのグラフ読み取り設問で、1981年以降の金利と、
外国為替(米ドル)相場、実質GDP成長率、実質民間設備投資伸び率、物価上昇率の関係を表した図がありまして、
選択肢が、
ゞ睛が高いほど、円高であるという傾向がある
経済成長率が高いときほど、金利が低いという傾向がある
6睛が低いほど、民間設備投資伸び率が高いという傾向がある
な価上昇率が高いときほど、金利が高い傾向がある
という問題でした。
ひょっとして問題製作者も日銀のあhうわなにをするやm

kumakuma1967 (2007-02-10 17:04)

40年間やってもまだbewaad氏のメガネにかなうホスピス政策のない事についてどう思うか聞いていい?

bewaad (2007-02-10 18:48)

>本石町日記さん
第4条は見ているようなのに、何ででしょうかねぇ(笑)。

bewaad (2007-02-10 18:48)

>通りすがりさん
FTについては、石ばっかりよりも玉石混交の方がよほどましということで(笑)。

メディア対応については、どれだけきちんと説明しても、あちらの理解の鋳型に填められたアウトプットしか出てこないことはよくあります。ポジショントークが掲載されるとすれば、それがメディアにとってしっくりくる意見だということなのでしょう。

bewaad (2007-02-10 18:49)

>tanbryさん
2/7のエントリの方でお応えさせていただきました。

bewaad (2007-02-10 18:51)

>kumakuma1967さん
地方分権の部分否定ですし、当の地域においても受け入れがたかったということかと思います。中央にもそれなりの余裕もありましたし。

本日のTrackBacks(全1件) [TrackBack URL: http://bewaad.sakura.ne.jp/tb.rb/20070209]

都会の郷土料理のような味わい。



農村(ムラ)の幸せ、都会(マチ)の幸せ
徳野貞雄

わるい意味でもいい意味でも。少なくとも味見しておく価値はある。


トップ «前の日記(2007-02-08) 最新 次の日記(2007-02-10)» 編集